JP2004067465A - 紫外線硬化樹脂の硬化方法及び紫外線硬化樹脂塗布装置 - Google Patents

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川口 誠二
Tetsuhei Koiwa
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  • Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)
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Abstract

【課題】光ファイバに塗布された紫外線硬化樹脂を十分に硬化させる紫外線硬化樹脂の硬化方法及び紫外線硬化樹脂塗布装置を提供する。
【解決手段】ダイス25で紫外線硬化樹脂を塗布された光ファイバFは、UV硬化炉26内の石英の保護管13内に導かれる。ダイス25の下面には筒23が連結していて、筒23の下端はUV硬化炉26の上部無酸素室24に連結されている。上部無酸素室24には実質的に無酸素状態の窒素ガスが供給され、その窒素ガスが筒23内及び保護管13内にも供給され、紫外線照射による樹脂硬化が終わるまで光ファイバF周囲の雰囲気を酸素濃度1000ppm以下の状態に保つ。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバに塗布された紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線硬化樹脂の硬化方法及び紫外線硬化樹脂塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年大量の情報を伝送させるための光通信が広く普及してきている。そして、その光通信に用いられる光ファイバも、その需要が増大している。光通信用の光ファイバは石英からなっているが、光ファイバの表面に傷がつくと小さな力でその傷の部分から破断してしまうため、光ファイバの表面には保護のための樹脂被覆が施されている。樹脂被覆用の樹脂には、生産性向上のため塗布後の硬化時間が短い紫外線硬化樹脂が一般的に用いられている。また、多チャンネルの信号を扱うために、複数の光ファイバを平行に並べてテープ化して使用する(以下、テープ化したものを光ファイバテープ心線という)ことも通常行われている。
【0003】
このような光ファイバテープ心線は、予め樹脂被覆された単心の光ファイバを並べて紫外線硬化樹脂をテープ状に塗布後、紫外線照射により硬化させて作製する。各単心の光ファイバは、それぞれどのチャンネルに用いられているかが区別できるように、それぞれ別々の色を付けられている。この色は各光ファイバに被覆される樹脂に予め顔料等を混ぜ込んで形成されている。
【0004】
上記の光ファイバテープ心線を使用する際には、光学機器や別の光ファイバと接続するのに、テープ状に塗布した樹脂を剥がしてそれぞれ単心に分離させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各単心の樹脂被覆の硬化が不十分であると、テープ状に塗布した樹脂が単心の樹脂被覆に密着してしまって、それぞれ単心に分離させることができないという不具合が発生することがある。この不具合は単心の樹脂被覆の際の塗布速度が高速になるほど頻発するようになる。この単心の樹脂被覆の硬化が不十分になるのは、樹脂塗布してから紫外線よる硬化までに樹脂表面が酸素に晒されるためである。つまり、酸素によって硬化反応が阻害されるのであり、そのため硬化不良は樹脂表面に生じて、この表面にテープ化のためさらに紫外線硬化樹脂が塗布されるとその界面が強く密着してしまうのである。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光ファイバに塗布された紫外線硬化樹脂を十分に硬化させる紫外線硬化樹脂の硬化方法及び紫外線硬化樹脂塗布装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、紫外線硬化樹脂が塗布され未硬化状態である光ファイバの周囲の雰囲気を実質的に酸素がほとんど存しない状態とすることにした。
【0008】
具体的には、請求項1に係る発明は、紫外線硬化樹脂を充填したダイスに光ファイバを挿通させて該紫外線樹脂を塗布し、続いて該光ファイバを硬化炉に挿通させ紫外線を照射して塗布された該紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線硬化樹脂の硬化方法を対象とする。
【0009】
