JP2004066166A - 塗布液及び塗布膜形成方法 - Google Patents

塗布液及び塗布膜形成方法 Download PDF

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小林 真二
Takahiro Kitano
北野 高広
Sukeaki Morikawa
森川 祐晃
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Abstract

【課題】基板に塗布されたレジスト液などの塗布液を減圧乾燥するにあたり、乾燥時間の調整が容易で、これにより膜厚の面内均一性の良好な塗布膜を形成できる塗布液を提供すること。
【解決手段】塗布膜の成分(固形成分)を、シンナー液Aと、シンナー液Aよりも蒸気圧の低いシンナー液Bと、に溶解することにより塗布液を調整する。ここで固形成分の量と、シンナー液Aとシンナー液Bの総量と、により、塗布液の濃度が決定され、シンナー液Aとシンナー液Bとの液量比により、塗布液のシンナー液(溶剤)の蒸気圧が決定される。シンナー液Aとシンナー液Bの液量比を、これらがほぼ同時に揮発を終了する液量比に設定した塗布液を用いると、シンナー液Aより乾燥が促進され、シンナー液Bより膜の乱れが補正されるので、スループットの低下を抑え、膜厚の面内均一性が良好な塗布膜を形成できる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばレジスト液や絶縁膜用処理液、有機EL(Organic Electroluminescence)膜用処理液等の塗布液、及びこの塗布液が表面に塗布された基板を減圧雰囲気下で乾燥処理することにより塗布膜を得る塗布膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトリソグラフィに用いられるレジスト膜の形成方法としては、基板を回転させながらレジスト液を塗布するスピンコーティング法が一般的であるが、この手法では、レジスト液(塗布液)が振り切られて飛散してしまうので、無駄になる量が多い。このことから塗布液の省量化を図るために、最近においてノズルをスキャンさせて一筆書きの要領でレジスト液を塗布する方法が開発されつつある。
【0003】
ところで、レジスト液は、レジスト膜の成分を溶剤であるシンナー液に溶解することにより生成される。レジスト液をスピンコーティング法にて基板に塗布するときには(以下この手法にて塗布する場合を「スピン塗布」という)、既述のようにレジスト液の約90%が振り切られてしまうことから、所定の膜厚を確保するためには、濃度の高い濃いレジスト液が要求される。またレジスト膜の成分を溶解するための溶剤としては、一般的に入手の容易な安価なシンナー液が用いられるが、このようなシンナー液は、分子量が小さく、蒸気圧が高いので、揮発しやすい。
【0004】
一方、レジスト液を一筆書きの容量で基板に塗布するときには(以下この手法にて塗布する場合を「スキャン塗布」という)、レジスト液の濃度が高すぎると、液が広がりにくいため、図9に示すように、隣接するレジスト液10,10同士が重ならない領域11が生じてしまうので、スピン塗布用の塗布液をそのまま用いることはできない。図9中Wは基板をなす半導体ウエハ(以下[ウエハ]という)である。
【0005】
このため、スピン塗布用の塗布液をスキャン塗布用の塗布液として用いる場合には、スピン塗布用塗布液を所定濃度に希釈する必要があるが、このとき塗布液を当該塗布液に用いられているシンナー液により希釈しても膜の均一性を得ることは難しい。その理由は、前記シンナー液は既述のように蒸気圧が高いので、単位時間あたりの揮発量が大きく、これにより揮発する際に膜の表面が乱れ、膜厚の面内均一性が悪くなってしまうからである。
【0006】
そこで、スピン塗布用塗布液を蒸気圧の低いシンナー液により希釈することを検討しているが、蒸気圧の低いシンナー液は、揮発速度が小さいので、レジスト液を乾燥させる際に、乾燥に時間がかかってしまう。このためレジスト液を短時間で乾燥させてスループットを向上させるためには減圧乾燥を行うことが得策である。
【0007】
この減圧乾燥は、密閉容器内にウエハを配置し、ウエハを所定温度に温度調整しながら、密閉容器内を減圧排気し、これによりウエハ表面のレジスト液を乾燥させるものである。ところで、乾燥前のウエハ表面の塗布液膜の状態は、例えウエハの周縁領域において、塗布液自体の表面張力により角が丸くなっている。そのためこれを補正する整流板が、密閉容器内にてウエハW表面と対向するようにして設けられており、塗布液膜から蒸発した溶剤成分が整流板とウエハW表面との隙間を外方向に向かって流れ、当該気流が塗布液膜を外方向に向かって押し広げることにより、液を外周に流動させて平坦化を図ることが行われている。
【0008】
