JP2004067757A - 乳酸系ポリエステルからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、生分解性の乳酸系ポリエステルの長所を生かし、かつ乳酸系ポリエステルの柔軟性と延伸性能、強度を共に改良することである。
【課題】乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステル(A)の中に、それより弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステル(B)が粒子状に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とするフィルム、シート、ヤーンまたはフィラメントなどの成形体。
【選択図】なし
【課題】乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステル(A)の中に、それより弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステル(B)が粒子状に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とするフィルム、シート、ヤーンまたはフィラメントなどの成形体。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸系ポリエステルの成形体に関する。さらに詳しくは乳酸系ポリエステルのみに比べ、成形性、柔軟性の改良された、フィルム、テープ、ヤーン、フィラメントなどの成形体に関する。
【0002】
【従来の技術分野】
乳酸系のポリエステルは、生分解性のポリエステルとして、近年、原料の光学異性体のL−乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造できるようになり、堆肥中での分解速度が速く、カビに対する抵抗性、食品に対する耐着臭性や耐着色性などに優れるなどの長所があり、広い用途への利用が期待されている。しかし、乳酸系のポリエステルは一般に剛直であり、フィルム、シート、ヤーン、フィラメントなどの柔軟性を要求される分野ではその改良が望まれている。
一方、乳酸系ポリエステルを軟質化する方法として、特開平8−245866には、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルを可塑剤として配合することが開示されている。また、特開平9−111107には、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルを配合することが開示されている。しかし、乳酸系ポリエステルと他の脂肪族ポリエステルの間の相溶性はあまり良くないため、両者を単に溶融混合しただけでは、柔軟性の改良は不十分である。例えば、両者を通常の押出機で加熱溶融混練させてフィルムやフィラメントを成形しても、十分に均一分散せず粘度ムラを生じ、フィルムの厚薄ムラやフィラメント径が不均となり、更には膜切れを起こすなど、安定に成形することが困難である。
さらに、得られたフィルムやフィラメントの延伸配向による耐熱性や強度等の向上も不十分である。
また、国際公開WO 002/06400には、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルを混合するに際して、ポリ乳酸セグメントと脂肪族ポリエステルセグメントを有する脂肪族ブロックコポリエステルを配合して、両成分の相溶化を改良し、柔軟性を改良する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の乳酸系ポリエステルの長所を生かし、かつ乳酸系ポリエステルの柔軟性と延伸性能、強度を共に改良することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、軟質のポリエステルの乳酸系ポリエステルへの分散を向上すべく検討した結果、ダルメージタイプなどの高混練性のスクリューを用いて、混練することにより、必ずしも相溶化ための成分を用いなくとも、ポリエステルを極めて微分散させることができ、乳酸系ポリエステルの柔軟性、延伸性能を改良することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステル(A)の中に、それより弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステル(B)が粒子状に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とする成形体に関する。なお、弾性率は、JISK6732の試験方法で測定した引張り弾性率である。
このような成形体は、一般に溶融押出成形されることが好ましく、少なくとも1方向に延伸処理された成形体であることが好ましい。
このような柔軟性を改良された成形体は、特にフィルム、シート、ヤーンまたはモノフィラメント、マルチフィラメントの用途の好適である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[乳酸系ポリエステル(A)]
本発明において乳酸系ポリエステルの原料として用いられる乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸,DL−乳酸又はそれら化合物、又は乳酸の環状2量体であるラクタイドを挙げることができる。
本発明において使用される乳酸系ポリエステルの製造方法の具体例としては、例えば、
▲1▼ 乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば、USP 5,310,865号に示されている製造方法)、
▲2▼ 乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許2,758, 987号に開示されている製造方法)、
▲3▼乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行う事によりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合を行う方法、等を挙げることができるが、その製造方法には、特に限定されない。また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコールブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合させても良く、又ジイソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
