JP4209819B2 - 基板加熱装置及び基板加熱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化学増幅型のレジストが塗布され、さらに露光された後の基板を現像する前に加熱処理する基板加熱装置及び基板加熱方法に関する。
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、例えば半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という)の表面に薄膜状にレジストを塗布し、露光した後、現像液により現像して表面にマスクパターンを形成している。このような処理は、一般にレジストの塗布・現像を行う塗布・現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
レジストの種類の一つに化学増幅型のレジストがある。このレジストは、露光することによりレジストに含まれる酸発生剤から酸が発生し、さらにPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる加熱処理を行うことによりこの酸が露光領域内に拡散して酸触媒反応が進行する。図11は化学増幅型のレジストのうち露光領域が酸触媒反応によって現像液に対し溶解性に変質するポジ型のレジストを用いたときの露光、加熱、現像の状態を示す図である。先ず、レジストRが薄膜状に塗布された基板例えばウエハWに対し、パターンに対応する開口部を有するマスクMを介在させて露光を行うと、マスクMの開口部を通過して光の当たった部位の表面部に例えばプロトン(H)などの酸が発生する(図11(a))。次いでウエハWを所定の温度例えば90〜140℃で加熱すると、酸が拡散して酸触媒反応が進行し、そしてレジストRの主成分であるベース樹脂を酸が分解して現像液に対して可溶解性となる(図11(b))。この酸触媒反応についてより詳しくは、例えば露光部に発生した酸が拡散してベース樹脂を分解すると、このとき新たに酸(或いは酸に相当する成分)が生成し、この酸がベース樹脂を分解する、といったように増幅反応が進行する。その後、ウエハWの表面に現像液を供給することにより、現像液に不溶解性の部位が残ってレジストパターンが形成される(図11(c))。
この種のレジストを用いれば、原理的に微細な線幅に対応することができる利点がある。但し、化学増幅型レジストの現像速度は酸触媒反応量で決まるので、露光後の加熱処理の条件は化学増幅型レジストの特性、特に現像後に得られるパターンの線幅精度を著しく左右する。前記基板であるウエハWを加熱するための従来の加熱装置は、例えば図12に示すように、抵抗加熱体であるヒータ10を埋設した加熱プレート1の上にウエハWを載置し、この上に蓋体11を被せて処理空間を形成し、この処理空間に、例えば外方から中央へ向かうパージガスの気流を形成するように構成されている(特許文献1参照)。
また加熱装置の他の例として、例えば図13に示すように、加熱プレート1に載置されたウエハWの上方側及び/又は下方側に、電源12と接続された電極13,14を配置しておき、このウエハWの表面にあるレジストに発生した酸がウエハWに向かうように電界を形成する手段を有する装置が知られている(特許文献2参照)。更に、電源12に交流電源を用いて上下の電極13,14に印加する電荷の正負を反転させることにより、露光領域内で酸が移動して連鎖反応が促進されることが知られている(同文献)。
ところで、パターンの微細化は益々進行する傾向にあり、更に、近年においては、少品種大量生産から多品種少量生産の生産方式に移行しつつあることから、これまでのように各品種毎に専用のマスクMを作製していたのでは製品の単価が高騰してしまうことがある。そこで、電子ビームを用いてキャラクタープロジェクションと呼ばれるマスクレスの描画技術(以下、「電子ビーム露光」と呼ぶ)が検討され、報告がなされている(特許文献3参照)。電子ビーム露光の概念について図14を用いて以下に簡単に述べておく。図中2は電子ビームを照射するための電子銃であり、この電子銃2から照射された電子ビームは第1の偏向手段21により形成される静電界により曲げられ、上下の目開き部材22a,22b,・・・の各々の表面に形成された例えば丸、三角、四角などの種々の開口部(図示せず)のうち所定の組み合わせの開口部を通過させることにより、電子ビームの断面形状が所定のパターン状に形成される。その後、電子ビームは第2の偏向手段22により再度曲げられてウエハWの表面の予定とする照射領域に照射される。このように電子ビーム露光は、電子ビームを通過させる開口部の組み合わせを変えることによりマスクMを用いなくとも任意のパターンをウエハWの表面に描画することができる利点がある。
但し、ウエハWに照射する電子ビームの加速度が大きすぎるとウエハWの下地に到達した電子が反射して上方側に向かい予定としない部位まで描画してしまうことから(このような現象は近接効果と呼ばれている)、この近接効果を抑制するために電子ビームの加速度は小さく設定されている。このように電子ビームを低加速に設定すれば、偏向手段21,23の静電界によりビームの軌道が曲げやすくなるので、目開き部材22の目標とする開口部を高精度に通過させることができ、更にウエハWの表面の予定とする位置に高精度にビームを当てることができるという利点もある。
特開2001−274052号公報(図10、段落0005〜0006) 特開2003−124088号公報(図14、段落0037〜0041) 特開2002−50567号公報(「従来の技術」)
しかしながら低加速の電子ビームを用いた描画には以下のような問題がある。即ち、低加速にした分において電子ビームからレジストに注入されるエネルギーが少なくなるため、化学増幅型レジストの場合には増幅反応促進のトリガーとなり得る酸の量が不足してしまい、描画後加熱を行っても描画領域内に充分に酸が広がらない場合がある。このためレジストの変質が充分に行われず、結果としてパターンが形成されないか、あるいは形成されたとしても線幅精度が低いパターンが形成されてしまう。このため電子ビーム露光を実施しようとすると充分な電子ビームのエネルギーをレジストに注入するために描画部位に対する電子ビームの照射時間を長くせざるを得ないが、そうするとスループットがかなり低くなってしまい、実現化が阻まれている要因になっている。そして、今後、より高精度にビームの軌道を制御するために更にビームを低加速に設定したいという動きもあり、ビームの低加速度化とスループットの向上とのトレードオフの問題が益々顕著化する懸念がある。
