JP2004072961A - 過電圧保護素子、電気化学デバイスモジュール、および充電器 - Google Patents

過電圧保護素子、電気化学デバイスモジュール、および充電器 Download PDF

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Abstract

【課題】構造が簡単で安価に製造が可能な過電圧保護素子を実現し、電気化学デバイスを過電圧から保護する電気化学デバイスモジュールを提供する。
【解決手段】アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどの弁金属を含む陽極と、電子伝導性材料である陰極との間に、弁金属の陽極酸化皮膜を含む酸化層を有する構成であり、絶縁破壊前の抵抗値が1MΩ以上であり、絶縁破壊後の抵抗値が10Ω以下である過電圧保護素子。および、その過電圧保護素子の単独素子を、または過電圧保護素子と付加抵抗とを直列接続素子を、電気化学デバイスに対して並列になるよう接続した、電気化学デバイスモジュール。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過電圧保護素子、および、過電圧保護素子を有する電気化学デバイスモジュール、または充電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話や携帯情報端末などの携帯用電子機器の普及にともない、長時間の連続駆動が可能な電源デバイスの必要性が高まっている。特に、リチウムイオンを使用する非水二次電池(以下、「リチウムイオン二次電池」という)は、高いエネルギー密度が得られることから、急速に普及している。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、過剰な電圧に対応できない欠点がある。電池に過剰な電圧がかかると異常な電気化学反応が進行して、電池の液漏れや、場合によっては発煙や発火を起こす可能性がある。対策として、電池内部に弁やシャットダウン機構を有するセパレータを用いるなどの方法が提案されている。しかし、内部構造の安全対策のみで異常な化学反応を完全に防ぐことは困難である。このため、リチウムイオン二次電池は過充電に対する保護回路とともに使用されるのが一般的である。
【0004】
従来の保護回路は、電池の異常発熱を検知する形式、電流異常を検知する形式、電圧異常を検知する形式が主に用いられてきた。上記3つのうちのいずれかの形式で異常を検知してリチウムイオン二次電池の充放電電流を止める方法や、二次電池の電気化学反応を止める方法が一般的である。
【0005】
異常発熱を検知する形式の場合、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子を用いて充放電電流を止める方法が代表的である。この形式には、温度範囲の制限という問題がある。電池には60℃程度の動作保証温度が要求されることが多いため、60℃程度では電池を動作させ、異常発熱時にはすばやく停止するように保護回路を設定する必要がある。しかし、そのような設定は非常に困難である。また、PTC素子には、電池の異常発熱が長時間続いた場合に、電池が発熱しているにもかかわらず電流が流れ続けてしまうという問題もある。
【0006】
電流異常を検知する形式の場合、電池に対し直列にヒューズを接続する方法が知られているが、二次電池やキャパシタの場合にはあまり有効な保護手段とはいえない。例えヒューズの規格内の電流値であっても、二次電池やキャパシタに発煙、発火を起こさせるだけの電流が連続して流れる危険性が高いからである。
【0007】
電圧異常を検知する形式の場合、電気化学反応は基本的に電圧で制御されるために検知方法としては最も有効といえる。しかしながら、電圧検出は単純な素子だけでおこなうのは困難であり、複数の素子、あるいはICなどの能動素子を組み合わせた保護回路を用いるのが一般的である。これでは部品点数が多くなり、コストが高くなってしまう。
【0008】
これに対し、例えば、特開1993−343264号公報では、単純な電圧感応素子であるバリスタを、二次電池やキャパシタと並列に接続し、バイパス回路を設けるという技術が開示されている。同公報の開示技術では、回路に異常電圧が加わった際にバリスタの抵抗が低下し、バリスタ側に電流が流れるために二次電池やキャパシタは保護される。しかし、通常のバリスタ素子の作動電圧は10V以上であり、満充電電圧が10V以下の電池やキャパシタの保護回路素子として使用することは不可能である。
【0009】
低電圧で使用できるバリスタ素子として、薄膜バリスタ素子の検討がおこなわれている。例えば、特開1993−299209号公報、特開1993−299210号公報、特開1994−231907号公報、特開1997−223603号公報、特開1998−32105号公報などに開示された薄膜バリスタ素子は、5V以下の作動電圧とすることができる。しかし、これらのバリスタ素子では、さほど急激でない電圧変動において大電流が流れた場合には、十分に作動できない。
【0010】
同様な電圧感応素子にツェナーダイオードがあるが、これは大電流を流すことが困難である。また、ツェナーダイオード自体に漏れ電流があるために、電池を充電状態で長期間保存した場合に自己放電を起こすという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
