JP5118927B2 - 帯電ロール - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体を帯電せしめるために用いられる帯電ロールに関するものである。
従来より、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置(以下、電子写真機器という)においては、感光体(感光ドラム)等の像担持体を、帯電ロールの外周面に接触せしめて、それら像担持体と帯電ロールとを相互に回転させるようにすることによって、かかる像担持体の表面を帯電させる、所謂ロール帯電方式が採用されている。
また、そのような接触帯電方式に係るロール帯電方式に用いられる帯電ロールとしては、従来より様々な構造を呈するものが提案され、使用されている。例えば、導電性の軸体(芯金)の周りに、柔軟性基層として、発泡体からなる発泡体層が所定の厚さで設けられ、そして、この発泡体層の外周面上に、ロールの電気抵抗の調整等を目的とする抵抗調整層が設けられ、更にかかる抵抗調整層の外周面上には、必要に応じて、最外層としての保護層が形成されてなる構造の帯電ロールが、従来より広く採用されている(特許文献1及び2を参照)。
ところで、かかる帯電ロールは、一般に、像担持体(感光ドラム)に対して一定の荷重にて当接せしめられた状態(押し当てられた状態)にて、用いられることとなる。このため、像担持体表面に所定のクリーニング装置では除去され得なかったトナーが残存していると、かかる残存トナーが、帯電ロールの当接圧力によって、帯電ロールや像担持体の表面に融着し(トナーフィルミング)、電子写真機器への通紙枚数の増大、換言すれば像担持体における静電潜像の現像回数の増大に伴って、融着したトナーの面積が大きくなり、その結果、画質に悪影響を与えるという問題が、従来より指摘されている。
かかる問題を解決するための方策の一つとして、帯電ロールの硬度を低くすることが挙げられる。即ち、硬度の低い帯電ロールを用いることにより、帯電ロールと像担持体(感光ドラム)との接触面積を増大せしめて、像担持体に対する帯電ロールの当接圧力を小さくし、以て、上述の如きトナーフィルミングの発生を効果的に抑制するものである。
しなしながら、従来の帯電ロールにあっては、その硬度を低くすると、耐へたり性が悪化する恐れがあった。このような状況の下、トナーフィルミングの発生を効果的に抑制し、且つ耐へたり性においても優れた帯電ロールとして、様々なものが提案され、実際に使用されているが、電子写真機器に対する小型化及び高性能化の要求が従来以上に大きくなってきている現状においては、トナーフィルミングの発生をより効果的に抑制し、且つより優れた耐へたり性を発揮する帯電ロールの開発が、望まれているのである。
特開2000-275930号公報 特許第3489321号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、トナーフィルミングの発生を効果的に抑制し、且つ優れた耐へたり性を発揮する帯電ロールを提供することにある。
そして、本発明は、そのような課題を解決すべく、軸体の周りに設けられた導電性基層と、該導電性基層の外周面上に設けられた抵抗調整層とを備え、像担持体の外周面への接触により、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロールにおいて、500g荷重時のアスカーC硬度が34度以下であり、且つ片持ち梁形ばね式の荷重方式を採用するスプリング式硬さ試験機を用いた、33.85g荷重時のマイクロゴム硬度が、80度以上であるロール表面を有し、更に、前記抵抗調整層の硬度:X[度]及び該抵抗調整層の厚さ:Y[mm]が、それぞれ下記式(1)〜(4)を満たすように構成されていることを特徴とする帯電ロールを、その要旨とするものである。尚、下記式中、抵抗調整層の硬度:X[度]とは、抵抗調整層を形成する際の非発泡性の半導電性ゴム材料を用いて、JIS−K−6253−2006の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」における「デュロメータ硬さ試験」に定められる、厚さ:6mmの試験片を作製し、この試験片を、同じくJIS−K−6253−2006に規定される「デュロメータ硬さ試験」に準じて、タイプAデュロメータによって測定することにより得られる硬さ(硬度、アスカーA硬度)である。
Figure 0005118927
なお、かかる本発明に従う帯電ロールの好ましい態様の一つにおいては、前記導電性基層が導電性ゴム発泡体にて構成されている。
