JPH11241427A - 建物の壁体構造 - Google Patents

建物の壁体構造

Info

Publication number
JPH11241427A
JPH11241427A JP5750698A JP5750698A JPH11241427A JP H11241427 A JPH11241427 A JP H11241427A JP 5750698 A JP5750698 A JP 5750698A JP 5750698 A JP5750698 A JP 5750698A JP H11241427 A JPH11241427 A JP H11241427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moisture
layer
material layer
wall
insulating material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5750698A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiichi Yamatsuta
紀一 山蔦
Youji Nunoi
洋二 布井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Fiber Glass Co Ltd filed Critical Asahi Fiber Glass Co Ltd
Priority to JP5750698A priority Critical patent/JPH11241427A/ja
Publication of JPH11241427A publication Critical patent/JPH11241427A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)
  • Building Environments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冬季だけでなく、夏季においても、壁体内で
の結露を防止できるようにした建物の壁体構造を提供す
る。 【構成】 内壁21の外側に防湿層22、防湿層22の
外側に繊維質材料からなる断熱材層25、断熱材層25
の外側に透湿性防水防風層26、透湿性防水防風層26
の外側に通気層28、通気層28の外側に外壁30が配
置された建物の壁体構造において、防湿層22と断熱材
層25との間、又は断熱材層25中に混在して、湿気容
量が0.02×10-6kg/(m2・(J/kg))以上で
ある吸放湿材層29を設ける。更に、断熱材層25の外
側に構造用合板を設けてもよく、その場合には、吸放湿
材層29の湿気容量を0.03×10-6kg/(m2
(J/kg))以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内壁と外壁との間
に断熱材層を設けると共に、湿気を外部に放出させるた
めの通気層を設けた建物の壁体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】建物、特に木造住宅の内壁と外壁との間
には、グラスウールなど繊維質材料からなる断熱材層を
設けると共に、湿気を外部に放出させるための通気層を
設けることが通常行われており、通気層工法と呼ばれて
いる。
【0003】図6には、通気層工法を採用した従来の壁
体構造の一例が示されている。図において、11は室内
側の内壁(内装材)であり、内壁11の外壁17側は防
湿層(防湿シート)12で覆われている。また、13は
間柱又は柱であり、間柱又は柱13の間にグラスウール
など繊維質材料からなる断熱材層14が配置されてい
る。断熱材層14及び間柱又は柱13の外側は、透湿性
防水防風層15で覆われている。透湿性防水防風層15
の外側には、間柱又は柱13の外側に打ち付けられた縦
胴縁16を介して、外壁(外装材)17が取付けられ、
透湿性防水防風層15と外壁17との間に通気層18が
形成されている。
【0004】図7は、上記壁体構造の断面を簡略化して
図示したものであり、室内側から内壁11、防湿層1
2、断熱材層14、透湿性防水防風層15、通気層1
8、外壁17の順に配列された構造をなしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図6、7に示す従来の
壁体構造においては、冬季には暖房によって室内側が戸