発熱、電流、電圧などの異常を検知する方式に対して、より構造が単純な過電圧保護素子の技術が検討されている。例えば、特開平5−275116号公報では、過電圧保護素子として、集合電池の電圧正常時には絶縁物として作用し、過電圧発生時には絶縁破壊して導通状態になる素子を用いている。しかし、同広報に開示された過電圧保護素子では、板材や膜材の絶縁体材料を用いているため、絶縁破壊電圧は非常に高い値となる。この素子は組電池のような高電圧には有効であるが、10V以下の低電圧、例えば、一般的なリチウムイオン二次電池における満充電電圧付近の4〜5V程度で過電圧保護素子として使用することは困難である。
【0012】
また、過電圧保護素子は、使用する電気化学デバイスの満充電状態の電圧を上回る特定の電圧値で、確実に絶縁破壊することが必要である。絶縁材料における絶縁破壊は、構造的な欠陥や電極との接触界面の異常点などを起点として起こる場合が多い。上記公報のような方式の素子を用いた場合、素子ごとに絶縁破壊電圧を一定にして、規定の電圧で絶縁破壊を起こさせることは非常に困難である。
【0013】
このように、構造が単純であり、かつ、目的の電圧で確実に動作する過電圧保護素子がいまだ得られていないことが、電気化学デバイスにおける問題となっている。
【0014】
そこで本発明は、電気化学デバイスを過電圧から保護ずる手段として、構造が簡単で安価に製造が可能な過電圧保護素子を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、電池あるいは組電池に並列接続して用いられ、直流抵抗を有し、絶縁破壊後に電気伝導性を示す過電圧保護素子が、下記の特徴を有することによって解決される。
【0016】
(1) 過電圧保護素子の構造は、弁金属を含む陽極と、電子伝導性材料を含む陰極と、陽極と陰極との間にはさまれた酸化物層とを含むこと。上記の酸化物層は弁金属の陽極酸化皮膜を含むこと。また、上記の弁金属とは、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンのうちの少なくとも1つ以上を含むこと。
【0017】
本発明の過電圧保護素子の絶縁膜は、弁金属を陽極とし、その表面を陽極酸化して得られる陽極酸化被膜を用いる。弁金属とはバルブ金属とも称され、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどをいう。弁金属には、自身の酸化時に表面に酸化皮膜が形成されると、それ以上の内部へ酸化反応の進行を妨げる性質がある。弁金属上に陽極酸化によって形成された陽極酸化皮膜は、例えば、スパッタリング法などの気相合成法によって形成された堆積皮膜に比べ、はるかに高い密度と均一性を有する。
【0018】
陽極酸化皮膜の膜厚は、弁金属を陽極酸化する際の電圧によって制御することができる。絶縁膜の絶縁破壊電圧は、陽極酸化皮膜のように膜が高密度で均一な構造である場合は、主に膜厚に対して依存性を示す。陽極酸化による絶縁膜形成は高い膜厚制御性を有するため、過電圧保護素子の絶縁破壊電圧を任意に設定することができる。このため、保護すべき電気化学デバイスの種類によって、必要な絶縁破壊電圧を任意に設定することができる。
【0019】
通常、陽極酸化皮膜の絶縁破壊電圧は陽極酸化の際に印加した電圧の70〜90%程度である。陽極酸化条件が一定であれば、陽極酸化皮膜の絶縁耐圧はほぼ一定となる。
【0020】
本発明の過電圧保護素子の陰極は、電子伝導性材料を用いる。これは、本発明の素子において陰極に酸化被膜の修復性を持たせないためである。
【0021】
よく知られているように、電解液を用いた電解コンデンサは酸化皮膜の自己修復能力を有するため、絶縁破壊を起こしても自然に絶縁性が回復する。これは、陰極に相当する電解液にイオン伝導性があり、酸化被膜の欠損部にアニオンが輸送されて酸化皮膜が修復されるためである。このように、陰極のイオン伝導度が高い場合は、酸化皮膜の欠損部に直ちにアニオンが輸送されて欠損を修復してしまう。
【0022】
本発明の素子は、電気化学デバイスに並列接続し、電気化学デバイスに過大な電圧が印加された場合に絶縁破壊することにより、電流をバイパスする。このとき、陰極によって酸化皮膜が自己修復されると、酸化被膜が絶縁破壊した瞬間は素子に電流が流れる。しかし、陰極からのアニオン供給量が大きい場合は、陰極から絶縁破壊個所にアニオンが供給されて自己修復が生じ、急速に抵抗が回復して本発明の素子側の電流が収束する。このため、電気化学デバイスに電流が流れ続けるので発火を回避することができない。
【0023】
したがって、本発明の過電圧保護素子には酸化皮膜の自己修復性があってはならない。そのためには、陰極材料が電子伝導性の材料で構成されている必要がある。
【0024】
(2) 過電圧保護素子は直流抵抗を有し、過電圧保護素子が絶縁破壊する前の初期抵抗値が1MΩ以上であること。また、過電圧保護素子が絶縁破壊した後の抵抗値が10Ω以下であること。
【0025】
陽極酸化により形成した酸化被膜の上に電子伝導性材料からなる陰極を設けた場合、陽極−陰極間は1MΩ〜1GΩ程度の高抵抗となる。これは電気的には絶縁体膜ということができる。陽極−陰極間の電気抵抗が1MΩ以上の高抵抗であれば、本発明の素子の漏れ電流はほとんど無い。
【0026】
酸化被膜は厚みに応じた絶縁耐圧を有しており、この耐圧を越えた電圧印加を受けた場合は絶縁破壊により素子がショートする。ショート個所は急激に電気抵抗が低下し、10Ωを切る程度の抵抗値となる。
【0027】