また、本発明の帯電ロールにおける別の好ましい態様の一つにおいては、前記抵抗調整層の外周面上に、更に、軟質樹脂材料からなる保護層が設けられている。
このように、本発明に従う帯電ロールは、そのロール表面のアスカーC硬度及びマイクロゴム硬度が、アスカーC硬度にあっては34度以下である一方、マイクロゴム硬度にあっては80度以上であり、更に、抵抗調整層の硬度:X[度]及びその厚さ:Y[mm]が所定の関係を満たすように構成されているところから、優れた耐へたり性を発揮するのである。また、そのような帯電ロールを、感光ドラム等の像担持体に対して一定の荷重をもって当接せしめると、かかる帯電ロールと像担持体との当接面積(接触面積)は十分に大きなものとなって、当接圧力は効果的に低下せしめられるところから、トナーフィルミングの発生を効果的に抑制し得るのである。
ところで、図1には、本発明に従う帯電ロールの一例が、軸芯に直角な方向の断面において示されている。そこに例示の帯電ロール10は、金属製の軸体12の外周面上に、ロール径方向の内側から外側に向かって、導電性基層14、抵抗調整層16及び保護層18が、それぞれ、所定の厚さで、順次、一体的に積層形成されている。
そして、かかる帯電ロール10は、500g荷重時のアスカーC硬度が34度以下とされており、且つ片持ち梁形ばね式の荷重方式を採用するスプリング式硬さ試験機を用いた、33.85g荷重時のマイクロゴム硬度が、80度以上であるロール表面とされているのである。即ち、ロール全体の硬度を示すアスカーC硬度が、500g荷重時において34度以下の小さな値となるように調整されていることによって、ロール全体の硬度が低く抑えられている一方、ロール表面の硬度を示すマイクロゴム硬度が、33.85g荷重時において80度以上と、比較的高い値となるように調整されていることによって、ロール表面の硬度が適度に高められており、後述する抵抗調整層16の硬度とその厚さとの関係と相俟って、本発明の効果が奏されることとなるのである。
ここで、500g荷重時のアスカーC硬度とは、JIS−S−6050に準拠した規格を有する試験機であって、押針形状が直径5.08mm±0.02mmの半球形状とされていると共に、かかる押針の、試験機の加圧面からの突出高さが2.54mmとされ、更に目盛り0度におけるバネ荷重が55gf、目盛り100度におけるバネ荷重が855gf±8gfとされたスプリング式硬さ試験機(ゴム・プラスチック硬度計・アスカーC型:高分子計器株式会社製)を用い、Vブロックにて両端が支持された状態で水平に保持された帯電ロールの軸方向中央部の表面に、かかるスプリング式硬さ試験機の押針の先端を接触させ、更に該試験機を500gの荷重(試験機を含む全荷重)で垂直に加圧して、直ちに目盛りを読み取ることにより、測定された値を示すものである。また、33.85g荷重時のマイクロゴム硬度とは、押針形状が直径0.16mmの円柱形状とされていると共に、加圧面からの該押針の突出高さが0.5mmとされ、更に目盛り0度におけるバネ荷重が2.24gf、目盛り100度におけるバネ荷重が33.85gfとされた、片持ち梁形板ばね式の荷重方式が採用されてなるスプリング式硬さ試験機(マイクロゴム硬度計・MD−1型:高分子計器株式会社製)を用い、Vブロックにて両端が支持された状態で水平に保持された帯電ロールの軸方向中央部の表面に、かかるスプリング式硬さ試験機の押針の先端を接触させ、更に該試験機を33.85gの荷重で垂直に加圧して、直ちに目盛りを読み取ることにより、測定された値を示すものである。
そのような帯電ロール10について、先ず、導電性基層14は、所定厚さの導電性ゴム発泡体にて形成されている。かかる導電性ゴム発泡体を与えるゴム発泡体材料としては、公知の各種ゴム発泡体材料の中から、導電性基層14の硬度を低く調整することが可能なもの、具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ポリノルボルネンゴム等の合成ゴムや、天然ゴムのうちの何れか1種を単独で用いて、若しくはそれらの2種以上を組み合わせて、混合せしめてなるゴム材料に、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルフォニルヒドラジン、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジン等の有機発泡剤または重炭酸ソーダ等の無機発泡剤が配合されてなるゴム発泡体材料等を、用いることが出来る。また、そのようなゴム発泡体材料には、導電性フィラーとして、カーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物(例えば、導電性酸化スズ、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛)等の電子導電剤等が従来と同様な配合比率をもって配合されて、体積抵抗率が一般に106Ωcm以下程度に調整されると共に、硬度(500g荷重時のアスカーC硬度)が、有利には20度以下程度にまで低く調整されて、導電性基層形成材料として用いられることとなる。