ここで図10に前記密閉容器内の圧力曲線を示すが、減圧乾燥工程では、圧力曲線の領域Aに示すように、密閉容器内の圧力は急速に低下し、しかる後圧力が溶剤の蒸気圧近くになると溶剤の蒸発が始まり、領域Bに示すように当該蒸気圧付近で緩やかに圧力が低下する。そして溶剤の殆どが蒸発し終わると、領域Cに示すように再度圧力が急速に低下し、所定の圧力になったときに真空排気を停止して減圧乾燥処理が終了する。前記圧力曲線はシンナー液の種類、レジスト液の塗布量、レジスト液中のレジスト成分の濃度、乾燥時の温度、排気流量によって様々に変化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような減圧乾燥手法においては、前記膜の平坦化の補正の重要なパラメータは乾燥時間(領域Bの時間)であり、この乾燥時間の制御パラメータの一つに、溶剤の蒸気圧がある。具体的には例えばシンナー液の蒸気圧が高い場合には、単位時間あたりの揮発量が多いので、図11(a)に示すように領域Bの時間が短い圧力曲線になり、シンナー液の蒸気圧が低い場合には、図11(b)に示すように領域Bの時間が長い圧力曲線になる。
【0010】
また、蒸気圧の高いシンナー液は、単位時間に揮発するシンナー液量が多く、素早く乾燥してしまい、塗布液が流れる時間がほとんどないので、結果としてこのようなシンナー液を含む塗布液は流動性が小さい。従って、塗布液中のシンナー液の蒸気圧が高い場合には、塗布液膜の形状が液の流動により補正される前にシンナー液が蒸発してしまい、図12(a)に示すように、得られる塗布膜12は、膜厚の面内均一性が悪く、周縁近傍領域にて鋭く盛り上がっている状態になる。なお図12は、ウエハW上に形成された塗布膜の様子を模式的に表している。
【0011】
これに対し蒸気圧の低いシンナー液は、単位時間に揮発するシンナー液量が少ないので、液を流動させる力は弱いものの、乾燥に時間がかかるので、その分液が流れる時間が長くなる。このため結果として、このようなシンナー液を用いた塗布液は流動性が大きい。従って塗布液中のシンナー液の蒸気圧が低いと、塗布液の流動性が大きいので塗布液膜が十分に補正され、図12(b)に示すようにウエハの中央近傍領域については、膜厚の面内均一性が良好となる。しかしながら塗布液膜が周縁側に向かって流動していくため、周縁領域での盛り上がりが大きく、更にはスループットが低下する懸念がある。さらに、シンナー液の蒸気圧が低過ぎると、塗布液の流動性が大き過ぎ、図12(c)に示すように膜が収縮してしまう。
【0012】
このように塗布液を最適な濃度に調整したとしても、使用されているシンナー液の蒸気圧により溶剤の乾燥時間が異なって、塗布液の流動性が変化し、塗布膜の膜厚の均一性に影響を与えるので、塗布液の濃度の調整の際、蒸気圧についても調整する必要がある。しかしながらシンナー液は種類が限られており、1種類のシンナー液で所望の濃度、かつシンナー液の蒸気圧が最適な塗布液を調整することは非常に困難である。またこのように塗布液中のシンナー液の蒸気圧の調整が困難であるときに、密閉容器の排気流量の調整により溶剤の乾燥時間を制御することも考えられるが、領域Bにおける圧力変化が例えば26.6Pa(0.2Torr)と僅かであることから、密閉容器内の圧力をコントロールするのは難しく、結果として減圧乾燥のパラメータの調整(条件出し)が難しく、膜厚について面内均一性の高い塗布膜を得ることが困難であった。
【0013】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、基板に塗布された塗布液を減圧乾燥させて塗布膜を得るにあたり、乾燥時間の調整が容易で、膜厚について高い面内均一性が得られる塗布液及び、この塗布液を用いた塗布膜形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布液は、塗布膜例えばレジスト膜の成分を溶剤に溶解してなる塗布液例えばレジスト液を基板に液盛りにより塗布し、次いで基板を減圧雰囲気下に置くことにより前記塗布液中の溶剤を乾燥させて塗布膜を形成する塗布膜形成方法において用いられる塗布液であって、
前記塗布液は、互いに蒸気圧の異なる第1の溶剤と第2の溶剤とを、含み、
第1の溶剤と第2の溶剤とがほぼ同時に揮発を完了する液量比に設定されていることを特徴とする。
【0015】
前記第1の溶剤と第2の溶剤とがほぼ同時に揮発を完了する液量比とは、前記第1の溶剤と第2の溶剤の液量比WA/WBが、0.95VA/VB以上1.05VA/VB以下であること、または0.95(MA×PA)/(MB×PB)以上1.05(MA×PA)/(MB×PB)以下であることをいう。ここで第1の溶剤の量をWA、前記第2の溶剤の量をWBとし、前記第1の溶剤の揮発速度をVA、前記第2の溶剤の揮発速度をVBとする。また前記第1の溶剤の分子量をMA、第1の溶剤の揮発時の蒸気圧をPA、前記第2の溶剤の分子量をMB、第2の溶剤の揮発時の蒸気圧をPBとする。
【0016】
このような塗布液は、当該塗布液よりも濃度の高い第1の塗布液を、第1の溶剤及び/又は第2の溶剤で希釈することにより得られるが、この第1の塗布液は、例えば例えば基板表面に供給された塗布液を、基板を回転させることにより、基板全体に広げる塗布手法にて用いられる塗布液をいう。
【0017】
本発明の塗布液は、塗布液の溶剤として、第1の溶剤と第2の溶剤とを組み合わせて用いているので、この組み合わせにより、塗布液の溶剤の蒸気圧が調整される。このため、塗布膜の成分を溶剤に溶解してなる塗布液を基板に液盛りにより塗布する手法にて用いられる塗布液において、塗布液の固形成分と、第1の溶剤と、第2の溶剤と、の夫々の量を調整することにより、濃度が適切であり、かつ塗布液中の溶剤の蒸気圧が適切な塗布液を得ることができる。これにより、このような塗布液を用いて形成された塗布膜は、膜厚の面内均一性が良好なものとなる。