また特許文献2には電界を形成することで酸の連鎖反応を促進させることが記載されているが、処理容器内を概ね大気雰囲気としているので、高い電圧を印加すると絶縁破壊を起こしてしまう場合がある。また絶縁破壊を起こしさない程度の電圧を印加して電界を形成しても酸触媒反応の促進は充分でなく、例えば上記低加速の電子ビームで描画されたエネルギー注入量の少ないレジストには対応しきれない場合がある。ウエハWの表面側に電極13を設けて電界により酸の挙動を制御する場合、例えば樹脂からなるレジストの表面を傷つけないようにするため電極13はウエハWから離して配置しなくてはならず、従って、より確実に酸触媒反応を促進させるため、ウエハWと電極13との間の隙間をどのような条件に設定するかについて、更なる検討が必要である。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は化学増幅型のレジストが塗布され、例えば低加速の電子ビームにより露光された基板を加熱処理するにあたり、レジストの化学増幅反応を促進させて線幅精度の高いレジストパターンを形成することのできる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
本発明の基板加熱装置は、化学増幅型のレジストが塗布され、さらに露光された後の基板を現像する前に加熱処理する基板加熱装置において、
基板を水平に載置する基板載置部と、
この基板の表面と対向して設けられた電極部を有し、当該基板の表面にあるレジストに発生した酸がこのレジストの露光領域内に広がるように電界を形成する電界形成手段と、
前記電極部を、下降した時に基板載置部上の基板の表面との間で誘電液体が表面張力で広がっていく隙間を形成する位置となるように昇降させる昇降機構と、
前記電極部と基板の表面との間の前記隙間の誘電率を高めるための誘電液体を当該基板の表面に広げるために前記隙間に供給する液供給手段と、
誘電液体が供給された基板を前記基板載置部に載置した状態で当該基板を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする。
前記電極部には、基板の表面に供給された誘電液体を加熱する加熱手段が設けられた構成であってもよい。また前記誘電液体は、例えば高沸点且つ高比誘電率の液体を用いるようにしてもよい。
また前記電極部は、基板の表面と平行な平坦面を有している構成であってもよい。なお、基板の表面と平行な平坦面であるか否かについては、基板の表面と平坦面との距離に面内で±0.01mmの誤差がある場合も本発明の効果を実質的に得ることができるので、この場合も基板の表面と平行な平坦面を有していることに含まれる。更にまた、前記露光は、低加速の電子ビームにより基板の表面にパターンを描画する電子ビーム露光であってもよい。そして更に、加熱後の基板の表面に冷却液を供給する手段を更に備えた構成であってもよい。
本発明の基板加熱方法は、化学増幅型のレジストが塗布され、さらに露光された後であって且つ現像する前の基板を電界が形成された雰囲気に置いて加熱手段により加熱処理する基板加熱方法であって、
基板を基板載置台に水平に載置する工程と、
電極部を、前記基板載置部上の基板の表面との間で誘電液体が表面張力で広がっていく隙間を形成する位置となるように基板の表面と対向させると共に、当該基板の表面と電極部の表面との間の隙間の誘電率を高めるための誘電液体を当該基板の表面に供給する工程と、
前記基板を加熱すると共に、この基板と電極部との間の隙間に誘電液体が介在した状態で当該基板の表面にあるレジストに発生した酸がこのレジストの露光領域内に広がるように電界を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、基板を加熱後に、前記隙間に存在する誘電液体と置換して酸触媒反応を停止させるための冷却液を当該隙間に供給する工程を更に含むようにしてもよい。
本発明によれば、基板の表面と、この基板の表面と対向する電極部の表面との間に誘電率を高めるための誘電液体を介在させた状態で電界を形成する構成としたことにより、基板と電極部との間に強度の大きい電界を形成することができるので、レジストの露光領域内での酸の活動を活発にすることができる。このため、例えば低加速の電子ビームを用いて短時間の電子ビーム露光がなされたエネルギー注入量の少ないレジストの場合であってもこの加熱処理により露光領域にあたる部位を充分に変質させることができる。その結果として、現像後において基板の表面に線幅精度の高いレジストパターンを形成することができる。このことを言い換えれば、低加速の電子ビームの照射時間を長くしなくとも当該加熱処理の段階で対処できるので、スループットの向上を図ることができる。
なお、これらの発明においては、高加速の電子ビームを用いて電子ビーム露光された基板や、例えば従来のマスクを介在させて露光機により露光した基板であっても、化学増幅反応を促進させることができるので、加熱処理時間の短縮化を図ることで高いスループットを確保することができる。
本発明の実施の形態に係る基板加熱装置について図1を参照しながら説明する。図中3は、基板載置部をなす載置台であり、化学増幅型のレジストが塗布され、さらに例えば低加速の電子ビームにより描画された後の基板例えばウエハWはこの載置台3に水平姿勢に載置される。更にウエハWを載置した載置台3は後述する蓋体5と共に当該ウエハWの周囲を囲む気密容器をなす処理容器30を形成する。前記載置台3は導電性部材例えばアルミニウム,SiCやセラミックスに金属膜を蒸着したものなどにより形成されており、これにより載置台3は下部電極を兼用する。但し、載置台3は必ずしも下部電極を兼用する構成に限られず、例えば載置台3の内部又は下方に下部電極を別途設けることもある。なお、前記電子ビームの加速度は特に限定はされないが、ここでいう低加速度とは、仮に加熱しただけではパターンが形成が不十分となるエネルギー注入量の少ない電子ビームを意味しており、エネルギー注入量が不足してしまう加速度の一例として例えば5kV以下の電子ビームが挙げられる。
