JP2004071631A - マスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法 - Google Patents
マスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンを転写できるマスクおよびそのマスクパターンの作成方法と、レジストパターン形成方法を提供する。
【解決手段】設計パターンを分割し、第1および第2の薄膜のマスクパターンに振り分ける工程と、分割箇所のマスクパターンを補正する工程とを有し、補正工程は、マスクパターンの合わせずれが異なる複数の条件で、転写されるパターンをシミュレーションする工程と、必要な補正をシミュレーションし、補正を最適化する工程とを有するマスクパターン作成方法と、そのマスクパターンを有するマスクと、そのマスクを用いるレジストパターン形成方法。
【選択図】 図4
【解決手段】設計パターンを分割し、第1および第2の薄膜のマスクパターンに振り分ける工程と、分割箇所のマスクパターンを補正する工程とを有し、補正工程は、マスクパターンの合わせずれが異なる複数の条件で、転写されるパターンをシミュレーションする工程と、必要な補正をシミュレーションし、補正を最適化する工程とを有するマスクパターン作成方法と、そのマスクパターンを有するマスクと、そのマスクを用いるレジストパターン形成方法。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィ工程に用いられるマスクとそのマスクパターン作成方法、およびリソグラフィ工程におけるレジストパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路デバイスにおける微細化の要求は近年ますます厳しくなり、デザインルールはフォトリソグラフィの露光波長の1/2以下に達している。今後さらに厳しくなるデバイスの微細化に対する要求に対応できるリソグラフィ技術として、電子ビームリソグラフィ技術が注目されている。
【0003】
デバイスの大量生産に適用する電子ビームリソグラフィ技術においては、レジストにパターンの転写を一括して行うことができるマスクが重要な位置を占めている。例えば、“High Throughput Submicron Lithography with Electron BeamProximity Printing” (1984, Solid State Technology, p.210)に記載されている高エネルギー電子ビームリソグラフィには、厚さ2μmのステンシルマスクが用いられる。
【0004】
一方、加速電圧2kV程度の低エネルギー電子ビームリソグラフィ(“Low voltage alternative for electron beam lithography” J. Vac. Sci. Technol. B 10(6) p.3094)には、厚さが例えば0.5μmのステンシルマスクが用いられる。これらのステンシルマスクは薄膜(メンブレン)に孔を設けることにより、パターンを形成したものである。
【0005】
上記の低エネルギー電子ビームリソグラフィは等倍投影系であり、厚さ0.5μmのメンブレンに例えば0.1μmまたはそれ以下の幅のパターンで孔を形成する。したがって、エッチングのアスペクト比は高くなる。また、ステンシルマスクが撓むとパターンの歪みや位置ずれが起こるため、ステンシルマスクのメンブレンには単結晶シリコンやダイヤモンドのように硬度が高く、外部および内部応力に比較的弱い材料が用いられる。
【0006】
これらのことから、メンブレンの加工時にパターンのコーナー部で亀裂が発生してマスクが破損したり、マスクの洗浄時あるいは搬送時などにマスクが破損したりしやすい。従来フォトリソグラフィに用いられてきたマスクは、石英基板上に遮光膜が形成された構造を有し、このようなフォトリソグラフィ用マスクに比較すると、電子ビームリソグラフィ用のステンシルマスクは機械的強度が低い。
【0007】
そこで、ステンシルマスクの破損を防止する目的で、例えばシリコンウェハなどを用いて、メンブレンが支持される。メンブレンの一方の面に、例えば格子状に開口部が形成されたシリコンウェハを梁として配置し、これによりメンブレンを補強する。梁が形成されていない部分のメンブレンに、所定のパターンで孔が形成される。
【0008】
図10に梁を有するステンシルマスクの断面図の一例を示す。図10に示すように、メンブレン1の一方の側にシリコンウェハ2が形成されている。シリコンウェハ2は格子状に一定の間隔でエッチングされ、残った部分が梁3となっている。梁3が形成されていない部分のメンブレン1に、所定のパターンで孔4が形成されている。なお、メンブレン1とシリコンウェハ2の間の層は例えばシリコン酸化膜5であり、シリコンウェハ2にエッチングを行う際にエッチングストッパー層として用いられる。
【0009】
梁が形成された部分は電子ビームが透過しないため、パターンを形成できない。メンブレンに梁を設けた場合には、梁と重なる部分のパターンを転写するため、梁の部分のパターンを他のステンシルマスクまたは同一のステンシルマスク上の他の領域に分割して形成し、分割されたパターン(相補分割パターン)をウェハ上に重ね合わせて露光する必要が生じる。
【0010】
また、ステンシルマスクのメンブレンは、孔以外のすべての部分で連続している必要がある。例えばドーナッツ状パターンのように非連続の部分を含むパターンは、1枚のステンシルマスクに形成できない。メンブレンに非連続な部分がなくても、例えばリーフ状パターンのように、機械的強度の問題からマスク上に実際に形成するのが困難なパターンもある。リーフ状パターンはドーナッツ状パターンと同様に中央の部分が周囲から隔てられ、ドーナッツ状パターンのリング部分の1箇所でのみ外側部分と中央部分が繋がっているパターンである。
【0011】
一方向に長いパターンや、そのようなライン状パターンが平行に並べられたラインアンドスペース(L/S)パターンでは、孔周囲に異方性の歪みが生じ、線幅が不均一となりやすい。リーフ状パターンや微細なL/Sパターンなどは、マスクの洗浄時などに破損しやすい。
このようなステンシルマスクへの形成が不可能あるいは困難なパターンも、相補分割パターンの重ね合わせ露光により転写される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような相補分割パターンの露光を行うと、パターンの分割位置での合わせずれが起こる場合がある。パターンの合わせずれにより、不要な部分にレジストパターンが形成されたり、あるいは必要な部分にレジストパターンが形成されなかったりすると、ショートや接続不良の要因となる。したがって、製造される半導体装置の歩留りが低下する。
【0013】
また、電子ビームリソグラフィによりマスクパターンをレジストに転写すると、レジスト中での電子の散乱などにより、パターンの角が丸くなるコーナーラウンディングが起こる。例えば、図11に示すマスクパターンaとマスクパターンbは相補分割パターンの例であり、レジスト上でパターンがつながるように、重ね合わせ露光が行われる。
【0014】
このとき、図12(a)に示すように、マスクパターンaとマスクパターンbに重ね合わせマージンを全く設けずに露光を行うと、図12(b)に太い曲線で示すようなパターンがレジストに転写される。図12で細い実線は図11のマスクパターンaを示し、点線は図11のマスクパターンbを示す。
【0015】
わかりやすくするため、以下、細い実線(マスクパターンを示す実線)と点線が一致する部分をわずかにずらして図示するが、実際には、ずれはないものとする。例えば、図12では、マスクパターンの長手方向および線幅方向のずれや重なりはないものとする。図12(b)に示すように、コーナーラウンディングが起こることによって、レジストに実際に転写されるパターンでは、相補分割パターンがつながらない。
【0016】
これを防ぐため、図13(a)に示すように、単にマスクパターンa、bを長手方向に伸ばし、相補分割パターンの重なり部分を大きくして重ね合わせ露光を行うと、重なり部分の大きさによっては、図13(b)に太線で示すように、重なり部分で線幅が拡がったパターンがレジストに転写される。図13で細い実線は図11のマスクパターンaを長手方向に伸ばしたマスクパターンを示し、点線は図11のマスクパターンbを長手方向に伸ばしたマスクパターンを示す。
