JP2004066768A - 転写式マーキング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、タイヤロールの印判表面上に適量のインクを供給し、帯状材料の鮮明なマーキングが可能な転写式マーキング装置を提供することを目的としている。
【解決手段】走行する帯状材料に対向して接触し回転するタイヤロールと、該タイヤロールに貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を帯状材料に押圧転写する印判と、印判表面上へ塗料を供給するインクロールと、塗料を貯蔵するインクバスと、インクバスより塗料を抜き出し、印判上に塗る塗料をインクロールへ吐出するインクポンプとを備えた転写式マーキング装置において、インクロールとインクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2吐出孔を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】走行する帯状材料に対向して接触し回転するタイヤロールと、該タイヤロールに貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を帯状材料に押圧転写する印判と、印判表面上へ塗料を供給するインクロールと、塗料を貯蔵するインクバスと、インクバスより塗料を抜き出し、印判上に塗る塗料をインクロールへ吐出するインクポンプとを備えた転写式マーキング装置において、インクロールとインクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2吐出孔を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写式マーキング装置に係わり、詳しくは、該装置に供給される塗料(以下、インクという)の飛び散りを防止し、走行中の帯状材料へ出所表示等の鮮明なマークを安定して付与する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鋼板、繊維布、樹脂板、紙等の帯状材料は、その材質、製造年月日、品質及び出所を明確にするため、通常、それら自体に何らかのマークが付与される。そのマーク付与(以下、マーキングという)は、生産効率や省力の観点より、前記帯状材料を製造する工程の最終段階でラインを走行中に、種々のマーキング装置を用いて自動的に行われることが多い。
【0003】
そのようなマーキング装置の一つに、図3に示すような転写式のものがある。それは、鉛直方向に一定速度で走行する帯状材料1に対向して接触し回転するタイヤロール3と、該タイヤロール3に貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字(図示せず)を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を前記帯状材料1に押圧転写する印判2と、該印判2の表面上へインク4を供給するインクロール5と、該インク4を貯蔵するインクバス6と、該インクバス6よりインク5を抜き出し、前記印判2上に塗るインクを前記インクロール5へ吐出するインクポンプ7とで形成されている。これにより、前記タイヤロール3に支えられた印判2の表面上に塗られたインク4が前記帯状材料1に転写され、マーキングが円滑に行われるようになる。なお、装置によっては、前記インクロール5と前記タイヤロール3との間にスクリーンロール8と称するロールを別途設け、印判2の表面上にインク4を正確に供給する通路を確保するようになっている。
【0004】
しかしながら、このような従来のマーキング装置では、インクポンプ7からインクロール5へ吐出するインク4の量が経時的に不安定になり、インク4の供給過剰が起きる傾向があった。この供給過剰が起きると、インク4が周囲に飛散し、タイヤロール3表面の印判2以外の部分にもインク4が付着し、その付着したインク4が帯状材料1にはからずも転写し、製品を汚して外観を損ねたり、あるいはマーキング不良を引き起こすという問題に発展する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、タイヤロールの印判表面上に適量のインクを供給し、帯状材料の鮮明なマーキングが可能な転写式マーキング装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、従来装置でインクの供給過剰が起きる原因を追求した。その結果、インクポンプ7は、必ず脈動するので、極めて微量のインクしか必要ない場合には、インク4の過剰吐出が防止できないことを知った。また、インク4を定量に吐出するインクポンプ7もあるが、本発明が対象としているような極微量(2.5ミリリットル/秒程度)のインク4を一定に供給できるもは現存していない。そこで、発明者は、作業環境を汚したり、印判2以外の部分にインク4を付着させないようにすることについて鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0007】
