JP2004069465A - 吸着燃焼式ガスセンサを用いたガス検知方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分なセンサ出力を確実に得ることができるようにし、検出精度を向上させたガス検知方法及びその装置を提供する。
【解決手段】吸着燃焼式ガスセンサ40を所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサ40の出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。
【選択図】 図1
【解決手段】吸着燃焼式ガスセンサ40を所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサ40の出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着燃焼式ガスセンサを用いたガス検知方法及びその装置に関し、特に、揮発性有機化合物ガスを検出可能な方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガス漏れ検知等のために、汎用性の高い接触燃焼式ガスセンサが数多く提案されている。このような接触燃焼式ガスセンサは、例えば、特開平11−006811号公報にも開示されている。この接触燃焼式ガスセンサは、パラジウムを担持したγアルミナ触媒膜を白金ヒータ上にスクリーン印刷、ディスペンサ塗布、或いは、薄膜蒸着等により形成し、ガスに反応しない補償素子とブリッジ回路を構成することでガスセンサを構成する。
【0003】
このガスセンサは、空気中での酸素と可燃性ガス分子とが触媒上で接触燃焼したときに発生する燃焼熱を白金ヒータの抵抗変化としてとらえることで、所定のガスを検知するようにしている。なお、実際には、検知素子と補償素子とでブリッジ回路を構成しているため、抵抗変化はブリッジ回路の電位差出力で表される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の接触燃焼式ガスセンサを用いた検出方法では、ガスセンサに通電後、所定時間経過した後にセンサ出力を取得するようにしている。このようにして取得したセンサ出力は図8にも示すようにあまり大きな値が得られない。特に、低濃度の場合には、センサ出力は非常に低く、十分な検出精度を得られない場合があった。なお、図8においては、エタノールのみを例示しているが、他のガスに対しても同様の傾向がみられる。
【0005】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、十分なセンサ出力を確実に得ることができるようにし、検出精度を向上させたガス検知方法及びその装置を提供することを課題としている。また、本発明は、特に、揮発性有機化合物ガスを検知するのに有効なガス検知方法及びその装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載のガス検知方法は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応する予め格納されたピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき前記被検知ガスを検知する、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するためになされた請求項2記載のガス検知方法は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、前記通電直後の所定時間にわたる前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する予め格納された積分値データとを比較し、この比較結果に基づき前記被検知ガスを検知する、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3記載のガス検知方法は、請求項1又は請求項2記載のガス検知方法において、前記被検知ガスは、エタノール、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物ガスである、ことを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4記載のガス検知装置は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電するセンサ駆動制御手段と、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得するピーク値取得手段と、被検知ガスに対応する前記通電直後のピーク値データを予め格納する格納手段と、前記ピーク値取得手段にて検知されたピーク値と、前記格納手段に格納されるピーク値データとを、比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づき前記被検知ガスを検知してその結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた請求項5記載のガス検知装置は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電するセンサ駆動制御手段と、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値の所定時間にわたる積分値を演算する積分値演算手段と、前記被検知ガスに対応する前記所定時間にわたる積分値データを予め格納する格納手段と、前記積分値演算手段にて演算された積分値と、前記格納手段に格納される積分値データとを、比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づき前記被検知ガスを検知してその結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1及び請求項4記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、ピーク値を利用してガス検知しているので、従来の接触式ガスセンサと比べて大きなセンサ出力が得られ、特に、低濃度においても大きなセンサ出力が得られるようになる。