【0018】
また本発明の塗布膜形成方法は、塗布膜の成分と、互いに蒸気圧の異なる第1の溶剤と第2の溶剤とを、含み、第1の溶剤と第2の溶剤がほぼ同時に乾燥する液量比に設定された塗布液を、基板に液盛りにより塗布する工程と、
次いで基板を減圧雰囲気下に置くことにより前記塗布液中の第1の溶剤及び第2の溶剤を乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
ここで前記塗布液の前記第1の溶剤と第2の溶剤の液量比WA/WBは、0.95VA/VB以上1.05VA/VB以下であること、または0.95(MA×PA)/(MB×PB)以上1.05(MA×PA)/(MB×PB)以下であることが好ましい。また塗布液を基板に液盛りにより塗布する工程は、ノズルから基板に塗布液を供給しながら、前記ノズルと、基板と、を互いに相対的に略水平方向に移動させることにより行われる。
【0020】
このような塗布膜形成方法では、塗布膜の成分を溶剤に溶解してなる塗布液を基板に液盛りにより塗布するにあたり、塗布液の濃度が適切であり、かつ塗布液の溶剤の蒸気圧が適切になるように、塗布液の固形成分と、第1の溶剤と、第2の溶剤と、の夫々の量が調整された塗布液を用いているので、減圧乾燥工程における溶剤の乾燥時間が制御され、スループットの低下を抑えて、膜厚の面内均一性が良好な塗布膜を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
先ず本発明の塗布液について説明する。本発明の塗布液は、塗布膜の成分である固形成分と、互いに蒸気圧の異なる第1の溶剤と第2の溶剤とを、含み、基板に液盛りにより塗布し、次いで基板を減圧雰囲気下に置くことにより塗布液中の溶剤を乾燥させて塗布膜を形成する手法において用いられるものである。この塗布液は、第1の溶剤と第2の溶剤とがほぼ同時に揮発が終了する液量比に設定されている。
【0022】
ここで、前記塗布液を基板に液盛りさせて塗布する手法は、例えばノズルから基板に塗布液を吐出させながら、ノズルと基板とを相対的に略水平方向にスキャン移動させて、例えば一筆書きの要領で基板表面に塗布液を塗布することにより実施される。このようなスキャン塗布の手法にて、塗布液を基板に塗布し、スループットの低下を抑えながら、塗布膜の膜厚の良好な面内均一性を得るために、塗布液に要求される条件は、「発明が解決しようとする課題」の項にて説明したように、塗布液の濃度が適切であって、かつ塗布液に含まれる溶剤の蒸気圧が適切であることが挙げられる。
【0023】
本発明は、溶剤の蒸気圧の最適化の観点から、前記塗布液において、互いに蒸気圧の異なる第1の溶剤と第2の溶剤との液量比を調整することにより、溶剤全体の蒸気圧の最適化を図ることができることを見出した結果、成されたものである。
続いて、本発明の塗布液について具体的に説明する。この塗布液は、図1に示すように、塗布膜たとえばレジスト膜の成分である固形成分と、第1の溶剤例えばシンナー液Aと、第1の溶剤よりも蒸気圧の低い第2の溶剤例えばシンナー液Bと、を含み、固形成分をシンナー液A、シンナー液Bに溶解することにより、生成される。
【0024】
ここで、前記シンナー液Aとシンナー液Bとは、両者を混合して希釈シンナーとして使用しても問題を生じない性質を有するものが用いられる。ここで問題を生じないとは、両者を混合したときに分離や固形成分の析出がないということであり、例えばシンナー液Aとしては、シクロヘキサノンやプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等、シンナー液Bとしては、γブチロラクトンやN−メチルピロリジノン等を用いることができる。
【0025】
シンナー液Aとシンナー液Bとの液量比は、塗布液の固形成分の量に応じて、塗布液が、スキャン塗布に最適な濃度と、スループットの低下を抑えながら、塗布膜の膜厚の均一性を確保するために、最適な溶剤の蒸気圧を有するように決定される。
【0026】
ここで、塗布液の濃度は、固形成分の量と、塗布液に含まれる溶剤(シンナー液)のトータル量により決定される。また、塗布液中の溶剤の蒸気圧は、次のように決定される。塗布液膜中の溶剤を揮発させて乾燥させる減圧乾燥工程では、シンナー液Aとシンナー液Bとは両方共、同時に揮発が進行していくが、シンナー液Aは蒸気圧が高く、揮発速度が大きいので、スループットを向上させるために、溶剤の乾燥時間を短縮する役割を果たし、シンナー液Bは、塗布液を流動させて膜厚のプロファイルを改善する役割を果たす。
【0027】
従って、スループットの低下を抑えながら、塗布膜の膜厚の均一性を確保するためには、シンナー液Aとシンナー液Bの液量比は、シンナー液Aの揮発とシンナー液Bの揮発とがほぼ同時に完了するか、シンナー液Bの揮発がシンナー液Aの揮発よりも若干遅れて終わるというぐらいの比率であることが好ましい。シンナー液Bの揮発がシンナー液Aの揮発よりも早く完了してしまうと、膜厚のプロファイルが十分に補正されないからである。
【0028】
続いて、塗布液の固形成分とシンナー液Aとシンナー液Bとの成分比の決定方法について具体的に説明する。前記塗布液の各成分は、前記固形成分(重量m)、前記シンナー液A(揮発速度VA,分子量MA,揮発時の蒸気圧PA)、前記シンナー液B(揮発速度VB,分子量MB,揮発時の蒸気圧PB)とする。