外側よりも高温多湿となるが、内壁11の外壁側17に
配置された防湿層12によって、室内側の湿気が断熱材
層14に侵入することが防止される。また、防湿層12
の隙間等から侵入した若干の湿気も、透湿性防水防風層
15を通して通気層18に抜け、戸外に排気され、壁体
内での結露を防止することができる。
【0006】しかしながら、夏季において、外壁に照射
される太陽熱(日射)等によって壁体内が高温になる
と、間柱又は柱13、縦胴縁16等の木質部分、更には
断熱材層14等に含まれる水分が湿気となって放出して
壁体内が高湿となり、冷房によって温度が低い室内側の
防湿層12の断熱材層14側の面等で結露することがあ
った。このように壁体内において結露すると、断熱材層
14に水が溜まって断熱性が損なわれたり、間柱又は柱
13、あるいは土台等が腐食したりするという問題が生
じる。
【0007】一方、壁体内に吸放湿性を有する素材の層
を設け、壁体内の湿度を調整して結露を防止する技術
が、特開平6−49919号公報及び特開平9−144
152号公報に記載されている。
【0008】しかしながら、特開平6−49919号公
報においては、断熱材の室内側表面に設けられた透湿性
の少ないシート(防湿シート)の上(室内側)に吸放湿
性のシートを設けているために、夏季において、柱、間
柱、縦胴縁等の木質部分又は断熱材層等から放出された
湿気が、透湿性の少ないシートに遮られ、上記したよう
に冷房によって低温となっているそのシートの断熱材側
の面で結露するという問題があった。
【0009】また、特開平9−144152号公報にお
いては、吸放湿性を有する保持部材を断熱材の室外側の
面に設けているため、夏季において柱、間柱、縦胴縁等
の木質部分又は断熱材等から放出された湿気を充分に吸
湿することができず、上記と同様に防湿層の断熱材側の
面で結露するという問題があった。
【0010】したがって、本発明の目的は、冬季だけで
なく、夏季においても、壁体内での結露を防止できるよ
うにし、もって壁体内の断熱材の寿命を向上させ、湿気
による柱等のダメージを少なくするようにした建物の壁
体構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1は、内壁の外側に防湿層、防湿層の外
側に繊維質材料からなる断熱材層、断熱材層の外側に透
湿性防水防風層、透湿性防水防風層の外側に通気層、通
気層の外側に外壁が配置された建物の壁体構造におい
て、前記防湿層と前記断熱材層との間、又は前記断熱材
層中に混在して、湿気容量が0.02×10-6kg/
(m2・(J/kg))以上である吸放湿材層が設けられて
いることを特徴とする建物の壁体構造を提供するもので
ある。
【0012】本発明の第2は、前記第1の発明におい
て、前記防湿層と前記吸放湿材層とが複合された材料を
使用し、該材料の湿気容量が0.02×10-6kg/
(m2・(J/kg))以上とされている建物の壁体構造を
提供するものである。
【0013】本発明の第3は、前記第1の発明におい
て、前記吸放湿材層と前記断熱材層とが複合された材料
を使用し、該材料の湿気容量が0.02×10-6kg/
(m2・(J/kg))以上とされている建物の壁体構造を
提供するものである。
【0014】本発明の第4は、内壁の外側に防湿層、防
湿層の外側に繊維質材料からなる断熱材層、断熱材層の
外側に構造用合板、構造用合板の外側に通気層、通気層
の外側に外壁が配置された建物の壁体構造において、前
記防湿層と前記断熱材層との間、又は前記断熱材層中に
混在して、湿気容量が0.03×10-6kg/(m2
(J/kg))以上である吸放湿材層が設けられているこ
とを特徴とする建物の壁体構造を提供するものである。
【0015】本発明の第5は、前記第4の発明におい
て、前記構造用合板の外側に、透湿性防水防風層を介し
て、前記通気層が配置されている建物の壁体構造を提供
するものである。
【0016】本発明の第6は、前記第4又は5の発明に
おいて、前記防湿層と前記吸放湿材層とが複合された材
料を使用し、該材料の湿気容量が0.03×10-6kg
/(m2・(J/kg))以上とされている建物の壁体構造
を提供するものである。
【0017】本発明の第7は、前記第4又は5の発明に
おいて、前記吸放湿材層と前記断熱材層とが複合された
材料を使用し、該材料の湿気容量が0.03×10-6
g/(m2・(J/kg))以上とされている建物の壁体構
造を提供するものである。
【0018】本発明の第1によれば、特に冬季におい
て、暖房によって室内側の空気が高温多湿となっても、