絶縁破壊後の抵抗値が低すぎると、外部短絡となって大電流が流れるため、二次電池やキャパシタが加熱して発煙、発火の恐れがある。また、絶縁破壊後の抵抗値が高すぎると、バイパス回路に充分な電流を流すことができず、電気化学デバイスの過電圧状態が継続して発煙あるいは発火する恐れがある。
【0028】
この素子の構成は極めて単純であるので、安価に従来の保護回路を代替することが可能である。また、一般的な保護回路に比べ、漏れ電流がほとんど無いので、電池の保存時の自己放電を抑えることができる。
【0029】
以上の構成を有する過電圧保護素子を電気化学デバイスに接続して、電気化学デバイスモジュールを得ることができる。本発明の電気化学デバイスモジュールによって、例えば、二次電池、キャパシタが高電圧、過充電状態にさらされた場合に、異常な電流の流入を阻止し、発煙や発火の危険を回避して安全な状態に移行させることができる。
【0030】
本発明による安全性の高い電気化学デバイスモジュールは、上記に述べた特徴を有する過電圧保護素子を、下記に示す方法で電気化学デバイスに対して用いることにより得ることができる。
【0031】
(3) 電気化学デバイスに対して、上記の過電圧保護素子を並列に接続すること。
【0032】
本発明による安全性の高い電気化学デバイスモジュールは、本発明の過電圧保護素子を電気化学デバイス、例えば、二次電池やキャパシタなどと並列に接続することにより得られる。この接続方法により、本発明の過電圧保護素子は異常電圧に対し高い精度で反応し、絶縁状態からショートモードになる。このため、流れてくる電流は電気化学デバイスではなく過電圧保護素子側を流れ、電気化学デバイスの発煙や発火などの事故を回避することができる。
【0033】
本発明の過電圧保護素子は、バリスタ素子、PTC素子などとは異なり、一旦ショートモードになると素子を交換しない限り絶縁状態が回復せず、接続した二次電池やキャパシタは利用可能な状態には戻らない。従来の過電圧保護素子では、二次電池やキャパシタの再利用のために可逆的な動作ができることを特徴とする場合が多かった。しかし、異常な過充電状態にさらされた二次電池やキャパシタは化学的に非常に不安定な状態になるので、安易な可逆動作は好ましくない。むしろバイパス回路のショート状態が保持され、二次電池やキャパシタの内部エネルギーを放出し、かつ、不用意な再使用が不可能な状態の方が実用上は安全である。したがって、本発明の素子はバリスタ素子などに比べてより安全性が高いといえる。
【0034】
また、ツェナーダイオードや複数の素子を組み合わせて作る保護回路の場合には漏れ電流の発生が不可避であるが、本発明の素子では漏れ電流はほとんど発生しない。これは、素子内部の酸化被膜が非常に高抵抗であり、ほぼ完全に絶縁されているためである。上記のように、素子の抵抗値は1MΩ〜1GΩという極めて高い値である。例えば、満充電時4.2V−500mAhのリチウムイオン二次電池に10MΩの抵抗を持つ本発明の電気化学素子を組み合わせた場合、0.42μA程度の漏れ電流が生じるが、電池容量の1%をこの素子が放電するのに必要な時間は500日程度であり、実用上まったく問題はない。
【0035】
(4) 過電圧保護素子に対して抵抗素子を直列に接続し、電気化学デバイスに対して並列に接続することが好ましい。
【0036】
回路がショートモードに移行する際に、素子が10Ω程度の低抵抗ではなく、ほぼ完全に抵抗が無くなった場合は二次電池もしくはキャパシタの外部短絡に相当するので危険である。この場合は本発明の素子と直列に適当な電気抵抗を設けることにより危険性を回避することができる。電気抵抗設置の方法としては、例えば、本発明の素子と直列に抵抗素子を接続する方法、本発明の素子に接続するリードに適度な抵抗を持ったものを使用する方法などを用いることができる。
【0037】
本発明の素子に付加する抵抗は、用いられる二次電池、キャパシタの種類によっても異なるが、一般的には次式、
R=α×Vmax/Imax
(但し、R:ショート状態の素子および付加抵抗をあわせた抵抗値、Vmax:デバイスの定格最大電圧、Imax:デバイスの定格最大電流、α:係数)
において、式中のαが0.1〜1.0の範囲にあることが好ましい。
【0038】
(5) 電気化学デバイスが二次電池の場合、過電圧保護素子の絶縁破壊電圧を、接続の対象となる二次電池の充放電サイクルにおいて許容される充電上限電位に対して、1〜30%高い電位に設定することが好ましい。
【0039】
二次電池においては、充電が可能な上限限界電圧が存在し、それ以上の電圧に充電をおこなおうとした場合は熱暴走による加熱、発火、破裂などの問題が生じる。一般に、充電時においては二次電池の限界電圧に対してある程度の安全値を見込んだ充電上限電圧が設定されている。この充電上限電位は二次電池の種類と設計値によって異なる。
【0040】
二次電池の充電上限電位と本発明の素子の絶縁破壊電圧が一致していると、通常の充放電においても絶縁破壊を起こしてしまうので、絶縁破壊電圧は充電上限電位よりも高い電圧に設定する必要がある。
【0041】
また通常の二次電池では、熱暴走にいたる電圧は充放電サイクルの充電上限電圧に対して30%程度のマージンしかない場合が多い。そのため、過電圧保護素子の絶縁破壊電圧を充電上限電位に対して1〜30%の範囲に設定し、二次電池の安全性を確保することが好ましい。
【0042】
