JP2004065114A - 乗用芝刈機 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行車体の腹下部に装着されたミッドモアの脱着作業を容易にするリンク機構を提供することを目的とする。
【解決手段】走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とで構成すると共に、左右の後側リンク105、105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成する。
ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設ける。
または、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とで構成すると共に、左右の後側リンク105、105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成する。
ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設ける。
または、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行車体の腹下部に草や芝を刈るミッドモアを装着した乗用芝刈機に関する。
【0002】
【従来の技術】
芝刈機をトラクタや乗用芝刈機の車体下部に取り付けて草や芝を刈り取る所謂ミッドモアと呼ばれているものが知られている。
【0003】
ミッドモアは作業中は地面近くに降下させて雑草等の刈取作業をするが、移動時には地面と平行に高く吊り上げて走行するため、通常は平行リンクのようなリンク機構を介して走行車体の腹下部に装着されている。
【0004】
また、ミッドモアのモアデッキ内の刈刃を駆動するためにエンジン前部から取り出した回転動力をベルトや自在継手等を介してモアデッキ上面に設置されたギヤケースの入力軸に伝え、この入力軸に入ってきた動力をさらにベルト等の動力伝達具を介してモアデッキ内の刈刃を駆動するように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のミッドモアは、磨耗した刈刃の交換やモアデッキ自体の点検を行うときに、トラクタ等の走行車体の腹下部からモアデッキ本体を横方向に引きずり出さなければならないが、リヤーディスチャージタイプのモアデッキにあっては後方に向かって開口する草排出口にシュータが連設されていたり、モアデッキの形状自体が渦巻き状で上面に形成された草排出通路部分が後側程高くなる形状であったため、モアデッキを機体の腹下部から横に出すときにモアデッキがリンク機構の一部に干渉するといった不具合があった。
【0006】
また、モアの刈刃は刈り取った草がモアデッキ後方に排出されるようにその回転方向が決まっていたために、通常の刈取作業時に設定された回転方向と逆向きに回転させることができず、従って、草や芝は刈り取ることができても、例えば芝を細かく裁断するマルチングモアとして利用することはできなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記した問題点に鑑みて提案するものであって、このため次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とで構成すると共に、左右の後側リンク105、105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成したことを特徴とする乗用芝刈機とした。
【0008】
請求項2の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設けたことを特徴とする乗用芝刈機とした。
【0009】
また、請求項3の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成したことを特徴とする乗用芝刈機とした。
【0010】
請求項1において、モアデッキ28を取り外すときにはリンク機構100を下降させてモアデッキ28本体を着地させ、リンク機構100とモアデッキ28との連結を外す。この状態で中折れ式の後側リンク105の後部を上方へ回動させてモアデッキ28を引き出すのである。後側リンク105は中折れ式となっているため、この後側リンク105の後部を上方へ回動させればモアデッキ28と干渉することがなく、モアデッキ28を簡単に引き出すことができる。
【0011】
請求項2においては、油圧ポンプ10aから油圧モータ57へ至る油路を正転側に切り替えて通常の刈取り作業を行い、油路を逆転側へ切り替えて刈刃を逆向きに回転させてアルチング作業を行う。
【0012】
また、請求項3においては、油圧ポンプ10a自体の回転方向を正逆に切り替えて刈取作業とマルチング作業を行う。
【0013】
【実施の形態】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、図1において符号1は乗用型芝刈機で走行車体2の前部と後部に夫々前輪3、3と後輪4、4を備え、ボンネット5内にはエンジン6を搭載している。
【0014】
走行車体2の一部を構成する左右一対のフレーム8、8間には走行用可変油圧ポンプ9と作業用2連油圧ポンプ10とがこの順で支持されている。
【0015】
エンジン6の出力軸6aはカップリング12を介して走行用油圧ポンプ9に連結され、さらにその後部の作業用2連油圧ポンプ10にも動力が伝達され、直列に接続された2つの油圧ポンプ9、10を常時駆動するように構成している。そして、走行用可変油圧ポンプ9から送り出された作動油はリヤアクスル11の左右外側に取り付けられた走行用油圧モータ13、13に送られて後輪4、4を回転駆動する。
【0016】