【0017】
相補分割パターンの重なり部分で線幅が拡がらないようにする方法として、図14(a)に示すように、パターンの分割位置近傍で線幅を細くする方法がある。しかしながら、この場合、パターンが離れる方向の合わせずれが発生すると、図14(b)に太線で示すように、レジストパターンが局所的に細くなる。
【0018】
以上のように、相補分割パターンの重ね合わせ露光を行う場合、マスクパターンを適切に補正しないと、レジストに転写された相補分割パターンがつながらなかったり、レジストパターンの線幅が局所的に変動したりする。これにより、前述したようにショートや接続不良が起こるだけでなく、レジストをマスクとして行われるエッチングやイオン注入といったプロセスの位置精度が低下し、デバイスの歩留りが低下する。
【0019】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンを転写できるマスクと、そのマスクパターンの作成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンをレジストに転写できるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン作成方法は、荷電粒子線を遮断する薄膜と、前記薄膜に所定のマスクパターンで形成された孔とを有し、前記孔を透過して感光面に入射する荷電粒子線により、前記感光面に前記マスクパターンを転写するためのマスクのマスクパターン作成方法であって、設計された設計パターンを相補的に分割し、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分ける工程と、第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所のマスクパターンを補正する工程とを有し、前記マスクパターンを補正する工程は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求める工程と、各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求める工程と、各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から、最適なマスクパターンの補正を決定する工程とを有することを特徴とする。
【0021】
これにより、マスクを用いて相補分割パターンを露光したときに、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分でレジストパターンが途切れたり、レジスト線幅が変動したりするのを抑制できるマスクパターンが作成される。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、本発明のマスクは、荷電粒子線を遮断する薄膜と、前記薄膜に所定のマスクパターンで形成された孔とを有し、前記孔を透過して感光面に入射する荷電粒子線により、前記感光面に前記マスクパターンを転写するためのマスクであって、前記マスクパターンは、設計された設計パターンが相補的に分割され、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分けられたパターンであり、第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所で補正され、前記マスクパターンの補正は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から決定された最適な補正であることを特徴とする。
【0023】
これにより、マスクを用いて相補分割パターンを露光したときに、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分でレジストパターンが途切れたり、レジスト線幅が変動したりするのを抑制できる。
【0024】
また、上記の目的を達成するため、本発明のレジストパターン形成方法は、荷電粒子線を遮断し、第1の薄膜のマスクパターンで孔が形成された第1の薄膜を介して、レジストに荷電粒子線を露光する工程と、荷電粒子線を遮断し、第2の薄膜のマスクパターンで孔が形成された第2の薄膜を介して、前記レジストに荷電粒子線を露光する工程と、前記レジストを現像し、前記第1の薄膜のマスクパターンと前記第2の薄膜のマスクパターンが一部でつながったレジストパターンを形成する工程とを有するレジストパターン形成方法であって、前記第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンは、設計された設計パターンが相補的に分割され、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分けられたパターンであり、第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所で補正され、前記マスクパターンの補正は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から決定された最適な補正であることを特徴とする。
これにより、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分においても、所望のレジストパターンを正確に形成することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のマスクは、例えば電子ビームリソグラフィに用いられるステンシルマスクとし、マスクには相補分割パターンが形成される。
【0026】
本実施形態のマスクは、互いに異なる相補分割パターンが形成された複数枚の相補マスクであってもよいが、1枚のステンシルマスクを例えば図1に示すように、複数の領域(以下、相補ブロックとする。)I〜IVに分割し、これらの相補ブロックに相補分割パターンを形成したものでもよい。1枚のステンシルマスクに複数の相補ブロックを設けた場合、マスク枚数の増加を抑え、マスク上に各相補分割パターンを共通のプロセスで同時に加工することが可能である。
【0027】
特に、梁を設けたステンシルマスクの場合、梁部分での相補分割とドーナッツ状パターンなどの相補分割の両方を行う必要から、2枚の相補マスクにすべてのパターンを形成できず、3枚以上の相補マスクが必要となる場合がある。したがって、1枚のステンシルマスクに複数の相補ブロックを設けると、マスク製造プロセスを大幅に省力化できる。
【0028】
図2は、本実施形態のマスクまたは露光方法によりレジストに転写されるパターンの例を示す。相補分割パターンを用いて、図2に示す均一な線幅のパターンが転写される。
【0029】
本実施形態のマスクパターン作成方法の概略を説明する。本実施形態のマスクパターン作成方法によれば、相補分割パターンの合わせずれ(露光位置のずれ)の状態が異なる複数のケースを想定し、それぞれのケースにおいて、線幅が均一で途切れていないパターンをレジストに転写するためのマスクパターンを、シミュレーションによって最適化する。各ケースで最適化されたマスクパターンの組み合わせから、様々な合わせずれを許容するマスクパターンが作成される。
【0030】
以下、本実施形態のマスクパターン作成方法を詳細に説明する。
まず、図2に示すパターンを1本の直線Lで単純に分割し、図3に示すように、パターンA、Bとする。図4(a)はパターンA、Bの一方の分割箇所(直線L)近傍を示す。外側の矩形状パターンは設計パターンであり、設計パターン上の複数の箇所に、評価点Pを設定する。図4(a)では5つの評価点Pを黒丸●で示す。
【0031】
図12に示したように、マスクパターンをレジストに転写するとコーナーラウンディングが起こる。図4(a)の設計パターンをマスクパターンとしてレジストに露光すると、図4(a)で設計パターンの内側に曲線で示すようなパターンが転写される。レジストに転写されるパターンを、以下、転写イメージとも表す。
【0032】