これによって、導電性基層14が、導電性を有するスポンジ構造をもって構成されて、帯電ロール10に対して、導電性が付与せしめられると共に、多量の軟化剤を含有せしめることなく、従って、該軟化剤等のロール表面への滲み出しによる像担持体への汚染が未然に防止され得る状態で、低硬度乃至は柔軟性が付与せしめられるようになっているのである。なお、そのような導電性基層14の形成材料には、従来より公知の加硫剤、加硫助剤、充填剤、加工助剤等の各種の配合剤や添加剤等が、必要に応じて、通常の配合比率をもって、更に添加、混合せしめられる。
一方、導電性基層14の外側(外周面上)に設けられた抵抗調整層16は、非発泡性の半導電性ゴム材料にて形成されているが、本発明においては、かかる抵抗調整層16の硬度:X[度]及びその厚さ:Y[mm]が、それぞれ下記式(1)〜(4)を満たすように構成されているところに大きな特徴を有するのである。即ち、抵抗調整層16を、その硬度:X[度]及び厚さ:Y[mm]が、図2に示すグラフにおける斜線部の範囲内となるように設けると共に、前述の如く、ロールのアスカーC硬度を34度以下とし、更にマイクロゴム硬度を80度以上とすることによって、帯電ロール10は、トナーフィルミングの発生を効果的に抑制することが出来、また優れた耐へたり性をも発揮するものとなっているのである。
Figure 0005118927
本発明の帯電ロールは、上述の如き構成を採用することによって、感光ドラム等の像担持体に対して一定の荷重をもって当接せしめた際に、像担持体との当接面積(接触面積)が十分に大きなものとなり、像担持体に対する帯電ロールの当接圧力が効果的に低下し、以て、トナーフィルミングの発生が効果的に抑制され得るものであるところ、帯電ロールと像担持体との当接面積(接触面積)については、所謂ニップ幅にて評価することが可能である。ここで、ニップ幅とは、本願明細書においては、直径:12mmの帯電ロールを、直径:30mmの感光ドラムに対して、帯電ロールの両軸端に片端当たり500gの荷重をかけた状態で、軸方向に平行に当接せしめ、かかる当接によって生じた当接部(接触部)における両端から軸芯の軸方向内側に50mm離れた部位の、軸直角方向の幅(図3におけるd)をいう。本発明に係る帯電ロールにあっては、そのようなニップ幅が600μm以上となるのであり、像担持体(感光ドラム)に対する帯電ロールの当接圧力が効果的に低下せしめられることとなる。
ここで、抵抗調整層の硬度:X[度]とは、抵抗調整層を形成する際の非発泡性の半導電性ゴム材料を用いて、JIS−K−6253−2006の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」における「デュロメータ硬さ試験」に定められる、厚さ:6mmの試験片を作製し、この試験片を、同じくJIS−K−6253−2006に規定される「デュロメータ硬さ試験」に準じて、タイプAデュロメータによって測定することにより得られる硬さ(硬度、アスカーA硬度)を意味するものである。
なお、そのような抵抗調整層を形成せしめる際に用いられる非発泡性の半導電性ゴム材料としては、抵抗調整層16の形成材料として従来から用いられるものと同様なもの、例えば、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム等のゴム材料に、導電剤や帯電防止剤等が配合されて、体積抵抗率が一般に106 〜1010Ωcm程度に調整され、更には公知の各種の配合剤や添加剤等がそれぞれ配合されてなる材料が使用される。また、かかる形成材料に配合される導電剤としては、電子導電剤たる導電性カーボンブラックや、各種イオン導電剤、例えば、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩や、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩等が用いられ、更に帯電防止剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、リン酸エステル、脂肪族アルコールサルフェート塩、脂肪族多価アルコール、BN錯体等が、それぞれ、適宜に選択される。
