JP2004064811A - 車両の発電制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フューエルカット後のエンジン回転数のオーバーシュートあるいはアンダーシュートを抑制する。
【解決手段】フェールカットを行っている間は、オルタネータ4による発電を行うと共に、フェールカット終了後、エンジン1への燃料供給が再開すると同時に一旦オルタネータ4による発電を停止し、その後オルタネータ4の発電電圧を所定値に達するまで緩やかに増加させる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の発電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃費向上や触媒の加熱防止等の観点から、車両減速時に、エンジンへの燃料供給を停止あるいは極少量に制限する、いわゆるフェールカットを行うことがある。
【0003】
例えば、特許第2760037号公報には、フューエルカットを終えて燃料供給が再開された信号を検知すると、その後一定時間の間、充電発電機の発電を停止ないし制限する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2760037号公報のように、充電発電機の発電を一定時間、停止ないし制限すると、バッテリは放電状態となるため、バッテリの劣化度合いによっては、バッテリの劣化を急速に促進してしまう虞があると共に、車両状況に応じた効果的な発電制限時間を設定できないという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の車両の発電制御装置は、エンジンにより駆動され発電を行うオルタネータと、所定条件で上記エンジンへの燃料供給を停止あるいは制限する燃料供給制御手段と、上記燃料供給制御手段による上記エンジンへの燃料供給の停止あるいは制限が解除されると一旦上記オルタネータによる発電を停止し、その後上記オルタネータの発電電圧を所定値に達するまで緩やかに増加させるオルタネータ制御手段と、を有している。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、バッテリ放電によるバッテリの劣化の促進を最小限に抑えながら、エンジンへの燃料供給が再開された後のエンジン回転数のオーバーシュート並びにアンダーシュートを抑制することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明に係る車両の発電制御装置のシステム構成を模式的に示す説明図である。
【0009】
エンジン1には、クランクシャフト2と一体に回転するクランクプーリ3が配設されている。このクランクプーリ3と、オルタネータ4の回転軸に取り付けられたオルタネータプーリ5とには、ベルト6が巻き掛けられている。すなわちオルタネータ4とクランクシャフト2とは同期回転するよう構成されている。
【0010】
オルタネータ4は、車載のバッテリ7の電圧をモニタリングしているECM(エンジンコントロールモジュール)8からの指令により、その発電量が制御されていると共に、発電された電力は、バッテリ7に充電されるか、ヘッドランプ等の車両の電気的負荷(LOAD)に対して供給される。オルタネータ4にて発電が行われない場合には、バッテリ7からの放電により上述した車両の電気的負荷に対して電力が供給される。
【0011】
そして、ECM8には、車両速度を検出する車速センサ9と、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ10と、からの信号が入力されている。また、ECM8は、車両の運転状態に応じて最適の燃料噴射が行われるように、車両の運転状態に応じて決定される燃料噴射指令値に基づいてエンジン1の運転制御を行っている。
【0012】
このECM8は、エンジン回転数が所定回転数以上の状態から車両の減速が行われた際に、エンジン1への燃料供給を停止あるいは極少量に制限する、いわゆるフェールカット制御を実行する。
【0013】
また、ECM8は、フェールカットを行っている間は、オルタネータ4による発電を行うと共に、フェールカット終了後、エンジン1への燃料供給が再開すると同時に一旦オルタネータ4による発電を停止し、その後オルタネータ4の発電電圧を所定値に達するまで緩やかに増加させるようオルタネータ4の制御を行っている。
【0014】
ここで、ECM8内部で行われるオルタネータ4の発電制御の流れを図2のフローチャートに従って説明する。
【0015】
ステップ11では、予めECM8内に記憶させてあり、車両の運転状態に応じて決定される燃料噴射指令値に基づいてエンジン1の運転制御を行う。
【0016】
ステップ12では、現在フューエルカット中であるか否かを判定し、フューエルカット中であれば、ステップ13に進みエンジン回転数を読み込む。
【0017】
ステップ14では、ステップ13で読み込んだエンジン回転数が燃料供給再開回転数以下であるか否かを判定し、燃料供給再開回転以下の場合には、フューエルカットを中止し、燃料噴射を再開再開すると共に、ステップ15に進む。尚、この燃料供給再開回転数は、アイドル回転数より所定回転数だけ大きい回転数である。
【0018】
ステップ15では、オルタネータ4での発電を一旦を停止する。
【0019】
ステップ16では、フューエルカット中の車両の減速率(車速の変化率)βに応じて、オルタネータ4の発電電圧の増加率αを決定する。
【0020】
