JP2005039255A - 希土類永久磁石、回転機ならびに風力発電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の被覆に比べて耐食性に優れた被覆を有する希土類永久磁石を提供する。
【解決手段】 R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、前記樹脂膜は電着塗装膜と前記電着塗装膜に被覆された静電粉体塗装膜を有することを特徴とする希土類磁石を用いる。前記静電粉体塗装膜は前記電着塗装膜よりもTi若しくはCaの少なくとも1種の元素を多く含有することが望ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は回転機や発電機に使用される希土類永久磁石に関し、特に耐食性に優れた樹脂膜を有する希土類永久磁石に関する。
R−TM−B系永久磁石は、含有されるFeがSm−Co系磁石に含まれるCoより安価で埋蔵量が多いこと、および磁気特性が高いことから、Sm−Co系磁石に置き換わってきた。しかし、きわめて錆びやすいために耐食性改善のため、永久磁石の表面に耐酸化性の被膜を形成する(例えば、特許文献1)。また、永久磁石に直接粉体塗装を行う技術も紹介されている(例えば、特許文献2)。また、他の永久磁石の表面処理として耐食性に優れるNiメッキ、樹脂塗装、Al蒸着が広く使用されている。
特開平8−279407号公報(第2〜3頁) 特開2002−270415号公報(第2〜3頁)
永久磁石を回転機に用いる需要が広がっていくにつれて、海岸地帯や砂漠地帯等のように非常に厳しい環境で回転機や発電機が長時間使用される場合がある。特に、回転機や発電機の大型化または高所での使用により、定期的な発錆のチェックまたは不具合発生時の交換が容易に出来ない為、20年間メンテナンスフリーというような従来には無かった耐久性が要求されている。このような過酷な条件に耐えるには、塩水噴霧試験で長時間の耐食性を示すことが望ましい。
しかしながら、特許文献1から塩水噴霧試験で長時間の耐食性を示す構成を得ることは難しい。スプレーコーティング、電着塗装、あるいは樹脂蒸着等の単層膜で永久磁石を被覆することも考えられるが、耐食性が不十分なため採用できない。また、静電粉体塗装の単層膜を永久磁石に被覆した場合、膜厚が一定レベル以下では十分な耐食性を得ることが難しい。膜厚を厚くすると密着性が劣化するので、結果として十分な耐食性を得られない。特許文献2から塩水噴霧条件試験で長時間の耐食性を示す構成を得ることは難しい。スプレーコーティングの多層膜化はコストアップにつながるために現実的ではない。
そこで、本発明の目的は、従来の被覆に比べて耐食性に優れた被覆を有する希土類永久磁石、および前記希土類永久磁石を用いた回転機ならびに風力発電機を提供することである。
本発明の希土類永久磁石は、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、
前記樹脂膜は、電着塗装膜と、前記電着塗装膜に被覆された静電粉体塗装膜を有することを特徴とする。
より詳細には電着塗装膜と静電粉体塗装膜からなる2層膜で希土類磁石を被覆することが望ましい。静電粉体塗装膜と永久磁石の間に電着塗装膜を設けることで、高い密着性を得ると共に樹脂膜全体の耐食性を向上させることができる。
本発明の他の希土類永久磁石は、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、
前記樹脂膜は、第1の樹脂膜と、前記第1の樹脂膜に被覆された第2の樹脂膜を有し、
前記第1の樹脂膜および前記第2の樹脂膜は金属元素M(MはAl、Si、Ti、Sn、Fe、Caから選ばれる少なくとも1種である)を含有し、
前記第2の樹脂膜は前記第1の樹脂膜よりも金属元素Mを多く含有することを特徴とする。
前記第1の樹脂膜は電着塗装で形成され、前記第2の樹脂膜は静電粉体塗装で形成されることが望ましい。より具体的には前記第1の樹脂膜および前記第2の樹脂膜は、例えば、Al、SiO、TiO、Fe、SnO、CaCOから選ばれる少なくとも1種の化合物を添加剤として原料に配合して塗装・硬化された膜であることが望ましい。添加剤を配合する際に第1の樹脂膜よりも第2の樹脂膜に多く配合すると絶縁膜の耐食性が更に良くなる。ただし、金属元素Mの含有量が多いと永久磁石との密着性が低下する。そこで、第2の樹脂膜には金属元素Mを多く含有させて耐食性向上を図り、第1の樹脂膜には金属元素Mを第1の樹脂膜よりも少なく含有させて永久磁石との密着性を維持することが望ましい。金属元素Mの含有量は、各々の樹脂膜をSEM−EDX等で組成分析し、単位質量当たりに含有される金属元素Mの合計質量に相当する。
本発明の他の希土類永久磁石は、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、
前記樹脂膜は、第1の樹脂膜と、前記第1の樹脂膜に被覆された第2の樹脂膜を有し、
前記第2の樹脂膜は前記第1の樹脂膜よりもTi若しくはCaの少なくとも1種の元素を多く含有することを特徴とする。