すなわち、本発明は、走行する帯状材料に対向して接触し回転するタイヤロールと、該タイヤロールに貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を前記帯状材料に押圧転写する印判と、該印判の表面上へ塗料を供給するインクロールと、該塗料を貯蔵するインクバスと、該インクバスより塗料を抜き出し、前記印判上に塗る塗料を前記インクロールへ吐出するインクポンプとを備えた転写式マーキング装置において、前記インクロールと前記インクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該塗料受け容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1の吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2の吐出孔を設けたことを特徴とする転写式マーキング装置である。この場合、前記第1及び第2の吐出孔の面積及び位置は、第1の吐出孔から前記インクロールへ吐出される塗料が鮮明なマーキングに必要、且つ十分な量で、且つ一定となるように、それぞれ調整して設定されたり、あるいは前記帯状材料が鋼帯であることが好ましい。
【0008】
本発明では、前記インクロールと前記インクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該塗料受け容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1の吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2の吐出孔を設けるようにしたので、インクロールへ吐出される塗料の量が極微量で適切になり、インクが周囲に飛散し、タイヤロール表面の印判以外の部分にもインクが付着し、製品を汚して外観を損ねたり、あるいはマーキング不良を引き起こすという問題が解消される。また、マーキング作業が従来より円滑に行えるようになるので、マーキング作業の省力化にも貢献する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
まず、発明者は、図3で説明した既存の転写式マーキング装置(タイヤロール径:318mmφ、タイヤロール回転速度:120rpm)において、インクポンプ7からインクロール5へ吐出するインク(塗料)4の量がどの程度であれば、インクロール5でインク4の飛散が起きないかについて調査した。その結果、5ミリリットル/秒の流量以下であれば、ほとんど飛散が起きず、その後にタイヤロ−ル3等でも不要な個所に余分な塗料が付着しないことを知った。
【0011】
しかしながら、そのような5ミリリットル/秒より少ない量をインクロール5に供給して所望のマークを鮮明に転写できるかという問題もある。そこで、引き続き、タイヤロール3に貼り付ける種々の必要なマークを突設した印判2に量を変更してインク4を塗り、鋼板に圧接させて転写する実験を行った。そして、多種のサイズ及び形状のマークを鮮明に転写するには、最低限2.5ミリリットル/秒の量があれば良いことを見出した。
【0012】
次に、上記で知見した2.5〜5ミリリットル/秒という範囲のインクロール5への供給量を確保する具体的な手段が必要である。そのため、発明者はさらなる研究、実験を行い、インクロール5とインクポンプ7との間に、図1に示すように、インクポンプ7から吐出されたインク4を受けて一時貯留する塗料受け容器9を新たに設け、その塗料受け容器9には、インクロール5へ向けてインクを吐出する第1の吐出孔10と、溜まったインクを廃棄する第2の吐出孔11を設けのが良いことを見出し、本発明を完成させたのである。これにより、インクポンプ7からの吐出量が過剰であっても、塗料受け容器9の内部でインクが飛散するだけで、周囲の環境又はタイヤロール3への飛散を防止できるばかりでなく、第1の吐出孔10を介してタイヤロール3の印判2上へ供給するインク量より余分な量は、第2の吐出孔11より排出できるからである。なお、インクポンプ7から吐出されるインクのうち、過剰供給分を塗料受け容器9の上部開口部よりオバーフローさせるようにすることも考えられるが、この場合、塗料受け容器9内の上層部においては、常にインクが流動する。そして、塗料受け容器9の下部層においては、インクが長時間滞留してしまうので、顔料が容器の底に沈降してしまう。したがって、3図に示すように、塗料受け容器9の側面に第2の吐出孔11を設けるか、あるいは塗料受け容器9の底面に第2の吐出孔11を設ける必要がある。ここで、顔料が容器の底に沈降することを防止するには、第2の吐出孔はなるべく塗料受け容器の底に近い位置に設けることが好ましい。ただし、ポンプ7からのインクの供給量より第2の吐出孔からのインクの供給量が多いと、塗料受け容器9にインクが溜まらないので、ポンプ7からのインクの平均供給量(供給量の変動を考慮した場合の平均供給量)が、第2の吐出孔からの流出量と第1の吐出孔からの流出量との和とほぼ同一になるように、第1の吐出孔及び第2の吐出孔の開口面積を設定しておけば良い。このような構成をとることで、ポンプ7からのインクの供給量が変動しても、塗料受け容器9内に溜まったインクの液面レベルが変動するだけで、第1の吐出孔からのインクの吐出量は一定にできるのである。なお、実際にはインク受け容器9内の液面レベルの変動より、吐出孔からのインクの吐出量も変動するが、これはポンプ7からの供給量の変動に比べて無視できる程度である。