前記作業用2連油圧ポンプ10のうち、前側の油圧ポンプ10aはミッドモア14の刈刃駆動軸15を駆動するために設けられたもので、後側の油圧ポンプ10bはパワーステアリング装置PS、ミッドモア14の昇降、コレクタ16の昇降及び回動等に利用される。
【0017】
次に図3、図4に基づき乗用芝刈機1の腹下部に装着されるミッドモア14のモアデッキ28の単体構造について説明する。
モアデッキ28は2本の刈刃駆動軸15、15を軸受支持して回転する刈刃31、31の周囲を覆うものであって、平面から見ると略8字形状になっており、モアデッキ28の左半分28Lは右巻きに、右半分28Rは左巻きに渦巻きながら次第に隆起する草排出通路29、29が設けられ、これらの草排出通路29、29が左右方向の中央部29Sで合流し、そのまま後方に延設されて1つの排出通路33が形成されるように構成している。
【0018】
図4に示すようにモアデッキ28の上面で刈刃駆動軸15、15が取り付けられる部分は上方へ突出しており、ここに断面が台形状の取付部35、35が形成される。
【0019】
左側の取付部35には楕円状の孔36が穿設され、右側の取付部には円形の孔37が穿設されている。
右側の孔37には反時計方向に回転する刈刃駆動軸15を支持する軸受39がボルト40によりモアデッキ28に固定されている(図6参照)。
【0020】
一方、左側の孔36には左側の刈刃駆動軸15を時計方向に回転させるために逆転ギヤケース42を複数個のボルト43…により取り付けるようにしている。
【0021】
逆転ギヤケース42の取付構造について説明すると、図7に示すように刈刃駆動軸15は上下2つのベアリング45、46で回転自在に支持され、刈刃駆動軸15の長手方向中間部にはギヤ47が一体的に固着されている。
【0022】
一方、この刈刃駆動軸15の左側横側方には入力軸49がベアリング50、51で支持されている。上側のベアリング51は、入力軸49だけでなく入力プーリ54のボス部54aも同時に軸受支持するものであり、入力軸49の上部に入力プーリ54のボス部54aを上から嵌合し、そのボス部54aの外側をベアリング51で支持するように構成している。
【0023】
この入力プーリ54の中心部には内周にセレーション若しくはキー溝を有する縦方向の孔55が形成されており、この孔55に入力軸49の上部を挿入し、更に入力プーリ54の孔55の上部には刈刃駆動軸15を駆動するための油圧モータ57の軸57aが挿入されている。油圧モータ57の回転動力は、セレーション又はキー(図示省略)を介して入力プーリ54に伝達され、逆転ギヤケース42に支持された入力軸49に伝達される。この入力軸49の上下方向中間部には1枚のギヤ59が固着され、このギヤ59と刈刃駆動軸15上のギヤ47との噛合いにより、入力軸49に対してこの刈刃駆動軸15が逆向きに回転するように構成している。なお、この実施例では逆転ギヤケース42内の2枚のギヤ59、47の歯数は同数に設定している。
【0024】
また、油圧モータ57を取り付けている基台60は鉄板を正面から見て矩形状に折り曲げて形成したものであって、前後2本のボルト61、61を締め付けて油圧モータ57を基台60に取り付けるようにしている。
【0025】
図7において、符号63は円柱状のボスで、ノックピン62を介して刈刃31と一体的に構成され、このボス63内周面のスプライン63aと、刈刃駆動軸15下部に形成したスプライン15aとを対応合致させて刈刃31と一体のボス63を下から差込んだ後、ボルト65でこれを刈刃駆動軸15に締着固定するように構成している。
【0026】
また、左側刈刃駆動軸15の上部に固着した入力プーリ54と右側刈刃駆動軸15に固着した入力プーリ54、及び3個のアイドルプーリ68、68、68間には1本の無端ベルト66を巻き掛けている(図5参照)。
【0027】
図5において、3個のアイドルプーリ68、68、68のうち、中央前部のアイドルプーリ68はこのアイドルプーリ68を支持している軸67が長孔69、69の範囲で前後に移動調節できるように構成され、ベルトの張り調節後にボルト・ナット70、71を締め付けて固定する。後方左右2ヵ所のアイドルプーリ68、68はモアデッキ28の上面に位置調節不能な状態で軸73、73に支持される。
【0028】
なお、この実施例における入力プーリ54、54とアイドルプーリ68、68、68は無端ベルト66のスリップをなくすために、内外周面に引っ掛かり用の歯が設けられ、無端ベルト66の歯がこれら入力プーリ54、54と、アイドルプーリ68、68、68の歯に噛み合って回転するようにしている。
【0029】
この実施例では、左右の入力プーリ54、54の外周に設けた歯の数は同数であり、左と右の刈刃31、31は互いに逆向きに回転するように構成しており、左側の刈刃31は時計左右に回転し、右側の刈刃31は反時計方向に回転し、そのときに刈刃31、31は位相がずれることはなく、常に90度の位相差を保って回転するようにしている。
【0030】
即ち、油圧モータ57が駆動されると左側の刈刃31は平面から見て時計方向に回転し、右側の刈刃31は90度の位相差を保って反時計方向に回転する。
【0031】
そして、モアデッキ28上面の排出通路33には図8に示すように草を排出するディスチャージカバー86が設けられ、このディスチャージカバー86は、図示外のスプリングにより常時上向きに付勢されており、その後端は角筒状のシュータ89の内面上部に常時当接するように構成している。シュータ89はモアデッキ28の排出通路33の後端とコレクタ16とを接続するために介装されるものであって、このシュータ89は左右の後輪4、4間を通るように構成されている。
【0032】
なお、図1、図2において、符号90は左側フェンダー93の近傍に設けられたPTOコントロールバルブ、91はこのPTOコントロールバルブ90を入切するPTO操作レバーである。
【0033】
