JP2004066846A - 車両用の換気制御方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【効果】走行開始に伴いCO2センサの加熱を再開した際に、冷間放置の影響からセンサ出力が徐々に回復し、車両内のCO2濃度の増加を見かけ上打ち消して、検出に失敗することを防止する。
【選択図】 図2
Description
【発明の利用分野】
この発明はCO2センサを用いた、トラックや乗用車、バスなどの車両の換気制御に関する。
【0002】
【従来技術】
ガスセンサにより換気の制御をするために、換気時のガスセンサの出力を基準値として記憶し、基準値からの変動分を用いて、空気の汚れを検出することが知られている(例えば実開昭61−138931,特許2507165)。ところで車両内のCO2濃度を検出して換気を制御する場合、エンジンを停止させてから次に起動するまでの間に、CO2センサが結露したり、高湿雰囲気を経験したりすることがある。CO2センサは、結露したりあるいは非加熱で高湿雰囲気を経験すると特性が変動し、回復するまでに時間が必要である。
【0003】
高湿雰囲気を経験した後にCO2センサを起動した際の特性を図12に示す。正常なCO2センサと、60℃相対湿度90%の雰囲気に600時間放置した後のCO2センサとを、共に通常のヒータ電圧である5Vで起動する。高温高湿を経験したセンサの出力は、30分程度で定常値に達し、CO2感度は正常である。またCO2センサの出力(例えば起電力)は、CO2によっても結露などによっても減少する。
【0004】
ここで最悪のモデルを図11に示す。結露したCO2センサをCO2 350ppm中(自然大気中のCO2濃度)で起動すると、図の実線のように30分程度で起電力は定常値に達する。車室内で、エンジンのスタート(CO2センサの加熱再開)と共に徐々にCO2濃度が増すと、起電力は破線のように定常値を示し、換気がなされないことが考えられる。即ち結露後のセンサ出力の回復と、CO2濃度の増加とが打ち消しあって、CO2の検出に失敗することが考えられる。
【0005】
【発明の課題】
この発明の課題は、走行停止中に結露などを経験したCO2センサの出力の回復と、車両内のCO2濃度の増加が打ち消しあって、CO2の検出に失敗することを防止することにある(請求項1〜8)。
請求項3〜6,8の発明での追加の課題は、車両の換気率をなるべく小さくしながら、適切な基準値をサンプリングできるようにすることにある。
請求項7の発明での追加の課題は、信頼性のある基準値を車両の走行開始時に得ることにある。
【0006】
【発明の構成】
この発明は、CO2センサを車両内に配置して、換気時のCO2センサの出力を基準値として記憶し、基準値からのCO2センサの出力の変化により換気するようにした方法において、CO2センサは、ヒータとCO2検出部とを備え、非加熱放置により、特に高湿雰囲気を非加熱で経験することや結露することにより、特性が変化するものであり、CO2センサ車両の走行開始時に、前記ヒータにより常用電力よりも高い電力を所定時間加えて、CO2検出部をヒートクリーニングすることを特徴とする、車両用の換気制御方法にある(請求項1)。
【0007】
またこの発明は、車両内のCO2濃度を検出するためのCO2センサと、CO2センサの出力から換気信号を発生するための換気制御手段と、換気時のCO2センサの出力を基準値として記憶するための基準値の記憶手段を備えた装置において、前記CO2センサは、ヒータとCO2検出部とを備え、非加熱放置により特性が変化するものであり、CO2センサ車両の走行開始時に、前記ヒータにより常用電力よりも高い電力を所定時間加えて、CO2検出部をヒートクリーニングするためのヒートクリーニン手段を設けたことを特徴とする(請求項2)。
【0008】
好ましくは、換気時にサンプリングしたCO2センサの出力の信頼性を評価するための手段を設けて、該出力が高濃度のCO2に対応する場合には、基準値の変更度合いを小さくし、該出力が低濃度のCO2に対応する場合には、基準値の変更度合いを大きくする(請求項3)。
【0009】
好ましくは、換気時のCO2センサの出力波形から、換気中でのCO2センサの定常値を予測して、予測した該定常値を基準値の候補としてサンプリングする(請求項4)。
【0010】