また、かかる抵抗調整層16にあっては、その硬度が、従来の帯電ロールの抵抗調整層と比較して高くなるように調整されている。抵抗調整層16の硬度を比較的高く為すための方法としては、特に限定されるものではないものの、有利には、抵抗調整層16の形成材料に硬度向上剤を配合したり、またかかる形成材料の主成分として、上述の如きゴム材料のうち比較的硬度の高いものを選択、使用する方法等が、単独で、或いは種々組み合われて、採用されることとなる。
なお、硬度向上剤を用いて抵抗調整層16の硬度を高める場合においては、帯電ロール10の硬度(アスカーC硬度及びマイクロゴム硬度)が本発明の範囲内となる限りにおいて、如何なる材質の硬度向上剤であっても使用可能であるが、通常、粒状若しくは粉状のシリカ等の固形の粉粒体が用いられる。また、そのような硬度向上剤の配合量も、上述の如く帯電ロール10の硬度(アスカーC硬度及びマイクロゴム硬度)が本発明の範囲内となる限りにおいて、適宜に決定されることとなるものの、一般には、抵抗調整層形成材料の主成分たるゴム材料の100重量部に対して、10〜50重量部程度の割合となる量とされる。更に、ゴム材料の選択により、抵抗調整層16の硬度を高める際には、かかるゴム材料として、前記例示の如きゴム材料の中から、ロール表面の目標硬度を達成させ得るものが何れも採用され得るのであって、例えば、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴム等が使用される。
上述してきた各成分の配合量は、帯電ロール10のアスカーC硬度及びマイクロゴム硬度が本発明の範囲内となり、且つ、抵抗調整層16の硬度:X[度]とその厚さ:Y[mm]とが所定の関係(図2参照)を満たす範囲内において、目的とする帯電ロール10に応じて適宜に決定され、抵抗調整層形成材料が調製されることとなる。
一方、抵抗調整層16の外側に設けられた保護層18は、軟質樹脂材料にて形成されている。かかる軟質樹脂材料としては、保護層18を形成するのに従来から用いられるものと同様なものが使用される。具体的には、N−メトキシメチル化ナイロン、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、4フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体、4フッ化エチレン−フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂材料が用いられる。そして、それらの熱可塑性樹脂材料に、前述した如き電子導電剤等の導電剤が配合されて、体積抵抗率が一般に108 〜1011Ωcm程度に調整され、更に、イソシアネート系架橋剤等、公知の架橋剤、更には各種の配合剤、添加剤等が、必要に応じて、従来と同様な配合割合にて、それぞれ配合されてなる樹脂組成物が、保護層18の形成材料として、用いられる。これによって、帯電ロール10の内部から表面への各種配合剤等の滲み出しがより効果的に防止され得ると共に、ロール表面の粘着性が有利に小さく為され得て、像担持体に対する汚染や固着が効果的に阻止され得るようになっているのである。
図1に示す如き帯電ロール10を、上述した各形成材料を用いて製造するに際しては、従来より公知の各種方法の何れをも採用可能であるが、有利には、以下の手法が採用される。即ち、先ず、導電性基層形成材料及び抵抗調整層形成材料を共押出しすることにより、内側に所定厚さの導電性基層形成材料からなる層を有し、且つ、外側に所定厚さの抵抗調整層形成材料からなる層を有する2層の弾性体チューブを作製する。次いで、かかる弾性体チューブ内に軸体を内挿し、その状態にて、所定の金型内において所定の発泡操作及び加硫操作を実施することによって、軸体12の周りに、導電性基層14と抵抗調整層16とを一体的に形成せしめる。その後、保護層形成材料を用いて、ディッピング法等の公知の手法に従って保護層18を形成せしめることにより、図1に示す帯電ロール10は得られるのである。
なお、上述したように、保護層18は、通常、ディッピング法にて形成されるため、保護層形成材料は、所定の溶剤に溶解されて、コーティング液としてそれぞれ調製され、目的とする各層がコーティング操作によって形成されることとなるが、前記導電性基層14や抵抗調整層16の種類等によって、像担持体に対する汚染や固着が有利に阻止され得るようになっている場合等には、保護層18を必ずしも設ける必要はない。