二次電池もしくは電気二重層キャパシタの充電用途に用いられる充電器では、過充電に対する安全対策は必須である。本発明の過電圧保護素子を、充電器の充電用端子に対して並列に接続した構成とした充電器によって、安全に二次電池もしくは電気二重層キャパシタへの充電が可能となる。本発明による充電器は、本発明の過電圧保護素子を、充電の対象である二次電池もしくは電気二重層キャパシタに対して、上記に述べた構成となるよう接続して得ることができる。
【0043】
以上、本発明により、構造が簡単で再現性よく絶縁破壊を生ずる過電圧保護素子を得ることが可能となる。また、1個の電池から組電池まで、幅広く対応できる過充電保護回路を電気化学デバイスや充電器に実施することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。本実施形態では、過電圧保護素子と、電気化学デバイスモジュール、充電器の好ましい実施の形態を示す。本実施形態では保護すべき電気化学デバイスの一例として、セパレータを介して正極と負極を積層した積層体を外装体に収めた積層型リチウムイオン二次電池を取り上げた。
【0045】
1.過電圧保護素子の使用形態
本発明の過電圧保護素子によって、電気化学デバイスや充電回路を過電圧から保護するための好ましい実施の形態を、図1(a)〜(d)のブロック図に示す。本発明の過電圧保護素子は、各図のように電気化学デバイスや充電回路に対して並列接続し、バイパス回路を形成するように用いるのが好ましい。
【0046】
図1(a)は、本発明の過電圧保護素子を電気化学デバイスに対して並列接続した一実施形態である。過電圧保護素子31は、充電/負荷回路端子12から電気化学デバイス14と過電圧保護素子31に過電圧が印加された場合、絶縁破壊されて導通状態となり、過大な電流をバイパスして電気化学デバイスを保護する。
【0047】
図1(b)は、本発明の過電圧保護素子に抵抗素子を直列接続し、電気化学デバイスに対して並列接続した一実施形態である。過電圧保護素子31に抵抗素子11を接続することによって、過大電流を抑え、外部短絡の発生を防止することができる。
【0048】
図1(c)は、本発明の過電圧保護素子を電気化学デバイス用充電器の充電回路15に対して並列接続した一実施形態である。図1(a)と同様の動作で、電気化学デバイスを保護する。
【0049】
図1(d)は、本発明の過電圧保護素子に抵抗素子を直列接続し、電気化学デバイス用充電器の充電回路15に対して並列接続した一実施形態である。この実施形態の場合も、抵抗素子11によって過大電流を抑え、電気化学デバイス14における外部短絡発生を防止できる。
【0050】
上記のように、本発明の好ましい実施形態は、過電圧保護素子31を回路内部もしくは外部の電気化学デバイス14に対して並列接続することである。過電圧保護素子31を有するバイパス回路に、二次電池やキャパシタなどの過充電電圧を上回る電圧が印加されたとき、過電圧保護素子31の絶縁膜が絶縁破壊して導通状態となる。このとき、二次電池あるいはキャパシタに印加されていた過電圧電流は、低抵抗のバイパス回路側を流れるため、二次電池あるいはキャパシタは安全な状態に保たれる。特に、図1(b)または図1(d)に示すように、過電圧保護素子31に電流調整用抵抗11を直流接続することは、バイパス回路における過大電流を抑えて電気化学デバイスにおける外部短絡を回避することができるため、非常に好ましい。
【0051】
2.過電圧保護素子
以下、本発明の過電圧保護素子の好ましい実施形態について説明する。図2〜図5に過電圧保護素子の作製手順に従った模式図を、図6に過電圧保護素子の断面図を、それぞれ示す。
【0052】
図2に示すように、陽極21の任意の一部分に陽極酸化部分22を形成する。このとき、陽極21に対して陽極酸化をおこなうのが好ましい。上記のように、陽極酸化により形成された酸化層は、気相合成法、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などにより形成された酸化層に比べ、高密度の酸化層を容易に得ることができる。
【0053】
陽極21の材料に弁金属を用いることにより、陽極酸化部分22の酸化層の膜厚を、陽極酸化時に均一に制御することができる。
【0054】
弁金属材料として、例えば、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、あるいはこれらのうちの1つ以上を含む合金を用いることができる。
【0055】
陽極21の形状には特に制限はなく、板状、棒状、箔状などさまざまな形状の弁金属材料を用いることができる。特に箔状の材料は、加工と取り扱いが容易であり非常に好ましい。
【0056】
本実施形態では、アルミニウム箔を陽極21の材料をとした。アルミニウム箔を規定の大きさに切断して、得られた陽極21の一部を陽極酸化することにより、図2に示すように陽極酸化部分22を形成する。
【0057】
陽極酸化の処理方法には特に制限は無い。従来おこなわれている、適当な電解液中に陽極21の陽極酸化すべき部分を浸漬し、直流または交流電圧を印加するという方法を用いれば、容易に陽極酸化をおこなうことができる。
【0058】
陽極酸化で使用する電解液には特に制限は無い。例えば、アジピン酸、硫酸、ホウ酸、リン酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、フタル酸の各酸もしくはその塩を溶解した電解液を、適宜選択して用いることができる。
【0059】
