JP2004068256A - ロールスクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】巻き取りタイプの仕切り用基材の少なくとも片面に吸水性物質及び吸湿性物質を含有する吸放湿性樹脂層を設けてなる巻き取りタイプの仕切り用部材を使用する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻き取りタイプの仕切り用部材を巻き取ったり巻き戻すことにより上下させて開閉を行うロールスクリーンに関するものであり、詳しくは巻き取りタイプの仕切り用基材の少なくとも片面に吸放湿性樹脂層が設けてある巻き取りタイプの仕切り用部材を具備するものであって、その使用により窓ガラスや窓枠サッシ等の表面における結露の発生を効果的に防止できるようにしたことを特徴とするロールスクリーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現代の家屋は、鉄筋コンクリート構造やプレハブ工法の普及、樹脂加工合板等の合成材料からなる新建材の使用や扉及び窓における金属サッシの発達等によって、かっての純日本建築と比較すれば著しく気密性の高いものとなっている。係る家屋の高気密化は、冷暖房効果を向上させてエネルギー資源の節約を促進し、さらには防音性を向上させて近隣への騒音の漏れが少なくなることを可能とし、大変に望ましいものであると言うことができる。しかしその反面、室内における居住者の生活活動(人間の呼気、炊事、風呂・シャワー等)により発生する湿気が、室外に逃げられずに室内に籠もり易く、行き場を失った湿気が窓ガラス、窓枠サッシ等の表面に結露して、美観上及び触感上望ましくないのみならず、建築材料の汚損や腐蝕の原因となって、家屋等の寿命を縮める要因ともなり兼ねないという問題がある。
【0003】
また、昨今冬場などに風邪予防の目的や肌の乾燥防止の目的で室内で加湿器を使用することが増えてきており、この加湿器からの湿度が窓ガラス、窓枠サッシ等の表面での結露発生を助長させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、窓ガラス、窓枠サッシ等の表面における結露の発生を効果的に防止できるようにしたロールスクリーン、特に室内側の居住空間は快適な湿度を保ったままとし、結露が発生し易い窓ガラス、窓枠サッシ等の位置する窓側の空間はその湿度の吸・放湿を効果的に行えるようにしたロールスクリーンの提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を達成すべくなされ、請求項1に記載の発明は、巻き取りタイプの仕切り用部材を巻き取ったり巻き戻すことにより上下させて開閉を行うロールスクリーンであって、仕切り用部材が仕切り用基材の少なくとも片面に吸放湿性樹脂層を設けてなるものであることを特徴とするロールスクリーンである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロールスクリーンにおいて、巻き取りタイプの仕切り用部材以外の他のロールスクリーン構成部材の表面に吸放湿性樹脂層が設けてあることを特徴とする。
【0007】
さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のロールスクリーンにおいて、前記吸放湿性樹脂層が吸水性物質及び吸湿性物質を含有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。図1は本発明のロールスクリーンを構成する巻き取りタイプの仕切り用部材の実施形態を示す模式断面図である。
【0009】
本発明のロールスクリーンの一部を構成する巻き取りタイプの仕切り用部材は、図1に示す様に、支持体となる適宜の巻き取りタイプの仕切り用基材11の片面に、基材樹脂121中に高吸水性ポリマー等の吸水性物質122及びシリカ等の吸湿性物質123を分散してなる樹脂組成物により吸放湿性樹脂層12が形成されてなるものである。そして、この様な構成の巻き取りタイプの仕切り用部材23はその他のロールスクリーン構成部材(巻取軸21、プルコードやチェーン等の昇降用部材22、ボトムレール24、ヘッドボックス25等)と共に組み合わされ、図2に示すようにロールスクリーンを構成する。
【0010】