載置台3の表面には、ウエハWの裏面側周縁部と全周に亘って対向して設けられ、このウエハWを裏面側から吸引吸着すると共に、このウエハWの表面からこぼれ落ちる液例えば後述する誘電液体及びリンス液が裏面側へ回り込むのを防止するための、例えば高さ0.1mmのバキュームリング31が設けられている。またウエハWの中央部を裏面側から支持するための突起部31aも設けられている。前記バキュームリング31の表面には例えば周方向に沿って吸引口32が形成されており、この吸引口32は図示しない吸引路例えば配管を介して吸引手段例えば吸引ポンプと接続されている。
載置台3の内部には、ウエハWを所定の温度例えば90〜140℃に加熱するための加熱手段例えば抵抗発熱体からなる複数のリング状のヒーター33が同心円状に配置されて構成されており、これにより載置台3の表面はウエハWを裏面から加熱するための加熱プレートとして形成されている。また載置台3におけるウエハWの載置領域の外方側には、ウエハWの表面からこぼれ落ちる液を排出するための複数の排出口34が周方向に沿って形成されている。排出口34には排出路35例えば配管の一端が接続されており、この排出路35の他端側は吸引手段36例えばエジェクタと接続されている。なお、詳しくは載置台3のウエハWの載置領域の外側にあたる表面は前記排出口34に向かって下方側に傾斜する傾斜面に形成されており、この傾斜面はウエハWからこぼれ落ちた液例えば後述する誘電液体が速やかに排出口34に流れ込むようにするため例えば表面処理を行うことによりこの液に対し撥水性を有するように設定されている。更にまた、載置台3の表面の前記排出口34よりも外方側にあたる領域には、複数の給気口37が周方向に沿って設けられ、この給気口37には給気路38例えば配管の一端が接続されている。更に給気路38の他端はパージガス例えばフィルタを通過させた窒素などの不活性ガスや空気などの供給源39と接続され、その途中には供給流量調整部39Aが設けられている。
載置台3の表面のうち、バキュームリング31の内側にあたる領域には、ウエハWを裏面側から突き上げて支持するための例えば3本の基板支持ピン4が載置台3の表面から突没自在に設けられている。これら3本の基板支持ピン4は例えば上からみてリング状のベース体41の表面に垂立されており、さらに、このベース体41は昇降機構42と接続されている。この昇降機構42により基板支持ピン4はウエハWを水平姿勢に支持した状態で昇降可能なように構成されている。また、基板支持ピン4は例えば導電性部材により形成され、更に接地されており、例えば電界が形成された雰囲気に置かれてウエハWが帯電しても、例えばウエハWを搬出するときにウエハWと当接した基板支持ピン4を介して除電がなされるように構成されている。即ち、、基板支持ピン4はウエハWを除電するための除電手段を兼ねている。但し、基板支持ピン4は必ずしも除電手段を兼用する構成に限られず、別途除電手段を設けることもある。
載置台3の上部には、上面が閉じられ下方側が開口する円筒状のカバー体をなす蓋体5が昇降自在に設けられており、この蓋体5は接地されている。蓋体5は、例えばアルミニウムにより形成されている。更に蓋体5の周縁部の下端部には絶縁部材50が周方向に全周に亘って設けられており、これにより載置台3と蓋体5とは電気的に絶縁された状態に設定されている。また、蓋体5は、図示しない昇降機構と接続されて昇降自在であり、例えばウエハWを載置台3に受け渡すときには上昇位置に設定され、またウエハWを加熱処理するときには下降して載置台3と共にウエハWの周囲を囲う処理容器30を形成する。更にまた、蓋体5の天井部には中心付近に処理空間内の雰囲気を排出するための排気口51が形成されており、この排気口51には排気路52例えば配管の一端が接続されている。更に排気路52の他端側は排気手段例えば排気ポンプ53と接続され、その途中には排気流量調整部54が設けられている。
載置台3に載置されたウエハWの上方には、このウエハWの表面に対し例えば1〜2mmの範囲内で選択される所定の隙間を介して対向すると共に、ウエハWの有効領域(デバイス形成領域)と同じか又は有効領域よりも大きく、且つ例えばウエハWの表面と平行な平坦面を有する電極部である上部電極6が昇降自在に設けられている。この例では上部電極6はウエハWと同じ大きさの例えば厚み10mmの面状体で構成されており、その材質は導電性部材例えばチタン、ニッケル、銅などが選択される。また上部電極6の上面を覆うように絶縁部材61が設けられており、これにより上部電極6は電気的に浮いた状態に設定されている。更に、絶縁部材61の内部にはウエハW及びこのウエハWの表面に供給される誘電液体を上方から加熱するための加熱手段例えば抵抗発熱体からなるヒータ62が設けられている。
前記上部電極6及び絶縁部材61は、例えば絶縁部材61の表面に設けられた例えば3本の支持部材63により支持されており、これら支持部材63は蓋体5の天井面を貫通して支持基体64と夫々接続されている。更に、これら支持部材63のうちの一の支持部材63及びこの支持部材63を支持する一の支持基体64は、図示しないボールネジ機構を用いた昇降手段を備えており、残りの支持部材63はこの昇降手段により昇降させられる上部電極6が左右にズレないようにするための位置合わせ用のガイドバーとしての役割を有している。即ち、上部電極6は昇降自在であり、更にウエハWの表面に対して所定の高さに位置させることができるように構成されている。