前記第2の樹脂膜では、金属元素Mのうち、特にTiやCaの含有率を多く含有させることが膜質および耐食性を更に向上させる上で好ましい。他方、前記第1の樹脂膜ではTiやCaの含有率を前記第2の樹脂膜よりも低くして耐食性よりも密着性を高めることが重要である。
上記本発明のいずれかの希土類永久磁石は、5%NaCl溶液を35℃で噴霧する塩水噴霧試験で2400時間以上の耐食性を有することを特徴とする。すなわち、2400時間経過しても樹脂膜フクレや発錆がない。本発明の回転機は、上記いずれかの希土類永久磁石を備えることを特徴とする。また、本発明の風力発電機は、上記いずれかの希土類永久磁石を備えることを特徴とする。本発明に係る希土類永久磁石を搭載することにより、回転機若しくは風力発電機を高耐食性の要求される場所で用いることができる。好ましくは前記希土類永久磁石をローターに組み込んで回転機若しくは発電機を構成する。
本発明の構成により、従来に比べて飛躍的に耐食性を向上させた被覆を有する希土類永久磁石、および前記希土類磁石を用いた回転機ならびに風力発電機を提供することができる。
本発明において、前記電着塗装膜(もしくは第1の樹脂膜)は、平均膜厚を5〜50μmにすることが好ましい。電着塗装膜の膜厚を薄くしすぎると、静電粉体塗装膜の膜質や密着性に影響する。したがって、電着塗装膜は平均膜厚を5μm以上にすることが望ましい。成膜時間が長くなりすぎると工数が増大するので平均膜厚の上限を50μm以下にすることが望ましい。なお、平均膜厚は、永久磁石や磁気ヨークを平坦な面で切断し、樹脂膜の断面を観察して少なくとも10箇所で膜厚を測定し、それらを平均した値とする。好ましくは20箇所で測定した膜厚の平均値とする。
高い耐食性(耐塩水噴霧性)を長時間保持するには、静電粉体塗装膜(もしくは第2の樹脂膜)の平均膜厚を80μm以上にすることが望ましい。このような厚膜にすることで塩水噴霧試験で2400時間経過しても問題のない耐食性を得ることができる。膜厚を大きくしすぎると均一な厚さに形成することが難しくなるので、望ましくは静電粉体塗装膜の膜厚を120μm以下にする。静電粉体塗装膜におけるTi若しくはCaの含有量を電着塗装膜よりも高くすると更なる耐食性の向上につながる。
前記樹脂膜(好ましくは電着塗装膜と静電粉体塗装膜からなる2層膜)の平均膜厚を100〜140μmの範囲内にすることが望ましい。樹脂膜の厚さを大きくし過ぎると磁気回路に組み込んだときに無視できない大きさの磁気ギャップとなる。したがって、磁気回路の都合上、磁気ギャップを大きくしすぎない方が良い用途(回転機、発電機など)では、樹脂膜の平均膜厚を140μm以下にすることが望ましい。他方、高い耐食性と密着性の双方を得るためには樹脂膜の平均膜厚を100μm以上とすることが望ましい。
本願明細書において“電着塗装”とは電着塗装用の溶液に永久磁石を浸漬して、永久磁石と溶液槽内電極の間に電圧を印加して、永久磁石表面に塗料を析出させる手法を指す。その後、熱処理すると塗料が被膜(電着塗装膜)になる。電着塗装の方式としては、カチオンタイプまたはアニオンタイプから選定された方式を用いることができる。電着塗料としてはエポキシウレタン系、エポキシ系、アクリル系から選定された材料を用いることができる。このうち、電着塗装はエポキシ系のカチオンタイプで行うことが望ましい。アニオンタイプは、電着初期に永久磁石が溶液に溶解することがあるため、できるかぎりカチオンタイプにすることが望ましい。
“静電粉体塗装”とは永久磁石を電気的に接地(アース)し、塗装ガンに負の高電圧を与え、微粒子(例えば、粉体塗料である高分子量の合成樹脂粒子)を塗装ガンで負に帯電させてから永久磁石に吹き付けて、静電引力で微粒子を永久磁石に付着させる手法を指す。その後、熱処理すると微粒子が被膜(静電粉体塗装膜)になる。いわゆる粉体を吹き付ける粉体塗装の1つであり、溶液(溶媒)を用いる電着塗装とは異なる。
静電粉体塗料としてはエポキシ/ポリエステル系、ポリエステル系、アクリル/ポリエステル系、ポリイミド系、ポリアミドイミド系から選定された材料を用いる。これらのうち、静電粉体塗装はエポキシ/ポリエステル系の材料で行うことが望ましい。粉体塗装時の印加電圧(放電電圧)は−50kV〜−100kVが適当である。静電粉体塗装に用いる粉体塗料は、平均粒径が30〜50μmであることが望ましい。より望ましくは、最大粒径が80μmである粉体塗料を用いる。平均粒径は任意に抽出した少なくとも20個の粒子で粒径を測定した平均値とする。粒子形状が楕円粒子や不定形粒子の場合には最長径と最短径の平均値をその粒子の粒径として換算する。
前記樹脂膜における金属元素Mの組成分析は、前記樹脂膜を被覆した永久磁石を切断し、露出した樹脂膜断面をSEM−EDXで測定する。金属元素Mの含有量が異なるので、第1の樹脂膜(電着塗装膜)と第2の樹脂膜(静電粉体塗装膜)を判別することができる。
前記樹脂膜は、希土類磁石やヨーク等を組み合わせてアッセンブリー(組立体)を構成する場合にも被覆として利用することができる。例えば、複数の永久磁石に電着塗装を施し、永久磁石同士を接着してから静電粉体塗装を行う。電着塗装膜により永久磁石間の絶縁性は十分保持され、渦電流を抑制できる。他の例としては、電着塗装と静電粉体塗装を行った磁性ヨークに、電着塗装と静電粉体塗装を行った永久磁石を接着して、磁気回路を構成することができる。前記磁気回路は、例えば、回転機の一部として用いられる。同様に他の磁気回路にも電着塗装と静電粉体塗装からなる被覆を適用することができる。さらに他の例としては、複数の永久磁石に電着塗装を行った後、永久磁石同士を接着して組立体を得る。この組立体を、電着塗装を行った磁性ヨークに接着し、その後、前記組立体及び磁性ヨークに静電粉体塗装を行う。