そして、上記ダイス出口から硬化炉出口までの間、上記光ファイバの周囲に実質的に無酸素状態のガスを供給するものとする。
【0010】
このような請求項1の方法であれば、紫外線硬化樹脂が塗布された直後から、その硬化が終了するまで、紫外線硬化樹脂が塗布された光ファイバの周囲に実質的に無酸素状態のガスが供給されるので、酸素による紫外線硬化樹脂の硬化阻害はほとんど生じることがなく、塗布表面においても紫外線硬化樹脂を十分に硬化させることができる。従って、この上にさらに紫外線硬化樹脂を塗布し硬化させても、その界面が密着して剥離困難となることはない。
【0011】
次に、請求項2に係る発明は、ダイス出口から硬化炉出口までの間、光ファイバ周囲の雰囲気の酸素濃度を1000ppm以下にして硬化を行うことを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化樹脂の硬化方法である。
【0012】
このような請求項2の方法であれば、実質的に無酸素状態のガスを光ファイバの周囲に供給することにより酸素濃度を1000ppm以下にして、紫外線硬化樹脂の硬化不良を防止することができる。
【0013】
次に、請求項3に係る発明は、紫外線硬化樹脂は着色されていることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線硬化樹脂の硬化方法である。
【0014】
このような請求項3の方法であれば、光ファイバテープ心線の原材料となる単心の着色光ファイバ心線であってテープからの剥離不良の生じないものを容易に作製することができる。
【0015】
次に、請求項4に係る発明は、光ファイバに紫外線硬化樹脂を塗布するためのダイスと、該光ファイバを挿通させ該ダイス内で光ファイバに塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる硬化炉と、該硬化炉内の光ファイバの周囲に実質的に無酸素状態のガスを供給する供給管と、を備えた紫外線硬化樹脂塗布装置を対象とする。
【0016】
そして、上記ダイスと硬化炉とは隣接して配置され、これらの間には筒が設置されており、該筒の中を紫外線硬化樹脂が塗布された上記光ファイバが通るとともに上記ガスが該筒内にも供給されるように構成されているものとする。
【0017】
このような請求項4の構成であれば、塗布直後の未硬化の紫外線硬化樹脂を表面に有する光ファイバは、筒内及び硬化炉内において無酸素状態の中に存しているため、紫外線硬化樹脂の硬化不良を防止することができる。
【0018】
次に、請求項5に係る発明は、硬化炉と筒とは連結されており、ダイスと筒との距離は10mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の紫外線硬化樹脂塗布装置である。
【0019】
このような請求項5の構成であれば、ダイスと筒との隙間の距離が小さいので、この隙間から進入しようとする空気は、この隙間から外部に出ていく無酸素状態のガスに阻まれて筒内に進入することができず、筒内の実質的な無酸素状態を保つことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1に実施形態1に係る紫外線硬化樹脂塗布装置20の概略を示す。この紫外線硬化樹脂塗布装置20は、光ファイバFに着色された紫外線硬化樹脂を塗布・硬化により被覆して着色光ファイバ心線Tとする装置である。
【0022】
この紫外線硬化樹脂塗布装置20は、送出ボビン21と、送出ボビン21の斜め上方に設けられた供給シーブ22と、その下方に順に配設されたダイス25、筒23、紫外線を用いたUV硬化炉26(硬化炉)及び外径測定器27と、外径測定器27の下方に設けられた方向転換用シーブ28と、その方向転換用シーブ28の斜め上方に設けられた第1及び第2巻取補助シーブ29,30と、第1及び第2巻き取り補助シーブ29,30間に設けられたダンサローラ31と、第2巻き取り補助シーブ30の斜め下方に設けられた巻取ボビン32と、を備えている。
【0023】
送出ボビン21は、光ファイバFが巻かれており、巻取ボビン32の巻き取り力によって光ファイバFが斜め上向きに引き出される。なお、送出ボビン21に巻かれた光ファイバFは、コアとクラッドとからなる光ファイバが、裸ファイバの表面の傷の発生を防いでガラスの脆性破壊が生じないように、線引き時に樹脂により一次被覆されたいわゆる光ファイバ素線と呼ばれるものである。
【0024】
供給シーブ22は、送出ボビン21から引き出された光ファイバFを巻き掛けて、走行方向を下向きに変える。
【0025】
