JP2004063022A - 磁気記録媒体における磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体における磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004063022A JP2004063022A JP2002221579A JP2002221579A JP2004063022A JP 2004063022 A JP2004063022 A JP 2004063022A JP 2002221579 A JP2002221579 A JP 2002221579A JP 2002221579 A JP2002221579 A JP 2002221579A JP 2004063022 A JP2004063022 A JP 2004063022A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- magnetic field
- layer
- recording medium
- pattern
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Magnetic Record Carriers (AREA)
- Recording Or Reproducing By Magnetic Means (AREA)
Abstract
【解決手段】磁性層を有してなる磁気記録媒体の磁性層を所望の方向に均一に磁化したのち、磁性層を局所的に加熱すると同時に外部磁界を印加し加熱部を該所望の方向とは逆向きに磁化することにより磁化パターンを形成する方法であって、エネルギー線のパルス半値幅(照射エネルギー線の最大値の1/2以上のエネルギー線が照射されている時間幅):Lw、印加する外部磁界のパルス幅(印加磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅):Mw、磁気記録媒体の基板の熱伝導度:σとした時、(Mw/Lw)・σ<3×106[w/m・℃]、Mw>Lwの関係を満す。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク等の磁気記録媒体に磁化パターンを形成するための方法に関するものであり、特に、所定方向に一様に磁化された磁性層に対しエネルギー線を照射して該磁性層を局所的に加熱すると同時に該磁性層に外部磁界を印加し、加熱された部分を該所定方向とは逆向きに磁化して磁化パターンを形成する方法に関する。また、本発明は、この方法により磁化パターンが形成された磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク等の磁気記録媒体に磁化パターンを形成する方法として、本出願人により、局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気記録媒体に磁化パターンを形成する加熱磁気転写法が提案されている(特開2001−331902号、特開2001−338419号)。この方法では、磁気記録媒体を予め一方向に一様に磁化しておき、パターニングされたマスクを介してエネルギー線等を照射し局所的に加熱し、該加熱領域の保磁力を下げつつ外部磁界を印加し、加熱領域に外部磁界による記録を行い、磁化パターンを形成する。
【0003】
この磁化パターン形成方法及び装置の概略を第6図を参照して説明する。
【0004】
第6図の如く、予め周方向に一様に磁化された磁気記録媒体1をターンテーブル10上に載荷して固定した後、該磁気記録媒体にフォトマスク2を重ね合わせ、ハブ5によって固定する。ターンテーブル10に同軸に連なる回転軸を回転させることにより該ターンテーブル10を所定角度ずつ間欠的に回転させつつ、マグネット4によって上記一様方向とは逆方向の磁界を磁気記録媒体1に印加すると共にエネルギー線照射領域Eにエネルギー線を照射し、磁気記録媒体1に磁化パターンを形成する。この所定角度は、3゜〜45゜程度に設定される。例えば、該所定角度を15゜としたときには、15゜ずつターンテーブル10を回転させた後停止し、この15゜分の領域Eにエネルギー線を照射すると共に外部磁界を印加して磁化パターンを形成し、これを順次に繰り返すことにより、磁気記録媒体1の全体に磁化パターンを形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近の磁気記録媒体は、高密度で記録されるため1つ1つの記録磁区が小さく、熱や磁界の変化などによって意図しない反転が起こりやすく、記録安定性が低下する傾向にある。
【0006】
これを防ぐためには記録層の結晶粒子を小さくし媒体を高保磁力化、高S/N化する必要がある。しかし結晶粒子を小さくすると動的な保磁力が大きくなる傾向がある。
【0007】
また最近、磁区の熱安定性を高めるためにAFC(Anti−Ferromagnetic coupled)媒体が提案されている。数オングストローム厚のRu層等を介して2層以上の磁性層(主磁性層と下引き磁性層)を積層し、Ru層の上下で磁気的にカップリングさせて主磁性層の熱的安定性を高めた媒体である。この媒体は見かけ上の保磁力が大きくなり、磁化の反転には大きな磁界が必要となる。
【0008】
一般に保磁力と呼ばれているのは、数十秒単位の長い時間に亘って磁界を掃引した場合に描かれるB−Hループ(ヒステリシスループ)から測定される保磁力であって、静的保磁力のことである。一方、動的保磁力とは、磁気ヘッドの走査で与えられるようなごく短時間の磁界の掃引に対しての保磁力であって、通常、磁界強度を1秒以下の短時間で変化させたときの保磁力を指す。
【0009】
一般に動的保磁力は静的保磁力より大きい。また動的保磁力は、その磁界を変化させる時間幅によって大きく異なり、時間幅が短いほど大きな値を示す。例えば通常、磁界を1秒印加したときの動的保磁力より、磁界を100ミリ秒印加したときの動的保磁力は大きい。
【0010】
前述のごとく、高密度化には高S/N化が必須であるため、これからの高密度磁気記録媒体の動的保磁力は大きくならざるを得ず、例えば記録密度が30〜40Gbit/inch2クラスの媒体では、動的保磁力が静的保磁力の2倍以上に達する。こうした媒体は、磁気ヘッドで書き込む場合でも書き込み能力の高いヘッドが必要である。
【0011】