乳酸系ポリエステル中のL体とD体の組成は特に制限を受けるものではないが、ヤーン、モノフィラメント、マルチフィラメントの用途ではD体のない組成が好ましく、L体98%以上の乳酸系ポリエステルを用いる方が更に好ましい。
また、乳酸系ポリエステル(A)は、ポリ乳酸セグメントと共に必要に応じて、それ以外のポリエステルセグメントを有するブロックコポリエステルをマイナー成分として含むものも用いることができる。
【0006】
[ポリエステル(B)]
乳酸系ポリエステル(A)に配合されるポリエステル(B)は、乳酸系ポリエステル(A)より弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステルである。
このようなポリエステル(B)は、軟質の生分解性ポリエステルであることが望ましく、後述する乳酸以外のヒドロキシカルボン酸、脂肪族二価アルコール及び脂肪族二塩基酸を種々組み合わせて製造できる生分解性を有するポリエステルが好適である。その引張り弾性率は、なかでも、乳酸系ポリエステルの引張り弾性率の1〜80%、特に5〜60%の範囲の値をとるものが好適である。
このようなポリエステル(B)の引張り弾性率は、通常1〜2500MPaであり、なかでも、1〜1500MPa,より好ましくは5〜1000MPa、更に好ましくは5〜750MPa、最も好ましくは5〜500MPaがよい。弾性率が2500MPaより大きいと、乳酸系ポリエステルに添加した時の軟質化効果が少ない。
【0007】
本発明で示す好ましい軟質な生分解性ポリエステルとしては、例えばポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマー、ポリカプロラクトン、テレフタール酸とブタンジオールとアジピン酸の共重合体等が挙げられる。特に、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、テレフタール酸とブタンジオールとアジピン酸の共重合体は、既に容易且つ安価に入手可能で好ましい。
【0008】
また、これらの生分解性ポリエステルは、ジイソシアネート等の結合剤によってポリマー鎖が延長されたものであってもよく、また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合されたものでもよい。
本発明においては、発明の目的を損なわない範囲で生分解性を有するポリエステルを軟質化材として用いてもよい。
ポリエステルの製造方法としては、ポリ乳酸の製造方法と同様な方法を用いることもでき、その方法は限定されない。
【0009】
[ヒドロキシカルボン酸]
本発明で示すヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができ、さらに、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上組合せて使用することができる。
【0010】
[脂肪族二価アルコール]
本発明で示す脂肪族二価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレン グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0011】
[二塩基酸]
本発明で示す脂肪族二塩基酸の具体例としては、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンニ酸、ドデカンニ酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0012】
[乳酸系ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の分子量]
乳酸系ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実質的に、成形加工が可能で、実質的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量(Mw)で、6〜100万が好ましく、8〜50万が更に好ましく、10〜30万が最も好ましい。一般的には、重量平均分子量(Mw)が6万より小さい場合、ポリマー組成物を成形加工して得られた成形体の機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が100万を越える場合、成形加工時の溶融粘度が極端に高くなり取扱い困難となったり、製造上不経済となったりする場合がある。
【0013】
[その他添加剤]
本発明の乳酸系ポリエステル組成物には、目的(例えば成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、天然物)等を添加することが行われる。
【0014】
例えば、インフレーション成形、Tダイ押出成形では、フィルム、シートのブロッキング♯防止や滑り性を改良するために、無機添加剤や滑剤(脂肪族カルボン酸アミド♯類や脂肪族カルボン酸ビスアミド類等)を添加することができる。無機添加剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、カーボン,酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、特にシリカや炭酸カルシウムが好適である。これらは1種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
【0015】
又は、有機添加剤としては、デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、パルプ及びその誘導体、紙及びその誘導体、小麦粉、おから、ふすま、やし殻、淡白等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。
【0016】
[成形機]
本発明の成形体を製造する際に用いられる成形機のスクリュ−としては、好ましくは分配混合型スクリューまたは分散混合型スクリューが挙げられる。物体の物理的な性質や形状を変化させないで、界面の接触面積を増やして粒子やその集合体を再配置して分散させる分配混合型スクリューとしては、具体的にピン付きスクリュー、パイナップルミキサー、ダルメージミキサーなどが挙げられる。なかでも特に好適なものとして、ダルメージミキサー、その他、大きな内部応力を作用させてその集合体を壊して分散させる分散混合型スクリューとしては、具体的にフルートマードック・イーガンミキシングなどが挙げられる。
