JP2004068996A - ボールねじ - Google Patents

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ball
screw
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screw shaft
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Toru Kanda
神田 徹
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NSK Ltd
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Abstract

【課題】大きな荷重が負荷されても接触角の変化が生じにくく、作動性の低下や寿命の低下が生じにくいボールねじを提供する。
【解決手段】螺旋状のねじ溝2aを外周面に有するねじ軸2と、ねじ軸2のねじ溝2aに対向するねじ溝3aを内周面に有し、両ねじ溝2a,3aにより形成される螺旋状のボール転動路6に転動自在に装填された多数のボール4を介してねじ軸2に螺合されるナット3と、ボール4をボール転動路6の一端ですくい上げて他端に送るリターンチューブ7と、を備えるボールねじ1において、ボール4とねじ溝2a,3aとの接触角αを48〜52°とした。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種機器の送り機構等に用いられるボールねじに係り、特に、射出成型機,プレス機等のような高負荷用途に好適に使用されるボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボールねじにおいては、ボールとの接触角が大きくなるようにねじ溝の形状を設定した方が、より大きなスラスト荷重を負荷することができ、ボールとの接触角が小さくなるようにねじ溝の形状を設定すると、大きなスラスト荷重を負荷することが困難となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
射出成型機,プレス機等に使用されているボールねじは負荷荷重が高いため、ナット,ねじ軸,機台等の弾性変形によってリード差が生じたり、取り付け誤差等によるコジリ(ねじ軸とナットとの間に生じる相対的な傾き)が発生するおそれがある。これらのことが原因となって、ナット内のボールの荷重負荷分布が不均一となり、その結果、接触角のバラツキが生じる。
【0004】
接触角とボールの移動量とには、下記式で示されるような関係がある。すなわち、接触角αが大きいほどボールの移動量Φが大きいという関係がある。
Φ=π{1−(Da/dm)・cosα・cos2 β}
ここで、Φはボールねじ一回転当たりのボールの移動量、αは接触角、βはリード角、Daはボールの直径、dmはボールねじのボールピッチ径(BCD)である。
【0005】
したがって、接触角のバラツキが生じるとボールの移動速度が変化して、隣り合うボールの間隔が近づいたり離れたりするため、このことが玉詰まり(ボール同士の競り合い)の原因となり、作動性の低下や寿命の低下を招いていた。
そこで、本発明は、上記のような従来のボールねじが有する問題点を解決し、大きな荷重が負荷されても接触角が変化が生じにくく、作動性の低下や寿命の低下が生じにくいボールねじを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明のボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された多数のボールを介して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記ボールを前記ボール転動路の一端ですくい上げて他端に送るボール循環路と、を備えるボールねじにおいて、前記ボールと前記ねじ溝との接触角が48〜52°であることを特徴とする。
【0007】
このように、初期の接触角が大きく設定されたボールねじは、小さく設定されたボールねじと比較して、大きなスラスト荷重が負荷されても接触角の変化が生じにくい(以降は、このことを「ロバスト性が良好である」と記す)。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係るボールねじの実施の形態を、図1の断面図(軸を含む平面で破断した断面図である)を参照しながら説明する。なお、本各実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1のボールねじ1は、螺旋状のねじ溝2aを外周面に有するねじ軸2と、ねじ軸2のねじ溝2aに対向する螺旋状のねじ溝3aを内周面に有しねじ軸2に螺合される円筒状のナット3と、ねじ軸2のねじ溝2aとナット3のねじ溝3aとで形成される螺旋状のボール転動路6に転動自在に装填された多数のボール4と、を備えている。なお、ねじ溝2a,3aの断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
【0009】
また、ナット3の外面には略コ字状に屈曲したリターンチューブ7が固定されている。このリターンチューブ7の両端は、ナット3を貫通してボール転動路6に至り、ボール転動路6内を転動するボール4がリターンチューブ7を通って循環されるようになっている。すなわち、ボール4は、ボール転動路6内を移動しねじ軸2の回りを複数回回ってから、ボール転動路6の一端(リターンチューブ7の端部とボール転動路6との交点)でリターンチューブ7の一方の端部(開口部)からリターンチューブ7内にすくい上げられる。その際には、リターンチューブ7の端部に凸設された図示しないタング部にボール4が衝突することにより、ボール4がリターンチューブ7内にすくい上げられる。すくい上げられたボール4は、リターンチューブ7の中を通って、リターンチューブ7の他方の端部(開口部)からボール転動路6の他端に戻される。
【0010】
そして、ボール4を介してねじ軸2に螺合されているナット3と、ねじ軸2とが、この多数のボール4の転動を介して軸方向に相対移動するようになっている。
このようなボールねじ1においては、ボール4とねじ溝2a,3aとの接触角αは48〜52°とされている(ボール転動路6と直交する面で破断した要部拡大断面図である図2を参照)。このように初期の接触角αが大きく設定されているので、ボールねじ1は大きなスラスト荷重が負荷されてもロバスト性が良好である。
【0011】
次に、上記のボールねじ1とほぼ同様の構成のボールねじ(日本精工株式会社製の呼び番号100×25×700−C7のボールねじ)を用いて、初期の接触角の設定とボールの摩耗率との相関を調査し、ロバスト性の良否を評価した。ねじ溝の形状を変更することにより接触角を種々変更したボールねじを用意し、日本精工株式会社製のボールねじ寿命耐久試験機を用いて、2通りの接触面圧で一定サイクル終了時のボールの摩耗量を測定した。以下に試験条件を記す。
【0012】
試験荷重  :▲1▼スラスト荷重294kN(平均接触面圧が1960MPaとなるような荷重)
▲2▼スラスト荷重152kN(平均接触面圧が1570MPaとなるような荷重)
最高回転速度:160min−1
ストローク :70mm
サイクル数 :100万サイクル
試験結果を図3のグラフに示す。グラフから分かるように、接触角が大きい方がボールの摩耗率は低くなっている。これは、接触角が大きいほど、ボールの競り合いが低減されるためと考えられる。一般に、軸方向荷重が大きくなるにしたがって、接触角が変化する(大きくなる)。また、接触角の初期設定が大きい方が、負荷された荷重による接触角の変化が小さく、ボールの移動速度のバラツキが小さい。
【0013】
グラフから、接触角は48°以上であることが好ましいことが分かる。48°未満であると、接触面圧が高い場合にボールの摩耗率が高くなる。一方、接触角が大きいほどボールの摩耗率は低くなる傾向があるものの、ボールがランド部に乗り上げてしまう可能性が高くなることと、ランド部の強度を十分に確保できなくなる可能性があるので、接触角は52°以下とすることが好ましい。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のボールねじは、大きな荷重が負荷されても接触角の変化が生じにくく、作動性の低下や寿命の低下が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボールねじの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のボールねじの要部拡大断面図である。
【図3】接触角とボールの摩耗率の相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1  ボールねじ
2  ねじ軸
2a  ねじ溝
3  ナット
3a  ねじ溝
4  ボール
6  ボール転動路
7  リターンチューブ
α  接触角

Claims (1)

  1. 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された多数のボールを介して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記ボールを前記ボール転動路の一端ですくい上げて他端に送るボール循環路と、を備えるボールねじにおいて、
    前記ボールと前記ねじ溝との接触角が48〜52°であることを特徴とするボールねじ。
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