アッセンブリーでは、永久磁石表面に電着塗装膜を施した後に接着するため、厚さ50μm未満の薄い接着層でも、永久磁石同士は絶縁され、導通の問題は発生しない。もし、電着塗装を施さずに永久磁石同士を接着すると、導通の問題を回避するためには永久磁石表面の凹凸と永久磁石表面同士の傾きを考慮し、接着層の厚さを50μm以上にする必要がある。接着層厚さ50μm未満では接着層に阻まれず永久磁石の一部が直に接触して導通し、渦電流損失の原因となることがある。
電着塗装後に永久磁石同士を接着して、ついで静電粉体塗装を行うと、組み立て時に電着塗装膜上に若干のキズがあったとしても、静電粉体塗装により完全に覆われる。電着塗装膜表面の平坦化処理が不要である。電着塗装膜と静電粉体塗装膜は界面で互いに補完し合い、密着性を高めている。
電着塗装と静電粉体塗装の間には特別な処理は必要でないが、電着塗装膜に油脂が付着するような場合には、静電粉体塗装前にアルコール等で電着塗装した永久磁石の表面を脱脂する。電着塗装の前には化成処理等の前処理を永久磁石に施すことが望ましい。化成処理前の永久磁石に油脂が付着する工程を有する場合には苛性ソーダ等で脱脂を行っても良い。また、化成処理の工程の一部として酸による前処理を行うこともある。化成処理の種類としてはクロメート処理若しくはリン酸系処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。なお、硝酸等の酸を使用した処理でも一定の効果を得られるが、表面に化成被膜を形成しない。
本発明で樹脂膜を被覆する永久磁石は、焼結法、溶湯急冷法あるいはその変形法のいずれの方法で作製されたものでも良い。例えば、R−TM−B系焼結磁石に限定されず、RTM14B型金属間化合物を主相として且つ平均粒径が0.01〜0.5μmであるR−TM−B系温間加工磁石に上記樹脂膜を被覆したものを包含する。また、RTM14B型金属間化合物を主相とする鋳造合金に熱間加工を施して異方性を付与したR−TM−B系永久磁石に樹脂膜を被覆したものを包含する。永久磁石の素材は、焼結体を所定の寸法に研削したもの、或いは研削後に熱処理を施したもののいずれであっても良い。
樹脂膜を被覆する永久磁石は、例えば、主要成分のR´とTM´とBの合計を100mass%として、R´:24〜34mass%(R´はYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Nd,Dy及びPrの少なくとも1種を必ず含む)、B:0.6〜1.8mass%、TM´:残部(TM´はFeまたはFe及びCoである)の組成であることが望ましい。R´量が24mass%未満では保磁力iHcが著しく低下し、34mass%を超えると残留磁束密度Brが著しく低下する。B量は0.6〜1.8mass%が好ましく、0.8〜1.5mass%がさらに好ましい。B量が0.6mass%未満では実用に耐えるiHcが得られず、1.8mass%超ではBrが著しく低下する。より好ましくは、R´:27〜32mass%、B:0.6〜1.8mass%、Co:0.0001〜20mass%(より好ましくは0.3〜5mass%)、M:0.001〜3mass%(MはAl、Si、Cu、Ga、Nb、Mo、Wのうちの少なくとも1種である)、残部Feの組成とする。なお、永久磁石組成のmass%とは、永久磁石の単位質量あたりに含有される元素の質量を百分率で表わしたものである。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、これら実施例により必ずしも本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
電着塗装膜と静電粉体塗装膜を被覆した永久磁石の試料を次のように作製した。(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co)14B型金属間化合物を主相とするNd−Pr−Dy−Fe−Co−Al−Ga−Cu系の焼結型の永久磁石を作製した。この永久磁石の室温における磁気特性はBr=1.3T(即ち13kG)、iHc=1.35MA/m(即ち17kOe)、(BH)max=326kJ/m(即ち41MGOe)であった。次に、前記永久磁石を20mm×18mm×7mmの長方形形状に加工後、バレル研磨を施した。ついで永久磁石を水溶性防錆剤に浸漬後、約60℃に加温して乾燥した。乾燥した永久磁石をイオン交換水で希釈して、60℃に加温したリン酸亜鉛溶液に10分間浸漬した後、イオン交換水で20秒間洗浄する工程を3回繰り返し、その後、熱風乾燥炉にて十分に乾燥した。ついで、治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。
