JP2004068858A - 自動変速機のクラッチ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動オイルポンプからの油圧により発進クラッチを締結する場合において、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、電動オイルポンプの小型化を図ることができ、それにより、商品性を向上させることができる自動変速機のクラッチ制御装置を提供する。
【解決手段】自動変速機10のクラッチ制御装置1において、メイン・ECU2は、車両4の停止中、電動オイルポンプ32を運転し(ステップ13)、エンジン5を停止・再始動し(ステップ7,16)、A/T・ECU3は、エンジン5の再始動時、エンジン5の要求トルクTRQに応じてリニアソレノイドバルブ37の指令圧PSOLを決定し(ステップ57)、この指令圧PSOLをCPCバルブ35に供給することにより、LOWクラッチ20に供給される制御圧PLOWを制御する。
【選択図】 図11
【解決手段】自動変速機10のクラッチ制御装置1において、メイン・ECU2は、車両4の停止中、電動オイルポンプ32を運転し(ステップ13)、エンジン5を停止・再始動し(ステップ7,16)、A/T・ECU3は、エンジン5の再始動時、エンジン5の要求トルクTRQに応じてリニアソレノイドバルブ37の指令圧PSOLを決定し(ステップ57)、この指令圧PSOLをCPCバルブ35に供給することにより、LOWクラッチ20に供給される制御圧PLOWを制御する。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の発進クラッチに供給される油圧を制御することにより、発進クラッチの締結力を制御する自動変速機のクラッチ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のクラッチ制御装置として、例えば特開平8−14076号公報に記載されたものが知られている。このクラッチ制御装置は、信号待ちや踏切待ちのときなどにエンジンを自動的に停止し、発進時に自動的に再始動する、いわゆるアイドルストップ式の車両の自動変速機に適用されたものである。この自動変速機は、電動オイルポンプに接続され、発進クラッチを含むクラッチ群を有するAT油圧ユニットと、エンジンのトルクを駆動輪側に伝達するトルクコンバータなどを備えている(同公報の図8参照)。
【0003】
このクラッチ制御装置では、エンジンの停止中でも、AT油圧ユニット内の油圧が電動オイルポンプにより維持されるように構成されており、信号待ちや踏切待ちでのエンジン停止中、運転者の再発進意図を示す再発進動作、例えばアクセルペダルの踏み込みが行われると、AT油圧ユニットに蓄えられた油圧が発進クラッチに供給されることにより、発進クラッチが締結される。そして、この発進クラッチの締結タイミングよりも若干、遅いタイミングで、エンジンが始動されることにより、車両が発進する。このように、発進クラッチの締結完了後にエンジンが始動されるのは、エンジンの始動以降に発進クラッチを締結すると、クラッチの締結完了時に車両の加速度が急変することにより、運転者がショックを感じることがあるので、これを回避するためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のクラッチ制御装置によれば、運転者の再発進動作が行われた際、発進クラッチの締結完了後にエンジンが始動されるので、その分、再発進動作が行われてから、エンジンが実際に再始動し、車両が再発進するまでに時間がかかってしまうため、その商品性が低いという問題がある。この問題を解消するために、発進クラッチの締結と同時にエンジンを再始動した場合、車両の再発進に要する時間は短縮できるけれども、上記ショックが発生してしまうおそれがある。これに加えて、発進クラッチの締結後にエンジンが再始動されるので、自動変速機のトルクコンバータにおいて、そのポンプ・インペラとタービン・ライナとの間での回転偏差が発生し、伝達トルクが増幅されるため、そのように増幅されたトルクに対応できるように、大きな締結力を発進クラッチで確保しなければならない。特に、再発進の直後にアクセルペダルが大きく踏み込まれると、トルクコンバータでの伝達トルクの増幅率がその最大値に近い値になるため、発進クラッチに要求される締結力も極めて大きくなり、その結果、電動オイルポンプの大型化ひいてはクラッチ制御装置の大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電動オイルポンプからの油圧により発進クラッチを締結する場合において、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、電動オイルポンプの小型化を図ることができ、それにより、商品性を向上させることができる自動変速機のクラッチ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、発進クラッチ(LOWクラッチ20)を有し、原動機(内燃機関5)の出力を変速する車両4の自動変速機10において、車両4の発進時に発進クラッチの締結力を制御する自動変速機10のクラッチ制御装置1であって、電動機(オイルポンプ用モータ32a)と、電動機により駆動されるオイルポンプ32bと、車両4の停止中、オイルポンプ32bの作動条件が成立したか否かを判別する判別手段(メイン・ECU2、ステップ10〜12)と、判別手段により作動条件が成立していると判別されたときに、電動機を介してオイルポンプ32bを駆動するポンプ駆動手段(メイン・ECU2、ステップ13)と、オイルポンプ32bから出力された油圧を所定の圧力範囲(0〜PLOW1または0〜PLOW2)内で制御可能に構成され、制御された制御圧PLOWを発進クラッチに供給することにより発進クラッチの締結力を制御する制御弁機構(レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37)と、原動機の要求出力(要求トルクTRQ)を決定する要求出力決定手段(メイン・ECU2、ステップ22)と、決定された要求出力に応じて制御圧PLOWを決定する制御圧決定手段(A/T・ECU3、ステップ57)と、車両4の発進の際、制御圧決定手段により決定された制御圧PLOWに基づいて、制御弁機構による制御圧PLOWを制御する制御手段(A/T・ECU3)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、車両の停止中、オイルポンプの作動条件が成立したときに、ポンプ駆動手段により電動機を介してオイルポンプが駆動されることで、油圧が出力され、この油圧が制御弁機構により制御圧として発進クラッチに供給される。また、制御圧決定手段により、要求出力決定手段で決定された要求出力に応じて制御圧が決定され、制御手段により、この決定された制御圧に基づいて、制御弁機構による制御圧が制御されることで、発進クラッチの締結力が制御される。このように、車両が発進する際、原動機の要求出力に応じて、発進クラッチの締結力が制御されるので、発進クラッチを、原動機の出力に対して過不足のない適切な締結力で締結することができ、それにより、クラッチの締結完了時に加速度が急変することによるショックの発生を回避できる。したがって、例えば、原動機の始動と発進クラッチの締結とを同じタイミングで実行することにより、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、商品性を高めることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、制御弁機構は、制御手段による制御圧の制御が不可能であるときには、所定の圧力範囲の上限値PLOW1,PLOW2に等しい制御圧PLOWを発進クラッチ(LOWクラッチ20)に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、制御手段による制御圧の制御が不可能であるとき、例えば制御手段が故障しているときでも、所定の圧力範囲の上限値に等しい制御圧が発進クラッチに供給されるので、制御手段の故障の有無などにかかわらず、発進クラッチを確実に締結することができ、車両を確実に発進させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、原動機は内燃機関5で構成され、車両4は、内燃機関5の運転停止条件が成立したとき(ステップ1〜6の判別結果がすべてYESのとき)に、内燃機関5を停止するとともに(ステップ7)、内燃機関5の停止後に再始動条件が成立したとき(ステップ10〜12,15の判別結果がすべてYESのとき)に、内燃機関5を再始動する(ステップ16)アイドルストップ式の車両4として構成されており、制御手段(A/T・ECU3)は、内燃機関5の再始動の開始と同時に(ステップ50の判別結果がYESのときに)、制御弁機構の制御による発進クラッチの締結を開始する(ステップ51〜54)ことを特徴とする。
【0011】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、前述したように、車両が発進する際、原動機の要求出力に応じて、発進クラッチの締結力が制御されるので、アイドルストップ式の車両において、内燃機関の再始動と同時に発進クラッチを締結した場合でも、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮できる。その結果、商品性の高いアイドルストップ式の車両を実現することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、車両4は、原動機が電動機9および内燃機関5で構成されたハイブリッド車両であることを特徴とする。
【0013】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、1つの電動機を、オイルポンプ駆動用の電動機およびハイブリッド車両の原動機として共用することができ、その分、部品点数を削減できる。また、ハイブリッド車両で原動機として用いられる電動機は、補機用の電動機よりも高出力・高回転型のものが一般的であるので、補機用の電動機を用いた場合よりも、オイルポンプによる油圧の立ち上がり時間を短縮でき、発進クラッチの締結に要する時間を短縮することができる。それにより、商品性をさらに高めることができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、原動機により駆動され、昇圧した油圧を制御弁機構に出力する機械式オイルポンプ33をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、制御手段により、制御弁機構を介して、電動機で駆動されるオイルポンプから出力された油圧に加えて、機械式オイルポンプから出力された油圧が制御されるので、電動機およびこれで駆動されるオイルポンプ、すなわち電動オイルポンプを、例えば車両の原動機が始動するまでの間にのみ補助的に用いるように構成することにより、電動オイルポンプの小型化を図ることができる。また、原動機で駆動される車両では、潤滑用や駆動用に機械式オイルポンプを備えているのが一般的であるので、部品点数を増やすことなく、そのような機械式オイルポンプを利用しながら、制御圧を確保でき、上記作用効果を得ることができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、自動変速機10は、発進クラッチ(LOWクラッチ20)と原動機(内燃機関5)との間の動力伝達経路に設けられたトルクコンバータ11を有し、制御弁機構は、トルクコンバータ11に機械的に連結された連結部(コイルばね34b)を有し、オイルポンプ32bおよび機械式オイルポンプ33の少なくとも一方から出力された油圧を、トルクコンバータ11における入力側と出力側との間での回転偏差が発生していないときに、所定の第1油圧(第1ライン圧PLINE1、第2ライン圧PLINE2)に調圧し、回転偏差が発生しているときに、トルクコンバータ11で発生する力が連結部に伝達されることにより、第1油圧(第1ライン圧PLINE1、第2ライン圧PLINE2)よりも高い所定の第2油圧(第3ライン圧PLINE3)に調圧するレギュレータ(レギュレータバルブ34)と、レギュレータから供給された油圧(ライン圧PLINE)を上限とする所定の圧力範囲内の油圧を、制御圧PLOWとして発進クラッチに供給する制御弁(CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37)と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、レギュレータにより、オイルポンプおよび/または機械式オイルポンプから出力された油圧が、トルクコンバータの入力側と出力側との間で回転偏差が発生していないときには、所定の第1油圧に調圧され、回転偏差が発生しているとき、すなわちトルクコンバータによる伝達トルクの増幅が行われているときには、第1油圧よりも高い所定の第2油圧に調圧され、このように調圧された油圧を上限とする所定の圧力範囲内の油圧が、制御弁により、制御圧として発進クラッチに供給される。このように、トルクコンバータによる伝達トルクの増幅が行われていることで、発進クラッチの締結力としてより大きな締結力が必要なときには、レギュレータから制御弁に供給される油圧が、トルク増幅が行われていないときよりも高い値に調圧されるので、制御弁による制御圧をより高い値に制御することができ、発進クラッチの締結力を適切に増大させることができる。それにより、トルクコンバータによる伝達トルクの増幅中でも、従来よりもコンパクトな電動オイルポンプを用いながら、発進クラッチにおいて必要な締結力を確保することができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の自動変速機のクラッチ制御装置において、制御弁(CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37)は、自動変速機10のハウジング10aの外面に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、既存の自動変速機において、その設計変更を最小限に抑制しながら、言い換えれば既存の構成を最大限に利用しながら、制御弁を自動変速機に搭載することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る自動変速機のクラッチ制御装置について説明する。図1は、本実施形態に係るクラッチ制御装置1およびこれを適用した車両4の自動変速機10の概略構成を示している。