【0012】
また、請求項2及び請求項5記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の所定時間にわたる吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する積分値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、積分値はピーク値と相関があるので、ピーク値を利用するのと同様に、大きなセンサ出力が得られる上に検知に必要な値が安定的に得られるようになる。
【0013】
また、請求項3記載の発明によれば、日常的に発生する種々のガスも確実に検知可能であるので、現実的なガスセンサが提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明のガス検知装置の一実施形態を示すブロック図である。図2は、図1のガス検知装置に用いられる駆動波形の一例を示すタイムチャートである。図3は、吸着燃焼式ガスセンサによるエタノールのセンサ出力特性を示すグラフである。なお、図3においては、横軸は、図2に示す駆動パルスを吸着燃焼式ガスセンサに供給した際の通電開始時点(図中、0時点)からの経過時間を示す。また、図4(A)、図4(B)及び図4(C)はそれぞれ、図1のガス検知装置に用いられる吸着燃焼式ガスセンサの平面図、背面図及びAA線断面図である。
【0015】
図1に示すように、本ガス検知装置1は、コントローラ10、駆動電源20、ガス検知出力手段30及び検出用のブリッジ回路を含む吸着燃焼式ガスセンサ40を含んで構成される。コントローラ10には、駆動電源20、ガス検知出力手段30及び吸着燃焼式ガスセンサ40が接続されている。
【0016】
本ガス検知装置1では、図2に示すような駆動パルスが供給されて吸着燃焼式ガスセンサ40が通電制御され、このセンサ40のセンサ出力に基づいて所望のガス種が検知され出力される。この検知の原理は、吸着燃焼式ガスセンサ40の通電開始時点からセンサ出力が安定する定常時点までの立上り期間(請求項の通電直後に相当)におけるセンサ出力が、特定種のガスに対して固有のピーク波形を呈することを利用するものである。
【0017】
詳しくは、図3に示すように、揮発性有機化合物ガスは特異なピーク波形を呈するが、とりわけ、30秒オフ後の通電期間において最も顕著にピークが現れ、本実施形態では、この現象を有効に利用するようにしている。すなわち、図2に示すように、30s(秒)の通電オフ期間後の200msの通電期間において、センサ出力を取得するようにしている。
【0018】
なお、図3の例では、有機化合物ガスとして1000ppmのエタノールを例示するが、他の揮発性有機化合物ガス、例えば、エタノール、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒドも同様にピーク波形を呈することが知られている。通電オフ時間は、ppmレベルの測定では、10〜60秒程度であり、通電時間は200ms程度が良好であることがわかっている。
【0019】
コントローラ10は、補正手段11、センサ駆動制御手段12、計時手段13、ピーク値取得手段14、格納手段15及び比較手段16を含んで構成される。このコントローラ10は、演算部、記憶部等を有するマイクロコンピュータにて具現化可能である。
【0020】
コントローラ10に含まれる補正手段11は、後述するブリッジ回路からの検出出力に所定の補正を施したものをセンサ出力として、上記ピーク値取得手段14に供給する。すなわち、ガス漏れのない空気中における上記ブリッジ回路からの検出出力を初期検出出力として予め計測しておき、この初期検出出力を実際に上記ブリッジ回路から得られる検出出力から減算したものを、上記センサ出力として出力する。なお、補正手段11とブリッジ回路との間には、図示しない増幅回路が介設されてもよい。
【0021】
センサ駆動制御手段12は、吸着燃焼式ガスセンサ40に対して駆動電源20を、計時手段13から供給されるクロック信号を参照しつつ通電制御して図2で示すような30sの通電オフ期間と200msの通電期間とで1周期が構成される駆動パルスを、電源オンされて所定のトリガーが有るまで、継続的に発生させる。なお、図2で示す駆動パルスにおいて、オフに相当する駆動パルスのレベルは必ずしもゼロである必要はない。すなわち、この駆動パルスは取得手段14で所望のセンサ出力が取得されやすいように、直流バイアスが印加されることもある。
【0022】
ピーク値取得手段14は、計時手段13から供給されるクロック信号を参照しつつ、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサ40の出力値のピーク値を取得する。詳しくは、ピーク値取得手段14は、検知すべきガスのピーク値を検出するのに十分な通電直後の時間にわたって、補正手段11からのセンサ出力をサンプリングすると共にこれらをそれぞれ保持しておき、この時間内におけるピーク値を取得する。サンプリングする時間は、例えば、被検知ガスがエタノールの場合、200〜300ms程度である。
【0023】
格納手段15には、被検知ガスに対応する通電直後のピーク値データが予め格納されている。詳しくは、被検知ガスに特有のピーク値は、実験等により事前に取得可能なので、これがピーク値データとして格納されている。例えば、エタノールの場合には、図4に示すように3.5V程度とする。また、比較手段16では、ピーク値取得手段14にて検知されたピーク値と、格納手段15に格納されるピーク値データとが比較されその結果が出力手段30に出力される。