電着塗料には添加剤としてAl、SiO、TiO、SnO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の電着塗装膜において、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:15mass%、Si:20mass%、Ti:55mass%、Sn:4mass%、Fe:5.6mass%、Ca:0.4mass%となった。添加金属元素の含有割合は同様の条件で作製したダミーサンプルを切断し、断面をSEM−EDXで組成分析することで確認した。電着塗装を行った後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。電着塗装膜の膜厚は20μmになった。治具の接触した部分は2液性エポキシ塗料を用いて被覆・保護した。
その後、再度治具にセットし、静電粉体塗装を行った。治具で吊るした永久磁石(電着塗装済み)に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ−ポリエステル樹脂(商品名:イノバックスH)を用いた。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。この粉体材料には添加剤としてAl、SiO、TiO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の静電粉体塗装膜において、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:2mass%、Si:3mass%、Ti:77mass%、Fe:3mass%、Ca:15mass%となった。添加金属元素の含有割合は同様の条件で作製したダミーサンプルを切断し、断面をSEM−EDXで組成分析することで確認した。静電粉体塗装用の粉体材料に加えた添加剤の質量は、電着塗装用の電着塗料に加えた添加剤の質量の2倍にした。Ti及びCaの含有量は静電粉体塗装膜の方が電着塗装膜よりも多い。静電粉体塗装を行った後、170℃で20分間保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は電着塗装と合わせて合計120μmとした。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護し、永久磁石の試料を得た。
(実施例2)
電着塗装膜及び静電粉体塗装膜からなる樹脂膜を別々に被覆した永久磁石と磁気ヨークを接着したアッセンブリーの試料を次のように作製した。(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co)14B型金属間化合物を主相とするNd−Pr−Dy−Fe−Co−Al−Ga−Cu系の焼結型の永久磁石を作製した。この永久磁石の室温における磁気特性はBr=1.3T(即ち13kG)、iHc=1.35MA/m(即ち17kOe)、(BH)max=326kJ/m(即ち41MGOe)であった。次に、前記永久磁石を20mm×18mm×7mmの長方形形状に加工後、バレル研磨を施した。ついで永久磁石を水溶性防錆剤に浸漬後、約60℃に加温して乾燥した。乾燥した永久磁石をイオン交換水で希釈して、60℃に加温したリン酸亜鉛溶液に10分間浸漬した後、イオン交換水で20秒間洗浄する工程を3回繰り返し、その後、熱風乾燥炉にて十分に乾燥した。その後、治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。
電着塗料には添加剤としてAl、SiO、TiO、SnO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の電着塗装膜において、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:15mass%、Si:mass20%、Ti:55mass%、Sn:4mass%、Fe:5.6mass%、Ca:0.4mass%となった。添加金属元素の含有割合は同様の条件で作製したダミーサンプルを切断し、断面をSEM−EDXで組成分析することで確認した。電着塗装を行った後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。電着塗装膜の膜厚は20μmとなった。治具の接触した部分は2液性エポキシ塗料を用いて被覆・保護した。
この電着塗装膜を被覆した永久磁石を6個用いて、それぞれを18mm×7mmの面で対向させて接着剤(商品名:ロックタイトAV138)を介して接着した(接着品)。その後、再度治具にセットして静電粉体塗装を行った。治具で吊るした接着品に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ−ポリエステル樹脂(商品名:イノバックスH)を用いた。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。粉体材料には添加剤としてAl、SiO、TiO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の静電粉体塗装膜において、添加金属元素の質量分析を行ったところ、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:2mass%、Si:3mass%、Ti:77mass%、Fe:3mass%、Ca:15mass%となった。静電粉体塗装用の粉体材料に加えた添加剤の質量は、電着塗装用の電着塗料に加えた添加剤の質量の2倍にした。Ti及びCaの含有量は静電粉体塗装膜の方が電着塗装膜よりも多い。静電粉体塗装を行った後、170℃で20分間保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は電着塗装膜と合わせて合計120μmとなった。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護した。