防湿層によって湿気が断熱材層に侵入することが防止さ
れ、若干の湿気が断熱材層に侵入しても、透湿性防水防
風層から通気層を通して戸外に排気されるので、壁体内
での結露を防止することができる。
【0019】また、特に夏季において、外壁に強い太陽
熱等が照射されること等によって壁体内が高温になり、
柱、間柱、胴縁等の木質部分、更には断熱材層等に含ま
れる水分が湿気となって放出しても、防湿層の外側に配
置した特定の湿気容量を有する吸放湿材層によって湿気
が吸着されて壁体内の湿度上昇を抑えられるので、防湿
層の断熱材層側の面等での結露を防止することができ
る。このように、夏季においても壁体内での結露を防止
することができ、それによって断熱材層の寿命を長く
し、柱、間柱等が腐食するのを防止することができる。
【0020】更に、吸放湿材層は、戸外の気温や湿度の
変化によって壁体内の湿度が低下したときに吸着した湿
気を放出し、放出された湿気は通気層を通して戸外に排
気されるので吸放湿材層の吸湿性能が損なわれることが
なく、再び柱等から湿気が放出した場合においても吸放
湿材層が湿気を充分に吸着することができる。このよう
に吸放湿材による湿気の吸着、放出が繰り返されること
で、冬季及び夏季にわたって半永久的に壁体内での結露
を防止することができる。
【0021】本発明の第2及び6によれば、防湿層と吸
放湿材層とが複合されて特定の湿気容量とされた材料を
使用することで、従来と同様の施工方法によって簡便に
壁体内に吸放湿材層を設けることができる。
【0022】本発明の第3及び7によれば、吸放湿材層
と断熱材層とが複合されて特定の湿気容量とされた材料
を使用することで、従来と同様の施工方法によって簡便
に壁体内に吸放湿材層を設けることができる。また、従
来の断熱材の製造工程において容易に吸放湿材と断熱材
とを複合(一体化)することができる。
【0023】本発明の第4及び5によれば、構造用合板
を用いる工法(いわゆる2×4工法又はパネル工法)の
建物において、構造用合板を用いることよって在来軸組
工法の様に構造用合板を用いない建物と比較して、木質
部分の水分の吸収及び湿気の放出が多くなった場合で
も、特定の湿気容量を有する吸放湿材層を設けることに
よって、上記した本発明の第1と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1、2には、本発明による壁体
構造の一実施形態が示されている。図1は壁体構造の縦
断面図、図2は横断面図である。
【0025】図1、2において、21は内壁(内装材)
であり、例えばプラスターボードの表面に塩化ビニル製
の壁紙等を貼り付けたものが好ましく使用される。内壁
21は、柱23及び間柱24に室内側から固着されてい
る。
【0026】内壁21の室外側には、防湿層22が設け
られている。防湿層22は、例えば内壁21を柱23及
び間柱24に固着する前に、柱23及び間柱24にガン
タッカーを用いてステープル止めしておくことにより取
付けることができる。防湿層22は、特に冬季におい
て、室内の水蒸気が壁体内に入り込まないようにする。
防湿層22としては、例えば厚さ10〜200 μmのポリエ
チレンフィルム等が好ましく使用される。この防湿層に
必要とされる防湿性能(透湿抵抗)は、壁体を構成する
要素、例えば後述する吸放湿材層29の湿気容量や、外
壁30の日射吸収率を考慮して適宜設定する。
【0027】防湿層22の室外側には、吸放湿材層29
が設けられている。吸放湿材層29は、例えばシート状
の吸放湿材を用いる場合には、防湿層22としての防湿
シートと重ねたり、あるいは防湿シートの室外側に接合
して、防湿シートと一緒に柱23及び間柱24にステー
プル止めすることによって配置することができる。ま
た、吸放湿材層29は、後述する断熱材層25の室内側
に接合するか、あるいは断熱材層25中に混在した層と
して、断熱材層25と一緒に施工することもできる。吸
放湿材層29は、特に夏季において、外壁に強い太陽熱
等が照射されること等によって壁体内が高温になり、
柱、間柱、胴縁等の木質部分、更には断熱材層等に含ま
れる水分が湿気となって放出された場合、湿気を吸着し
て壁体内の湿度上昇を抑え、戸外の気温や湿度の変化に
よって壁体内の湿度が低下したときに吸着した湿気を放
出する。
【0028】吸放湿材層29は、湿気容量が0.02×
10-6kg/(m2・(J/kg))以上であることが必要
である。湿気容量が0.02未満であると吸放湿材の吸
放湿性能が不充分であり、壁体内で木質部分等から放出