【0017】
[製造法]
本発明の成形体は、以下に記すような種々の用途に使用が可能であり、成形にあたって、射出成形、ブロー成形(射出延伸ブロー、押出延伸ブロー、ダイレクトブローなど)、バルーン法、インフレーション成形、共押出法、カレンダー法、ホットプレス法、(延伸)押出成形、紙、アルミなどとの押出しラミネーション法、異形押出し成形、真空(圧空)成形などの熱成形、溶融紡糸(モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンボンド法、メルトブローン法、解繊糸法など)、発泡成形法、圧縮成形法などの熱成形体に成形される。
【0018】
[成形体]
本発明の成形体は、乳酸系ポリエステル(A)の中に、ポリエステル(B)が、粒子状に微細に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とする成形体である。
このように微細に分散することにより、成形体の延伸性能が改善され、優れた柔軟性の改良効果が得られる。
また、両者の配合比率は広い範囲で実施できるが、乳酸系ポリエステル(A)100重量部に配合されるポリエステル(B)として、中でも5〜60重量部、特に10〜40重量部が好適である。
【0019】
[用途の具体例]
本発明の成形体には、ボトル、フィルム、シート、中空管、積層体、真空(圧空)成形容器、(モノ、マルチ)フィラメント、不織布、発泡体、ショッピングバッグ、紙袋、シュリンクフィルム、ごみ袋、コンポストバッグ♯、弁当箱、惣菜用容器、食品・菓子、包装用フィルム、食品用ラップフィルム、化粧品・香粧品用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、農薬品用ラップフィルム、温室用フィルム、肥料用袋、包装用バンド、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、雑草防止シート、植生ネット、など食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用フィルム、農業・土木・水産分野で用いられる資材等の広範囲における材料として好適に使用し得る。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術範囲を超えない限り、これに限定されるものではない。
製造例,実施例、比較例で示す物性等は、以下に示す方法により測定した。
【0021】
1) 重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準としてゲルバーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC
)により、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒で測定した。
2)フィルムの強度、弾性率(柔軟性)、伸び率
JIS K6732に準じて求めた。本実施例で示す柔軟なフィルムとは、上記弾性率が2500MPaまでの範囲である。
3)タ゛ンヘ゛ル片の引張強度、伸び率、曲げ強度、曲げ弾性率
ASTM D−790に準じて、射出成形にて得られた試験片を評価した。
4)フィラメントの強度と伸び率
JIS L1095に準じて求めた。
5)折強度
JIS P8115に準じて求めた。
6)粒子サイス゛
透過型電子顕微鏡観察にて粒子サイス゛を測定した。
すなわち、サンプルをエポキシ樹脂で包埋し、冷却状態で、ウルトラミクロトームを用い、約100nm厚さの超薄膜切片を作成した後、カーボン蒸着を施して観察用検体とした。観察部位はサンプルの厚さ方向の断面である。
ここで、顕微鏡写真は、通常数千倍〜1万倍が用いられる。
【0022】
[製造例1]
L−ラクタイド400kgおよびオクタン酸第一スズ0.04kgと、ラウリルアルコール0.12kgを、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した。窒素ガスで置換した後、200℃/10mmHgで2時間加熱攪拌した。
反応終了後、下部取り出し口からポリ乳酸の溶融物を抜き出し、空冷し、ペレタイザーにてカットした。得られたポリ乳酸は、収量340kg)収率85%、重量平均分子量(Mw)13.8万であった。
引張り弾性率は、3200MPaであった。
【0023】
[製造例2]
Dien−Starkトラップを設置した反応器に、90%L一乳酸100kg)錫末450gを装入し、150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、150゜C/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーにジフェニルエーテル210kgを加え、150゜C/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶媒を46kgのモレキュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応機に戻るようにして、130℃/17mmHgで20時間反応を行い、重量平均分子量(Mw)15.0万のポリ乳酸溶液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル440kgを加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過した。この結晶に0.5N−HCI 120kgとエタノ一ル120kgを加え、35℃で1時間撹拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥して、ポリ乳酸粉末6lkg(収率85%)を得た。
この粉末を押出機で溶融しペレット化し、ポリ乳酸のペレットを得た。このポリマーの重量平均分子量(Mw)は14.7万であった。
引張り弾性率は、3200MPaであった
【0024】
[製造例3]〈ポリブチレンサクシネートの製造法〉