巻き取りタイプの仕切り用部材23は、巻き取り時には巻取軸21に巻き取り可能であって、巻き戻し時には巻取軸21から解き放されて巻取軸21の下に垂れ下げ可能な布状の部材である。そして、この巻き取りタイプの仕切り用部材23を構成する仕切り用基材11は、従来のロールスクリーンの巻き取りタイプの仕切り用基材として使用されているものが適用可能である。
具体的には、鋼鈑や真鍮板、アルミニウム板等の金属系基材、紙、織布又は不織布等の繊維質シートや、ポリオレフィン系樹脂シートやポリエステル系樹脂シート等の合成樹脂シート、合成ゴムシート、アクリル樹脂板やポリカーボネート樹脂板、ABS樹脂板、FRP等の合成樹脂系基材、合板や集成材、繊維板、パーティクルボード等の木質系基材等の種々の基材の中から任意のものを選択し、使用することができる。より具体的には、木綿やポリエステル等からなる生地基材が好適に用いられる。
また、これらの巻き取りタイプの仕切り用基材の表面には必要に応じて、ベースコート処理、プライマー処理、コロナ放電処理、オゾン処理、火炎処理、研磨処理等の適宜の表面処理を施しても良い。
【0011】
この様な構成になる巻き取りタイプの仕切り用基材11上の吸放湿性樹脂層12は、前述の如く、基質樹脂121中に吸水性物質122及び吸湿性物質123を分散してなる樹脂組成物にて設けられたものである。この吸放湿性樹脂層12の形成面は、図1に示す様に巻き取りタイプの仕切り用基材11の片面に限定されるものではなく、巻き取りタイプの仕切り用基材11のもう一方の面でも、あるいはこれらの両方の面であってもよい。要するに、ロールスクリーンを窓枠の近辺にセットし、巻き取りタイプの仕切り用部材23を巻取軸21から巻き戻し、巻取軸21の下に垂れ下げたとき、吸放湿性樹脂層12の部分が少なくとも窓側に位置する様な状態で巻き取りタイプの仕切り用基材11上に設けてあれば良い。
【0012】
吸放湿性樹脂層12の基質樹脂121としては、被膜形成性を有しつつ、吸水膨潤性が少なく、吸水性物質122の吸水時にも被膜の形態を維持可能な樹脂材料であれば如何なる樹脂であっても良いが、吸水性物質122及び吸湿性物質123の環境空気中との間での水分の吸収や放出を妨げることのない様に、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、SBR系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブテン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の様に、透湿度の高い樹脂を使用することが好ましく、またこれらの内のいずれか1種を単独で使用してもよいし、2種以上の樹脂混合物を使用しても良い。
【0013】
吸放湿性樹脂層12に添加される吸水性物質122としては、水酸基やカルボキシル基等の親水性の官能基を多く含む比較的疎な構造の物質であって、自身の体積を超える多量の水分を内部に吸収貯蔵可能な物質であれば良く、具体的には公知の一般的な高吸水性ポリマー等が用いられる。例えば、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、ポリビニルアルコール架橋重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体ケン化物等が用いられる。また、馬鈴薯デンプンやデキストリン類等の天然物を用いることも可能であり、これらの吸水性物質は単独で、もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0014】
また、吸放湿性樹脂層12に添加される吸湿性物質123としては、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土、焼成タルク等の様に、大きな比表面積を有する多孔質の親水性無機物質の粒子からなる物質が適用できる。この吸湿性物質123を添加することにより、環境空気中の湿度が変化した際の吸放湿速度を向上させ、吸湿、放湿機能をさらに有効に発揮させることができる。この様な効果の発揮は、高吸水性ポリマー等の吸水性物質122は、その周囲に自発的に結露した水分を吸収するに留まるのに対し、吸湿性物質123は、高湿時には気体状の水分子を積極的に結露させてそれを吸水性物質122に受け渡し、一方低湿時には逆に吸水性物質122が保有する水分を受け取って気化蒸散させる機能を果たすからであると推察される。
【0015】