そして、そのようにして得られた帯電ロール10にあっては、優れた耐へたり性を発揮すると共に、感光ドラム等の像担持体に対して一定の荷重をもって当接せしめると、かかる帯電ロールと像担持体との当接面積(接触面積)は十分に大きなものとなって、当接圧力が効果的に低下せしめられ、トナーフィルミングの発生を効果的に抑制し得るのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記配合に従って各成分を配合し、ロールを用いて混練することにより、導電性基層形成材料を調製した。
−導電性基層形成材料の配合組成−
・エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)100重量部
〔三井化学株式会社製、商品名:EPT4045〕
・カーボンブラック 25重量部
〔ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラック EC〕
・酸化亜鉛 5重量部
・ステアリン酸 1重量部
・プロセスオイル 30重量部
〔出光化学株式会社製、商品名:ダイアナプロセスPW380〕
・ジニトロソペンタメチレンテトラミン(発泡剤) 15重量部
・硫黄 1重量部
・ジベンゾチアゾールジスルフィド(架橋促進剤) 2重量部
・テトラメチルチウラムモノサルファイド(架橋促進剤) 1重量部
一方、抵抗調整層形成材料として、下記に示すように電子導電剤(FEFカーボンブラック)の配合量が異なる5種類のもの(抵抗調整層形成材料A〜E)を調製した。具体的には、各成分を、それぞれの配合量に従ってニーダーに投入し、混練した後、更にロールを用いて混練した。
−抵抗調整層形成材料A〜Eの配合組成−
・ニトリルゴム(NBR) 100重量部
〔日本ゼオン株式会社製、商品名:ニポールDN219〕
・第4級アンモニウム塩 1重量部
(アルキルトリメチルアンモニウムパークロライド)
・シリカ(絶縁性充填剤) 20重量部
〔東ソーシリカ株式会社製、商品名:ニプシールER〕
・酸化亜鉛 5重量部
・ステアリン酸 1重量部
・ジベンゾチアゾールジスルフィド(架橋促進剤) 1重量部
・テトラメチルチウラムモノサルファイド(架橋促進剤) 1重量部
・硫黄 1重量部
・FEFカーボンブラック(電子導電剤)
〔東海カーボン株式会社製、商品名:シーストSO〕
抵抗調整層形成材料A 45重量部
抵抗調整層形成材料B 50重量部
抵抗調整層形成材料C 60重量部
抵抗調整層形成材料D 75重量部
抵抗調整層形成材料E 80重量部
なお、それら5種類の抵抗調整層形成材料を用いて、JIS−K−6253−2006に従い、所定の試験片を作製し、その試験片についてタイプAデュロメータによって硬度(アスカーA硬度)を測定したところ、抵抗調整層形成材料Aについては85度、抵抗調整層形成材料Bについては87度、抵抗調整層形成材料Cについては88.8度、抵抗調整層形成材料Dについては90度、抵抗調整層形成材料Aについては91度であった。
また、保護層形成材料を、溶媒としてのメチルエチルケトンの200重量部に、各成分を下記に示す割合において溶解せしめ、サンドミルを用いて溶液を分散させることにより、調製した。
−保護層形成材料の配合組成−
・フッ素化オレフィン系樹脂 100重量部
〔アトフィナジャパン株式会社製、商品名:カイナーSL〕
・導電性酸化チタン 100重量部
〔石原テクノ株式会社製、商品名:タイペークET-300W〕
調製された各形成材料のうち、先ず、導電性基層形成材料及び抵抗調整層形成材料を共押出しすることにより、内側に所定厚さの導電性基層形成材料からなる層を有し、且つ、外側に所定厚さの抵抗調整層形成材料からなる層を有する2層の弾性体チューブを作製した。かかる際に、抵抗調整層の厚さが異なる帯電ロールを得るべく、抵抗調整層形成材料の各々を用いて、上記2層の厚さがそれぞれ異なる複数の弾性体チューブを作製した。
次いで、得られた弾性体チューブ内に、直径:6mmの芯金を挿入し、かかる状態にて所定の円筒金型内の中心軸上に配置して、金型の両端に蓋をした。しかる後、円筒金型をオーブンに入れ、加熱して、発泡操作及び加硫操作を実施することにより、複合ロールが一体形成された。
そして、得られた複合ロールについて、その外周面上に、保護層形成材料をディッピング法により塗布した後、乾燥し、厚さ:5μmの保護層を形成せしめて、目的とする構造の帯電ロールを得た(ロール径:12mm)。