【0029】
先ず、塗布液中の固形成分の量mは、目的の塗布液の濃度と、塗布液中のシンナー液のトータル量より求められる。従って、塗布液の濃度をC%、シンナー液の量をWkgとすると、固形成分の量mkgは、式(1)により表される。
m=(C×W)/(100−C)…(1)
【0030】
次に、シンナー液はシンナー液Aとシンナー液Bとを含むので、シンナー液Aとシンナー液Bとの液量比を求める。ここでシンナー液Aの量をWAkg、シンナー液Bの量をWBkgとすると、シンナー液Aが時間tの間に揮発する量WAと、シンナー液Bが時間tの間に揮発する量WBは、夫々式(2)、式(3)により表される。
WA=VA×t…(2)
WB=VB×t…(3)
【0031】
従って、シンナー液Aとシンナー液Bとが同時に揮発を終了するときの、シンナー液全体の揮発量は、揮発時間をtとすると、式(4)により求められる。
(VA×t)+(VB×t)=WA+WB…(4)
また式(2)、式(3)より、t=(WA/VA)=(WB/VB)であるので、式(5)が導かれ、
WA:WB=VA:VB…(5)
これにより、シンナー液Aとシンナー液Bの液量比(WA:WB)は、シンナー液Aとシンナー液Bの揮発速度の比(VA:VB)により決定され、
WA/WB=VA/VB…(6)
により求められる。またシンナー液の分子量をM、揮発するときの蒸気圧をPとすると、シンナー液の物性と揮発速度:Vとの間には、式(7)の関係が近似的に成立するので、
V∝M×P…(7)
この式(7)と式(6)とにより、シンナー液Aとシンナー液Bの液量比(WA:WB)は、式(8)によっても求められる。
WA/WB=(MA×PA)/(MB×PB)…(8)
【0032】
また、シンナー液Aとシンナー液Bとがほぼ同時に揮発を完了するとは、WA/WBが、VA/VB(又は(MA×PA)/(MB×PB))で求められた液量比の±5%以内にあること、つまりWA/WBが、0.95VA/VB以上1.05VA/VB以下であること、またはWA/WBが、{0.95(MA×PA)/(MB×PB)}以上{1.05(MA×PA)/(MB×PB)}以下であることをいう。シンナー液Aの液量が1.05VA/VBにより多くなると、蒸気圧の高いシンナー液の揮発が多くなって膜が乱れやすく、シンナー液Bを添加しても膜厚が十分に補正できなくなり、シンナー液Bの液量が0.95VA/VBよりも多くなると、乾燥時間が長くかかりすぎてスループットが低下し、また周縁領域の盛り上がりが大きくなってしまうからである。
【0033】
さらに、シンナー液Bの揮発がシンナー液Aよりも若干遅れて終了するとは、例えばシンナー液Aの揮発時間をt、シンナー液Bの揮発時間を(t×x)としたとき、xが1〜1.2の範囲にあることをいい、この場合のシンナー液Aとシンナー液Bの液量比:WA/WBは、VA/(VB×x)(又は(MA×PA)/(MB×PB×x))により求められる。
【0034】
続いて、スピン塗布用の塗布液の濃度及び溶剤の蒸気圧を、スキャン塗布用の塗布液に適したものに調整するための、調整方法について説明する。ここで、スピン塗布用の塗布液(以下「第1の塗布液」という)に含まれている塗布膜の固形成分の量をm1kg、第1の塗布液の濃度をC1%、第1の塗布液の量をW1kgとし、第1の塗布液の溶剤はシンナー液Aであるとすると、
m1/W1=C1/100…(9)
となり、スキャン塗布用の塗布液の濃度をC2%、この際前記第1の塗布液を希釈するために新たに添加するシンナー液のトータル量をW2kgとすると、
m/(W1+W2)=C2/100…(10)
となって、式(9)と式(10)とより、式(11)のように、新たに添加するシンナー液の量W2kgが求められる。
W2=W1{(C1/C2)−1}…(11)
【0035】
一方、式(6)より、スキャン塗布用の塗布液に含まれるシンナー液Aとシンナー液Bとの液量比が求められており、また、第1の塗布液には、(W1−m)kgのシンナー液Aが含まれている。新たに添加するシンナー液Aの量をWA2kg、新たに添加するシンナー液Bの量をWBkgとすると、
{(W1−m)+WA2}/WB=VA/VB…(12)
WA2+WB=W2…(13)
であるので、式(14)が導かれ、
WB=(W1+W2−m)/{1+(VA/VB)}=(W1+W2−m)/{1+(MA×PA)/(MB×PB)}…(14)
また、式(13)からWA2が求められるので、これにより新たに加えるシンナー液Aの量WA2とシンナー液Bの量WBの最適値が求められる。
【0036】
具体例により説明すると、シンナー液Aとしてシクロヘキサノン(MA=98.14、20℃での蒸気圧:PA=3.43Torr)、シンナー液Bとしてγブチロラクトン(MB=86.09、20℃での蒸気圧:PA=0.38Torr)とし、スピン塗布用の塗布液(第1の塗布液)の量:W1=1kg、第1の塗布液の濃度:C1=20重量%とし、濃度(C2%)が5重量%のスキャン塗布用の塗布液を調整する場合を例とする。
【0037】
式(9)より、第1の塗布液中の固形成分の量:m1kgと、第1の塗布液中のシクロヘキサノンの量:WA1kgが求められ、m1=0.2kg、WA1=0.8kgとなる。この場合式(11)より新たに添加するシンナー液のトータル量を:W2kgを求めると、W2=3kgが得られる。