シミュレーションにより、各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれを求める。転写イメージの評価点位置における線幅は、シミュレーションによって求めることができる。シミュレーションでは、隣接する評価点の間の転写イメージを直線とみなす。
【0033】
例えば線幅70nmの場合、評価点間隔は線幅の半分の35nm程度とするが、評価点の位置や個数は特に制限されない。評価点の数を多くした方がシミュレーションでの転写イメージを実際の転写イメージに近づけることができるが、計算時間は長くなる。
【0034】
各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれに基づき、補正された最適なマスクパターンを求める。ここで、相補分割パターン同士の合わせずれがないケースでは、各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれのみを考慮すればよい。
【0035】
相補分割パターンの合わせずれがあるケースでは、各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれに加えて、直線Lを介して対向する相補分割パターン同士のずれの方向およびずれ量も考慮する。相補分割パターンの合わせずれがあるケースについては後述する。
【0036】
相補分割パターン同士の合わせずれがないケースで、図4(a)の設計パターンを最適化したマスクパターンを、図4(b)に点線で示す。図4(b)に示すように、この場合に最適化されたマスクパターンは、相補分割パターンの分割位置(直線L)近傍で、設計パターンを長手方向に伸ばし、幅方向に拡げた形状となる。
【0037】
図4(b)に示す最適化されたマスクパターンで露光を行うと、図4(c)に曲線で示すようなパターンがレジストに転写される。図4(c)に示すように、最適化されたマスクパターンの転写イメージでは、各評価点Pにおいて、設計パターンからのずれが解消される。
【0038】
図3に示すように、パターンA、Bは直線Lについて対称であり、同様にマスクパターンを最適化できる。すなわち、最適化されたマスクパターンも直線Lについて対称となる。図4(b)に示す最適化されたマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、転写イメージが適度に重なり、図2に示すように、一定の線幅のパターンが転写される。
【0039】
以上をまとめると、相補分割パターン同士の合わせずれがないケースでは、図5(a)に示すように、設計パターンA、B(図3参照、図3のパターンBを点線で示す。)を補正しないと、太線で示すような転写イメージとなり、相補分割パターンがつながらない。なお、わかりやすくするため、図5においても、細い実線と点線が一致する部分をわずかにずらして図示しているが、実際には、ずれはないものとする。
【0040】
図5(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図5(c)に太線で示すように、均一な線幅のパターン(図2)がレジストに転写される。
【0041】
次に、相補分割パターン同士の合わせずれがあるケースについて、マスクパターンの最適化を説明する。まず、図6を参照して、相補分割パターン同士が離れる方向に合わせずれが起こる場合であって、長手方向と線幅方向の両方の合わせずれがある場合を説明する。
【0042】
この場合、図6(a)に示すように、設計パターンA、B(図3参照、図3のパターンBを点線で示す。)を補正しないと、太線で示すような転写イメージとなり、相補分割パターンがつながらない。図6(a)に示す転写イメージが、ほぼ均一な線幅でつながるように、シミュレーションによりマスクパターンを最適化する。
【0043】
このシミュレーションでは、図6(a)の転写イメージをほぼ均一な線幅でつなげたパターンと、設計パターンの各評価点(図4参照)とのずれを用いて、マスクパターンの最適化を行う。図6(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0044】
図6(b)は、相補分割パターンの分割位置近傍で、設計パターンを長手方向に伸ばし、幅方向に拡げた形状である点で図5(b)と共通するが、幅方向に拡げた部分が長手方向の中心線について対称となっていない点で図5(b)と異なる。図6(b)では幅方向に拡げる部分の大きさが、相補分割パターン間をつなげる側でより大きくなるように設計パターンが最適化されている。
【0045】
図5(b)と比較するとわかるように、図6(b)ではマスクパターンの重なり部分が大きくなっている。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図6(c)に太線で示すように、ほぼ均一な線幅でつながったパターンがレジストに転写される。
【0046】
図7(a)に示すように、相補分割パターン同士に線幅方向の合わせずれがなく、長手方向においてパターン同士が離れるような合わせずれがある場合も、同様なシミュレーションにより、マスクパターンを最適化できる。図7(a)の太線は、マスクパターンを補正しない場合にレジストに転写されるパターンを示す。この場合、図7(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0047】
図5(b)と比較するとわかるように、図7(b)ではマスクパターンの重なり部分が大きくなっている。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図7(c)に太線で示すように、均一な線幅でつながったパターン(図2参照)がレジストに転写される。
【0048】
次に、図8を参照して、相補分割パターン同士が重なる方向に合わせずれが起こる場合であって、長手方向と線幅方向の両方の合わせずれがある場合を説明する。この場合、図8(a)に示すように、設計パターンA、B(図3参照、図3のパターンBを点線で示す。)を補正しないと、太線で示すような転写イメージとなり、相補分割パターンがつながらない。図8(a)に示す転写イメージが、ほぼ均一な線幅でつながるように、シミュレーションによりマスクパターンを最適化する。
【0049】
このシミュレーションでは、図8(a)の転写イメージをほぼ均一な線幅でつなげたパターンと、設計パターンの各評価点(図4参照)とのずれを用いて、マスクパターンの最適化を行う。図8(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0050】
図8(b)に示すように、この場合に最適化されたマスクパターンは、相補分割パターンの分割位置近傍で、設計パターンを長手方向に伸ばしながら、相補分割パターン同士が重なる側で幅方向に狭め(凹状とし)、かつ相補分割パターン同士が重ならない側で幅方向に拡げた形状となる。
【0051】
図5(b)、図6(b)または図7(b)と比較するとわかるように、図8(b)ではマスクパターンの重なり部分が小さくなっている。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図8(c)に太線で示すように、ほぼ均一な線幅でつながったパターンがレジストに転写される。
【0052】
図9(a)に示すように、相補分割パターン同士に線幅方向の合わせずれがなく、パターン同士が重なる方向の合わせずれがある場合も、同様なシミュレーションにより、マスクパターンを最適化できる。図9(a)の太線は、マスクパターンを補正しない場合にレジストに転写されるパターンを示す。この場合、図9(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0053】
図9(b)に示すように、この場合に最適化されたマスクパターンは、相補分割パターンの分割位置近傍で、設計パターンを幅方向に狭めた形状となる。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図9(c)に太線で示すように、均一な線幅でつながったパターン(図2参照)がレジストに転写される。
【0054】