【0021】
この車両4では、原動機としての内燃機関(以下「エンジン」という)5が、自動変速機10および差動ギヤ機構6などを介して駆動輪7,7に連結されており、走行の際、エンジン5により駆動輪7,7が駆動される。また、この車両4は、後述するように、アイドルストップ式の車両として構成されており、エンジン5は、信号待ちや踏切待ちのときなどに自動的に停止されるとともに、再始動条件が成立したときに、自動的に再始動される。
【0022】
自動変速機10は、4速電子制御式自動変速機として構成され、L,2,D,N,R,Pの6つのシフトポジションを備えており、図示しないシフトレバーの操作により、これらのうちの1つのシフトポジションが選択される。
【0023】
この自動変速機10は、エンジン5に連結されたトルクコンバータ11と、トルクコンバータ11の出力軸と一体の主軸12と、これに平行な副軸13と、これらの軸12,13上に設けられた前進1〜4速ギヤ対14〜17と、リバースギヤ列(図示せず)と、油圧回路30などを備えている。これらのトルクコンバータ11、軸12,13および前進1〜4速ギヤ対14〜17などは、自動変速機10のハウジング10a(図6参照)内に収容されている。
【0024】
トルクコンバータ11は、ポンプ・インペラ11a、タービン・ライナ11bおよびステータ11cなどを備えており、このステータ11cは、油圧回路30の後述するレギュレータバルブ34のコイルばね34b(図2参照)に機械的に連結されている。トルクコンバータ11は、その入出力間の回転偏差、すなわちポンプ・インペラ11aとタービン・ライナ11bとの間の回転偏差が生じた場合、その回転偏差に応じてエンジン5の出力トルクを所定の最大増幅率(例えば250%)を上限とする範囲内の増幅率で増幅し、主軸12に伝達する。このトルクの増幅中、ステータ11cには、スラスト力が発生し、このスラスト力は、レギュレータバルブ34のコイルばね34bに伝達される。
【0025】
また、トルクコンバータ11のハウジングには、リングギヤ5aが一体に設けられている。このリングギヤ5aは、エンジン5のクランクシャフト5bに連結されているとともに、スタータ8(図3参照)の図示しないピニオンギヤに常に噛み合っている。このスタータ8は、図3に示すように、後述するメイン・ECU2に電気的に接続されており、エンジン5の始動の際、メイン・ECU2からの電気信号で駆動されることにより、リングギヤ5aを介してエンジン5のクランクシャフト5bを回転させる。
【0026】
また、前進1〜4速ギヤ対14〜17は、互いに異なるギヤ比に設定され、主軸12上にそれぞれ回転自在に設けられた主軸側前進1〜4速ギヤ14a〜17aと、副軸13にそれぞれ一体に設けられた副軸側前進1〜4速ギヤ14b〜17bとで構成されており、対をなすギヤ同士は常に噛み合っている。
【0027】
この主軸側前進1速ギヤ14aは、LOWクラッチ20およびワンウェイクラッチ21を介して主軸12に連結されている。LOWクラッチ20(発進クラッチ)は、湿式多板クラッチおよび油圧アクチュエータなどで構成されており、後述するように、油圧回路30からの油圧により締結・遮断されるとともに、その締結力がA/T・ECU3により制御される。また、ワンウェイクラッチ21により、主軸側前進1速ギヤ14aは、LOWクラッチ20が締結されているときには、主軸12の前進方向の回転に伴い、これと同じ方向に回転し、副軸側前進1速ギヤ14bを駆動するとともに、後述するように、副軸13の回転上昇により、副軸側前進1速ギヤ14bによって駆動される状態になったときには、主軸12に対して相対的に空回りする。それにより、主軸12側への動力伝達が回避される。
【0028】
さらに、主軸側前進2〜4速ギヤ15a〜17aは、2〜4速用クラッチ22〜24を介して主軸12に連結されている。これらの2〜4速用クラッチ22〜24はいずれも、LOWクラッチ20と同様に、湿式多板クラッチおよび油圧アクチュエータなどで構成されており、油圧回路30からの油圧により締結・遮断されるとともに、その締結力がA/T・ECU3により制御される。
【0029】
また、副軸13には、これと一体に駆動ギヤ18が設けられている。この駆動ギヤ18は、前記差動ギヤ機構6の被駆動ギヤ6aと常に噛み合っており、これにより、副軸13の回転に伴い、差動ギヤ機構6を介して駆動輪7,7が回転駆動される。
【0030】
次に、図2を参照しながら、油圧回路30について説明する。この油圧回路30は、LOWクラッチ20および2〜4速用クラッチ22〜24に油圧を供給することにより、これらを締結・遮断するためのものであり、以下の説明においては、LOWクラッチ20に油圧を供給する回路を中心として説明する。
【0031】
油圧回路30は、電動オイルポンプ32、機械式オイルポンプ33、レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37およびアキュムレータ38などを備えている。本実施形態では、レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、リニアソレノイドバルブ36およびリニアソレノイドバルブ37により、制御弁機構が構成されており、CPCバルブ35、リニアソレノイドバルブ36およびリニアソレノイドバルブ37により、制御弁が構成されている。
【0032】
電動オイルポンプ32は、電動機としてのオイルポンプ用モータ32aと、これにより駆動されるオイルポンプ32bとを組み合わせたものである。このオイルポンプ用モータ32aは、メイン・ECU2に接続されており、メイン・ECU2からの駆動信号によりON/OFFされる。また、オイルポンプ32bは、その吸込側が油路を介してオイル溜まり(図示せず)に接続され、吐出側が油路31を介してレギュレータバルブ34、CPCバルブ35およびソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36にそれぞれ接続されており、オイルポンプ用モータ32aがONされたときに、油圧をレギュレータバルブ34などに供給する。
【0033】
また、機械式オイルポンプ33も、電動オイルポンプ32と同様に、その吸込側が油路を介してオイル溜まりに、吐出側が油路31を介してレギュレータバルブ34およびCPCバルブ35などにそれぞれ接続されている。この機械式オイルポンプ33は、エンジン5のクランクシャフト5bに機械的に連結されており、エンジン5の運転中、これにより駆動されることで、油圧をレギュレータバルブ34などに供給する。
【0034】
一方、レギュレータバルブ34(レギュレータ)は、スプール34aおよびコイルばね34b(連結部)などを備えており、これらのスプール34aおよびコイルばね34bの協働により、電動オイルポンプ32または機械式オイルポンプ33からの油圧を、ライン圧PLINEとして調圧し、CPCバルブ35およびソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36に供給する。また、コイルばね34bは、前述したトルクコンバータ11のステータ11cに機械的に連結されており、それにより、レギュレータバルブ34は、トルクコンバータ11においてトルクの増幅が行われている際、ステータ11cからスラスト力がコイルばね34bに伝達されることにより、コイルばね34dに加えられる荷重が増大し、スプール34aが所定の油圧で釣り合った状態になることで、ライン圧PLINEを上昇させる。
【0035】
具体的には、ライン圧PLINEは、レギュレータバルブ34により、以下の▲1▼〜▲4▼のように調圧される。
▲1▼エンジン5の停止中、電動オイルポンプ32からの油圧のみが供給されているときには、ライン圧PLINEは、所定の第1ライン圧PLINE1(第1油圧)に調圧される。
▲2▼エンジン回転数NEが所定回転数以上で、機械式オイルポンプ33からの油圧が供給されている場合には、ライン圧PLINEは、第1ライン圧PLINE1よりも高い所定の第2ライン圧PLINE2(第1油圧)に調圧される。
▲3▼エンジン回転数NEが所定回転数以上で、アクセル開度APが所定開度以上で、トルクコンバータ11においてトルクの増幅が行われている場合には、第2ライン圧よりも高い所定の第3ライン圧PLINE3(第2油圧)に調圧される。
▲4▼上記▲1▼と▲2▼との間の過渡状態では、ライン圧PLINEは、機械式オイルポンプ33および電動オイルポンプ32から供給される油圧に応じて、第1ライン圧PLINE1と第2ライン圧PLINE2との間の値に調圧され、▲2▼と▲3▼との間の過渡状態では、第2ライン圧PLINE2と第3ライン圧PLINE3との間の範囲内で、上記スラスト力に応じて調圧される。より具体的には、スラスト力が大きいほど、より高い値に調圧される。
【0036】
また、レギュレータバルブ34とCPCバルブ35との間の油路31には、ライン圧センサ46が設けられている。このライン圧センサ46は、ライン圧PLINEを検出して、その検出信号をメイン・ECU2に出力する。
【0037】
さらに、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36は、油路31を介して、リニアソレノイドバルブ37に接続されている。このソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36は、スプールおよびコイルばね(いずれも図示せず)などを組み合わせたものであり、レギュレータバルブ34から供給されるライン圧PLINEを、一定の所定圧PLREGに調圧し、リニアソレノイドバルブ37に供給する。
【0038】
また、リニアソレノイドバルブ37は、油路31を介してCPCバルブ35に接続されており、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36から供給される所定圧PLREGを、指令圧PSOLとしてCPCバルブ35に供給する。リニアソレノイドバルブ37は、A/T・ECU3に電気的に接続されており、A/T・ECU3からの駆動信号(電流信号)により、その開度が制御されることで、指令圧PSOLをリニアに変化させる。具体的には、図4に示すように、指令圧PSOLは、上記駆動信号の電流値Iが所定値I1と所定値I2の間の範囲内にあるときには、電流値Iが大きいほど低い値として出力され、電流値Iが所定値I2以上のときには、出力されず(値0)、電流値Iが所定値I1以下(例えば値0)のときには、前記所定圧PLREGに等しい最高値PSOL1として出力される。以上のように、リニアソレノイドバルブ37は、常時開型のソレノイドバルブとして構成されている。
【0039】
一方、CPCバルブ35は、スプールおよびコイルばね(いずれも図示せず)などを組み合わせたものであり、レギュレータバルブ34で調圧されたライン圧PLINEを、リニアソレノイドバルブ37からの指令圧PSOLに応じた制御圧PLOWとして、油路31を介してLOWクラッチ20に出力する。
【0040】
図5は、CPCバルブ35における指令圧PSOLと制御圧PLOWとの関係を示しており、実線で示すデータが、レギュレータバルブ34からCPCバルブ35に供給されるライン圧PLINEが第3ライン圧PLINE3のときのものであり、破線で示すデータが、ライン圧PLINEが第2ライン圧PLINE2のときのものである。
【0041】
同図に示すように、CPCバルブ35では、制御圧PLOWは、指令圧PSOLが高いほど、より高い油圧としてリニアに出力される。特に、制御圧PLOWは、指令圧PSOLが最高値PSOL1の場合において、ライン圧PLINEが第3ライン圧PLINE3のときには、PLINE3に等しい上限値PLOW2として出力され、ライン圧PLINEが第2ライン圧PLINE2のときには、PLINE2に等しい上限値PLOW1として出力される。このように、CPCバルブ35から出力される制御圧PLOW、すなわちLOWクラッチ20の締結力は、リニアソレノイドバルブ37からの指令圧PSOLに応じて制御される。また、前述したように、リニアソレノイドバルブ37が常時開型のものであるので、A/T・ECU3の故障や断線などにより、A/T・ECU3からの駆動信号が供給されていないときには、リニアソレノイドバルブ37は、指令圧PSOLとして最高値PSOL1をCPCバルブ35に出力する。これにより、CPCバルブ35は、出力可能な制御圧PLOWの上限値である、その時点のライン圧PLINEをそのまま、LOWクラッチ20に出力し、それにより、LOWクラッチ20が締結される。
【0042】
