JP2004070165A - Oa機器用導電ロール - Google Patents

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Abstract

【課題】低硬度で、かつ耐ヘタリ性に優れ、また、導電性が均一であり、温湿条件等よる性能劣化も生じず、しかも、製造コストが安価で、良好な画像を得ることができるOA機器用導電ロールを提供する。
【解決手段】導電性円筒体3と、上記円筒体3の両端開口を密閉する左右一対の円形軸受2と、上記両軸受2を挿通し上記円筒体3と軸受2とを同軸回転させる軸体1とを備えたOA機器用導電ロールであって、上記円筒体3内部の密封された空隙が、イオン導電性溶液4によって満たされているOA機器用導電ロールとする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA(オフィス・オートメイション:Office Automation )機器に用いられるOA機器用導電ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現像ロール、帯電ロール等のOA機器用ロールにおいて、従来のものの殆どは、導電支持軸体の外周面に、熱可塑性樹脂や熱硬化性ゴム材料等を主原料とする弾性層が形成され、さらにその外周面に各種材料からなる表面層が積層形成されて構成されている。このような構成のOA機器用ロールにおいて、高画質のプリント画像を得るためには、その弾性層の形状出しおよび軸体の振れ防止等のために、高寸法精度が要求される。また、このような構成のOA機器用ロールにおいて、その弾性層の主原料としては、低硬度であり、耐ヘタリ性に優れることから、シリコーンゴムやウレタン材料が好ましく用いられ、また、更なる低硬度化のため、弾性層材料中には、適宜、オイル等の可塑剤が高充填される。
【0003】
さらに、上記弾性層材料中には、ロールの導電化を目的として、通常、カーボンブラック等といった電子導電性を発現する電子導電剤や、四級アンモニウム塩等といったイオン導電性を発現するイオン導電剤も配合される。そして、シリコーンゴムに対しては、電子導電剤による導電性付与が好適になされ、また、ウレタン材料に対しては、イオン導電剤による導電性付与が好適になされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、シリコーンゴムやウレタン材料等といった低硬度材料を主原料とし弾性層を形成する場合、高寸法精度の形状出しを行うために、研磨加工による精度出しや、高精度の金型を用いての成形が必要となるが、これらの手法は、製造コストの増大が懸念されている。
【0005】
また、弾性層の更なる低硬度化のために、弾性層材料中にオイル等の可塑剤を充填した場合、弾性層の主原料であるゴムや樹脂と、オイル等とが結合していないことから、変形や応力による外力に対して形状を維持することができなくなり、ヘタリとして現われるおそれがある。
【0006】
さらに、上記弾性層の導電化を行う際において、カーボンブラック等の電子導電剤を用い電子導電性を付与した場合、上記電子導電剤が、弾性層材料中で凝集しやすい性質を有するため、そのことにより、弾性層の抵抗ばらつきが生じやすくなり、その結果、画像不良が生じやすくなるといった難点がある。他方、イオン導電剤を一般的な合成ゴムやウレタン材料を主原料とする弾性層材料中に配合し、イオン導電性を付与した場合、得られる導電性は、温湿条件等の環境依存性が大きく、特に、温度の変化に伴うマトリクス側のブラウン運動の変化がイオン導電分子の移動速度に影響を与え、低温側で高抵抗となり、高温側で低抵抗となることから、この電気抵抗の変動に起因し、画像不良および画像劣化が生じやすくなるといった難点がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低硬度で、かつ耐ヘタリ性に優れ、また、導電性が均一であり、温湿条件等による性能劣化も生じず、しかも、製造コストが安価で、優れた画像を得ることができるOA機器用導電ロールの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のOA機器用導電ロールは、導電性円筒体と、上記円筒体の両端開口を密閉する左右一対の円形軸受と、上記両軸受を挿通し上記円筒体と軸受とを同軸回転させる軸体とを備えたOA機器用導電ロールであって、上記円筒体内部の密封された空隙が、イオン導電性溶液によって満たされているという構成をとる。
【0009】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その過程で、ロールの弾性層に液体を封入し、低硬度化および耐ヘタリ性の向上を図ることを想起した。そして、この案を具現化すべく、上記ロールの構成について研究を重ねた結果、可撓性を有する円筒体と、上記円筒体の両端開口を密閉する左右一対の円形軸受と、上記両軸受を挿通し上記円筒体と軸受とを同軸回転させる軸体とを備えたロールとし、この構成により上記円筒体内部に形成された密封空間内に対し、液体を満たすことにより、上記の案を具現化し得ることを突き止めた。また、このような構成とすることにより、上記液体の移動でロールの振れ等が吸収され、さらに、ゴム等の固形材料からなる弾性層に要求されていたような高寸法精度としなくとも、相手ロール等に対し、例えば、部分的に楕円状等に変形して密着し得るため、従来求められた高精度の研磨加工等を不要化できる。そして、本発明者らは、上記構成に対し、導電ロールとしての機能を備えるようにするため、さらに検討した結果、上記円筒体に導電性を付与し、封入する液体としてイオン導電性溶液(イオン導電剤が溶解された溶液)を用いることにより、所期の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