以上のように、相補分割パターンの合わせずれの状態が異なる様々なケースで、それぞれシミュレーションによるマスクパターンの最適化を行う。最適化された複数のマスクパターンから、実際にマスクに使用されるマスクパターンを決定するには、例えばケース毎に重み付けをして、全ケースのマスクパターンを平均化する。あるいは、全ケースの最適化されたマスクパターンから、一部の代表的なマスクパターンを抽出し、それらを平均化してもよい。
【0055】
重み付けは、合わせずれによって重大な問題が起こるようなケースで、合わせずれが許容されるケースよりも重み付けの係数が大きくなるようにして行う。すなわち、補正の重要度に応じて重み付けを行う。また、合わせずれの傾向、すなわち各ケースの頻度を重み付けの係数に反映させてもよい。以上により、本実施形態のマスクに形成されるマスクパターンが得られる。
【0056】
上記の本実施形態のマスクパターン作成方法によれば、相補分割パターンの重ね合わせ露光で起こり得る、パターン間の多様な合わせずれが許容されるようなマスクパターンを作成することが可能となる。上記の実施形態で得られたマスクパターンを有する本実施形態のステンシルマスクによれば、リソグラフィ工程での不良を低減できる。
【0057】
上記のようなパターンが形成されたステンシルマスクを用いて電子ビームリソグラフィを行う場合、設計パターンA、B(図3参照)を最適化したパターンの一方を含む相補マスクまたは相補ブロックを介して、レジストに露光する。次に、最適化したパターンの他方を含む相補マスクまたは相補ブロックを介して、レジストに露光する。最適化した相補分割パターンの両方を露光した後、レジストを現像する。
【0058】
これにより、図2に示すように、均一な線幅でレジストパターンが形成される。相補分割パターンのつなぎ合わせ部分でのレジストの分断やレジスト線幅の変動が抑制されるため、レジストをマスクとするエッチングやイオン注入などのプロセスの位置精度を高くできる。したがって、例えば導電層のショートや接続不良などが回避され、半導体装置の歩留りを高くできる。
【0059】
上記の本実施形態のレジストパターン形成方法によれば、図6あるいは図7に示すように、パターンA、Bが離れる方向に合わせずれが発生した場合にも、図8あるいは図9に示すように、パターンA、Bが重なる方向に合わせずれが発生した場合にも、相補分割パターンを均一な線幅でつながるように転写できる。
【0060】
また、図6あるいは図8に示すように、線幅方向の合わせずれがある場合も、相補分割パターンをつながるように転写できる。さらに、同じ方向(長手方向)の合わせずれについても、ずれ量が異なる複数のケースについてシミュレーションを行うため、相補分割パターンの重なり部分の大きさが最適化され、レジスト線幅の局所的な変動が防止される。
【0061】
本発明のマスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。
例えば、相補分割パターンの分割箇所(つなぎ合わせ部分)が均一な線幅のライン状パターンでなくても、本発明を適用できる。具体的には、辺の長さが異なる矩形パターン同士が分割箇所で接している場合などが挙げられる。このような場合も、合わせずれの条件を変えてシミュレーションを行い、マスクパターンを最適化することができる。
【0062】
また、本発明はステンシルマスクを用いる高エネルギー電子ビームリソグラフィや低エネルギー電子ビームリソグラフィだけでなく、イオンビームリソグラフィなど、ステンシルマスクを用いる他のリソグラフィにも適用できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のマスクパターン作成方法によれば、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンが転写されるマスクパターンを作成できる。
本発明のマスクによれば、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンからの変形が少ないパターンを転写できる。
本発明のレジストパターン形成方法によれば、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分においても、所望のレジストパターンを正確に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のマスクの一例を示す平面図であり、複数の相補ブロックを有するマスクを示す。
【図2】図2は本発明のマスクまたはレジストパターン形成方法により転写される相補分割パターンのつなぎ合わせ部分を示す図である。
【図3】図3は図2のパターンを転写するための相補分割パターンの補正前の設計パターンである。
【図4】図4(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法を説明する図であり、(a)は補正前のパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図5】図5(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法を説明する図であり、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図7】図7(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図9】図9(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図10】図10はステンシルマスクの一例を示す断面図である。
【図11】図11は相補分割パターンのつなぎ合わせ部分を示す図である。
【図12】図12(a)は図11に示すパターンで、合わせずれがない状態を示し、図12(b)は図12(a)のときの転写イメージを示す。
【図13】図13(a)は図11に示すパターンで、パターン同士が重なる方向の合わせずれがある状態を示し、図13(b)は図13(a)のときの転写イメージを示す。
【図14】図14(a)は図13(a)でパターンを補正した場合を示し、図14(b)は図14(a)のときの転写イメージを示す。
【符号の説明】
1…メンブレン、2…シリコンウェハ、3…梁、4…孔、5…シリコン酸化膜。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィ工程に用いられるマスクとそのマスクパターン作成方法、およびリソグラフィ工程におけるレジストパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路デバイスにおける微細化の要求は近年ますます厳しくなり、デザインルールはフォトリソグラフィの露光波長の1/2以下に達している。今後さらに厳しくなるデバイスの微細化に対する要求に対応できるリソグラフィ技術として、電子ビームリソグラフィ技術が注目されている。
【0003】
デバイスの大量生産に適用する電子ビームリソグラフィ技術においては、レジストにパターンの転写を一括して行うことができるマスクが重要な位置を占めている。例えば、“High Throughput Submicron Lithography with Electron BeamProximity Printing” (1984, Solid State Technology, p.210)に記載されている高エネルギー電子ビームリソグラフィには、厚さ2μmのステンシルマスクが用いられる。
【0004】
一方、加速電圧2kV程度の低エネルギー電子ビームリソグラフィ(“Low voltage alternative for electron beam lithography” J. Vac. Sci. Technol. B 10(6) p.3094)には、厚さが例えば0.5μmのステンシルマスクが用いられる。これらのステンシルマスクは薄膜(メンブレン)に孔を設けることにより、パターンを形成したものである。
【0005】
上記の低エネルギー電子ビームリソグラフィは等倍投影系であり、厚さ0.5μmのメンブレンに例えば0.1μmまたはそれ以下の幅のパターンで孔を形成する。したがって、エッチングのアスペクト比は高くなる。また、ステンシルマスクが撓むとパターンの歪みや位置ずれが起こるため、ステンシルマスクのメンブレンには単結晶シリコンやダイヤモンドのように硬度が高く、外部および内部応力に比較的弱い材料が用いられる。