また、CPCバルブ35とLOWクラッチ20との間の油路31には、アキュムレータ38および制御圧センサ47が設けられている。このアキュムレータ38は、CPCバルブ35から出力される制御圧PLOWを蓄圧することにより、LOWクラッチ20を確実に締結するためのものである。また、制御圧センサ47は、制御圧PLOWを検出して、その検出信号をA/T・ECU3に出力する。
【0043】
この油圧回路30では、LOWクラッチ20に制御圧PLOWを供給する回路は以上のように構成されており、図示しないけれども、2〜4速用クラッチ22〜24に油圧を供給する回路も、これとほぼ同様に構成されている。
【0044】
一方、図6に示すように、この自動変速機10では、そのハウジング10aの外面に、CPCバルブ35、リニアソレノイドバルブ37、アキュムレータ38および制御圧センサ47がユニット化された状態で取り付けられており、金属管で構成された油路31,31を介してハウジング10a内の各機器に接続されている。また、これらとは別個に、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36も、ハウジング10aの外面に取り付けられており、金属管で構成された油路31を介して、リニアソレノイドバルブ37に接続されている。
【0045】
また、図3に示すように、クラッチ制御装置1は、エンジン5および電動オイルポンプ32を主に制御するためのメイン・ECU2と、LOWクラッチ20を含む自動変速機10を主に制御するためのA/T・ECU3とを備えている。これら2つのECU2,3はいずれも、RAM、ROM、CPUおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成され、互いに接続されている。また、2つのECU2,3には、バッテリ39が接続されており、これから電力が常に供給される。
【0046】
メイン・ECU2には、イグニッションスイッチ(以下「IG・SW」という)40、ブレーキスイッチ(以下「BR・SW」という)41、シフトポジションセンサ42、アクセル開度センサ43、クランク角センサ44および副軸回転数センサ45などが接続されている。このIG・SW40は、図示しないイグニッションキーの操作によりON/OFFされるとともに、そのON/OFF状態を表す信号をメイン・ECU2に出力する。
【0047】
また、BR・SW41は、図示しないブレーキペダルが所定量以上、踏み込まれたときにON信号をメイン・ECU2に出力し、それ以外はOFF信号を出力する。さらに、シフトポジションセンサ42は、シフトレバーが前述した6つのシフトポジションのうちのいずれにあるかを検出し、その検出信号をメイン・ECU2に出力する。
【0048】
一方、アクセル開度センサ43は、車両4の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出し、その検出信号をメイン・ECU2に出力する。また、クランク角センサ44および副軸回転数センサ45はそれぞれ、クランクシャフト5bおよび副軸13の回転角度を表す検出信号を、メイン・ECU2に出力する。メイン・ECU2は、クランク角センサ44の検出信号に基づき、エンジン5の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出するとともに、副軸回転数センサ45の検出信号に基づき、車速VPを算出する。
【0049】
メイン・ECU2(判別手段、ポンプ駆動手段、要求出力決定手段)は、以上の2つのスイッチ40,41および各種のセンサ42〜46の検出信号に応じて、エンジン5の運転状態を判別するとともに、ROMに予め記憶された制御プログラムやRAMに記憶されたデータなどに従って、後述するように、アイドルストップ制御処理を実行することにより、停車中のエンジン5の停止および再始動を制御するとともに、電動オイルポンプ32の運転を制御する。
【0050】
また、A/T・ECU3(制御圧決定手段、制御手段)は、後述するように、メイン・ECU2で算出された要求トルクTRQ(要求出力)、および制御圧センサ47の検出信号に基づき、LOWクラッチ20に供給される制御圧PLOW(すなわちLOWクラッチ20の締結力)を制御する。
【0051】
以下、図7を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちのエンジン停止制御処理について説明する。この処理は、停車中にエンジン5を自動的に停止するものであり、所定周期で実行される。同図に示すように、この処理では、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)〜6において、エンジン停止条件が成立しているか否かを判別する。この判別では、ステップ1〜6において、以下の(a)〜(f)の6つの条件がいずれも成立しているときに、エンジン停止条件が成立していると判別され、それ以外のときには、エンジン停止条件が不成立であると判別される。
(a)IG・SW40がON状態にあること。
(b)エンジン回転数NEが所定値NEREF(例えば300rpm)以上であること。
(c)車速VPが所定値VPREF(例えば1km)以下であること。
(d)アクセル開度APが所定値APREF(例えば1゜)以下であること。
(e)シフトポジションがP,R,N以外であること。
(f)BR・SW41がON状態にあること。
【0052】
ステップ1〜6において、これらの(a)〜(f)のうちの少なくとも1つの条件が成立していないときには、エンジン停止条件が不成立であるとして、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ1〜6において、(a)〜(f)の6つの条件がいずれも成立しているときに、エンジン停止条件が成立しているとして、ステップ7に進み、エンジン5を停止する。具体的には、図示しないインジェクタによる燃料噴射、および図示しない点火プラグによる点火が停止される。
【0053】
次に、ステップ8に進み、エンジン5を停止したことを表すためにアイドルストップフラグF_IDLSTPを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0054】
次に、図8を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちのエンジン再始動制御処理について説明する。この処理は、エンジン5を停車中に自動的に再始動するものであり、所定周期で実行される。この処理では、まず、ステップ10において、IG・SW40がON状態にあるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、ステップ11に進み、前述したアイドルストップフラグF_IDLSTPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
【0055】
一方、この判別結果がYESで、前記エンジン停止制御処理の実行によりエンジン5が停止されているときには、ステップ12に進み、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ13に進み、オイルポンプ用モータ32aをONすることにより、電動オイルポンプ32を運転し、次に、ステップ14に進み、それを表すために、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONを「1」にセットした後、後述するステップ15に進む。
【0056】
一方、ステップ12の判別結果がYESのとき、すなわちエンジン停止中で、電動オイルポンプ32が運転されているときには、ステップ13,14をスキップして、ステップ15に進む。
【0057】
このステップ15では、BR・SW41がOFFされたか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、エンジン5を再始動する条件が成立したとして、ステップ16に進み、エンジン5を再始動する。具体的には、スタータ8によりクランクシャフト5bが駆動されると同時に、インジェクタによる燃料噴射および点火プラグによる点火が開始される。
【0058】
次に、ステップ17に進み、エンジン5を再始動したことを表すために、エンジン再始動フラグF_ENGRSTを「1」に、アイドルストップフラグF_IDLSTPを「0」にそれぞれセットした後、本処理を終了する。
【0059】
次に、図9を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちの要求トルク算出処理について説明する。この処理は、エンジン5の再始動の際に要求トルクTRQを算出するものであり、所定周期で実行される。
【0060】
この処理では、まず、ステップ20において、前述したエンジン再始動フラグF_ENGRSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、エンジン5が再始動されたときには、ステップ21に進み、後述する制御圧準備完了フラグF_PLOWが「1」であるか否かを判別する。
【0061】
この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、要求トルクTRQを算出すべき状態にあるとして、ステップ22に進み、要求トルクTRQを算出する。具体的には、要求トルクTRQは、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより算出される。
【0062】
次に、ステップ23に進み、要求トルクTRQを算出したことを表すために、要求トルク算出済みフラグF_TRQを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0063】
次に、図10を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちの電動オイルポンプ32の停止制御処理について説明する。この処理は、エンジン5の再始動後、電動オイルポンプ32による油圧の供給が不要になったときに、これを停止させるものであり、所定周期で実行される。
【0064】
この処理では、まず、ステップ40において、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、電動オイルポンプ32が停止中であるときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、電動オイルポンプ32が運転中であるときには、ステップ41に進み、エンジン再始動フラグF_ENGRSTが「1」であるか否かを判別する。
【0065】
この判別結果がNOで、エンジン5が再始動されていないときには、本処理を終了する。一方、ステップ41の判別結果がYESで、エンジン5が再始動されたときには、ステップ42に進み、ライン圧センサ46により検出されたライン圧PLINEが、前記第1ライン圧PLINE1よりも高い所定値PLREFであるか否かを判別する。
【0066】
この判別結果がNOで、ライン圧PLINEが所定値PLREFに達していないときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ42の判別結果がYESで、PLINE≧PLREFのときには、エンジン5の再始動に伴う機械式オイルポンプ33の作動により、ライン圧PLINEが十分に上昇していることで、電動オイルポンプ32を停止してもよい状態にあるとして、ステップ43に進み、オイルポンプ用モータ32aをOFFすることにより、電動オイルポンプ32を停止する。
【0067】
次に、ステップ44に進み、電動オイルポンプ32を停止したことを表すために、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONを「0」にリセットした後、本処理を終了する。
【0068】
以上のように、この制御処理では、エンジン5の再始動の際、ライン圧PLINEが所定値PLREF以上になったとき、すなわち、機械式オイルポンプ33が運転されることで、ライン圧PLINEが、電動オイルポンプ32のみの運転で発生する第1ライン圧PLINE1よりも高くなったときには、電動オイルポンプ32が停止される。これにより、不要な電動オイルポンプ32の運転を回避でき、消費電力を低減できる。
【0069】
次に、図11を参照しながら、エンジン再始動時にA/T・ECU3により実行されるリニアソレノイドバルブ37の制御処理について説明する。この処理は、所定周期で実行される。
【0070】
この処理では、まず、ステップ50において、エンジン再始動フラグF_ENGRSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、エンジン5が再始動されていないときには、本処理を終了する。
【0071】
一方、ステップ50の判別結果がYESで、エンジン5が再始動されたときには、ステップ51に進み、制御圧準備完了フラグF_PLOWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、以下に述べるステップ52〜55をスキップして、後述するステップ56に進む。
【0072】
一方、ステップ51の判別結果がNOのときには、ステップ52に進み、制御圧PLOWが所定値PLOWREF以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ53に進み、目標指令圧PSOLOBJの算出処理を実行する。
【0073】