【0024】
コントローラ10に接続される出力手段30は、比較手段16による比較結果に基づき被検知ガスを検知してその結果を出力する。この結果の出力は、例えば、発光ダイオード等の可視信号による方法やブザー等の可聴信号による方法が想定される。或いは、電話回線等の通信手段を利用した方法であってもよい。出力手段30は、これら可視又は可聴信号を発生するデバイスやそのドライバ回路や通信装置等を含んで構成される。なお、コントローラ10に接続される駆動電源20は、周知の電池等や商用電源が利用可能である。
【0025】
吸着燃焼式ガスセンサ40は、センサ駆動制御手段12にて図2で示すような駆動パルスが供給されて間欠的に駆動する。この吸着燃焼式ガスセンサ40は、基本的に、感応素子部Rs及び補償素子部Rrから構成されている。感応素子部Rsは(白金)Ptヒータ42及びPd/γAl2O3触媒層43を含み、補償素子部RrはPtヒータ44及びγAl2O3触媒層45を含む。上記Ptヒータ42、44は、固定抵抗R1、R2及び可変抵抗Rvと共にブリッジ回路を構成している。そして、このブリッジ回路のPtヒータ44及び固定抵抗R1の接続点、並びにPtヒータ42及び固定抵抗R2の接続点には、上記コントローラ10を介して駆動パルスが所定のインターバルで間欠的に供給される。また、Ptヒータ42及び44の接続点、並びに可変抵抗Rvからは、センサ出力としての電圧値がコントローラ10に供給される。
【0026】
この吸着燃焼式ガスセンサ40を使用するに際しては、まず、検出動作開始前に、上記補正手段11からのセンサ出力がゼロになるように上記可変抵抗Rvを調整する。この状態において、エタノール等が感応素子部Rsに触れると触媒作用により、この素子の表面で酸化されて反応熱が生じる。この反応熱により、Ptヒータ42の抵抗値が上昇し、この抵抗値の上昇によりブリッジ回路の平衡が崩れ、コントローラ10に上記センサ出力が供給される。この場合、Ptヒータ44は周囲温度の変動によるPtヒータ42の抵抗値の変動を相殺し、反応熱に起因するPtヒータ42の抵抗値の変動成分のみを取り出せるように補償する。上記吸着燃焼式ガスセンサ40の構造については、以下に図4を用いて後述する。
【0027】
図4(A)及び図4(B)に示すように、この吸着燃焼式ガスセンサは、400μm程度の(シリコン)Siウエハ41の上に、(酸化)SiO2膜48c、(窒化)SiN膜48b、及び(酸化ハフニウム)HfO2膜48aからなる1μm程度の絶縁薄膜が生膜され、その上に、感応素子部Rsとして(白金)Ptヒータ、Al2O3層42及びPd/γAl2O3触媒層43、並びに、補償素子部Rrとして(白金)Ptヒータ、Al2O3層44及びγAl2O3触媒層45が形成されている。これらの厚さは10μm程度である。また、図4(C)に示すように、異方性エッチングして凹部46及び47を形成して、それぞれ薄膜ダイヤフラムDs及びDrを形成している。なお、上記触媒としては、Au、Ni、Pt等の金属触媒でも可能である。また、触媒担体としては、シリカ、活性炭等の多孔質材料でも可能である。
【0028】
このような構成のガス検知装置1において、センサ駆動制御手段12に制御されて図2に示すような駆動パルスが継続的に出力されている。通電開始と同時に触媒担体上へ吸着したガス分子が燃焼され、この燃焼熱によってPtヒータの抵抗変化を引き起こす。これがブリッジ回路において電位差として検出される。このように被検知ガスが吸着燃焼式ガスセンサ40にて検出されると、そのセンサ出力は補正手段11を介してピーク値取得手段14に与えられる。ピーク値取得手段14ではセンサ出力からピーク値が検出されて、これが比較手段16に与えられて格納手段15に格納されるピーク値データと比較される。そして、比較結果が出力手段30に出力されて、所定の出力方法で警報出力等が行われる。
【0029】
このように、ピーク値を利用してガス検知しているので、従来の接触式ガスセンサと比べて大きなセンサ出力が得られる。特に、図5に示すように、センサ出力のピーク値は、濃度の対数に依存することが確かめられており、低濃度においても大きなセンサ出力が得られるようになる。この結果、検出精度が大幅に向上する。なお、図5では、エタノールのみを例示するが、他の揮発性有機化合物ガスも同様であることが知られている。
【0030】
上記実施形態においては、ピーク値を利用して所望の有機化合物ガスを検知する例を示したが、ピーク値に替えて、センサ出力の積分値を利用して、所望の有機化合物ガスを検知することも可能である。すなわち、図6に示すように、実線で示すセンサ出力のピーク値と点線で示す積分面積は相関性があることが確かめられている。なお、この例は、1000ppmのエタノールに対する、通電オフ時間とセンサ出力、積分面積との関係を示す(センサ出力のサンプリング時間は200msとした)ものであるが、他の揮発性有機化合物ガスに関しても同様であることが確かめられている。
【0031】
図7は、センサ出力に替えて積分値を利用したガス検知装置を示すブロック図である。図7において、図1に示した実施形態のピーク値取得手段14が、ここでは、積分値演算手段14′に置換されている。これに付随して格納手段15′及び比較手段16′も小変更される。他の構成要件は、図1に示した実施形態と同様であるので、ここでは繰り返し説明は省略する。
【0032】
積分値演算手段14′は、計時手段13から供給されるクロック信号を参照しつつ、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサ40の出力値の所定時間にわたる積分値を演算する。詳しくは、積分値演算手段14′は、検知すべきガスのピーク値に対応するタイミングを含む通電直後の所定時間にわたって、補正手段11からのセンサ出力をサンプリングすると共にこれらを積分する。積分期間は、例えば、200ms程度である。