さらに、前記永久磁石とは別に150mm×25mm×7mmの鉄材を準備した。治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。電着塗料に加える添加剤は永久磁石の場合と同条件にした。その後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。電着塗装膜の膜厚は20μmとなった。治具の接触した部分は2液性エポキシ塗料を用いて被覆・保護した。その後、治具にセットし、静電粉体塗装を行った。治具で吊るした鉄材に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ−ポリエステル樹脂(商品名:イノバックスH)を用いた。粉体材料に加える添加剤は永久磁石の場合と同条件にした。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。塗装後、170℃で20分間保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は電着塗装膜と合わせて合計120μmとした。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料にて被覆・保護した。ついで、先に準備した永久磁石とこの鉄材をシリコン系接着剤(東レダウコーニング製、商品名:SE1750)を介して接着してアッセンブリーの試料を得た。
(実施例3)
電着塗装膜を被覆した永久磁石と磁気ヨークを接着した後に静電粉体塗装で被覆した試料を次のように作製した。(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co)14B型金属間化合物を主相とするNd−Pr−Dy−Fe−Co−Al−Ga−Cu系の焼結型の永久磁石を作製した。この永久磁石の室温における磁気特性はBr=1.3T(即ち13kG)、iHc=1.35MA/m(即ち17kOe)、(BH)max=326kJ/m(即ち41MGOe)であった。次に、前記永久磁石を20mm×18mm×7mmの長方形形状に加工後、バレル研磨を施した。ついで永久磁石を水溶性防錆剤に浸漬後、約60℃に加温して乾燥した。乾燥した永久磁石をイオン交換水で希釈して、60℃に加温したリン酸亜鉛溶液に10分間浸漬後、イオン交換水で20秒間洗浄する工程を3回繰り返し、その後、熱風乾燥炉にて十分に乾燥した。ついで、治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。
電着塗料には添加剤としてAl、SiO、TiO、SnO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の電着塗装膜において、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:15mass%、Si:20mass%、Ti:55mass%、Sn:4mass%、Fe:5.6mass%、Ca:0.4mass%となった。電着塗装を行った後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。電着塗装膜の膜厚は20μmとなった。治具の接触した部分は2液性エポキシ塗料を用いて被覆・保護した。この被覆した永久磁石を6個用意し、接着剤(商品名:ロックタイトAV138)を介して18mm×7mmの面で互いに結合して1個の接着品とした。
さらに、前記接着品とは別に150mm×25mm×7mmの鉄材を準備した。治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。電着塗料に加える添加剤は永久磁石の場合と同条件にした。その後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。電着塗装膜の膜厚は20μmとなった。治具の接触した部分は2液性エポキシ塗料を用いて被覆・保護した。ついで、先に準備した永久磁石の接着品に鉄材をエポキシ系接着剤(商品名:ロックタイトAV138)を介して接着した。その後、再度治具にセットして静電粉体塗装を行った。治具で吊るした接着品及び鉄材に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ−ポリエステル樹脂(商品名:イノバックスH)を用いた。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。