好ましくは、換気に伴うCO2センサの出力変化の程度を求め、出力変化が大きい場合は換気時間を延長し、小さい場合は延長しないようにし、かつ換気終了時付近のCO2センサの出力を基準値の候補としてサンプリングする(請求項5)。
また好ましくは、換気時間を長短に変化させるための手段を設ける(請求項6)。長短の変化はセンサ出力の挙動から定めても良く、あるいは数回ごと等の所定回数ごとに換気時間を他よりも長くしても良い。
請求項5,6において特に好ましくは、換気時間が長い際にあるいは換気時間を延長した際にサンプリングした基準値の候補は、信頼性の高いものとして、変更後の基準値に占める割合を高くする。
【0011】
好ましくは、CO2センサ車両の走行開始時に、車両内を強制換気すると共に、該強制換気時間を前記ヒートクリーニング時間よりも長くし、強制換気終了時付近のCO2センサの出力を基準値の候補としてサンプリングする(請求項7)。
【0012】
また好ましくは、車両の走行中のCO2センサの基準値を走行終了後も記憶し、車両の走行開始時に、前回の走行時の基準値をCO2の低濃度側へ所定値だけ変化させた値を基準値の初期値とする(請求項8)。
【0013】
【発明の作用と効果】
この発明の換気制御方法や換気制御装置では、車両の走行開始時にCO2センサをヒートクリーニングする。すると非加熱放置を経験したCO2センサでも、図13に示すように出力は分のオーダーで安定し、▲1▼センサ出力が徐々に回復する、▲2▼この間に車両内のCO2濃度が増して、見かけ上センサ出力が安定しているように見える、との最悪のストーリーを防止できる。またヒートクリーニングに要する時間は例えば1分以下で、その後の安定化時間を加えても数分以内に、例えば合計で1分以内に、CO2の検出を開始できる(請求項1,2)。
【0014】
車両内を充分に換気すれば、信頼性のある基準値が得られる。しかし夏季や寒冷時などに車両内のCO2濃度を外気レベルまで低下させると換気率が増し、エアコンディショナへの負担が増す。例えば外気のCO2濃度が350ppmとして、CO2濃度の制御目標を3000ppmと600ppmの間などとする。すると換気の終了時でも、CO2センサが触れる雰囲気は外気よりもCO2濃度が高いことが考えられる。
【0015】
そこで換気時にサンプリング可能な範囲で、なるべく低濃度のCO2に対応する信号を基準値の候補とすることが好ましく、請求項3の発明では、換気時にサンプリングしたCO2センサの出力(基準値の候補)が、それ以前の基準値などに対して、基準値に対応するCO2濃度を基準として、低濃度側や僅かに(例えば所定値以下)高濃度側にある場合などは、信頼性のある基準値の候補とし、それ以前の基準値などに対して、所定値を越えて高濃度側にある場合などは、基準値の候補の信頼性が低いものとする。そして求めた信頼性に応じて、基準値の候補の扱いを変更し、例えば更新後の基準値での前記の基準値の候補が占める割合を変更する。
【0016】
例えば基準値の候補の信頼性が高ければ、基準値の候補を基準値に代入する、もしくは基準値に対する新たにサンプリングした候補の比重が大きくなるように基準値を変更(更新)する。これに対して、基準値の候補の信頼性が低ければ、元の基準値を所定値だけ高濃度側に変更する、もしくは基準値に対する新たにサンプリングした候補の比重を小さくする、等を行う。このようにすると、少ない換気率で、基準値を外気のCO2レベルに近い低濃度のCO2に対応したものにでき、換気制御の信頼性を増すことができる。
【0017】
基準値のサンプリングでは、実際のセンサ出力をサンプリングすることが在来から行われているが、換気率の低さを補うため、好ましくはセンサ出力を外挿して、換気を続行した際のセンサ出力の定常値を予測し、予測した定常値を基準値の候補とする(請求項4)。
【0018】
車両内のCO2濃度が高いと、換気によるセンサ出力の変化が大きくなる。このことは、換気開始時のセンサ出力の差分や、所定時間(例えば短時間)換気した際のセンサ出力の変化などから、検出できる。この場合は換気不足であり、換気時間を延長して車両内のCO2濃度を低下させ、より信頼性のある基準値をサンプリングできるようにする(請求項5)。
【0019】
毎回換気率を大きくするよりも、数回に1回などの割合で、あるいはCO2センサの出力の挙動等に基づいて、換気時間を長くすると、信頼性の高い基準値の候補を得ることができる(請求項6)。