このステップ53では、その具体的な処理の内容は図示しないが、1回目のルーチンにおいて、目標制御圧PLOWOBJを、上記所定値PLOWREFに設定するとともに、この目標制御圧PLOWOBJに応じて、図示しないテーブルを検索することにより目標指令圧PSOLOBJを算出する。また、2回目以降のルーチンでは、制御圧センサ47により検出された制御圧PLOWの値と所定値PLOWREFとの偏差に基づいて、目標制御圧PLOWOBJの今回値を算出するとともに、この今回値に応じて図示しないテーブルを検索することにより、目標指令圧PSOLOBJを算出する。以上のように目標指令圧PSOLOBJが算出されることにより、制御圧PLOWが所定値PLOWREFになるようにフィードバック制御される。
【0074】
次に、ステップ54に進み、ステップ53で算出された目標指令圧PSOLOBJに基づく駆動信号を、リニアソレノイドバルブ37に出力した後、本処理を終了する。
【0075】
一方、ステップ52の判別結果がYESのとき、すなわち上記ステップ53,54の処理により制御圧PLOWが所定値PLOWREF以上になったときには、ステップ55に進み、それを表すために制御圧準備完了フラグF_PLOWを「1」にセットした後、ステップ56に進む。
【0076】
ステップ51または55に続くステップ56では、前述した要求トルク算出済みフラグF_TRQが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、メイン・ECU2において要求トルクTRQを算出済みであるときには、ステップ57に進み、目標指令圧PSOLOBJの算出処理を実行する。
【0077】
このステップ57では、その具体的な内容は図示しないが、以下のように目標指令圧PSOLOBJが算出される。すなわち、要求トルクTRQに応じて、図示しないテーブルを検索することにより、目標制御圧PLOWOBJのテーブル値を算出する。このテーブル値は、これと等しい制御圧PLOWがCPCバルブ35からLOWクラッチ20に出力された際、LOWクラッチ20に作用するクラッチ締結力により、要求トルクTRQを伝達するのに必要なクラッチ容量よりも若干大きなクラッチ容量がLOWクラッチ20で得られるような値に設定されている。そして、このテーブル値と制御圧センサ47により検出された制御圧PLOWの検出値との偏差に基づいて、テーブル値を補正することにより、最終的な目標制御圧PLOWOBJを算出するとともに、この最終的な目標制御圧PLOWOBJに応じて、図示しないテーブルを検索することにより目標指令圧PSOLOBJを算出する。以上のように目標指令圧PSOLOBJが算出されることにより、制御圧PLOWが目標制御圧PLOWOBJになるようにフィードバック制御される。以上により、LOWクラッチ20の締結力を、要求トルクTRQに対して過不足なく適切に制御することができる。
【0078】
次に、ステップ58に進み、ステップ57で算出された目標指令圧PSOLOBJに基づく駆動信号を、リニアソレノイドバルブ37に出力した後、本処理を終了する。
【0079】
以上のように、この制御処理では、エンジン5の再始動の際、まず、制御圧PLOWが所定圧PLOWREFになるようにフィードバック制御されるとともに、制御圧PLOWが所定圧PLOWREF以上になった以降、要求トルクTRQに応じて、制御圧PLOWがフィードバック制御される。このように、エンジン5の再始動の際、制御圧PLOWが所定圧PLOWREFになるように最初に制御されるのは、A/T・ECU3からの駆動信号がリニアソレノイドバルブ37に入力された際、CPCバルブ35およびリニアソレノイドバルブ37を含めた油圧系の応答遅れに起因して、LOWクラッチ20の締結が実際に開始されるまでに作動遅れを生じるので、これを補償するためである。
【0080】
以上のように、本実施形態に係るクラッチ制御装置1によれば、アイドルストップ制御の際、エンジン5の停止後、電動オイルポンプ32が常に運転されることで、ライン圧PLINEがCPCバルブ35に常に供給されるので、エンジン5の再始動と同時に、制御圧PLOWをLOWクラッチ20に供給することができる。また、エンジン再始動の際、制御圧PLOWが所定圧PLOWREF以上になった後、指令圧PSOLすなわち制御圧PLOWが、要求トルクTRQに応じて、要求トルクTRQを確実に伝達するのに必要なクラッチ容量よりも若干大きなクラッチ容量がLOWクラッチ20で得られるように制御されるので、油圧系の応答遅れに起因するLOWクラッチ20の作動遅れを補償しながら、LOWクラッチ20の締結力を、要求トルクTRQに対して過不足なく適切に制御することができる。それにより、車両4が発進する際、発進クラッチ20の締結完了時の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、発進に要する時間を短縮でき、商品性を高めることができる。
【0081】
また、リニアソレノイドバルブ37が常時開型のソレノイドバルブとして構成されていることで、A/T・ECU3の故障や断線などにより、A/T・ECU3からの駆動信号がリニアソレノイドバルブ37に供給されていないときでも、最高値PSOL1の指令圧PSOLがCPCバルブ35に出力され、その時点のライン圧PLINEがCPCバルブ35からLOWクラッチ20に供給されるので、LOWクラッチ20を確実に締結することができ、車両4を発進させることができる。
【0082】
さらに、電動オイルポンプ32を、機械式オイルポンプ33の油圧が立ち上がるまでの補助用として用いたので、その小型化を図ることができる。また、エンジン5を備えた車両4では、潤滑用や駆動用に機械式オイルポンプを備えているのが一般的であるので、部品点数を増やすことなく、そのような機械式オイルポンプを利用しながら、制御圧PLOWを確保でき、上記効果を得ることができる。
【0083】
また、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37、アキュムレータ38および制御圧センサ47が、自動変速機10のハウジング10aの外面に取り付けられているので、これらを既存の自動変速機に取り付ける場合でも、その設計変更を最小限に抑制しながら、言い換えれば既存の構成を最大限に利用しながら、上記各機器弁を既存の自動変速機に搭載することができる。
【0084】
なお、実施形態は、本発明のクラッチ制御装置1を内燃機関5を原動機とする車両4の自動変速機10に適用した例であるが、本発明のクラッチ制御装置はこれに限らず、内燃機関および電動機を原動機とするハイブリッド車両にも適用可能である。例えば、図1に2点鎖線で示すように、クラッチ制御装置1が適用される車両4において、電力回生可能な電気モータ9をクランクシャフト5bおよび副軸13に選択的に連結可能に設けることにより、車両4をハイブリッド車両として構成するとともに、この電気モータ9をオイルポンプ32bの駆動用のモータとして用いるようにしてもよい。このようにした場合、原動機としての電気モータ9をオイルポンプ32bの駆動用のモータとして共用できる分、部品点数を削減できる。また、電気モータ9として、ハイブリッド車両の原動機において一般的な高出力・高回転型のものを用いることにより、オイルポンプ32bによる油圧の立ち上がり時間を短縮でき、商品性を高めることができる。
【0085】
また、実施形態は、レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36およびリニアソレノイドバルブ37により制御弁機構を構成した例であるが、制御弁機構はこれに限らず、A/T・ECU3からの駆動信号に応じて、電動オイルポンプ32からの油圧を制御圧PLOWとして制御できるものであればよい。例えば、制御弁機構として、リニアソレノイドバルブのみを用い、電動オイルポンプとして制御性の高いものを用いることにより、制御圧PLOWを実施形態と同様に制御するようにしてもよい。
【0086】
さらに、実施形態は、機械式オイルポンプ33を主な油圧源とし、電動オイルポンプ32を機械式オイルポンプ33による油圧が完全に立ち上がるまでの間の補助的な油圧源として用いた例であるが、電動オイルポンプ32はこれに限らず、LOWクラッチ20の締結力を制御可能な油圧を発生するものであればよい。例えば、電動オイルポンプ32として、ライン圧PLINEを第3ライン圧PLINE3まで上昇させることが可能な性能のものを用いるとともに、機械式オイルポンプ33を省略するようにしてもよい。
【0087】
なお、実施形態は、アイドルストップ制御において、エンジン5の停止後、電動オイルポンプ32を常に運転するように構成した例であるが、電動オイルポンプ32をライン圧PLINEに応じてON/OFF制御するようにしてもよい。すなわち、電動オイルポンプ32を、ライン圧PLINEが所定圧以上のときに停止し、この所定圧よりも若干低い値未満になったときに運転するようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明の自動変速機のクラッチ制御装置によれば、電動オイルポンプからの油圧により発進クラッチを締結する場合において、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、電動オイルポンプの小型化を図ることができ、それにより、商品性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るクラッチ制御装置およびこれを適用した車両の自動変速機の概略構成を示す図である。
【図2】油圧回路の概略構成を示す模式図である。
【図3】クラッチ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】リニアソレノイドバルブの作動特性を示す図である。
【図5】CPCバルブの作動特性を示す図である。
【図6】リニアソレノイドバルブなどの自動変速機のハウジングへの取付状態を示す図である。
【図7】メイン・ECUにより実行されるアイドルストップ制御処理のうちのエンジン停止制御処理を示すフローチャートである。
【図8】アイドルストップ制御処理のうちのエンジン再始動制御処理を示すフローチャートである。
【図9】アイドルストップ制御処理のうちの要求トルク算出処理を示すフローチャートである。
【図10】アイドルストップ制御処理のうちの電動オイルポンプの停止制御処理を示すフローチャートである。
【図11】エンジン再始動時にA/T・ECUにより実行されるリニアソレノイドバルブの制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 クラッチ制御装置
2 メイン・ECU(判別手段、ポンプ駆動手段、要求出力決定手段)
3 A/T・ECU(制御圧決定手段、制御手段)
4 車両
5 内燃機関(原動機)
9 電動機(原動機)
10 自動変速機
10a ハウジング
11 トルクコンバータ
20 LOWクラッチ(発進クラッチ)
32a オイルポンプ用モータ(電動機)
32b オイルポンプ
33 機械式オイルポンプ
34 レギュレータバルブ(制御弁機構、レギュレータ)
34b コイルばね(連結部)
35 CPCバルブ(制御弁機構、制御弁)
36 ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ(制御弁機構、制御弁)
37 リニアソレノイドバルブ(制御弁機構、制御弁)
PLOW 制御圧
PLOW1 上限値
PLOW2 上限値
PLINE1 第1ライン圧(第1油圧)
PLINE2 第2ライン圧(第1油圧)
PLINE3 第3ライン圧(第2油圧)
TRQ 要求トルク(要求出力)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の発進クラッチに供給される油圧を制御することにより、発進クラッチの締結力を制御する自動変速機のクラッチ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のクラッチ制御装置として、例えば特開平8−14076号公報に記載されたものが知られている。このクラッチ制御装置は、信号待ちや踏切待ちのときなどにエンジンを自動的に停止し、発進時に自動的に再始動する、いわゆるアイドルストップ式の車両の自動変速機に適用されたものである。この自動変速機は、電動オイルポンプに接続され、発進クラッチを含むクラッチ群を有するAT油圧ユニットと、エンジンのトルクを駆動輪側に伝達するトルクコンバータなどを備えている(同公報の図8参照)。
【0003】