PTO操作レバー90を前側に倒すと油圧モータ57が駆動され、刈刃31、31が回転を始める。後輪4、4を覆うフェンダー93、93のうち、右側フェンダー93の近傍にはコレクタ16全体を昇降回動させる昇降用バルブ94とコレクタ16の底板17を昇降させる底板昇降バルブ95が設けられ、夫々のバルブ94、95には操作レバー96、97が設けられている。
【0034】
また、モアデッキ28と走行車体のフレーム8、8との間には、前後2本のリンク部材からなるリンク機構100が介在されており、左側フェンダー93上に設けられた油圧操作用の昇降スイッチ98を操作すると油圧シリンダ102内に作動油が供給されて或いは排出されてミッドモア14のモアデッキ28が昇降するようにしている。
【0035】
次に図1および図9に基づいてモアデッキ28を昇降させるリンク機構100について説明する。リンク機構100は左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とからなり、前側リンク103、103は機体フレーム8、8の下部に設けた係合部104に支点ピン106、106を引っ掛けてレバー108を後方に倒して支点越えさせることにより機体側に固定される。後側リンク105は機体フレーム8、8の中間部に設けた支点ピン107、107を中心として上下揺動自在に支持されており、後側リンク105はその後部寄りの部位で前後に2分割され、回動支点110を中心として回動できるようになっている。
【0036】
即ち、側面視でへ字状に屈曲した後側リンク105、105の後側リンク片105bを回動支点110廻りに上下回動できるように構成し、通常の作業状態ではピン112にて後側リンク105と後側リンク片105bとを一体とし、モアデッキ28を引き出す際にはこのピン112を抜いて後側リンク片105bが支点110を中心として回動して上方へ退避できるようにしている。
【0037】
このように後側リンク片105bをフリーな状態にして上方へ回動させておけば、デイスチャージカバー86がモアデッキ28に付いた状態でもリンクに当たることがなく容易に引き出すことができるものである。
【0038】
なお、後側リンク片105bは片側だけでなく左右に設けても良い。左右両方に設けると左右いずれの側からもモアデッキ28を引き出すことができるものである。モアデッキ28のリンク機構100への装着にあたっては、まず前側リンク103、103の後端をモアデッキ28前面下部のステー113、113にピン115、115で固定し、ついで後側リンク105、105の後端下部をモアデッキ28後下部のステー117、117(図5参照)にピン118、118にて着脱自在に固定する。
【0039】
草や芝を刈取るときであって、油圧シリンダー102内に作動圧油を送り込むとピストンロッドが伸長してく字型リンク119を回動させ、長孔120aを有する吊持リンク120を介して後側リンク105を上昇側に回動させるものである。作業機であるモアデッキ28を下降させるときは逆であり、油圧シリンダ102のピストンロッドは短縮して後側リンク105を下降側に回動させモアデッキ28全体を下降させる。
【0040】
なお、草や芝の刈り取り作業中にモアデッキ28が地面から受ける反力等で上向きに突き上げられたときにはモアデッキ28全体は吊持リンク120に形成した長孔120aの範囲内で上方に逃げることができるため油圧シリンダ102やく字型リンク119を変形、損傷させることはない。
【0041】
次に図10、図11の油圧回路図について構成を説明する。
図10の油圧回路図はギヤポンプ10aから油圧モータ57へ至る油路を切換えて油圧モータ57を正転あるいは逆転させるものであり、図11は油圧ポンプ自体を正逆転させる油圧回路を示したものである。
【0042】
図10において、エンジン6の回転動力が走行用可変油圧ポンプ9と2連油圧ポンプ10a、10bに伝達されると後方の油圧ポンプ10bから送り出された作動油はパワーステアリング装置PSに入り、その戻り油が油圧昇降装置122に送り込まれる。この油圧昇降装置122の昇降バルブ123は通常は中立(N)位置に保たれ、昇降スイッチ98を押すことによって昇降バルブ123が上げ位置(U)若しくは下げ位置(D)に切り換わるようにしている。2連油圧ポンプ10の前側油圧ポンプ10aとモアデッキ28上部に取付けられた油圧モータ57との間には切換バルブ125が設けられ、この切換バルブ125を正転側、あるいは逆転側に切換えることによって一対の刈刃31、31の回転方向が変わる。
【0043】
この切換バルブ125は通常は中立位置を保ち、右側の室に切り換わると油圧モータ57は正転方向に回転し、左側の室に切り換わると逆転方向に回転する。この正逆の切換えは図1に示したPTO操作レバー91にて行なわれるものであって、中立位置から前に倒すと正転、後方に倒すと逆転する。
【0044】
正転方向とは2枚の刈刃31、31のうち、左側が時計方向、右側が反時計方向に回転する組合せ(図12)、逆転方向とは左側が反時計方向、右側が時計方向に回転する刈刃の組合せ(図13)を云う。
【0045】
図10において、走行用可変油圧ポンプ9から送り出された作動油は左右一対の油圧モータ13、13に入り、機体を前進させる。
【0046】
油圧ポンプ9の吐出方向を変更すると油圧モータ13、13は反転し、機体は後進する。同図において、符号127は油圧デフロックバルブである。この油圧デフロックバルブ127のソレノイド127aがONされると左右の油圧モータ13、13に流れる作動油の量が等しくなるように調整され、左右の後輪4、4の回転数を一致させた所謂デフロック状態になる。
【0047】
図11は2連油圧ポンプ10の前側油圧ポンプ10aを正逆転切換可能な可変容量ポンプとしたものである。図10の場合と同じ構成については同一符号を付しているが、この図11の場合は油圧回路構成が簡潔になる特徴がある。
【0048】
図10、図11いずれの場合も一対の刈刃31、31を逆転方向に回転させると、刈り取った草や芝は後方には排出されず、モアデッキ28内で持ち回れることになるので、刈刃31による裁断効果が高まり、刈草や芝は細かく切り刻まれてモアデッキ28外に放出される。