【0020】
走行開始時に、センサをヒートクリーニングするだけでなく換気を行い、ヒートクリーニング終了後も換気を続行して充分に換気すると、走行開始時に信頼性のある基準値を得ることができる(請求項7)。
【0021】
前回の走行時の基準値を走行停止後も記憶し、次回の走行開始時に基準値の候補として呼び出し、この基準値を所定値だけ低濃度側へシフトさせて(即ち、高感度側にシフトさせ)、新たな基準値の初期値とする。結露したりあるいは冷間で高湿雰囲気にさらされると、センサの出力はCO2の高濃度側へシフトする。センサ出力に結露などの影響がなければ、高感度な状態からスタートして換気し易くし、換気した時点で妥当な基準値に更新する。高湿雰囲気や結露などの影響があれば、極めて換気しやすくなっているので、走行開始と同時あるいは程なくして換気し、妥当な基準値に変更する(請求項8)。
【0022】
【実施例】
図1〜図14に、実施例と用いるセンサの特性とを示す。CO2センサはここでは、Naイオン導電体やLiイオン導電体などの固体電解質を用いたものとするが、SnO2やIn2O3などの金属酸化物半導体CO2センサや、BaTiO3などを加えたCuOなどの静電容量型CO2センサなどでも良い。これらのCO2センサはいずれもヒータで加熱されて動作し、高湿雰囲気に非加熱でさらされると特性が変化する。
【0023】
図14にCO2センサの濃度特性を示す。車両内のCO2濃度の制御目標をCO2 600ppmと3000ppmの間とし、CO2濃度が3000ppmに達すると600ppm程度に低下するまで換気を続行するものとする。CO2センサの出力(起電力EMF)は、CO2濃度が増加すると減少し、冷間で高湿雰囲気にさらされたり、あるいは結露したりすると減少する。CO2濃度が600ppmから3000ppm程度に増加すると、起電力は50mV程度減少するので、基準値に対して出力が50mV程度減少すると換気を開始するようにする。
【0024】
図12は、正常なCO2センサと、高温高湿耐久(60℃×相対湿度90%×600時間)を経験したCO2センサとに対して、通常のヒータ電圧である5Vを加えた際の出力波形を示している。高温高湿耐久を経験したセンサでは、出力が安定値に達するまで30分程度が必要で、CO2感度自体は失われていない。CO2センサは結露すると、高温高湿耐久を経験した場合と同様の傾向を示す。また車両内では、夜間に気温が低下した際などにセンサに結露が生じ得る。これらのため冷間での放置、特に高湿雰囲気での冷間放置がセンサ特性に影響を与える。
【0025】
冷間放置で特性が変化したセンサに対して、通常のヒータ電圧を加えて加熱を再開すると、出力は図12のように徐々に増加する。バッテリーの消耗を防止するため、CO2センサは例えば、エンジンがオンしている間のみ加熱するので、この間車両内のCO2濃度が徐々に増加すると、センサ特性の回復とCO2濃度の増加の影響とが打ち消しあって、CO2の検出に失敗することがある。このようなモデルが前記の図11のモデルである。
【0026】
図13に、動作開始時にCO2センサを30秒間ヒートクリーニングした際の波形を示す。なおCO2センサの常用ヒータ電圧は5Vで、ヒートクリーニング電圧は5.5Vとする。時刻0秒から30秒間ヒートクリーニングし、その後例えば30秒待機すると、正常品のセンサも高温高湿耐久を経験したセンサも、起電力はほぼ安定する。従って、走行開始時に例えば1分以下の時間、CO2センサをヒートクリーニングすることにより、冷間放置の影響を防止できる。
【0027】
図1に、車両用の換気制御装置の構成を示す。2は前記のCO2センサで、3はそのヒータであり、4は固体電解質である。5はヒータ制御用のトランジスタで、6はヒータ制御部、7は増幅器で、8はADコンバータである。ヒータ制御部6は、ヒートクリーニング時にトランジスタ5のオン比率を他の場合よりも高めて、所定時間ヒートクリーニングする。
【0028】
10はCO2検出部で、基準値管理部12から供給される基準値とADコンバータ8から得られるセンサ出力とを比較し、CO2を検出する。また基準値管理部12は、基準値を記憶すると共に、換気終了時付近のセンサ出力を用いて基準値を更新する。14は制御出力部で、基準値に対して所定値以上、例えば50mV以上センサ出力が低い場合、換気信号を出力する。そして基準値の更新を行うための種々のタイミング信号を、基準値管理部12へフィードバックする。