1,4−ブタンジオール50.5kgとコハク酸66.5kgにジフェニルエーテル293.0kg)金属錫2.02kgを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、Dean−Stark trapを取り付け、140℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキュラーシーブ3Aを40kg充填した管を取り付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻るようにし、130℃/17mmHgで49時間撹拌した。その反応マスを600lのクロロホルムに溶かし、4kリットルのアセトンに加え再沈した後、HClのイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(HCI濃度0.7wt%)で0.5時間スラッジング、濾過した。得られたケーキをIPAで洗浄した後、減圧下60℃で6時間乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略す)を得た。このポリマーの分子量は14万で、収率92%であった。引張り弾性率は、550MPaであった。
【0025】
[実施例1]
製造例1で得られたホ゜リ乳酸140kgと製造例3で得られたホ゜リフ゛チレンサクシネート60kgを混合し、先端にダルメージミキサーを有するスクリューを装着した65mmの紡糸機(タ゛イス径40mm、ノス゛ル孔数90)を用い、温度200〜220℃で紡糸成形し未延伸糸を得た後、温度70〜80℃の第1水槽、90〜100℃の第2水槽中で延伸(トータル延伸7.2倍)した後、100〜120℃の雰囲気下を通じ熱処理した。紡糸性は安定で良好であった。得られた糸は糸太さが500d、強度が4.78±0.15g/d,伸び率が22±3%であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.1〜0.6μmであった。
【0026】
[比較例1]
先端にタ゛ルメーシ゛ミキサーを有するスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は実施例1と同様な方法で行った。紡糸性は時々糸切れを起こし安定に紡糸できなかった。延伸倍率は5.8倍であった。得られた糸は、糸太さが500d、強度が2.10±0.4g/d、伸び率が25±6%であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.2〜1.7μmであった。
【0027】
[実施例2]
製造例2で得られたポリ乳酸60重量部、製造例3で得られたポリブチレンサクシネート40重量部を混合し、先端ダルメージミキサーを有したスクリューを装着した押出機で製膜し、厚み200μmのフィルムを得た。このフィルムを温度65〜75℃に設定したオーブン中にて縦2.5倍、横2.5倍に延伸した。得られたフィルムは、厚みが30μm、引張強度が45MPa、引張弾性率が1200MPa、伸び率が300%、耐折強度が5000回以上であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.1〜0.8μmであった。
【0028】
[比較例2]
先端タ゛ルメーシ゛ミクサーを有したスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は、実施例3と同様にして行った結果、厚み200μmのフィルムを得た。このフィルムを温度65〜70℃に設定したオーブン中にて縦2.5倍、横2.5倍に延伸した。
得られたフィルムは、厚みが30μm、引張強度が40MPa、引張弾性率が1300MPa、伸び率が20〜280%、耐折強度が1500〜5000回であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.2〜2.5μmであった。
【0029】
[実施例3]
製造例2で得られたホ゜リ乳酸80重量部と、テレフタール酸とフ゛タンシ゛オールとアシ゛ヒ゜ン酸の共重合体のイソシアネート変性体として、エコフレックス(商品名、BASF社製)20重量部を混合し、先端ダルメージミキサーを有したスクリューとタ゛イス幅1200m、リッフ゜キ゛ャッフ゜0.8mmの90mmの押し出し機で150〜210℃の温度で製膜し、厚み100μmもフィルムを得た。次にフィルムを6mm幅にスリットし、熱板延伸にて温度65〜80℃で6倍延伸した。得られたテーフ゜は幅が3.0mm、厚みが30μm、強度が3.4±0.2g/dであった。このときのエコフレックスの粒子サイス゛は0.1〜0.7μmであった。
【0030】
[比較例3]
先端タ゛ルメーシ゛ミクサーを有したスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は、実施例3と同様にして行った結果、幅=3.2mm、厚み32μmのテープを得た。得られたテープは、強度=1±0.3g/dであった。このときのエコフレックスの粒子サイス゛は0.2〜2.2μmであった。
【0031】
[実施例4]
製造例1で得られたポリ乳酸70重量部、製造例3で得られたポリブチレンサクシネート30重量部を混合し、先端ダルメージミキサーを有したスクリューとタ゛イス幅1200m、リッフ゜キ゛ャッフ゜0.8mmの90mmの押し出し機で150〜210℃の温度で製膜し、厚み100μmもフィルムを得た。次にフィルムを6mm幅にスリットし、熱板延伸にて温度65〜80℃で6倍延伸した。得られたテーフ゜は幅が3.0mm、厚みが30μm、強度が3.2±0.2g/dであった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.1〜0.8μmであった。
【0032】
[比較例4]
先端タ゛ルメーシ゛ミクサーを有したスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は、実施例4と同様にして行った結果、幅=3.2mm、厚み32μmのテープを得た。得られたテープは、強度=1.2±0.3g/dであった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.2〜2.0μmであった。
結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明に係わる成形品は、優れた機械物性と耐熱性を有する成形品であり、そのため、食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用資材、農業用、土木・建築用、水産用の資材、コンポスト資材等の広範囲における資材として好適に使用し得る。