【0006】
これらのことから、メンブレンの加工時にパターンのコーナー部で亀裂が発生してマスクが破損したり、マスクの洗浄時あるいは搬送時などにマスクが破損したりしやすい。従来フォトリソグラフィに用いられてきたマスクは、石英基板上に遮光膜が形成された構造を有し、このようなフォトリソグラフィ用マスクに比較すると、電子ビームリソグラフィ用のステンシルマスクは機械的強度が低い。
【0007】
そこで、ステンシルマスクの破損を防止する目的で、例えばシリコンウェハなどを用いて、メンブレンが支持される。メンブレンの一方の面に、例えば格子状に開口部が形成されたシリコンウェハを梁として配置し、これによりメンブレンを補強する。梁が形成されていない部分のメンブレンに、所定のパターンで孔が形成される。
【0008】
図10に梁を有するステンシルマスクの断面図の一例を示す。図10に示すように、メンブレン1の一方の側にシリコンウェハ2が形成されている。シリコンウェハ2は格子状に一定の間隔でエッチングされ、残った部分が梁3となっている。梁3が形成されていない部分のメンブレン1に、所定のパターンで孔4が形成されている。なお、メンブレン1とシリコンウェハ2の間の層は例えばシリコン酸化膜5であり、シリコンウェハ2にエッチングを行う際にエッチングストッパー層として用いられる。
【0009】
梁が形成された部分は電子ビームが透過しないため、パターンを形成できない。メンブレンに梁を設けた場合には、梁と重なる部分のパターンを転写するため、梁の部分のパターンを他のステンシルマスクまたは同一のステンシルマスク上の他の領域に分割して形成し、分割されたパターン(相補分割パターン)をウェハ上に重ね合わせて露光する必要が生じる。
【0010】
また、ステンシルマスクのメンブレンは、孔以外のすべての部分で連続している必要がある。例えばドーナッツ状パターンのように非連続の部分を含むパターンは、1枚のステンシルマスクに形成できない。メンブレンに非連続な部分がなくても、例えばリーフ状パターンのように、機械的強度の問題からマスク上に実際に形成するのが困難なパターンもある。リーフ状パターンはドーナッツ状パターンと同様に中央の部分が周囲から隔てられ、ドーナッツ状パターンのリング部分の1箇所でのみ外側部分と中央部分が繋がっているパターンである。
【0011】
一方向に長いパターンや、そのようなライン状パターンが平行に並べられたラインアンドスペース(L/S)パターンでは、孔周囲に異方性の歪みが生じ、線幅が不均一となりやすい。リーフ状パターンや微細なL/Sパターンなどは、マスクの洗浄時などに破損しやすい。
このようなステンシルマスクへの形成が不可能あるいは困難なパターンも、相補分割パターンの重ね合わせ露光により転写される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような相補分割パターンの露光を行うと、パターンの分割位置での合わせずれが起こる場合がある。パターンの合わせずれにより、不要な部分にレジストパターンが形成されたり、あるいは必要な部分にレジストパターンが形成されなかったりすると、ショートや接続不良の要因となる。したがって、製造される半導体装置の歩留りが低下する。
【0013】
また、電子ビームリソグラフィによりマスクパターンをレジストに転写すると、レジスト中での電子の散乱などにより、パターンの角が丸くなるコーナーラウンディングが起こる。例えば、図11に示すマスクパターンaとマスクパターンbは相補分割パターンの例であり、レジスト上でパターンがつながるように、重ね合わせ露光が行われる。
【0014】
このとき、図12(a)に示すように、マスクパターンaとマスクパターンbに重ね合わせマージンを全く設けずに露光を行うと、図12(b)に太い曲線で示すようなパターンがレジストに転写される。図12で細い実線は図11のマスクパターンaを示し、点線は図11のマスクパターンbを示す。
【0015】
わかりやすくするため、以下、細い実線(マスクパターンを示す実線)と点線が一致する部分をわずかにずらして図示するが、実際には、ずれはないものとする。例えば、図12では、マスクパターンの長手方向および線幅方向のずれや重なりはないものとする。図12(b)に示すように、コーナーラウンディングが起こることによって、レジストに実際に転写されるパターンでは、相補分割パターンがつながらない。
【0016】
これを防ぐため、図13(a)に示すように、単にマスクパターンa、bを長手方向に伸ばし、相補分割パターンの重なり部分を大きくして重ね合わせ露光を行うと、重なり部分の大きさによっては、図13(b)に太線で示すように、重なり部分で線幅が拡がったパターンがレジストに転写される。図13で細い実線は図11のマスクパターンaを長手方向に伸ばしたマスクパターンを示し、点線は図11のマスクパターンbを長手方向に伸ばしたマスクパターンを示す。
【0017】
相補分割パターンの重なり部分で線幅が拡がらないようにする方法として、図14(a)に示すように、パターンの分割位置近傍で線幅を細くする方法がある。しかしながら、この場合、パターンが離れる方向の合わせずれが発生すると、図14(b)に太線で示すように、レジストパターンが局所的に細くなる。
【0018】
以上のように、相補分割パターンの重ね合わせ露光を行う場合、マスクパターンを適切に補正しないと、レジストに転写された相補分割パターンがつながらなかったり、レジストパターンの線幅が局所的に変動したりする。これにより、前述したようにショートや接続不良が起こるだけでなく、レジストをマスクとして行われるエッチングやイオン注入といったプロセスの位置精度が低下し、デバイスの歩留りが低下する。
【0019】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンを転写できるマスクと、そのマスクパターンの作成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンをレジストに転写できるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン作成方法は、荷電粒子線を遮断する薄膜と、前記薄膜に所定のマスクパターンで形成された孔とを有し、前記孔を透過して感光面に入射する荷電粒子線により、前記感光面に前記マスクパターンを転写するためのマスクのマスクパターン作成方法であって、設計された設計パターンを相補的に分割し、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分ける工程と、第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所のマスクパターンを補正する工程とを有し、前記マスクパターンを補正する工程は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求める工程と、各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求める工程と、各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から、最適なマスクパターンの補正を決定する工程とを有することを特徴とする。
【0021】
これにより、マスクを用いて相補分割パターンを露光したときに、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分でレジストパターンが途切れたり、レジスト線幅が変動したりするのを抑制できるマスクパターンが作成される。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、本発明のマスクは、荷電粒子線を遮断する薄膜と、前記薄膜に所定のマスクパターンで形成された孔とを有し、前記孔を透過して感光面に入射する荷電粒子線により、前記感光面に前記マスクパターンを転写するためのマスクであって、前記マスクパターンは、設計された設計パターンが相補的に分割され、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分けられたパターンであり、第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所で補正され、前記マスクパターンの補正は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から決定された最適な補正であることを特徴とする。