そして、ステップ17では、オルタネータ4の発電電圧を所定値に達するまでステップ16で決定した増加率αにて緩やかに増加させる。
【0021】
図3は、減速時の車両速度、エンジン回転数、燃料噴射量及びオルタネータ4の発電電圧の挙動を示すタイミングチャートである。
【0022】
エンジン回転数が所定値以上のときにアクセルペダルを離すと(図3中のAのタイミング)、車両は減速を開始すると共に、エンジン1は燃料噴射を停止する(フューエルカット)。尚、フューエルカット中のオルタネータ4の発電電圧は、フューエルカット前の通常時の発電電圧に比べて所定量増加させている。
【0023】
エンジン回転数が漸次低下し、アイドル回転数近くの所定値に至ると、ECM8からの指令により燃料噴射が再開される(図3中のBのタイミング)と共に、オルタネータ4による発電を一旦停止させる。そして、ECM8は、オルタネータ4の発電を一旦停止した後、オルタネータ4の発電電圧が所定値に達するまで、車両減速時の車速の変化率β(図3中のA〜B間における車速の傾き)に応じた増加率αで、緩やかに発電電圧を増加させる。すなわち、車速の変化率がβ1のときは、発電電圧の増加率はα1であり、車速の変化率がβ2のときは、発電電圧の増加率はα2であり、車速の変化率がβ3のときは、発電電圧の増加率はα3となる。詳述すれば、車速の変化率βが大きい(傾きが大きい)と、オルタネータ4の発電電圧の増加率αは小さい(傾きが小さい)ものとなる。
【0024】
このように、エンジン1への燃料供給が停止あるいは制限されている間は、オルタネータ4による発電を行うと共に、エンジン1への燃料供給の停止あるいは制限が解除されると同時に一旦オルタネータ4による発電を停止し、その後オルタネータ4の発電電圧を所定値に達するまで緩やかに増加させるようにしたため、バッテリ放電によるバッテリ7の劣化を最小限に抑えながら、フューエルカット後のエンジン回転数がアイドル回転数に対してオーバーシュートもしくはアンダーシュートしてしまうことを抑制することができる。
【0025】
また、車両減速時の減速率βに応じて、フューエルカット後に一旦発電を停止したオルタネータ4の発電電圧の増加率αが決定されているので、エンジン回転数の回転変動を最小限に抑え、かつフューエルカット後の燃料噴射量が最少になるように制御することができる。
【0026】
尚、上述した第1実施例においては、車両減速時の車速の変化率を減速率βとして用いているが、車両減速時のエンジン回転数の変化率や、ABSからの減速信号、ブレーキペダルストローク信号等を用いて減速率βを演算するようにしてもよい。
【0027】
次に、本発明の第2実施例について説明する。この第2実施例は、上述した図1に示すシステム構成の車両の発電制御装置において、エンジン1への燃料供給が停止あるいは制限されている間(フューエルカット中)は、オルタネータ4による発電を行い、エンジン1への燃料供給の停止あるいは制限が解除されると同時にオルタネータ4による発電を制限し、バッテリ電圧(VB)が予め設定された所定値R以下に低下するとオルタネータ4による発電の制限を解除するようECM8によって制御されている。
【0028】
図4は、この第2実施例におけるオルタネータ4の発電制御に関するタイミングチャートである。フューエルカット中は、オルタネータ4での発電が行われているので、車両の電気的負荷(LOAD)には、オルタネータ4で発電された電力が供給されることになり、バッテリ7から車両の電気的負荷に対して電力が供給されることはなく、バッテリ電圧VBは低下することはない。
【0029】
そして、フューエルカット終了後、エンジン1への燃料供給が再開すると同時に、オルタネータ4での発電が制限される。ここで、ECM8は、オルタネータ4での発電量を制御するためにオルタネータ4の発電電圧を制御しており、オルタネータ4での発電の制限は、オルタネータ4の発電電圧を所定の低発電電圧にすることによって達成される。
【0030】
オルタネータ4での発電が制限されると車両の電気的負荷(LOAD)には、バッテリ7から電力が供給されることになり、バッテリ電圧は、時間が経過するにつれて低下していく。そして、バッテリ電圧(VB)が予め設定された所定値R以下になったタイミングで、オルタネータ4での発電の制限を解除する。
【0031】
そして、バッテリ電圧が所定値Rになりオルタネータ4で発電の制限を解除した後は、オルタネータ4の発電電圧を緩やかに増加させる。尚、オルタネータ4の発電電圧の増加率は、上述した第1実施例と同様に、フューエルカット中の車両の減速率に応じて決定されている。
【0032】
図5は、この第2実施例における車両の発電制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【0033】
フューエルカット中に、車両が減速することによって、エンジン回転数が燃料供給再開回転数まで低下すると、オルタネータ4の発電の制限を開始し(ステップ21)、オルタネータ4での発電電圧が所定の低発電電圧になるよう指令値をECMからオルタネータ4に出力する(ステップ22)。すなわち、オルタネータ4は、その発電電圧が所定の低発電電圧になるよう制御されるため、車両の電気的負荷に対してバッテリ7から電力が供給されることになり、バッテリ電圧は徐々に低下していく。
【0034】
そして、ステップ23にて、バッテリ電圧(VB)が所定値R以下になったと判定されると、ステップ25に進み、オルタネータ4の発電の制限を解除する。すなわち、オルタネータ4での発電電圧を上述した低発電電圧から徐々に増加させ、車両の電気的負荷に対してオルタネータ4で発電された電力を供給すると共に、バッテリ7に対してオルタネータ4で発電された電力を供給しバッテリ7を充電する。