【0033】
格納手段15′には、被検知ガスに対応する上記所定時間にわたる積分値データが予め格納されている。詳しくは、被検知ガスに特有の積分値は、事前に演算可能なので、これが積分値データとして格納されている。例えば、積分値データは、図6に示す通りである。また、比較手段16′では、積分値演算手段14′にて演算された積分値と、格納手段15′に格納される積分値データとが比較されその結果が出力手段30に出力される。
【0034】
このような構成のガス検知装置1において、センサ駆動制御手段12に制御されて図2に示すような駆動パルスが継続的に出力されている。被検知ガスが吸着燃焼式ガスセンサ40にて検知されると、そのセンサ出力は補正手段11を介して積分値演算手段14′に与えられる。積分値演算手段14′ではセンサ出力から積分値が演算されて、これが比較手段16′に与えられて格納手段15′に格納される積分値データと比較される。そして、比較結果が出力手段30に出力されて、所定の出力方法で警報出力等が行われる。
【0035】
このように、積分値を利用してガス検知しているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、積分値はピーク値と相関があるので、ピーク値を利用するのと同様に、大きなセンサ出力が得られる上に検知に必要な値が安定的に得られるようになり、この結果、検出精度が大幅に向上する。
【0036】
このように、本実施形態によれば、検出精度を大幅に向上させたガス検知方法及びその装置が提供される。特に、本実施形態は、揮発性有機化合物ガスを検知するのに特に有効となる。
【0037】
なお、上記実施形態においては、エタノールを例に挙げて説明したが、本発明は、エタノールのみの検知に限定されず、複数種の揮発性有機化合物ガスであれば同様に検知可能である。例えば、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒドを含む有機化合物ガスも検知可能である。これにともない通電オンオフ間隔、通電時間等も適宜変更可能である。本発明は、その要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び請求項4記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、ピーク値を利用してガス検知しているので、従来の接触式ガスセンサと比べて大きなセンサ出力が得られ、特に、低濃度においても大きなセンサ出力が得られるようになり、この結果、検出精度が大幅に向上する。
【0039】
請求項2及び請求項5記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の所定時間にわたる吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する積分値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、積分値はピーク値と相関があるので、ピーク値を利用するのと同様に、大きなセンサ出力が得られる上に検知に必要な値が安定的に得られるようになり、この結果、検出精度が大幅に向上する。
【0040】
請求項3記載の発明によれば、日常的に発生する種々のガスも確実に検知可能であるので、現実的なガスセンサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検知装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のガス検知装置に用いられる駆動波形の一例を示すタイムチャートである。
【図3】吸着燃焼式ガスセンサによるエタノールのセンサ出力特性を示すグラフである。
【図4】図4(A)、(B)及び(C)はそれぞれ、吸着燃焼式ガスセンサの平面図、背面図及びAA線断面図である。
【図5】本実施形態のガス検知装置による、エタノールに対するガス濃度とセンサ出力の関係を示すグラフである。
【図6】1000ppmのエタノールに対する、通電オフ時間とセンサ出力、積分面積との関係を示すグラフである。
【図7】本発明のガス検知装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【図8】従来の接触燃焼式ガスセンサによる、エタノールに対するガス濃度とセンサ出力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1′ ガス検知装置
10、10′ コントローラ
20 駆動電源
30 出力手段
40 吸着燃焼式ガスセンサ
42、44 Ptヒータ
43 Pd/γAl2O3触媒層
45 γAl2O3触媒層
Rs 感応素子部
Rr 補償素子部
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着燃焼式ガスセンサを用いたガス検知方法及びその装置に関し、特に、揮発性有機化合物ガスを検出可能な方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガス漏れ検知等のために、汎用性の高い接触燃焼式ガスセンサが数多く提案されている。このような接触燃焼式ガスセンサは、例えば、特開平11−006811号公報にも開示されている。この接触燃焼式ガスセンサは、パラジウムを担持したγアルミナ触媒膜を白金ヒータ上にスクリーン印刷、ディスペンサ塗布、或いは、薄膜蒸着等により形成し、ガスに反応しない補償素子とブリッジ回路を構成することでガスセンサを構成する。
【0003】