された湿気を充分に吸着することができず、また、吸着
した湿気を放出することもできず、夏季における壁体内
の結露を防止することができない。吸放湿材層の効果を
充分に発揮させ、壁体内が高湿化することを防止する上
では、湿気容量が0.19以上であることが好ましく、
0.38以上であることが特に好ましい。
【0029】本発明における湿気容量とは、吸放湿材層
の吸放湿性能を現わす指標であり、吸放湿材層の内側と
外側とで1水分ポテンシャルの差があるとき、1m2
たりで吸放湿材層が吸着又は放出する湿気の量を現わし
ており、湿気容量の値が大きくなるほど吸放湿性能が大
となる。ここで、水分ポテンシャルとは、湿気が流れる
ための駆動力を数値化したものであり、例えば、「福岡
大学工学集報」第53号、1994年11月発行、第1
35〜146頁等に説明がなされている。
【0030】夏季において建物の壁体内で結露が発生し
やすいかどうかは、壁体内において木質部分等から湿気
が放出されやすいかどうかによって決まる。この壁体内
での木質部分等からの湿気の放出のされやすさは、建物
を建築した土地の気候や、外壁の日射吸収率等の影響を
大きく受けるので、本発明の壁体構造での吸放湿材層に
おいては、気候や外壁の日射吸収率を考慮してその湿気
容量を適宜設定すればよい。即ち、壁体内の温度上昇等
によって木質部分又は断熱材から湿気が放出されやすい
場合や、放出された湿気が戸外に排気され難い場合には
より湿気容量が大きい吸放湿材層を壁体内に配置する。
特に、外壁の日射吸収率の大きさが壁体内の温度上昇や
通気層の排湿効果に影響するので、吸放湿材層の湿気容
量を設定するうえでは外壁の日射吸収率を考慮すること
が好ましい。
【0031】なお、上記において外壁の日射吸収率と
は、外壁が受けた日射の量から反射及び透過された量を
除いた量、すなわち外壁に吸収された量の日射量に対す
る比のことであり、例えば、JIS R 3106に記
載された方法によって測定することができる。この外壁
の日射吸収率は、外壁の材質や色(表面性状)によって
種々の値となる。
【0032】また、吸放湿材層29として施工する吸放
湿材としては、吸放湿性の有機繊維不織布、多孔質のボ
ード等を例示することができるが、吸放湿材層として施
工した状態において上述した湿気容量を有することが必
要である。また、施工しやすい点、ボード状の材料と比
べて厚さが薄いので壁体内で吸放湿材層が占める体積を
小さくできる点、及び、防湿層又は断熱材層と複合させ
やすい点で、吸放湿材は不織布等のようにシート状の材
料であることが好ましい。なお、上記のシート状の材料
とは、柔軟で可撓性を有し、巻き取りや折り畳みが可能
な材料のことである。また、その厚さは、例えば0.0
3〜4mm程度の範囲であり、実用上は厚さが0.1〜
2mmであることが好ましい。
【0033】上記吸放湿材層29の外側であって、前記
柱23、間柱24の間には、断熱材層25が介装されて
いる。断熱材層25は、室内側と戸外側との間の熱移動
を抑制し、冬は室内の温度低下を防ぎ、夏は室内の温度
上昇を防ぐ。断熱材層25としては、繊維質材料からな
る断熱材、例えば、グラスウールマットやロックウール
マット等の無機質繊維マット、又は、セルロース繊維マ
ット等の有機質繊維マット等を使用する。中でも、密度
10〜24kg/m2 、厚さ50〜100 mmのグラスウールマットが
好ましく使用され、例えば「マットエース」(商品名、
旭ファイバーグラス株式会社製)などが挙げられる。
【0034】断熱材層25の外側には、透湿性防水防風
層26が設けられている。透湿性防水防風層26の外側
は、柱23及び間柱24の外側に釘等で打ち付けられた
縦胴縁27によって、通気層28が形成されている。透
湿性防水防風層26は、特に冬季において、防湿層22
の隙間から断熱材層25内に侵入した水蒸気を通気層2
8に逃がすと共に、通気層28の通気による対流熱損失
を防ぎ、併せて施工時の水濡れ防止を図るものである。
透湿性防水防風層26としては、例えば「防風エース」
(商品名、旭ファイバーグラス株式会社製)、「タイベ
ック」(商品名、旭化成工業株式会社製)などが好適で
ある。
【0035】通気層の外側には、外壁(外装材)30
が、縦胴縁27を介して固着されている。外壁30とし
ては、雨風を防ぐことができ、耐候性、防火性及び透湿
性能に優れたものが好ましく用いられる。例えば、炭酸
カルシウム板である「クボタセラディール」(商品名、
クボタ株式会社製)、スラグ石膏板である「モエンサイ