使用した後、廃棄されても産業廃棄物、家庭廃棄物として蓄積することがない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸系ポリエステルの成形体に関する。さらに詳しくは乳酸系ポリエステルのみに比べ、成形性、柔軟性の改良された、フィルム、テープ、ヤーン、フィラメントなどの成形体に関する。
【0002】
【従来の技術分野】
乳酸系のポリエステルは、生分解性のポリエステルとして、近年、原料の光学異性体のL−乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造できるようになり、堆肥中での分解速度が速く、カビに対する抵抗性、食品に対する耐着臭性や耐着色性などに優れるなどの長所があり、広い用途への利用が期待されている。しかし、乳酸系のポリエステルは一般に剛直であり、フィルム、シート、ヤーン、フィラメントなどの柔軟性を要求される分野ではその改良が望まれている。
一方、乳酸系ポリエステルを軟質化する方法として、特開平8−245866には、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルを可塑剤として配合することが開示されている。また、特開平9−111107には、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルを配合することが開示されている。しかし、乳酸系ポリエステルと他の脂肪族ポリエステルの間の相溶性はあまり良くないため、両者を単に溶融混合しただけでは、柔軟性の改良は不十分である。例えば、両者を通常の押出機で加熱溶融混練させてフィルムやフィラメントを成形しても、十分に均一分散せず粘度ムラを生じ、フィルムの厚薄ムラやフィラメント径が不均となり、更には膜切れを起こすなど、安定に成形することが困難である。
さらに、得られたフィルムやフィラメントの延伸配向による耐熱性や強度等の向上も不十分である。
また、国際公開WO 002/06400には、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルを混合するに際して、ポリ乳酸セグメントと脂肪族ポリエステルセグメントを有する脂肪族ブロックコポリエステルを配合して、両成分の相溶化を改良し、柔軟性を改良する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の乳酸系ポリエステルの長所を生かし、かつ乳酸系ポリエステルの柔軟性と延伸性能、強度を共に改良することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、軟質のポリエステルの乳酸系ポリエステルへの分散を向上すべく検討した結果、ダルメージタイプなどの高混練性のスクリューを用いて、混練することにより、必ずしも相溶化ための成分を用いなくとも、ポリエステルを極めて微分散させることができ、乳酸系ポリエステルの柔軟性、延伸性能を改良することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステル(A)の中に、それより弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステル(B)が粒子状に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とする成形体に関する。なお、弾性率は、JISK6732の試験方法で測定した引張り弾性率である。
このような成形体は、一般に溶融押出成形されることが好ましく、少なくとも1方向に延伸処理された成形体であることが好ましい。
このような柔軟性を改良された成形体は、特にフィルム、シート、ヤーンまたはモノフィラメント、マルチフィラメントの用途の好適である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[乳酸系ポリエステル(A)]
本発明において乳酸系ポリエステルの原料として用いられる乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸,DL−乳酸又はそれら化合物、又は乳酸の環状2量体であるラクタイドを挙げることができる。
本発明において使用される乳酸系ポリエステルの製造方法の具体例としては、例えば、
▲1▼ 乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば、USP 5,310,865号に示されている製造方法)、
▲2▼ 乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許2,758, 987号に開示されている製造方法)、
▲3▼乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行う事によりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合を行う方法、等を挙げることができるが、その製造方法には、特に限定されない。また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコールブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合させても良く、又ジイソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
乳酸系ポリエステル中のL体とD体の組成は特に制限を受けるものではないが、ヤーン、モノフィラメント、マルチフィラメントの用途ではD体のない組成が好ましく、L体98%以上の乳酸系ポリエステルを用いる方が更に好ましい。
また、乳酸系ポリエステル(A)は、ポリ乳酸セグメントと共に必要に応じて、それ以外のポリエステルセグメントを有するブロックコポリエステルをマイナー成分として含むものも用いることができる。
【0006】
[ポリエステル(B)]
乳酸系ポリエステル(A)に配合されるポリエステル(B)は、乳酸系ポリエステル(A)より弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステルである。
このようなポリエステル(B)は、軟質の生分解性ポリエステルであることが望ましく、後述する乳酸以外のヒドロキシカルボン酸、脂肪族二価アルコール及び脂肪族二塩基酸を種々組み合わせて製造できる生分解性を有するポリエステルが好適である。その引張り弾性率は、なかでも、乳酸系ポリエステルの引張り弾性率の1〜80%、特に5〜60%の範囲の値をとるものが好適である。