載置台3に載置されたウエハWの一端縁の外側には、このウエハWの表面と上部電極6の表面との隙間に液体例えばウエハWと上部電極6との間の隙間の誘電率を高めるための誘電液体及び、冷却液を兼ねたリンス液のいずれか一方を供給するための液供給手段をなす例えば小径の吐出口を備えた液供給ノズル7が配置されている。なお本発明においては、リンス液などの他の液体と区別するため便宜上誘電液体と呼んでいるが、誘電液体は例えば水をも含む一般の液体であり、液体の中で誘電率の高いものだけを意味するものではない。但し、誘電液体は高沸点液体であることが好ましく、高沸点且つ高比誘電率の液体あることが更に好ましい。なお高沸点液体とは例えば前記したウエハWの加熱温度の設定値よりも沸点が高いものが該当し、また高比誘電率液体とは例えば比誘電率が80よりも大きいものが該当する。特にレジストの露光領域内を親水化して酸を動きやすくすることのできるグリセリンを好適に用いることができる。更に誘電液体はウエハWの処理温度との差がないか又は差が小さくなるように温調して供給するのが好ましい。またリンス液は例えば純水が選択され、更にリンス液は例えば23℃に温調されて冷却液を兼用する。
前記液供給ノズル7には供給路71例えば配管の一端が接続されており、更に供給路71の他端側は途中で分岐され、各分岐路は誘電液体の供給源72及びリンス液の供給源73と夫々接続されている。図中74は、切り替え部例えば三方バルブであり、この三方バルブ74を切り替えることにより誘電液体及びリンス液のうちいずれか一方を液供給ノズル7から吐出可能なように構成されている。なお、液供給ノズル7は、1本に限られず例えば周方向に沿って複数本設けることもある。また上部電極6の面状体の周縁部に設けられていてもよい。
上部電極6及び下部電極(載置台)3は、給電路部材80例えば電気配線を介して交流電源8と接続されている。この交流電源8は、例えば1〜1kHzの範囲内から選択される周波数であって、且つ例えば1〜3kVの範囲内から選択される所定の電圧を上部電極6及び下部電極3に印加することができ、詳しくは後述するが、これによりウエハWを上下から挟む上部電極6及び下部電極(載置台)3との間に電界を形成可能なように構成されている。具体的には、交流であることから、正の電荷を帯びた上部電極6から負の電荷を帯びた下部電極(載置台)3へ向かう電界が形成された状態と、正の電荷を帯びた下部電極(載置台)3から負の電荷を帯びた上部電極6へ向かう電界が形成された状態とが周波数に対応する間隔で交互に形成される。
また当該基板加熱装置は図示しない制御部を備えており、この制御部は、上述の昇降機構42、蓋体5の図示しない昇降機構、吸引手段36、三方バルブ74、交流電源8、昇降手段64の動作を制御する機能を有している。即ち、この制御部は上部電極6の高さ位置の制御、印可電圧の設定値及び周波数の設定値の制御、並びに電圧印可のタイミングを制御する機能を有している。なお、基板加熱装置をユニット化して塗布・現像装置に組み込む場合には、電界が他のユニットの処理に影響を及ぼすのを防止するため、処理容器30に電気シールド例えば接地された金属メッシュを設けるようにするのが好ましい。
続いて、上述の基板加熱装置を用いて基板例えばウエハWを加熱する工程について図2を参照しながら説明する。先ず、蓋体5及び上部電極6が各々上昇位置に設定された状態にて、その表面にレジストが塗布され、さらに例えば低加速の電子ビームにより所定のパターンが描画された後のウエハWは、図示しないウエハ搬送手段により載置台3の上方位置に位置される。そしてウエハ搬送手段と基板支持ピン36との協働作用によりウエハWは載置台3に載置され、バキューム口32が負圧にされて吸引吸着される。このとき載置台3及び上部電極6は、酸触媒反応時間をウエハW毎に揃えるためにレジストの酸触媒反応が進行しない温度に設定しておくのが好ましい。具体的には、例えば90℃よりも低い温度であればよく、その一例としてはより確実に酸触媒反応の進行がないと共にウエハ加熱温度に近い温度例えば50℃に加熱しておいてもよく、あるいは加熱をしないで室温例えば25℃にしておいてもよい。但し、必ずしも酸触媒反応が進行しない温度にしておかなくともよく、予めヒータ33及びヒータ62の出力を酸触媒反応が進行する前記した所定の温度に見合う量に設定しておいてもよい。
続いて、上部電極6が下降してウエハWの表面に対して前記した所定の高さ位置に設定されると共に、蓋体5が下降して載置台3と共にウエハWの周囲を囲む処理容器30を形成する。その一方で、給気口37からパージガス例えばフィルタを通過させた空気を処理容器30内に供給すると共に、排気ポンプ53により排気口51を介してパージガスを排気することにより、外側から中央へ向かうパージガスの気流を形成する。このとき処理容器30内の圧力は例えば弱陰圧に設定される。
続いて、図2(a)に示すように、ウエハWの表面の例えば内側領域に向かって流供給ノズル7の吐出口から例えば吐出圧を低くして誘電液体Q1を所定の流量で吐出することにより、その吐出圧及び毛細管現象等の作用が相俟ってウエハWと上部電極6との間に形成された隙間に誘電液体Q1は広がっていき、周縁部では例えば表面張力により留る。これによりウエハWの表面には隙間の幅に対応した厚みの誘電液体Q1が表面張力により形成される。なお、必ずしも上部電極6を下降させて前記した所定の高さ位置に設定してから誘電液体を供給しなくともよく、例えばウエハWと上部電極6との間の隙間を大きめに設定しておき、誘電液体をこの隙間に供給した後に、上部電極6を再度下降させて前記した所定の高さ位置に設定するようにしてもよい。更には、載置台3に載置する前に基板支持ピン4に支持されたウエハWに誘電液体を供給し、載置台3にウエハWを載置してから上部電極6を所定の高さ位置に設定するようにしてもよい。
更に続いて、ヒータ33及び62によりウエハWを酸触媒反応が進行する温度例えば90〜140℃に昇温すると共に、図2(b)に示すように、交流電源8から例えば100Hz、例えば1Vの電圧を上部電極6及び下部電極(載置台)3の間に印加することにより電界が形成される。この電界が形成されたときのレジストの様子を模式的に示したのが図3及び図4である。まず図3に示すように、上部電極6に正側の電圧が印加されて当該上部電極6が正の電荷を帯び、下部電極(載置台)3が負の電荷を帯びた状態では、これら上部電極6及び下部電極(載置台)3の電位差により上部電極6から下部電極(載置台)3に向かう電界が形成される。このときレジスト内に発生した酸、つまり描画されて発生した酸及び酸触媒反応が進行することで発生した酸(酸に相当する成分も含む)は正電荷を帯びているため、上部電極6に対して斥力が作用すると共に下部電極(載置台)3に対して引力が作用することにより、レジストの底部側に向かって移動する。更に、交流であるため印加電圧の正負が反転すると、図4に示すように、正の電荷が発生した下部電極(載置台)3から負の電荷が発生した上部電極6に向かう電界が形成される。このときレジスト内に発生した酸は上部電極6に対して引力が作用すると共に下部電極(載置台)3に対して斥力が作用することにより、レジストの表面側に向かって移動する。こうして交流電界により上記の酸がレジスト内において上下に振られながら描画領域内に拡散していく。