ダイス25は、径が光ファイバFの径よりも大きい孔を上下方向に備えており、供給シーブ22から供給された光ファイバFがその孔に挿通され、その挿通の間に光ファイバFの表面に未硬化液状の着色された紫外線硬化樹脂を塗布する。
【0026】
筒23は、ダイス25とUV硬化炉26との間に設置されていて、その筒23の内部を光ファイバFが通過する。
【0027】
UV硬化炉26は、未硬化液状の紫外線硬化樹脂が塗布された状態の光ファイバFが挿通され、入り口から入って出口から出ていく間に、紫外線硬化樹脂を紫外線照射によって硬化させて光ファイバ心線Tを形成させる。
【0028】
外径測定器27は、UV硬化炉26から出た光ファイバ心線Tが挿通され、その挿通の間に光ファイバ心線Tの外径幅を検知し、その情報を図示しない制御装置に送り、所定の公差内の製品が製造されているか否かを判断して異常検知するように構成されている。
【0029】
方向転換シーブ28は、外径測定器27からの光ファイバ心線Tが巻き掛けられ、下向きに走行していた光ファイバ心線Tの走行方向を斜め上向きに変える。
【0030】
第1及び第2巻取補助シーブ29,30は、方向転換用シーブ28からの光ファイバ心線Tが順に巻き掛けられ、光ファイバ心線Tを巻取ボビン32へと導く。また、方向転換シーブ28乃至第1及び第2巻取補助シーブ29,30では、紫外線硬化樹脂の硬化に伴う昇温した光ファイバ心線Tの冷却が行われる。
【0031】
ダンサローラ31は、第1及び第2巻取補助シーブ29,30間で光ファイバ心線Tに所定荷重をかけ、光ファイバ心線Tが一定張力をかけられた状態で巻取ボビン32に巻き取られるようにする。
【0032】
巻取ボビン32は、第2巻取補助シーブ30からの製造された光ファイバ心線Tを張力がかけられた状態で巻き取る。
【0033】
上記ダイス25内の紫外線硬化樹脂は、高分子のモノマーと紫外線照射により分解等して活性化する重合開始剤とを含んでおり、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの樹脂を好ましく使用することができる。ここで酸素が存在すると、重合開始剤の活性化が阻害され、重合が不十分または重合しないことになる。また、この紫外線硬化樹脂は、顔料等により着色されていて、光ファイバ心線Tは赤や青等所望の色の被覆をされて巻き取られる。
【0034】
次に、硬化工程について説明をする。
【0035】
図4はUV硬化炉26の垂直断面模式図であり、図5は水平断面模式図である。UV硬化炉26の内部には、石英の保護管13が上下に延びるように置かれ、その中を光ファイバFが通っており、この保護管13と平行にUV(紫外線)ランプ1が置かれ、保護管13とUVランプ1は反射板2に取り囲まれている。この反射板2は水平断面が楕円形であって、その二つの焦点上にUVランプ1と光ファイバFが置かれて上下に延びている。従って、UVランプ1から出た紫外線7は直接保護管13を通過して光ファイバFに照射され、あるいはそれ以外の方向に発せられた紫外線7は反射板2で反射されて高効率且つ均等に光ファイバFに照射され、光ファイバFの表面の紫外線硬化樹脂を均等に硬化させる。
【0036】
上記UVランプ1は非常に高温になるため、冷却空気導入管3からUV硬化炉26内に冷却空気が導入され、この冷却空気が反射板2に開けられた多数の孔5を通ってUVランプ1を冷却した後、孔5を通って排気管4から排気される。光ファイバFは保護管13で冷却空気が触れないように保護されているので、冷却空気によって揺らされることはなく、冷却空気中のゴミが付着することもない。
【0037】
上記保護管13は、冷却空気の影響を避けるためUV硬化炉26本体の上下に設置された上部無酸素室24及び下部無酸素室35の中にまで延びていて、各室24,35内に開口している。UV硬化炉26本体と上部無酸素室24及び下部無酸素室35とのそれぞれの境界は壁によって仕切られている。上部無酸素室24及び下部無酸素室35の内部には、それぞれ窒素導入管(供給管)11,36から窒素ガスが導入され、内部を実質的に無酸素状態にしている。この窒素ガスとして市販のシリンダー充填のものを用いれば、酸素含有量は10ppm以下であり、吸着方式を利用したPSA装置からのものを用いれば、酸素含有量は100ppm以下であって、紫外線硬化樹脂にとっては、これらのガスは実質的に無酸素状態のガスであるということができる。なお、窒素ガスは上下の無酸素室24,35から保護管13の中に入っていき、UV硬化炉26内では光ファイバF周囲の雰囲気はほとんど窒素ガスとなっている。
【0038】
次に、ダイス25の出口からUV硬化炉26の入り口の部分について説明する。図3は、本実施形態に係るダイス25及びUV硬化炉26の間の模式断面図であり、図2は比較形態に係る同じ部分の模式断面図である。比較形態は、筒23が存しないがそれ以外は本実施形態と同じ構成である。