【0049】
次に図14、15に示すリンク機構の変形例について構成及び作用を説明する。先に説明したリンク機構100は油圧シリンダ102と後側リンク105との間にく字型リンク109や吊持リンク120を介装してモアデッキ28を昇降自在に支持する構成であったが、ここで説明するものは、く字型リンク119を省略すると共に吊持リンク120の形状を変えてモアデッキ28を効率良く上昇させることができるようにしたものである。
【0050】
左右のフレーム8、8の間にあって左側フレーム8の内側部位に油圧シリンダ102をそのピストンロッドが前方へ向くようにして設けている。
【0051】
後側リンク105、105の前端はピン107にて回動自在に枢着され、後端はモアデッキ28の後上部に着脱自在に取付けられている。
【0052】
左右の後側リンク同士は横向きのパイプ130で連結され、このパイプ130には弧状で緩やかに彎曲する2枚の吊持リンク120、120を取付けている。その上部には同じように彎曲する長孔120a、120aを設け、この長孔120a、120a内に油圧シリンダ102のピストンロッドと一体のピン131を挿通している。このため、油圧シリンダー102のピストンロッドが伸長すると吊持リンク120を引き上げて後側リンク105を上昇させる。図14に示すように油圧シリンダ102は基端の枢支部132に対して油圧シリンダ102の前端が上方となるように傾斜姿勢に保持されており、ピストンロッドが伸長することによって吊持リンク120の下端はそのまま上昇する方向の変位に変更されることになり、効率良く作業機であるモアデッキ28を引き上げることが可能となる。
【0053】
図16は右側フェンダー93部分の側面図、図17はフェンダー93部分の平面図である。これら2図を用いて作動油タンク140や燃料タンク141等の関係について説明する。
【0054】
左右のフェンダー93、93同士は上部において平板137で接続され、その上に座席138が載せられるが、平板137の下方には燃料タンク141と作動油タンク140が設けられている。
【0055】
作動油タンク140内の作動油は走行用可変油圧ポンプ9や2連油圧ポンプ10に吸い込まれてパワーステアリング装置PS、油圧昇降装置122等を駆動し、それらの戻り油はこの作動油タンク140に回収される。
【0056】
作動油タンク140の上の台座142にPTOリリーフメタル144が取付けられ、その上に昇降バルブ123が重合状態で載置されている。
【0057】
昇降バルブ123の後方中央寄り箇所には作動油を給油する給油口145と検油棒146が設けられている。給油口145と検油棒146は図17に示すように平面視L字型燃料タンク140の角部に臨ませた状態で設けられ、それらの上部は共に平板137から突出している。座席138を前方に倒せば給油口145と検油棒146が目視できる。
【0058】
昇降バルブ123、PTOリリーフメタル144に設けたTポートは作動油タンク140に配管なしに接続され、各油圧機器の戻り油は直接この作動油タンク140に回収されるようにしている。
【0059】
【発明の効果】
請求項1の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103と左右一対の後側リンク105とで構成すると共に、後側リンク105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成したことを特徴とする乗用芝刈機としたので、リンク機構100に邪魔されることなくミッドモア14の脱着が簡単に行なえるようになった。
【0060】
請求項2の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設けたので、バルブ125を切換えるという簡単な操作でもって通常の草刈作業だけでなくマルチングモアにも利用でき、用途が大幅に拡大される。
【0061】
請求項3の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成したことを特徴とする乗用芝刈機としたものであるから、通常の草刈作業だけでなく、マルチングモアとしても利用でき、しかも構成が簡潔なため安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用芝刈機の側面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】モアデッキ単体の平面図である。
【図4】その背面図である。
【図5】ミッドモアの平面図である。
【図6】その背面図である。
【図7】逆転ギヤケース部分の断面図である。
【図8】ミッドモアの側面図である。
【図9】リンク機構の側面図である。
【図10】油圧回路図である。
【図11】油圧回路図である。
【図12】作用説明図である。
【図13】作用説明図である。
【図14】改良したリンク機構の側面図である。
【図15】その平面図である。
【図16】燃料タンク部分を覆うフェンダーの側面図である。
【図17】その平面図である。
【符号の説明】
1 乗用芝刈機 2 走行車体
3 前輪 4 後輪
5 ボンネット 6 エンジン
8 フレーム 9 走行用可変油圧ポンプ
10 2連油圧ポンプ 13 走行用油圧モータ
14 ミッドモア 28 モアデッキ
57 油圧モータ 100 リンク機構
103 前側リンク 105 後側リンク
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行車体の腹下部に草や芝を刈るミッドモアを装着した乗用芝刈機に関する。
【0002】
【従来の技術】
芝刈機をトラクタや乗用芝刈機の車体下部に取り付けて草や芝を刈り取る所謂ミッドモアと呼ばれているものが知られている。
【0003】
ミッドモアは作業中は地面近くに降下させて雑草等の刈取作業をするが、移動時には地面と平行に高く吊り上げて走行するため、通常は平行リンクのようなリンク機構を介して走行車体の腹下部に装着されている。
【0004】
また、ミッドモアのモアデッキ内の刈刃を駆動するためにエンジン前部から取り出した回転動力をベルトや自在継手等を介してモアデッキ上面に設置されたギヤケースの入力軸に伝え、この入力軸に入ってきた動力をさらにベルト等の動力伝達具を介してモアデッキ内の刈刃を駆動するように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のミッドモアは、磨耗した刈刃の交換やモアデッキ自体の点検を行うときに、トラクタ等の走行車体の腹下部からモアデッキ本体を横方向に引きずり出さなければならないが、リヤーディスチャージタイプのモアデッキにあっては後方に向かって開口する草排出口にシュータが連設されていたり、モアデッキの形状自体が渦巻き状で上面に形成された草排出通路部分が後側程高くなる形状であったため、モアデッキを機体の腹下部から横に出すときにモアデッキがリンク機構の一部に干渉するといった不具合があった。
【0006】
また、モアの刈刃は刈り取った草がモアデッキ後方に排出されるようにその回転方向が決まっていたために、通常の刈取作業時に設定された回転方向と逆向きに回転させることができず、従って、草や芝は刈り取ることができても、例えば芝を細かく裁断するマルチングモアとして利用することはできなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記した問題点に鑑みて提案するものであって、このため次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とで構成すると共に、左右の後側リンク105、105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成したことを特徴とする乗用芝刈機とした。
【0008】
請求項2の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設けたことを特徴とする乗用芝刈機とした。
【0009】
また、請求項3の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成したことを特徴とする乗用芝刈機とした。
【0010】
請求項1において、モアデッキ28を取り外すときにはリンク機構100を下降させてモアデッキ28本体を着地させ、リンク機構100とモアデッキ28との連結を外す。この状態で中折れ式の後側リンク105の後部を上方へ回動させてモアデッキ28を引き出すのである。後側リンク105は中折れ式となっているため、この後側リンク105の後部を上方へ回動させればモアデッキ28と干渉することがなく、モアデッキ28を簡単に引き出すことができる。
【0011】
請求項2においては、油圧ポンプ10aから油圧モータ57へ至る油路を正転側に切り替えて通常の刈取り作業を行い、油路を逆転側へ切り替えて刈刃を逆向きに回転させてアルチング作業を行う。
【0012】
また、請求項3においては、油圧ポンプ10a自体の回転方向を正逆に切り替えて刈取作業とマルチング作業を行う。
【0013】
【実施の形態】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、図1において符号1は乗用型芝刈機で走行車体2の前部と後部に夫々前輪3、3と後輪4、4を備え、ボンネット5内にはエンジン6を搭載している。
【0014】
走行車体2の一部を構成する左右一対のフレーム8、8間には走行用可変油圧ポンプ9と作業用2連油圧ポンプ10とがこの順で支持されている。
【0015】
エンジン6の出力軸6aはカップリング12を介して走行用油圧ポンプ9に連結され、さらにその後部の作業用2連油圧ポンプ10にも動力が伝達され、直列に接続された2つの油圧ポンプ9、10を常時駆動するように構成している。そして、走行用可変油圧ポンプ9から送り出された作動油はリヤアクスル11の左右外側に取り付けられた走行用油圧モータ13、13に送られて後輪4、4を回転駆動する。
【0016】
前記作業用2連油圧ポンプ10のうち、前側の油圧ポンプ10aはミッドモア14の刈刃駆動軸15を駆動するために設けられたもので、後側の油圧ポンプ10bはパワーステアリング装置PS、ミッドモア14の昇降、コレクタ16の昇降及び回動等に利用される。
【0017】
次に図3、図4に基づき乗用芝刈機1の腹下部に装着されるミッドモア14のモアデッキ28の単体構造について説明する。
モアデッキ28は2本の刈刃駆動軸15、15を軸受支持して回転する刈刃31、31の周囲を覆うものであって、平面から見ると略8字形状になっており、モアデッキ28の左半分28Lは右巻きに、右半分28Rは左巻きに渦巻きながら次第に隆起する草排出通路29、29が設けられ、これらの草排出通路29、29が左右方向の中央部29Sで合流し、そのまま後方に延設されて1つの排出通路33が形成されるように構成している。
【0018】
図4に示すようにモアデッキ28の上面で刈刃駆動軸15、15が取り付けられる部分は上方へ突出しており、ここに断面が台形状の取付部35、35が形成される。
【0019】
左側の取付部35には楕円状の孔36が穿設され、右側の取付部には円形の孔37が穿設されている。
右側の孔37には反時計方向に回転する刈刃駆動軸15を支持する軸受39がボルト40によりモアデッキ28に固定されている(図6参照)。
【0020】
一方、左側の孔36には左側の刈刃駆動軸15を時計方向に回転させるために逆転ギヤケース42を複数個のボルト43…により取り付けるようにしている。
【0021】
逆転ギヤケース42の取付構造について説明すると、図7に示すように刈刃駆動軸15は上下2つのベアリング45、46で回転自在に支持され、刈刃駆動軸15の長手方向中間部にはギヤ47が一体的に固着されている。
【0022】
一方、この刈刃駆動軸15の左側横側方には入力軸49がベアリング50、51で支持されている。上側のベアリング51は、入力軸49だけでなく入力プーリ54のボス部54aも同時に軸受支持するものであり、入力軸49の上部に入力プーリ54のボス部54aを上から嵌合し、そのボス部54aの外側をベアリング51で支持するように構成している。
【0023】
この入力プーリ54の中心部には内周にセレーション若しくはキー溝を有する縦方向の孔55が形成されており、この孔55に入力軸49の上部を挿入し、更に入力プーリ54の孔55の上部には刈刃駆動軸15を駆動するための油圧モータ57の軸57aが挿入されている。油圧モータ57の回転動力は、セレーション又はキー(図示省略)を介して入力プーリ54に伝達され、逆転ギヤケース42に支持された入力軸49に伝達される。この入力軸49の上下方向中間部には1枚のギヤ59が固着され、このギヤ59と刈刃駆動軸15上のギヤ47との噛合いにより、入力軸49に対してこの刈刃駆動軸15が逆向きに回転するように構成している。なお、この実施例では逆転ギヤケース42内の2枚のギヤ59、47の歯数は同数に設定している。
【0024】
また、油圧モータ57を取り付けている基台60は鉄板を正面から見て矩形状に折り曲げて形成したものであって、前後2本のボルト61、61を締め付けて油圧モータ57を基台60に取り付けるようにしている。
【0025】
図7において、符号63は円柱状のボスで、ノックピン62を介して刈刃31と一体的に構成され、このボス63内周面のスプライン63aと、刈刃駆動軸15下部に形成したスプライン15aとを対応合致させて刈刃31と一体のボス63を下から差込んだ後、ボルト65でこれを刈刃駆動軸15に締着固定するように構成している。
【0026】
また、左側刈刃駆動軸15の上部に固着した入力プーリ54と右側刈刃駆動軸15に固着した入力プーリ54、及び3個のアイドルプーリ68、68、68間には1本の無端ベルト66を巻き掛けている(図5参照)。
【0027】
図5において、3個のアイドルプーリ68、68、68のうち、中央前部のアイドルプーリ68はこのアイドルプーリ68を支持している軸67が長孔69、69の範囲で前後に移動調節できるように構成され、ベルトの張り調節後にボルト・ナット70、71を締め付けて固定する。後方左右2ヵ所のアイドルプーリ68、68はモアデッキ28の上面に位置調節不能な状態で軸73、73に支持される。
【0028】
なお、この実施例における入力プーリ54、54とアイドルプーリ68、68、68は無端ベルト66のスリップをなくすために、内外周面に引っ掛かり用の歯が設けられ、無端ベルト66の歯がこれら入力プーリ54、54と、アイドルプーリ68、68、68の歯に噛み合って回転するようにしている。
【0029】
この実施例では、左右の入力プーリ54、54の外周に設けた歯の数は同数であり、左と右の刈刃31、31は互いに逆向きに回転するように構成しており、左側の刈刃31は時計左右に回転し、右側の刈刃31は反時計方向に回転し、そのときに刈刃31、31は位相がずれることはなく、常に90度の位相差を保って回転するようにしている。
【0030】
即ち、油圧モータ57が駆動されると左側の刈刃31は平面から見て時計方向に回転し、右側の刈刃31は90度の位相差を保って反時計方向に回転する。
【0031】
そして、モアデッキ28上面の排出通路33には図8に示すように草を排出するディスチャージカバー86が設けられ、このディスチャージカバー86は、図示外のスプリングにより常時上向きに付勢されており、その後端は角筒状のシュータ89の内面上部に常時当接するように構成している。シュータ89はモアデッキ28の排出通路33の後端とコレクタ16とを接続するために介装されるものであって、このシュータ89は左右の後輪4、4間を通るように構成されている。
【0032】
なお、図1、図2において、符号90は左側フェンダー93の近傍に設けられたPTOコントロールバルブ、91はこのPTOコントロールバルブ90を入切するPTO操作レバーである。
【0033】
PTO操作レバー90を前側に倒すと油圧モータ57が駆動され、刈刃31、31が回転を始める。後輪4、4を覆うフェンダー93、93のうち、右側フェンダー93の近傍にはコレクタ16全体を昇降回動させる昇降用バルブ94とコレクタ16の底板17を昇降させる底板昇降バルブ95が設けられ、夫々のバルブ94、95には操作レバー96、97が設けられている。
【0034】
また、モアデッキ28と走行車体のフレーム8、8との間には、前後2本のリンク部材からなるリンク機構100が介在されており、左側フェンダー93上に設けられた油圧操作用の昇降スイッチ98を操作すると油圧シリンダ102内に作動油が供給されて或いは排出されてミッドモア14のモアデッキ28が昇降するようにしている。
【0035】
次に図1および図9に基づいてモアデッキ28を昇降させるリンク機構100について説明する。リンク機構100は左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とからなり、前側リンク103、103は機体フレーム8、8の下部に設けた係合部104に支点ピン106、106を引っ掛けてレバー108を後方に倒して支点越えさせることにより機体側に固定される。後側リンク105は機体フレーム8、8の中間部に設けた支点ピン107、107を中心として上下揺動自在に支持されており、後側リンク105はその後部寄りの部位で前後に2分割され、回動支点110を中心として回動できるようになっている。
【0036】
即ち、側面視でへ字状に屈曲した後側リンク105、105の後側リンク片105bを回動支点110廻りに上下回動できるように構成し、通常の作業状態ではピン112にて後側リンク105と後側リンク片105bとを一体とし、モアデッキ28を引き出す際にはこのピン112を抜いて後側リンク片105bが支点110を中心として回動して上方へ退避できるようにしている。
【0037】
このように後側リンク片105bをフリーな状態にして上方へ回動させておけば、デイスチャージカバー86がモアデッキ28に付いた状態でもリンクに当たることがなく容易に引き出すことができるものである。
【0038】
なお、後側リンク片105bは片側だけでなく左右に設けても良い。左右両方に設けると左右いずれの側からもモアデッキ28を引き出すことができるものである。モアデッキ28のリンク機構100への装着にあたっては、まず前側リンク103、103の後端をモアデッキ28前面下部のステー113、113にピン115、115で固定し、ついで後側リンク105、105の後端下部をモアデッキ28後下部のステー117、117(図5参照)にピン118、118にて着脱自在に固定する。
【0039】
草や芝を刈取るときであって、油圧シリンダー102内に作動圧油を送り込むとピストンロッドが伸長してく字型リンク119を回動させ、長孔120aを有する吊持リンク120を介して後側リンク105を上昇側に回動させるものである。作業機であるモアデッキ28を下降させるときは逆であり、油圧シリンダ102のピストンロッドは短縮して後側リンク105を下降側に回動させモアデッキ28全体を下降させる。
【0040】
なお、草や芝の刈り取り作業中にモアデッキ28が地面から受ける反力等で上向きに突き上げられたときにはモアデッキ28全体は吊持リンク120に形成した長孔120aの範囲内で上方に逃げることができるため油圧シリンダ102やく字型リンク119を変形、損傷させることはない。
【0041】
次に図10、図11の油圧回路図について構成を説明する。
図10の油圧回路図はギヤポンプ10aから油圧モータ57へ至る油路を切換えて油圧モータ57を正転あるいは逆転させるものであり、図11は油圧ポンプ自体を正逆転させる油圧回路を示したものである。
【0042】
図10において、エンジン6の回転動力が走行用可変油圧ポンプ9と2連油圧ポンプ10a、10bに伝達されると後方の油圧ポンプ10bから送り出された作動油はパワーステアリング装置PSに入り、その戻り油が油圧昇降装置122に送り込まれる。この油圧昇降装置122の昇降バルブ123は通常は中立(N)位置に保たれ、昇降スイッチ98を押すことによって昇降バルブ123が上げ位置(U)若しくは下げ位置(D)に切り換わるようにしている。2連油圧ポンプ10の前側油圧ポンプ10aとモアデッキ28上部に取付けられた油圧モータ57との間には切換バルブ125が設けられ、この切換バルブ125を正転側、あるいは逆転側に切換えることによって一対の刈刃31、31の回転方向が変わる。
【0043】
この切換バルブ125は通常は中立位置を保ち、右側の室に切り換わると油圧モータ57は正転方向に回転し、左側の室に切り換わると逆転方向に回転する。この正逆の切換えは図1に示したPTO操作レバー91にて行なわれるものであって、中立位置から前に倒すと正転、後方に倒すと逆転する。
【0044】
正転方向とは2枚の刈刃31、31のうち、左側が時計方向、右側が反時計方向に回転する組合せ(図12)、逆転方向とは左側が反時計方向、右側が時計方向に回転する刈刃の組合せ(図13)を云う。
【0045】
図10において、走行用可変油圧ポンプ9から送り出された作動油は左右一対の油圧モータ13、13に入り、機体を前進させる。
【0046】
油圧ポンプ9の吐出方向を変更すると油圧モータ13、13は反転し、機体は後進する。同図において、符号127は油圧デフロックバルブである。この油圧デフロックバルブ127のソレノイド127aがONされると左右の油圧モータ13、13に流れる作動油の量が等しくなるように調整され、左右の後輪4、4の回転数を一致させた所謂デフロック状態になる。
【0047】
図11は2連油圧ポンプ10の前側油圧ポンプ10aを正逆転切換可能な可変容量ポンプとしたものである。図10の場合と同じ構成については同一符号を付しているが、この図11の場合は油圧回路構成が簡潔になる特徴がある。
【0048】
図10、図11いずれの場合も一対の刈刃31、31を逆転方向に回転させると、刈り取った草や芝は後方には排出されず、モアデッキ28内で持ち回れることになるので、刈刃31による裁断効果が高まり、刈草や芝は細かく切り刻まれてモアデッキ28外に放出される。
【0049】
次に図14、15に示すリンク機構の変形例について構成及び作用を説明する。先に説明したリンク機構100は油圧シリンダ102と後側リンク105との間にく字型リンク109や吊持リンク120を介装してモアデッキ28を昇降自在に支持する構成であったが、ここで説明するものは、く字型リンク119を省略すると共に吊持リンク120の形状を変えてモアデッキ28を効率良く上昇させることができるようにしたものである。
【0050】
左右のフレーム8、8の間にあって左側フレーム8の内側部位に油圧シリンダ102をそのピストンロッドが前方へ向くようにして設けている。
【0051】
後側リンク105、105の前端はピン107にて回動自在に枢着され、後端はモアデッキ28の後上部に着脱自在に取付けられている。
【0052】
左右の後側リンク同士は横向きのパイプ130で連結され、このパイプ130には弧状で緩やかに彎曲する2枚の吊持リンク120、120を取付けている。その上部には同じように彎曲する長孔120a、120aを設け、この長孔120a、120a内に油圧シリンダ102のピストンロッドと一体のピン131を挿通している。このため、油圧シリンダー102のピストンロッドが伸長すると吊持リンク120を引き上げて後側リンク105を上昇させる。図14に示すように油圧シリンダ102は基端の枢支部132に対して油圧シリンダ102の前端が上方となるように傾斜姿勢に保持されており、ピストンロッドが伸長することによって吊持リンク120の下端はそのまま上昇する方向の変位に変更されることになり、効率良く作業機であるモアデッキ28を引き上げることが可能となる。
【0053】
図16は右側フェンダー93部分の側面図、図17はフェンダー93部分の平面図である。これら2図を用いて作動油タンク140や燃料タンク141等の関係について説明する。
【0054】
左右のフェンダー93、93同士は上部において平板137で接続され、その上に座席138が載せられるが、平板137の下方には燃料タンク141と作動油タンク140が設けられている。
【0055】
作動油タンク140内の作動油は走行用可変油圧ポンプ9や2連油圧ポンプ10に吸い込まれてパワーステアリング装置PS、油圧昇降装置122等を駆動し、それらの戻り油はこの作動油タンク140に回収される。
【0056】
作動油タンク140の上の台座142にPTOリリーフメタル144が取付けられ、その上に昇降バルブ123が重合状態で載置されている。
【0057】
昇降バルブ123の後方中央寄り箇所には作動油を給油する給油口145と検油棒146が設けられている。給油口145と検油棒146は図17に示すように平面視L字型燃料タンク140の角部に臨ませた状態で設けられ、それらの上部は共に平板137から突出している。座席138を前方に倒せば給油口145と検油棒146が目視できる。
【0058】
昇降バルブ123、PTOリリーフメタル144に設けたTポートは作動油タンク140に配管なしに接続され、各油圧機器の戻り油は直接この作動油タンク140に回収されるようにしている。
【0059】
【発明の効果】
請求項1の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103と左右一対の後側リンク105とで構成すると共に、後側リンク105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成したことを特徴とする乗用芝刈機としたので、リンク機構100に邪魔されることなくミッドモア14の脱着が簡単に行なえるようになった。
【0060】
請求項2の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設けたので、バルブ125を切換えるという簡単な操作でもって通常の草刈作業だけでなくマルチングモアにも利用でき、用途が大幅に拡大される。
【0061】
請求項3の発明は、走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成したことを特徴とする乗用芝刈機としたものであるから、通常の草刈作業だけでなく、マルチングモアとしても利用でき、しかも構成が簡潔なため安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用芝刈機の側面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】モアデッキ単体の平面図である。
【図4】その背面図である。
【図5】ミッドモアの平面図である。
【図6】その背面図である。
【図7】逆転ギヤケース部分の断面図である。
【図8】ミッドモアの側面図である。
【図9】リンク機構の側面図である。
【図10】油圧回路図である。
【図11】油圧回路図である。
【図12】作用説明図である。
【図13】作用説明図である。
【図14】改良したリンク機構の側面図である。
【図15】その平面図である。
【図16】燃料タンク部分を覆うフェンダーの側面図である。
【図17】その平面図である。
【符号の説明】
1 乗用芝刈機 2 走行車体
3 前輪 4 後輪
5 ボンネット 6 エンジン
8 フレーム 9 走行用可変油圧ポンプ
10 2連油圧ポンプ 13 走行用油圧モータ
14 ミッドモア 28 モアデッキ
57 油圧モータ 100 リンク機構
103 前側リンク 105 後側リンク
Claims (3)
- 走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、前記リンク機構100を左右一対の前側リンク103、103と左右一対の後側リンク105、105とで構成すると共に、左右の後側リンク105、105のうち、少なくとも一方は中折れ式に構成して後側リンク105の後部が上方へ回動すべく構成したことを特徴とする乗用芝刈機。
- 走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧ポンプ10aから前記油圧モータ57へ至る油路を正逆に切換える切換えバルブ125を設けたことを特徴とする乗用芝刈機。
- 走行車体2の腹下部にリンク機構100を介してミッドモア14を昇降自在に連結してなる乗用芝刈機1において、ミッドモア14の2枚の刈刃31、31を油圧モータ57で互いに逆向きに回転させると共に、油圧モータ57を駆動する油圧ポンプ10aを正逆切替可能な可変容量式ポンプで構成したことを特徴とする乗用芝刈機。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011160663A (ja) * | 2010-02-04 | 2011-08-25 | Yanmar Co Ltd | 自走式の乗用草刈機 |
CN112449844A (zh) * | 2020-11-29 | 2021-03-09 | 江苏盐西高新科技园投资有限公司 | 一种可调节割草高度的园林割草机 |
-
2002
- 2002-08-07 JP JP2002229475A patent/JP2004065114A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112449844A (zh) * | 2020-11-29 | 2021-03-09 | 江苏盐西高新科技园投资有限公司 | 一种可调节割草高度的园林割草机 |
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