【0023】
これにより、マスクを用いて相補分割パターンを露光したときに、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分でレジストパターンが途切れたり、レジスト線幅が変動したりするのを抑制できる。
【0024】
また、上記の目的を達成するため、本発明のレジストパターン形成方法は、荷電粒子線を遮断し、第1の薄膜のマスクパターンで孔が形成された第1の薄膜を介して、レジストに荷電粒子線を露光する工程と、荷電粒子線を遮断し、第2の薄膜のマスクパターンで孔が形成された第2の薄膜を介して、前記レジストに荷電粒子線を露光する工程と、前記レジストを現像し、前記第1の薄膜のマスクパターンと前記第2の薄膜のマスクパターンが一部でつながったレジストパターンを形成する工程とを有するレジストパターン形成方法であって、前記第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンは、設計された設計パターンが相補的に分割され、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分けられたパターンであり、第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所で補正され、前記マスクパターンの補正は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求め、各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から決定された最適な補正であることを特徴とする。
これにより、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分においても、所望のレジストパターンを正確に形成することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のマスクは、例えば電子ビームリソグラフィに用いられるステンシルマスクとし、マスクには相補分割パターンが形成される。
【0026】
本実施形態のマスクは、互いに異なる相補分割パターンが形成された複数枚の相補マスクであってもよいが、1枚のステンシルマスクを例えば図1に示すように、複数の領域(以下、相補ブロックとする。)I〜IVに分割し、これらの相補ブロックに相補分割パターンを形成したものでもよい。1枚のステンシルマスクに複数の相補ブロックを設けた場合、マスク枚数の増加を抑え、マスク上に各相補分割パターンを共通のプロセスで同時に加工することが可能である。
【0027】
特に、梁を設けたステンシルマスクの場合、梁部分での相補分割とドーナッツ状パターンなどの相補分割の両方を行う必要から、2枚の相補マスクにすべてのパターンを形成できず、3枚以上の相補マスクが必要となる場合がある。したがって、1枚のステンシルマスクに複数の相補ブロックを設けると、マスク製造プロセスを大幅に省力化できる。
【0028】
図2は、本実施形態のマスクまたは露光方法によりレジストに転写されるパターンの例を示す。相補分割パターンを用いて、図2に示す均一な線幅のパターンが転写される。
【0029】
本実施形態のマスクパターン作成方法の概略を説明する。本実施形態のマスクパターン作成方法によれば、相補分割パターンの合わせずれ(露光位置のずれ)の状態が異なる複数のケースを想定し、それぞれのケースにおいて、線幅が均一で途切れていないパターンをレジストに転写するためのマスクパターンを、シミュレーションによって最適化する。各ケースで最適化されたマスクパターンの組み合わせから、様々な合わせずれを許容するマスクパターンが作成される。
【0030】
以下、本実施形態のマスクパターン作成方法を詳細に説明する。
まず、図2に示すパターンを1本の直線Lで単純に分割し、図3に示すように、パターンA、Bとする。図4(a)はパターンA、Bの一方の分割箇所(直線L)近傍を示す。外側の矩形状パターンは設計パターンであり、設計パターン上の複数の箇所に、評価点Pを設定する。図4(a)では5つの評価点Pを黒丸●で示す。
【0031】
図12に示したように、マスクパターンをレジストに転写するとコーナーラウンディングが起こる。図4(a)の設計パターンをマスクパターンとしてレジストに露光すると、図4(a)で設計パターンの内側に曲線で示すようなパターンが転写される。レジストに転写されるパターンを、以下、転写イメージとも表す。
【0032】
シミュレーションにより、各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれを求める。転写イメージの評価点位置における線幅は、シミュレーションによって求めることができる。シミュレーションでは、隣接する評価点の間の転写イメージを直線とみなす。
【0033】
例えば線幅70nmの場合、評価点間隔は線幅の半分の35nm程度とするが、評価点の位置や個数は特に制限されない。評価点の数を多くした方がシミュレーションでの転写イメージを実際の転写イメージに近づけることができるが、計算時間は長くなる。
【0034】
各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれに基づき、補正された最適なマスクパターンを求める。ここで、相補分割パターン同士の合わせずれがないケースでは、各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれのみを考慮すればよい。
【0035】
相補分割パターンの合わせずれがあるケースでは、各評価点Pでの設計パターンと転写イメージとのずれに加えて、直線Lを介して対向する相補分割パターン同士のずれの方向およびずれ量も考慮する。相補分割パターンの合わせずれがあるケースについては後述する。
【0036】
相補分割パターン同士の合わせずれがないケースで、図4(a)の設計パターンを最適化したマスクパターンを、図4(b)に点線で示す。図4(b)に示すように、この場合に最適化されたマスクパターンは、相補分割パターンの分割位置(直線L)近傍で、設計パターンを長手方向に伸ばし、幅方向に拡げた形状となる。
【0037】
図4(b)に示す最適化されたマスクパターンで露光を行うと、図4(c)に曲線で示すようなパターンがレジストに転写される。図4(c)に示すように、最適化されたマスクパターンの転写イメージでは、各評価点Pにおいて、設計パターンからのずれが解消される。
【0038】
図3に示すように、パターンA、Bは直線Lについて対称であり、同様にマスクパターンを最適化できる。すなわち、最適化されたマスクパターンも直線Lについて対称となる。図4(b)に示す最適化されたマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、転写イメージが適度に重なり、図2に示すように、一定の線幅のパターンが転写される。
【0039】
以上をまとめると、相補分割パターン同士の合わせずれがないケースでは、図5(a)に示すように、設計パターンA、B(図3参照、図3のパターンBを点線で示す。)を補正しないと、太線で示すような転写イメージとなり、相補分割パターンがつながらない。なお、わかりやすくするため、図5においても、細い実線と点線が一致する部分をわずかにずらして図示しているが、実際には、ずれはないものとする。
【0040】
図5(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図5(c)に太線で示すように、均一な線幅のパターン(図2)がレジストに転写される。
【0041】
次に、相補分割パターン同士の合わせずれがあるケースについて、マスクパターンの最適化を説明する。まず、図6を参照して、相補分割パターン同士が離れる方向に合わせずれが起こる場合であって、長手方向と線幅方向の両方の合わせずれがある場合を説明する。
【0042】