【0038】
一方、シクロヘキサノンとγブチロラクトンの物性より、式(14)中の(MA×PA)/(MB×PB)=91.2:8.8であるので、式(14)よりWB=0.33kgが得られ、式(13)より、WA2=2.67kg、が求められる。
続いて、本発明の塗布膜形成方法が実施される塗布膜形成装置である塗布・現像装置の一例の構成について図2及び図3を参照しながら簡単に説明する。図中B1は基板であるウエハWが例えば13枚密閉収納されたカセットCを搬入出するためのカセット載置部であり、カセットCを複数個載置可能な載置部20aを備えたカセットステーション20と、このカセットステーション20から見て前方の壁面に設けられる開閉部21と、開閉部21を介してカセットCからウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0039】
カセット載置部B1の奥側には筐体22にて周囲を囲まれる処理部B2が接続されており、この処理部B2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3と、後述する塗布・現像ユニットを含む各処理ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3とが交互に配列されている。即ち、棚ユニットU1,U2,U3及び主搬送手段A2,A3はカセット載置部B1側から見て前後一列に配列されると共に、各々の接続部位には図示しないウエハ搬送用の開口部が形成されており、ウエハWは処理部B1内を一端側の棚ユニットU1から他端側の棚ユニットU3まで自由に移動できるようになっている。また主搬送手段A2,A3は、カセット載置部B1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁23により囲まれる空間内に置かれている。また図中24,25は各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
【0040】
液処理ユニットU4,U5は、例えば図3に示すように塗布液(レジスト液)や現像液といった薬液供給用のスペースをなす収納部26の上に、塗布ユニット(COT)3、現像ユニットDEV及び反射防止膜形成ユニットBARC等を複数段例えば5段に積層した構成とされている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、その組み合わせは、塗布ユニット3にて表面に塗布液が塗られたウエハWを、減圧雰囲気下で乾燥し、当該塗布液中に含まれる溶剤を蒸発させるための減圧乾燥装置5、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット、ウエハWを冷却する冷却ユニット等が含まれる。
【0041】
処理部B2における棚ユニットU3の奥側には、例えば第1の搬送室27及び第2の搬送室28からなるインターフェイス部B3を介して露光部B4が接続されている。インターフェイス部B3の内部には処理部B2と露光部B4との間でウエハWの受け渡しを行うための2つの受け渡し手段A4、A5の他、棚ユニットU6及びバッファカセットC0が設けられている。
【0042】
この装置におけるウエハの流れについて一例を示す。先ず外部からウエハWの収納されたカセットCが載置台20に載置されると、開閉部21と共にカセットCの蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(図示せず)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、棚ユニットU1〜U3内の一の棚にて、塗布処理の前処理として例えば反射防止膜形成処理、冷却処理が行われ、しかる後塗布ユニット3にてレジスト液が塗布される。
【0043】
次いで、減圧乾燥装置5にて減圧乾燥がなされ、ウエハW表面にレジスト膜が形成されると、ウエハWは棚ユニットU1〜U3の一の棚をなす加熱ユニットで加熱(ベーク処理)され、更に冷却された後、棚ユニットU3の受け渡しユニットを経由してインターフェイス部B3へと搬入される。このインターフェイス部B3において、ウエハWは、例えば受け渡し手段A4→棚ユニットU6→受け渡し手段A5という経路で露光部B4へ搬送され、露光が行われる。露光後、ウエハWは、逆の経路で主搬送手段A2まで搬送され、現像ユニットDEVにて現像されることでレジストマスクが形成される。しかる後ウエハWは載置台20上の元のカセットCへと戻される。
【0044】
ここで本発明の塗布液を基板にスキャン塗布するための前記塗布ユニット3について、図4〜図6を用いて説明する。ここでは塗布ユニット3の外装体をなす筐体を省略するが、この図示しない筐体内には、例えば側方にウエハWの搬入出用の開口部(図示せず)が形成された中空のケース体30が設けられ、その内部にはウエハWを裏面側から真空吸着して水平保持する基板保持部31と、この基板保持部31を下方側から支持すると共に、この基板保持部31を昇降させる昇降機構32と、が設けられている。ケース体30の天井部にはX方向に延びるスリット33が形成されており、このスリット33の上方には、塗布液であるレジスト液を供給するためのノズル34が、下部側先端の吐出孔34aがスリット33を介してケース体30内に突出した状態で駆動部35によりX方向に移動できるように構成されている。