粉体材料には添加剤としてAl、SiO、TiO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の静電粉体塗装膜において、添加金属元素の質量分析を行ったところ、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:2mass%、Si:3mass%、Ti:77mass%、Fe:3mass%、Ca:15mass%となった。静電粉体塗装用の粉体材料に加えた添加剤の質量は、電着塗装用の電着塗料に加えた添加剤の質量の2倍にした。Ti及びCaの含有量は静電粉体塗装膜の方が電着塗装膜よりも多い。塗装後、170℃で20分間保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は電着塗装膜と合わせて合計120μmとした。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護し、アッセンブリーの試料を得た。
(実施例4)
実施例1とは静電粉体塗装の組成を変えて、電着塗装膜/静電粉体塗装膜を被覆した永久磁石の試料を次のように作製した。実施例1と同じ条件で電着塗装膜を被覆した永久磁石を作製した。その後、再度治具にセットし、静電粉体塗装を行った。治具で吊るした永久磁石(電着塗装済み)に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ樹脂(商品名:エピフォーム)を用いた。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。
粉体材料には添加剤としてAl、SiO、TiO、Fe、CaCOを配合したものを用いた。硬化後の静電粉体塗装膜において、単位質量当たりに含まれる添加金属元素の合計を100mass%としたときにAl:4mass%、Si:5mass%、Ti:70mass%、Fe:3mass%、Ca:18mass%となった。添加金属元素の含有割合は同様の条件で作製したダミーサンプルを切断し、断面をSEM−EDXで組成分析することで確認した。静電粉体塗装用の粉体材料に加えた添加剤の質量は、電着塗装用の電着塗料に加えた添加剤の質量の2倍にした。Ti及びCaの含有量は静電粉体塗装膜の方が電着塗装膜よりも多い。静電粉体塗装を行った後、170℃で20分間保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は電着塗装と合わせて合計120μmとした。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護し、永久磁石の試料を得た。
(実施例5)
実施例1よりも静電粉体塗装膜の厚さを薄くして永久磁石の試料を次のように作製した。(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co)14B型金属間化合物を主相とするNd−Pr−Dy−Fe−Co−Al−Ga−Cu系の焼結型の永久磁石を作製した。この永久磁石の室温における磁気特性はBr=1.3T(即ち13kG)、iHc=1.35MA/m(即ち17kOe)、(BH)max=326kJ/m(即ち41MGOe)であった。次に、前記永久磁石を20mm×18mm×7mmの長方形形状に加工後、バレル研磨を施した。ついで永久磁石を水溶性防錆剤に浸漬後、約60℃に加温して乾燥した。乾燥した永久磁石をイオン交換水で希釈して、60℃に加温したリン酸亜鉛溶液に10分間浸漬後、イオン交換水で20秒間洗浄する工程を3回繰り返し、その後、熱風乾燥炉にて十分に乾燥した。ついで、治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。電着塗料に加える添加剤は実施例1と同条件にした。
電着塗装を行った後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。電着塗装膜の膜厚は20μmとなった。治具の接触した部分は2液性エポキシ塗料を用いて被覆・保護した。その後、再度治具にセットして静電粉体塗装を行った。治具で吊るした永久磁石に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ−ポリエステル樹脂(商品名:イノバックスH)を用いた。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。静電粉体塗装の粉体材料に加える添加剤は実施例1と同条件にした。塗装後170℃で20分保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は電着塗装膜と合わせて合計70μmとした。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護し、永久磁石の試料を得た。
(比較例1)