上記のように、イオン導電性溶液を用いることにより、所期の目的が達成される理由としては、次のようなことが考えられる。すなわち、まずイオン導電剤は、液中で均一に分散しやすいため、導電性の均一化を図ることが容易であり、また、上記のように溶液とすることにより対流が生じるため、ゴム等の固形材料を用いて弾性層を形成していたときには防ぐことができなかったイオン導電のチャージアップ(導電性がなくなってしまうこと)が克服され、その結果、ゴム等の固形材料におけるイオン導電による導電性制御では、せいぜい107 Ω・cmで限界となるところを、溶液とすることにより、さらに電気抵抗を下げることができ、また、液状であるために、環境依存性(特に温度変化による電気抵抗の変動)も緩和されることが、その理由として考えられる。なお、本発明の必須材料であるイオン導電性溶液は、常温(10〜30℃程度の温度域)で常に液状を示すものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明のOA機器用導電ロールは、例えば、図1に示すように、導電性円筒体3と、上記円筒体3の両端開口を密閉する左右一対の円形軸受2と、上記両軸受2を挿通し上記円筒体3と軸受2とを同軸回転させる軸体1とを備えた構造を有しており、かつ、上記円筒体3内部の密封された空隙には、イオン導電性溶液4が満たされている。すなわち、導電性円筒体3と、円形軸受2と、イオン導電性溶液4が満たされた空隙とで、弾性層(導電層)としての役割がなされている。
【0013】
上記軸体1としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、金属製の中実体からなる円柱状の芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。また、上記軸体1には、イオン導電性溶液を注入するための注入孔を設けてもよい(図2参照)。上記軸体1の材料としては、アルミニウム、ステンレス等があげられる。
【0014】
上記一対の円形軸受2としては、先に述べた導電性円筒体3の両端開口を密閉することができ、かつ、上記軸体1の端部を挿通させ固定させ得るもの、例えば、上記軸体1の端部を挿通固定するための孔部を中央に設けているもの等であれば、特に限定はない。上記円形軸受2の材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の弾性材料が、ロールの低硬度化等が一層なされる点において好ましく、また、円形軸受への電気の流れを生じさせずに、ロールの導電性を所望する値に設定しやすくするため、上記材料には絶縁性のものを用いることが好ましい。
【0015】
上記導電性円筒体3としては、通常、均一な厚みを有し、導電性を備え、かつ弾性や柔軟性に優れ、しかも、ある程度の剛性を有し、腰の強いものが用いられる。上記導電性円筒体3の材料としては、例えば、ゴム材、樹脂材、金属等の少なくとも一つからなる撓み性材料が、ロールの回転により遠心力が加わっても、自己保形性に優れ、遠心力に抗して元の形状を保つため、好ましく用いられる。なかでも、ニッケル,チタン,鉄,銅等の金属からなる薄物であると、抵抗の環境依存性が殆どなく、相手ロール等に対しても、楕円状に変形して密着するため、より好ましい。なお、上記導電性円筒体3の材料には、導電性を付与するため、カーボンブラック等の導電性フィラーを適宜配合してもよい。
【0016】
上記イオン導電性溶液4は、イオン導電性を有し、常温(10〜30℃程度の温度域)で常に液状を示すものであれば、特に限定されるものではない。特に、上記イオン導電性溶液の凝固点が10℃以下であると、従来のイオン導電で回避することのできなかった環境依存性(特に温度依存性)が、より改善されるため、好ましい。なお、上記イオン導電性溶液4におけるイオン導電剤の配合割合を適宜調整することにより、得られるロールの電気抵抗を自在に設定することができる。
【0017】
上記イオン導電性溶液4の溶媒としては、水、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンレングリコール(PPG)等の低分子量溶媒があげられ、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。すなわち、低分子量溶媒を用いることにより、環境依存性が緩和されるとともに、流動性が得られることから、溶媒中でイオン導電剤が均一に分散しやすく、均一な導電およびイオン導電のチャージアップの解消が一層なされるからである。ここで、上記溶媒の分子量(Mw)は、通常、18〜40の範囲に設定することが好ましい。なお、これら低分子量溶媒のなかでも、PEG、PPGおよび水は、特に、リサイクルの際に、環境汚染を引き起こすことが殆どなく、環境への負担をより少なくすることができるため、好ましい。
【0018】
上記イオン導電性溶液4に溶解して用いられるイオン導電剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩および界面活性剤等が、導電性制御のために好ましく用いられる。なかでも、エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート、オクチルトリメチルアンモニウムパークロレート、オクチルトリメチルアンモニウムエトサルフェートといった四級アンモニウム塩が、より好ましく用いられる。