このガスセンサは、空気中での酸素と可燃性ガス分子とが触媒上で接触燃焼したときに発生する燃焼熱を白金ヒータの抵抗変化としてとらえることで、所定のガスを検知するようにしている。なお、実際には、検知素子と補償素子とでブリッジ回路を構成しているため、抵抗変化はブリッジ回路の電位差出力で表される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の接触燃焼式ガスセンサを用いた検出方法では、ガスセンサに通電後、所定時間経過した後にセンサ出力を取得するようにしている。このようにして取得したセンサ出力は図8にも示すようにあまり大きな値が得られない。特に、低濃度の場合には、センサ出力は非常に低く、十分な検出精度を得られない場合があった。なお、図8においては、エタノールのみを例示しているが、他のガスに対しても同様の傾向がみられる。
【0005】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、十分なセンサ出力を確実に得ることができるようにし、検出精度を向上させたガス検知方法及びその装置を提供することを課題としている。また、本発明は、特に、揮発性有機化合物ガスを検知するのに有効なガス検知方法及びその装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載のガス検知方法は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応する予め格納されたピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき前記被検知ガスを検知する、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するためになされた請求項2記載のガス検知方法は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、前記通電直後の所定時間にわたる前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する予め格納された積分値データとを比較し、この比較結果に基づき前記被検知ガスを検知する、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3記載のガス検知方法は、請求項1又は請求項2記載のガス検知方法において、前記被検知ガスは、エタノール、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物ガスである、ことを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4記載のガス検知装置は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電するセンサ駆動制御手段と、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得するピーク値取得手段と、被検知ガスに対応する前記通電直後のピーク値データを予め格納する格納手段と、前記ピーク値取得手段にて検知されたピーク値と、前記格納手段に格納されるピーク値データとを、比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づき前記被検知ガスを検知してその結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた請求項5記載のガス検知装置は、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電するセンサ駆動制御手段と、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値の所定時間にわたる積分値を演算する積分値演算手段と、前記被検知ガスに対応する前記所定時間にわたる積分値データを予め格納する格納手段と、前記積分値演算手段にて演算された積分値と、前記格納手段に格納される積分値データとを、比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づき前記被検知ガスを検知してその結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1及び請求項4記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、ピーク値を利用してガス検知しているので、従来の接触式ガスセンサと比べて大きなセンサ出力が得られ、特に、低濃度においても大きなセンサ出力が得られるようになる。
【0012】
また、請求項2及び請求項5記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の所定時間にわたる吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する積分値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、積分値はピーク値と相関があるので、ピーク値を利用するのと同様に、大きなセンサ出力が得られる上に検知に必要な値が安定的に得られるようになる。
【0013】
また、請求項3記載の発明によれば、日常的に発生する種々のガスも確実に検知可能であるので、現実的なガスセンサが提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明のガス検知装置の一実施形態を示すブロック図である。図2は、図1のガス検知装置に用いられる駆動波形の一例を示すタイムチャートである。図3は、吸着燃焼式ガスセンサによるエタノールのセンサ出力特性を示すグラフである。なお、図3においては、横軸は、図2に示す駆動パルスを吸着燃焼式ガスセンサに供給した際の通電開始時点(図中、0時点)からの経過時間を示す。また、図4(A)、図4(B)及び図4(C)はそれぞれ、図1のガス検知装置に用いられる吸着燃焼式ガスセンサの平面図、背面図及びAA線断面図である。