【0029】
16はスタート/終了処理部で、車両のエンジンがオン、あるいは車両の走行用モータがオンすることにより、スタート信号が入力され、車両のエンジンがオフあるいは走行用モータがオフすると、終了信号が入力される。そしてスタート信号の入力時には、エアコンディショナ全体の制御部から現在時刻Tが入力される。スタート/終了処理部16は、スタート信号に基づいて所定時間、例えば30秒間、ヒートクリーニング信号をヒータ制御部6へ出力する。またスタート/終了処理部16は、スタート時に入力された時刻Tをタイマ18へ入力し、タイマ18はこの時刻Tを基にそれ以降の時刻を求める。そしてタイマ18は、制御出力部14に対して所定の換気時間を定めるためのタイマ信号を送信し、かつスタート/終了処理部16が終了信号を受信した場合、終了時の時刻T0をEEPROM20に書き込む。また基準値管理部12は、終了信号を入力されると、その時点での基準値EMFSTD0をEEPROM20に書き込み、スタート信号が入力されると、EEPROM20から前回の基準値EMFSTD0を読み出す。同様にタイマ18はスタート信号を入力されると、前回動作を終了した時刻T0を読み出し、スタート時との時刻の時間差を求める。
【0030】
なお車両用の換気制御装置は、車両用のエアコンディショナの制御装置の一部としても良く、これらと別体にしても良い。EEPROM20は不揮発性メモリの例である。CO2センサの設置位置は車両内で、例えば運転席などの座席の付近や、エアコンディショナからの空気の吹き出し口付近などとする。さらに車両の種類は、乗用車でもバスでもトラックでも良い。
【0031】
図2に換気制御のためのソフトウェアを示すと、ステップ1でスタート信号と現在時刻Tとを受信し、ステップ2で前回の終了時刻T0と前回の基準値EMFSTD0を読み出す。ステップ3で時刻TとT0との差が所定時間以上か否か、例えば4時間以上かどうかをチェックする。この時間が所定時間以下の場合、冷間での放置時間が短いので結露などは生じておらず、CO2センサはヒートクリーニング無しで再起動可能なものと判断して、ステップ6で前回の基準値EMFSTD0を新たな基準値に代入する。なおステップ6で例えば30秒間ヒートクリーニングしても良い。
【0032】
前回の走行終了から4時間以上経過している場合、例えば車両が一夜放置されていると、その間CO2センサは冷間で放置され、特性が変化している可能性があるものとし、30秒間CO2センサをヒートクリーニングすると共に、この間車両内を換気する(ステップ4)。ステップ5で換気を所定時間続行し、例えば合計の換気時間を3分〜5分程度として車両内を充分換気し、換気終了時の出力EMFを新たな基準値とする。
【0033】
この後、車両内のCO2濃度の監視に移り、ステップ7で換気レベル以上のCO2が検出されると、例えば基準値に対してセンサの出力が50mV以上低下すると、ステップ8で所定の時間換気し、換気終了時付近のセンサ出力を用いて基準値を更新する。
【0034】
終了信号を受信すると、現在の基準値をEMFSTD0とし、現在の時刻をT0として不揮発性メモリであるEEPROMに書き込み、終了する。
【0035】
図3は基準値の初期値を定めるための変形例を示し、ステップ12でスタート信号を受信すると、EEPROMから前回の基準値EMFSTD0を読み出す。そしてステップ14で30秒間CO2センサをヒートクリーニングする。ただしヒートクリーニングは、前回の終了時の時刻とスタート時の時刻の間の差が4時間以上などの場合に限って、行っても良い。前回の基準値EMFSTD0に例えば+20mVなどの所定の値を加算し、これを新たな基準値とする(ステップ15)。このようにすると基準値は、低濃度のCO2に対応したものとなるので、換気信号が生じやすくなる。そしてヒートクリーニング直後の影響を除くため10秒待機し、図2のステップ7へ移行してCO2の監視を開始する。
【0036】
図3の場合、前回の基準値EMFSTD0を用いるが、この信号には信頼性がない。信頼性の不足を補うため、ステップ5で基準値を所定値だけ高感度側へシフトさせ、換気しやすくする。このためCO2濃度の監視を開始すると、比較的速やかに換気信号が生じ、その時点で換気して信頼性のある基準値に更新されることになる。また冷間放置の間にCO2センサの特性が変化していると、ごく僅かなCO2濃度の増加で換気信号が生じるはずで、実質的に図2のステップ5を実行することになる。これらの結果、走行開始時の強制換気を冷間放置により特性が変化している場合以外は省略できる。