このクラッチ制御装置では、エンジンの停止中でも、AT油圧ユニット内の油圧が電動オイルポンプにより維持されるように構成されており、信号待ちや踏切待ちでのエンジン停止中、運転者の再発進意図を示す再発進動作、例えばアクセルペダルの踏み込みが行われると、AT油圧ユニットに蓄えられた油圧が発進クラッチに供給されることにより、発進クラッチが締結される。そして、この発進クラッチの締結タイミングよりも若干、遅いタイミングで、エンジンが始動されることにより、車両が発進する。このように、発進クラッチの締結完了後にエンジンが始動されるのは、エンジンの始動以降に発進クラッチを締結すると、クラッチの締結完了時に車両の加速度が急変することにより、運転者がショックを感じることがあるので、これを回避するためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のクラッチ制御装置によれば、運転者の再発進動作が行われた際、発進クラッチの締結完了後にエンジンが始動されるので、その分、再発進動作が行われてから、エンジンが実際に再始動し、車両が再発進するまでに時間がかかってしまうため、その商品性が低いという問題がある。この問題を解消するために、発進クラッチの締結と同時にエンジンを再始動した場合、車両の再発進に要する時間は短縮できるけれども、上記ショックが発生してしまうおそれがある。これに加えて、発進クラッチの締結後にエンジンが再始動されるので、自動変速機のトルクコンバータにおいて、そのポンプ・インペラとタービン・ライナとの間での回転偏差が発生し、伝達トルクが増幅されるため、そのように増幅されたトルクに対応できるように、大きな締結力を発進クラッチで確保しなければならない。特に、再発進の直後にアクセルペダルが大きく踏み込まれると、トルクコンバータでの伝達トルクの増幅率がその最大値に近い値になるため、発進クラッチに要求される締結力も極めて大きくなり、その結果、電動オイルポンプの大型化ひいてはクラッチ制御装置の大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電動オイルポンプからの油圧により発進クラッチを締結する場合において、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、電動オイルポンプの小型化を図ることができ、それにより、商品性を向上させることができる自動変速機のクラッチ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、発進クラッチ(LOWクラッチ20)を有し、原動機(内燃機関5)の出力を変速する車両4の自動変速機10において、車両4の発進時に発進クラッチの締結力を制御する自動変速機10のクラッチ制御装置1であって、電動機(オイルポンプ用モータ32a)と、電動機により駆動されるオイルポンプ32bと、車両4の停止中、オイルポンプ32bの作動条件が成立したか否かを判別する判別手段(メイン・ECU2、ステップ10〜12)と、判別手段により作動条件が成立していると判別されたときに、電動機を介してオイルポンプ32bを駆動するポンプ駆動手段(メイン・ECU2、ステップ13)と、オイルポンプ32bから出力された油圧を所定の圧力範囲(0〜PLOW1または0〜PLOW2)内で制御可能に構成され、制御された制御圧PLOWを発進クラッチに供給することにより発進クラッチの締結力を制御する制御弁機構(レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37)と、原動機の要求出力(要求トルクTRQ)を決定する要求出力決定手段(メイン・ECU2、ステップ22)と、決定された要求出力に応じて制御圧PLOWを決定する制御圧決定手段(A/T・ECU3、ステップ57)と、車両4の発進の際、制御圧決定手段により決定された制御圧PLOWに基づいて、制御弁機構による制御圧PLOWを制御する制御手段(A/T・ECU3)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、車両の停止中、オイルポンプの作動条件が成立したときに、ポンプ駆動手段により電動機を介してオイルポンプが駆動されることで、油圧が出力され、この油圧が制御弁機構により制御圧として発進クラッチに供給される。また、制御圧決定手段により、要求出力決定手段で決定された要求出力に応じて制御圧が決定され、制御手段により、この決定された制御圧に基づいて、制御弁機構による制御圧が制御されることで、発進クラッチの締結力が制御される。このように、車両が発進する際、原動機の要求出力に応じて、発進クラッチの締結力が制御されるので、発進クラッチを、原動機の出力に対して過不足のない適切な締結力で締結することができ、それにより、クラッチの締結完了時に加速度が急変することによるショックの発生を回避できる。したがって、例えば、原動機の始動と発進クラッチの締結とを同じタイミングで実行することにより、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、商品性を高めることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、制御弁機構は、制御手段による制御圧の制御が不可能であるときには、所定の圧力範囲の上限値PLOW1,PLOW2に等しい制御圧PLOWを発進クラッチ(LOWクラッチ20)に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、制御手段による制御圧の制御が不可能であるとき、例えば制御手段が故障しているときでも、所定の圧力範囲の上限値に等しい制御圧が発進クラッチに供給されるので、制御手段の故障の有無などにかかわらず、発進クラッチを確実に締結することができ、車両を確実に発進させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、原動機は内燃機関5で構成され、車両4は、内燃機関5の運転停止条件が成立したとき(ステップ1〜6の判別結果がすべてYESのとき)に、内燃機関5を停止するとともに(ステップ7)、内燃機関5の停止後に再始動条件が成立したとき(ステップ10〜12,15の判別結果がすべてYESのとき)に、内燃機関5を再始動する(ステップ16)アイドルストップ式の車両4として構成されており、制御手段(A/T・ECU3)は、内燃機関5の再始動の開始と同時に(ステップ50の判別結果がYESのときに)、制御弁機構の制御による発進クラッチの締結を開始する(ステップ51〜54)ことを特徴とする。
【0011】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、前述したように、車両が発進する際、原動機の要求出力に応じて、発進クラッチの締結力が制御されるので、アイドルストップ式の車両において、内燃機関の再始動と同時に発進クラッチを締結した場合でも、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮できる。その結果、商品性の高いアイドルストップ式の車両を実現することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、車両4は、原動機が電動機9および内燃機関5で構成されたハイブリッド車両であることを特徴とする。
【0013】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、1つの電動機を、オイルポンプ駆動用の電動機およびハイブリッド車両の原動機として共用することができ、その分、部品点数を削減できる。また、ハイブリッド車両で原動機として用いられる電動機は、補機用の電動機よりも高出力・高回転型のものが一般的であるので、補機用の電動機を用いた場合よりも、オイルポンプによる油圧の立ち上がり時間を短縮でき、発進クラッチの締結に要する時間を短縮することができる。それにより、商品性をさらに高めることができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、原動機により駆動され、昇圧した油圧を制御弁機構に出力する機械式オイルポンプ33をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、制御手段により、制御弁機構を介して、電動機で駆動されるオイルポンプから出力された油圧に加えて、機械式オイルポンプから出力された油圧が制御されるので、電動機およびこれで駆動されるオイルポンプ、すなわち電動オイルポンプを、例えば車両の原動機が始動するまでの間にのみ補助的に用いるように構成することにより、電動オイルポンプの小型化を図ることができる。また、原動機で駆動される車両では、潤滑用や駆動用に機械式オイルポンプを備えているのが一般的であるので、部品点数を増やすことなく、そのような機械式オイルポンプを利用しながら、制御圧を確保でき、上記作用効果を得ることができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の自動変速機10のクラッチ制御装置1において、自動変速機10は、発進クラッチ(LOWクラッチ20)と原動機(内燃機関5)との間の動力伝達経路に設けられたトルクコンバータ11を有し、制御弁機構は、トルクコンバータ11に機械的に連結された連結部(コイルばね34b)を有し、オイルポンプ32bおよび機械式オイルポンプ33の少なくとも一方から出力された油圧を、トルクコンバータ11における入力側と出力側との間での回転偏差が発生していないときに、所定の第1油圧(第1ライン圧PLINE1、第2ライン圧PLINE2)に調圧し、回転偏差が発生しているときに、トルクコンバータ11で発生する力が連結部に伝達されることにより、第1油圧(第1ライン圧PLINE1、第2ライン圧PLINE2)よりも高い所定の第2油圧(第3ライン圧PLINE3)に調圧するレギュレータ(レギュレータバルブ34)と、レギュレータから供給された油圧(ライン圧PLINE)を上限とする所定の圧力範囲内の油圧を、制御圧PLOWとして発進クラッチに供給する制御弁(CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37)と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、レギュレータにより、オイルポンプおよび/または機械式オイルポンプから出力された油圧が、トルクコンバータの入力側と出力側との間で回転偏差が発生していないときには、所定の第1油圧に調圧され、回転偏差が発生しているとき、すなわちトルクコンバータによる伝達トルクの増幅が行われているときには、第1油圧よりも高い所定の第2油圧に調圧され、このように調圧された油圧を上限とする所定の圧力範囲内の油圧が、制御弁により、制御圧として発進クラッチに供給される。このように、トルクコンバータによる伝達トルクの増幅が行われていることで、発進クラッチの締結力としてより大きな締結力が必要なときには、レギュレータから制御弁に供給される油圧が、トルク増幅が行われていないときよりも高い値に調圧されるので、制御弁による制御圧をより高い値に制御することができ、発進クラッチの締結力を適切に増大させることができる。それにより、トルクコンバータによる伝達トルクの増幅中でも、従来よりもコンパクトな電動オイルポンプを用いながら、発進クラッチにおいて必要な締結力を確保することができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の自動変速機のクラッチ制御装置において、制御弁(CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37)は、自動変速機10のハウジング10aの外面に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
この自動変速機のクラッチ制御装置によれば、既存の自動変速機において、その設計変更を最小限に抑制しながら、言い換えれば既存の構成を最大限に利用しながら、制御弁を自動変速機に搭載することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る自動変速機のクラッチ制御装置について説明する。図1は、本実施形態に係るクラッチ制御装置1およびこれを適用した車両4の自動変速機10の概略構成を示している。
【0021】
この車両4では、原動機としての内燃機関(以下「エンジン」という)5が、自動変速機10および差動ギヤ機構6などを介して駆動輪7,7に連結されており、走行の際、エンジン5により駆動輪7,7が駆動される。また、この車両4は、後述するように、アイドルストップ式の車両として構成されており、エンジン5は、信号待ちや踏切待ちのときなどに自動的に停止されるとともに、再始動条件が成立したときに、自動的に再始動される。
【0022】
自動変速機10は、4速電子制御式自動変速機として構成され、L,2,D,N,R,Pの6つのシフトポジションを備えており、図示しないシフトレバーの操作により、これらのうちの1つのシフトポジションが選択される。
【0023】
この自動変速機10は、エンジン5に連結されたトルクコンバータ11と、トルクコンバータ11の出力軸と一体の主軸12と、これに平行な副軸13と、これらの軸12,13上に設けられた前進1〜4速ギヤ対14〜17と、リバースギヤ列(図示せず)と、油圧回路30などを備えている。これらのトルクコンバータ11、軸12,13および前進1〜4速ギヤ対14〜17などは、自動変速機10のハウジング10a(図6参照)内に収容されている。
【0024】
トルクコンバータ11は、ポンプ・インペラ11a、タービン・ライナ11bおよびステータ11cなどを備えており、このステータ11cは、油圧回路30の後述するレギュレータバルブ34のコイルばね34b(図2参照)に機械的に連結されている。トルクコンバータ11は、その入出力間の回転偏差、すなわちポンプ・インペラ11aとタービン・ライナ11bとの間の回転偏差が生じた場合、その回転偏差に応じてエンジン5の出力トルクを所定の最大増幅率(例えば250%)を上限とする範囲内の増幅率で増幅し、主軸12に伝達する。このトルクの増幅中、ステータ11cには、スラスト力が発生し、このスラスト力は、レギュレータバルブ34のコイルばね34bに伝達される。
【0025】
また、トルクコンバータ11のハウジングには、リングギヤ5aが一体に設けられている。このリングギヤ5aは、エンジン5のクランクシャフト5bに連結されているとともに、スタータ8(図3参照)の図示しないピニオンギヤに常に噛み合っている。このスタータ8は、図3に示すように、後述するメイン・ECU2に電気的に接続されており、エンジン5の始動の際、メイン・ECU2からの電気信号で駆動されることにより、リングギヤ5aを介してエンジン5のクランクシャフト5bを回転させる。