【0015】
図1に示すように、本ガス検知装置1は、コントローラ10、駆動電源20、ガス検知出力手段30及び検出用のブリッジ回路を含む吸着燃焼式ガスセンサ40を含んで構成される。コントローラ10には、駆動電源20、ガス検知出力手段30及び吸着燃焼式ガスセンサ40が接続されている。
【0016】
本ガス検知装置1では、図2に示すような駆動パルスが供給されて吸着燃焼式ガスセンサ40が通電制御され、このセンサ40のセンサ出力に基づいて所望のガス種が検知され出力される。この検知の原理は、吸着燃焼式ガスセンサ40の通電開始時点からセンサ出力が安定する定常時点までの立上り期間(請求項の通電直後に相当)におけるセンサ出力が、特定種のガスに対して固有のピーク波形を呈することを利用するものである。
【0017】
詳しくは、図3に示すように、揮発性有機化合物ガスは特異なピーク波形を呈するが、とりわけ、30秒オフ後の通電期間において最も顕著にピークが現れ、本実施形態では、この現象を有効に利用するようにしている。すなわち、図2に示すように、30s(秒)の通電オフ期間後の200msの通電期間において、センサ出力を取得するようにしている。
【0018】
なお、図3の例では、有機化合物ガスとして1000ppmのエタノールを例示するが、他の揮発性有機化合物ガス、例えば、エタノール、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒドも同様にピーク波形を呈することが知られている。通電オフ時間は、ppmレベルの測定では、10〜60秒程度であり、通電時間は200ms程度が良好であることがわかっている。
【0019】
コントローラ10は、補正手段11、センサ駆動制御手段12、計時手段13、ピーク値取得手段14、格納手段15及び比較手段16を含んで構成される。このコントローラ10は、演算部、記憶部等を有するマイクロコンピュータにて具現化可能である。
【0020】
コントローラ10に含まれる補正手段11は、後述するブリッジ回路からの検出出力に所定の補正を施したものをセンサ出力として、上記ピーク値取得手段14に供給する。すなわち、ガス漏れのない空気中における上記ブリッジ回路からの検出出力を初期検出出力として予め計測しておき、この初期検出出力を実際に上記ブリッジ回路から得られる検出出力から減算したものを、上記センサ出力として出力する。なお、補正手段11とブリッジ回路との間には、図示しない増幅回路が介設されてもよい。
【0021】
センサ駆動制御手段12は、吸着燃焼式ガスセンサ40に対して駆動電源20を、計時手段13から供給されるクロック信号を参照しつつ通電制御して図2で示すような30sの通電オフ期間と200msの通電期間とで1周期が構成される駆動パルスを、電源オンされて所定のトリガーが有るまで、継続的に発生させる。なお、図2で示す駆動パルスにおいて、オフに相当する駆動パルスのレベルは必ずしもゼロである必要はない。すなわち、この駆動パルスは取得手段14で所望のセンサ出力が取得されやすいように、直流バイアスが印加されることもある。
【0022】
ピーク値取得手段14は、計時手段13から供給されるクロック信号を参照しつつ、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサ40の出力値のピーク値を取得する。詳しくは、ピーク値取得手段14は、検知すべきガスのピーク値を検出するのに十分な通電直後の時間にわたって、補正手段11からのセンサ出力をサンプリングすると共にこれらをそれぞれ保持しておき、この時間内におけるピーク値を取得する。サンプリングする時間は、例えば、被検知ガスがエタノールの場合、200〜300ms程度である。
【0023】
格納手段15には、被検知ガスに対応する通電直後のピーク値データが予め格納されている。詳しくは、被検知ガスに特有のピーク値は、実験等により事前に取得可能なので、これがピーク値データとして格納されている。例えば、エタノールの場合には、図4に示すように3.5V程度とする。また、比較手段16では、ピーク値取得手段14にて検知されたピーク値と、格納手段15に格納されるピーク値データとが比較されその結果が出力手段30に出力される。
【0024】
コントローラ10に接続される出力手段30は、比較手段16による比較結果に基づき被検知ガスを検知してその結果を出力する。この結果の出力は、例えば、発光ダイオード等の可視信号による方法やブザー等の可聴信号による方法が想定される。或いは、電話回線等の通信手段を利用した方法であってもよい。出力手段30は、これら可視又は可聴信号を発生するデバイスやそのドライバ回路や通信装置等を含んで構成される。なお、コントローラ10に接続される駆動電源20は、周知の電池等や商用電源が利用可能である。
【0025】
吸着燃焼式ガスセンサ40は、センサ駆動制御手段12にて図2で示すような駆動パルスが供給されて間欠的に駆動する。この吸着燃焼式ガスセンサ40は、基本的に、感応素子部Rs及び補償素子部Rrから構成されている。感応素子部Rsは(白金)Ptヒータ42及びPd/γAl2O3触媒層43を含み、補償素子部RrはPtヒータ44及びγAl2O3触媒層45を含む。上記Ptヒータ42、44は、固定抵抗R1、R2及び可変抵抗Rvと共にブリッジ回路を構成している。そして、このブリッジ回路のPtヒータ44及び固定抵抗R1の接続点、並びにPtヒータ42及び固定抵抗R2の接続点には、上記コントローラ10を介して駆動パルスが所定のインターバルで間欠的に供給される。また、Ptヒータ42及び44の接続点、並びに可変抵抗Rvからは、センサ出力としての電圧値がコントローラ10に供給される。
【0026】