【0019】
そして、図1に示した本発明のOA機器用導電ロールは、例えば、つぎのようにして製造することができる。
【0020】
すなわち、まず、軸体1と、一対の円形軸受2と、導電性円筒体3とを準備し、これらを用いて、図1に示すように接着組立てをし、ついで、上記円筒体3内部に形成された空隙に対し、軸受2からシリンジ等によりイオン導電性溶液4を注入して満たし、その後、注入したイオン導電性溶液4が漏れないよう封止することにより、目的とするOA機器用導電ロールを得ることができる。
【0021】
上記イオン導電性溶液4の注入は、例えば、上記空隙に対しエアー抜きした後に行うと、容易に行うことができる。また、上記注入は、上記のように、軸受2からシリンジ等で注入してもよいが、図2のように、軸体1に注入孔5を設けて、そこからイオン導電性溶液4を注入してもよい。なお、図2において、上記注入孔5には、栓6による封止が施されている。
【0022】
なお、本発明のOA機器用導電ロールは、図1や図2に示した構造に限定されるものではなく、例えば、導電性円筒体3の外周面に、さらに、樹脂材等のコーティング溶液を塗布することにより、表層を形成しても差し支えない。また、導電性円筒体3の外周面に形成される層は、上記のような表層のみの単層に限定されず、2層以上の積層構造であってもよい。
【0023】
本発明のOA機器用導電ロールは、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器の現像ロールに好適に用いられるほか、帯電ロール、転写ロール等にも適用することができる。
【0024】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0025】
【実施例1】
〔イオン導電性溶液の調製〕
PEG(PEG400、分子量Mw=400、凝固点6℃、和光純薬社製)100重量部(以下、「部」と略す)と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。
【0026】
〔導電性円筒体〕
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)にデンカブラックを2軸混練機で分散し、これをチューブ状に押出成形し加硫することにより、1 ×105 Ω・cmに導電化した円筒体〔外径12mm、厚み0.5mm、硬度(デュロメータタイプA)=80〕を作製した。
【0027】
〔導電ロールの作製〕
軸体となる芯金(直径6mm、SUS製)と、一対のシリコーンゴム製円形軸受〔直径11mm、中央に直径6mmの孔部を形成、非導電性、硬度(デュロメータタイプA)=10〕と、上記作製の導電性円筒体とを準備し、これらを用いて、図2に示すように接着組立てした後、上記芯金に設けられた注入孔から、先の調製により得られたイオン導電性溶液を、シリンジにより注入し、上記円筒体内部をイオン導電性溶液で満たし、その後、上記注入孔に栓をすることにより、目的とする導電ロールを作製した。
【0028】
【実施例2】
PEG(PEG400、分子量Mw=400、凝固点6℃、和光純薬社製)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)3部とを混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0029】
【実施例3】
PEG(PEG300、分子量Mw=300、凝固点−13℃、和光純薬社製)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0030】
【実施例4】
PEG(PEG200、分子量Mw=200、凝固点−50℃、和光純薬社製)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0031】
【実施例5】
PPG(PPG400、分子量Mw=400、凝固点5℃、和光純薬社製)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0032】
【実施例6】
蒸留水(分子量Mw=18、凝固点0℃)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0033】
【比較例1】
〔弾性層用材料の調製〕
ヒドリンゴム(エピクロマーCG102、ダイソー社製)100部と、ステアリン酸0.5部と、亜鉛華(ZnO)5部と、サンセラーDM(三新化学社製)1部と、サンセラーTT(三新化学社製)0.5部と、硫黄(軽井沢精錬社製)1部と、ホワイトンSB(白石工業社製)30部と、アデカサイザーRS107(旭電化社製)20部と、四級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウムパークロレート)1部とを混合し、分散させて、弾性層用材料を調製した。
【0034】
〔表層用材料の調製〕
N−メトキシメチル化ナイロン(トレジンEF30T、長瀬ケムテック社製)100部と、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラック・インターナショナル社製)8部とを、メタノール溶媒に分散して溶解し、表層用材料(コーティング液)を調製した。
【0035】
〔導電ロールの作製〕