ジング」(商品名、ニチハ株式会社製)、ガラス繊維補
強セメント板である「ほんばん」(商品名、旭硝子株式
会社製)などが好適である。
【0036】次に、上記壁体構造の作用について説明す
ると、特に冬季において、室内側の空気が高温多湿とな
ったときは、防湿層22によって湿気が断熱材層25に
侵入することが防止され、若干の湿気が断熱材層25に
侵入しても、透湿性防水防風層26から通気層28を通
して戸外に排気される。
【0037】また、特に夏季において、外壁に強い太陽
熱等が照射されること等によって壁体内が高温になり、
柱23、間柱24、縦胴縁27等の木質部分、更には断
熱材層25等に含まれる水分が湿気となって放出された
ときは、吸放湿材層29によって湿気が吸着されて壁体
内の湿度上昇を抑えられるので、防湿層22の断熱材層
25側の面等での結露を防止することができる。また、
吸放湿材層29は、戸外の気温や湿度の変化によって壁
体内の湿度が低下したときに吸着した湿気を放出し、放
出された湿気は通気層28を通して戸外に排気されるの
で吸放湿材層の吸湿性能が損なわれることがなく、再び
木質部分等から湿気が放出した場合においても吸放湿材
層が湿気を充分に吸着することができる。
【0038】このように、吸放湿材層29による湿気の
吸着、放出が繰り返されることで、冬季だけではなく、
夏季においても、壁体内の結露を防止することができ、
それによって断熱材層25の寿命を長くし、柱23、間
柱24等が腐食するのを防止することができる。
【0039】図3、4には、本発明による壁体構造の別
の実施形態が示されている。図3は壁体構造の縦断面
図、図4は横断面図である。なお、図1、2と実質的に
同じ部分は同符号を付して、その説明を省略することに
する。
【0040】この実施形態では、断熱材層25の外側に
構造用合板31が設けられており、この構造用合板31
の外側に透湿性防水防風層26が設けられている。構造
用合板31は柱23及び間柱24の外側に釘等で打ち付
けられており、この構造用合板としては、厚さ5〜18
mmの合板が好ましく用いられる。なお、その他の構成
は図1、2の実施形態と同じである。なお、図3、4の
実施形態においては、透湿性防水防風層26が設けられ
ていなくてもよい。
【0041】図3、4のような構造用合板31を用いる
工法(いわゆる2×4工法又はパネル工法)の建物にお
いては、図1、2のような構造用合板を用いない工法
(在来軸組工法)の建物と比較して、木質材料である構
造用合板によって水分の吸収及び湿気の放出が多くなる
ので、吸放湿材層の吸放湿性能をより高くすること、即
ち湿気容量が0.03×10-6kg/(m2・(J/k
g))以上である吸放湿材層を設ける必要がある。こうす
ることで、上記の図1、2の実施形態と同様に、冬季及
び夏季にわたって壁体内での結露を防止することができ
る。また、吸放湿材層の効果を充分に発揮させ、壁体内
が高湿化することを防止する上では、湿気容量が0.2
6以上であることが好ましく、0.52以上であること
が特に好ましい。
【0042】本発明においては、防湿層と吸放湿材層と
が複合(一体化)された材料、又は、吸放湿材層と断熱
材層とが複合(一体化)された材料を使用することが、
従来と同様の施工方法によって簡便に壁体内に吸放湿材
層を設けることができる点で好ましい。なお、複合され
た材料は上記の吸放湿材層としての機能を果たすため
に、構造用合板を使用しない場合においては材料全体の
湿気容量が0.02×10-6kg/(m2・(J/kg))
以上である必要があり、構造用合板を使用する場合にお
いては材料全体の湿気容量が0.03×10-6kg/
(m2・(J/kg))以上である必要がある。
【0043】防湿層と吸放湿材層とが複合された材料を
得る方法としては、シート状の防湿材とシート状の吸放
湿材とを接着剤を用いるか熱融着することによってラミ
ネートする方法、シート状の防湿材の表面に粒状又は粉
状の吸放湿材を接着剤と共に散布又は噴霧する方法等を
例示することができる。
【0044】一方、吸放湿材層と断熱材層とが複合され
た材料を得る方法としては、繊維質材料からなる断熱材
の表面にシート状の吸放湿材を接着剤を用いるか熱融着
することによって貼付する方法、繊維質材料からなる断
熱材の表面に粒状又は粉状の吸放湿材を接着剤と共に散
布又は噴霧する方法、無機質繊維マットを製造する際の
樹脂バインダーと粒状又は粉状の吸放湿材とを混合して
繊維化工程で無機質繊維に付与することによってマット
中に無機質繊維と吸放湿材とを混在させる方法等を例示