【0013】
その塗料受け容器9の一例を図2に示す。それは、受け入れたインク4を他所へ飛散させないように、上部の平面積がある程度広いことが望ましい。また、図示しないが、インクの受け入れ口だけを開口した蓋を備えていても良い。なお、本発明では、第2の吐出孔11から排出されるインクは、前記インクバス6へ戻して再利用しても良く、そのためには、図1に示すように、インクをインクバス6へ戻す配管12を、第2の吐出孔11に連接するのが好ましい。これにより、インク費用が節約できるからである。
【0014】
ただし、上記した図3の転写式マーキング装置では、鮮明なマーキングに必要、且つ十分なインク量は2.5〜5ミリリットル/秒であったが、本発明では特に限定しない。そのようなインク量は、マークのサイズ、形状、マーキング速度等の多くの要因に依存するので、一概に決定できないからである。本発明の重要なポイントは、前記第1及び第2の吐出孔の面積や容器での位置(底面からの高さで評価)を、予め試験操業等でそれぞれ調整することにある。
【0015】
【実施例】
冷間圧延工場で製造された厚み0.7mm×幅1200mmの鋼帯1をコイル状に巻き取り、その後に図1に示した本発明に係る転写式マーキング装置で、出所表示マーク(英文字 K)を鋼帯表面の長手方向に1mの間隔で塗布した。そのため、タイヤロール3としては、外径318mmφのものを使用し、外周の一箇所に前記英文字のKを突設した印判2を貼り付けた。該ロール3の回転速度は120rpmとした。また、塗料受け容器9には、上部表面積が750mm2で、高さ15mmの図2に示したと同様な形状のものを使用した。そして、該容器9を図1に示したように、インクロール5の上方に配設し、そこで、インクポンプ7からのインク4を受けるようにした。なお、第1及び第2の吐出孔の面積や位置は、予め実験を行い、表1のように定めた。また、鋼帯1はコイルを巻き戻し、鉛直上方に速度2m/秒で走行させた。
【0016】
【表1】
【0017】
本発明によれば、従来生じたインク飛散に起因した汚れが発生せず、鋼帯コイル1本あたりのマーキング不良率(不鮮明なマーク数/全マーク数×100)を、ポンプ7から直接インクロール5に吐出させていた従来技術(図3参照)に対して60%低減できた。また、マーキング不良による装置の運転停止等が従来より減少し、マーキング作業が円滑になり、マーキング作業の省力化も達成された。
【0018】
なお、上記実施例は帯状材料が鋼帯であったが、本発明がそれに限らず、繊維布、樹脂板、紙等、多種のものに適用できることは、言うに及ばない。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、走行する帯状材料へのマーキング装置において、インクロールへ吐出される塗料の量が極微量でも常に適切になる。その結果、インクが周囲に飛散し、タイヤロール表面の印判以外の部分にもインクが付着し、製品を汚して外観を損ねたり、あるいはマーキング不良を引き起こすという問題が解消される。また、マーキング作業が従来より円滑に行え、マーキング作業の省力化にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転写式マーキング装置の概要を説明する縦断面図である。
【図2】本発明に係る塗料受け入れ容器を示す斜視図である。
【図3】従来の転写式マーキング装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 帯状材料(鋼帯等)
2 印判
3 タイヤロール
4 インク(塗料)
5 インクロール
6 インクバス
7 インクポンプ
8 スクリーンロール
9 塗料受け容器
10 第1の吐出孔
11 第2の吐出孔
12 配管
13 マーク
14 インク戻しポンプ
15 汚れ
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写式マーキング装置に係わり、詳しくは、該装置に供給される塗料(以下、インクという)の飛び散りを防止し、走行中の帯状材料へ出所表示等の鮮明なマークを安定して付与する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鋼板、繊維布、樹脂板、紙等の帯状材料は、その材質、製造年月日、品質及び出所を明確にするため、通常、それら自体に何らかのマークが付与される。そのマーク付与(以下、マーキングという)は、生産効率や省力の観点より、前記帯状材料を製造する工程の最終段階でラインを走行中に、種々のマーキング装置を用いて自動的に行われることが多い。