この吸着燃焼式ガスセンサ40を使用するに際しては、まず、検出動作開始前に、上記補正手段11からのセンサ出力がゼロになるように上記可変抵抗Rvを調整する。この状態において、エタノール等が感応素子部Rsに触れると触媒作用により、この素子の表面で酸化されて反応熱が生じる。この反応熱により、Ptヒータ42の抵抗値が上昇し、この抵抗値の上昇によりブリッジ回路の平衡が崩れ、コントローラ10に上記センサ出力が供給される。この場合、Ptヒータ44は周囲温度の変動によるPtヒータ42の抵抗値の変動を相殺し、反応熱に起因するPtヒータ42の抵抗値の変動成分のみを取り出せるように補償する。上記吸着燃焼式ガスセンサ40の構造については、以下に図4を用いて後述する。
【0027】
図4(A)及び図4(B)に示すように、この吸着燃焼式ガスセンサは、400μm程度の(シリコン)Siウエハ41の上に、(酸化)SiO2膜48c、(窒化)SiN膜48b、及び(酸化ハフニウム)HfO2膜48aからなる1μm程度の絶縁薄膜が生膜され、その上に、感応素子部Rsとして(白金)Ptヒータ、Al2O3層42及びPd/γAl2O3触媒層43、並びに、補償素子部Rrとして(白金)Ptヒータ、Al2O3層44及びγAl2O3触媒層45が形成されている。これらの厚さは10μm程度である。また、図4(C)に示すように、異方性エッチングして凹部46及び47を形成して、それぞれ薄膜ダイヤフラムDs及びDrを形成している。なお、上記触媒としては、Au、Ni、Pt等の金属触媒でも可能である。また、触媒担体としては、シリカ、活性炭等の多孔質材料でも可能である。
【0028】
このような構成のガス検知装置1において、センサ駆動制御手段12に制御されて図2に示すような駆動パルスが継続的に出力されている。通電開始と同時に触媒担体上へ吸着したガス分子が燃焼され、この燃焼熱によってPtヒータの抵抗変化を引き起こす。これがブリッジ回路において電位差として検出される。このように被検知ガスが吸着燃焼式ガスセンサ40にて検出されると、そのセンサ出力は補正手段11を介してピーク値取得手段14に与えられる。ピーク値取得手段14ではセンサ出力からピーク値が検出されて、これが比較手段16に与えられて格納手段15に格納されるピーク値データと比較される。そして、比較結果が出力手段30に出力されて、所定の出力方法で警報出力等が行われる。
【0029】
このように、ピーク値を利用してガス検知しているので、従来の接触式ガスセンサと比べて大きなセンサ出力が得られる。特に、図5に示すように、センサ出力のピーク値は、濃度の対数に依存することが確かめられており、低濃度においても大きなセンサ出力が得られるようになる。この結果、検出精度が大幅に向上する。なお、図5では、エタノールのみを例示するが、他の揮発性有機化合物ガスも同様であることが知られている。
【0030】
上記実施形態においては、ピーク値を利用して所望の有機化合物ガスを検知する例を示したが、ピーク値に替えて、センサ出力の積分値を利用して、所望の有機化合物ガスを検知することも可能である。すなわち、図6に示すように、実線で示すセンサ出力のピーク値と点線で示す積分面積は相関性があることが確かめられている。なお、この例は、1000ppmのエタノールに対する、通電オフ時間とセンサ出力、積分面積との関係を示す(センサ出力のサンプリング時間は200msとした)ものであるが、他の揮発性有機化合物ガスに関しても同様であることが確かめられている。
【0031】
図7は、センサ出力に替えて積分値を利用したガス検知装置を示すブロック図である。図7において、図1に示した実施形態のピーク値取得手段14が、ここでは、積分値演算手段14′に置換されている。これに付随して格納手段15′及び比較手段16′も小変更される。他の構成要件は、図1に示した実施形態と同様であるので、ここでは繰り返し説明は省略する。
【0032】
積分値演算手段14′は、計時手段13から供給されるクロック信号を参照しつつ、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサ40の出力値の所定時間にわたる積分値を演算する。詳しくは、積分値演算手段14′は、検知すべきガスのピーク値に対応するタイミングを含む通電直後の所定時間にわたって、補正手段11からのセンサ出力をサンプリングすると共にこれらを積分する。積分期間は、例えば、200ms程度である。
【0033】
格納手段15′には、被検知ガスに対応する上記所定時間にわたる積分値データが予め格納されている。詳しくは、被検知ガスに特有の積分値は、事前に演算可能なので、これが積分値データとして格納されている。例えば、積分値データは、図6に示す通りである。また、比較手段16′では、積分値演算手段14′にて演算された積分値と、格納手段15′に格納される積分値データとが比較されその結果が出力手段30に出力される。
【0034】
このような構成のガス検知装置1において、センサ駆動制御手段12に制御されて図2に示すような駆動パルスが継続的に出力されている。被検知ガスが吸着燃焼式ガスセンサ40にて検知されると、そのセンサ出力は補正手段11を介して積分値演算手段14′に与えられる。積分値演算手段14′ではセンサ出力から積分値が演算されて、これが比較手段16′に与えられて格納手段15′に格納される積分値データと比較される。そして、比較結果が出力手段30に出力されて、所定の出力方法で警報出力等が行われる。
【0035】
このように、積分値を利用してガス検知しているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、積分値はピーク値と相関があるので、ピーク値を利用するのと同様に、大きなセンサ出力が得られる上に検知に必要な値が安定的に得られるようになり、この結果、検出精度が大幅に向上する。
【0036】
このように、本実施形態によれば、検出精度を大幅に向上させたガス検知方法及びその装置が提供される。特に、本実施形態は、揮発性有機化合物ガスを検知するのに特に有効となる。
【0037】