【0035】
また、ステップ23にて、バッテリ電圧(VB)が所定値R以下になっていないと判定されると、ステップ24に進む。
【0036】
ステップ24では、車両の電気的負荷の増加により、オルタネータ4の発電量変更命令があるかないかを判定する。すなわち、所定の低発電電圧でオルタネータ4を制御しているときに、ヘッドライトの点灯等により車両の電気的負荷が増加した場合には、ステップ25に進みオルタネータ4での発電制限を解除する。
【0037】
このような第2実施例においては、バッテリ電圧を監視することでバッテリ7が過放電になることを確実に防止することができる。
【0038】
また、エンジン低回転時にはエンジン負荷としてオルタネータの発電負荷が相対的に増加することになり、回転制御の安定性、エンジンの燃料消費に対するオルタネータの発電量の影響が大きくなる。そこで、フューエルカット後の燃料再噴射のタイミング前後でオルタネータでの発電量を制限し制御の安定性向上と燃料消費低減を図るためには、オルタネータの発電の制限を長く続けることが望ましいが、単純にオルタネータの発電量を制限すると車両の電気的負荷に対して十分に電気を供給することができなくなり、その足りない分をバッテリから持ち出すことになる。この状況が長く続くとバッテリの充電量が減少し、次回のエンジン始動が不可能になる虞があるので、オルタネータの発電を制限する際に、バッテリ電圧を監視する。
【0039】
すなわち、エンジン1への燃料供給の停止あるいは制限が解除されると同時にオルタネータ4による発電を制限し、バッテリ電圧が所定の基準値R以下に低下するとオルタネータ4による発電の制限を解除するようにしたため、バッテリ7が過放電になる直前までオルタネータ4の発電制限を行えるので、オルタネータ4の発電駆動によって生じるエンジン1の消費燃料を抑制することができ、エンジン1の消費燃料を効率よく低減することができる。
【0040】
尚、上述した第2実施例においては、フューエルカットされた状態から燃料再噴射する際に、オルタネータ4の発電電圧が所定の低発電電圧となるようオルタネータ4の発電を制限しているが、フューエルカットされた状態から燃料再噴射する際に、オルタネータ4の発電電圧がゼロとなるようオルタネータ4の発電を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の発電制御装置のシステム構成を模式的に示す説明図。
【図2】本発明の第1実施例におけるオルタネータの発電制御の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明の第1実施におけるタイミングチャート。
【図4】本発明の第2実施例におけるタイミングチャート。
【図5】本発明の第2実施例におけるオルタネータの発電制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン
4…オルタネータ
7…バッテリ
8…ECM(燃料供給制御手段、オルタネータ制御手段)

Claims (3)

  1. エンジンにより駆動され発電を行うオルタネータと、
    所定条件で上記エンジンへの燃料供給を停止あるいは制限する燃料供給制御手段と、
    上記燃料供給制御手段により上記エンジンへの燃料供給が停止あるいは制限されている間は、上記オルタネータによる発電を行うと共に、上記燃料供給制御手段による上記エンジンへの燃料供給の停止あるいは制限が解除されると一旦上記オルタネータによる発電を停止し、その後上記オルタネータの発電電圧を所定値に達するまで緩やかに増加させるオルタネータ制御手段と、を有することを特徴とする車両の発電制御装置。
  2. 上記燃料供給制御手段は、車両の減速中に上記エンジンへの燃料供給を停止あるいは制限するものであって、
    上記オルタネータによる発電を停止した状態から、上記オルタネータの発電電圧を所定値に達するまで緩やかに増加させる際の発電電圧の増加率は、車両減速時の減速率に応じて可変制御されることを特徴とする請求項1に記載の車両の発電制御装置。
  3. エンジンにより駆動され発電を行うオルタネータと、
    所定条件で上記エンジンへの燃料供給を停止あるいは制限する燃料供給制御手段と、
    上記燃料供給制御手段により上記エンジンへの燃料供給が停止あるいは制限されている間は、上記オルタネータによる発電を行い、上記燃料供給制御手段による上記エンジンへの燃料供給の停止あるいは制限が解除されると上記オルタネータによる発電を停止あるいは制限し、上記バッテリ電圧が所定の基準値以下に低下すると上記オルタネータによる発電の停止あるいは制限を解除するオルタネータ制御手段と、を有していることを特徴とする車両の発電制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006085496A1 (ja) * 2005-02-10 2006-08-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 車両の制御装置
JP2011026966A (ja) * 2009-07-21 2011-02-10 Toyota Motor Corp 車両駆動力制御装置
JP2013036471A (ja) * 2012-10-19 2013-02-21 Toyota Motor Corp 車両の制御装置

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