このようなポリエステル(B)の引張り弾性率は、通常1〜2500MPaであり、なかでも、1〜1500MPa,より好ましくは5〜1000MPa、更に好ましくは5〜750MPa、最も好ましくは5〜500MPaがよい。弾性率が2500MPaより大きいと、乳酸系ポリエステルに添加した時の軟質化効果が少ない。
【0007】
本発明で示す好ましい軟質な生分解性ポリエステルとしては、例えばポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマー、ポリカプロラクトン、テレフタール酸とブタンジオールとアジピン酸の共重合体等が挙げられる。特に、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、テレフタール酸とブタンジオールとアジピン酸の共重合体は、既に容易且つ安価に入手可能で好ましい。
【0008】
また、これらの生分解性ポリエステルは、ジイソシアネート等の結合剤によってポリマー鎖が延長されたものであってもよく、また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合されたものでもよい。
本発明においては、発明の目的を損なわない範囲で生分解性を有するポリエステルを軟質化材として用いてもよい。
ポリエステルの製造方法としては、ポリ乳酸の製造方法と同様な方法を用いることもでき、その方法は限定されない。
【0009】
[ヒドロキシカルボン酸]
本発明で示すヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができ、さらに、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上組合せて使用することができる。
【0010】
[脂肪族二価アルコール]
本発明で示す脂肪族二価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレン グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0011】
[二塩基酸]
本発明で示す脂肪族二塩基酸の具体例としては、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンニ酸、ドデカンニ酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0012】
[乳酸系ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の分子量]
乳酸系ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実質的に、成形加工が可能で、実質的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量(Mw)で、6〜100万が好ましく、8〜50万が更に好ましく、10〜30万が最も好ましい。一般的には、重量平均分子量(Mw)が6万より小さい場合、ポリマー組成物を成形加工して得られた成形体の機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が100万を越える場合、成形加工時の溶融粘度が極端に高くなり取扱い困難となったり、製造上不経済となったりする場合がある。
【0013】
[その他添加剤]
本発明の乳酸系ポリエステル組成物には、目的(例えば成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、天然物)等を添加することが行われる。
【0014】
例えば、インフレーション成形、Tダイ押出成形では、フィルム、シートのブロッキング♯防止や滑り性を改良するために、無機添加剤や滑剤(脂肪族カルボン酸アミド♯類や脂肪族カルボン酸ビスアミド類等)を添加することができる。無機添加剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、カーボン,酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、特にシリカや炭酸カルシウムが好適である。これらは1種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
【0015】
又は、有機添加剤としては、デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、パルプ及びその誘導体、紙及びその誘導体、小麦粉、おから、ふすま、やし殻、淡白等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。
【0016】
[成形機]
本発明の成形体を製造する際に用いられる成形機のスクリュ−としては、好ましくは分配混合型スクリューまたは分散混合型スクリューが挙げられる。物体の物理的な性質や形状を変化させないで、界面の接触面積を増やして粒子やその集合体を再配置して分散させる分配混合型スクリューとしては、具体的にピン付きスクリュー、パイナップルミキサー、ダルメージミキサーなどが挙げられる。なかでも特に好適なものとして、ダルメージミキサー、その他、大きな内部応力を作用させてその集合体を壊して分散させる分散混合型スクリューとしては、具体的にフルートマードック・イーガンミキシングなどが挙げられる。
【0017】
[製造法]
本発明の成形体は、以下に記すような種々の用途に使用が可能であり、成形にあたって、射出成形、ブロー成形(射出延伸ブロー、押出延伸ブロー、ダイレクトブローなど)、バルーン法、インフレーション成形、共押出法、カレンダー法、ホットプレス法、(延伸)押出成形、紙、アルミなどとの押出しラミネーション法、異形押出し成形、真空(圧空)成形などの熱成形、溶融紡糸(モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンボンド法、メルトブローン法、解繊糸法など)、発泡成形法、圧縮成形法などの熱成形体に成形される。
【0018】
[成形体]
本発明の成形体は、乳酸系ポリエステル(A)の中に、ポリエステル(B)が、粒子状に微細に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とする成形体である。