なお、上記実施形態においては、エタノールを例に挙げて説明したが、本発明は、エタノールのみの検知に限定されず、複数種の揮発性有機化合物ガスであれば同様に検知可能である。例えば、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒドを含む有機化合物ガスも検知可能である。これにともない通電オンオフ間隔、通電時間等も適宜変更可能である。本発明は、その要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び請求項4記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、ピーク値を利用してガス検知しているので、従来の接触式ガスセンサと比べて大きなセンサ出力が得られ、特に、低濃度においても大きなセンサ出力が得られるようになり、この結果、検出精度が大幅に向上する。
【0039】
請求項2及び請求項5記載の発明によれば、吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、通電直後の所定時間にわたる吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する積分値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知するようにしているので、目的とするガスを確実に検知可能になる。すなわち、積分値はピーク値と相関があるので、ピーク値を利用するのと同様に、大きなセンサ出力が得られる上に検知に必要な値が安定的に得られるようになり、この結果、検出精度が大幅に向上する。
【0040】
請求項3記載の発明によれば、日常的に発生する種々のガスも確実に検知可能であるので、現実的なガスセンサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検知装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のガス検知装置に用いられる駆動波形の一例を示すタイムチャートである。
【図3】吸着燃焼式ガスセンサによるエタノールのセンサ出力特性を示すグラフである。
【図4】図4(A)、(B)及び(C)はそれぞれ、吸着燃焼式ガスセンサの平面図、背面図及びAA線断面図である。
【図5】本実施形態のガス検知装置による、エタノールに対するガス濃度とセンサ出力の関係を示すグラフである。
【図6】1000ppmのエタノールに対する、通電オフ時間とセンサ出力、積分面積との関係を示すグラフである。
【図7】本発明のガス検知装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【図8】従来の接触燃焼式ガスセンサによる、エタノールに対するガス濃度とセンサ出力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1′ ガス検知装置
10、10′ コントローラ
20 駆動電源
30 出力手段
40 吸着燃焼式ガスセンサ
42、44 Ptヒータ
43 Pd/γAl2O3触媒層
45 γAl2O3触媒層
Rs 感応素子部
Rr 補償素子部
Claims (5)
- 吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得し、このピーク値と被検知ガスに対応する予め格納されたピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき前記被検知ガスを検知する、
ことを特徴とするガス検知方法。 - 吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電し、前記通電直後の所定時間にわたる前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値の積分値を演算し、この積分値と被検知ガスに対応する予め格納された積分値データとを比較し、この比較結果に基づき前記被検知ガスを検知する、
ことを特徴とするガス検知方法。 - 請求項1又は請求項2記載のガス検知方法において、
前記被検知ガスは、エタノール、キシレン、ジエチルカーボネイト、ジメチルカーボネイト、酢酸及びホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物ガスである、
ことを特徴とするガス検知方法。 - 吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電するセンサ駆動制御手段と、
前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値のピーク値を取得するピーク値取得手段と、
被検知ガスに対応する前記通電直後のピーク値データを予め格納する格納手段と、
前記ピーク値取得手段にて検知されたピーク値と、前記格納手段に格納されるピーク値データとを、比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づき前記被検知ガスを検知してその結果を出力する出力手段と、
を有することを特徴とするガス検知装置。 - 吸着燃焼式ガスセンサを所定時間だけ電源断とした後に通電するセンサ駆動制御手段と、
前記通電直後の前記吸着燃焼式ガスセンサの出力値の所定時間にわたる積分値を演算する積分値演算手段と、
前記被検知ガスに対応する前記所定時間にわたる積分値データを予め格納する格納手段と、
前記積分値演算手段にて演算された積分値と、前記格納手段に格納される積分値データとを、比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づき前記被検知ガスを検知してその結果を出力する出力手段と、
を有することを特徴とするガス検知装置。
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