電着塗装膜を被覆した永久磁石の試料を次のように作製した。(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co)14B型金属間化合物を主相とするNd−Pr−Dy−Fe−Co−Al−Ga−Cu系の焼結型の永久磁石を作製した。この永久磁石の室温における磁気特性はBr=1.3T(即ち13kG)、iHc=1.35MA/m(即ち17kOe)、(BH)max=326kJ/m(即ち41MGOe)であった。次に、前記永久磁石を20mm×18mm×7mmの長方形形状に加工後、バレル研磨を施した。ついで永久磁石を水溶性防錆剤に浸漬後、約60℃に加温して乾燥した。乾燥した永久磁石をイオン交換水で希釈して、60℃に加温したリン酸亜鉛溶液に10分間浸漬後、イオン交換水で20秒間洗浄する工程を3回繰り返し、その後、熱風乾燥炉にて十分に乾燥した。ついで、治具にセットし、アミノ変成エポキシ樹脂の電着塗料(商品名:パワニクス)の溶液に浸漬し、180Vの電圧を3分間印加して電着塗装膜を形成した。その後、190℃にて20分間保持して焼き付け硬化を行った。膜厚は20μmとした。治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護し、永久磁石の試料を得た。
(比較例2)
静電粉体塗装膜を被覆した永久磁石の試料を次のように作製した。(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co)14B型金属間化合物を主相とするNd−Pr−Dy−Fe−Co−Al−Ga−Cu系の焼結型の永久磁石を作製した。この永久磁石の室温における磁気特性はBr=1.3T(即ち13kG)、iHc=1.35MA/m(即ち17kOe)、(BH)max=326kJ/m(即ち41MGOe)であった。次に、前記永久磁石を20mm×18mm×7mmの長方形形状に加工後、バレル研磨を施した。ついで永久磁石を水溶性防錆剤に浸漬後、約60℃に加温して乾燥した。乾燥した永久磁石をイオン交換水で希釈して、60℃に加温したリン酸亜鉛溶液に10分間浸漬後、イオン交換水で20秒間洗浄する工程を3回繰り返し、その後、熱風乾燥炉にて十分に乾燥した。ついで、治具にセットして静電粉体塗装を行った。治具で吊るした永久磁石に対して塗装ガンによって粉体材料の微粒子を吐出エアー圧力2×10Pa(即ち2kg/cm)で吹き付け、塗装した。静電粉体塗装の粉体材料にはエポキシ−ポリエステル樹脂(商品名:イノバックスH)を用いた。塗装ガンを帯電させるための印加電圧は−60kVとした。静電粉体塗装の粉体材料に加える添加剤は実施例1と同条件にした。静電粉体塗装を行った後、170℃で20分保持して塗膜を加熱硬化して静電粉体塗装膜を得た。膜厚は70μmとした。その後、治具の接触した部分を2液性エポキシ塗料で被覆・保護し、永久磁石の試料を得た。
以上のように作製した試料について、下記要領で塩水噴霧試験を行った。試験にはスガ試験機(CASSER−ISO−3H)を用いて5%NaCl溶液を35℃で試料に噴霧した。これらの評価結果を表1に示した。平板状の永久磁石の面(アッセンブリーでは磁性ヨークに接着した側とは反対の面)について、錆による変色や塗膜の膨れの有無を目視で確認した。
Figure 2005039255
上記の結果より明らかなように、実施例1、2、3および4ともに耐食性が向上し、2400時間試験を行っても錆を生じなかった。すなわち、5%NaCl溶液を35℃で噴霧する塩水噴霧試験で2400時間以上の耐食性を有することが分かった。防錆性に優れた永久磁石やアッセンブリーとして十分に用いることができる。1層目の電着塗装膜に比べて2層目の静電粉体塗装膜は酸化チタン(TiO)を多く配合しているために耐食性が高い。塩水噴霧に対する長期間の耐食性を得るためには合計膜厚を大きくすべきことが分かった。
実施例5は1500時間で発錆したが、比較例1や2に比べれば耐食性は高い。長期間の厳しい耐食性が求められる用途以外であるならば、比較例1や2では不十分であっても実施例5の構成を被膜として用いることは実用上可能である。
(実施例6)
図1は実施例3の永久磁石付きアッセンブリーの断面図である。事前に電着塗装膜1aを被覆した平板状の磁性ヨーク1と電着塗装膜2aを被覆した矩形の永久磁石2を用い、前記磁性ヨーク1にエポキシ系接着剤1bを介して4個の前記永久磁石2を接着した後、磁性ヨーク1及び永久磁石2を静電粉体塗装膜3aで被覆したアッセンブリー3である。永久磁石2の厚さに比べて電着塗装膜2aあるいは静電粉体塗装膜3aあるいはエポキシ系接着剤1bの厚さは十分に薄いが、分かり易くするために厚さを強調して図示した。永久磁石2を1列に並べた配列方向がアッセンブリー3の長手方向に相当する。外側からみた永久磁石の被覆である電着塗装膜/静電粉体塗装膜の厚さの組合せとして、5μm/120μm、10μm/110μm、30μm/100μm、50μm/90μmの各々について試料を作製して耐食性試験を行ったところ、実施例1〜3と同様に良好な耐食性を得た。耐食性を評価した箇所は、図1の矢印で示した側について行った。発錆の有無は2層の塗膜をはがした永久磁石表面で観察し、フクレは2層の塗膜の表面で観察した。発錆については、同条件で複数の試料を作製し、塩水噴霧の時間のみを変えて試験を行って確認した。
(実施例7)
