JP2004063788A - 半導体装置用絶縁膜形成用塗布液 - Google Patents

半導体装置用絶縁膜形成用塗布液 Download PDF

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Eiji Hayashi
林 英治
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Abstract

【課題】半導体素子などにおける絶縁膜材料として、比誘電率特性に優れた絶縁膜、特に半導体製造装置用絶縁膜を形成することのできる、シロキサンポリマーを用いる、絶縁膜形成用塗布液を得る。
【解決手段】少なくとも一種類の有機基と結合したSi原子を含み、かつ、X線小角散乱測定によって観測されるスペクトルより求められるシロキサンポリマーの分岐度数値Aが −2.0>A>−2.8、(A値は無次元)であるシロキサンポリマーを含むことを特徴とする半導体装置用絶縁膜形成用塗布液。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは、半導体素子などにおける絶縁膜材料として、比誘電率特性に優れた絶縁膜、特に半導体製造装置用絶縁膜を形成することのできる、シロキサンポリマーを用いる、絶縁膜形成用塗布液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on glAss)膜と呼ばれるテトラアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜が開発されている。
特に半導体素子などのさらなる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、したがって、より低誘電率でかつクラック耐性に優れる層間絶縁膜材料が求められるようになっている。
【0003】
低誘電率の材料としては、アンモニアの存在下にアルコキシシランを縮合して得られる微粒子とアルコキシシランの塩基性部分加水分解物との混合物からなる組成物(特開平5−263045、同5−315319)や、アルコキシシランをアンモニアの存在下縮合することにより得られた塗布液(特開平11−340219、同11−340220)が提案されているが、これらの方法で得られる材料は、反応の生成物の性質が安定せず、溶液の長期保存安定性、塗膜のPCT後の比誘電率、耐クラックなどの諸特性のバラツキも大きいため、工業的生産には不向きであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、低誘電性、機械的強度に優れた絶縁膜、特に半導体製造装置用絶縁膜を形成することのできる絶縁膜形成用塗布液を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、シロキサンポリマーとそれを用いたLSI多層配線用層間絶縁膜の特性について、鋭意研究を進めた結果、シロキサンポリマーにおける、シロキサン分子構造の分岐度が膜の低誘電率化および機械的強度の向上に大きく影響することを知見し、さらに、鋭意検討の結果、X線小角散乱スペクトルより求められる数値AからSOGの分岐度を評価することができ、その評価に従って、得られた有機SOG塗布液を用いることにより、優れた低誘電率特性および機械的強度を持つ絶縁膜を形成することができることを知見し、本発明に至ったものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の態様は、半導体装置の製造に用いられる絶縁膜形成用塗布液であって、少なくとも一種類の有機基と結合したSi原子を含むシロキサンポリマーを含み、かつ、前記シロキサンポリマーのX線小角散乱スペクトルより求められるシロキサンポリマーの分岐度数値Aが −2.0>A>−2.8、さらに好ましくは −2.2>A>−2.6、さらに好ましくは −2.4>A>−2.6 (A値は無次元)を満足するシロキサンポリマーを含むことを特徴とする絶縁膜形成用塗布液を提供するものである。
【0007】
前記、有機基と結合したSi原子を含むシロキサンポリマーにおいて、有機基としては、アルキル基、アリール基、アリル基、グリシジル基から選ばれる少なくとも1種の有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。Rとしては、1価の有機基、特にアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。ここでアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜5であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子などに置換されていてもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0008】
本発明の態様においては、絶縁膜形成用シロキサンポリマーを評価する際に、シロキサンポリマーの分岐度数値Aを測定する。本発明に用いられるシロキサンポリマーの分岐度数値の測定方法はX線小角散乱法を用いることが好ましい。
【0009】
X線小角散乱法を行うに際し、まず、試料であるシロキサンポリマーを有機溶剤に溶解する。ここで用いる有機溶媒は、塗布液とした時にシロキサン成分が溶液から分離しないものであれば特に制限はないが、オルガノポリシロキサンの良溶媒であるアルコール系、エステル系、エーテル系の溶媒の中から例えばメタノール、エタノール、酢酸ブチルエステル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等を用いることができる。試料中のシロキサンポリマーの濃度は低すぎると十分な検出感度が得られず、また、高すぎるとポリマーが溶液から分離し、あるいは分子同士が結合してゲル化するので、固形分重量濃度として9〜10%が好ましい。