陽極酸化によって陽極21の表面に形成される酸化皮膜の膜厚は、陽極酸化中に印加する電圧の調整によって制御することができる。例えば、陽極21をアルミニウム材料とし、電解液を0.1N程度のアジピン酸アンモニウム水溶液とした場合は、目的とする絶縁破壊電圧に対して+10〜40%程度の電圧で陽極酸化することによって適切な皮膜を形成することができる。この電圧は、陽極21の材料と電解液の種類とによって異なるため、それらの条件を考慮して適宜設定することが好ましい。
【0060】
次に、図3に示すように、陽極酸化部分22を形成した陽極21に、エッジカバー23と陰極24を形成するのが好ましい。
【0061】
陽極酸化部分22を形成した陽極21の周辺部分は、エッジカバー23によって保護することが好ましい。これにより、陽極酸化部分22の機械的破壊による障害、例えば、以後の加工時にエッジ部周辺の陽極酸化部分22がはがれて短絡する、などの障害を防ぐことができる。
【0062】
エッジカバー23の材料は、水分を含まず、かつ、水分透過性のない絶縁性材料を用いることができる。特に、塗布可能なペースト状の材料やテープなどは、部分的なカバーの形成が容易なため好ましい。例えば、変性ポリプロピレンや、ポリエチレンなどの樹脂ペースト、アルミナなどのセラミック粉末を分散した塗布材、あるいは絶縁性の粘着テープなどを、好ましく用いることができる。
【0063】
エッジカバー23を形成した後、陽極酸化部分22の露出面上に陰極24を形成する。陰極24の材料は、アニオンのイオン伝導度が10−4S・cm−1以下であることが必要である。これは、すでに記した様に絶縁破壊した陽極酸化皮膜を自己修復させないためである。アニオンのイオン伝導度が10−4S・cm−1以下の材料としては、例えば、カーボンペースト、銀ペーストなどのペースト材料、あるいは導電性を有する粘着テープなどを用いることができる。特にペースト材料は自由な整形が可能なため非常に好ましい。
【0064】
また、陰極24は大きな電流量に対応できることが好ましい。そのため、陰極24の上下界面に接触抵抗が発生しないこと、陰極24がある程度大きな体積と断面積を有することが好ましい。上記に例示した陰極24の材料は、これらの条件を全て満足することができるため、非常に好ましい。
【0065】
次に、図4に示すように、陰極24の表面に陰極リード25を設けるのが好ましい。この場合、陰極24をペーストや粘着テープなどの粘着性材料とすることにより、陰極リード25を容易に固定することができる。
【0066】
陰極リード25の材料は、電気伝導性の良好な材料であれば特に制限は無い。酸化皮膜の自己修復現象とは無関係であるため、陰極24のようにアニオンのイオン伝導度に関する制限も無い。良好な電気伝導性材料として、例えば、金属材料、導電性有機材料、導電性セラミックなどの無機材料などを用いることができる。また、任意の材料の表面に適当な膜形成方法、例えば、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法などにより導電層を形成した材料を用いてもよい。特に金属材料は比抵抗が低いため好ましく、Niなどのように表面に自然酸化膜が生じない材料が非常に好ましい。
【0067】
陰極リード25の形状には特に制限は無く、板材、線材、箔材、ペースト材などのさまざまな形状を用いることができる。特に箔材は、設置や整形などの加工が容易であり好ましい。
【0068】
陰極リード25の固定は、例えば、はんだによる溶接や、ペーストによる接着などにより適宜おこなうことができる。特に、素子の加熱を避ける場合は、導電ペーストによる接着が好ましい。陰極24をペースト材とした場合は、陰極24の乾燥前に陰極リード25を設置することで、容易に接着することができる。また、陰極24を導電性の粘着テープとした場合も同様である。
【0069】
陰極リード25を設けた後に、図5に示すように素子の接合部分付近を外部カバー26で固めるのが好ましい。陽極21と、陽極酸化部分22と、陰極24と、陰極端子25との接合部は機械的に脆弱な場合がある。そのため、加工中に加わる何らかの衝撃によって、接合部分に剥離や亀裂が生じる可能性がある。陽極酸化部分22に剥離や亀裂があった場合は、過電圧保護素子として用いることは難しい。接合部分を外部カバー26で被覆することによって、こうした問題を回避することができる。
【0070】
外部カバー26は、電気絶縁性で、機械的強度を有し、酸素や水分などを透過しない材料を用いることが好ましい。例えば、内部を絶縁処理した金属缶や、樹脂ケース、セラミックケースなどを用いることができる。また、エポキシモールド樹脂を接合部分に塗布して固める方法は、容易に外部カバー26を形成できるため、非常に好ましい。
【0071】
以上の手順によって、本実施形態による過電圧保護素子を得ることができる。本実施形態による過電圧保護素子は図6の断面図に示すごとき構造を有する。
【0072】
3.電気化学デバイスモジュールへの実装
図1(a)〜(d)のブロック図に示すように、本発明の過電圧保護素子は、電気化学デバイスに対しても、二次電池やキャパシタに用いる充電器に対しても適用することができる。ここでは、本発明の過電圧保護素子を、電気化学デバイスの保護回路に用いた、電気化学デバイスモジュールの好ましい実施形態を示す。
【0073】
図7に、本発明の電気化学デバイスモジュールの好ましい実施形態を示す。本発明の電気化学デバイスモジュールにおける電気化学デバイスには、例えば、円筒型、ボタン型、薄型などの各種形状の二次電池やキャパシタを用いることができる。本実施形態における電気化学デバイスは、外装体にアルミラミネートパックを用いた薄型のリチウムイオン二次電池とした。
【0074】
