JP2004064834A - ボンド磁石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボンド磁石10では、本体部10aの軸方向一端に、本体部10aの外径より小さな外径の小径凸部10bが一体成形される。ボンド磁石10は、小径凸部10bが成形されていない他端をフランジ12aに当接した状態でリング状ヨーク12に内挿された際に、磁石外周面とヨーク内周面との間に僅かな隙間Sが画成される。そしてボンド磁石10は、磁石外周面またはヨーク内周面の何れか一方、または両方に塗布されて隙間Sを埋める接着剤14によりリング状ヨーク12の内周部に接着固定される。ボンド磁石10をリング状ヨーク12に内挿した際に、小径凸部10bの外周面とリング状ヨーク12の内周面との間に、隙間Sからはみ出した余分な接着剤14を溜める溜まり部16が画成される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボンド磁石に関し、更に詳細には、リング状ヨークの内周部に接着剤で接着固定されるリング状のボンド磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばコンピュータに使用される小型モータでは、経済性、磁気特性、寸法精度等の観点から、磁性粉末を樹脂材料と混合してリング状に圧縮成形した高速回転用のボンド磁石が好適に使用されている。このボンド磁石は、強磁性のリング状ヨークの内周部に接着固定して磁気回路を構成した状態で、前記小型モータに組込まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、前記小型モータには極めて高い組立精度が求められており、前記ボンド磁石の外径とリング状ヨークの内径との差、すなわちリング状ヨークにボンド磁石を内挿した際のヨーク内周面と磁石外周面との間に画成される隙間を小さくする傾向にある。このようにボンド磁石とリング状ヨークとの隙間が小さく設定されると、両者を接着するための接着剤の塗布量も対応して少なくする必要がある。しかし、接着剤の微小塗布量のコントロールは難しく、接着剤が隙間からヨーク外部にはみ出して寸法公差を損なう等の不良が多発するおそれがある。
【0004】
また圧縮成形されたボンド磁石は、その成形原理上、外周が軸方向にテーパー状となっており、その小径側端からのリング状ヨークへの挿入は容易であるが、大径側端からの挿入は困難である。しかし、小径側端と大径側端との外径の差は僅かであり、見た目には何れの端が小径側端であるのかが判断できず、作業者はボンド磁石をリング状ヨークに実際に挿入しようとすることで、初めてその端が小径側端であるか否かが分かるものであった。従って、ボンド磁石がリング状ヨークに容易に挿入し得ない場合(大径側端から挿入しようとした場合)は、該ボンド磁石を反転して再び挿入作業を行なわなければならず、極めて作業性に劣る難点が指摘される。
【0005】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、接着剤のはみ出し不良の発生を防止すると共に、リング状ヨークへの挿入作業性を向上し得るボンド磁石を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため、本発明に係るボンド磁石は、
リング状ヨークの内周部に接着剤で接着されるリング状のボンド磁石であって、
前記リング状ヨークに内挿される本体部の軸方向一端に、該本体部より小径の小径凸部を成形したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るボンド磁石につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、実施例においてボンド磁石とは、着磁前の磁石素材および着磁後の磁石の両者を含む意味で使用している。
【0008】
図1は、実施例に係るボンド磁石を示すものであって、該ボンド磁石10は、リング状に成形された本体部10aと、その軸方向の一端部に一体成形されて、本体部10aの外径より小さな外径に設定された小径凸部10bとから構成される。この小径凸部10bは、その断面が台形状(外形は裁頭円錐形状)を呈するよう設定されると共に、その下底の外周端は、本体部10aの外周端より内側に位置するよう設定され、本体部10aの外周端から下底の外周端までの間に平坦面が形成されるようになっている。また本体部10aは、後述する圧縮成形装置18による成形原理により、その外周は軸方向にテーパー状となっており(図3参照)、前記小径凸部10bは本体部10aの大径側端に成形されている。なお、当該ボンド磁石10の中心通孔10cは、小径凸部10bの中心で開口している。