軸体となる芯金(直径6mm、SUS製)を準備し、その外周面に接着剤を塗布したものを、ロール形成用金型の内部にセットし、上記軸体とローラ型内周面の間の空隙部に、先の調製により得られた弾性層用材料を注型し、加熱加硫(160℃×30分)させた後、脱型することにより軸体の外周に弾性層(厚み2.5mm)を形成した。さらに、上記弾性層の外周面に、先の調製により得られた表層用材料(コーティング液)をコーティングし、厚み0.5mmの表層を形成することにより、目的とする導電ロール(外径12mm)を作製した。
【0036】
【比較例2】
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニポールDN1042、日本ゼオン社製)100部と、ステアリン酸0.5部と、亜鉛華(ZnO)5部と、サンセラーDM(三新化学社製)1部と、サンセラーTT(三新化学社製)0.5部と、硫黄(軽井沢精錬社製)1部と、ホワイトンSB(白石工業社製)30部と、アデカサイザーRS107(旭電化社製)20部と、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラック・インターナショナル社製)20部とを混合し、分散させて、弾性層用材料を調製した。そして、これを、比較例1の弾性層用材料に代えて用いること以外は、比較例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0037】
【比較例3】
PEG(PEG1000、分子量Mw=1000、凝固点37℃、和光純薬社製)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを50℃の温度下にて混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0038】
【比較例4】
PEG(PEG600、分子量Mw=600、凝固点20℃、和光純薬社製)100部と、四級アンモニウム塩(エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート)1部とを30℃の温度下にて混合し、分散させて、イオン導電性溶液を調製した。そして、これを、実施例1のイオン導電性溶液に代えて用いること以外は、実施例1と同様にして導電ロールを作製した。
【0039】
このようにして得られた各導電ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
【0040】
〔ロール硬度〕
23℃×53%RHの温湿条件下において、マイクロゴム硬度計MD−1(A型)(高分子計器社製)を用いて、ロール硬度を測定した。
【0041】
〔寸法精度〕
各ロールを周方向に回転させ、レーザー測定器を用いてロールの3ヶ所(左端部・中央部・右端部)の振れを、ロールの両軸部を基準として測定し、その値の平均値を求めた。
【0042】
〔電気抵抗〕
各ロールの外周面に銀ペーストを塗布して1cm角の電極を形成した。そして、100Vの電圧を印加し、30秒後の電気抵抗(Ω・cm)を測定した。
【0043】
〔抵抗ばらつき〕
各ロールの軸方向におけるロール表面と芯金との間の電気抵抗を、0.3cm2 の電極プローブを用いて、ロール表面を走査し、測定し、この測定により得られた抵抗値の変動幅を、10の累乗の指数において示すものであって、例えば、0.2桁は、100.2 Ωの範囲で、ロール軸方向長さにおいて、抵抗値が変化することを表している。
【0044】
〔環境依存性〕
各ロールに対し、直径30mmの金属鏡面ロールを接触させ、各ロールの両端を荷重押え(片端500g荷重)で押圧し、この状態で各ロールに200Vの電圧を印加し、ついで、17rpmで回転させ、(a)10℃×10%RH、(b)25℃×60%RH、(c)30℃×85%RHの各温湿条件下において、そのときの電流値を測定した。そして、得られた値から、log〔(aの電流値)/(cの電流値)〕の値を算出し、変動した電流値の桁数の差を求め、この値を、環境依存性の評価とした。
【0045】
〔画像ムラ〕
各ロールを、帯電ロールとしてレーザープリンター〔レーザージェット4000、ヒューレットパッカード社製〕に取り付け、前記の(a),(b),(c)の各環境下で、それぞれ画像出しを行い、得られた画像において、画像ムラの有無を目視にて評価した。そして、全環境下で、画像ムラが全く見られなかったものを○、若干ムラの発生がみられたものを△、顕著な画像ムラが見られたものを×として評価した。
【0046】
〔帯電耐久性〕
各ロールに直流電圧(−550V)を30分間印加した。そして、各ロールの抵抗上昇幅を求め、この値より、比較例1のロールの抵抗上昇幅を100としたときの各ロールの抵抗上昇指数を求めた。そして、この値を、帯電耐久性の評価とした。なお、このようにして得られた値が小さいほど、帯電耐久性に優れていることを示す。
【0047】
【表1】
Figure 2004070165
【0048】
【表2】
Figure 2004070165
【0049】
上記表1および表2の結果から、全実施例品は、低硬度であり、優れた導電性を有し、また、抵抗ばらつきも殆どなく、環境依存性も小さいため、現像ロール,帯電ロール等のOA機器用の導電ロールとして用いることにより、鮮やかなプリント画像の画像出しが期待される。また、全実施例品は、寸法精度があまり精密になされていないにも関わらず、画像ムラを生じることもなく、優れた画像が得られることがわかる。しかも、全実施例品は、媒体を液体としているため、連続通電によるイオン解離現象が起こりにくく、帯電耐久性にも優れていることがわかる。