【0045】
一方、前記基板保持部31及び昇降機構32は、基板保持部31にて保持されたウエハWの下方側にて、当該ウエハWの裏面側と対向するように設けられた平板状の支持体36と一体に構成されている。この支持体36の底面には例えば2本のY方向に伸びるレール37aが配設されており、また当該底面近傍には前記レール37aと平行してボールねじ37bが設けられていて、モータ38がボールねじ37bを回転させることで、支持体36はレール37aにガイドされてY方向へ移動する構成となっている。
【0046】
塗布液の供給系の一例について述べると、前記ノズル34は、バルブV1を備えた供給路41を介して塗布液槽4に接続されている。この塗布液槽4の上流側には、例えば調整槽42が設けられ、この調整槽42には、例えば塗布膜の成分である固形成分を貯留する固形成分槽43と、第1の溶剤であるシンナー液Aを貯留するシンナー液A槽44と、第2の溶剤であるシンナー液Bを貯留するシンナー液B槽45と、が夫々例えば流量調整部43a,44a,45aを備えた供給路43b,44b,45bを介して接続されている。
【0047】
ここで、レジスト液の種類と、レジスト液の膜厚毎に、塗布液の固形成分の量や、シンナー液Aとシンナー液Bの液量比が変化するので、例えば目的の塗布膜に応じて、固形成分槽43からの固形成分の量、シンナー液A槽44からのシンナー液Aの量、シンナー液B槽45からのシンナー液Bの量を、夫々制御しながら夫々の成分を調整槽42に供給し、ここで所定の濃度及び所定の溶剤の蒸気圧を有する塗布液を調整し、塗布液槽4に送液する。塗布液槽4内の塗布液は供給路を41を介してノズル34に供給される。塗布液槽4に調整槽42としての機能を持たせるようにしてもよい。
【0048】
このような塗布ユニット3では、主搬送手段A2により当該ユニット3内に搬入されたウエハWは、基板保持部31にて裏面側を吸着され概ね水平に保持される。そしてノズル34をウエハWの上方に位置決めした後、このノズル34から所定の濃度及び、所定の溶剤の蒸気圧を有する塗布液を吐出させながら一方向(図中X方向)に往復させ、塗布液をウエハWに液盛り塗布する。この際、供給ノズル34が基板の一端面から他端面に移動すると、そのタイミングに合わせて図示しない移動機構によりウエハWがそれに交差する方向に間欠送りされる。また、予定とする塗布領域外に塗布液が供給されないようにプレート39が設けられている。このような動作を繰り返すことにより、図6に示すように、いわゆる一筆書きの要領で塗布液がウエハW表面に液盛り塗布される。
【0049】
続いて、減圧乾燥装置5の一例について図7を用いて説明する。この減圧乾燥装置は気密容器50を備えており、この気密容器50内には、塗布液が塗布されたウエハWを載置するための基板載置部である載置台51が設けられていて、ウエハWは載置台51の表面に設けられた基板保持用の突起部51aにて、載置台51表面から僅かな隙間、例えば0.1mm程度浮いた状態で載置されるようになっている。更に、載置台51には、載置したウエハWの温度を調節するための温度調整部52例えばペルチェ素子からなる冷却部が埋設されていて、載置台51と温度調整部52とにより温調プレートが構成されている。
【0050】
また、載置台51には、ウエハWを搬入出する際にウエハWの裏面を下方向から支持して昇降するための基板支持ピン53が、載置台51を上下方向に貫通し、ベース体54を介して昇降機構54aにより突没自在に設けられており、ウェハWは例えば前記した主搬送手段A2(A3)と基板支持ピン53との協働作用により載置台51に載置される。
【0051】
載置台51の上方側には、蓋体61が図示しない蓋体昇降機構により昇降自在に設けられている。この蓋体61はウエハWの搬入出時には上昇し、減圧乾燥を行う時には下降して、蓋体61と載置台51とにより気密容器50を形成する。
また蓋体61の天井部には中心付近に排気口62が設けられ、この排気口62は例えば排気管からなる排気路63を介して真空排気手段である真空ポンプ64と接続されている。そして排気路63の途中には、気密容器50側から順に例えば、圧力検出部65、流量検出部66、流量調整部67例えば流量調整バルブ及びメインバルブ68が設けられており、これらは図示しない制御部により制御され、排気流量が制御されるようになっている。
【0052】
また載置台51の上方側には、ウエハWの表面と対向するようにウエハWの有効領域と同じかそれよりも大きい整流板7が設けられている。ウエハWの有効領域とは、ウエハW上の塗布膜が活用される領域であり、この場合半導体デバイスの形成領域をいう。本例では整流板7はウエハWよりも少し大きい円形状に形成されている。この整流板7は、その周縁部を例えば3ヵ所で支持部材71により支持されており、これら支持部材71は載置台51を貫通し、昇降ベース72を介して昇降機構73により高さ調整ができるように構成されている。なお55および74は基板支持ピン55および支持部材71の貫通孔を介して気密容器50内の減圧状態が破られないようにするためのベローズである。なお前記制御部は昇降機構54a、73、温度調整部52の動作を制御する機能を有する。
【0053】