【0003】
そのようなマーキング装置の一つに、図3に示すような転写式のものがある。それは、鉛直方向に一定速度で走行する帯状材料1に対向して接触し回転するタイヤロール3と、該タイヤロール3に貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字(図示せず)を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を前記帯状材料1に押圧転写する印判2と、該印判2の表面上へインク4を供給するインクロール5と、該インク4を貯蔵するインクバス6と、該インクバス6よりインク5を抜き出し、前記印判2上に塗るインクを前記インクロール5へ吐出するインクポンプ7とで形成されている。これにより、前記タイヤロール3に支えられた印判2の表面上に塗られたインク4が前記帯状材料1に転写され、マーキングが円滑に行われるようになる。なお、装置によっては、前記インクロール5と前記タイヤロール3との間にスクリーンロール8と称するロールを別途設け、印判2の表面上にインク4を正確に供給する通路を確保するようになっている。
【0004】
しかしながら、このような従来のマーキング装置では、インクポンプ7からインクロール5へ吐出するインク4の量が経時的に不安定になり、インク4の供給過剰が起きる傾向があった。この供給過剰が起きると、インク4が周囲に飛散し、タイヤロール3表面の印判2以外の部分にもインク4が付着し、その付着したインク4が帯状材料1にはからずも転写し、製品を汚して外観を損ねたり、あるいはマーキング不良を引き起こすという問題に発展する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、タイヤロールの印判表面上に適量のインクを供給し、帯状材料の鮮明なマーキングが可能な転写式マーキング装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、従来装置でインクの供給過剰が起きる原因を追求した。その結果、インクポンプ7は、必ず脈動するので、極めて微量のインクしか必要ない場合には、インク4の過剰吐出が防止できないことを知った。また、インク4を定量に吐出するインクポンプ7もあるが、本発明が対象としているような極微量(2.5ミリリットル/秒程度)のインク4を一定に供給できるもは現存していない。そこで、発明者は、作業環境を汚したり、印判2以外の部分にインク4を付着させないようにすることについて鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0007】
すなわち、本発明は、走行する帯状材料に対向して接触し回転するタイヤロールと、該タイヤロールに貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を前記帯状材料に押圧転写する印判と、該印判の表面上へ塗料を供給するインクロールと、該塗料を貯蔵するインクバスと、該インクバスより塗料を抜き出し、前記印判上に塗る塗料を前記インクロールへ吐出するインクポンプとを備えた転写式マーキング装置において、前記インクロールと前記インクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該塗料受け容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1の吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2の吐出孔を設けたことを特徴とする転写式マーキング装置である。この場合、前記第1及び第2の吐出孔の面積及び位置は、第1の吐出孔から前記インクロールへ吐出される塗料が鮮明なマーキングに必要、且つ十分な量で、且つ一定となるように、それぞれ調整して設定されたり、あるいは前記帯状材料が鋼帯であることが好ましい。
【0008】
本発明では、前記インクロールと前記インクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該塗料受け容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1の吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2の吐出孔を設けるようにしたので、インクロールへ吐出される塗料の量が極微量で適切になり、インクが周囲に飛散し、タイヤロール表面の印判以外の部分にもインクが付着し、製品を汚して外観を損ねたり、あるいはマーキング不良を引き起こすという問題が解消される。また、マーキング作業が従来より円滑に行えるようになるので、マーキング作業の省力化にも貢献する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