図2は図1の永久磁石付きアッセンブリーを用いた回転機の概略断面図である。この回転機10は、回転子5の外周面を周回するように複数個のアッセンブリー3を配列させたローターと、前記ローターに対してギャップを介して対向すると共にローターを取り巻くように配置したステータ7を備える。ステータ7は磁界印加用ヨークとそれに巻かれたコイルで構成した。複数個のアッセンブリ−3は、円筒状の回転子を取り巻くように所定の間隔を空けて配列・固定させた。アッセンブリー3の長手方向は回転子のシャフト6の軸方向と平行にした。図2は断面図であるが、アッセンブリーの詳細を見やすくするため、部材断面のハッチングを省略した。この回転機は、コイルに流す電流を制御することで、ステータ7に界磁させて永久磁石付きのローターを回転させる。ローターのシャフト6は、ベアリング9を介して筐体8内に回転自在に支持させた。この回転機10を塩霧の多い海岸の近くでポンプ用モーターとして用いたところ、内部に設置された永久磁石は腐食することなく十分な耐食性を得られることが分かった。
(比較例3)
比較例1の永久磁石を被覆付き鉄材(ヨーク)に接着してアッセンブリーを構成し、実施例7と同様の回転機のローターに組み込んで比較例3の回転機を構成した。塩霧の多い海岸の近くでポンプ用モーターとして用いたところ、内部に設置された永久磁石を被覆する樹脂膜にフクレを生じたので長期間にわたって使用することは困難であることがわかった。
(実施例8)
図3に実施例3の永久磁石付きアッセンブリーを用いた風力発電機の概略断面図を示す。この風力発電機は、実施例1の被覆を施した永久磁石およびアッセンブリーをローターに組み込んだ発電機11にギアボックス12およびシャフト14を介してプロペラ15を接続したものである。発電機11とギアボックス12は筐体13中に格納・固定した。前記筐体は風向きに応じてプロペラ15の向きを変更できるようにピラー16に支持させた。風によりプロペラ15が回ると、シャフト14及びギアボックス12を介して回転が発電機に伝わり、発電することができた。この風力発電機を海岸近くに設置したところ、永久磁石を被覆させた樹脂膜にフクレ等の不具合が発生することなく長期間使用することができた。
(比較例4)
比較例2の永久磁石を被覆付き鉄材(ヨーク)に接着してアッセンブリーを構成し、実施例8と同様の風力発電機に組み込んだ。この風力発電機を海岸近くに設置したところ、永久磁石を被覆させた樹脂膜にフクレ等の不具合が発生したので、長期間使用することは困難であることがわかった。
本発明は耐食性に優れた樹脂膜を有する希土類永久磁石およびそれを用いた回転機もしくは風力発電機として利用することができる。
本発明に係る永久磁石を有するアッセンブリーの断面図である。 本発明に係る永久磁石を用いた回転機の概略断面図である。 本発明に係る永久磁石を用いた風力発電機の概略断面図である。
符号の説明
1 磁性ヨーク、 2 永久磁石、 3 アッセンブリー、
1a 電着塗装膜、1b エポキシ系接着剤、 2a 電着塗装膜、
3a 静電粉体塗装膜、
5 回転子、 6 シャフト、 7 ステータ、 8 筐体、
9 ベアリング、 10 回転機、 11 発電機、 12 ギアボックス、
13 筐体、 14 シャフト、 15 プロペラ、 16 ピラー

Claims (6)

  1. R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、
    前記樹脂膜は、電着塗装膜と、前記電着塗装膜に被覆された静電粉体塗装膜を有することを特徴とする希土類永久磁石。
  2. R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、
    前記樹脂膜は、第1の樹脂膜と、前記第1の樹脂膜に被覆された第2の樹脂膜を有し、
    前記第1の樹脂膜および前記第2の樹脂膜は金属元素M(MはAl、Si、Ti、Sn、Fe、Caから選ばれる少なくとも1種である)を含有し、
    前記第2の樹脂膜は前記第1の樹脂膜よりも金属元素Mを多く含有することを特徴とする希土類永久磁石。
  3. R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)、TM(TMはFeまたはFe及びCoである)及びBを主成分とするR−TM−B系永久磁石と、前記R−TM−B系永久磁石に被覆された樹脂膜を有し、
    前記樹脂膜は、第1の樹脂膜と、前記第1の樹脂膜に被覆された第2の樹脂膜を有し、
    前記第2の樹脂膜は前記第1の樹脂膜よりもTi若しくはCaの少なくとも1種の元素を多く含有することを特徴とする希土類永久磁石。
  4. 5%NaCl溶液を35℃で噴霧する塩水噴霧試験で2400時間以上の耐食性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の希土類永久磁石。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の希土類永久磁石を備えることを特徴とする回転機。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の希土類永久磁石を備えることを特徴とする風力発電機。
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