【0026】
また、前進1〜4速ギヤ対14〜17は、互いに異なるギヤ比に設定され、主軸12上にそれぞれ回転自在に設けられた主軸側前進1〜4速ギヤ14a〜17aと、副軸13にそれぞれ一体に設けられた副軸側前進1〜4速ギヤ14b〜17bとで構成されており、対をなすギヤ同士は常に噛み合っている。
【0027】
この主軸側前進1速ギヤ14aは、LOWクラッチ20およびワンウェイクラッチ21を介して主軸12に連結されている。LOWクラッチ20(発進クラッチ)は、湿式多板クラッチおよび油圧アクチュエータなどで構成されており、後述するように、油圧回路30からの油圧により締結・遮断されるとともに、その締結力がA/T・ECU3により制御される。また、ワンウェイクラッチ21により、主軸側前進1速ギヤ14aは、LOWクラッチ20が締結されているときには、主軸12の前進方向の回転に伴い、これと同じ方向に回転し、副軸側前進1速ギヤ14bを駆動するとともに、後述するように、副軸13の回転上昇により、副軸側前進1速ギヤ14bによって駆動される状態になったときには、主軸12に対して相対的に空回りする。それにより、主軸12側への動力伝達が回避される。
【0028】
さらに、主軸側前進2〜4速ギヤ15a〜17aは、2〜4速用クラッチ22〜24を介して主軸12に連結されている。これらの2〜4速用クラッチ22〜24はいずれも、LOWクラッチ20と同様に、湿式多板クラッチおよび油圧アクチュエータなどで構成されており、油圧回路30からの油圧により締結・遮断されるとともに、その締結力がA/T・ECU3により制御される。
【0029】
また、副軸13には、これと一体に駆動ギヤ18が設けられている。この駆動ギヤ18は、前記差動ギヤ機構6の被駆動ギヤ6aと常に噛み合っており、これにより、副軸13の回転に伴い、差動ギヤ機構6を介して駆動輪7,7が回転駆動される。
【0030】
次に、図2を参照しながら、油圧回路30について説明する。この油圧回路30は、LOWクラッチ20および2〜4速用クラッチ22〜24に油圧を供給することにより、これらを締結・遮断するためのものであり、以下の説明においては、LOWクラッチ20に油圧を供給する回路を中心として説明する。
【0031】
油圧回路30は、電動オイルポンプ32、機械式オイルポンプ33、レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37およびアキュムレータ38などを備えている。本実施形態では、レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、リニアソレノイドバルブ36およびリニアソレノイドバルブ37により、制御弁機構が構成されており、CPCバルブ35、リニアソレノイドバルブ36およびリニアソレノイドバルブ37により、制御弁が構成されている。
【0032】
電動オイルポンプ32は、電動機としてのオイルポンプ用モータ32aと、これにより駆動されるオイルポンプ32bとを組み合わせたものである。このオイルポンプ用モータ32aは、メイン・ECU2に接続されており、メイン・ECU2からの駆動信号によりON/OFFされる。また、オイルポンプ32bは、その吸込側が油路を介してオイル溜まり(図示せず)に接続され、吐出側が油路31を介してレギュレータバルブ34、CPCバルブ35およびソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36にそれぞれ接続されており、オイルポンプ用モータ32aがONされたときに、油圧をレギュレータバルブ34などに供給する。
【0033】
また、機械式オイルポンプ33も、電動オイルポンプ32と同様に、その吸込側が油路を介してオイル溜まりに、吐出側が油路31を介してレギュレータバルブ34およびCPCバルブ35などにそれぞれ接続されている。この機械式オイルポンプ33は、エンジン5のクランクシャフト5bに機械的に連結されており、エンジン5の運転中、これにより駆動されることで、油圧をレギュレータバルブ34などに供給する。
【0034】
一方、レギュレータバルブ34(レギュレータ)は、スプール34aおよびコイルばね34b(連結部)などを備えており、これらのスプール34aおよびコイルばね34bの協働により、電動オイルポンプ32または機械式オイルポンプ33からの油圧を、ライン圧PLINEとして調圧し、CPCバルブ35およびソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36に供給する。また、コイルばね34bは、前述したトルクコンバータ11のステータ11cに機械的に連結されており、それにより、レギュレータバルブ34は、トルクコンバータ11においてトルクの増幅が行われている際、ステータ11cからスラスト力がコイルばね34bに伝達されることにより、コイルばね34dに加えられる荷重が増大し、スプール34aが所定の油圧で釣り合った状態になることで、ライン圧PLINEを上昇させる。
【0035】
具体的には、ライン圧PLINEは、レギュレータバルブ34により、以下の▲1▼〜▲4▼のように調圧される。
▲1▼エンジン5の停止中、電動オイルポンプ32からの油圧のみが供給されているときには、ライン圧PLINEは、所定の第1ライン圧PLINE1(第1油圧)に調圧される。
▲2▼エンジン回転数NEが所定回転数以上で、機械式オイルポンプ33からの油圧が供給されている場合には、ライン圧PLINEは、第1ライン圧PLINE1よりも高い所定の第2ライン圧PLINE2(第1油圧)に調圧される。
▲3▼エンジン回転数NEが所定回転数以上で、アクセル開度APが所定開度以上で、トルクコンバータ11においてトルクの増幅が行われている場合には、第2ライン圧よりも高い所定の第3ライン圧PLINE3(第2油圧)に調圧される。
▲4▼上記▲1▼と▲2▼との間の過渡状態では、ライン圧PLINEは、機械式オイルポンプ33および電動オイルポンプ32から供給される油圧に応じて、第1ライン圧PLINE1と第2ライン圧PLINE2との間の値に調圧され、▲2▼と▲3▼との間の過渡状態では、第2ライン圧PLINE2と第3ライン圧PLINE3との間の範囲内で、上記スラスト力に応じて調圧される。より具体的には、スラスト力が大きいほど、より高い値に調圧される。
【0036】
また、レギュレータバルブ34とCPCバルブ35との間の油路31には、ライン圧センサ46が設けられている。このライン圧センサ46は、ライン圧PLINEを検出して、その検出信号をメイン・ECU2に出力する。
【0037】
さらに、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36は、油路31を介して、リニアソレノイドバルブ37に接続されている。このソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36は、スプールおよびコイルばね(いずれも図示せず)などを組み合わせたものであり、レギュレータバルブ34から供給されるライン圧PLINEを、一定の所定圧PLREGに調圧し、リニアソレノイドバルブ37に供給する。
【0038】
また、リニアソレノイドバルブ37は、油路31を介してCPCバルブ35に接続されており、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36から供給される所定圧PLREGを、指令圧PSOLとしてCPCバルブ35に供給する。リニアソレノイドバルブ37は、A/T・ECU3に電気的に接続されており、A/T・ECU3からの駆動信号(電流信号)により、その開度が制御されることで、指令圧PSOLをリニアに変化させる。具体的には、図4に示すように、指令圧PSOLは、上記駆動信号の電流値Iが所定値I1と所定値I2の間の範囲内にあるときには、電流値Iが大きいほど低い値として出力され、電流値Iが所定値I2以上のときには、出力されず(値0)、電流値Iが所定値I1以下(例えば値0)のときには、前記所定圧PLREGに等しい最高値PSOL1として出力される。以上のように、リニアソレノイドバルブ37は、常時開型のソレノイドバルブとして構成されている。
【0039】
一方、CPCバルブ35は、スプールおよびコイルばね(いずれも図示せず)などを組み合わせたものであり、レギュレータバルブ34で調圧されたライン圧PLINEを、リニアソレノイドバルブ37からの指令圧PSOLに応じた制御圧PLOWとして、油路31を介してLOWクラッチ20に出力する。
【0040】
図5は、CPCバルブ35における指令圧PSOLと制御圧PLOWとの関係を示しており、実線で示すデータが、レギュレータバルブ34からCPCバルブ35に供給されるライン圧PLINEが第3ライン圧PLINE3のときのものであり、破線で示すデータが、ライン圧PLINEが第2ライン圧PLINE2のときのものである。
【0041】
同図に示すように、CPCバルブ35では、制御圧PLOWは、指令圧PSOLが高いほど、より高い油圧としてリニアに出力される。特に、制御圧PLOWは、指令圧PSOLが最高値PSOL1の場合において、ライン圧PLINEが第3ライン圧PLINE3のときには、PLINE3に等しい上限値PLOW2として出力され、ライン圧PLINEが第2ライン圧PLINE2のときには、PLINE2に等しい上限値PLOW1として出力される。このように、CPCバルブ35から出力される制御圧PLOW、すなわちLOWクラッチ20の締結力は、リニアソレノイドバルブ37からの指令圧PSOLに応じて制御される。また、前述したように、リニアソレノイドバルブ37が常時開型のものであるので、A/T・ECU3の故障や断線などにより、A/T・ECU3からの駆動信号が供給されていないときには、リニアソレノイドバルブ37は、指令圧PSOLとして最高値PSOL1をCPCバルブ35に出力する。これにより、CPCバルブ35は、出力可能な制御圧PLOWの上限値である、その時点のライン圧PLINEをそのまま、LOWクラッチ20に出力し、それにより、LOWクラッチ20が締結される。
【0042】
また、CPCバルブ35とLOWクラッチ20との間の油路31には、アキュムレータ38および制御圧センサ47が設けられている。このアキュムレータ38は、CPCバルブ35から出力される制御圧PLOWを蓄圧することにより、LOWクラッチ20を確実に締結するためのものである。また、制御圧センサ47は、制御圧PLOWを検出して、その検出信号をA/T・ECU3に出力する。
【0043】
この油圧回路30では、LOWクラッチ20に制御圧PLOWを供給する回路は以上のように構成されており、図示しないけれども、2〜4速用クラッチ22〜24に油圧を供給する回路も、これとほぼ同様に構成されている。
【0044】
一方、図6に示すように、この自動変速機10では、そのハウジング10aの外面に、CPCバルブ35、リニアソレノイドバルブ37、アキュムレータ38および制御圧センサ47がユニット化された状態で取り付けられており、金属管で構成された油路31,31を介してハウジング10a内の各機器に接続されている。また、これらとは別個に、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36も、ハウジング10aの外面に取り付けられており、金属管で構成された油路31を介して、リニアソレノイドバルブ37に接続されている。
【0045】
また、図3に示すように、クラッチ制御装置1は、エンジン5および電動オイルポンプ32を主に制御するためのメイン・ECU2と、LOWクラッチ20を含む自動変速機10を主に制御するためのA/T・ECU3とを備えている。これら2つのECU2,3はいずれも、RAM、ROM、CPUおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成され、互いに接続されている。また、2つのECU2,3には、バッテリ39が接続されており、これから電力が常に供給される。
【0046】
メイン・ECU2には、イグニッションスイッチ(以下「IG・SW」という)40、ブレーキスイッチ(以下「BR・SW」という)41、シフトポジションセンサ42、アクセル開度センサ43、クランク角センサ44および副軸回転数センサ45などが接続されている。このIG・SW40は、図示しないイグニッションキーの操作によりON/OFFされるとともに、そのON/OFF状態を表す信号をメイン・ECU2に出力する。
【0047】
また、BR・SW41は、図示しないブレーキペダルが所定量以上、踏み込まれたときにON信号をメイン・ECU2に出力し、それ以外はOFF信号を出力する。さらに、シフトポジションセンサ42は、シフトレバーが前述した6つのシフトポジションのうちのいずれにあるかを検出し、その検出信号をメイン・ECU2に出力する。
【0048】
一方、アクセル開度センサ43は、車両4の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出し、その検出信号をメイン・ECU2に出力する。また、クランク角センサ44および副軸回転数センサ45はそれぞれ、クランクシャフト5bおよび副軸13の回転角度を表す検出信号を、メイン・ECU2に出力する。メイン・ECU2は、クランク角センサ44の検出信号に基づき、エンジン5の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出するとともに、副軸回転数センサ45の検出信号に基づき、車速VPを算出する。
【0049】