【0010】
X線小角散乱測定に用いる試料管は文献(J.Am.Chem.Soc., vol.121, No.33 (1998))にならった石英キャピラリーチューブを用いた。
【0011】
得られた散乱スペクトルから分岐度A値を求めるために、スペクトルの散乱強度(I)の対数値および、測定角度θより下記式で求められる散乱ベクトルq値の対数値をそれぞれ縦軸、横軸にプロットする。作図されたスペクトルの直線部分の傾きをA値とする。A値を求めるq値の領域はサンプルの濃度等によっても異なるが、濃度9重量%の濃度でおよそ log10(q)=−2.0〜−1.6の範囲内でA値を求めることができる。
【0012】
散乱ベクトルq値は、下記式より求めることができる。式中のθは測定角度、λはX線の波長を意味する。
【式1】
Figure 2004063788
【0013】
測定によって得られた数値Aは、ポリマーの分岐度を表現する数値であり、A値が大きいシロキサンポリマーほど分岐が少なく、またA値が小さいシロキサンポリマーでは分岐が多いと定義することができる。(文献:作花 済夫著「ゾルゲル法の科学」 p188、 C.J.BRinkeR, J. Non−CRystAl Solids, 63, (1984), 45−59)この数値は、文献等でフラクタル次元と呼ばれる数値に相当するものでる。
【0014】
シロキサンポリマーの分岐度数A値が−2.0>A>−2.8の範囲よりも大きい場合(分岐度が低い場合)は、製膜時にポリマー間に生じる空間が小さくなり誘電率が低くならない。逆にこの範囲よりも小さい場合(分岐度が高すぎる場合)は、ポリマー分子が直径50nm以上の粒子形状となり、それにより、塗布性が悪化し、塗膜の基盤上面内均一性を著しく低下させる。さらに、粒子同士の結合面が粒子の大きさに対して小さくなり機械的強度の低下を招くことから絶縁膜形成用塗布液として好ましくない。
【0015】
実施例
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
Siに結合した有機基としてメチル基を有するシロキサンポリマーであり、その慣性半径が 2nmである溶液▲1▼、15nmである溶液▲2▼、32nmである▲3▼と、有機溶剤と混合して半導体装置用絶縁膜形成用塗布液を製造し、得られた塗布液のX線小角散乱スペクトル、比誘電率および機械的強度を下記のとおり測定した。
結果を表1に示す。
【0016】
X線小角散乱スペクトル測定
塗布液(重量濃度9%、溶媒プロピレングリコールモノプロピルエーテル)の0.2mlを直径2mmの石英ガラスキャピラリー試料管に入れ、X線回折測定装置(理学電機(株)社製 RU−200、光学系として理学電機製 KRAtkyカメラ スリット幅70μm、高さ 25mmを使用)でX線小角散乱スペクトルを測定した。測定温度30℃、測定サンプリング幅 0.02°、 測定範囲 0.08〜6.00°、積算時間 30秒、X線の波長1.5418A の条件で測定を行った。得られた散乱スペクトルはバックグラウンド補正およびスリット補正を施した。
【0017】
比誘電率測定
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて塗布液を塗布し、ホットプレート上で90℃で3分間、窒素雰囲気200℃で3分間基板を乾燥し、さらに420℃の窒素雰囲気ホットプレートで60分基板を焼成した。この際の最終的な塗膜の膜厚は0.5μmとした。得られた塗膜に対して蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成させ比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルを周波数100kHzの周波数で、横河・ヒューレットパッカード(株)製、HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用いてCV法により当該塗膜の比誘電率を測定した。
【0018】
機械的強度(弾性率)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて塗布液を塗布し、ホットプレート上で90℃で3分間、窒素雰囲気200℃で3分間基板を乾燥し、さらに420℃の窒素雰囲気ホットプレートで60分基板を焼成した。この際の最終的な塗膜の膜厚は0.5μmとした。得られた塗膜を、ナノインデンターXP(ナノインスツルメント社製)を用いて、連続剛性測定法により測定した。
【0019】
X線小角散乱スペクトルより算出した各塗布液中のシロキサンポリマーの分岐度Aおよび塗膜評価結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 2004063788
【0021】
【発明の効果】
本発明者らは、X線小角散乱スペクトルより求められるシロキサンポリマーの分岐度数値Aが −2.0>A>−2.8、さらに好ましくは −2.2>A>−2.6、さらに好ましくは −2.4>A>−2.6 (A値は無次元)を満足するシロキサンポリマーを含む塗布液を用いた場合、形成される絶縁膜の特性が優れていることを見出した。

Claims (1)

  1. 少なくとも一種類の有機基と結合したSi原子を含み、かつ、X線小角散乱測定によって観測されるスペクトルより求められるシロキサンポリマーの分岐度数値Aが −2.0>A>−2.8、(A値は無次元)であるシロキサンポリマーを含むことを特徴とする半導体装置用絶縁膜形成用塗布液。
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