まず、発明者は、図3で説明した既存の転写式マーキング装置(タイヤロール径:318mmφ、タイヤロール回転速度:120rpm)において、インクポンプ7からインクロール5へ吐出するインク(塗料)4の量がどの程度であれば、インクロール5でインク4の飛散が起きないかについて調査した。その結果、5ミリリットル/秒の流量以下であれば、ほとんど飛散が起きず、その後にタイヤロ−ル3等でも不要な個所に余分な塗料が付着しないことを知った。
【0011】
しかしながら、そのような5ミリリットル/秒より少ない量をインクロール5に供給して所望のマークを鮮明に転写できるかという問題もある。そこで、引き続き、タイヤロール3に貼り付ける種々の必要なマークを突設した印判2に量を変更してインク4を塗り、鋼板に圧接させて転写する実験を行った。そして、多種のサイズ及び形状のマークを鮮明に転写するには、最低限2.5ミリリットル/秒の量があれば良いことを見出した。
【0012】
次に、上記で知見した2.5〜5ミリリットル/秒という範囲のインクロール5への供給量を確保する具体的な手段が必要である。そのため、発明者はさらなる研究、実験を行い、インクロール5とインクポンプ7との間に、図1に示すように、インクポンプ7から吐出されたインク4を受けて一時貯留する塗料受け容器9を新たに設け、その塗料受け容器9には、インクロール5へ向けてインクを吐出する第1の吐出孔10と、溜まったインクを廃棄する第2の吐出孔11を設けのが良いことを見出し、本発明を完成させたのである。これにより、インクポンプ7からの吐出量が過剰であっても、塗料受け容器9の内部でインクが飛散するだけで、周囲の環境又はタイヤロール3への飛散を防止できるばかりでなく、第1の吐出孔10を介してタイヤロール3の印判2上へ供給するインク量より余分な量は、第2の吐出孔11より排出できるからである。なお、インクポンプ7から吐出されるインクのうち、過剰供給分を塗料受け容器9の上部開口部よりオバーフローさせるようにすることも考えられるが、この場合、塗料受け容器9内の上層部においては、常にインクが流動する。そして、塗料受け容器9の下部層においては、インクが長時間滞留してしまうので、顔料が容器の底に沈降してしまう。したがって、3図に示すように、塗料受け容器9の側面に第2の吐出孔11を設けるか、あるいは塗料受け容器9の底面に第2の吐出孔11を設ける必要がある。ここで、顔料が容器の底に沈降することを防止するには、第2の吐出孔はなるべく塗料受け容器の底に近い位置に設けることが好ましい。ただし、ポンプ7からのインクの供給量より第2の吐出孔からのインクの供給量が多いと、塗料受け容器9にインクが溜まらないので、ポンプ7からのインクの平均供給量(供給量の変動を考慮した場合の平均供給量)が、第2の吐出孔からの流出量と第1の吐出孔からの流出量との和とほぼ同一になるように、第1の吐出孔及び第2の吐出孔の開口面積を設定しておけば良い。このような構成をとることで、ポンプ7からのインクの供給量が変動しても、塗料受け容器9内に溜まったインクの液面レベルが変動するだけで、第1の吐出孔からのインクの吐出量は一定にできるのである。なお、実際にはインク受け容器9内の液面レベルの変動より、吐出孔からのインクの吐出量も変動するが、これはポンプ7からの供給量の変動に比べて無視できる程度である。
【0013】
その塗料受け容器9の一例を図2に示す。それは、受け入れたインク4を他所へ飛散させないように、上部の平面積がある程度広いことが望ましい。また、図示しないが、インクの受け入れ口だけを開口した蓋を備えていても良い。なお、本発明では、第2の吐出孔11から排出されるインクは、前記インクバス6へ戻して再利用しても良く、そのためには、図1に示すように、インクをインクバス6へ戻す配管12を、第2の吐出孔11に連接するのが好ましい。これにより、インク費用が節約できるからである。
【0014】
ただし、上記した図3の転写式マーキング装置では、鮮明なマーキングに必要、且つ十分なインク量は2.5〜5ミリリットル/秒であったが、本発明では特に限定しない。そのようなインク量は、マークのサイズ、形状、マーキング速度等の多くの要因に依存するので、一概に決定できないからである。本発明の重要なポイントは、前記第1及び第2の吐出孔の面積や容器での位置(底面からの高さで評価)を、予め試験操業等でそれぞれ調整することにある。
【0015】
【実施例】
冷間圧延工場で製造された厚み0.7mm×幅1200mmの鋼帯1をコイル状に巻き取り、その後に図1に示した本発明に係る転写式マーキング装置で、出所表示マーク(英文字 K)を鋼帯表面の長手方向に1mの間隔で塗布した。そのため、タイヤロール3としては、外径318mmφのものを使用し、外周の一箇所に前記英文字のKを突設した印判2を貼り付けた。該ロール3の回転速度は120rpmとした。また、塗料受け容器9には、上部表面積が750mm2で、高さ15mmの図2に示したと同様な形状のものを使用した。そして、該容器9を図1に示したように、インクロール5の上方に配設し、そこで、インクポンプ7からのインク4を受けるようにした。なお、第1及び第2の吐出孔の面積や位置は、予め実験を行い、表1のように定めた。また、鋼帯1はコイルを巻き戻し、鉛直上方に速度2m/秒で走行させた。