このように微細に分散することにより、成形体の延伸性能が改善され、優れた柔軟性の改良効果が得られる。
また、両者の配合比率は広い範囲で実施できるが、乳酸系ポリエステル(A)100重量部に配合されるポリエステル(B)として、中でも5〜60重量部、特に10〜40重量部が好適である。
【0019】
[用途の具体例]
本発明の成形体には、ボトル、フィルム、シート、中空管、積層体、真空(圧空)成形容器、(モノ、マルチ)フィラメント、不織布、発泡体、ショッピングバッグ、紙袋、シュリンクフィルム、ごみ袋、コンポストバッグ♯、弁当箱、惣菜用容器、食品・菓子、包装用フィルム、食品用ラップフィルム、化粧品・香粧品用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、農薬品用ラップフィルム、温室用フィルム、肥料用袋、包装用バンド、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、雑草防止シート、植生ネット、など食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用フィルム、農業・土木・水産分野で用いられる資材等の広範囲における材料として好適に使用し得る。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術範囲を超えない限り、これに限定されるものではない。
製造例,実施例、比較例で示す物性等は、以下に示す方法により測定した。
【0021】
1) 重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準としてゲルバーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC
)により、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒で測定した。
2)フィルムの強度、弾性率(柔軟性)、伸び率
JIS K6732に準じて求めた。本実施例で示す柔軟なフィルムとは、上記弾性率が2500MPaまでの範囲である。
3)タ゛ンヘ゛ル片の引張強度、伸び率、曲げ強度、曲げ弾性率
ASTM D−790に準じて、射出成形にて得られた試験片を評価した。
4)フィラメントの強度と伸び率
JIS L1095に準じて求めた。
5)折強度
JIS P8115に準じて求めた。
6)粒子サイス゛
透過型電子顕微鏡観察にて粒子サイス゛を測定した。
すなわち、サンプルをエポキシ樹脂で包埋し、冷却状態で、ウルトラミクロトームを用い、約100nm厚さの超薄膜切片を作成した後、カーボン蒸着を施して観察用検体とした。観察部位はサンプルの厚さ方向の断面である。
ここで、顕微鏡写真は、通常数千倍〜1万倍が用いられる。
【0022】
[製造例1]
L−ラクタイド400kgおよびオクタン酸第一スズ0.04kgと、ラウリルアルコール0.12kgを、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した。窒素ガスで置換した後、200℃/10mmHgで2時間加熱攪拌した。
反応終了後、下部取り出し口からポリ乳酸の溶融物を抜き出し、空冷し、ペレタイザーにてカットした。得られたポリ乳酸は、収量340kg)収率85%、重量平均分子量(Mw)13.8万であった。
引張り弾性率は、3200MPaであった。
【0023】
[製造例2]
Dien−Starkトラップを設置した反応器に、90%L一乳酸100kg)錫末450gを装入し、150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、150゜C/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーにジフェニルエーテル210kgを加え、150゜C/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶媒を46kgのモレキュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応機に戻るようにして、130℃/17mmHgで20時間反応を行い、重量平均分子量(Mw)15.0万のポリ乳酸溶液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル440kgを加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過した。この結晶に0.5N−HCI 120kgとエタノ一ル120kgを加え、35℃で1時間撹拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥して、ポリ乳酸粉末6lkg(収率85%)を得た。
この粉末を押出機で溶融しペレット化し、ポリ乳酸のペレットを得た。このポリマーの重量平均分子量(Mw)は14.7万であった。
引張り弾性率は、3200MPaであった
【0024】
[製造例3]〈ポリブチレンサクシネートの製造法〉
1,4−ブタンジオール50.5kgとコハク酸66.5kgにジフェニルエーテル293.0kg)金属錫2.02kgを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、Dean−Stark trapを取り付け、140℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキュラーシーブ3Aを40kg充填した管を取り付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻るようにし、130℃/17mmHgで49時間撹拌した。その反応マスを600lのクロロホルムに溶かし、4kリットルのアセトンに加え再沈した後、HClのイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(HCI濃度0.7wt%)で0.5時間スラッジング、濾過した。得られたケーキをIPAで洗浄した後、減圧下60℃で6時間乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略す)を得た。このポリマーの分子量は14万で、収率92%であった。引張り弾性率は、550MPaであった。
【0025】
[実施例1]