吸湿性物質123の添加量は、本発明においては特に制限されるものではない。吸湿性物質123自体の水分の吸収量は吸水性物質122と比較すれば少ないので、吸水性物質122よりも吸湿性物質123を多く配合すれば、飽和吸水量は少ないが環境湿度変化時の吸放湿速度は高くなり、逆に吸湿性物質123よりも吸水性物質122を多く配合すれば、環境湿度変化への感度は低下するが飽和吸水量は多くなるから、これらを踏まえて本発明のロールスクリーンの使用環境に応じてこれらの添加量を適宜調整すればよい。一般的には、吸湿性物質123は吸水性物質122の触媒的な意味で、吸水性物質122より少量で良く、吸水性物質122の100重量部に対して吸湿性物質123を30〜100重量部程度の配合とすることが望ましい。
【0016】
また、吸放湿性樹脂層12における基質樹脂121と吸水性物質122との配合比は、本発明において特に限定されるものではないが、一般的には基質樹脂121を20〜80重量%、吸水性物質122を80〜20重量%程度とすることが望ましい。基質樹脂121の含有量が20重量%未満であると、高湿時に吸水性物質122の吸水膨潤による著しい変形や強度低下を十分に抑えることが困難であり、一方、吸水性物質122の含有量が20重量%未満であると、十分な吸放湿機能を得ることが困難である。さらに、吸放湿性樹脂層12の厚さも、本発明において特に限定されるものではないが、十分な吸放湿機能の発現と、製造時の加工性や取扱時の可撓性等を考慮すると、一般的には10〜100μm程度の範囲内とすることが望ましい。
【0017】
以上に説明した吸放湿性樹脂層12の形成方法は、本発明において特に制限されるものではないが、疎水性の有機溶剤を分散媒とする油性塗工液を用いた塗工方法が一般的である。塗工方法としては、例えばナイフコート法、ノズルコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロースコート法、コンマコート法、リップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法等の従来公知の任意の塗工方法が採用可能であり、各層の塗工後の乾燥方法としては、例えば熱風または赤外線ヒーター等の熱源をそれぞれ単独もしくはこれらの複数種を組合せて用いる方法等が適宜採用できる。
【0018】
また、本発明においては、上述した吸放湿性樹脂層は、巻き取りタイプの仕切り用基材に設ける以外に、ロールスクリーンのその他の構成部材、すなわちボトムレール24やヘッドボックス25や等の表面に必要に応じて設けても良い。この様な構成にすることにより、結露が発生し易い窓ガラス、窓枠サッシ等のある窓際の空間の湿度をより効率的に吸・放湿することができるようになる。
【0019】
さらに、本発明のロールスクリーンには必要に応じて、巻き取りタイプの仕切り用基材に絵柄印刷層を設けて絵柄による意匠性を付与することもできる。また、巻き取りタイプの仕切り用基材に立体的な意匠性を付与するために、メカニカルエンボス法又はケミカルエンボス法等により凹凸模様を設けたり、表面強度を向上させるために、表面に保護層を設けたりすることも、任意に行うことができる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
まず厚さ100μmのポリエステル製の平布地(巻き取りタイプの仕切り用基材)11上に下記組成の吸放湿性樹脂組成物をコンマコート法により塗布し、約90℃で乾燥することにより、吸放湿性樹脂層12を設けた。吸放湿性樹脂層12の乾燥後の塗布量は約20g/m2であった。(図1参照)
【0021】
[吸放湿性樹脂組成物の組成]
吸水性物質 ウレタン系高吸水性ポリマー 40重量部
吸湿性物質 コロイド状合成シリカ 30重量部
基質樹脂 ポリウレタン 90重量部
【0022】
次に、この様にして得られた巻き取りタイプの仕切り用部材23を、上方はヘッドボックス25の巻取軸21に、下方はボトムレール24にそれぞれ取付け、さらにヘッドボックス25の一部には昇降用部材22を組み込み、図2示す様なロールスクリーンを作製し、その取付金具(図示せず)により窓枠の上枠部分に取付た。
得られたロールスクリーンは、巻き取りタイプの仕切り用部材23の吸放湿性樹脂層の塗工ムラ等の欠陥もなく、外観上良好であり、一般的なロールスクリーンと何ら違いの無いものであった。
【0023】
<比較例1>
巻き取りタイプの仕切り用基材上への吸放湿性樹脂層の形成工程を省略した以外は上記実施例1と全く同一の条件で比較例1に係るロールスクリーンを作製した。
【0024】