このような電界を形成した状態で所定時間例えば90秒間の加熱処理が行われ、これにより加熱したことにより促進される酸の拡散作用と、電界による酸の拡散作用とが相俟って酸が描画領域内に広がり酸触媒反応が進行する。具体的にはポジ型のレジストの場合には描画した部位が現像液に対して溶解性に変質し、またネガ型のレジストの場合には描画した部位が現像液に対し不溶解性に変質する。
しかる後、交流電源8による電圧の印加を停止した後、例えば図2(c)に示すように、三方バルブ74を切り替えて例えば23℃に設定したことで冷却液を兼ねたリンス液Q2例えば純水をウエハWの表面に供給する。このリンス液Q2は、前記誘電液体Q1と同様に表面張力によりウエハWと上部電極6との間に広がり、これにより隙間内にある誘電液体Q1がリンス液Q2に置換されてウエハW及び上部電極6の表面は洗浄される。更に冷却液でウエハWを冷却することにより酸触媒反応の進行が停止される。このときウエハWの表面からこぼれ落ちた誘電液体は排出口34から排出される。なお、上部電極6を上昇させてウエハWとの隙間を大きめに設定してからリンス液を供給することもある。
続いて、例えば図2(d)に示すように、上部電極6を上昇させると、ウエハWの表面に残ったリンス液Q2がパージガスの流れにのって飛散し、またウエハWからの熱を受け取って蒸発することにより、ウエハW及び上部電極6は乾燥される。その後、蓋体5が上昇し、進入してくるウエハ搬送手段によりウエハWは装置の外部へ搬出される。
上述の実施の形態によれば、ウエハWの表面と、このウエハWの表面と対向する上部電極6との間の隙間に誘電液体Q1を介在させた状態で電界を形成する構成としたことにより、ウエハWと上部電極6との間に強度の大きい電界を形成することができるので、この電界による酸の拡散作用と加熱されることにより促進される酸の拡散作用とが相俟って酸が描画領域内に充分に広がる。このため描画領域内の酸触媒反応の進行を促進させることができるので、例えば低加速の電子ビームを用いて短時間に描画されたエネルギ注入量の少ないレジストであっても描画領域にあたる部位を充分に変質させることができる。その結果として、現像後においてウエハWの表面に線幅精度の高いレジストパターンを形成することができる。更に、本例によれば、ウエハWと上部電極6との間の隙間を誘電液体Q1で満たしたことにより、例えば水の比誘電率は80であり、このように液体は気体に比べて誘電率が大きいので、その分において隙間に気体を満たしたときに比べて小さい電圧で大きい電界を形成させることができる。そのため、交流電源8の小型化を図ることができ、また運転コストの低減を図ることができる点で得策である。
更に上述の実施の形態によれば、ウエハWの表面に対して平行な平坦面を有する上部電極6を設けたことにより、この平坦面に形成される電気力線は高い垂直性を持ってウエハWの表面(厳密には下部電極3)に面内均一に向かうので、結果としてウエハWの面内に均一に電界を作用させることができる。本発明のように電界の作用を頼って酸の活動を制御する場合、例えば図5に模式的に示すように、ウエハWとの距離の大きい部位(距離L1)では、距離の短い部位(距離L2)に比べて電界の強さが小さくなるので、結果として酸の活動の程度がウエハWの面内でばらついてパターンの線幅精度が低下してしまう。このとき電界の弱い部位でパターンが形成されるように加熱時間を合わせ込んでしまうと、電界の強い部位で酸触媒反応が進行しすぎて予定としない部位まで変質させてしまうことがある。従って、本例のように平坦面を有する上部電極6を用いれば、ウエハWに対し面内均一性の高い電界を形成することができ、その結果としてより確実に線幅精度が面内均一なレジストパターンを形成することができる。
更には、本例のようにウエハWの表面と上部電極6との間の隙間に誘電液体を介在させることで、ただの空間よりもウエハWに均等に電圧を印加することができる。従って、上部電極6とウエハWとの距離が面内で多少ばらついていたとしても、結果として電界の強度がばらつくのを緩和させることができるので、本例はより確実に面内均一性の高い電界を形成することができる点で有利である。
更に、上述の実施の形態によれば、加熱後のウエハWにリンス液Q2を供給することにより、ウエハWをより確実に清浄に保つことができる。従って、万が一選択した誘電液体Q1に含まれる成分が残っていると後の工程の処理に影響を及ぼす懸念がある場合に対しこの例は有効である。更に、リンス液Q2は冷却液を兼ねた構成とすることにより、冷却液の供給によりウエハWの表面を素早く冷却することができるので、最適なタイミングで酸触媒反応を停止させることができる。このため酸触媒反応が進行しすぎて予定としない部位のレジストが変質してしまうのを抑えることができ、更にウエハWを冷却するための冷却手段を省略することもできる。なお、リンス液Q2として誘電液体Q1よりも揮発性の高い(沸点の低い)ものを用いれば、ウエハWからの乾燥除去を短時間で行うことができるので、スループットの向上を図ることができる。但し、本発明においては必ずしもリンス液を供給するようにしなくともよく、所定の時間ウエハWを加熱した後、上部電極6を上昇させ、誘電液体を蒸発乾燥させるようにしてもよい。
なお、上述の実施の形態においては、例えば液供給ノズル7を介してウエハWの表面に気体例えば乾燥用気体を供給する手段を設けておき、リンス液を供給した後のウエハWの表面にこの気体を供給してウエハWを乾燥させるようにしてもよい。