メイン・ECU2(判別手段、ポンプ駆動手段、要求出力決定手段)は、以上の2つのスイッチ40,41および各種のセンサ42〜46の検出信号に応じて、エンジン5の運転状態を判別するとともに、ROMに予め記憶された制御プログラムやRAMに記憶されたデータなどに従って、後述するように、アイドルストップ制御処理を実行することにより、停車中のエンジン5の停止および再始動を制御するとともに、電動オイルポンプ32の運転を制御する。
【0050】
また、A/T・ECU3(制御圧決定手段、制御手段)は、後述するように、メイン・ECU2で算出された要求トルクTRQ(要求出力)、および制御圧センサ47の検出信号に基づき、LOWクラッチ20に供給される制御圧PLOW(すなわちLOWクラッチ20の締結力)を制御する。
【0051】
以下、図7を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちのエンジン停止制御処理について説明する。この処理は、停車中にエンジン5を自動的に停止するものであり、所定周期で実行される。同図に示すように、この処理では、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)〜6において、エンジン停止条件が成立しているか否かを判別する。この判別では、ステップ1〜6において、以下の(a)〜(f)の6つの条件がいずれも成立しているときに、エンジン停止条件が成立していると判別され、それ以外のときには、エンジン停止条件が不成立であると判別される。
(a)IG・SW40がON状態にあること。
(b)エンジン回転数NEが所定値NEREF(例えば300rpm)以上であること。
(c)車速VPが所定値VPREF(例えば1km)以下であること。
(d)アクセル開度APが所定値APREF(例えば1゜)以下であること。
(e)シフトポジションがP,R,N以外であること。
(f)BR・SW41がON状態にあること。
【0052】
ステップ1〜6において、これらの(a)〜(f)のうちの少なくとも1つの条件が成立していないときには、エンジン停止条件が不成立であるとして、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ1〜6において、(a)〜(f)の6つの条件がいずれも成立しているときに、エンジン停止条件が成立しているとして、ステップ7に進み、エンジン5を停止する。具体的には、図示しないインジェクタによる燃料噴射、および図示しない点火プラグによる点火が停止される。
【0053】
次に、ステップ8に進み、エンジン5を停止したことを表すためにアイドルストップフラグF_IDLSTPを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0054】
次に、図8を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちのエンジン再始動制御処理について説明する。この処理は、エンジン5を停車中に自動的に再始動するものであり、所定周期で実行される。この処理では、まず、ステップ10において、IG・SW40がON状態にあるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、ステップ11に進み、前述したアイドルストップフラグF_IDLSTPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
【0055】
一方、この判別結果がYESで、前記エンジン停止制御処理の実行によりエンジン5が停止されているときには、ステップ12に進み、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ13に進み、オイルポンプ用モータ32aをONすることにより、電動オイルポンプ32を運転し、次に、ステップ14に進み、それを表すために、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONを「1」にセットした後、後述するステップ15に進む。
【0056】
一方、ステップ12の判別結果がYESのとき、すなわちエンジン停止中で、電動オイルポンプ32が運転されているときには、ステップ13,14をスキップして、ステップ15に進む。
【0057】
このステップ15では、BR・SW41がOFFされたか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、エンジン5を再始動する条件が成立したとして、ステップ16に進み、エンジン5を再始動する。具体的には、スタータ8によりクランクシャフト5bが駆動されると同時に、インジェクタによる燃料噴射および点火プラグによる点火が開始される。
【0058】
次に、ステップ17に進み、エンジン5を再始動したことを表すために、エンジン再始動フラグF_ENGRSTを「1」に、アイドルストップフラグF_IDLSTPを「0」にそれぞれセットした後、本処理を終了する。
【0059】
次に、図9を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちの要求トルク算出処理について説明する。この処理は、エンジン5の再始動の際に要求トルクTRQを算出するものであり、所定周期で実行される。
【0060】
この処理では、まず、ステップ20において、前述したエンジン再始動フラグF_ENGRSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、エンジン5が再始動されたときには、ステップ21に進み、後述する制御圧準備完了フラグF_PLOWが「1」であるか否かを判別する。
【0061】
この判別結果がNOのときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESのときには、要求トルクTRQを算出すべき状態にあるとして、ステップ22に進み、要求トルクTRQを算出する。具体的には、要求トルクTRQは、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより算出される。
【0062】
次に、ステップ23に進み、要求トルクTRQを算出したことを表すために、要求トルク算出済みフラグF_TRQを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0063】
次に、図10を参照しながら、メイン・ECU2により実行されるアイドルストップ制御処理のうちの電動オイルポンプ32の停止制御処理について説明する。この処理は、エンジン5の再始動後、電動オイルポンプ32による油圧の供給が不要になったときに、これを停止させるものであり、所定周期で実行される。
【0064】
この処理では、まず、ステップ40において、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、電動オイルポンプ32が停止中であるときには、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、電動オイルポンプ32が運転中であるときには、ステップ41に進み、エンジン再始動フラグF_ENGRSTが「1」であるか否かを判別する。
【0065】
この判別結果がNOで、エンジン5が再始動されていないときには、本処理を終了する。一方、ステップ41の判別結果がYESで、エンジン5が再始動されたときには、ステップ42に進み、ライン圧センサ46により検出されたライン圧PLINEが、前記第1ライン圧PLINE1よりも高い所定値PLREFであるか否かを判別する。
【0066】
この判別結果がNOで、ライン圧PLINEが所定値PLREFに達していないときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ42の判別結果がYESで、PLINE≧PLREFのときには、エンジン5の再始動に伴う機械式オイルポンプ33の作動により、ライン圧PLINEが十分に上昇していることで、電動オイルポンプ32を停止してもよい状態にあるとして、ステップ43に進み、オイルポンプ用モータ32aをOFFすることにより、電動オイルポンプ32を停止する。
【0067】
次に、ステップ44に進み、電動オイルポンプ32を停止したことを表すために、電動オイルポンプ運転フラグF_EPONを「0」にリセットした後、本処理を終了する。
【0068】
以上のように、この制御処理では、エンジン5の再始動の際、ライン圧PLINEが所定値PLREF以上になったとき、すなわち、機械式オイルポンプ33が運転されることで、ライン圧PLINEが、電動オイルポンプ32のみの運転で発生する第1ライン圧PLINE1よりも高くなったときには、電動オイルポンプ32が停止される。これにより、不要な電動オイルポンプ32の運転を回避でき、消費電力を低減できる。
【0069】
次に、図11を参照しながら、エンジン再始動時にA/T・ECU3により実行されるリニアソレノイドバルブ37の制御処理について説明する。この処理は、所定周期で実行される。
【0070】
この処理では、まず、ステップ50において、エンジン再始動フラグF_ENGRSTが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、エンジン5が再始動されていないときには、本処理を終了する。
【0071】
一方、ステップ50の判別結果がYESで、エンジン5が再始動されたときには、ステップ51に進み、制御圧準備完了フラグF_PLOWが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、以下に述べるステップ52〜55をスキップして、後述するステップ56に進む。
【0072】
一方、ステップ51の判別結果がNOのときには、ステップ52に進み、制御圧PLOWが所定値PLOWREF以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ53に進み、目標指令圧PSOLOBJの算出処理を実行する。
【0073】
このステップ53では、その具体的な処理の内容は図示しないが、1回目のルーチンにおいて、目標制御圧PLOWOBJを、上記所定値PLOWREFに設定するとともに、この目標制御圧PLOWOBJに応じて、図示しないテーブルを検索することにより目標指令圧PSOLOBJを算出する。また、2回目以降のルーチンでは、制御圧センサ47により検出された制御圧PLOWの値と所定値PLOWREFとの偏差に基づいて、目標制御圧PLOWOBJの今回値を算出するとともに、この今回値に応じて図示しないテーブルを検索することにより、目標指令圧PSOLOBJを算出する。以上のように目標指令圧PSOLOBJが算出されることにより、制御圧PLOWが所定値PLOWREFになるようにフィードバック制御される。
【0074】
次に、ステップ54に進み、ステップ53で算出された目標指令圧PSOLOBJに基づく駆動信号を、リニアソレノイドバルブ37に出力した後、本処理を終了する。
【0075】
一方、ステップ52の判別結果がYESのとき、すなわち上記ステップ53,54の処理により制御圧PLOWが所定値PLOWREF以上になったときには、ステップ55に進み、それを表すために制御圧準備完了フラグF_PLOWを「1」にセットした後、ステップ56に進む。
【0076】
ステップ51または55に続くステップ56では、前述した要求トルク算出済みフラグF_TRQが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、メイン・ECU2において要求トルクTRQを算出済みであるときには、ステップ57に進み、目標指令圧PSOLOBJの算出処理を実行する。
【0077】
このステップ57では、その具体的な内容は図示しないが、以下のように目標指令圧PSOLOBJが算出される。すなわち、要求トルクTRQに応じて、図示しないテーブルを検索することにより、目標制御圧PLOWOBJのテーブル値を算出する。このテーブル値は、これと等しい制御圧PLOWがCPCバルブ35からLOWクラッチ20に出力された際、LOWクラッチ20に作用するクラッチ締結力により、要求トルクTRQを伝達するのに必要なクラッチ容量よりも若干大きなクラッチ容量がLOWクラッチ20で得られるような値に設定されている。そして、このテーブル値と制御圧センサ47により検出された制御圧PLOWの検出値との偏差に基づいて、テーブル値を補正することにより、最終的な目標制御圧PLOWOBJを算出するとともに、この最終的な目標制御圧PLOWOBJに応じて、図示しないテーブルを検索することにより目標指令圧PSOLOBJを算出する。以上のように目標指令圧PSOLOBJが算出されることにより、制御圧PLOWが目標制御圧PLOWOBJになるようにフィードバック制御される。以上により、LOWクラッチ20の締結力を、要求トルクTRQに対して過不足なく適切に制御することができる。
【0078】
次に、ステップ58に進み、ステップ57で算出された目標指令圧PSOLOBJに基づく駆動信号を、リニアソレノイドバルブ37に出力した後、本処理を終了する。
【0079】
以上のように、この制御処理では、エンジン5の再始動の際、まず、制御圧PLOWが所定圧PLOWREFになるようにフィードバック制御されるとともに、制御圧PLOWが所定圧PLOWREF以上になった以降、要求トルクTRQに応じて、制御圧PLOWがフィードバック制御される。このように、エンジン5の再始動の際、制御圧PLOWが所定圧PLOWREFになるように最初に制御されるのは、A/T・ECU3からの駆動信号がリニアソレノイドバルブ37に入力された際、CPCバルブ35およびリニアソレノイドバルブ37を含めた油圧系の応答遅れに起因して、LOWクラッチ20の締結が実際に開始されるまでに作動遅れを生じるので、これを補償するためである。