製造例1で得られたホ゜リ乳酸140kgと製造例3で得られたホ゜リフ゛チレンサクシネート60kgを混合し、先端にダルメージミキサーを有するスクリューを装着した65mmの紡糸機(タ゛イス径40mm、ノス゛ル孔数90)を用い、温度200〜220℃で紡糸成形し未延伸糸を得た後、温度70〜80℃の第1水槽、90〜100℃の第2水槽中で延伸(トータル延伸7.2倍)した後、100〜120℃の雰囲気下を通じ熱処理した。紡糸性は安定で良好であった。得られた糸は糸太さが500d、強度が4.78±0.15g/d,伸び率が22±3%であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.1〜0.6μmであった。
【0026】
[比較例1]
先端にタ゛ルメーシ゛ミキサーを有するスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は実施例1と同様な方法で行った。紡糸性は時々糸切れを起こし安定に紡糸できなかった。延伸倍率は5.8倍であった。得られた糸は、糸太さが500d、強度が2.10±0.4g/d、伸び率が25±6%であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.2〜1.7μmであった。
【0027】
[実施例2]
製造例2で得られたポリ乳酸60重量部、製造例3で得られたポリブチレンサクシネート40重量部を混合し、先端ダルメージミキサーを有したスクリューを装着した押出機で製膜し、厚み200μmのフィルムを得た。このフィルムを温度65〜75℃に設定したオーブン中にて縦2.5倍、横2.5倍に延伸した。得られたフィルムは、厚みが30μm、引張強度が45MPa、引張弾性率が1200MPa、伸び率が300%、耐折強度が5000回以上であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.1〜0.8μmであった。
【0028】
[比較例2]
先端タ゛ルメーシ゛ミクサーを有したスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は、実施例3と同様にして行った結果、厚み200μmのフィルムを得た。このフィルムを温度65〜70℃に設定したオーブン中にて縦2.5倍、横2.5倍に延伸した。
得られたフィルムは、厚みが30μm、引張強度が40MPa、引張弾性率が1300MPa、伸び率が20〜280%、耐折強度が1500〜5000回であった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.2〜2.5μmであった。
【0029】
[実施例3]
製造例2で得られたホ゜リ乳酸80重量部と、テレフタール酸とフ゛タンシ゛オールとアシ゛ヒ゜ン酸の共重合体のイソシアネート変性体として、エコフレックス(商品名、BASF社製)20重量部を混合し、先端ダルメージミキサーを有したスクリューとタ゛イス幅1200m、リッフ゜キ゛ャッフ゜0.8mmの90mmの押し出し機で150〜210℃の温度で製膜し、厚み100μmもフィルムを得た。次にフィルムを6mm幅にスリットし、熱板延伸にて温度65〜80℃で6倍延伸した。得られたテーフ゜は幅が3.0mm、厚みが30μm、強度が3.4±0.2g/dであった。このときのエコフレックスの粒子サイス゛は0.1〜0.7μmであった。
【0030】
[比較例3]
先端タ゛ルメーシ゛ミクサーを有したスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は、実施例3と同様にして行った結果、幅=3.2mm、厚み32μmのテープを得た。得られたテープは、強度=1±0.3g/dであった。このときのエコフレックスの粒子サイス゛は0.2〜2.2μmであった。
【0031】
[実施例4]
製造例1で得られたポリ乳酸70重量部、製造例3で得られたポリブチレンサクシネート30重量部を混合し、先端ダルメージミキサーを有したスクリューとタ゛イス幅1200m、リッフ゜キ゛ャッフ゜0.8mmの90mmの押し出し機で150〜210℃の温度で製膜し、厚み100μmもフィルムを得た。次にフィルムを6mm幅にスリットし、熱板延伸にて温度65〜80℃で6倍延伸した。得られたテーフ゜は幅が3.0mm、厚みが30μm、強度が3.2±0.2g/dであった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.1〜0.8μmであった。
【0032】
[比較例4]
先端タ゛ルメーシ゛ミクサーを有したスクリューの代わりにフルフライトスクリューを用いる以外は、実施例4と同様にして行った結果、幅=3.2mm、厚み32μmのテープを得た。得られたテープは、強度=1.2±0.3g/dであった。このときのホ゜リフ゛チレンサクシネートの粒子サイス゛は0.2〜2.0μmであった。
結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明に係わる成形品は、優れた機械物性と耐熱性を有する成形品であり、そのため、食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用資材、農業用、土木・建築用、水産用の資材、コンポスト資材等の広範囲における資材として好適に使用し得る。
使用した後、廃棄されても産業廃棄物、家庭廃棄物として蓄積することがない。
Claims (3)
- 乳酸を主成分とするポリエステル(A)の中に、それより弾性率が小さく、それとは構成モノマーの異なるポリエステル(B)が粒子状に分散している成形体であって、その分散粒子が、電子顕微鏡写真による撮影で1ミクロンメータ(μm)以上の径を有する分散粒子として観察されない状態で分散していることを特徴とする成形体。
- 溶融押出成形され、少なくとも1方向に延伸処理された成形体であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
- フィルム、シート、ヤーンまたはフィラメントであることを特徴とする請求項2に記載の成形体。
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JP2010180338A (ja) * | 2009-02-06 | 2010-08-19 | Achilles Corp | 花卉包装用ポリ乳酸系フィルム |
-
2002
- 2002-08-02 JP JP2002226001A patent/JP2004067757A/ja active Pending
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