【0050】
これに対し、比較例1品では、特に、イオン導電の環境依存性が大きく、また、イオン解離現象の発生により帯電耐久性にも劣ることがわかる。比較例2品では、電子導電による導電性が与えられているが、電子導電剤の偏在による抵抗ばらつきが顕著に見られ、画像ムラも若干みられることがわかる。比較例3,4品では、注入するイオン導電性溶液の溶媒の分子量が大き過ぎ、常温で固体性状を示すため、流動性が妨げられ、その結果、導電性が悪くなるとともに、イオン導電の環境依存性が大きくなっていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明のOA機器用導電ロールは、導電性円筒体と、上記円筒体の両端開口を密閉する左右一対の円形軸受と、上記両軸受を挿通し上記円筒体と軸受を同軸回転させる軸体とを備えたOA機器用導電ロールであって、上記円筒体内部の密封された空隙が、イオン導電性溶液によって満たされてなるものである。そのため、低硬度化および耐ヘタリ性向上の要求に対して容易に応えることができ、また、封入されたイオン導電性溶液により、従来のゴム等の固体層でのイオン導電制御では不可能だった低抵抗領域での導電性が可能となり、温湿条件等の環境変化による性能劣化も生じず、さらに、均一に導電化がなされ、画質の均一性が得られる。しかも、媒体が液体であることから、連続通電によるイオン解離現象が起こりにくく、帯電耐久性が向上する。また、従来のゴム等の固体層に要求されるような高い寸法精度等を必須としないため、研磨工程や高精度金型等のコストアップにつながる加工を省くこともできる。さらに、リサイクルの際、各部位の分解や回収が容易であるため、廃棄処理費等も含めたコストの低減が図れる。
【0052】
特に、上記イオン導電性溶液の凝固点が10℃以下であると、従来のイオン導電で回避することのできなかった環境依存性(特に温度依存性)が、より改善される。
【0053】
また、上記導電性円筒体が、ゴム材、樹脂材および金属からなる群から選ばれた少なくとも一つの撓み性材料を用いて形成されていると、ロールの回転により封入液体に遠心力が加わっても、その腰の強さにより、自己保形性(形状保持)の向上が、よりなされるようになる。
【0054】
さらに、上記円形軸受が絶縁性弾性体からなる場合、その弾性によりロールの低硬度化等がなされるとともに、円形軸受への電気の流れが生じないことから、ロールの導電性を、所望する値に設定することが容易となる。
【0055】
また、上記イオン導電性溶液の溶媒が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンレングリコールおよび水からなる群から選ばれた少なくとも一種からなる低分子量溶媒であると、低分子量であるため環境依存性が緩和されるとともに、リサイクルの際に、環境汚染を引き起こすことが殆どなく、環境への負担をより少なくすることができる。
【0056】
そして、上記イオン導電性溶液が、四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩および界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一種のイオン導電剤を溶解している場合、ロールの導電性を所望の値に設定することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るOA機器用導電ロールの一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係るOA機器用導電ロールの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 軸体
2 円形軸受
3 導電性円筒体
4 イオン導電性溶液

Claims (6)

  1. 導電性円筒体と、上記円筒体の両端開口を密閉する左右一対の円形軸受と、上記両軸受を挿通し上記円筒体と軸受とを同軸回転させる軸体とを備えたOA機器用導電ロールであって、上記円筒体内部の密封された空隙が、イオン導電性溶液によって満たされていることを特徴とするOA機器用導電ロール。
  2. 上記イオン導電性溶液の凝固点が10℃以下である請求項1記載のOA機器用導電ロール。
  3. 上記導電性円筒体が、ゴム材、樹脂材および金属からなる群から選ばれた少なくとも一つの撓み性材料を用いて形成されている請求項1または2記載のOA機器用導電ロール。
  4. 上記円形軸受が、絶縁性弾性体からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のOA機器用導電ロール。
  5. 上記イオン導電性溶液の溶媒が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンレングリコールおよび水からなる群から選ばれた少なくとも一種からなる低分子量溶媒である請求項1〜4のいずれか一項に記載のOA機器用導電ロール。
  6. 上記イオン導電性溶液が、四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩および界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一種のイオン導電剤を溶解している請求項1〜5のいずれか一項に記載のOA機器用導電ロール。
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