することができる。これらの方法は、従来の断熱材の製
造工程において容易に吸放湿材と断熱材とを複合化する
ことができるうえでも好ましい。
【0045】図5には、本発明における断熱材層として
用いられる断熱材の好ましい形態の一例の断面が示され
ている。断熱材4は、繊維質マット41の表面、両側面
及び裏面の両側縁部を第1の表被材42で被覆し、繊維
質マット41の裏面に第2の表被材43を接着剤44に
よって貼付してなるものである。この断熱材4におい
て、第2の表被材43として上記の防湿層と吸放湿材層
とが複合された材料を使用するか、又は、繊維質マット
41として上記の吸放湿材層と断熱材層とが複合された
材料を使用する。このような断熱材4を用いることで、
従来と同様の施工方法によって極めて簡便に壁体内に防
湿層、吸放湿材層及び断熱層を設けることができる。な
お、従来の断熱材と同様に、第1の表被材42としては
ポリエチレン等の合成樹脂フィルムやこの合成樹脂フィ
ルムにアルミニウム等の金属を蒸着させたシートを用い
ることができ、また、接着剤44としてはホットメルト
系接着剤、ゴム糊、エマルジョン系接着剤等を用いるこ
とができる。
【0046】
【実施例】木造軸組通気層構造の壁体として、図1、2
に示した構造の壁体を形成した。内壁21としては、プ
ラスターボードの内面をビニルクロスで仕上げたものを
用いた。防湿層22としては、厚さ200μmのポリエ
チレンシートを用いた。吸放湿材層29としては、ポリ
アクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマーの繊維
を主としてなる不織布(「ベルオアシス」商品名、カネ
ボウ合繊株式会社製、湿気容量1.0×10-6kg/
(m2・(J/kg))、目付400g/m2 )を用いた。
断熱材層25としては、厚さ100mm、密度16kg
/m3 のグラスウールマットを用いた。透湿性防水防風
層26としては、「防風エース」(商品名、旭ファイバ
ーグラス株式会社製)を用いた。縦胴縁27としては、
幅45mm×厚さ18mmの木材を用い、通気層28の
厚さを18mmとした。外壁30としては、厚さ12m
mのガラス繊維補強セメント板である「ほんばん」(商
品名、旭硝子株式会社製)を用いた。この壁体構造を実
施例とした。
【0047】一方、比較のため、上記において、吸放湿
材層29を設けない壁体を形成した。この比較例は、図
6、7に示した壁体と同様の構造をなしている。
【0048】実施例の壁体を形成した木造家屋と、比較
例の壁体を形成した木造家屋とについて、冬季及び夏季
において施工から約3ヶ月経過後に壁体内の結露の有無
を観察し、断熱材層の室内側又は室外側の面の何れかが
濡れていた場合には結露有りと判定した。その結果、実
施例の壁体においては冬季及び夏季ともに結露は認めら
れなかった。一方、比較例の壁体においては冬季では結
露は認められなかったが、夏季では結露が認められた。
なお、上記において、冬季では施工を12月初旬に行
い、結露有無の観察を2月末に行った。また、夏季では
施工を6月初旬に行い、結露有無の観察を8月末に行っ
た。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
壁体内の防湿層の外側に特定の湿気容量を有する吸放湿
材層を配置したことにより、特に夏季において、外壁に
強い太陽熱等が照射されること等によって壁体内が高温
になり、柱、間柱、胴縁等の木質部分、更には断熱材層
等に含まれる水分が湿気となって放出しても、吸放湿材
層によって湿気が吸着されて壁体内の湿度上昇を抑えら
れるので、防湿層の断熱材層側の面等での結露を防止す
ることができる。このように、冬季ばかりではなく夏季
においても壁体内での結露を防止することにより、断熱
材層の寿命を長くし、柱、間柱等が腐食するのを防止す
ることができる。
【0050】また、吸放湿材層は、戸外の気温や湿度の
変化によって壁体内の湿度が低下したときに吸着した湿
気を放出し、放出された湿気は通気層を通して外部に排
気されるので吸放湿材の吸湿性能が損なわれることがな
く、再び柱等から湿気が放出した場合においても吸放湿
材が湿気を充分に吸着することができる。この様に吸放
湿材による湿気の吸着、放出が繰り返されることで、冬
季及び夏季にわたって半永久的に壁体内での結露を防止
することができる。
【0051】更に、本発明において吸放湿材層として、
防湿層と吸放湿材層とが複合された材料、又は、吸放湿
材層と断熱材層とが複合された材料を使用した場合に