更に上述の実施の形態においては、上部電極6の表面のうち、少なくともウエハWと対向する部位は例えば表面処理を行うなどすることにより誘電液体に対し親水性を有するように設定するのが好ましい。このような構成とすれば表面張力の作用を高めて、より確実に面内均一な厚みの誘電液体の層を形成できるので得策である。またウエハWの表面から誘電液体がこぼれ落ちるのを抑制するために、例えば塗布ユニットにてレジストをウエハWの表面に塗布した後に、この塗布ユニットにてウエハWの周縁部に撥水処理を行うようにしてもよい。具体的にはウエハWの周縁部に全周に亘って撥水剤例えばフッ素系の塗布液を塗布し乾燥させる処理が一例として挙げられ、この場合、液供給ノズル7からの誘電液体は撥水処理された周縁部よりも内側領域に供給するようにする。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができ、更に液がこぼれ落ちるのを抑制することで、上部電極6と載置台(下部電極)3とがこの液を介して電気的につながることが少ない。このとき、バキュームリング31の少なくとも表面部を撥水性部材で形成することで液がつながるのをより確実に少なくしてもよい。
更に、誘電液体がこぼれ落ちるのをより確実に抑制するために、上部電極6の表面のうちウエハWの周縁部と対応する部位に予め同様にして撥水処理を行っておくようにしてもよい。また更に、載置台3に載置されたウエハWの周縁全周と僅かな隙間を介して対向するように例えば表面に撥水処理が施されたリング部材を設けるようにしても誘電液体がこぼれ落ちるのを抑制することができる。これらの構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
なお上述の実施の形態においては、液供給ノズル7により誘電液体及びリンス液をウエハWに供給する構成に限られず、例えば図6に示すように、上部電極6の中央部に液供給手段として液供給口81を形成しておき、この液供給口81を介して誘電液体及びリンス液をウエハWに供給する構成としてもよい。この構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。なお、本例の場合、液の吐出圧が略ゼロの状態で毛細管現象を頼って隙間に液を広げるようにしてもよい。更には、図6に点線で示すように、ウエハWの周縁部に対応する位置に周方向に沿って液吸引口82を形成し、この液吸引口を介してウエハW表面にある液を吸引除去するようにしてもよい。
更に上述の実施の形態においては、ウエハWの外方側に配置した液供給ノズル7から誘電液体及びリンス液を吐出して供給する構成に限られず、例えば図7に示すように、その上方面及び下方面に長さ方向に沿って複数の吐出孔83が穿設された棒状の液供給ノズル84を進退自在に設けておき、吐出孔83から誘電液体及びリンス液を吐出させると共に、ウエハWと上部電極5との間の隙間を一端から他端に向かって液供給ノズル84をスライド移動させて液膜を形成するようにしてもよい。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
また更に、誘電液体及びリンス液を供給する手段は必ずしも処理容器30内に備えていなくともよく、液供給手段を備えたユニットを別途設けるようにしてもよい。この場合、その表面に誘電液体が液盛りされたウエハWを装置内に搬入し、既述のようにして加熱処理を行った後、再度液供給手段を備えたユニットにウエハWを搬入してリンス液を供給する構成とする。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
続いて本発明の他の実施の形態に係る基板加熱装置について図9を参照しながら説明する。この例の基板加熱装置は、上部電極6とウエハWとの間に気体を満たした状態で高電圧を印加して電界を形成すると共に、このとき絶縁破壊が起きないように処理容器30内を加圧又は減圧する手段を備えたことを除いては図1記載の装置と概ね同じ構成である。同じ構成を採用するところについては同じ符号を付すことにより詳しい説明を省略する。図中85は、処理容器30内の圧力を検出するための圧力検出器例えば例えば半導体を用いたピエゾメータなどであり、この圧力検出器85の圧力検出値が予め決められた圧力設定値と同じになるよう排気流量調整部54及び/又は供給流量調整部39Aは圧力制御部86により制御されるように構成されている。即ち、圧力検出器85、排気流量調整部54、供給流量調整部39A、及び圧力制御部86は圧力調整手段を構成する。より詳しくは、ウエハWと上部電極6との間に満たされる気体の種類、つまりパージガスの種類が分かれば、ウエハWと上部電極6との離間距離及び処理温度に基づいて、予定とする大きさの電界を形成しようとしたときの絶縁破壊の起こり得る圧力の範囲が求まるので、この圧力の範囲外で決められた圧力を圧力設定値として制御する。なお、圧力設定値の具体例としては、例えば窒素の場合には1.5気圧に設定し、例えば空気の場合には2気圧に設定することが一例として挙げられる。
続いて、上述の基板加熱装置を用いて基板例えばウエハWを加熱する工程について説明する。先ず、既述の場合と同様にしてウエハWが載置台3に吸着保持され、上部電極6が下降してウエハWの表面に対して所定の高さ位置に設定されると共に、蓋体5が下降してウエハWの周囲を囲む処理容器30が形成されると、給気口34からパージガス例えばフィルタを通過させた窒素ガスを処理容器30内に供給すると共に、排気ポンプ53により排気口51を介してパージガスを排気することにより、処理容器30内を窒素ガスで置換する。そして処理容器30内を加圧する場合には、排気を停止する一方で図示しないコンプレッサを介して窒素ガスの供給を続けることにより処理容器30内を加圧する。反対に減圧する場合には、窒素ガスの供給を停止する一方で図示しない真空ポンプにより真空排気を続けることにより処理容器30内を減圧する。
続いて、処理容器30内が所定の圧力に調整されると、窒素ガスの供給及び排気を停止することにより、ウエハWと上部電極6との間の隙間にある雰囲気を静置した状態に設定する。この状態にて交流電源8から例えば100Hz、例えば1kVの電圧を上部電極6及び下部電極(載置台)3との間に印加することにより電界が形成される。そして所定の時間加熱されると、例えば加圧状態にある場合には排気を行い又は減圧状態にある場合にはパージガスを供給して処理容器30内を大気圧まで復帰させた後、上部電極5が上昇し、蓋体5が開いてウエハWは装置の外部へ搬出され、例えば別のユニットで冷却されてから現像される。