【0039】
本実施形態及び比較形態ともに、上部無酸素室24の上面はアイリス12となっていて、中央の孔の大きさを変えられるようにしている。このようにアイリス12としているのは、UV硬化炉26からの紫外線の外部への漏れを最小にするため、及び光ファイバFを最初にUV硬化炉26内に通したりメンテナンスの際の作業のしやすさのためである。また、UV硬化炉26内を流れる冷却空気が上部無酸素室24内に入ってこないように、保護管13と保護管13が挿通される上部無酸素室24の孔との間に設置されたOリング14によりシールされている。これらアイリス12およびOリング14は、下部無酸素室35にも同様に設置されている。
【0040】
比較形態では、光ファイバFが走行していない状態では上部無酸素室24内に窒素ガスが供給されてアイリス12の孔から出ていくため、上部無酸素室24内は窒素ガスで満たされていて実質的に無酸素状態であるが、光ファイバFを紫外線硬化樹脂塗布のため図の上から下へと走行させると、ダイス25の出口からアイリス12までの間に存する空気が走行する光ファイバFによって上部無酸素室24内に引き込まれてしまう。従って、上部無酸素室24内に酸素が入り込み、さらには保護管13の中にも酸素が入り込んでしまって、光ファイバF表面の紫外線硬化樹脂の硬化が阻害されてしまう。入り込む酸素の量は、光ファイバFの走行速度に比例して増加するため、この比較形態では、低速で紫外線硬化樹脂を被覆しないと硬化不良が生じてしまうことになり、生産性を上げることが困難である。光ファイバFが走行することに伴う空気の引き込まれを防止するためには窒素ガスを大量に流すとよいが、このようにすると窒素ガスが光ファイバFに激しく吹き付けることになって光ファイバFが揺れてしまい、いわゆる線ぶれが生じて好ましくない。
【0041】
一方、本実施形態では上部無酸素室24とダイス25下面との間に筒23が設置されてそれぞれ連結されているため、ダイス25の出口から上部無酸素室24まで一貫して外気と遮断された状態になっている。従って、窒素ガスが上部無酸素室24内に供給されると、窒素ガスがアイリス12の中央の孔から筒23内にも供給され、ダイス25の下面から下は窒素ガスが充満した状態となる。外部からは筒23内に空気が入ってこないため、この状態は光ファイバFが走行していても走行していなくても変わらないので、紫外線硬化樹脂を高速で塗布しても硬化が終了するまで光ファイバFの周囲の雰囲気は酸素が実質的に除去されたガスの状態となり、紫外線硬化樹脂は表面まで完全に硬化する。そのため、この光ファイバ心線Tをテープ心線に加工しても、テープから単心に剥がすときに剥離不良は生じない。
【0042】
ここで、窒素ガスを供給しているときの光ファイバF周囲の雰囲気は、最初に筒内23、UV硬化炉26内及び上下の無酸素室24,35内に存していた酸素の量と、冷却空気の上下の無酸素室24,35への漏れ量と、窒素ガスの流量等とによって決まってくるが、この雰囲気の酸素濃度が1000ppm以下であれば紫外線硬化樹脂の硬化不良がほとんど生じず実質的な問題はない。実際には、酸素濃度が1000ppm以下になるように窒素ガスの流量を調節すればよい。酸素濃度が500ppm以下であれば酸素による硬化不良の発生がほぼ皆無となり好ましい。この場合も窒素ガスの流量によって調節する。また、筒23により密閉された空間が形成されているので、供給する窒素ガスの量は少量で済み、光ファイバFが揺れてしまうほど大量に供給しなくてもよい。さらに、光ファイバFの走行速度を高速にしても紫外線硬化樹脂の硬化不良は生じなく、生産性が非常に向上する。
【0043】
これまで述べてきたように、本実施形態の紫外線硬化樹脂の硬化方法及び紫外線硬化樹脂塗布装置は、ダイス25とUV硬化炉26の上部に設けられた上部無酸素室24との間に、双方に連結された筒23を設置するという簡単な方法で外部からの空気の侵入を防ぐことができる。そして、上部無酸素室24に無酸素状態の窒素ガスを供給することにより、光ファイバF周囲即ち未硬化の紫外線硬化樹脂表面周囲の雰囲気を酸素のほとんどない状態として、紫外線硬化樹脂の硬化不良を防止でき、塗布速度を上げても硬化不良が生ぜず、生産性が向上する。