は、従来と同様の施工方法によって簡便に壁体内に吸放
湿材層を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による壁体構造の一実施形態を示す縦断
面図である。
【図2】同壁体構造の横断面図である。
【図3】本発明による壁体構造の別の実施形態を示す縦
断面図である。
【図4】同壁体構造の横断面図である。
【図5】本発明における断熱材層に用いられる断熱材の
好ましい形態の一例を示す断面図である。
【図6】通気層工法を採用した従来の壁体構造の一例を
示す斜視図である。
【図7】同従来の壁体構造の概略断面図である。
【符号の説明】
21 内壁 22 防湿層 23 柱 24 間柱 25 断熱材層 26 透湿性防水防風層 27 縦胴縁 28 通気層 29 吸放湿材層 30 外壁 31 構造用合板 4 断熱材 41 繊維質マット 42 第1の表被材 43 第2の表被材 44 接着剤

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内壁の外側に防湿層、防湿層の外側に繊
    維質材料からなる断熱材層、断熱材層の外側に透湿性防
    水防風層、透湿性防水防風層の外側に通気層、通気層の
    外側に外壁が配置された建物の壁体構造において、前記
    防湿層と前記断熱材層との間、又は前記断熱材層中に混
    在して、湿気容量が0.02×10-6kg/(m2・(J
    /kg))以上である吸放湿材層が設けられていることを
    特徴とする建物の壁体構造。
  2. 【請求項2】 前記防湿層と前記吸放湿材層とが複合さ
    れた材料を使用し、該材料の湿気容量が0.02×10
    -6kg/(m2・(J/kg))以上とされている請求項1
    記載の建物の壁体構造。
  3. 【請求項3】 前記吸放湿材層と前記断熱材層とが複合
    された材料を使用し、該材料の湿気容量が0.02×1
    -6kg/(m2・(J/kg))以上とされている請求項
    1記載の建物の壁体構造。
  4. 【請求項4】 内壁の外側に防湿層、防湿層の外側に繊
    維質材料からなる断熱材層、断熱材層の外側に構造用合
    板、構造用合板の外側に通気層、通気層の外側に外壁が
    配置された建物の壁体構造において、前記防湿層と前記
    断熱材層との間、又は前記断熱材層中に混在して、湿気
    容量が0.03×10-6kg/(m2・(J/kg))以上
    である吸放湿材層が設けられていることを特徴とする建
    物の壁体構造。
  5. 【請求項5】 前記構造用合板の外側に、透湿性防水防
    風層を介して、前記通気層が配置されている請求項4記
    載の建物の壁体構造。
  6. 【請求項6】 前記防湿層と前記吸放湿材層とが複合さ
    れた材料を使用し、該材料の湿気容量が0.03×10
    -6kg/(m2・(J/kg))以上とされている請求項4
    又は5記載の建物の壁体構造。
  7. 【請求項7】 前記吸放湿材層と前記断熱材層とが複合
    された材料を使用し、該材料の湿気容量が0.03×1
    -6kg/(m2・(J/kg))以上とされている請求項
    4又は5記載の建物の壁体構造。
JP5750698A 1998-02-23 1998-02-23 建物の壁体構造 Pending JPH11241427A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5750698A JPH11241427A (ja) 1998-02-23 1998-02-23 建物の壁体構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5750698A JPH11241427A (ja) 1998-02-23 1998-02-23 建物の壁体構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11241427A true JPH11241427A (ja) 1999-09-07

Family