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、アルミラミネートパック39の封止部分から、電池負極リード33と電池正極リード36が露出している。これら端子は、充電器あるいは負荷回路に接続されて電源回路を構成する。
【0075】
図1(a)および図1(b)に示すように、本発明の過電圧保護素子を電気化学デバイス保護回路に用いる場合は、電気化学デバイスに対して並列に接続して用いるのが好ましい。具体的な設置と接続の方法は、周辺部品の配置等を考慮して決定することができる。
【0076】
図7には、付加抵抗37を過電圧保護素子31に直列接続し、リチウムイオン二次電池に接続した一実施形態を示す。この実施形態の場合、素子陰極リード34と電池負極リード33とを接続し、抵抗リード38と電池正極リード36とを接続することができる。
【0077】
本実施形態においては、過電圧保護素子31と付加抵抗37とを別途作製し、接続しているが、過電圧保護素子31と付加抵抗37とを一体化して用いることもできる。さらに、過電圧保護素子31と付加抵抗37とを電気化学デバイスの外装体、例えば、缶もしくはアルミラミネートなどの中に組み込むこともできる。本実施形態の場合、アルミラミネートパック39の内部に過電圧保護素子31と付加抵抗37とを組み込むことができる。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、通常の使用方法と同様、電池負極リード33と電池正極リード36を充放電端子として、充放電をおこなうことができる。
【0078】
本実施形態による電気化学デバイスモジュールは、異常時において以下のように動作する。
【0079】
充電中に充電器からリチウムイオン二次電池の過充電状態を上回る電圧が印加された場合、過電圧保護素子31が絶縁破壊され、電流はリチウムイオン二次電池32ではなく過電圧保護素子31側を流れ、充電器の接地端子に逃がされる。したがって、リチウムイオン二次電池32が発熱や発火を起こすことは無い。
【0080】
付加抵抗37が過電圧保護素子31に直列接続されていることによって、絶縁破壊後の過電圧保護素子31に流れる電流が制限される。これにより、過電圧保護素子31が外部短絡を形成して、リチウムイオン二次電池32に負荷が生ずる恐れはなく、より安全性を増すことができる。
【0081】
4.充電器への実装
本発明の過電圧保護素子は、図1(c)および(d)に示すように、充電器、例えば、二次電池の充電器や、補助電源としてキャパシタを用いる場合の充放電回路などに用いることができる。本実施形態では、本発明の過電圧保護素子を用いた充電器の好ましい実施形態を説明する。
【0082】
本発明の過電圧保護素子を充電器へ接続する際の接続形態は、図1(c)および(d)のブロック図を満足する形態であることが好ましい。すなわち、充電器と素子の接続は、充電される二次電池あるいはキャパシタに対して並列接続となることが好ましく、この形式を満足すれば接合方式に特に制限は無い。例えば、露出した充電用の正負極接続端子間を、本発明の過電圧保護素子によって接続する形を取ることができる。あるいは、本発明の過電圧保護素子と適当な付加抵抗を直列接続した素子を用いて、充電用の正負極接続端子間を接続することもできる。本発明の過電圧保護素子、あるいは、本発明の過電圧保護素子と適当な付加抵抗を直列接続した素子は、充電される二次電池やキャパシタに対して並列接続となる形式であれば、充電器の内部に格納して用いることができる。
【0083】
素子と充電用端子との接続には、従来用いられているロウ付け、はんだ付けなどの溶接、かしめなど、適当な方法を用いることができる。また、素子の交換を容易にしたい場合は、例えば、クリップ、ばね板、端子形状に適合したソケットなどの、十分な電気的接触を有する取り外し可能な機構を用いて半固定とすることもできる。
【0084】
本発明の過電圧保護素子、あるいは、本発明の過電圧保護素子と適当な付加抵抗を直列接続した素子を充電器内部に格納する場合も、接続方式として、溶接などの固定、あるいは半固定を適宜選択して用いることができる。このような固定あるいは半固定方法は、素子の端子形状と充電器の端子形状を考慮して選択されるのが好ましい。
【0085】
二次電池もしくはキャパシタへの充電は、本発明の素子を接続したままで、通常の充電作業と同様におこなうことができる。例えば、充電用の正負極接続端子に二次電池もしくはキャパシタを接続しておこなうことができる。
【0086】
本発明の素子を接続した充電器の能力については大きな制限は無いが、最適な出力の充電器を選定することによって、本発明の過電圧保護素子の効果をより高めることができる。
【0087】
例えば、電気化学デバイスが二次電池である場合、容量C(mAh)、最高充電電圧をE(V)とすると、最高出力が3×C×E(W)程度のものが好ましい。このとき、2×C×E(W)以下であればより好ましい。
【0088】
また、電気化学デバイスがキャパシタである場合は最大100×C×E(W)程度が最高出力であるものが好ましい。
【0089】
電気化学デバイスに対して必要以上に大出力の充電器を接続しても、内部分極を引き起こしてしまうので、充電速度を速くすることはできない。また、必要以上に大出力の充電器を用いた場合は、本発明の過電圧保護素子がバイパスとして機能しても、充電器の出力が大きすぎて電気化学デバイスに電流が流れつづけるなどの問題が生じる可能性がある。
【0090】
上記の充電器を選定することによって、充電器の制御回路が故障したときにも、保護回路に加わる電力が超過することはなく、より高い安全性を得ることができる。