【0080】
以上のように、本実施形態に係るクラッチ制御装置1によれば、アイドルストップ制御の際、エンジン5の停止後、電動オイルポンプ32が常に運転されることで、ライン圧PLINEがCPCバルブ35に常に供給されるので、エンジン5の再始動と同時に、制御圧PLOWをLOWクラッチ20に供給することができる。また、エンジン再始動の際、制御圧PLOWが所定圧PLOWREF以上になった後、指令圧PSOLすなわち制御圧PLOWが、要求トルクTRQに応じて、要求トルクTRQを確実に伝達するのに必要なクラッチ容量よりも若干大きなクラッチ容量がLOWクラッチ20で得られるように制御されるので、油圧系の応答遅れに起因するLOWクラッチ20の作動遅れを補償しながら、LOWクラッチ20の締結力を、要求トルクTRQに対して過不足なく適切に制御することができる。それにより、車両4が発進する際、発進クラッチ20の締結完了時の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、発進に要する時間を短縮でき、商品性を高めることができる。
【0081】
また、リニアソレノイドバルブ37が常時開型のソレノイドバルブとして構成されていることで、A/T・ECU3の故障や断線などにより、A/T・ECU3からの駆動信号がリニアソレノイドバルブ37に供給されていないときでも、最高値PSOL1の指令圧PSOLがCPCバルブ35に出力され、その時点のライン圧PLINEがCPCバルブ35からLOWクラッチ20に供給されるので、LOWクラッチ20を確実に締結することができ、車両4を発進させることができる。
【0082】
さらに、電動オイルポンプ32を、機械式オイルポンプ33の油圧が立ち上がるまでの補助用として用いたので、その小型化を図ることができる。また、エンジン5を備えた車両4では、潤滑用や駆動用に機械式オイルポンプを備えているのが一般的であるので、部品点数を増やすことなく、そのような機械式オイルポンプを利用しながら、制御圧PLOWを確保でき、上記効果を得ることができる。
【0083】
また、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36、リニアソレノイドバルブ37、アキュムレータ38および制御圧センサ47が、自動変速機10のハウジング10aの外面に取り付けられているので、これらを既存の自動変速機に取り付ける場合でも、その設計変更を最小限に抑制しながら、言い換えれば既存の構成を最大限に利用しながら、上記各機器弁を既存の自動変速機に搭載することができる。
【0084】
なお、実施形態は、本発明のクラッチ制御装置1を内燃機関5を原動機とする車両4の自動変速機10に適用した例であるが、本発明のクラッチ制御装置はこれに限らず、内燃機関および電動機を原動機とするハイブリッド車両にも適用可能である。例えば、図1に2点鎖線で示すように、クラッチ制御装置1が適用される車両4において、電力回生可能な電気モータ9をクランクシャフト5bおよび副軸13に選択的に連結可能に設けることにより、車両4をハイブリッド車両として構成するとともに、この電気モータ9をオイルポンプ32bの駆動用のモータとして用いるようにしてもよい。このようにした場合、原動機としての電気モータ9をオイルポンプ32bの駆動用のモータとして共用できる分、部品点数を削減できる。また、電気モータ9として、ハイブリッド車両の原動機において一般的な高出力・高回転型のものを用いることにより、オイルポンプ32bによる油圧の立ち上がり時間を短縮でき、商品性を高めることができる。
【0085】
また、実施形態は、レギュレータバルブ34、CPCバルブ35、ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ36およびリニアソレノイドバルブ37により制御弁機構を構成した例であるが、制御弁機構はこれに限らず、A/T・ECU3からの駆動信号に応じて、電動オイルポンプ32からの油圧を制御圧PLOWとして制御できるものであればよい。例えば、制御弁機構として、リニアソレノイドバルブのみを用い、電動オイルポンプとして制御性の高いものを用いることにより、制御圧PLOWを実施形態と同様に制御するようにしてもよい。
【0086】
さらに、実施形態は、機械式オイルポンプ33を主な油圧源とし、電動オイルポンプ32を機械式オイルポンプ33による油圧が完全に立ち上がるまでの間の補助的な油圧源として用いた例であるが、電動オイルポンプ32はこれに限らず、LOWクラッチ20の締結力を制御可能な油圧を発生するものであればよい。例えば、電動オイルポンプ32として、ライン圧PLINEを第3ライン圧PLINE3まで上昇させることが可能な性能のものを用いるとともに、機械式オイルポンプ33を省略するようにしてもよい。
【0087】
なお、実施形態は、アイドルストップ制御において、エンジン5の停止後、電動オイルポンプ32を常に運転するように構成した例であるが、電動オイルポンプ32をライン圧PLINEに応じてON/OFF制御するようにしてもよい。すなわち、電動オイルポンプ32を、ライン圧PLINEが所定圧以上のときに停止し、この所定圧よりも若干低い値未満になったときに運転するようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明の自動変速機のクラッチ制御装置によれば、電動オイルポンプからの油圧により発進クラッチを締結する場合において、発進の際の加速度の急変に伴うショックの発生を回避しながら、車両の発進に要する時間を短縮でき、電動オイルポンプの小型化を図ることができ、それにより、商品性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るクラッチ制御装置およびこれを適用した車両の自動変速機の概略構成を示す図である。
【図2】油圧回路の概略構成を示す模式図である。
【図3】クラッチ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】リニアソレノイドバルブの作動特性を示す図である。
【図5】CPCバルブの作動特性を示す図である。
【図6】リニアソレノイドバルブなどの自動変速機のハウジングへの取付状態を示す図である。
【図7】メイン・ECUにより実行されるアイドルストップ制御処理のうちのエンジン停止制御処理を示すフローチャートである。
【図8】アイドルストップ制御処理のうちのエンジン再始動制御処理を示すフローチャートである。
【図9】アイドルストップ制御処理のうちの要求トルク算出処理を示すフローチャートである。
【図10】アイドルストップ制御処理のうちの電動オイルポンプの停止制御処理を示すフローチャートである。
【図11】エンジン再始動時にA/T・ECUにより実行されるリニアソレノイドバルブの制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 クラッチ制御装置
2 メイン・ECU(判別手段、ポンプ駆動手段、要求出力決定手段)
3 A/T・ECU(制御圧決定手段、制御手段)
4 車両
5 内燃機関(原動機)
9 電動機(原動機)
10 自動変速機
10a ハウジング
11 トルクコンバータ
20 LOWクラッチ(発進クラッチ)
32a オイルポンプ用モータ(電動機)
32b オイルポンプ
33 機械式オイルポンプ
34 レギュレータバルブ(制御弁機構、レギュレータ)
34b コイルばね(連結部)
35 CPCバルブ(制御弁機構、制御弁)
36 ソレノイドバルブ用レギュレータバルブ(制御弁機構、制御弁)
37 リニアソレノイドバルブ(制御弁機構、制御弁)
PLOW 制御圧
PLOW1 上限値
PLOW2 上限値
PLINE1 第1ライン圧(第1油圧)
PLINE2 第2ライン圧(第1油圧)
PLINE3 第3ライン圧(第2油圧)
TRQ 要求トルク(要求出力)
Claims (7)
- 発進クラッチを有し、原動機の出力を変速する車両の自動変速機において、当該車両の発進時に前記発進クラッチの締結力を制御する自動変速機のクラッチ制御装置であって、
電動機と、
当該電動機により駆動されるオイルポンプと、
前記車両の停止中、当該オイルポンプの作動条件が成立したか否かを判別する判別手段と、
当該判別手段により前記作動条件が成立していると判別されたときに、前記電動機を介して前記オイルポンプを駆動するポンプ駆動手段と、
前記オイルポンプから出力された油圧を所定の圧力範囲内で制御可能に構成され、当該制御された制御圧を前記発進クラッチに供給することにより前記発進クラッチの締結力を制御する制御弁機構と、
前記原動機の要求出力を決定する要求出力決定手段と、
当該決定された要求出力に応じて前記制御圧を決定する制御圧決定手段と、
前記車両の発進の際、前記制御圧決定手段により決定された制御圧に基づいて、前記制御弁機構による前記制御圧を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動変速機のクラッチ制御装置。 - 前記制御弁機構は、前記制御手段による前記制御圧の制御が不可能であるときには、前記所定の圧力範囲の上限値に等しい制御圧を前記発進クラッチに供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のクラッチ制御装置。
- 前記原動機は内燃機関で構成され、
前記車両は、当該内燃機関の運転停止条件が成立したときに、当該内燃機関を停止するとともに、当該内燃機関の停止後に再始動条件が成立したときに、当該内燃機関を再始動するアイドルストップ式の車両として構成されており、
前記制御手段は、前記内燃機関の再始動の開始と同時に、前記制御弁機構の制御による前記発進クラッチの締結を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機のクラッチ制御装置。 - 前記車両は、前記原動機が前記電動機および内燃機関で構成されたハイブリッド車両であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機のクラッチ制御装置。
- 前記原動機により駆動され、昇圧した油圧を前記制御弁機構に出力する機械式オイルポンプをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の自動変速機のクラッチ制御装置。
- 前記自動変速機は、前記発進クラッチと前記原動機との間の動力伝達経路に設けられたトルクコンバータを有し、
前記制御弁機構は、
前記トルクコンバータに機械的に連結された連結部を有し、前記オイルポンプおよび前記機械式オイルポンプの少なくとも一方から出力された油圧を、前記トルクコンバータにおける入力側と出力側との間での回転偏差が発生していないときには、所定の第1油圧に調圧し、前記回転偏差が発生しているときには、前記トルクコンバータで発生する力が前記連結部に伝達されることにより、前記第1油圧よりも高い所定の第2油圧に調圧するレギュレータと、
当該レギュレータから供給された油圧を上限とする前記所定の圧力範囲内の油圧を、前記制御圧として前記発進クラッチに供給する制御弁と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の自動変速機のクラッチ制御装置。 - 前記制御弁が、前記自動変速機のハウジングの外面に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の自動変速機のクラッチ制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2002226132A JP2004068858A (ja) | 2002-08-02 | 2002-08-02 | 自動変速機のクラッチ制御装置 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011196497A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Daihatsu Motor Co Ltd | アイドルストップ車の制御装置 |
JP2011225122A (ja) * | 2010-04-20 | 2011-11-10 | Toyota Motor Corp | ハイブリッド車両の制御装置 |
JP2012017097A (ja) * | 2010-07-08 | 2012-01-26 | IFP Energies Nouvelles | ハイブリッド型自動車用の変速装置 |
JP2012097813A (ja) * | 2010-11-02 | 2012-05-24 | Jatco Ltd | ハイブリッド車両の制御装置 |
JP2014004942A (ja) * | 2012-06-25 | 2014-01-16 | Honda Motor Co Ltd | ハイブリッド車両の制御装置及び制御方法 |
KR101806671B1 (ko) | 2016-03-10 | 2017-12-08 | 현대자동차주식회사 | 하이브리드 차량의 라인압 제어방법 |
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2002
- 2002-08-02 JP JP2002226132A patent/JP2004068858A/ja not_active Withdrawn
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |