JP2004064895A - 永久磁石の製造方法、永久磁石、モータ用部品およびモータ - Google Patents

永久磁石の製造方法、永久磁石、モータ用部品およびモータ Download PDF

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Tadashi Kanbe
神戸 正
Yoji Mitsui
三ツ井 洋二
Isato Shirai
白井 勇人
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Abstract

【課題】長期間にわたって安定した特性を発揮することができる永久磁石を提供すること、また、当該永久磁石を提供することが可能な永久磁石の製造方法を提供すること、前記永久磁石を備えたモータ用部品、モータを提供すること。
【解決手段】永久磁石1は、磁石本体11と、磁石本体11の表面に設けられためっき膜12と、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14内に充填されるように形成された封孔部13とを有する。封孔部13は、主として、高分子材料で構成されている。封孔部13は、特に、珪酸系高分子材料、ポリパラキシリレン樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂で構成されたものであるのが好ましい。封孔部13は、粘度が50cps以下の状態の封孔材料を用いた封孔処理により形成されたものである。めっき膜12の平均厚さは、5〜45μmであるのが好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石の製造方法、永久磁石、モータ用部品およびモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類金属と遷移金属とを主成分とする希土類合金磁石は、フェライト系、アルニコ系磁石と比べて優れた磁気特性を有しており、幅広い用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、希土類合金磁石は酸化されやすい欠点がある。特に、希土類合金磁石粉末を結合樹脂(バインダー)で結合させたボンド磁石は、高湿環境下で使用された場合には、酸化による磁気特性の劣化が問題となる。
そこで、耐酸化性の向上のため、ボンド磁石の表面に、電気めっき等により金属膜を形成することが行われている。
【0004】
しかしながら、このような金属膜を形成した場合であっても、十分な耐酸化性を得ることができないという問題点を有していた。
【0005】
また、焼結磁石等のボンド磁石以外の磁石においても、耐食性の向上、機械的強度の向上等を目的として、磁石の表面に、上記のような金属膜を形成する試みがあるが、このような磁石においても、目的を十分に達成することができないでいた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長期間にわたって安定した特性を発揮することができる永久磁石を提供すること、また、当該永久磁石を提供することが可能な永久磁石の製造方法を提供すること、前記永久磁石を備えたモータ用部品、モータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(58)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 磁石本体の表面に、めっき法により、主として金属材料で構成されためっき膜を形成する工程と、
前記めっき膜の表面付近に存在する空孔に対して封孔処理を施す工程とを有することを特徴とする永久磁石の製造方法。
【0009】
(2) 前記空孔内に、封孔材料を充填することにより行う上記(1)に記載の永久磁石の製造方法。
【0010】
(3) 前記封孔材料は、主として高分子材料および/またはその前駆物質で構成されたものである上記(2)に記載の永久磁石の製造方法。
【0011】
(4) 前記封孔処理時における前記封孔材料の粘度は、50cps以下である上記(2)または(3)に記載の永久磁石の製造方法。
【0012】
(5) 前記空孔内に前記封孔材料を充填した後、当該封孔材料を100℃以下の温度で硬化させる上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0013】
(6) 前記封孔処理は、含浸封孔処理である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0014】
(7) 前記封孔処理を、乾式めっき法により行う上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0015】
(8) 前記封孔処理により、前記空孔内に、主として無機高分子材料で構成された封孔部を形成する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0016】
(9) 前記無機高分子材料は、珪酸系高分子材料である上記(8)に記載の永久磁石の製造方法。
【0017】
(10) 前記封孔処理により、前記空孔内に、主として有機高分子材料で構成された封孔部を形成する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0018】
(11) 前記有機高分子材料は、ポリパラキシリレン樹脂である上記(10)に記載の永久磁石の製造方法。
【0019】
(12) 前記有機高分子材料は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上を含むものである上記(10)または(11)に記載の永久磁石の製造方法。
【0020】
(13) 前記封孔処理を減圧雰囲気下で行う上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0021】
(14) 前記封孔処理を加圧雰囲気下で行う上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0022】
(15) 前記めっき膜を電解めっきにより形成する上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0023】
(16) 前記めっき膜は、主として、Niで構成されたものである上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0024】
(17) 前記めっき膜の平均厚さは、5〜45μmである上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0025】
(18) 前記磁石本体の外周側に形成された前記めっき膜の厚さをDo[μm]、前記磁石本体の内周側に形成された前記めっき膜の厚さをDi[μm]としたとき、0.2<Di/Do<1.0の関係を満足する上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0026】
(19) 前記めっき膜は、複数の層の積層体である上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0027】
(20) 前記めっき膜は、乾式めっき法により形成された乾式めっき層と、前記乾式めっき層の表面側に、湿式めっき法により形成された湿式めっき層とを有する積層体である上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0028】
(21) 前記乾式めっき層をイオンプレーティング法により形成する上記(20)に記載の永久磁石の製造方法。
【0029】
(22) 前記乾式めっき層は、電気伝導度が2[m・Ω−1・mm−2]以上の材料で構成されたものである上記(20)または(21)に記載の永久磁石の製造方法。
【0030】
(23) 前記乾式めっき層は、Cu、Al、Pd、Au、Ag、Pb、Sn、Ni、Fe、Co、In、V、Cr、Be、Zn、Ti、Mnから選択される1種または2種以上を含むものである上記(20)ないし(22)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0031】
(24) 前記乾式めっき層の平均厚さは、0.1〜2.5μmである上記(20)ないし(23)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0032】
(25) 前記湿式めっき層を電解めっきにより形成する上記(20)ないし(24)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0033】
(26) 前記湿式めっき層は、主として、Niで構成されたものである上記(20)ないし(25)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0034】
(27) 前記湿式めっき層の平均厚さは、1.5〜45μmである上記(20)ないし(26)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0035】
(28) 前記乾式めっき層の平均厚さをD[μm]、前記湿式めっき層の平均厚さをD[μm]としたとき、0.002<D/D<1.667の関係を満足する上記(20)ないし(27)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0036】
(29) 前記磁石本体は、略円筒状をなすものである上記(1)ないし(28)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0037】
(30) 前記磁石本体の空孔率は、7.0vol%以下である上記(1)ないし(29)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0038】
(31) 前記磁石本体は、磁石粉末を結合樹脂で結合してなるボンド磁石である上記(1)ないし(30)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0039】
(32) 前記磁石粉末は、希土類元素と、遷移金属と、ボロンとを含む組成のものである上記(31)に記載の永久磁石の製造方法。
【0040】
(33) 前記ボンド磁石における前記磁石粉末の含有率は、94〜99wt%である上記(31)または(32)に記載の永久磁石の製造方法。
【0041】
(34) 前記磁石本体は、面取りされたものである上記(1)ないし(33)のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
【0042】
(35) 磁石本体と、前記磁石本体の表面に設けられためっき膜と
前記めっき膜の表面付近に存在する空孔内に充填されるように形成された封孔部とを有することを特徴とする永久磁石。
【0043】
(36) 前記封孔部は、主として無機高分子材料で構成されたものである上記(35)に記載の永久磁石。
【0044】
(37) 前記無機高分子材料は、珪酸系高分子材料である上記(36)に記載の永久磁石。
【0045】
(38) 前記封孔部は、主として有機高分子材料で構成されたものである上記(35)に記載の永久磁石。
【0046】
(39) 前記有機高分子材料は、ポリパラキシリレン樹脂である上記(38)に記載の永久磁石。
【0047】
(40) 前記有機高分子材料は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上を含むものである上記(38)または(39)に記載の永久磁石。
【0048】
(41) 前記めっき膜は、主として、Niで構成されたものである上記(35)ないし(40)のいずれかに記載の永久磁石。
【0049】
(42) 前記めっき膜の平均厚さは、5〜45μmである上記(35)ないし(41)のいずれかに記載の永久磁石。
【0050】
(43) 前記磁石本体の外周側に設けられた前記めっき膜の厚さをDo[μm]、前記磁石本体の内周側に設けられた前記めっき膜の厚さをDi[μm]としたとき、0.2<Di/Do<1.0の関係を満足する上記(35)ないし(42)のいずれかに記載の永久磁石。
【0051】
(44) 前記めっき膜は、複数の層の積層体である上記(35)ないし(43)のいずれかに記載の永久磁石。
【0052】
(45) 前記磁石本体は、略円筒状をなすものである上記(35)ないし(44)のいずれかに記載の永久磁石。
【0053】
(46) 前記磁石本体の空孔率は、7.0vol%以下である上記(35)ないし(45)のいずれかに記載の永久磁石。
【0054】
(47) 前記磁石本体は、磁石粉末を結合樹脂で結合してなるボンド磁石である上記(35)ないし(46)のいずれかに記載の永久磁石。
【0055】
(48) 前記磁石粉末は、希土類元素と、遷移金属と、ボロンとを含む組成のものである上記(47)に記載の永久磁石。
【0056】
(49) 前記ボンド磁石における前記磁石粉末の含有率は、94〜99wt%である上記(47)または(48)に記載の永久磁石。
【0057】
(50) 前記磁石本体は、面取りされたものである上記(35)ないし(49)のいずれかに記載の永久磁石。
【0058】
(51) 上記(1)ないし(34)のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする永久磁石。
【0059】
(52) 上記(35)ないし(51)のいずれかに記載の永久磁石と、前記永久磁石を支持する支持部材とを有することを特徴とするモータ用部品。
【0060】
(53) 前記永久磁石は、熱カシメまたは圧入により、前記支持部材に固定されている上記(52)に記載のモータ用部品。
【0061】
(54) モータ用部品は、ロータである上記(52)または(53)に記載のモータ用部品。
【0062】
(55) 上記(35)ないし(51)のいずれかに記載の永久磁石を備えたことを特徴とするモータ。
【0063】
(56) 上記(52)ないし(54)のいずれかに記載のモータ用部品を備えたことを特徴とするモータ。
【0064】
(57) 最大回転数が4000rpm以上の領域で用いられる上記(55)または(56)に記載のモータ。
【0065】
(58) ハードディスクドライブに用いられる上記(55)ないし(57)のいずれかに記載のモータ。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の永久磁石の製造方法、永久磁石、モータ用部品、およびモータの好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0067】
図1は、本発明の永久磁石の第1実施形態を示す拡大断面図、図2は、図1に示す永久磁石の断面斜視図である。なお、図2(後述する図3、図5、図6についても同様)においては、封孔部13、空孔14を省略して示した。
【0068】
本発明の永久磁石1は、磁石本体11と、磁石本体11に形成されためっき膜12と、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14内に充填するように形成された封孔部13とを有する。
【0069】
磁石本体11の形状は特に限定されるものではない。なお、図2では、例として、後に詳述するモータに用いる場合に好適な略円筒形状のものを挙げている。
【0070】
磁石本体11は、多極着磁されている。
磁石本体11としては、例えば、鋳造磁石、焼結磁石、ボンド磁石のほか、圧延、鍛造、熱間押出等の方法により得られる磁石等いかなるものを用いてもよい。
【0071】
この中でも、例えば、永久磁石1を後述するようなモータに用いる場合には、成形性に優れるボンド磁石が好ましい。これにより、優れた磁気特性を安定して得ることができる。
【0072】
ボンド磁石は、主として、磁石粉末と、結合樹脂(バインダー)とで構成される。
【0073】
ボンド磁石を構成する磁石粉末としては、例えば、希土類元素と遷移金属とを基本成分とする希土類磁石粉末が好適に使用される。
【0074】
希土類磁石粉末(以下単に、「磁石粉末」とも言う)としては、希土類元素と遷移金属と、ボロンとを含む合金よりなるものが好ましい。
【0075】
特に、R(ただし、Rは、Yを含む希土類元素のうちの少なくとも1種)と、Feを主とする遷移金属(TM)と、Bとを基本成分とするもの(以下、R−TM−B系合金と言う)を用いるのが好ましい。
【0076】
R−TM−B系合金の代表的なものとしては、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、Nd−Pr−Fe−B系合金、Nd−Dy−Fe−B系合金、Ce−Nd−Fe−B系合金、Ce−Pr−Nd−Fe−B系合金、これらにおけるFeの一部をCo、Ni等の他の遷移金属で置換したもの等が挙げられる。
【0077】
前記希土類元素としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルが挙げられ、これらを1種または2種以上含むことができる。また、前記遷移金属としては、Fe、Co、Ni等が挙げられ、これらを1種または2種以上含むことができる。
【0078】
このようなR−TM−B系合金のうち少なくとも2種を混合して用いてもよい。これにより、混合する各磁石粉末の利点を併有することができ、所望する磁気特性を容易に得ることができる。
【0079】
また、前記R−TM−B系合金のうち、少なくとも1種とフェライト粉末(例えば、BaO・6Fe等のBa−フェライト、SrO・6Fe等のSr−フェライトや、これらの一部を他の遷移金属、希土類元素で置換したもの等)を混合して用いてもよい。これにより、混合する各磁石粉末の利点を併有することができ、所望する磁気特性を容易に得ることができる。
【0080】
また、保磁力、最大磁気エネルギー積等の磁気特性を向上させるため、あるいは、耐熱性、耐食性を向上させるために、磁石材料中には、必要に応じ、Al、Cu、Ga、Si、Ti、V、Ta、Zr、Nb、Mo、Hf、Ag、Zn、P、Ge、Cr、W等を含有することもできる。
また、磁石本体11における前記磁石粉末の含有率は、94〜99wt%であるのが好ましく、95〜99.0wt%であるのがより好ましい。磁石粉末の含有率が前記下限値未満であると、永久磁石1の用途等によっては、十分な磁気特性が得られない可能性がある。一方、磁石粉末の含有率が前記上限値を超えると、磁石本体11の成形性が低下するとともに、磁石本体11中の空孔率が急激に高くなる傾向を示し、後述するようなめっき膜12、封孔部13を形成しても、本発明の効果を十分に発揮するのが困難になる可能性がある。
【0081】
結合樹脂(バインダー)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0082】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66、9Tナイロン)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリアクリル等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0083】
このような熱可塑性樹脂は、その種類、共重合化等により、例えば成形性を重視したものや、耐熱性、機械的強度を重視したものというように、広範囲の選択が可能となるという利点がある。
【0084】
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノール型、ノボラック型、ナフタレン系等の各種エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0085】
なお、使用される熱硬化性樹脂(未硬化)は、室温で液状のものでも、固形(粉末状)のものでもよい。
【0086】
さらに、磁石本体11の構成材料中に、滑材、酸化防止材等の添加材を微量添加してもよい。
【0087】
ボンド磁石の成形方法は、プレス成形、射出成形、押し出し成形等、特に限定されない。
【0088】
プレス成形の場合には、例えば、成形圧力:2〜16トン/cm、焼成温度:100〜200℃で加熱硬化するのが好ましい。
【0089】
射出成形の場合には、例えば、成形温度:200〜280℃、成形型閉め圧力:0.1〜3トン/cmで成形するのが好ましい。
【0090】
押し出し成形の場合には、例えば、成形温度:150〜250℃、成形温度:2〜10mm/secで成形するのが好ましい。
【0091】
このようにして各種成形法により成形された磁石本体11は、必要に応じて所望の寸法・形状に2次加工される。
【0092】
磁石本体11の磁気特性は、特に限定されないが、磁気エネルギー積(BH)maxが32kJ/m以上のものが好ましく、48kJ/m以上のものがより好ましく、64kJ/m以上のものがさらに好ましい。
【0093】
また、磁石本体11の空孔率は、7.0vol%以下であるのが好ましく、5.0vol%以下であるのがより好ましい。空孔率が前記上限値を超えると、後述するようなめっき膜12、封孔部13を形成しても、本発明の効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0094】
また、磁石本体11は、その端部の角(少なくとも先端部の外周側の角)に面取りを施したものであってもよい。これにより、永久磁石1は、カケ等の欠陥を、さらに生じにくいものとなる。また、例えば、本発明の永久磁石1をモータに用いる場合、永久磁石1とヨーク(支持部材)との接合を圧入により行う際に、その操作を容易に行うことが可能になる。また、圧入の操作を行う際に、永久磁石1の表面に、傷が付くのをより効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下が防止され、結果として、モータの長期安定性が向上する。
【0095】
本発明の永久磁石1は、磁石本体11の表面に、めっき法により形成された、めっき膜12を有している。
【0096】
めっき膜12は、主として金属材料で構成されたものである。
めっき膜12を構成する材料としては、例えば、Cu、Al、Pd、Au、Ag、Pb、Sn、Ni、Fe、Co、In、V、Cr、Zn、Ti、Mn、Pt、Rh、等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を含む無機材料を用いることができる。この中でも、めっき膜12を構成する金属材料としては、Niを主とするものが好ましい。これにより、永久磁石1の耐食性、機械的強度は、特に優れたものとなる。また、永久磁石1を後述するようなモータに用いた場合には、永久磁石とヨーク(支持部材)との密着性(接合強度)は、特に優れたものとなる。
【0097】
めっき膜12の平均厚さは、めっき膜12の組成や形成方法等により異なるが、5〜45μmであるのが好ましく、10〜45μmであるのがより好ましい。めっき膜12の平均厚さが前記下限値未満であると、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14が多くなり、後述する封孔部13を形成しても、封孔部13の形成条件等によっては、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。一方、めっき膜12の平均厚さが前記上限値を超えると、各部位における厚さのばらつきが大きくなり、永久磁石1の寸法精度が低下する傾向を示す。
【0098】
また、めっき膜12は、各部位での厚さのばらつきが小さいものであるのが好ましい。これにより、永久磁石1は、安定した耐食性、機械的強度を有するものとなる。また、永久磁石1を後述するようなモータに用いた場合、めっき膜12の厚さのばらつきが小さいことにより、永久磁石1全体としての寸法精度が向上し、寸法公差を小さくすることができる。その結果、このような永久磁石1を備えたモータは、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)を発生しにくいものとなる。例えば、略円筒形状を有する磁石本体11においては、外周側に形成されためっき膜12の厚さをDo[μm]、磁石本体11の内周側に形成されためっき膜12の厚さをDo[μm]としたとき、0.2<Di/Do<1.0の関係を満足するのが好ましく、0.5<Di/Do<1.0の関係を満足するのがより好ましい。
【0099】
また、永久磁石1を、後述するようなモータに用いる場合には、特に、以下のような条件を満足するのが好ましい。
【0100】
[1]めっき膜12は、ビッカース硬度Hvが150以上であるのが好ましく、200以上であるのがより好ましい。めっき膜12のビッカース硬度Hvが150以上であると、永久磁石1の機械的強度は、特に優れたものとなる。また、めっき膜12のビッカース硬度Hvが150以上であると、例えば、本発明の永久磁石1を後述するようなモータに用いた場合に、永久磁石1と支持部材(ヨーク)との接合を圧入により行う際、その工程において、永久磁石1の表面に、傷が付くのをより効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下がより効果的に防止され、結果として、本発明の永久磁石1を用いたモータの長期安定性が向上する。
【0101】
[2]めっき膜12は、適度な潤滑性を有するものであるのが好ましい。これにより、例えば、永久磁石1をモータに用いた場合に、永久磁石1とヨークとの接合を圧入により行う際、その操作を容易に行うことができる。また、圧入時に、永久磁石1の表面に、傷が付くのをより効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下が防止され、結果として、本発明の永久磁石1を用いたモータの長期安定性が向上する。潤滑性を示す指標としては、例えば、JIS R 1613に準じて測定されるボールオンディスク法での摩擦係数μ等が挙げられる。ボールオンディスク法により測定されるめっき膜12の摩擦係数μは、0.1〜0.7程度であるのが好ましく、0.2〜0.6程度であるのがより好ましい。めっき膜12の摩擦係数μが前記下限値未満であると、例えば、永久磁石1をモータに用いた場合に、永久磁石1とヨークとの密着性(接合強度)が低下する可能性がある。一方、めっき膜12の摩擦係数μが前記上限値を超えると、例えば、永久磁石1をモータに用いた場合に、圧入により、永久磁石1を支持部材(ヨーク)に、支持固定させるのが困難となる。
【0102】
[3]永久磁石1において、磁石本体11の室温付近での熱膨張率(線膨張率)をα[×10−6−1]、めっき膜12の構成材料の室温付近での熱膨張率(線膨張率)をα[×10−6−1]としたとき、|α−α|は、15[×10−6−1]以下であるのが好ましく、10[×10−6−1]以下であるのがより好ましい。|α−α|が15[×10−6−1]以下であると、例えば、永久磁石1を後述するようなモータに用いた場合に、ロータ、モータの製造時や使用時等における、永久磁石1の温度の変化量が比較的大きい場合であっても、めっき膜12が磁石本体11から剥離するのをより効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下や、ロータの重心のアンバランス量(回転アンバランス量)の増大が防止され、結果として、モータの長期安定性が向上する。
【0103】
めっき膜12は、上述したように、めっき法により形成されたものである。めっき法としては、例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、イオンプレーティング等の乾式めっき法等が挙げられる。この中でも、めっき膜12を形成するためのめっき法としては、電解めっきが好ましい。電解めっきを用いることにより、比較的簡易な装置で、磁石本体11との密着性(接合強度)に優れ、かつ、均質なめっき膜12を容易に形成することができる。
【0104】
また、電解めっきでは、めっき液の組成等を調節することにより、形成されるめっき膜(金属めっき層)12の組成を容易に調節することができる。その結果、例えば、めっき膜12の物性(例えば、機械的強度、硬度、摩擦係数、熱膨張率、耐食性等)や、めっき膜12の、磁石本体11に対する親和性等を容易に調節することができる。
【0105】
また、電解めっきでは、電流密度等のめっき条件を調節することにより、めっき膜12の膜厚、密度等を容易に調節することができる。その結果、めっき膜12の物性(例えば、機械的強度、硬度、摩擦係数、耐食性等)を容易に調整することができる。
【0106】
電解めっきは、例えば、以下のような条件で行うのが好ましい。
電解めっき時における浴温は、特に限定されないが、20〜70℃であるのが好ましく、40〜65℃であるのがより好ましい。浴温が、前記下限値未満であると、めっき速度の低下、光沢ムラ、異常析出が発生しやすい。一方、浴温が、前記上限値を超えると、異常析出、光沢剤の分解が発生しやすい。
【0107】
また、電解めっき時における電流密度は、特に限定されないが、0.1〜8.0A/dmであるのが好ましく、0.5〜6.0A/dmであるのがより好ましい。電流密度が前記範囲内の値であると、磁石本体11との密着性に優れ、かつ、均質で緻密なめっき膜12を、効率良く形成することができる。
【0108】
また、めっき膜12の形成に先立ち、磁石本体11の表面に対して、前処理を施してもよい。前処理としては、例えば、ブラスト処理、アルカリ洗浄(アルカリ脱脂処理)、酸洗浄、水洗(純水洗浄を含む)、有機溶剤洗浄、超音波洗浄、ボンバード処理等の清浄化処理、エッチング等が挙げられる。このような前処理を施すことにより、例えば、磁石本体11とめっき膜12との密着性が向上し、結果として、永久磁石1の信頼性が向上する。
【0109】
なお、めっき膜12の各部位における組成は、一定であっても、一定でなくてもよい。例えば、めっき膜12は、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。
【0110】
また、めっき膜12は、例えば、形成方法、形成条件、組成の異なる複数の層の積層体であっても良い。めっき膜12をこのような積層体として形成することにより、磁石本体11とめっき膜12との密着性を向上させることができ、結果として、永久磁石1の耐食性、機械的強度をさらに優れたものにすることができる。
【0111】
このようにして形成されためっき膜12は、通常、微小な空孔14を有している。このような空孔14(少なくともめっき膜12の表面付近に存在する空孔14)に対して封孔処理を施すことにより、本発明の永久磁石1が得られる。
【0112】
このように、本発明は、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14に、封孔処理を施す点に特徴を有する。
【0113】
ところで、永久磁石の耐食性を向上させる目的で、磁石本体(特にボンド磁石)に対してめっき膜を形成する試みは、従来から行われてきた。しかしながら、磁石本体の表面にめっき膜を形成するだけでは、耐食性を十分に向上させるのが困難であった。また、磁石本体に封孔処理を施したり、封孔処理を施した磁石本体にめっき膜を形成した場合についても、前記と同様に、耐食性を十分に向上させるのが困難であった。
【0114】
これに対し、本発明では、磁石本体の表面に設けられためっき膜に対して封孔処理を施すことにより、十分な耐食性を有する永久磁石を得ることができる。
【0115】
これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、磁石本体は、一般に、比較的高い空孔率を有している。したがって、磁石本体に対してめっき膜を形成してなる永久磁石では、めっき膜の膜厚が比較的厚いものであっても、磁石本体を外界から十分効果的に遮断するのは困難である。また、めっき膜は、その成膜条件を制御した場合であっても、めっき膜中における空孔率を所定値以下にするのは極めて困難である。したがって、磁石本体に対してめっき膜を形成してなる永久磁石では、めっき膜の表面付近に存在する空孔の内部に腐食性物質等が滞留しやすく、耐食性を向上させるのは困難である。また、このような永久磁石では、めっき膜の膜厚が比較的厚い場合であっても、めっき膜の機能低下を生じやすく、また、磁石本体とめっき膜との密着性低下を生じやすい。したがって、このような永久磁石では長期安定性に劣る。
また、磁石本体に対して封孔処理を行った場合についても同様である。特に、比較的高い空孔率を有する磁石本体に対して、このような封孔処理を行う場合、前述したようなめっき膜と比較しても、耐食性向上の効果は、低いものとなる。また、磁石本体に対して封孔処理を施した後、さらに、めっき膜を形成しても、十分な効果が得られない。これは、上述したように、めっき膜中における空孔率を所定値以下にするのが困難であることによるものであると考えられる。
これに対し、本発明では、磁石本体11の表面に形成されためっき膜12に対して封孔処理を行うため、磁石本体11を外界からより効果的に遮断することができる。その結果、磁石本体11は、腐食等を生じにくいものとなり、永久磁石1全体としての長期安定性が向上する。
【0116】
また、このような封孔処理を施すことにより、永久磁石1の機械的強度も優れたものとなる。
【0117】
また、めっき膜12に対して封孔処理を施すことにより、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14の少なくとも一部が消滅するため(封孔されるため)、永久磁石1の表面に、腐食性物質が付着しにくくなり(滞留しにくくなり)、めっき膜12の安定性も向上する。
【0118】
封孔処理は、いかなる方法によるものであってもよいが、空孔14内に封孔材料を充填し、封孔部13を形成することにより行うものであるのが好ましい。封孔材料を用いることにより、前述した封孔処理の効果をより確実に発揮することができる。
【0119】
空孔14内に充填する封孔材料は、特に限定されないが、例えば、主として高分子材料および/またはその前駆物質(当該ポリマーのモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー等)を好適に用いることができる。封孔材料としてこのような材料を用いることにより、形成される封孔部13は、安定性に優れたものとなり、封孔処理による効果を、より長期間にわたって確実に発揮することができる。
【0120】
空孔14内に充填された封孔材料は、100℃以下の温度で硬化するものであるのが好ましい。これにより、磁石本体11が比較的耐熱性に劣るものであっても、磁気特性の低下を十分に防止しつつ、封孔部13を形成することができる。
【0121】
封孔材料を充填することにより形成される封孔部13は、主として高分子材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、形成される封孔部13は、安定性に優れたものとなり、封孔処理による効果を、より長期間にわたって確実に発揮することが可能となる。
【0122】
封孔部13を構成する高分子材料としては、例えば、無機高分子材料、有機高分子材料の他、これらの複合体等が挙げられる。
【0123】
封孔部13が、主として無機高分子材料で構成されたものであると、封孔部13の耐熱性が向上し、例えば、永久磁石1が高温条件下等で用いられるものであっても、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。
【0124】
無機高分子材料としては、例えば、珪酸系高分子材料、ケイ酸リン酸複合ポリマー(例えば、SiO−P−NaO−LiO系複合ポリマ−等)等が挙げられる。
【0125】
また、封孔部13が、主として有機高分子材料で構成されたものであると、例えば、比較的低温度(例えば、100℃以下70℃水準)の湯浸漬で、当該有機高分子材料を硬化させる工程と同時に、めっき膜の表面を洗浄する(余剰の有機高分子材料を除去する)ことができる。
【0126】
有機高分子材料としては、例えば、ポリパラキシリレン樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の各種樹脂材料や、これらのモノマー、ダイマー、オリゴマー、プレポリマー等の前駆体(例えば、メタクリレートエステルモノマー等)などが挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0127】
この中でも、ポリパラキシリレン樹脂は、撥水性および潤滑性が特に優れているため、永久磁石1の表面に腐食性物質等が付着するのを効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の耐食性は、特に優れたものとなる。
【0128】
また、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いた場合、封孔効果、封孔効率をさらに高めることができる。
【0129】
このような封孔処理は、例えば、含浸封孔処理、乾式めっき法等により行うことができる。
【0130】
封孔処理を含浸封孔処理により行う場合、特に微細な孔(例えば、その孔径が10μm以下の、いわゆるメクラ孔)に対しても、より確実に封孔処理を施すことが可能となる。
【0131】
封孔処理を乾式めっき法により行う場合、ピンホ−ル孔径が8μm以上の孔に対する封孔効率が特に優れたものとなる。
【0132】
また、封孔処理時における封孔材料の粘度は、特に限定されないが、50cps以下であるのが好ましく、20cps以下であるのがより好ましい。封孔材料の粘度が50cpsを超えると、封孔材料がめっき膜12の空孔14内に侵入しにくくなり、めっき膜12の表面の濡れ性等によっては、本発明の効果が十分に得られない。
【0133】
また、このような封孔処理は、大気圧下で行うものであってもよいし、減圧雰囲気下、加圧雰囲気下で行うものであってもよい。
封孔処理を減圧雰囲気下で行った場合、空孔14内に存在する空気等を効果的に排除することができる。このため、空孔14内に、封孔材料を効率良く充填することが可能となり、永久磁石1は、表面付近における空孔率が特に低いものとなる。その結果、永久磁石1の耐食性、機械的強度は、さらに優れたものとなる。
【0134】
封孔処理を加圧雰囲気下で行った場合、封孔材料は、外圧により強制的に空孔14内に充填されることになる。その結果、永久磁石1は、表面付近における空孔率が特に低いものとなり、耐食性、機械的強度がさらに向上する。
【0135】
また、封孔処理時においては、雰囲気圧力を、経時的に変化させてもよい。例えば、めっき膜12が形成された磁石本体11をチャンバー内に入れた後、チャンバー内を減圧し、さらに、流動性を有する封孔材料中に、前記磁石本体11を浸漬させた後、チャンバー内を大気圧以上の圧力に高めても良い。これにより、封孔処理の効果をさらに高めることができる。
【0136】
また、前述したような封孔処理は、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14の少なくとも一部を封孔するものであればよいが、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14の大部分を封孔するものであるのが好ましい。これにより、前述した封孔処理による効果は特に優れたものとなる。また、例えば、封孔部13と同様の材料で構成された層が、めっき膜12の表面に形成されていてもよい。
【0137】
なお、封孔処理は、上述したように封孔材料を空孔14内に充填する方法に限定されない。例えば、めっき膜12が形成された磁石本体11を熱水等で処理(例えば、浸漬処理)することにより、空孔14内に不動態を形成するような方法であってもよい。
【0138】
前述したように、本発明の永久磁石は、磁石本体の表面に形成されためっき膜に、封孔処理が施されたものであればいかなるものであってもよく、例えば、磁石本体に対して封孔処理を施した後、上述したようなめっき膜を形成し、当該めっき膜に封孔処理を施したものであってもよい。
【0139】
本発明の永久磁石1の用途は、特に限定されないが、例えば、モータに搭載されて用いられるものであるのが好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
【0140】
また、本発明の永久磁石は、前述したように、優れた機械的強度を有している。このため、本発明の永久磁石は、比較的大きな外力が加わるものや、継続的に外力を加えた状態で用いるものに、特に好適に適用できる。したがって、本発明の永久磁石は、例えば、後述するようなモータ、すなわち、永久磁石が、熱カシメまたは圧入により、支持部材(ヨーク)に固定されたモータに好適に適用することができる。
【0141】
次に、本発明の第2実施形態の永久磁石および永久磁石の製造方法について説明する。以下、本実施形態の永久磁石および永久磁石の製造方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0142】
図3は、本発明の永久磁石の第2実施形態を示す断面斜視図である。
図3に示すように、本実施形態の永久磁石1では、めっき膜12が乾式めっき層121と湿式めっき層122との積層体で構成されている。このように、めっき膜12は、例えば、形成方法、形成条件、組成の異なる複数の層の積層体であっても良い。めっき膜12をこのような積層体として形成することにより、磁石本体11とめっき膜12との密着性を向上させることができ、結果として、永久磁石1の耐食性、機械的強度をさらに優れたものにすることができる。
乾式めっき層121は、乾式めっき法により形成されたものである。
【0143】
磁石本体11の表面に乾式めっき層121を形成することで、後述する湿式めっき層122を湿式めっき法により形成する際に、磁石本体11の表面における導電性のばらつきを十分に小さくすることができる。これによりピンホール等の欠陥の発生を効果的に防止しつつ、湿式めっき層122を均一かつ緻密に形成することができる。その結果、永久磁石1は、めっき膜12の剥離がきわめて生じにくいものとなり、特に優れた耐錆性を有し、機械的強度を有するものとなる。
【0144】
また、乾式めっき層121を形成することにより、以下のような効果が得られる。
すなわち、磁石本体の形状が略円筒形状のような複雑な形状を有するものである場合、磁石本体の表面に、直接、湿式めっき法によりめっき膜を形成した場合、各部位でのめっき膜の厚さのばらつきは、大きくなりやすい。例えば、磁石本体が略円筒形状を有する場合、磁石本体の内周側は、陰影部となり、外周側に比べて電流密度が低くなりやすい。その結果、外周側のめっき膜の厚さに比べて、内周側のめっき膜の厚さが小さくなりやすかった。これに対し、本実施形態では、湿式めっきを施すのに先立ち、磁石本体11の表面に乾式めっき層121を形成することで、湿式めっきの際の外周側と内周側とで表面電流密度のばらつきを特に小さいものとすることができる。これにより、より均一な膜厚の(外周側と内周側とで厚みのばらつきが極めて小さい)湿式めっき層122を形成することができる。その結果、めっき膜12全体としての膜厚のばらつきも極めて小さいものとなる。また、これにより、各部位でのめっき膜12の膜質が安定し、永久磁石1全体としての耐食性は、さらに向上する。
【0145】
乾式めっき層121は、電気伝導度が2[m・Ω−1・mm−2]以上の導電物質から構成されるのが好ましい。これにより、磁石本体11の表面に十分な導電性を付与することができる。
【0146】
上記のような電気伝導率を有する材料の中でも、乾式めっき層121の構成材料としては、特に、Cu、Al、Pd、Au、Ag、Pb、Sn、Ni、Fe、Co、In、V、Cr、Be、Zn、Ti、Mnから選択される1種または2種以上を含むものが好ましい。
【0147】
電気伝導度が2[m・Ω−1・mm−2]以上の物質として具体的には、マグネシウム合金、アルミ合金、チタン合金、青銅、黄銅、モネル、洋白、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0148】
上述したように、乾式めっき層121は、乾式めっき法により形成されたものである。乾式めっき法としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、イオンプレーティング等が挙げられるが、この中でも特に、イオンプレーティング法が好ましい。乾式めっき法として、イオンプレーティング法を用いることにより、より緻密で、磁石本体11との密着性が特に優れた乾式めっき層121を、均一な膜厚で形成することができる。
【0149】
イオンプレーティング法により乾式めっき層121を形成する際に用いるイオンプレーティング装置の一例を図4に示す。図4に示すイオンプレーティング装置は、高周波励起方式によるものである。
【0150】
このイオンプレーティング装置2は、イオンプレーティング槽を構成する真空容器21と、真空ポンプ22と、ガス導入ニードル弁23と、抵抗加熱部24と、DCソース25と、高周波発生コイル26と、搭載基盤27とを有する。
【0151】
真空ポンプ22は、真空容器21内を所定の真空度まで排気する。
イオンプレーティングの際、真空容器21内部は、通常、真空度100〜1000Pa程度まで減圧される。
【0152】
ガス導入ニードル弁23からは、イオン化導入ガスが導入される。
イオン化導入ガスとしては、Ar、H、N、He、O、Ne等のガスが挙げられる。これらのガスは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0153】
抵抗加熱部24には蒸発源28であるイオンめっき物質が配置され、抵抗加熱により溶融される。加熱温度は蒸発源28の組成等に応じて設定される。蒸発源28の融点をTm[℃]としたとき、加熱温度は、通常、Tm〜(Tm+100)℃であるのが好ましい。
【0154】
搭載基盤27は、抵抗加熱部24と対向して配されており、この搭載基盤27上に、被めっき部材である磁石本体11が配置される。
【0155】
また、抵抗加熱部24と搭載基盤27との間には高周波発生コイル26が配されている。高周波励起には、通常、周波数10MHz以下の周波数帯が利用される。
【0156】
そして、DCソース25により、陰極部(搭載基盤27)および対極間にはDC0.1〜10kV直流電圧が印加される。蒸発源28から蒸発した材料は、高周波励起によってイオン化され、搭載基盤27上の被めっき部材である磁石本体11の表面に堆積する。
【0157】
以上のようにして、磁石本体11の表面に乾式めっき層121が形成される。なお、上記のような乾式めっきを行う際には、例えば、被めっき部材である磁石本体11を、回転させてもよい。これにより、形成される乾式めっき層121の厚さのばらつきを、さらに小さくすることができる。
【0158】
乾式めっき層121の平均厚さは、0.1〜2.5μmであるのが好ましく、0.2〜2.0μmであるのがより好ましい。乾式めっき層121の平均厚さが前記下限値未満であると、磁石本体11の空孔率等によっては、乾式めっき層121が島状に形成され、乾式めっき層121を形成することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、乾式めっき層121の平均厚さが前記上限値を超えると、磁石本体11と乾式めっき層121との密着性が低下したり、ピンホールが発生し易くなる。また、乾式めっき層121の平均厚さが前記上限値を超えると、永久磁石製造のコスト高等の課題が発現し易くなる。
【0159】
また、乾式めっき層121の平均厚さをD[μm]とし、後述する湿式めっき層122の平均厚さをD[μm]としたとき、0.002<D/D<1.667の関係を満足するのが好ましく、0.004<D/D<1.333の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、めっき膜の表面付近におけるピンホールの発生をより効果的に抑制することができる。その結果、最終的に得られる永久磁石は、耐食性等が特に優れたものとなる。
【0160】
また、乾式めっき層121の形成に先立ち、磁石本体11の表面に対して、前処理を施してもよい。前処理としては、例えば、ブラスト処理、アルカリ洗浄(アルカリ脱脂処理)、酸洗浄、水洗(純水洗浄を含む)、有機溶剤洗浄、超音波洗浄、ボンバード処理等の清浄化処理、エッチング等が挙げられる。このような前処理を施すことにより、例えば、磁石本体11と乾式めっき層121との密着性をさらに優れたものにすることができる。
【0161】
そして、本実施形態の永久磁石1では、乾式めっき層121上に、湿式めっき層122を有している。湿式めっき層122は、湿式めっき法により形成されたものである。
【0162】
上述したように、本実施形態では、湿式めっき層122の形成に先立ち、磁石本体11の表面に乾式めっき層121を形成する。これにより、湿式めっき層122を形成する各部位での導電性のばらつきを十分に小さくすることができる。その結果、本工程で形成される湿式めっき層122は、各部位での膜質(例えば、膜厚、密度等)が十分に均一で、緻密なものとなる。したがって、得られる永久磁石1は、特に優れた耐食性、機械的強度を有するものとなる。
【0163】
湿式めっき層122は、主として金属材料で構成されたものである。このような湿式めっき層122が設けられることにより、永久磁石1の機械的強度は、特に優れたものとなる。このため、永久磁石1には、比較的大きな外力が加わる用途にも好適に適用できる。例えば、本実施形態の永久磁石1を後述するようなモータに用いる場合に、熱カシメまたは圧入で、支持部材(ヨーク)に支持固定することが可能になる。これにより、永久磁石1を、ヨークに十分な密着性(接合強度)で支持固定することが可能となる。
【0164】
湿式めっき層122を構成する金属材料としては、例えば、Ni、Cu、Cr、Fe、Zn、Cd、Sn、Pb、Al、Au、Ag、Pd、Pt、Rh等、またはこれらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。この中でも、湿式めっき層122を構成する金属材料としては、Niを主とするものであるのが好ましい。これにより、永久磁石1の耐食性、機械的強度は特に優れたものとなる。また、永久磁石1を後述するモータの製造に用いた場合には、永久磁石1と支持部材(ヨーク)との密着性(接合強度)が特に優れたものとなる。
【0165】
湿式めっき層122の平均厚さは、特に限定されないが、1.5〜45μmであるのが好ましく、12〜40μmであるのがより好ましい。湿式めっき層122の平均厚さが前記範囲内の値であると、上記の効果(特に、機械的強度の向上)がより顕著なものとなる。
【0166】
また、本実施形態の永久磁石1を後述するようなモータに用いる場合、湿式めっき層122は、前記第1実施形態で説明した[1]〜[3]の条件を満足するのが好ましい。
【0167】
このような湿式めっき層122は、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法によって形成される。この中でも、電解めっき、無電解めっきがより好ましい。
【0168】
湿式めっき層122の形成方法として湿式めっき法を用いることにより、比較的簡易な装置で、乾式めっき層121との密着性(接合強度)に優れ、かつ、均質な湿式めっき層122を容易に形成することができる。このような効果は、電解めっき、無電解めっきを用いた場合により顕著なものとなる。
【0169】
また、電解めっき、無電解めっきでは、めっき液の組成を調節することにより、形成される湿式めっき層122の組成を容易に調節することができる。その結果、例えば、湿式めっき層122の物性(例えば、機械的強度、硬度、摩擦係数、熱膨張率、耐食性等)や、湿式めっき層122の、乾式めっき層121に対する親和性等を容易に調節することができる。
【0170】
また、電解めっきでは、電流密度等のめっき条件を調節することにより、湿式めっき層122の膜厚、密度等を容易に調節することができる。その結果、湿式めっき層122の物性(例えば、機械的強度、硬度、摩擦係数、耐食性等)を容易に調整することができる。
【0171】
電解めっきは、例えば、以下のような条件で行うのが好ましい。
電解めっき時における浴温は、特に限定されないが、20〜70℃であるのが好ましく、40〜65℃であるのがより好ましい。浴温が、前記下限値未満であると、めっき速度の低下、光沢ムラ、異常析出が発生しやすい。一方、浴温が、前記上限値を超えると、異常析出、光沢剤の分解が発生しやすい。
【0172】
また、電解めっき時における電流密度は、特に限定されないが、0.1〜8.0A/dmであるのが好ましく、0.5〜6.0A/dmであるのがより好ましい。電流密度が前記範囲内の値であると、乾式めっき層121との密着性に優れ、かつ、均質で緻密な湿式めっき層122を、効率良く形成することができる。
【0173】
また、無電解めっきでは、液温度、めっき時間等を調節することにより、形成される湿式めっき層122の膜厚、密度を容易に調節することができる。その結果、例えば、湿式めっき層122の耐食性物性や、乾式めっき層121に対する親和性等を容易に調節することができる。
【0174】
また、無電解めっきでは、磁石本体11のような円筒状の被めっき部材に対しても、特別な調整を施すことなく、膜厚のばらつきが特に小さい湿式めっき層122を形成することができる。
【0175】
無電解めっきは、例えば、以下のような条件で行うのが好ましい。
無電解めっき時における浴温は、特に限定されないが、一例としてニッケルほう素系の無電解めっきの場合、50〜70℃であるのが好ましく、55〜65℃であるのがより好ましい。浴温が、前記下限値未満であると、めっき速度の低下、異常析出が発生しやすい。一方、浴温が、前記上限値を超えると、浴液の分解が生じやすい。
【0176】
また、湿式めっき層122の形成に先立ち、乾式めっき層121の表面に対して、前処理を施してもよい。前処理としては、例えば、ブラスト処理、アルカリ洗浄(アルカリ脱脂処理)、酸洗浄、水洗(純水洗浄を含む)、有機溶剤洗浄、超音波洗浄、ボンバード処理等の清浄化処理、エッチング等が挙げられる。このような前処理を施すことにより、例えば、乾式めっき層121と湿式めっき層122との密着性をさらに優れたものにすることができる。
【0177】
なお、湿式めっき層122の各部位における組成は、一定であっても、一定でなくてもよい。例えば、湿式めっき層122は、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。
【0178】
また、湿式めっき層122は、例えば、形成方法、形成条件、組成の異なる複数の層の積層体であっても良い。湿式めっき層122をこのような積層体として形成することにより、永久磁石1の耐食性、機械的強度をさらに優れたものにすることができる。
【0179】
湿式めっき層122は、各部位での厚さのばらつきが小さいものであるのが好ましい。これにより、永久磁石1は、安定した耐食性、機械的強度を有するものとなる。また、永久磁石1を後述するようなモータに用いた場合、湿式めっき層122の厚さのばらつきが小さいことにより、永久磁石1全体としての寸法精度が向上し、寸法公差を小さくすることができる。その結果、このような永久磁石1を備えたモータは、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)を、より発生しにくいものとなる。
【0180】
次に、前述した永久磁石1を備えた本発明のモータ用部品およびモータの好適な実施形態について説明する。
【0181】
図5は、本発明のモータ用部品(ロータ)の好適な実施形態を示す断面側面図、図6は、図5に示すモータ用部品を有するモータの好適な実施形態を示す断面側面図である。図5、図6中では、図1、図2に示すような永久磁石1を有する構成について説明したが、永久磁石1は、図3に示すような構成のものであってもよいことは言うまでもない。以下、図5中、下側を「基端」、上側を「先端」として説明する。
【0182】
まず、モータ用部品(ロータ)について説明する。
図5に示すように、ロータ(回転子)3は、ハブ31と、ハブ31の先端側の内表面に接合されたスリーブ32と、ハブ31の基端側の内表面に接合されたヨーク33と、ヨーク33(支持部材)の内表面側に接合、固定された永久磁石1とで構成されている。
【0183】
スリーブ32は、略円筒状をなし、その内表面側に溝(中逃げ部)323を有する。
【0184】
スリーブ32は、後述するようなモータ4の製造に用いた場合、軸受け(動圧流体軸受け)として機能する。すなわち、スリーブ32は、長手方向(図5中の上下方向)の異なる2箇所に、内側に突出する軸受け部321、322を有している。軸受けが、このような動圧流体軸受け(滑り軸受け)であると、後述するような高回転領域で用いられるモータに好適に適用することができる。
【0185】
スリーブ32の構成材料としては、例えば、銅もしくは真鍮などの銅合金、アルミニウム、鉄もしくはステンレスなどの鉄合金、またもしくはそれらを粉末原料とする金属焼結体、Al(アルミナ)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)等を主成分とするセラミックス、合成樹脂等が挙げられる。
【0186】
ヨーク33は、略円筒状をなし、ハブ31の基端側の内表面に接合、固定されている。
【0187】
ヨーク33の構成材料は、特に限定されないが、通常、金属または合金材料で構成される。ヨーク33を構成する材料としては、Fe、Al、快削鋼、ステンレス鋼、真鍮、焼結合金やこれらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられるが、少なくとも永久磁石1と接触する部位がFeまたはAlを主とする材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、ヨーク33は、十分な機械的強度を有し、かつ、永久磁石1のめっき膜12との接合強度(密着性)が、特に優れたものとなる。
【0188】
また、ヨーク33の構成材料は、室温付近での熱膨張率(線膨張率)が、4〜30[×10−6−1]であるのが好ましく、8〜25[×10−6−1]であるのがより好ましい。ヨーク33の構成材料の熱膨張率(線膨張率)が前記下限値未満であると、例えば、永久磁石1とヨーク33との接合を熱カシメにより行う場合、その製造工程において、ヨーク33を比較的高温にしなければ、ヨーク33の中空部に永久磁石1を挿通するのが困難となる場合がある。一方、ヨーク33の構成材料の熱膨張率(線膨張率)が前記上限値を超えると、ロータ3が高温環境下に曝されたときに、永久磁石1とヨーク33との密着性が低下する可能性がある。
【0189】
また、ヨーク33は、その表面粗さRaが0.5〜10.0μmであるのが好ましく、1.0〜5.0μmであるのがより好ましい。ヨーク33の表面粗さRaが前記範囲内の値であると、例えば、永久磁石1とヨーク33との接合を圧入により行う場合、その操作を容易に行うことができる。また、圧入時に、永久磁石1の表面に、傷が付くのをより効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下が防止され、結果として、モータの長期安定性が向上する。
【0190】
一方、ヨーク33の表面粗さRaが前記下限値未満であると、永久磁石1とヨーク33との密着性(接合強度)が低下する可能性がある。また、ヨーク33の表面粗さRaが前記上限値を超えると、上記の効果が十分得られない可能性がある。
【0191】
永久磁石1は、上述したように、円筒形状をなす磁石本体11と、磁石本体11の表面に形成されためっき膜12と、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14内に形成された封孔部13とを有する。
【0192】
磁石本体11は、多極着磁されている。
上述したように、永久磁石1は、磁石本体11の表面にめっき膜12を有し、さらに、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14内に封孔部13が形成された構成となっており、これにより、優れた機械的強度、耐食性を有している。このため、磁石本体11の特性を長期間にわたって安定的に発揮することができる。
【0193】
このような永久磁石1は、熱カシメまたは圧入により、ヨーク33(支持部材)に固定されている。これにより、永久磁石1は、十分な密着性(接合強度)でヨーク33に支持固定されたものとなる。このように、永久磁石1とヨーク33とが十分に高い強度で接合されたものであると、ロータ3を、モータ(特に、高回転領域で用いられるモータや、繰り返し使用されるモータ、長期間連続して使用されるモータ等)に適用した場合における、永久磁石1とヨーク33との接合不良の発生が、より効果的に防止される。その結果、モータの駆動時等における異音の発生、モータのトルク特性の低下等の問題の発生がより効果的に防止される。また、上記のような接合不良が効果的に防止されることにより、ヨーク33を有するモータ4は、故障、破損等を生じ難い、信頼性に優れたものとなる。
【0194】
また、永久磁石1とヨーク33とが、熱カシメまたは圧入で接合されることにより、永久磁石1とヨーク33との接合部に、従来用いられてきたような有機接着剤を用いなくても十分な接合強度が得られる。このように、有機接着剤を用いることなく、永久磁石1とヨーク33とを接合した場合、ロータ3の重心のアンバランス量(回転アンバランス量)を、小さいものとすることができる。したがって、ロータ3を適用したモータ4は、例えば、高回転領域で用いた場合でも、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)を発生し難いものとなる。
【0195】
以上説明したようなロータ3のアンバランス量の測定は、一般的にロータ3の回転に伴う径方向への周期的な応力発生として捉えることができる。この応力を電気的に変換することで、アンバランス量として測定することができる。この回転アンバランス量は、0.05g・cm以下であるのが好ましく、0.04g・cm以下であるのがより好ましい。
【0196】
ロータ3の回転アンバランス量が0.05g・cm以下であると、高回転領域で用いられるモータに適用した場合おいても、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)を生じ難いものとなる。
【0197】
以上説明したようなロータ(モータ用部品)1は、熱カシメまたは圧入により、永久磁石1をヨーク(支持部材)2に支持固定させることにより得られる。
【0198】
熱カシメにより、永久磁石1をヨーク33に支持固定させるには、熱カシメは、永久磁石1より高温の状態のヨーク33の中空部に、永久磁石1を挿通し、その後、ヨーク33を冷却することにより行う。なお、熱カシメは、例えば、永久磁石1より高温の状態のヨーク33の中空部に、冷却状態の永久磁石1を挿通し、その後、永久磁石1の温度を上昇させることにより行ってもよい。
【0199】
また、圧入により、永久磁石1をヨーク33に支持固定させる場合、軸方向(図中の上下方向)への、永久磁石1とヨーク33との相対的な移動速度(接近速度)は、0.2〜20cm/秒であるのが好ましく、0.5〜10cm/秒であるのがより好ましい。
【0200】
永久磁石1とヨーク33との相対的な移動速度が前記範囲内の値であると、永久磁石1の表面に傷が付くのを効果的に防止しつつ、効率良く永久磁石1を圧入することができる。このように、永久磁石1の表面に傷が付くのが防止されることにより、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下が防止され、結果として、モータの長期安定性が向上する。
【0201】
また、永久磁石1とヨーク33との接合を圧入により行う場合、永久磁石1(磁石本体11)は、その端部の角(少なくとも先端部の外周側の角)に面取りを施したものであるのが好ましい。これにより、圧入の操作をさらに容易に行うことが可能になる。また、圧入の操作を行う際に、永久磁石1の表面に、傷が付くのをより効果的に防止することができる。その結果、永久磁石1の腐食、機械的強度の低下が防止され、結果として、モータの長期安定性が向上する。
【0202】
上述したような熱カシメ、圧入により接合される永久磁石1は、自然状態(ヨーク33と接合する前の状態)での外径が、ヨーク33の対応する部位の自然状態(永久磁石1と接合する前の状態)での内径より大きい。これにより、得られるロータ3における永久磁石1とヨーク33との接合強度は十分に大きいものとなる。
【0203】
以上、永久磁石1とヨーク33との接合方法について説明したが、このような接合方法は、例えば、ヨーク33とハブ31との接合、ハブ31とスリーブ32との接合にも適用することができる。これにより、ロータ3は、高回転領域で用いられるモータに適用した場合おいても、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)を生じ難い、特に安定した特性を有するものとなる。
【0204】
次に、上述したモータ用部品(ロータ)を備えた本発明のモータについて説明する。
【0205】
図6に示すように、モータ(ハードディスクドライブ用モータ)4は、上述したロータ(回転子)3と、シャフト(軸)41と、ステータ(固定子)42と、基部(フレーム)43とを有している。
【0206】
シャフト41は、ロータ3を回転自在に支持している。
シャフト41は、通常、ステンレス鋼等の金属材料で構成される。ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L等のFe−Cr−Ni系合金、SUS405、SUS420J2、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F等のFe−Cr系合金等が挙げられる。
【0207】
ステータ42は、所定の間隔(ギャップ)を介して、永久磁石1の外周面に対面するように配置されている。
このステータ42は、所望の形状に打ち抜かれた珪素鋼板の積層体よりなるコア421と、該コア421に巻線を施してなるコイル(3相コイル)422とで構成されている。
【0208】
基部43は、中空部を有する形状を有しており、その内表面側にはシャフト41が、圧入等の方法により強固に固定されている。また、基部43の外表面側には、ステータ6が支持固定されている。
【0209】
また、スリーブ32の先端側には、スラスト受け板45がフランジ44とともに、固定されており、このスラスト受け板45は、シャフト41の先端部と接触している。
【0210】
このようなモータ4では、図示しない導線を介してステータ42のコイル422へ通電することにより、コア421が励磁され、ロータ3にトルクが発生する。この場合、コイル422への通電は、ロータ3の位置を検出するロータ位置センサによる検出信号に基づいて、好ましくは、インバータを備えたモータ駆動制御手段(いずれも図示せず)により制御される。
【0211】
上述したように、このモータ4では、熱カシメまたは圧入により、永久磁石1とヨーク33(支持部材)とが接合されているため、ロータ3にトルクが発生した場合においても、永久磁石1とヨーク33との接合不良が発生し難い。その結果、モータの駆動時等における異音の発生、モータのトルク特性の低下等の問題の発生がより効果的に防止される。また、上記のような接合不良が効果的に防止されることにより、ヨーク33を有するモータ4は、故障、破損等を生じ難い、信頼性に優れたものとなる。
【0212】
また、永久磁石1は、磁石本体11の表面にめっき膜12を有し、さらに、めっき膜12の表面付近に存在する空孔14内に封孔部13が形成された構成となっているため、磁石本体11の腐食や、欠損、破壊等がより効果的に防止される。その結果、モータ4は、長期間にわたって安定した特性を有するものとなる。
【0213】
また、このモータ4では、永久磁石1とヨーク33とが、熱カシメまたは圧入で接合されることにより、永久磁石1とヨーク33との接合部に、従来用いられてきたような有機接着剤を用いなくても十分な接合強度が得られる。このように、有機接着剤を用いることなく、永久磁石1とヨーク33とを接合した場合、ロータ3の重心のアンバランス量(回転アンバランス量)を、特に小さいものとすることができる。その結果、ロータ3を適用したモータ4は、例えば、高回転領域で用いた場合でも、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)を発生し難いものとなる。
【0214】
ところで、上記のような有機接着剤を用いる従来の製造方法では、永久磁石とヨークとの間から、余剰の有機接着剤がロータ端面にはみ出すことがあった。このような余剰の有機接着剤は、通常その余剰接着剤は寸法的に許容されるモータ構造で設計される場合が多いが、端面の余剰接着剤はロータの回転による遠心力や振動、トルク変動による周方向の加速度を直接受けるため剥離、破断、脱落が生じる。このような脱落した接着剤の一部が、モータ内に残存し、モータに悪影響を及ぼすことがあった。
【0215】
これに対し、永久磁石1とヨーク33とが、熱カシメまたは圧入で接合することで、有機接着剤を用いなくても十分な接合強度が得られるため、このような問題の発生を回避できる。したがって、本発明は、例えば、ハードディスクドライブ用モータのように、非常に微細な異物の排除が求められるようなものにも、好適に適用することができる。
【0216】
モータ4は、最大回転数が4000rpm以上の領域で用いられるものであるのが好ましく、5000rpm以上の領域で用いられるものであるのがより好ましく、7000rpm以上の領域で用いられるものであるのがさらに好ましい。永久磁石1は、機械的強度に特に優れ、特に十分な耐錆性能を有しているので、モータ4が、このような最大回転数を有するモータであると、本発明の効果はより顕著なものとなる。したがって、従来のように、永久磁石と、その支持部材との接合強度が小さい場合には、信頼性等の問題から実現するのが困難であった高回転型のモータにも、本発明を好適に用いることができる。
【0217】
また、高回転型のモータでは、軸ぶれによる振動や、騒音(異音)の発生を防止、抑制するために、ロータの重心のアンバランス量の低減が一層求められるが、永久磁石1とヨーク33とを熱カシメまたは圧入で接合することで、有機接着剤を用いる必要がないため、ロータの重心のアンバランス量の低減を容易に達成することができる。
【0218】
なお、図示の構成では、モータ4は、ハードディスクドライブに用いられるモータ(ハードディスクドライブ用モータ)である。ハードディスクドライブ用モータは、一般に、高回転領域で用いられるとともに、磁気記録密度が非常に高いため、振動の低減は最も重要な課題のひとつであるが、永久磁石1とヨーク33とを熱カシメまたは圧入で接合することで、このような問題の発生を容易に回避することができる。
【0219】
以上、本発明の永久磁石、永久磁石の製造方法、モータ用部品およびモータを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0220】
例えば、前述した実施形態では、封孔処理として、空孔内に封孔材料を充填することにより封孔部を形成する方法について説明したが、封孔処理はこのような方法に限定されるものではない。例えば、めっき膜が形成された磁石本体を熱水等で処理(例えば浸漬処理)することにより、空孔内に不動態を形成するような方法であってもよい。
【0221】
また、前述した実施形態では、封孔部は高分子材料で構成されたものとして説明したが、比較的低分子量の材料で構成されたものであってもよい。
【0222】
また、前記第2実施形態では、めっき膜として、乾式めっき層、湿式めっき層を、それぞれ1層ずつ有するものについて説明したが、乾式めっき層、湿式めっき層のうち少なくとも一方を、2層以上有するものであってもよい。例えば、めっき膜は、乾式めっき層、湿式めっき層を、それぞれ2層以上有し、これらが交互に積層された構成のものであってもよい。
【0223】
また、乾式めっき層は、上述したようなイオンプレーティングにより形成されたものに限定されず、乾式めっき法により形成されたものであればいかなるものであってもよい。また、乾式めっき層を形成する際のイオンプレーティングは、高周波励起方式の装置を用いた方法に限定されず、いかなる方法で行うものであってもよい。
【0224】
また、磁石本体と乾式めっき層との間には、密着性の向上等を目的とした下地層が形成されていてもよい。
【0225】
また、永久磁石は、例えば、湿式めっき層の表面の少なくとも一部に、有機材料、無機材料等で構成された被覆層(保護膜)等が形成されたものであってもよい。
【0226】
また、本発明の永久磁石は、前述したようなモータ、モータ用部品に適用されるものに限定されない。
【0227】
また、本発明のモータは、上述したようなアウターロータ型のものに限定されず、例えば、インナーロータ型、円盤型のもの等であってもよい。
【0228】
また、本発明のモータは、ハードディスクドライブ用モータに限定されず、いかなるタイプのものであってもよい。
【0229】
また、前述した実施形態では、支持部材がヨークである構成について説明したが、支持部材はこれに限定されず、例えば、シャフト(軸)、ハブ、ケーシング等であってもよい。
【0230】
また、前述した実施形態では、動圧流体軸受け構造を有するものについて説明したが、軸受け構造は、いかなるものであってもよい。例えば、自己潤滑性軸受けや、オリフィス軸受け、ポケット軸受け等の静圧流体軸受けであってもよい。また、上記のような滑り軸受けのほか、例えば、ころがり軸受け(玉軸受)、磁気軸受け等であってもよい。
【0231】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0232】
なお、以下に示す例では、具体的な物質名、数値等を挙げて説明しているが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0233】
(実施例1)
[永久磁石の製造]
以下のようにして、20種の永久磁石(サンプルNo.1〜No.20)を製造した。
【0234】
<サンプルNo.1>
まず、Nd−Fe−Co−B系超急冷法磁石粉末(粒度が150#以下の原料粉を使用。)と、結合樹脂としてのビスA型エポキシ樹脂と、添加物としてのステアリン酸とを混合し、これらを常温で45分間混練して、ボンド磁石用組成物(コンパウンド)を作製した。磁石粉末、ビスA型エポキシ樹脂、ステアリン酸の配合比率(重量比率)は、それぞれ97.5wt%、2.3wt%、0.2wt%とした。
【0235】
次いで、このコンパウンドを秤量してプレス装置の金型内に充填し、無磁場中にて、常温にて、約12トン/cmの圧力で圧縮成形してから、180℃でエポキシ樹脂を加熱硬化させ、円筒状のボンド磁石を得た。このボンド磁石に対して、その高さ方向の研磨処理を施した。
【0236】
その後、ボンド磁石を、バレル研磨法により各稜が0.15Rになるまで研磨(面取り)し、これを磁石本体とした。また、磁石本体の空孔率は、5.1vol%であった。
【0237】
次に、得られた磁石本体を洗浄した。
磁石本体の洗浄としては、まず、純水超音波洗浄を3分間行った。次に、エースクリーン A−220(50g/L)を用いたアルカリ脱脂を、55℃×2分の条件で行った。次に、2%塩酸を用いて、酸洗浄を常温(25℃)で0.5分間行った。次に、純水洗浄を1分×2回行い、その後、80℃で20分間乾燥した。
【0238】
上記のようにして洗浄を行った磁石本体の表面に、以下のようにしてめっき膜を形成した。
まず、トップニコロンNAC−A(奥野製薬社製)と、トップニコロン(奥野製薬社製)と、純水とを用いて、めっき液を調製した。得られためっき液中におけるトップニコロンNAC−A、トップニコロンの濃度は、それぞれ、80ml/L、200ml/Lであった。
次に、上記のようにして得られためっき液を用いて、温度85℃×30分の条件で、無電解ニッケルめっきを行い、めっき膜(Ni−P膜)を形成した。
【0239】
次に、めっき膜が形成された磁石本体を回収し、常温での純水洗浄を1分間行った。さらに、温水(80℃)による純水洗浄を1分間行った。その後、めっき膜が形成された磁石本体を80℃で20分間乾燥した。
【0240】
上記のような洗浄を行った後、めっき膜が形成された磁石本体に対して、以下のような封孔処理を施すことにより、封孔部を形成した。
【0241】
まず、常温常圧下で、温度:20℃のメタアクリレートエステルモノマー(粘度:10cps)の入った容器内に、めっき膜が形成されたボンド磁石を浸漬した。浸漬してから15分後、容器内からボンド磁石を取り出した。
【0242】
その後、容器内から取り出したボンド磁石の表面に付着した余剰の封孔材料(メタアクリレートエステルモノマー)を除去した。余剰の封孔材料は、遠心分離機を用いた遠心液きり、次いで、純水(20℃)中への浸漬洗浄を施すことにより行った。
【0243】
このようにして余剰の封孔材料を除去した後、温度:90℃の純水中に、5分間浸漬し、封孔部内の封孔材料を硬化させることにより、封孔部を形成した。その後、さらに、純水流水洗浄を3分間行い、70℃で20分間乾燥した。
【0244】
以上のようにして、めっき膜および封孔部が形成されたボンド磁石を、8極に多極着磁し、図1、図2に示すような構成の永久磁石(サンプルNo.1)を得た。
【0245】
このようにして得られた永久磁石の最大磁気エネルギー積(BH)maxは、79.5kJ/mであった。
【0246】
<サンプルNo.2>
めっき膜を、以下に示すような複数の層からなる積層体として形成した以外は、サンプルNo.1の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.2)を作製した。
【0247】
めっき膜の形成は、以下のようにして行った。
まず、洗浄を行った磁石本体に、Ni−B無電解めっきを行い、ボンド磁石の表面にNi−B膜を形成した。この無電解めっきには、めっき液として、トップケミアロイ66−Mを60ml/L、トップケミアロイ66−1を60ml/L、トップケミアロイ66−2を60ml/Lの濃度で含むものを用いた。このめっき液のpHは6.5であった。めっき液の浴温、めっき液への浸漬時間は、それぞれ、65℃、20分間とした。
【0248】
その後、Ni−B膜が形成された磁石本体(このような被膜が形成された磁石本体について、以下の説明において、便宜上、単に磁石本体と称する場合がある。)を回収し、常温での純水洗浄を1分間行った。
【0249】
次に、Ni−B膜が形成された磁石本体を洗浄した。磁石本体の洗浄としては、常温での純水洗浄を2分間行った。
【0250】
次に、電解光沢Niめっきを行った。この電解光沢Niめっきには、めっき液として、硫酸Niを300g/L、塩化Niを50g/L、ホウ酸を45g/L、トップレオナBr−Mu(奥野製薬社製)を4ml/L、トップレオナBR(奥野製薬社製)を0.15ml/Lの濃度で含むものを用いた。このめっき液のpHは4.5であった。めっき液の浴温、めっき液への浸漬時間は、それぞれ、50℃、20分間とした。また、電流密度Dkは2A/dmとした。
【0251】
次に、電解光沢Niめっきが施された磁石本体を回収し、常温での純水洗浄を1分間行った。さらに、温水(80℃)による純水洗浄を1分間行った。その後、めっき膜が形成された磁石本体を70℃で20分間乾燥した。
【0252】
その後、めっき膜が形成された磁石本体に対して、サンプルNo.1の永久磁石と同様にして、封孔処理を施し、さらに、多極着磁することにより、永久磁石(サンプルNo.2)を得た。
【0253】
<サンプルNo.3>
めっき膜が形成されたボンド磁石を、封孔材料へ浸漬する際の雰囲気圧力を60kPaとした以外は、サンプルNo.2の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.3)を作製した。
【0254】
<サンプルNo.4>
封孔処理時における雰囲気圧力を以下のように変化させた以外は、サンプルNo.2の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.4)を作製した。
【0255】
まず、めっき膜が形成された磁石本体をチャンバー内に入れ、その後、チャンバー内の圧力を30kPaまで減圧した。チャンバー内の圧力を30kPaに20分間保持した後、封孔材料中に、前記磁石本体を浸漬させた。その後、チャンバー内を120kPaとして、この状態で15分間放置した。その後、チャンバー内の圧力を大気圧に戻し、めっき膜の空孔に封孔材料が充填されたボンド磁石を取り出した。
【0256】
<サンプルNo.5>
封孔処理を以下のようにして行った以外は、サンプルNo.2の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.5)を作製した。
【0257】
封孔処理は、以下のようにして行った。
まず、常温常圧下で、温度:25℃の水溶性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂濃度:25wt%のエマルジョン、粘度:10cps)の入った容器内に、めっき膜が形成されたボンド磁石(洗浄されたもの)を浸漬した。浸漬してから10分後、容器内からボンド磁石を取り出した。
【0258】
その後、容器内から取り出したボンド磁石の表面に付着した余剰の封孔材料(エポキシ樹脂)を除去した。余剰の封孔材料は、遠心分離機を用いた遠心液きり、次いで、純水(20℃)中への浸漬洗浄を施すことにより行った。
【0259】
このようにして余剰の封孔材料を除去した後、85℃×30分間で空孔内の封孔材料を加熱硬化させることにより、封孔部を形成した。その後、さらに、純水洗浄を1分間行い、70℃で20分間乾燥した。
【0260】
<サンプルNo.6>
封孔処理を以下のようにして行った以外は、サンプルNo.2の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.6)を作製した。
【0261】
封孔処理は、以下のようなCVD(化学蒸着)法により行った。
まず、原料のジパラキシリレン(di−para−xylylene:ポリパラキシリレンに対応するダイマー)を、温度:150〜175℃、圧力:100〜135Paで気化させた。
【0262】
次に、温度:600〜680℃、圧力:50〜67Paで、60分間保持し、原料を熱分解させた。
【0263】
さらに、温度:30〜35℃、圧力:10〜13Paで、90分間保持することにより、磁石本体の表面に、ポリパラキシリレンで構成された被覆層を形成し、その後、温度:−70℃、圧力:1.3Paで、90分間保持した。
【0264】
最後に、装置内の温度を室温、圧力を大気圧とし、封孔部が形成されたボンド磁石を装置内から取り出した。このような封孔処理により、ポリパラキシリレンで構成された膜が、めっき膜の全表面に形成された。
【0265】
なお、このような封孔処理は、チャンバー内の気流を制御し、ワークである磁石本体を回転させながら行った。
【0266】
<サンプルNo.7>
封孔処理を以下のようにして行った以外は、サンプルNo.2の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.6)を作製した。
【0267】
封孔処理は、以下のようにして行った。
まず、常温常圧下で、温度:20±2℃の無機含浸液(プラセラム社製、CS−3、粘度:5cps)の入った容器内に、めっき膜が形成されたボンド磁石(洗浄されたもの)を浸漬した。浸漬してから15分後、容器内からボンド磁石を取り出した。
【0268】
その後、容器内から取り出したボンド磁石の表面に付着した余剰の封孔材料を除去した。余剰の封孔材料は、遠心分離機を用いた遠心液きり、次いで、純水(20℃)中への浸漬洗浄を施すことにより行った。
【0269】
このようにして余剰の封孔材料を除去した後、85℃×30分間で空孔内の封孔材料を加熱硬化させることにより、封孔部を形成した。その後、さらに、純水洗浄を1分間行い、70℃で20分間乾燥した。
【0270】
<サンプルNo.8>
めっき膜を、以下に示すような複数の層からなる積層体(乾式めっき層と、湿式めっき層との積層体)として形成した以外は、サンプルNo.1の永久磁石と同様にして、図3に示すような永久磁石(サンプルNo.8)を作製した。
【0271】
めっき膜の形成は、以下のようにして行った。
まず、洗浄を行った磁石本体の表面に、イオンプレーティング法によりCuからなる乾式めっき層を形成した。
【0272】
乾式めっき層の形成には、図4に示したような高周波励起方式のイオンプレーティング装置を用いた。
【0273】
乾式めっき層形成時における、イオンプレーティング槽内部の圧力は、100〜200Paとし、導入ガスはArガスを用いた。また、DC印加電圧は、3.0±0.2kVとし、処理時間は3〜10分とした。このようなイオンプレーティングは、被めっき部材である磁石本体を回転させながら行った。
【0274】
このようにして、磁石本体の表面に、Cuからなる乾式めっき層を形成した。形成された乾式めっき層の平均厚さは、0.1μmであった。
【0275】
次に、乾式めっき層が形成された磁石本体の乾式めっき層の表面に、湿式めっき法により、主にNiから構成される湿式めっき層を形成した。
【0276】
湿式めっき法による湿式めっき層の形成は、以下の態様で行った。
まず、磁石本体表面を脱脂洗浄した。脱脂洗浄としては、エースクリーンA−220(奥野製薬市場品)を50g/Lの濃度で溶解させた洗浄液を用いて、50℃で10分間行った。この洗浄液のpHは11.4であった。
【0277】
次に、表面が脱脂された磁石本体を洗浄した。磁石本体の洗浄としては、常温での純水洗浄を1分間行った。
【0278】
上記のようにして洗浄を行った磁石本体に、湿式めっき層を、以下のようにして形成した。
【0279】
まず、Ni−B無電解めっきを行い、乾式めっき層の表面にNi−B膜を形成した。この無電解めっきには、めっき液として、トップケミアロイ66−Mを60ml/L、トップケミアロイ66−1を60ml/L、トップケミアロイ66−2を60ml/Lの濃度で含むものを用いた。このめっき液のpHは6.5であった。めっき液の浴温、めっき液への浸漬時間は、それぞれ、65℃、20分間とした。
【0280】
その後、Ni−B膜が形成された磁石本体を回収し、常温での純水洗浄を1分間行った。
【0281】
次に、Ni−B膜が形成された磁石本体を洗浄した。磁石本体の洗浄としては、常温での純水洗浄を2分間行った。
【0282】
次に、電解光沢Niめっきを行った。この電解光沢Niめっきには、めっき液として、硫酸Niを300g/L、塩化Niを50g/L、ホウ酸を45g/L、トップレオナBr−Mu(奥野製薬社製)を4ml/L、トップレオナBR(奥野製薬社製)を0.15ml/Lの濃度で含むものを用いた。このめっき液のpHは4.5であった。めっき液の浴温、めっき液への浸漬時間は、それぞれ、50℃、20分間とした。また、電流密度Dkは2A/dmとした。
【0283】
<サンプルNo.9>
めっき膜が形成されたボンド磁石を、封孔材料へ浸漬する際の雰囲気圧力を45kPaとした以外は、サンプルNo.8の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.9)を作製した
<サンプルNo.10>
封孔処理時における雰囲気圧力を以下のように変化させた以外は、サンプルNo.8の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.10)を作製した。
【0284】
まず、めっき膜が形成された磁石本体をチャンバー内に入れ、その後、チャンバー内の圧力を50kPaまで減圧した。チャンバー内の圧力を50kPaに20分間保持した後、封孔材料中に、前記磁石本体を浸漬させた。その後、チャンバー内を130kPaとして、この状態で10分間放置した。その後、チャンバー内の圧力を大気圧に戻し、めっき膜の空孔に封孔材料が充填されたボンド磁石を取り出した。
【0285】
<サンプルNo.11>
封孔処理を以下のようにして行った以外は、サンプルNo.8の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.11)を作製した。
【0286】
封孔処理は、以下のようにして行った。
まず、常温常圧下で、温度:20℃の水溶性エポキシ樹脂(エポキシ樹脂濃度:25wt%のエマルジョン、粘度:10cps)の入った容器内に、めっき膜が形成されたボンド磁石(洗浄されたもの)を浸漬した。浸漬してから10分後、容器内からボンド磁石を取り出した。
【0287】
その後、容器内から取り出したボンド磁石の表面に付着した余剰の封孔材料(エポキシ樹脂)を除去した。余剰の封孔材料は、遠心分離機を用いた遠心液きり、次いで、純水(20℃)中への浸漬洗浄を施すことにより行った。
【0288】
このようにして余剰の封孔材料を除去した後、85℃×30分間で空孔内の封孔材料を加熱硬化させることにより、封孔部を形成した。その後、さらに、純水洗浄を1分間行い、70℃で20分間乾燥した。
【0289】
<サンプルNo.12>
めっき膜が形成されたボンド磁石を、封孔材料へ浸漬する際の雰囲気圧力を30kPaとした以外は、サンプルNo.11の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.12)を作製した。
【0290】
<サンプルNo.13>
封孔処理時における雰囲気圧力を以下のように変化させた以外は、サンプルNo.11の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.13)を作製した。
【0291】
まず、めっき膜が形成された磁石本体をチャンバー内に入れ、その後、チャンバー内の圧力を35kPaまで減圧した。チャンバー内の圧力を35kPaに15分間保持した後、封孔材料中に、前記磁石本体を浸漬させた。その後、チャンバー内を140kPaとして、この状態で10分間放置した。その後、チャンバー内の圧力を大気圧に戻し、めっき膜の空孔に封孔材料が充填されたボンド磁石を取り出した。
【0292】
<サンプルNo.14>
封孔処理を以下のようにして行った以外は、サンプルNo.8の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.14)を作製した。
【0293】
封孔処理は、以下のようなCVD(化学蒸着)法により行った。
まず、原料のジパラキシリレン(di−para−xylylene:ポリパラキシリレンに対応するダイマー)を、温度:150〜175℃、圧力:100〜135Paで気化させた。
【0294】
次に、温度:600〜680℃、圧力:50〜67Paで、300分間保持し、原料を熱分解させた。
【0295】
さらに、温度:30〜35℃、圧力:10〜13Paで、360分間保持することにより、磁石本体の表面に、ポリパラキシリレンで構成された被覆層を形成し、その後、温度:−70℃、圧力:1.3Paで、360分間保持した。
【0296】
最後に、装置内の温度を室温、圧力を大気圧とし、封孔部が形成されたボンド磁石を装置内から取り出した。このような封孔処理により、ポリパラキシリレンで構成された膜が、めっき膜の全表面に形成された。
【0297】
なお、このような封孔処理は、チャンバー内の気流を制御し、ワークである磁石本体を回転させながら行った。
【0298】
<サンプルNo.15>
封孔処理を以下のようにして行った以外は、サンプルNo.8の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.15)を作製した。
【0299】
封孔処理は、以下のようにして行った。
まず、常温常圧下で、温度:20℃の無機含浸液(プラセラム社製、CS−3、粘度:8cps)の入った容器内に、めっき膜が形成されたボンド磁石(洗浄されたもの)を浸漬した。浸漬してから10分後、容器内からボンド磁石を取り出した。
【0300】
その後、容器内から取り出したボンド磁石の表面に付着した余剰の封孔材料を除去した。余剰の封孔材料は、遠心分離機を用いた遠心液きり、次いで、純水(20℃)中への浸漬洗浄を施すことにより行った。
【0301】
このようにして余剰の封孔材料を除去した後、85℃×30分間で空孔内の封孔材料を加熱硬化させることにより、封孔部を形成した。その後、さらに、純水洗浄を1分間行い、70℃で20分間乾燥した。
【0302】
<サンプルNo.16>
めっき膜が形成されたボンド磁石を、封孔材料へ浸漬する際の雰囲気圧力を45kPaとした以外は、サンプルNo.15の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.16)を作製した。
【0303】
<サンプルNo.17>
封孔処理時における雰囲気圧力を以下のように変化させた以外は、サンプルNo.15の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.17)を作製した。
【0304】
まず、めっき膜が形成された磁石本体をチャンバー内に入れ、その後、チャンバー内の圧力を30kPaまで減圧した。チャンバー内の圧力を30kPaに6分間保持した後、封孔材料中に、前記磁石本体を浸漬させた。その後、チャンバー内を150kPaとして、この状態で3分間放置した。その後、チャンバー内の圧力を大気圧に戻し、めっき膜の空孔に封孔材料が充填されたボンド磁石を取り出した。
【0305】
<サンプルNo.18>
めっき膜を形成したボンド磁石に対して、封孔処理を施さなかった以外は、サンプルNo.1の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.18)を作製した。
【0306】
<サンプルNo.19>
めっき膜を形成せずに、封孔処理を、ボンド磁石の表面に対して直接施した以外は、サンプルNo.1の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.19)を作製した。
【0307】
<サンプルNo.20>
サンプルNo.19の永久磁石と同様にして、ボンド磁石の表面に封孔処理を施した後、さらにめっき膜を形成した以外は、サンプルNo.1の永久磁石と同様にして、永久磁石(サンプルNo.20)を作製した。
【0308】
めっき膜の形成は、以下の態様で行った。
まず、トップニコロンNAC−A(奥野製薬社製)と、トップニコロン(奥野製薬社製)と、純水とを用いて、めっき液を調製した。得られためっき液中におけるトップニコロンNAC−A、トップニコロンの濃度は、それぞれ、80ml/L、200ml/Lであった。
次に、上記のようにして得られためっき液を用いて、温度85℃×30分の条件で、無電解ニッケルめっきを行い、めっき膜(Ni−P膜)を形成した。
【0309】
サンプルNo.1〜No.20の永久磁石について、めっき膜、封孔部の構成、封孔処理の条件を表1に示す。
【0310】
【表1】
Figure 2004064895
【0311】
[永久磁石の評価]
<めっき膜の膜厚の測定>
以上のようにして作製された各永久磁石について、内周側と外周側とにおけるめっき膜の平均厚さを求めた。めっき膜の膜厚は、蛍光X線測定方法で断面を内周側、外周側各8点測定し平均値を取る方法により求めた。
【0312】
<塩水噴霧試験>
また、サンプルNo.1〜No.20の各永久磁石について、JIS K 5401に記載の方法に準拠して、24時間暴露試験を実施した。
【0313】
その後、各永久磁石の内周面側、外周面側のそれぞれについて、8倍顕微鏡下で、磁石表面の異なる10箇所を観察し、視野内に変色が見られなかった場合には◎として評価した。また、一部変色が1〜2点確認された場合には○として評価した。また、変色が3点以上確認された場合には△として評価した。また、赤錆が1点以上確認された場合には×として評価した。
【0314】
<圧環強度の測定>
また、サンプルNo.1〜No.20の各永久磁石について、圧環強度を測定した。圧環強度の測定は、JIS Z 2507に準じて行った。
【0315】
サンプルNo.1〜No.20の永久磁石について、内周側と外周側におけるめっき膜の平均厚さ、塩水噴霧試験および圧環強度の測定の結果を表2に示す。
【0316】
【表2】
Figure 2004064895
【0317】
表2から明らかなように、めっき膜に対して封孔処理を施したサンプルNo.1〜No.17の永久磁石(いずれも本発明)は、優れた耐食性、機械的強度を有していた。特に、めっき膜を、乾式めっき層と湿式めっき層との積層体として形成した永久磁石(サンプルNo.8〜No.17)は、永久磁石の内周側と外周側とにおけるめっき膜の厚さのばらつきが小さく、特に優れた耐食性、機械的強度を有していた。
【0318】
これに対し、サンプルNo.18〜No.20の永久磁石(いずれも比較例)は、いずれも、耐食性、機械的強度に劣っていた。
【0319】
また、サンプルNo.1〜No.17の永久磁石(いずれも本発明)について、外周面の12箇所(永久磁石の外周面において、円筒の軸を中心に周方向に30°ずつ分割した箇所)について、めっき膜の厚さを測定した。その結果、膜厚のばらつきは、きわめて小さく、いずれも、±0.7μm以下であった。
【0320】
(実施例2)
[ロータ(モータ用部品)の製造]
前記実施例1で製造したサンプルNo.1〜No.20の各永久磁石を用いて、以下のようにして、図5に示すようなロータ(モータ用部品)を製造した。
【0321】
まず、快削鋼材(SUM21)で構成された略円筒状部材を用意し、これに切削加工を施すことにより、ヨークを得た。このようにして得られたヨークの表面粗さRa(内表面)は、1.9μmであった。また、ヨークの20℃における熱膨張率(線膨張率)は、11.7[×10−6−1]であった。
次に、得られたヨークと永久磁石とを熱カシメにより接合した。
【0322】
熱カシメによる接合は、以下のようにして行った。
まず、加熱台上で、ヨークの温度が200℃になるように加熱した。このような状態で、高さ方向の位置が決まる治具を用いて、ヨークの基端側から、その中空部に永久磁石を挿通した。なお、このときの永久磁石の温度は20℃であった。
【0323】
その後、加熱台から冷却台に移動させ、永久磁石が挿通された状態のヨークを冷却し、その温度を20℃にした。
【0324】
その結果、サンプルNo.1〜No.18、No.20の永久磁石を用いたものでは、ヨークと永久磁石とが、強固に接合した接合体が得られた。また、サンプルNo.19の永久磁石を用いたものでは、冷却に伴うヨークの収縮により、永久磁石に微小なひび割れを生じた。
【0325】
以上のようにして得られた永久磁石とヨークとの接合体を用いて、図5に示すようなロータ(モータ用部品)を得た。なお、ヨーク、ハブ、スリーブの構成材料としては、それぞれ、快削鋼(SUM21)、アルミニウム、真鍮を用い、ヨークとハブとの接合、ハブとスリーブとの接合は、いずれも、圧入により行った。
【0326】
各ロータについて、製造に用いたボンド磁石の寸法(室温(20℃)における自然状態での寸法:外径×内径(先端部付近を除く)×高さ)、ヨークの寸法(室温(20℃)における自然状態での寸法:外径×内径(先端部付近を除く)×高さ)、およびヨークの加熱状態での内径を表3に示す。
【0327】
【表3】
Figure 2004064895
【0328】
[ロータの評価およびモータの製造]
上記のようにして製造された各ロータについて、島津製作所社製動釣合試験機(VC 003T形)を用いて回転アンバランス量の測定を実施した。そのときの回転数は3600rpmとした。
回転アンバランス量の測定結果を表4に示す。
【0329】
【表4】
Figure 2004064895
【0330】
表4から、サンプルNo.1〜No.17によるロータ(いずれも本発明)では、回転アンバランス量が小さいことがわかる。中でも、めっき膜を、乾式めっき層と湿式めっき層との積層体として形成した永久磁石(サンプルNo.8〜No.17)を用いたロータでは、回転アンバランス量が極めて小さかった。これに対し、サンプルNo.19によるロータ(比較例)では、回転アンバランス量が大きかった。
【0331】
次に、サンプルNo.1〜No.20によるロータを用いて、図6に示すようなモータを製造した。
【0332】
このようにして得られた各モータについて、ステータのコイルへの通電操作(通電時間:30秒間、最大回転数:7200rpm)を繰り返し行った。
【0333】
サンプルNo.1〜No.17によるモータ(いずれも本発明)では、駆動時の振動、騒音が比較的小さいものであったのに対し、サンプルNo.19によるモータ(比較例)では、駆動時の振動、騒音が大きかった。これは、熱カシメ時に永久磁石が欠損、破損したためにロータのアンバランス量が大きくなっていたことによるものであると考えられる。
【0334】
また、サンプルNo.19によるモータ(比較例)では、上記の通電操作の回数が約30000回目に達する頃から振動、騒音(異音)がさらに激しいものとなった。
【0335】
上記の通電操作を50000回行った後、各モータを分解した。分解した各モータからロータを取り出し、これらの各ロータについて、JIS K 5401に記載の方法に準拠して、24時間暴露試験を実施した。
【0336】
その結果、サンプルNo.18〜No.20によるロータ(いずれも比較例)では、永久磁石周辺に、赤錆等による変色がはっきりと認められた。これに対し、サンプルNo.1〜No.17(いずれも本発明)によるロータでは、永久磁石の周辺には錆等による変色が認められなかった。
【0337】
(実施例3)
[ロータ(モータ用部品)の製造]
前記実施例1で製造したサンプルNo.1〜No.20の各永久磁石を用いて、以下のようにして、図5に示すようなロータ(モータ用部品)を製造した。
【0338】
まず、快削鋼材(SUM21)で構成された略円筒状部材を用意し、これに切削加工を施すことにより、ヨークを得た。このようにして得られたヨークの表面粗さRa(内表面)は、1.9μmであった。また、ヨークの20℃における熱膨張率(線膨張率)は、11.7[×10−6−1]であった。
【0339】
次に、得られたヨークの中空部に、永久磁石を圧入した。永久磁石の圧入は、永久磁石がヨークに対して傾かないような位置出し治具を用いて、油圧プレスにより行った。このときの永久磁石とヨークとの相対的な移動速度(接近速度)は、5cm/秒であった。
【0340】
サンプルNo.1〜No.17の永久磁石を用いたものでは、圧入の操作を円滑に行うことができ、また、圧入により得られた永久磁石とヨークとの接合体は、永久磁石とヨークとが極めて強固に接合したものであった。中でも、封孔部がポリパラキシリレンで構成された永久磁石(サンプルNo.6、No.14)では、圧入の操作を特に円滑に行うことができた。また、サンプルNo.19の永久磁石を用いたものでは、圧入により接合しようと試みたところ、ボンド磁石の一部が削り取られた。
【0341】
以上のようにして得られた永久磁石とヨークとの接合体を用いて、図5に示すようなロータ(モータ用部品)を得た。なお、ヨーク、ハブ、スリーブの構成材料としては、それぞれ、快削鋼(SUM21)、アルミニウム、真鍮を用い、ヨークとハブとの接合、ハブとスリーブとの接合は、いずれも、前記と同様の熱カシメにより行った。
【0342】
各ロータについて、製造に用いたボンド磁石の寸法(室温(20℃)における自然状態での寸法:外径×内径(先端部付近を除く)×高さ)、ヨークの寸法(室温(20℃)における自然状態での寸法:外径×内径(先端部付近を除く)×高さ)、およびヨークの加熱状態での内径を表5に示す。
【0343】
【表5】
Figure 2004064895
【0344】
[ロータの評価およびモータの製造]
上記のようにして製造された各ロータについて、島津製作所社製動釣合試験機(VC 003T形)を用いて回転アンバランス量の測定を実施した。そのときの回転数は3600rpmとした。
回転アンバランス量の測定結果を表6に示す。
【0345】
【表6】
Figure 2004064895
【0346】
表6から、サンプルNo.1〜No.17によるロータ(いずれも本発明)では、回転アンバランス量が小さいことがわかる。中でも、めっき膜を、乾式めっき層と湿式めっき層との積層体として形成した永久磁石(サンプルNo.8〜No.17)を用いたロータでは、回転アンバランス量が極めて小さかった。これに対し、サンプルNo.19によるロータ(比較例)では、回転アンバランス量が大きかった。
【0347】
次に、サンプルNo.1〜No.20によるロータを用いて、図6に示すようなモータを製造した。
【0348】
このようにして得られた各モータについて、ステータのコイルへの通電操作(通電時間:30秒間、最大回転数:7200rpm)を繰り返し行った。
【0349】
サンプルNo.1〜No.17によるモータ(いずれも本発明)では、駆動時の振動、騒音が比較的小さいものであったのに対し、サンプルNo.19によるモータ(比較例)では、駆動時の振動、騒音が大きかった。これは、圧入時にボンド磁石の一部が削り取られたためにロータのアンバランス量が大きくなっていたことによるものであると考えられる。
【0350】
また、サンプルNo.19によるモータ(比較例)では、上記の通電操作の回数が約30000回目に達する頃から振動、騒音(異音)がさらに激しいものとなった。
【0351】
上記の通電操作を50000回行った後、各モータを分解した。分解した各モータからロータを取り出し、これらの各ロータについて、JIS K 5401に記載の方法に準拠して、24時間暴露試験を実施した。
【0352】
その結果、サンプルNo.18〜No.20によるロータ(いずれも比較例)では、永久磁石周辺に、赤錆等による変色がはっきりと認められた。これに対し、サンプルNo.1〜No.17によるロータ(いずれも本発明)では、永久磁石の周辺には錆等による変色が認められなかった。
【0353】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長期間にわたって安定した特性を発揮することができる永久磁石、モータ用部品、モータを提供することができる。
【0354】
特に、めっき膜に存在する空孔に対して封孔材料を充填するような封孔処理を行うことにより、永久磁石の耐食性、機械的強度が特に優れたものとなる。その結果、永久磁石、モータ用部品、モータの信頼性は、さらに向上する。
【0355】
また、空孔に充填する封孔材料等を適宜選択することにより、永久磁石の耐食性、機械的強度をさらに向上させることができる。
【0356】
また、磁石本体の表面に形成されるめっき膜を、乾式めっき層と湿式めっき層との積層体とした場合、永久磁石の耐食性、機械的強度が向上するとともに、永久磁石の各部位でのめっき膜の厚さのばらつきを小さくすることができる。したがって、このような永久磁石を用いたモータは、軸ぶれによる振動や騒音(異音)を発生しにくいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久磁石の第1実施形態を示す拡大断面図である。
【図2】図1に示す永久磁石の断面斜視図である。
【図3】本発明の永久磁石の第2実施形態を示す断面斜視図である。
【図4】イオンプレーティング装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明のモータ用部品(ロータ)の好適な実施形態を示す断面側面図である。
【図6】図5に示すモータ用部品を有するモータの好適な実施形態を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1……永久磁石 11……磁石本体 12……めっき膜 121……乾式めっき層 122……湿式めっき層 13……封孔部 14……空孔 2……イオンプレーティング装置 21……真空容器 22……真空ポンプ 23……ガス導入ニードル弁 24……抵抗加熱部 25……DCソース 26……高周波発生コイル 27……搭載基盤 28……蒸発源 3……ロータ 31……ハブ 32……スリーブ 321……軸受け部 322……軸受け部 323……溝 33……ヨーク 4……モータ 41……シャフト 42……ステータ 421……コア 422……コイル 43……基部 44……フランジ 45……スラスト受け板

Claims (58)

  1. 磁石本体の表面に、めっき法により、主として金属材料で構成されためっき膜を形成する工程と、
    前記めっき膜の表面付近に存在する空孔に対して封孔処理を施す工程とを有することを特徴とする永久磁石の製造方法。
  2. 前記空孔内に、封孔材料を充填することにより行う請求項1に記載の永久磁石の製造方法。
  3. 前記封孔材料は、主として高分子材料および/またはその前駆物質で構成されたものである請求項2に記載の永久磁石の製造方法。
  4. 前記封孔処理時における前記封孔材料の粘度は、50cps以下である請求項2または3に記載の永久磁石の製造方法。
  5. 前記空孔内に前記封孔材料を充填した後、当該封孔材料を100℃以下の温度で硬化させる請求項2ないし4のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  6. 前記封孔処理は、含浸封孔処理である請求項1ないし5のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  7. 前記封孔処理を、乾式めっき法により行う請求項1ないし6のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  8. 前記封孔処理により、前記空孔内に、主として無機高分子材料で構成された封孔部を形成する請求項1ないし7のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  9. 前記無機高分子材料は、珪酸系高分子材料である請求項8に記載の永久磁石の製造方法。
  10. 前記封孔処理により、前記空孔内に、主として有機高分子材料で構成された封孔部を形成する請求項1ないし7のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  11. 前記有機高分子材料は、ポリパラキシリレン樹脂である請求項10に記載の永久磁石の製造方法。
  12. 前記有機高分子材料は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上を含むものである請求項10または11に記載の永久磁石の製造方法。
  13. 前記封孔処理を減圧雰囲気下で行う請求項1ないし12のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  14. 前記封孔処理を加圧雰囲気下で行う請求項1ないし13のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  15. 前記めっき膜を電解めっきにより形成する請求項1ないし14のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  16. 前記めっき膜は、主として、Niで構成されたものである請求項1ないし15のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  17. 前記めっき膜の平均厚さは、5〜45μmである請求項1ないし16のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  18. 前記磁石本体の外周側に形成された前記めっき膜の厚さをDo[μm]、前記磁石本体の内周側に形成された前記めっき膜の厚さをDi[μm]としたとき、0.2<Di/Do<1.0の関係を満足する請求項1ないし17のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  19. 前記めっき膜は、複数の層の積層体である請求項1ないし18のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  20. 前記めっき膜は、乾式めっき法により形成された乾式めっき層と、前記乾式めっき層の表面側に、湿式めっき法により形成された湿式めっき層とを有する積層体である請求項1ないし19のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  21. 前記乾式めっき層をイオンプレーティング法により形成する請求項20に記載の永久磁石の製造方法。
  22. 前記乾式めっき層は、電気伝導度が2[m・Ω−1・mm−2]以上の材料で構成されたものである請求項20または21に記載の永久磁石の製造方法。
  23. 前記乾式めっき層は、Cu、Al、Pd、Au、Ag、Pb、Sn、Ni、Fe、Co、In、V、Cr、Be、Zn、Ti、Mnから選択される1種または2種以上を含むものである請求項20ないし22のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  24. 前記乾式めっき層の平均厚さは、0.1〜2.5μmである請求項20ないし23のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  25. 前記湿式めっき層を電解めっきにより形成する請求項20ないし24のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  26. 前記湿式めっき層は、主として、Niで構成されたものである請求項20ないし25のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  27. 前記湿式めっき層の平均厚さは、1.5〜45μmである請求項20ないし26のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  28. 前記乾式めっき層の平均厚さをD[μm]、前記湿式めっき層の平均厚さをD[μm]としたとき、0.002<D/D<1.667の関係を満足する請求項20ないし27のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  29. 前記磁石本体は、略円筒状をなすものである請求項1ないし28のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  30. 前記磁石本体の空孔率は、7.0vol%以下である請求項1ないし29のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  31. 前記磁石本体は、磁石粉末を結合樹脂で結合してなるボンド磁石である請求項1ないし30のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  32. 前記磁石粉末は、希土類元素と、遷移金属と、ボロンとを含む組成のものである請求項31に記載の永久磁石の製造方法。
  33. 前記ボンド磁石における前記磁石粉末の含有率は、94〜99wt%である請求項31または32に記載の永久磁石の製造方法。
  34. 前記磁石本体は、面取りされたものである請求項1ないし33のいずれかに記載の永久磁石の製造方法。
  35. 磁石本体と、前記磁石本体の表面に設けられためっき膜と前記めっき膜の表面付近に存在する空孔内に充填されるように形成された封孔部とを有することを特徴とする永久磁石。
  36. 前記封孔部は、主として無機高分子材料で構成されたものである請求項35に記載の永久磁石。
  37. 前記無機高分子材料は、珪酸系高分子材料である請求項36に記載の永久磁石。
  38. 前記封孔部は、主として有機高分子材料で構成されたものである請求項35に記載の永久磁石。
  39. 前記有機高分子材料は、ポリパラキシリレン樹脂である請求項38に記載の永久磁石。
  40. 前記有機高分子材料は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂から選択される1種または2種以上を含むものである請求項38または39に記載の永久磁石。
  41. 前記めっき膜は、主として、Niで構成されたものである請求項35ないし40のいずれかに記載の永久磁石。
  42. 前記めっき膜の平均厚さは、5〜45μmである請求項35ないし41のいずれかに記載の永久磁石。
  43. 前記磁石本体の外周側に設けられた前記めっき膜の厚さをDo[μm]、前記磁石本体の内周側に設けられた前記めっき膜の厚さをDi[μm]としたとき、0.2<Di/Do<1.0の関係を満足する請求項35ないし42のいずれかに記載の永久磁石。
  44. 前記めっき膜は、複数の層の積層体である請求項35ないし43のいずれかに記載の永久磁石。
  45. 前記磁石本体は、略円筒状をなすものである請求項35ないし44のいずれかに記載の永久磁石。
  46. 前記磁石本体の空孔率は、7.0vol%以下である請求項35ないし45のいずれかに記載の永久磁石。
  47. 前記磁石本体は、磁石粉末を結合樹脂で結合してなるボンド磁石である請求項35ないし46のいずれかに記載の永久磁石。
  48. 前記磁石粉末は、希土類元素と、遷移金属と、ボロンとを含む組成のものである請求項47に記載の永久磁石。
  49. 前記ボンド磁石における前記磁石粉末の含有率は、94〜99wt%である請求項47または48に記載の永久磁石。
  50. 前記磁石本体は、面取りされたものである請求項35ないし49のいずれかに記載の永久磁石。
  51. 請求項1ないし34のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする永久磁石。
  52. 請求項35ないし51のいずれかに記載の永久磁石と、前記永久磁石を支持する支持部材とを有することを特徴とするモータ用部品。
  53. 前記永久磁石は、熱カシメまたは圧入により、前記支持部材に固定されている請求項52に記載のモータ用部品。
  54. モータ用部品は、ロータである請求項52または53に記載のモータ用部品。
  55. 請求項35ないし51のいずれかに記載の永久磁石を備えたことを特徴とするモータ。
  56. 請求項52ないし54のいずれかに記載のモータ用部品を備えたことを特徴とするモータ。
  57. 最大回転数が4000rpm以上の領域で用いられる請求項55または56に記載のモータ。
  58. ハードディスクドライブに用いられる請求項55ないし57のいずれかに記載のモータ。
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