【0037】
図4〜図7に、図2の基準値更新の内容を示す。なおここでは換気時間は原則として一定、例えば2分間などとし、車室内のCO2濃度が当初3000ppmの場合、600ppm程度まで低下するものとする。ステップ20で換気終了時のセンサ出力を用い、基準値の候補をサンプリングする。基準値の候補は図5に示すように、換気終了時のセンサ出力(EMF)を候補としても良く、あるいは図5の実線にサンプリングポイントをマークしたように、換気終了時付近でのセンサ出力の推移から、センサ出力の定常値を予測し、この予測値を基準値の候補としても良い。エアコンディショナへの負担を小さくするため、基準値を得るためだけの換気を行わないようにするのが好ましく、外気のCO2濃度まで換気することができない分を、予測により補うのである。
【0038】
図4のステップ21で、サンプリングした基準値の候補の妥当性を評価する。例えば図6のように、前回の基準値に対して、サンプリングした基準値の方が出力が高く、より低濃度のCO2に対応する場合、信頼性のある基準値が得られたものとして、100%基準値の候補を新たな基準値に代入する。
【0039】
これに対して図7のように、換気によっても前回の基準値よりも許容幅以上低いセンサ出力しか得られない場合、信頼性のある基準値の候補が得られていないものとして、前回の基準値を例えば許容幅だけ低下させる。これらの処理を図4のステップ22,23に示す。
【0040】
基準値の扱い方には、これ以外にも様々な変形例が考えられる。例えば基準値の候補がサンプリングされるごとに、その候補の値を記憶し、例えば10回程度の基準値の候補を記憶しておく。そしてこれらの候補のうちで最も低濃度のCO2に対応するものを実際の基準値とする。また図7で、換気によってサンプリングした基準値の候補が、前回の基準値に対して許容幅以上低い場合でも、前回の基準値を許容幅低下させる代わりに、前回の基準値と今回の基準値の候補とを所定の割合で内分して、新たな基準値としても良い。この場合、内分は前回の基準値寄りになるように定めておく。
【0041】
換気率が低いので、信頼性のある基準値が得られない恐れがあることへの対策の例を図8に示す。図2のステップ7で、CO2濃度が換気レベルを上回っていることを検出した場合、スタートからの換気の回数(車両の走行開始からの換気回数)をチェックし(ステップ31)、この回数が自然数nの倍数の場合、換気時間を通常よりも長くする(ステップ32)。これ以外の場合、換気時間はより短い一定の値とする(ステップ33)。すると、スタートからn回換気するごとに換気時間が他の場合より長くなり、例えば通常の換気時間が2分であるのに対して、4分が換気時間となる。基準値更新のアルゴリズム自体は図4の場合と同様で、換気時間を長くした場合、ステップ22の処理が行われるので、信頼性のある基準値を得ることができる。
【0042】
図9は信頼性のある基準値を得るための他のアルゴリズムを示し、図2のステップ7でCO2濃度が換気レベルを上回っていることを検出すると、換気を開始する。ここで換気による出力変化の程度をステップ35で検出する。そして出力変化が大きい場合換気時間を長くし、出力変化が小さい場合換気時間を短くする。この処理の意味を図10に示すと、換気を開始した後のセンサ出力の増加の程度を、例えばセンサ出力の勾配などから検出する。あるいは所定時間、例えば2分間換気した際の、換気開始からの出力変化の程度を検出する。これらによって図9のステップ35の判断を行うことができる。そして換気による出力変化が大きい場合、図10の破線のように換気を延長し、換気終了時の出力に基づく基準値、あるいは換気終了時付近の出力から推定した定常値に基づく基準値を、新たな基準値として得るようにする。
【0043】
実施例では換気時間は原則として一定であるが、前回の換気時からの時間間隔、外気温や内気温、冷房又は暖房を行っているか、などの補助的なパラメータにより変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の車両用の換気制御装置のブロック図