上述の実施の形態によれば、処理容器30内を加圧又は減圧して絶縁破壊が起きるのを抑制することにより、上部電極6とウエハWとの間の隙間を気体で満たした場合であっても、絶縁破壊が抑制された分において上部電極6及び下部電極(載置台)3に高い電圧を印加して大きい電界を形成することができるので、レジスト内の酸の活動を充分に活発にすることができ、結果として上述の場合と同様の効果を得ることができる。
更に、上述の実施の形態によれば、ウエハWと上部電極6との間の隙間にある雰囲気を静置させた状態で電界を形成することにより、より確実にウエハWに対して面内均一な電界を作用させることができる。つまり例えばパージガスを流しながら電界を形成すると、ウエハWと上部電極6との間の隙間内の圧力が変動して電界の強さが面内で不均一になってしまうことがあるが、静置した雰囲気とすることことで圧力変動を小さくしてウエハWの面内に対し均一性の高い電界を形成することができ、結果としてより確実に面内均一性の高いパターンを得ることができる。
更には、ウエハWの表面と平行な平坦面を有する上部電極6を設けた構成とすればウエハWの面内に対し均一な電界を形成することができることは既述の例の場合と同じであるが、ウエハWと上部電極6との間に満たされた流体が気体の場合には更に絶縁破壊が起きるのを抑制することができる効果を得ることができる利点がある。即ち、例えば上部電極6の表面に凹凸がある場合など、上部電極6とウエハWとの距離が短い部位があればこの部位では絶縁破壊が起こりやすくなるが、本例のようにウエハWの表面と平行な平坦面にすることにより絶縁破壊をより確実に抑制することができる。絶縁破壊が置きやすい気体、特に空気を用いた場合に対し本例は極めて有効である。
なお、この例においても冷却液を供給するための手段例えば液供給ノズル7を設けておき、加熱後の最適なタイミングで冷却液を供給して酸触媒反応を停止させるようにしてもよい。
本発明においては、必ずしもウエハWの下方側に電極(下部電極)を設けなくともよく、上部電極6のみ設けるようにしてもよい。この場合、例えばその回りに形成される電場がウエハWに影響しない離れた位置例えば処理容器30の外に下部電極を配置する構成とする。この場合であっても上部電極5が正及び負の電荷を帯びて酸を拡散させることができるので、上述の場合と同様の効果を得ることができる。更には、交流電源8に代えて直流電源を設け、上部電極6に直流電圧を印加することもできる。
更に本発明においては、加熱するウエハWは低加速の電子ビームにより描画されたものに限られず、例えば高加速の電子ビームで描画されたウエハWや、マスクを介して露光されたウエハWにも適用することもできる。この場合であっても、酸触媒反応を促進させることができるので、短時間で露光後加熱を行うことでスループットの向上を図ることができる。また本発明は、被処理基板に半導体ウエハW以外の基板、例えばLCD基板、フォトマスク用レチクル基板の加熱処理にも適用できる。
最後に本発明の基板加熱装置が組み込まれた塗布・現像装置の一例について図9及び図10を参照しながら簡単に説明する。図中B1は基板であるウエハWが例えば13枚密閉収納された キャリアCを搬入出するためのキャリア載置部であり、キャリアCを複数個載置可能な載置部90aを備えた キャリアステーション90と、この キャリアステーション90から見て前方の壁面に設けられる開閉部91と、開閉部91を介してキャリアCからウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
キャリア載置部B1の奥側には筐体92にて周囲を囲まれる処理部B2が接続されており、この処理部B2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3と、後述する塗布・現像ユニットを含む各処理ユニット間のウエハWの受け渡しを行うウエハ搬送手段である主搬送手段A2,A3とが交互に配列して設けられている。即ち、棚ユニットU1,U2,U3及び主搬送手段A2、A3は キャリア載置部B1側から見て前後一列に配列されると共に、各々の接続部位には図示しないウエハ搬送用の開口部が形成されており、ウエハWは処理部B1内を一端側の棚ユニットU1から他端側の棚ユニットU3まで自由に移動できるようになっている。また主搬送手段A2、A3は、 キャリア載置部B1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁93により囲まれる空間内に置かれている。また図中94、95は各ユニットで用いられる誘電液体の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
液処理ユニットU4,U5は、例えば図8に示すように塗布液(レジスト液)や現像液といった薬液供給用のスペースをなす収納部96の上に、塗布ユニットCOT、現像ユニットDEV及び反射防止膜形成ユニットBARC等を複数段例えば5段に積層した構成とされている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば9段に積層した構成とされており、その組み合わせは、上述の基板加熱装置をユニット化した露光後加熱ユニット(PEB)、ウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット、ウエハWを冷却する冷却ユニット等が含まれる。
処理部B2における棚ユニットU3の奥側には、例えば第1の搬送室97及び第2の搬送室98からなるインターフェイス部B3を介して露光部B4が接続されている。インターフェイス部B3の内部には処理部B2と露光部B4との間でウエハWの受け渡しを行うための2つの受け渡し手段A4、A5の他に、棚ユニットU6及びバッファキャリアC0が設けられている。