【0091】
【実施例】
以下、さらに本発明について実施例に基づき、より具体的に説明する。
【0092】
(実施例1)
30×10×0.1(mm)の大きさの99.99%平滑アルミニウム箔を用意した。このアルミニウム箔を0.1Mアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、6Vの電圧を10分印加することによってアルミニウム箔に陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化は、アルミニウム箔の先端部10×10(mm)の領域のみにおこなった。このときの試料は図2に示す形状を有する。
【0093】
アルミニウム箔のエッジ部分をエポキシ樹脂でコートした後に、再度6Vで陽極酸化をおこなった。この後、アルミニウムの陽極酸化をおこなった部分の面に銀ペーストを塗布し、図3に示す形状の試料を得た。その上に5×20×0.1(mm)の大きさの99%ニッケル箔を載せて、180℃で30分乾燥した。
【0094】
次にこの素子を、110℃、湿度80%の環境に置き、アルミニウム側を陽極、ニッケル側を陰極として電圧をかけ、0Vから4.3Vまで50mV/秒で昇圧した後15分4.3Vのまま保持して酸化被膜の修復をおこない、図4に示す形状の試料を得た。
【0095】
この後、アルミニウム箔およびニッケル箔の両端を露出させた状態で、試料の中央部をエポキシ樹脂によってモールドし、150℃30分加熱して硬化した。図5に示す外観と、図6に示す断面形状の素子を得た。
【0096】
上記得られた素子に2Ωの抵抗を直列接続した後に、満充電電圧4.2V、容量800mAhで、保護回路を持たないリチウムイオン二次電池の正負極間に、図7に示す形態で接続した。接続方向は、リチウムイオン二次電池の正極側に素子のアルミニウム側が、負極側には素子のニッケル側が来るようおこなった。
【0097】
素子を接続したリチウムイオン二次電池に対し、1回充放電をおこなった後に、定電流電源に接続し、1600mA、上限100Vまでの条件で充電をおこない、充電電圧の変動と電池表面温度を測定し、および発煙、発火の有無を観察した。また、試験前後での素子の直流抵抗の変化も測定した。
【0098】
本実施例で得られたリチウムイオン二次電池は、過充電電圧を上回る電圧を印加された場合も、発煙や発火は生じず、過電圧保護素子の機能を確認することができた。
【0099】
(実施例2)
実施例1におけるアルミニウム箔を99.99%平滑チタン箔に変更した以外は実施例1と同様の手順で素子を作製し、リチウムイオン二次電池に接続して、1600mA、上限100Vの定電流充電試験をおこなった。
【0100】
本実施例で得られたリチウムイオン二次電池は、過充電電圧を上回る電圧を印加された場合も、発煙や発火は生じず、過電圧保護素子の機能を確認することができた。
【0101】
(実施例3)
実施例1と同様の手順で素子を作製し、2Ωの抵抗と直列につないだ後に、リチウムイオン二次電池用の充電器に設けられた接続端子に接続した。充電器は、最大出力10Wのものを用いた。接続の形態は図1(d)のブロック図に準じ、接続端子の正極側には本素子のアルミニウム側、負極側にはニッケル側が来るようにした。
【0102】
満充電電圧4.2V、容量800mAhであり、保護回路の無いリチウムイオン二次電池を、充電器の接続端子に接続して1600mAの定電流充電試験をおこなった。本来、リチウムイオン二次電池の充電器には、定電圧充電のためのリミッタ(上記の特性の場合は4.2V)が付いているが、本実施例ではリミッタを解除した状態で試験をおこなった。
【0103】
以上の結果、本実施例で得られた充電器を用いてリチウムイオン二次電池に充電をおこなった場合、過充電電圧を上回る電圧を印加しても、リチウムイオン二次電池からの発煙や発火は生じず、充電器に過電圧保護素子を設けた場合も、過電圧保護素子の機能が十分発揮されることが確認できた。
【0104】
(比較例1)
800mAhの保護回路無しのリチウムイオン二次電池を、そのままの状態で定電流源に接続し、1600mA、上限100Vの定電流充電試験をおこなった。
【0105】
本比較例で得られたリチウムイオン二次電池は、過充電電圧を上回る電圧を印加した際に、発煙が生じ、本発明の過電圧保護素子の効果を確認することができた。
【0106】
(評価結果)
表1と図8に、実施例1〜3および比較例1の過電圧保護素子と充電器の評価結果を示す。表1には、実施例1、実施例2および比較例1の結果を示す。また、図8には、実施例1〜3、比較例1の充放電特性を示す。
【0107】
【表1】
Figure 2004072961
【0108】
表1および図8から明らかなように、本発明の素子によって、異常な過充電状態の際も安全に電池を放電させることができ、発煙・発火を回避することができることがわかる。
【0109】
図8の結果において明らかなように、本発明の素子によって、二次電池、キャパシタなどのデバイスは、素子作動後には自動的に放電状態に移行する。したがって、更なる異常状態、すなわち電池の物理的な破壊や、高温での加熱といったことがあっても、まったく安全性に問題は無く、従来缶形状の電池で用いられている、安全弁と連動したヒューズなどよりも優れているといえる。
【0110】