【図2】実施例の車両用の換気制御方法を示すフローチャート
【図3】前日等の基準値を基準値とする際の初期化アルゴリズムを示すフローチャート
【図4】基準値の更新アルゴリズムを示すフローチャート
【図5】換気時の出力の定常値を予測して、基準値の候補とすることを示す図
【図6】換気時に正常な基準値の候補が得られた際の処理を示す図
【図7】換気時にサンプリングした基準値の候補の信頼性が低い際の処理を示す図
【図8】換気時間を変動させて、基準値の信頼性を増すようにしたアルゴリズムを示すフローチャート
【図9】換気による出力変化の大小で換気時間を変更し、基準値の信頼性を増すようにしたアルゴリズムを示すフローチャート
【図10】換気開始時のCO2センサの出力勾配や、換気中の出力の変化量に基づく、換気時間の延長を示す特性図
【図11】冷間放置から通常のヒータ電圧で駆動を開始した際の、CO2の検出漏れのモデルを示す図
【図12】正常なCO2センサと高温高湿中600時間放置を体験したCO2センサとの、ヒータ電圧5Vで駆動開始時の波形を示す特性図
【図13】ヒータ電圧5.5Vで30秒間ヒートクリーニングした際のCO2センサの出力波形を示す図
【図14】CO2センサの濃度特性を示す特性図
【符号の説明】
2 CO2センサ
3 ヒータ
4 固体電解質
5 トランジスタ
6 ヒータ制御部
7 増幅器
8 ADコンバータ
10 CO2検出部
12 基準値管理部
14 制御出力部
16 スタート/終了処理部
18 タイマ
20 EEPROM
Claims (8)
- CO2センサを車両内に配置して、換気時のCO2センサの出力を基準値として記憶し、基準値からのCO2センサの出力の変化により換気するようにした方法において、
前記CO2センサは、ヒータとCO2検出部とを備え、非加熱放置により特性が変化するものであり、
CO2センサ車両の走行開始時に、前記ヒータにより常用電力よりも高い電力を所定時間加えて、CO2検出部をヒートクリーニングすることを特徴とする、車両用の換気制御方法。 - 車両内のCO2濃度を検出するためのCO2センサと、CO2センサの出力から換気信号を発生するための換気制御手段と、換気時のCO2センサの出力を基準値として記憶するための基準値の記憶手段を備えた装置において、
前記CO2センサは、ヒータとCO2検出部とを備え、非加熱放置により特性が変化するものであり、
CO2センサ車両の走行開始時に、前記ヒータにより常用電力よりも高い電力を所定時間加えて、CO2検出部をヒートクリーニングするためのヒートクリーニン手段を設けたことを特徴とする、車両用の換気制御装置。 - 換気時にサンプリングしたCO2センサの出力の信頼性を評価するための手段を設けて、該出力が高濃度のCO2に対応する場合には、基準値の変更度合いを小さくし、該出力が低濃度のCO2に対応する場合には、基準値の変更度合いを大きくするようにしたことを特徴とする、請求項2の車両用の換気制御装置。
- 換気時のCO2センサの出力波形から、換気中でのCO2センサの定常値を予測して、予測した該定常値を基準値の候補としてサンプリングするようにしたことを特徴とする、請求項2または3の車両用の換気制御装置。
- 換気に伴うCO2センサの出力変化の程度を求め、出力変化が大きい場合は換気時間を延長し、小さい場合は延長しないようにし、かつ換気終了時付近のCO2センサの出力を基準値の候補としてサンプリングするようにしたことを特徴とする、請求項2〜4のいずれかの車両用の換気制御装置。
- 換気時間を長短に変化させるための手段を設けたことを特徴とする、請求項2〜4のいずれかの車両用の換気制御装置。
- CO2センサ車両の走行開始時に、車両内を強制換気すると共に、該強制換気時間を前記ヒートクリーニング時間よりも長くし、強制換気終了時付近のCO2センサの出力を基準値の候補としてサンプリングするようにしたことを特徴とする、請求項2〜6のいずれかの車両用の換気制御装置。
- 車両の走行中のCO2センサの基準値を走行終了後も記憶し、車両の走行開始時に、前回の走行時の基準値をCO2の低濃度側へ所定値だけ変化させた値を基準値の初期値とするようにしたことを特徴とする、請求項2〜6のいずれかの車両用の換気制御装置。
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