この場合、図6(a)に示すように、設計パターンA、B(図3参照、図3のパターンBを点線で示す。)を補正しないと、太線で示すような転写イメージとなり、相補分割パターンがつながらない。図6(a)に示す転写イメージが、ほぼ均一な線幅でつながるように、シミュレーションによりマスクパターンを最適化する。
【0043】
このシミュレーションでは、図6(a)の転写イメージをほぼ均一な線幅でつなげたパターンと、設計パターンの各評価点(図4参照)とのずれを用いて、マスクパターンの最適化を行う。図6(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0044】
図6(b)は、相補分割パターンの分割位置近傍で、設計パターンを長手方向に伸ばし、幅方向に拡げた形状である点で図5(b)と共通するが、幅方向に拡げた部分が長手方向の中心線について対称となっていない点で図5(b)と異なる。図6(b)では幅方向に拡げる部分の大きさが、相補分割パターン間をつなげる側でより大きくなるように設計パターンが最適化されている。
【0045】
図5(b)と比較するとわかるように、図6(b)ではマスクパターンの重なり部分が大きくなっている。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図6(c)に太線で示すように、ほぼ均一な線幅でつながったパターンがレジストに転写される。
【0046】
図7(a)に示すように、相補分割パターン同士に線幅方向の合わせずれがなく、長手方向においてパターン同士が離れるような合わせずれがある場合も、同様なシミュレーションにより、マスクパターンを最適化できる。図7(a)の太線は、マスクパターンを補正しない場合にレジストに転写されるパターンを示す。この場合、図7(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0047】
図5(b)と比較するとわかるように、図7(b)ではマスクパターンの重なり部分が大きくなっている。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図7(c)に太線で示すように、均一な線幅でつながったパターン(図2参照)がレジストに転写される。
【0048】
次に、図8を参照して、相補分割パターン同士が重なる方向に合わせずれが起こる場合であって、長手方向と線幅方向の両方の合わせずれがある場合を説明する。この場合、図8(a)に示すように、設計パターンA、B(図3参照、図3のパターンBを点線で示す。)を補正しないと、太線で示すような転写イメージとなり、相補分割パターンがつながらない。図8(a)に示す転写イメージが、ほぼ均一な線幅でつながるように、シミュレーションによりマスクパターンを最適化する。
【0049】
このシミュレーションでは、図8(a)の転写イメージをほぼ均一な線幅でつなげたパターンと、設計パターンの各評価点(図4参照)とのずれを用いて、マスクパターンの最適化を行う。図8(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0050】
図8(b)に示すように、この場合に最適化されたマスクパターンは、相補分割パターンの分割位置近傍で、設計パターンを長手方向に伸ばしながら、相補分割パターン同士が重なる側で幅方向に狭め(凹状とし)、かつ相補分割パターン同士が重ならない側で幅方向に拡げた形状となる。
【0051】
図5(b)、図6(b)または図7(b)と比較するとわかるように、図8(b)ではマスクパターンの重なり部分が小さくなっている。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図8(c)に太線で示すように、ほぼ均一な線幅でつながったパターンがレジストに転写される。
【0052】
図9(a)に示すように、相補分割パターン同士に線幅方向の合わせずれがなく、パターン同士が重なる方向の合わせずれがある場合も、同様なシミュレーションにより、マスクパターンを最適化できる。図9(a)の太線は、マスクパターンを補正しない場合にレジストに転写されるパターンを示す。この場合、図9(b)の実線で示すように設計パターンAを最適化し、点線で示すように設計パターンBを最適化する。
【0053】
図9(b)に示すように、この場合に最適化されたマスクパターンは、相補分割パターンの分割位置近傍で、設計パターンを幅方向に狭めた形状となる。このようなマスクパターンで重ね合わせ露光を行うと、図9(c)に太線で示すように、均一な線幅でつながったパターン(図2参照)がレジストに転写される。
【0054】
以上のように、相補分割パターンの合わせずれの状態が異なる様々なケースで、それぞれシミュレーションによるマスクパターンの最適化を行う。最適化された複数のマスクパターンから、実際にマスクに使用されるマスクパターンを決定するには、例えばケース毎に重み付けをして、全ケースのマスクパターンを平均化する。あるいは、全ケースの最適化されたマスクパターンから、一部の代表的なマスクパターンを抽出し、それらを平均化してもよい。
【0055】
重み付けは、合わせずれによって重大な問題が起こるようなケースで、合わせずれが許容されるケースよりも重み付けの係数が大きくなるようにして行う。すなわち、補正の重要度に応じて重み付けを行う。また、合わせずれの傾向、すなわち各ケースの頻度を重み付けの係数に反映させてもよい。以上により、本実施形態のマスクに形成されるマスクパターンが得られる。
【0056】
上記の本実施形態のマスクパターン作成方法によれば、相補分割パターンの重ね合わせ露光で起こり得る、パターン間の多様な合わせずれが許容されるようなマスクパターンを作成することが可能となる。上記の実施形態で得られたマスクパターンを有する本実施形態のステンシルマスクによれば、リソグラフィ工程での不良を低減できる。
【0057】
上記のようなパターンが形成されたステンシルマスクを用いて電子ビームリソグラフィを行う場合、設計パターンA、B(図3参照)を最適化したパターンの一方を含む相補マスクまたは相補ブロックを介して、レジストに露光する。次に、最適化したパターンの他方を含む相補マスクまたは相補ブロックを介して、レジストに露光する。最適化した相補分割パターンの両方を露光した後、レジストを現像する。
【0058】
これにより、図2に示すように、均一な線幅でレジストパターンが形成される。相補分割パターンのつなぎ合わせ部分でのレジストの分断やレジスト線幅の変動が抑制されるため、レジストをマスクとするエッチングやイオン注入などのプロセスの位置精度を高くできる。したがって、例えば導電層のショートや接続不良などが回避され、半導体装置の歩留りを高くできる。
【0059】
上記の本実施形態のレジストパターン形成方法によれば、図6あるいは図7に示すように、パターンA、Bが離れる方向に合わせずれが発生した場合にも、図8あるいは図9に示すように、パターンA、Bが重なる方向に合わせずれが発生した場合にも、相補分割パターンを均一な線幅でつながるように転写できる。
【0060】
また、図6あるいは図8に示すように、線幅方向の合わせずれがある場合も、相補分割パターンをつながるように転写できる。さらに、同じ方向(長手方向)の合わせずれについても、ずれ量が異なる複数のケースについてシミュレーションを行うため、相補分割パターンの重なり部分の大きさが最適化され、レジスト線幅の局所的な変動が防止される。
【0061】
本発明のマスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。
例えば、相補分割パターンの分割箇所(つなぎ合わせ部分)が均一な線幅のライン状パターンでなくても、本発明を適用できる。具体的には、辺の長さが異なる矩形パターン同士が分割箇所で接している場合などが挙げられる。このような場合も、合わせずれの条件を変えてシミュレーションを行い、マスクパターンを最適化することができる。
【0062】
また、本発明はステンシルマスクを用いる高エネルギー電子ビームリソグラフィや低エネルギー電子ビームリソグラフィだけでなく、イオンビームリソグラフィなど、ステンシルマスクを用いる他のリソグラフィにも適用できる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のマスクパターン作成方法によれば、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンに近いパターンが転写されるマスクパターンを作成できる。