以上、本発明の過電圧保護素子の好ましい実施例について、比較例と共に示したが、本発明はこれらの例に限定されない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることはあきらかであり、それらについても当然に本発明の技術的思想に属するものと了解される。
【0111】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、極めて単純な本発明の素子を用いることによって、効果的に電気化学デバイスの過充電状態を回避することができ、電池および電池を用いる機器の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の過電圧保護素子の使用例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における過電圧保護素子の一作成段階を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態における過電圧保護素子の一作成段階を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態における過電圧保護素子の一作成段階を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態における過電圧保護素子の外観を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態における過電圧保護素子の断面図である。
【図7】本発明の一実施形態における電気化学デバイスモジュールの模式図である。
【図8】実施例1〜3および比較例1における電気化学デバイスモジュールの動作特性を示すグラフである。
【符号の説明】
11 抵抗素子
12 充電/負荷回路端子
13 電気化学デバイス用端子
14 電気化学デバイス
15 充電回路
21 陽極
22 陽極酸化部分
23 エッジカバー
24 陰極
25 陰極リード
26 外部カバー
31 過電圧保護素子
32 リチウムイオン二次電池
33 電池負極リード
34 素子陰極リード
35 素子陽極リード
36 電池正極リード
37 付加抵抗
38 抵抗リード
39 アルミラミネートパック

Claims (11)

  1. 電池あるいは組電池に並列に接続される過電圧保護素子であって、
    陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟まれた酸化物層とを有し、
    前記陽極は弁金属を含み、
    前記陰極は電子伝導性材料を含み、
    前記酸化物層は前記弁金属の陽極酸化皮膜を含むことを特徴とする過電圧保護素子。
  2. 前記弁金属は、
    アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、およびアンチモンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の過電圧保護素子。
  3. 前記過電圧保護素子は直流抵抗を有し、
    前記直流抵抗は、
    絶縁破壊前の抵抗値が1MΩ以上であり、
    絶縁破壊後の抵抗値が10Ω以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の過電圧保護素子。
  4. 電気化学デバイスに並列に過電圧保護素子を接続した電気化学デバイスモジュールであって、
    前記過電圧保護素子は、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の過電圧保護素子であることを特徴とする電気化学デバイスモジュール。
  5. 前記過電圧保護素子に、
    抵抗素子が直列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電気化学デバイスモジュール。
  6. 前記過電圧保護素子の絶縁破壊電圧の電位は、
    電気化学デバイスの充放電サイクルにおいて許容される上限電位に対して1〜30%高い電位であることを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の電気化学デバイスモジュール。
  7. 前記電気化学デバイスは、
    二次電池もしくは電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の電気化学デバイスモジュール。
  8. 充電用端子に対して並列に過電圧保護素子を接続した充電器であって、
    前記過電圧保護素子が、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の過電圧保護素子であることを特徴とする充電器。
  9. 前記過電圧保護素子に、
    抵抗素子が直列に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の充電器。
  10. 前記過電圧保護素子の絶縁破壊電圧の電位は、
    電気化学デバイスの充放電サイクルにおいて許容される上限電位に対して1〜30%高い電位であることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載の充電器。
  11. 前記電気化学デバイスは、
    二次電池もしくは電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載の充電器。
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