得られた帯電ロールを、実機(ヒューレット・パッカード社製、商品名:LASER・JET・4000)のカートリッジに組み付け、帯電ロールの両端の芯金部分にそれぞれ500gfの荷重をかけて、感光ドラムに対して押しつけた状態において、無回転の状態のまま、−700VのDC電圧に、ピーク間電圧(Vp−p):3000V、周波数:3kHzのAC電圧が重畳された帯電バイアスを、5分間、印加させた。その後、帯電ロールを実機から取り外し、帯電ロールと感光ドラムとの当接部におけるニップ幅を測定した。作製したすべての帯電ロールについて測定を行ない、ニップ幅が600μmであった帯電ロールの中から6種のロール(帯電ロール1〜6)を選択して、以下の評価を行なった。なお、各帯電ロールについてのアスカーC硬度及びマイクロゴム硬度の測定は、上述した手法に従って行なったものであり、その結果を、下記表1に示す。また、抵抗調整層形成材料Eを用いた帯電ロールにあっては、ニップ幅が全て600μm未満であった。
−画像評価(トナー融着の有無の確認)−
23℃×50%RHの環境下において、帯電ロールを実機(ヒューレット・パッカード社製、商品名:LASER・JET・4000)に組み込み、先ず、10000枚の連続印刷(耐久印刷)を行なった。かかる耐久印刷の後、耐久画像をハーフトーン画像(灰色25%)にて画出しし、得られた画像上における、トナー融着による色抜け(白点)の有無を目視により観察した。その結果を、下記表1に併せて示す。
−へたり評価−
40℃×95%RHの環境下において、帯電ロールを実機(ヒューレット・パッカード社製、商品名:LASER・JET・4000)に組み込み(1kg荷重)、その状態にて30日間、放置した。その後、ハーフトーン画像(灰色25%)を印刷し、得られた画像上に、帯電ロールの当接部に起因する画像スジが存在するか否かを、目視により観察した。画像スジが認められなかった場合には○と、認められた場合には×と評価した。その結果についても、下記表1に併せて示す。
Figure 0005118927
かかる表1の結果からも明らかなように、本発明に従う帯電ロール(帯電ロール1〜4)にあっては、トナーフィルミングの発生を効果的に抑制し、且つ優れた耐へたり性を発揮するものであることが、認められたのである。
本発明に従う帯電ロールの一例を示す横断面説明図である。 本発明に従う帯電ロールにおいて、抵抗調整層の硬度:X[度]とその厚さ:Y[mm]との関係を示すグラフである。 帯電ロールを感光ドラムに当接せしめた際に生じる当接部(接触部)において、ニップ幅(d)を示す説明図である。
符号の説明
10 帯電ロール 12 軸体
14 導電性基層 16 抵抗調整層
18 保護層

Claims (3)

  1. 軸体の周りに設けられた導電性基層と、該導電性基層の外周面上に設けられた抵抗調整層とを備え、像担持体の外周面への接触により、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロールにおいて、
    500g荷重時のアスカーC硬度が34度以下であり、且つ片持ち梁形ばね式の荷重方式を採用するスプリング式硬さ試験機を用いた、33.85g荷重時のマイクロゴム硬度が、80度以上であるロール表面を有し、更に、前記抵抗調整層の硬度:X[度]及び該抵抗調整層の厚さ:Y[mm]が、それぞれ下記式(1)〜(4)を満たすように構成されていることを特徴とする帯電ロール。
    Figure 0005118927
    (上記式中、抵抗調整層の硬度:X[度]とは、抵抗調整層を形成する際の非発 泡性の半導電性ゴム材料を用いて、JIS−K−6253−2006の「加硫ゴ ム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」における「デュロメータ硬さ試験」に定め られる、厚さ:6mmの試験片を作製し、この試験片を、同じくJIS−K−6 253−2006に規定される「デュロメータ硬さ試験」に準じて、タイプAデ ュロメータによって測定することにより得られる硬さ(硬度、アスカーA硬度) である。)
  2. 前記導電性基層が導電性ゴム発泡体にて構成されている請求項1に記載の帯電ロール。
  3. 前記抵抗調整層の外周面上に、更に、軟質樹脂材料からなる保護層が設けられている請求項1又は請求項2に記載の帯電ロール。
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