【0009】
前記ボンド磁石10が内挿される強磁性の材料(例えば鉄)からなるリング状ヨーク12は、その内径がボンド磁石10における本体部10aの外径より僅かに大きく設定され、ボンド磁石10をリング状ヨーク12に内挿した際に、磁石外周面とヨーク内周面との間に僅かな隙間Sが画成されるよう構成される。また、リング状ヨーク12の軸方向一端部には、内側に所定長さで延出するフランジ12aが成形されており、ボンド磁石10は、図2に示す如く、その小径凸部10bが成形されていない他端(小径側端)を、前記フランジ12aに当接するようにしてリング状ヨーク12に内挿されて位置決めされるようになっている。そして、磁石外周面またはヨーク内周面の何れか一方、または両方に塗布されて隙間Sを埋める接着剤14により、当該ボンド磁石10がリング状ヨーク12の内周部に接着固定されるよう構成される。
【0010】
前記ボンド磁石10の軸方向寸法は、リング状ヨーク12に内挿した際に小径凸部10bの開放端がヨーク12の開放端と略一致するよう設定される。そして、この状態で小径凸部10bの外周面とリング状ヨーク12の内周面との間に、前記隙間Sからはみ出した余分な接着剤14を溜めるための溜まり部16が全周に亘って画成されるよう構成される(図2参照)。
【0011】
図4は、実施例に係るボンド磁石10を製造するための圧縮成形装置18を示すものであって、該圧縮成形装置18は、成形するボンド磁石10における本体部10aの外径と同一の内径に設定された円形の成形孔20aが貫通成形されたダイス20を挟む上下に、該成形孔20aに挿通可能な上パンチ22および下パンチ24を対向的に備える。両パンチ22,24は、何れも昇降動可能に構成され、ボンド磁石10の成形に際して下パンチ24の上部は、予め所要長さで前記成形孔20aに下方から挿通されるようになっている。また上パンチ22の下端には、ボンド磁石10の前記小径凸部10bと対応する形状の凹部22aが成形されている。なお、凹部22aを画成する上パンチ22の先端部の断面形状は、図に示す如く各角部が先鋭とならないよう階段状に成形されており、各角部における欠けや摩耗を低減し得るよう構成される。
【0012】
前記ダイス20の下方には、成形するボンド磁石10における中心通孔10cの内径と同一の外径に設定された長尺な円柱形のコア26が昇降動可能に配設され、該コア26は、前記下パンチ24の中心通孔24aに挿通されて、下パンチ24から上方に臨む部分をダイス20の成形孔20a内に臨ませるよう構成される。なお、前記上パンチ22にも、コア26の挿通を許容する中心通孔22bが形成されている。
【0013】
【実施例の作用】
次に、前述した実施例に係るボンド磁石の作用につき説明する。先ず、前記圧縮成形装置18によりボンド磁石10を圧縮成形する場合は、図4に示す如く、前記下パンチ24およびコア26を、前記ダイス20における成形孔20a内に臨ませて位置決めした状態で、下パンチ24の上側に臨むコア26の外周面と成形孔20aの内周面との間に画成される空間に、磁性粉末と樹脂材料とを混合した粉末を所定量だけ充填する。そして、下パンチ24に対して前記上パンチ22を近接させて該粉末を所要圧力で圧縮することで、内径および外径がコア26および成形孔20aで規定されたリング状のボンド磁石10が成形される。またボンド磁石10における上パンチ22と対向する軸方向の一端部には、前記凹部22aと対応する形状の小径凸部10bが突出成形される。
【0014】
圧縮成形の完了した圧縮成形装置18では、前記上パンチ22をダイス20から上方に離間した後、前記下パンチ24を上昇してボンド磁石10を押上げることで、該磁石10はダイス20から取出される。
【0015】
ここで、前記圧縮成形装置18で圧縮成形されたボンド磁石10を、前記ダイス20から下パンチ24で押出した際には、ダイス20から先に抜け出る該ボンド磁石10の上端部側(上パンチ側)が、スプリングバックにより僅かではあるが外径方向に膨らみ、図3に示す如く、該上端部側の外径L1は下端部側の外径L2より大きくなる。すなわち、圧縮成形されたボンド磁石10の外周は軸方向にテーパー状となる。この場合に、小型モータの組立精度が厳しくなっている現状においては、前述したようにボンド磁石10とリング状ヨーク12との隙間Sは小さく設定されており、ボンド磁石10の小径側端からのリング状ヨーク12への挿入は容易であるが大径側端からの挿入は困難である。