本発明のマスクによれば、相補分割パターンの重ね合わせ露光で、マスクパターンの合わせずれが起きた場合にも、設計されたパターンからの変形が少ないパターンを転写できる。
本発明のレジストパターン形成方法によれば、相補分割パターンのつなぎ合わせ部分においても、所望のレジストパターンを正確に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のマスクの一例を示す平面図であり、複数の相補ブロックを有するマスクを示す。
【図2】図2は本発明のマスクまたはレジストパターン形成方法により転写される相補分割パターンのつなぎ合わせ部分を示す図である。
【図3】図3は図2のパターンを転写するための相補分割パターンの補正前の設計パターンである。
【図4】図4(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法を説明する図であり、(a)は補正前のパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図5】図5(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法を説明する図であり、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図7】図7(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図9】図9(a)〜(c)は本発明のマスクパターン作成方法に係り、(a)は補正前のマスクパターンとその転写イメージ、(b)は補正したマスクパターン、(c)は(b)のマスクパターンの転写イメージを示す。
【図10】図10はステンシルマスクの一例を示す断面図である。
【図11】図11は相補分割パターンのつなぎ合わせ部分を示す図である。
【図12】図12(a)は図11に示すパターンで、合わせずれがない状態を示し、図12(b)は図12(a)のときの転写イメージを示す。
【図13】図13(a)は図11に示すパターンで、パターン同士が重なる方向の合わせずれがある状態を示し、図13(b)は図13(a)のときの転写イメージを示す。
【図14】図14(a)は図13(a)でパターンを補正した場合を示し、図14(b)は図14(a)のときの転写イメージを示す。
【符号の説明】
1…メンブレン、2…シリコンウェハ、3…梁、4…孔、5…シリコン酸化膜。
Claims (8)
- 荷電粒子線を遮断する薄膜と、前記薄膜に所定のマスクパターンで形成された孔とを有し、前記孔を透過して感光面に入射する荷電粒子線により、前記感光面に前記マスクパターンを転写するためのマスクのマスクパターン作成方法であって、
設計された設計パターンを相補的に分割し、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分ける工程と、
第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所のマスクパターンを補正する工程とを有し、
前記マスクパターンを補正する工程は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求める工程と、
各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求める工程と、
各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から、最適なマスクパターンの補正を決定する工程とを有する
マスクパターン作成方法。 - 最適なマスクパターンの補正を決定する工程は、重み付けを加えて平均化する工程を含む
請求項1記載のマスクパターン作成方法。 - 前記複数の薄膜は、同一のマスク上の異なる領域である
請求項1記載のマスクパターン作成方法。 - 前記複数の薄膜は、異なるマスクのそれぞれの薄膜である
請求項1記載のマスクパターン作成方法。 - 荷電粒子線を遮断する薄膜と、
前記薄膜に所定のマスクパターンで形成された孔とを有し、
前記孔を透過して感光面に入射する荷電粒子線により、前記感光面に前記マスクパターンを転写するためのマスクであって、
前記マスクパターンは、設計された設計パターンが相補的に分割され、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分けられたパターンであり、
第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所で補正され、
前記マスクパターンの補正は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求め、
各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求め、
各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から決定された最適な補正である
マスク。 - 前記複数の薄膜は、同一のマスク上の異なる領域である
請求項5記載のマスク。 - 前記複数の薄膜は、異なるマスクのそれぞれの薄膜である
請求項5記載のマスク。 - 荷電粒子線を遮断し、第1の薄膜のマスクパターンで孔が形成された第1の薄膜を介して、レジストに荷電粒子線を露光する工程と、
荷電粒子線を遮断し、第2の薄膜のマスクパターンで孔が形成された第2の薄膜を介して、前記レジストに荷電粒子線を露光する工程と、
前記レジストを現像し、前記第1の薄膜のマスクパターンと前記第2の薄膜のマスクパターンが一部でつながったレジストパターンを形成する工程とを有するレジストパターン形成方法であって、
前記第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンは、設計された設計パターンが相補的に分割され、第1の薄膜のマスクパターンと第2の薄膜のマスクパターンを含む複数の薄膜のマスクパターンに振り分けられたパターンであり、
第1の薄膜のマスクパターン末端の一部と第2の薄膜のマスクパターン末端の一部であり、設計パターン上でつながる部分である分割箇所で補正され、
前記マスクパターンの補正は、第1の薄膜のマスクパターンの分割箇所と第2の薄膜のマスクパターンの分割箇所の相対位置が異なる複数の条件であって、前記感光面に転写されるパターンが分割箇所でつながらない条件を含む複数の条件で、前記感光面に転写されるパターンをシミュレーションにより求め、
各条件でシミュレーションされた転写されるパターンを、設計パターンに近いつながったパターンとするために必要なマスクパターンの補正を、シミュレーションにより求め、
各条件でシミュレーションされたマスクパターンの補正から決定された最適な補正である
レジストパターン形成方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002224923A JP2004071631A (ja) | 2002-08-01 | 2002-08-01 | マスクパターン作成方法、マスクおよびレジストパターン形成方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7698999B2 (en) | 2004-03-04 | 2010-04-20 | Asml Netherlands B.V. | Printing apparatus and device manufacturing method |
JP2013174728A (ja) * | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Canon Inc | フォトマスク及び半導体装置の製造方法 |
-
2002
- 2002-08-01 JP JP2002224923A patent/JP2004071631A/ja active Pending
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