このような減圧乾燥装置5では、先ず蓋体61が上昇した状態で例えば8インチサイズのウエハWが主搬送手段A2(A3)により搬入され、更に基板支持ピン53との協働作用により載置台51に載置される。このウエハWは前記塗布ユニット3にて、塗布液であるレジスト液が図6記載の塗布手法にて例えば液厚0.03mm程度に塗布されたものである。
【0054】
次いで、蓋体61が下降してウエハWの周囲を囲む気密容器50が形成される。続いて、整流板7が下降して、整流板7下面がウェハW表面から例えば1〜5mm離れた高さ位置に設定される。このとき温度調整部52によりウエハWの温度が所定の温度例えば18℃に設定される。
【0055】
そして、メインバルブ68が開いて減圧排気が開始され、流量調整部67の開度が調整されながら所定の減圧排気が行われる。これにより気密容器50内の圧力は図8に示すように急速に低下し、例えば塗布液中のシンナー液Aとシンナー液Bとが同時に激しく蒸発し始める。この際、シンナー液Aとシンナー液Bとは互いに蒸気圧が異なるが、シンナー液A4とシンナー液Bとが混合された塗布液では、シンナー液Aが揮発した後にシンナー液Bが揮発するのではなく、シンナー液Bはシンナー液Aの揮発に促進されて早く揮発を開始し、両者が同時に蒸発する。このため気密容器50内の圧力曲線により明らかなように、平衡になる圧力は存在せず、圧力曲線は右下がりの曲線になる。そして、ウエハWの表面からはシンナー液Aとシンナー液Bとが激しく蒸発し、この溶剤蒸気がウエハWの表面と整流板7との僅かな隙間を外側方向に向かって流れる。
【0056】
こうして溶剤蒸気が外側に向かって流れるにつれて、溶剤はウエハWの表面上を周縁に向かって流動していくが、溶剤の蒸気圧が調整されているので、周縁部の盛り上がりの形成を抑えて、膜厚のプロファイルが改善され、膜厚の面内均一性の良好な塗布膜が形成される。つまり、塗布液では、シンナー液Aはシンナー液Bよりも蒸気圧が高く、揮発速度が大きいので、シンナー液Aの体積はシンナー液Bの体積に比べて早く減少する。従って、シンナー液Bにより塗布液を流動させるときには、塗布液中の溶剤の量は少なくなっているので、塗布液は膜厚の乱れは改善する程度に流動するが、周縁領域が大きく盛り上がる程の流動性はない。このため、塗布膜の周縁領域における大きな盛り上がりの形成が抑えられた状態で溶剤が蒸発して乾燥する。
【0057】
また、塗布液に含まれるシンナー液Aは揮発速度が大きく、既述のようにシンナー液Bの揮発を促進する役割も果たすので、塗布液の溶剤全体の乾燥が促進され、乾燥時間の短縮を図ることができる。このため塗布液に蒸気圧の異なる2種類のシンナー液を用い、これらの液量比を調整することにより、スループットの低下を抑えながら、塗布膜の膜厚の面内均一性を高めることができる。
【0058】
こうしてレジスト膜中に残っている溶剤の蒸発が終了した後、図示しない給気手段によりパージ用の気体例えば窒素等の不活性ガスを供給して気密容器50内を大気圧に復帰させる。レジスト膜中の溶剤がほぼ完全に蒸発されたか否かは、例えば気密容器50内の圧力検出値に基づいて判断されるか、または時間により管理される。気密容器50内が大気圧に復帰した後、蓋体61が開いてウエハWが載置台51から搬出される。
【0059】
上述の実施の形態によれば、塗布液の溶剤として、互いに蒸気圧の異なる2種類のシンナー液を用い、これらのシンナー液がほぼ同時に揮発を終了するように、これらのシンナー液の液量比を決定しているので、蒸気圧の高いシンナー液Aにより塗布液中の溶剤の成分の揮発が促進されて、乾燥時間の増長が抑えられる。また、シンナー液Aよりも蒸気圧が低いシンナー液Bの存在により、シンナー液Bはシンナー液Aよりも揮発しにくいため、塗布液中のシンナー液A量が少なくなっても、シンナー液Bにより塗布液膜を流動させることができ、塗布液膜の膜圧の乱れを補正することができる。この際、徐々にシンナー液A、シンナー液B共に蒸発が進み、塗布液膜の流動性が少なくなっていくので、補正した形状を維持したままあるいはその形状に近い状態で残りの溶剤を短時間で蒸発させることができ、塗布液が流動し過ぎることによる周縁領域での盛りあがりの形成や、塗布膜の収縮が抑えられる。
【0060】
このように塗布液の溶剤に蒸気圧の異なる2種類のシンナー液を用い、これらの液量比を制御することによって、塗布液の濃度と、塗布液中の溶剤の蒸気圧と、が夫々適切な値となるようにコントロールできるので、従来困難であった塗布液中の溶剤の乾燥時間の制御を容易に行うことができる。またスピン塗布用の塗布液を、スキャン塗布用の塗布液に適したものに調整する場合に、濃度の調整と溶剤の蒸気圧の調整が容易であり、有効である。
【0061】
以上において、本発明の基板に液盛りにより塗布液を塗布する手法としては、図6の手法のみならず、ノズルから基板表面に、螺線を描くように塗布液を塗布する手法や、例えば基板に液盛りして、液を基板上に広げるために基板を回転させる場合も含まれる。更に本発明は、基板に液盛りされる塗布液としては、レジスト液の他に、SOD(Spin On Dielectric)膜用の処理液、低誘電体膜や高誘電体膜等の絶縁膜用の処理液、有機EL(Organic Electroluminescence)膜用の処理液等を用いることができる。また、被処理基板としては、半導体ウエハ以外の基板、例えばLCD基板、フォトマスク用レチクル基板にも適用できる。