【0016】
しかしながら実施例のボンド磁石10は、その大径側端に前記上パンチ22により小径凸部10bが成形されるよう構成してあるから、作業者は、ボンド磁石10における小径側端を簡単に識別することができ、リング状ヨーク12に対する後述のボンド磁石10の挿入作業を迅速に行なうことができる。
【0017】
前記ボンド磁石10の本体部10aの外周面またはリング状ヨーク12の内周面の何れか一方、あるいは両面に接着剤14を塗布したもとで、該リング状ヨーク12の内周部に、前記小径凸部10bが成形されていない他端(小径側端)側からボンド磁石10を挿入し、該他端を前記フランジ12aに当接させる。これにより、ボンド磁石10とリング状ヨーク12とは、その周面に塗布されている接着剤14により接着固定される。この場合に、前述したように磁石外周面とヨーク内周面との隙間Sが小さく設定されているため、塗布される接着剤14の塗布量によっては、リング状ヨーク12にボンド磁石10を挿入する際に、両者の隙間Sから余分な接着剤14がはみ出すおそれがある。しかし実施例のボンド磁石10には小径凸部10bが成形されており、リング状ヨーク12に内挿した状態で、該小径凸部10bの外周面とヨーク内周面との間には、全周に亘って溜まり部16が画成されるから、図2に示す如く、前記余分な接着剤14は該溜まり部16に溜まって、リング状ヨーク12から外部にはみ出すことはなく、接着剤14のはみ出し不良の発生を防止することができる。また作業者は、接着剤14の微小な塗布量のコントロールを行なう必要はなく、塗布作業の簡略化を図り得る。
【0018】
前述した実施例では、ボンド磁石を圧縮成形装置で成形する場合で説明したが、射出成形装置により成形するものであってもよい。また小径凸部の形状は、実施例の形状に限定されるものでなく、例えば断面台形状の小径凸部の下底外周端が本体部の外周端と一致し、ヨーク内周面との間に画成される溜まり部が三角形状となる形状等、その他の形状を採用し得る。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るボンド磁石によれば、軸方向の一端部に小径凸部を形成したので、当該ボンド磁石をリング状ヨークに内挿した際に、余分な接着剤を溜める溜まり部を画成することができ、該接着剤がヨーク外部にはみ出すことにより生ずる不良を防止し得る。また、本体部の大径側端に小径凸部を成形することで、ボンド磁石をリング状ヨークに挿入するに際し、作業者はボンド磁石における小径側端を簡単に識別することができ、挿入作業の効率化を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るボンド磁石を示す断面図である。
【図2】実施例に係るボンド磁石をリング状ヨークに内挿した状態を示す断面図である。
【図3】実施例に係るボンド磁石の軸方向両端の外径の違いを誇張的に示す説明図である。
【図4】実施例に係る圧縮成形装置の要部を示す概略図である。
【符号の説明】
10a 本体部
10b 小径凸部
12 リング状ヨーク
12a フランジ
14 接着剤
16 溜まり部
Claims (3)
- リング状ヨーク(12)の内周部に接着剤(14)で接着されるリング状のボンド磁石であって、
前記リング状ヨーク(12)に内挿される本体部(10a)の軸方向一端に、該本体部(10a)より小径の小径凸部(10b)を成形した
ことを特徴とするボンド磁石。 - 前記リング状ヨーク(12)の軸方向一端部において内側に延出するフランジ(12a)に、前記小径凸部(10b)が成形されていない他端を当接する状態で前記本体部(10a)を該ヨーク(12)に内挿した際に、前記小径凸部(10b)の外周面とリング状ヨーク(12)の内周面との間に余分な接着剤(14)を溜める溜まり部(16)が画成される請求項1記載のボンド磁石。
- 前記本体部(10a)の外周は軸方向にテーパー状で、その大径側端に前記小径凸部(10b)が成形されている請求項1または2記載のボンド磁石。
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