【0044】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る紫外線硬化樹脂塗布装置のダイス25とUV硬化炉26との間の模式断面図である。本実施形態は、筒23の上端がダイス25の下面と連結されていなくて、両者の間に隙間があることが実施形態1と異なっている点で、その他は実施形態1と同じである。本実施形態では、筒23とダイス25下面との間に約3mmの隙間があるが、この隙間は狭いため、光ファイバFが高速で走行してもこの隙間から流れ出る窒素ガスに邪魔をされて外部の空気が筒23内部に侵入できない。従って、実施形態1と同様の作用効果が得られる。また、この隙間を10mmまで拡げても、光ファイバFが線ぶれしない程度に窒素ガスの供給を増加させることにより、外部の空気の侵入を防止して、筒23内、上部無酸素室24及び保護管13内の酸素濃度を1000ppm以下とすることができ、紫外線硬化樹脂の硬化不良を防止できる。
【0045】
(他の実施形態)
上記実施形態1,2は例示であり、本発明はこれらの例に限定されない。窒素ガスの代わりにアルゴンガス等を用いてもよく、実質的に無酸素状態のガスであればどのようなガスであっても構わない。紫外線硬化樹脂塗布装置20の構成・構造や工程も実施形態1,2で示したものに限られず、別の部材や工程を挿入してもよいし、一部部材を取り除いてもよい。また、筒23やUV硬化炉26の構造や形状も限定されず、例えばアイリス12の代わりに、単に中央に孔の開いた円板を用いてもよい。また、線引きの際の紫外線硬化樹脂被覆工程やテープ化の際に本発明の方法及び装置を用いても構わない。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に述べる効果を奏する。
【0047】
ダイス出口から紫外線照射が終了するまで、無酸素状態のガスを供給することで光ファイバ周囲の酸素濃度を1000ppm以下として紫外線硬化樹脂の硬化不良を防止することができる。ダイスとUV硬化炉との間に筒を設置して、そこに光ファイバを通して無酸素状態のガスを供給することにより、簡単な方法で確実に紫外線硬化樹脂の硬化不良を防止でき、紫外線硬化樹脂の塗布速度を高速にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る紫外線硬化樹脂塗布装置を横から見た模式図である。
【図2】比較形態に係るダイス下面とUV硬化炉上部との間の鉛直断面模式図である。
【図3】実施形態1に係るダイス下面とUV硬化炉上部との間の鉛直断面模式図である。
【図4】実施形態1に係るUV硬化炉の鉛直断面模式図である。
【図5】実施形態1に係るUV硬化炉の水平断面模式図である。
【図6】実施形態2に係るダイス下面とUV硬化炉上部との間の鉛直断面模式図である。
【符号の説明】
7      紫外線
11、36  窒素導入管(供給管)
23     筒
25     ダイス
26     UV硬化炉(硬化炉)
F      光ファイバ

Claims (5)

  1. 紫外線硬化樹脂を充填したダイスに光ファイバを挿通させて該紫外線樹脂を塗布し、続いて該光ファイバを硬化炉に挿通させ紫外線を照射して塗布された該紫外線硬化樹脂を硬化させる紫外線硬化樹脂の硬化方法であって、
    上記ダイス出口から硬化炉出口までの間、上記光ファイバの周囲に実質的に無酸素状態のガスを供給することを特徴とする紫外線硬化樹脂の硬化方法。
  2. ダイス出口から硬化炉出口までの間、光ファイバ周囲の雰囲気の酸素濃度を1000ppm以下にして硬化を行うことを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化樹脂の硬化方法。
  3. 紫外線硬化樹脂は着色されていることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線硬化樹脂の硬化方法。
  4. 光ファイバに紫外線硬化樹脂を塗布するためのダイスと、該光ファイバを挿通させ該ダイス内で光ファイバに塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる硬化炉と、該硬化炉内の光ファイバの周囲に実質的に無酸素状態のガスを供給する供給管と、を備えた紫外線硬化樹脂塗布装置であって、
    上記ダイスと硬化炉とは隣接して配置され、これらの間には筒が設置されており、該筒の中を紫外線硬化樹脂が塗布された上記光ファイバが通るとともに上記ガスが該筒内にも供給されるように構成されていることを特徴とする紫外線硬化樹脂塗布装置。
  5. 硬化炉と筒とは連結されており、ダイスと筒との距離は10mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の紫外線硬化樹脂塗布装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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