次に、実施例1に係るロールスクリーンについて、市販の通常のロールスクリーン[巻き取りタイプの仕切り用基材として本発明の実施例1と同じ厚さ(100μm)のポリエステル製の平布地使用品]と、上記比較例1のロールスクリーンと共に、下記の試験方法にて窓枠サッシ等の表面における結露発生に対する防止効果に関して比較試験を行なった。その結果、本発明の実施例1のロールスクリーンを施工した窓及び窓枠には結露の発生が見られなかったのに対して、市販の通常のロールスクリーン及び比較例1のロールスクリーンを施工した窓及び窓枠には結露の発生が見られた。
以上の試験結果より、本発明品が窓及び窓枠における結露の発生を防止する優れた効果を有していることが確認された。
【0025】
<結露防止性能試験方法>
内寸が横方向3600mm、縦方向2700mm、高さ2400mmの一般的な木造構造の部屋(躯体は100mm厚の木製部材で出来ており、壁面には石膏ボードが貼られており、その石膏ボード表面には一般的な壁紙が施工されており、壁面内には断熱材として厚さ100mmのグラスウールが入れられている。)の内壁の横方向(3600mm)の壁面の中心部に幅800mm、高さ1300mmの窓(一枚ガラス入りでアルミ製枠材品)を施工し、その窓の窓枠の上面に各ロールスクリーンの施工を行なった。
次に結露が発生し易い冬場の一晩中の環境を再現する為に、以下のような試験を実施した。
まず、部屋内の環境を温度20℃、相対湿度50%に設定し、部屋の外の環境を温度10℃、相対湿度20%に設定した。次に窓及び窓枠に結露が発生していないことを確認した後、6時間をかけて部屋の外の環境を温度10℃、相対湿度20%から温度0℃、相対湿度20%まで変化させた。そしてこの間、目視により部屋内の窓及び窓枠における結露発生の有無を観察した。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明のロールスクリーンは、巻き取りタイプの仕切り用基材の少なくとも片面、すなわちロールスクリーンを下ろした際、巻き取りタイプの仕切り用部材の窓側にくる面に吸放湿性樹脂層が少なくとも位置するように設けた構成としたことにより、従来の一般的なロールスクリーンと全く同等の形態および使用方法で窓及び窓枠の結露の発生を防止できるという優れた効果を奏するものである。
また、本発明のロールスクリーンは、特に室内の居住空間側は快適な湿度を保ったままとし、結露が発生し易い窓ガラス、窓枠サッシ等のある窓際の空間の湿度のみを局部的に効率よく吸・放湿することが可能となる。
このことは、居住者が風邪予防の目的や肌の乾燥防止の目的で室内で加湿器等を使用し、快適な潤いのある居住空間を創造している際でも、本発明品のロールスクリーンが居住空間と窓際の空間を遮断し、さらに窓際の空間の湿度のみを効率的に吸・放湿することが可能となり、延いては、窓際の窓ガラス、窓枠サッシ等での結露発生をも効果的に防止できるということを示している。
しかもこのロールスクリーンは、高湿時には環境空気中の水分を吸収し、一方低湿時には吸収していた水分を放出することにより、室内の湿度変化を和らげる機能も兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロールスクリーンの一部を構成する巻き取りタイプの仕切り用部材の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係るロールスクリーンの概略の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
11・・巻き取りタイプの仕切り用基材
12・・吸放湿性樹脂層
121・基質樹脂
122・吸水性物質
123・吸湿性物質
21・・巻取軸
22・・昇降用部材
23・・巻き取りタイプの仕切り用部材
24・・ボトムレール
25・・ヘッドボックス
Claims (3)
- 巻き取りタイプの仕切り用部材を巻き取ったり巻き戻すことにより上下させて開閉を行うロールスクリーンであって、仕切り用部材が仕切り用基材の少なくとも片面に吸放湿性樹脂層を設けてなるものであることを特徴とするロールスクリーン。
- 巻き取りタイプの仕切り用部材以外の他のロールスクリーン構成部材の表面に吸放湿性樹脂層が設けてあることを特徴とする請求項1に記載のロールスクリーン。
- 前記吸放湿性樹脂層が吸水性物質及び吸湿性物質を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロールスクリーン。
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