この装置におけるウエハの流れについて一例を示すと、先ず外部からウエハWの収納されたキャリアCが載置台90aに載置されると、開閉部91と共に キャリアCの蓋体が外されて受け渡し手段AR1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(図示せず)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、棚ユニットU1〜U3内の一の棚にて、塗布処理の前処理として例えば反射防止膜形成処理、冷却処理が行われ、しかる後、塗布ユニットにてレジスト膜が形成されると、ウエハWは棚ユニットU1〜U3の一の棚をなす加熱ユニットで加熱(ベーク処理)され、更に冷却された後棚ユニットU3の受け渡しユニットを経由してインターフェイス部B3へと搬入される。このインターフェイス部B3においてウエハWは例えば受け渡し手段A4→棚ユニットU6→受け渡し手段A5という経路で露光部B4へ搬送され、露光が行われる。露光後、棚ユニットU3内に設けられた本発明の基板加熱装置にて既述のようにして加熱処理が行われ、その後ウエハWは主搬送手段A2を介して現像ユニットDEVに搬入され、現像されることでレジストパターンが形成される。しかる後ウエハWは載置台90a上の元のキャリアCへと戻される。
本発明の実施の形態に係る基板加熱装置を示す縦断面図である。 上記基板加熱装置を用いてウエハを加熱する工程を模式的に示す説明図である 加熱時のウエハ表面のレジストの様子を模式的に示す説明図である 加熱時のウエハ表面のレジストの様子を模式的に示す説明図である 加熱時のウエハ表面のレジストの様子を模式的に示す説明図である。 上記基板加熱装置に設けられた液供給手段の他の例を示す説明図である。 上記液供給手段の更に他の例を示す説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る基板加熱装置を示す縦断面図である。 本発明の基板加熱装置が組み込まれる塗布・現像装置を示す平面図である。 本発明の基板加熱装置が組み込まれる塗布・現像装置を示す斜視図である。 化学増幅型レジストを露光、加熱、現像したときの様子を示す説明図である。 従来の加熱装置を示す説明図である。 従来の加熱装置の他の例を示す説明図である。 電子ビーム露光の概略を示す説明図である。
符号の説明
3 載置台
33 ヒータ
4 基板支持ピン
5 蓋体
51 排気口
6 上部電極
61 絶縁部材
62 ヒータ
7 液供給ノズル
8 交流電極

Claims (11)

  1. 化学増幅型のレジストが塗布され、さらに露光された後の基板を現像する前に加熱処理する基板加熱装置において、
    基板を水平に載置する基板載置部と、
    この基板の表面と対向して設けられた電極部を有し、当該基板の表面にあるレジストに発生した酸がこのレジストの露光領域内に広がるように電界を形成する電界形成手段と、
    前記電極部を、下降した時に基板載置部上の基板の表面との間で誘電液体が表面張力で広がっていく隙間を形成する位置となるように昇降させる昇降機構と、
    前記電極部と基板の表面との間の前記隙間の誘電率を高めるための誘電液体を当該基板の表面に広げるために前記隙間に供給する液供給手段と、
    誘電液体が供給された基板を前記基板載置部に載置した状態で当該基板を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする基板加熱装置。
  2. 前記電極部には、基板の表面に供給された誘電液体を加熱する加熱手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の基板加熱装置。
  3. 前記誘電液体は、高沸点且つ高比誘電率の液体であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板加熱装置。
  4. 前記電極部は、基板の表面と平行な平坦面を有していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の基板加熱装置。
  5. 前記露光は、低加速の電子ビームにより基板の表面にパターンを描画する電子ビーム露光であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の基板加熱装置。
  6. 基板を加熱後に、前記誘電液体と置換して酸触媒反応を停止させるための冷却液を基板の表面に供給する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の基板加熱装置。
  7. 化学増幅型のレジストが塗布され、さらに露光された後であって且つ現像する前の基板を電界が形成された雰囲気に置いて加熱手段により加熱処理する基板加熱方法であって、
    基板を基板載置台に水平に載置する工程と、
    電極部を、前記基板載置部上の基板の表面との間で誘電液体が表面張力で広がっていく隙間を形成する位置となるように基板の表面と対向させると共に、当該基板の表面と電極部の表面との間の隙間の誘電率を高めるための誘電液体を当該基板の表面に供給する工程と、
    前記基板を加熱すると共に、この基板と電極部との間の隙間に誘電液体が介在した状態で当該基板の表面にあるレジストに発生した酸がこのレジストの露光領域内に広がるように電界を形成する工程と、を含むことを特徴とする基板加熱方法。
  8. 前記誘電液体は、高沸点且つ高比誘電率の液体であることを特徴とする請求項記載の基板加熱方法。
  9. 前記電極部は、基板の表面と平行な平坦面を有していることを特徴とする請求項7または8に記載の基板加熱方法。
  10. 前記露光は、低加速の電子ビームにより基板の表面にパターンを描画する電子ビーム露光であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一つに記載の基板加熱方法。
  11. 基板を加熱後に、前記誘電液体と置換して酸触媒反応を停止させるための冷却液を基板の表面に供給する工程を更に含むことを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一つに記載の基板加熱方法。
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