ID=13057631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5750698A Pending JPH11241427A (ja) 1998-02-23 1998-02-23 建物の壁体構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11241427A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001098656A (ja) * 1999-09-30 2001-04-10 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 高気密高断熱建築物の建築構造
JP2002355525A (ja) * 2001-05-30 2002-12-10 Kanebo Ltd シート状吸放湿性材料
JP2013113033A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Sumitomo Forestry Co Ltd 外壁の外張り断熱耐火構造
KR20170005937A (ko) * 2015-07-06 2017-01-17 김호준 한옥의 단열 벽체 시공구조
JP2017125333A (ja) * 2016-01-13 2017-07-20 ニチハ株式会社 建物外壁構造

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001098656A (ja) * 1999-09-30 2001-04-10 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 高気密高断熱建築物の建築構造
JP2002355525A (ja) * 2001-05-30 2002-12-10 Kanebo Ltd シート状吸放湿性材料
JP2013113033A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Sumitomo Forestry Co Ltd 外壁の外張り断熱耐火構造
KR20170005937A (ko) * 2015-07-06 2017-01-17 김호준 한옥의 단열 벽체 시공구조
JP2017125333A (ja) * 2016-01-13 2017-07-20 ニチハ株式会社 建物外壁構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20150322677A1 (en) Roofing composite including dessicant and method of thermal energy management of a roof by reversible sorption and desorption of moisture
CN202248333U (zh) 幕墙用双膜复合矿物棉保温板
WO2008029462A1 (fr) Corps de mur extérieur
JPH11241427A (ja) 建物の壁体構造
JPH10317528A (ja) 建物の壁体構造
CN209293232U (zh) 一种轻钢房屋防水隔音墙体结构
JP2005059506A (ja) 輻射熱反射機能付き透湿防水シート
KR101913514B1 (ko) 볏짚과 글라스울을 이용한 단열벽체
JP2004211440A (ja) 壁構造
BRPI0714731A2 (pt) material de construÇço para revestimento, isolante tÉrmico e, preferivelmente, tambÉm acéstico
JP2003321885A (ja) 遮熱材を用いた外壁断熱構造、及び断熱パネル
JPH1171835A (ja) 断熱構造及び複合断熱材
JP2008063847A (ja) 建物の透湿型断熱気密構造
KR200409687Y1 (ko) 건축물용 차음, 단열, 방습재
KR200417640Y1 (ko) 건축물 내, 외장용 차음, 단열, 유독성물질 방지, 방습재
JP3665299B2 (ja) 遮熱材を用いた外壁断熱構造、及び断熱パネル
JP2002021211A (ja) 結露防止壁構造
JPH1068175A (ja) 構造用パネル及び建物の防湿構造
JPH10183793A (ja) 通気層を備えた建物
JPH10115045A (ja) 複合ボード
JP2599003Y2 (ja) 断熱パネル
JPH09144156A (ja) 断熱屋根構造及び断熱パネル
CN216195621U (zh) 一种建筑防水保温隔热复合板
JP2004137691A (ja) 防火断熱パネル
JPH06322853A (ja) 木造家屋の断熱構造