【0016】
【表1】
【0017】
本発明によれば、従来生じたインク飛散に起因した汚れが発生せず、鋼帯コイル1本あたりのマーキング不良率(不鮮明なマーク数/全マーク数×100)を、ポンプ7から直接インクロール5に吐出させていた従来技術(図3参照)に対して60%低減できた。また、マーキング不良による装置の運転停止等が従来より減少し、マーキング作業が円滑になり、マーキング作業の省力化も達成された。
【0018】
なお、上記実施例は帯状材料が鋼帯であったが、本発明がそれに限らず、繊維布、樹脂板、紙等、多種のものに適用できることは、言うに及ばない。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、走行する帯状材料へのマーキング装置において、インクロールへ吐出される塗料の量が極微量でも常に適切になる。その結果、インクが周囲に飛散し、タイヤロール表面の印判以外の部分にもインクが付着し、製品を汚して外観を損ねたり、あるいはマーキング不良を引き起こすという問題が解消される。また、マーキング作業が従来より円滑に行え、マーキング作業の省力化にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転写式マーキング装置の概要を説明する縦断面図である。
【図2】本発明に係る塗料受け入れ容器を示す斜視図である。
【図3】従来の転写式マーキング装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 帯状材料(鋼帯等)
2 印判
3 タイヤロール
4 インク(塗料)
5 インクロール
6 インクバス
7 インクポンプ
8 スクリーンロール
9 塗料受け容器
10 第1の吐出孔
11 第2の吐出孔
12 配管
13 マーク
14 インク戻しポンプ
15 汚れ
Claims (3)
- 走行する帯状材料に対向して接触し回転するタイヤロールと、該タイヤロールに貼り付けられ、所定の形状、模様及び文字を凸状に設けてその表面上に供給された塗料を前記帯状材料に押圧転写する印判と、該印判の表面上へ塗料を供給するインクロールと、該塗料を貯蔵するインクバスと、該インクバスより塗料を抜き出し、前記印判上に塗る塗料を前記インクロールへ吐出するインクポンプとを備えた転写式マーキング装置において、
前記インクロールと前記インクポンプとの間に、インクポンプから吐出された塗料を受けて一時貯留する塗料受け容器を設けると共に、該塗料受け容器には、インクロールへ向けて塗料を吐出する第1の吐出孔と、溜まった塗料を廃棄又は前記インクバスへ戻す配管へ導く第2の吐出孔を設けたことを特徴とする転写式マーキング装置。 - 前記第1及び第2の吐出孔の面積及び位置は、第1の吐出孔から前記インクロールへ吐出される塗料が鮮明なマーキングに必要、且つ十分な量で、且つ一定となるように、それぞれ調整して設定されてなることを特徴とする請求項1記載の転写式マーキング装置。
- 前記帯状材料が鋼帯であることを特徴とする請求項1又は2記載の転写式マーキング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002232677A JP2004066768A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 転写式マーキング装置 |
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Cited By (1)
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CN107316720A (zh) * | 2017-08-08 | 2017-11-03 | 江苏亨通电子线缆科技有限公司 | 一种防甩墨印字轮 |
-
2002
- 2002-08-09 JP JP2002232677A patent/JP2004066768A/ja active Pending
Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN107316720A (zh) * | 2017-08-08 | 2017-11-03 | 江苏亨通电子线缆科技有限公司 | 一种防甩墨印字轮 |
CN107316720B (zh) * | 2017-08-08 | 2023-05-05 | 江苏亨通电子线缆科技有限公司 | 一种防甩墨印字轮 |
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