【0062】
【発明の効果】
塗布液の溶剤に蒸気圧の異なる2種類の溶剤を用い、これらの液量比と、固形成分の量と、を制御することによって、塗布液の濃度及び、塗布液中の溶剤の蒸気圧を適切な値となるようにコントロールできるので、塗布液中の溶剤の乾燥時間の制御を容易に行うことができる。このため基板の表面において膜厚が面内均一な塗布膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布液の成分を説明するための説明図である。
【図2】本発明方法が実施される塗布、現像装置の一例を示す平面図である。
【図3】前記塗布、現像装置の一例を示す斜視図ある。
【図4】減圧乾燥処理の対象となる塗布液膜を形成する塗布ユニットの一例を示す断面図である。
【図5】前記塗布ユニットの一例を示す平面図である。
【図6】前記塗布ユニットにおいて、塗布液膜を形成する様子を示す説明図である。
【図7】減圧乾燥装置を示す縦断面図である。
【図8】減圧乾燥装置における圧力曲線を示す特性図である。
【図9】濃度の高い塗布液をスキャン塗布により基板に塗布した場合の様子を示す断面図である。
【図10】減圧乾燥工程の圧力曲線を示す特性図である。
【図11】塗布液中の溶剤の蒸気圧が高い場合と、低い場合の減圧乾燥工程の圧力曲線を示す特性図である。
【図12】塗布液中の溶剤の蒸気圧が高い場合と、低い場合の塗布膜の膜厚のプロファイルを模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
W   ウエハ
3   塗布ユニット
34  ノズル
4   塗布液槽
43  固形成分槽
44  シンナー液A槽
45  シンナー液B槽
5   減圧乾燥装置
51  載置台
61  蓋体
7   整流板

Claims (8)

  1. 塗布膜の成分を溶剤に溶解してなる塗布液を基板に液盛りにより塗布し、次いで基板を減圧雰囲気下に置くことにより前記塗布液中の溶剤を乾燥させて塗布膜を形成する塗布膜形成方法において用いられる塗布液であって、
    前記塗布液は、互いに蒸気圧の異なる第1の溶剤と第2の溶剤とを、含み、
    第1の溶剤と第2の溶剤とがほぼ同時に揮発を完了する液量比に設定されていることを特徴とする塗布液。
  2. 前記塗布液は、当該塗布液よりも濃度の大きい第1の塗布液を、第1の溶剤及び/又は第2の溶剤で所定の濃度に希釈して得られることを特徴とする請求項1記載の塗布液。
  3. 前記第1の溶剤の量をWA、前記第2の溶剤の量をWBとし、前記第1の溶剤の揮発速度をVA、前記第2の溶剤の揮発速度をVBとすると、
    前記第1の溶剤と第2の溶剤とがほぼ同時に揮発を完了する液量比とは、前記第1の溶剤と第2の溶剤の液量比WA/WBが、0.95VA/VB以上1.05VA/VB以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布液。
  4. 前記第1の溶剤の量をWA、前記第2の溶剤の量をWBとし、前記第1の溶剤の分子量をMA、第1の溶剤の揮発時の蒸気圧をPA、前記第2の溶剤の分子量をMB、第2の溶剤の揮発時の蒸気圧をPBとすると、
    前記第1の溶剤と第2の溶剤とがほぼ同時に揮発を完了する液量比とは、前記第1の溶剤と第2の溶剤の液量比WA/WBが、0.95(MA×PA)/(MB×PB)以上1.05(MA×PA)/(MB×PB)以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布液。
  5. 塗布膜の成分と、互いに蒸気圧の異なる第1の溶剤と第2の溶剤とを、含み、第1の溶剤と第2の溶剤がほぼ同時に揮発を完了する液量比に設定された塗布液を、基板に液盛りにより塗布する工程と、
    次いで基板を減圧雰囲気下に置くことにより前記塗布液中の第1の溶剤及び第2の溶剤を乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする塗布膜形成方法。
  6. 前記第1の溶剤の量をWA、前記第2の溶剤の量をWBとし、前記第1の溶剤の揮発速度をVA、前記第2の溶剤の揮発速度をVBとすると、
    前記塗布液の前記第1の溶剤と第2の溶剤の液量比WA/WBは、0.95VA/VB以上1.05VA/VB以下であることを特徴とする請求項5記載の塗布膜形成方法。
  7. 前記第1の溶剤の量をWA、前記第2の溶剤の量をWBとし、前記第1の溶剤の分子量をMA、第1の溶剤の揮発時の蒸気圧をPA、前記第2の溶剤の分子量をMB、第2の溶剤の揮発時の蒸気圧をPBとすると、
    前記塗布液の第1の溶剤と第2の溶剤の液量比WA/WBは、0.95(MA×PA)/(MB×PB)以上1.05(MA×PA)/(MB×PB)以下であることを特徴とする請求項5記載の塗布膜形成方法。
  8. 塗布液を基板に液盛りにより塗布する工程は、ノズルから基板に塗布液を供給しながら、前記ノズルと、基板と、を互いに相対的に略水平方向に移動させることにより行うことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の塗布膜形成方法。
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