そして、このような媒体は前述の磁化パターン形成技術において、パルス状エネルギー線で磁性層を数十ナノ秒の非常に短い時間だけ加熱しつつ磁化する場合には、動的保磁力が支配的に関与する。つまり、加熱時の静的保磁力以上の磁界を印加しても、磁界強度が不十分で、十分な信号出力を持った磁化パターンが形成できないことがある。そこで加熱時の動的保磁力に打ち勝って磁化できる外部磁界を印加する必要がある。
【0012】
特に、マスクと媒体の距離が均一でないなどの理由で、媒体上に非同心円状の干渉縞が生ずる様な場合、同心円上において光が強めあう明るい領域と光が弱め合う暗い領域とが生じ、暗い領域では磁性層の保磁力が下がりきらず、磁化するために必要な外部磁界がより大きくなる。
【0013】
しかし、永久磁石など常に磁力を発生する磁石によって、大きい外部磁界を印加すると、加熱領域以外までも磁化してしまう虞が大きくなり、所望の磁化パターンが得られなかったり、事前に一様に磁化した領域にノイズが発生したり、一旦形成した磁化パターンを消去してしまったりする可能性があった。
【0014】
そこで本出願人は、特願2002−099124号において、局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気記録媒体に磁化パターンを形成する技術において、外部磁界としてパルス状の磁界成分を有する外部磁界を印加し、大きな磁界をごく短時間、動的に与える磁化パターン形成方法を提案した。これにより、動的保磁力の大きい媒体について、静的保磁力に近いか或いはそれより大きな磁界を印加できる。大きな磁界を与えても短時間であるため加熱領域以外には影響を与えることなく加熱時の動的保磁力に打ち勝つ外部磁界を印加でき、良好な磁化パターンを形成することができる。
【0015】
しかし、ハードディスクの高密度化に伴い、更に微細な磁化パターンを形成したいと言う要請があった。
【0016】
本発明は、磁気記録媒体に対し従来の加熱磁気転写方法による場合よりも線幅の小さい磁化パターンを書き込むことができる加熱磁気転写方法による磁化パターン形成方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁化パターン形成方法は、基板上に磁性層を有する磁気記録媒体に磁化パターンを形成する方法であって、所定方向にほぼ一様に磁化されてなる該磁性層に対し、エネルギー線をパルス状に照射して該磁性層を局所的に加熱すると同時に該磁性層にパルス状の磁界成分を有する外部磁界を印加し、この加熱された部分を該所定方向とは逆向きに磁化することにより磁化パターンを形成する方法において、
エネルギー線のパルス半値幅(照射エネルギー線の最大値の1/2以上のエネルギー線が照射されている時間幅):Lw
印加する外部磁界のパルス幅(印加磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅):Mw
磁気記録媒体の基板の熱伝導度:σとした時、
(Mw/Lw)・σ<3×106[w/m・℃]
Mw>Lw
の関係を満たすようにするものである。
【0018】
上記式は、本発明において印加する外部磁界のパルス幅(印加する磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅):Mwとエネルギー線のパルス半値幅(照射エネルギー線の最大値の1/2以上のエネルギー線が照射されている時間幅):Lwと磁気記録媒体の基板の熱伝導度:σの関係を表す式であり、この関係を満たすことにより、本発明の目的である微細な磁化パターンの形成を行うことができる。なお、本発明において熱伝導度σは常温時の値である。ここで常温とは25℃のことを言う。
【0019】
印加する外部磁界のパルス幅とは、磁気記録媒体に対して印加する磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅であり、印加する外部磁界が永久磁石などからなる静磁界と電磁石などからなる動磁界の組み合わせからなる場合は、それらの和からなる磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅を言う。
【0020】
本発明によれば、エネルギー線の回折と熱の媒体内伝導を抑えることができるので、従来問題となっていた、照射領域に隣接する領域の温度が上昇し、保磁力が低下してしまうという影響を極力抑えることができるため、磁気記録媒体に0.5μmより細い線幅のエネルギー線を照射したとしても、形成する磁化パターンがぼやけたり、潰れたりすることがない。
【0021】
また、磁気記録媒体の基板として、熱伝導度の小さなガラス基板だけでなく、熱伝導度が大きなアルミニウム基板を用いても、PW50値の良好な磁化パターンを形成することができる利点もある。
【0022】
なお、PW50とは、磁化パターンの再生信号の孤立波の半値幅(孤立波の振幅の最大値の半分における幅)のことを言う。制御用磁化パターンのPW50の値を、情報用磁化パターンの再生信号のPW50よりも小さいまでに狭くすると、磁気ヘッドの位置精度や同期精度を上げることができ、信頼性の高い高密度記録媒体を提供できる。PW50はパターンの境界が明確に分かれているときに良い値を示す。
【0023】
磁気記録媒体の基板の熱伝導度は、一般に小さいほど好ましい。基板の熱伝導度が小さいほど熱伝導が起こらないため、エネルギー線の照射による加熱領域が広がらず、所望の磁化パターンの形成がしやすいからである。また、熱伝導度が小さいほど、あまり熱を伝導せず、狭い領域でその熱量を使うため、効率良く媒体の保磁力を低下させることができ、より小さな磁界を印加してもパターンの形成を行うことができる。
【0024】
また、エネルギー線のパルス半値幅は長い方が好ましい。エネルギー線のパルス半値幅が長くなるほど、磁気記録媒体の保磁力を低下させることができるからである。ただし、あまりエネルギー線のパルス半値幅が長いと、その分熱がエネルギー線の非照射領域に伝導していき温度上昇領域が所望の領域外に広がるため、温度上昇領域の広がりが許される範囲内でエネルギー線のパルス半値幅は長いのが好ましい。
【0025】
外部磁界のパルス幅は短い方が好ましい。印加する外部磁界は印加し続けたままだと、磁気記録媒体の熱伝導により温度上昇領域が拡大する影響をうけ、所望の場所以外の領域まで磁化反転させてしまうおそれがあるからである。また、磁気記録媒体の性質から、磁気記録媒体の磁化反転に必要な磁界の強さは、印加する磁界のパルス幅が長くなるほど小さな磁界でよい。よって、長時間磁界を印加すると、直接エネルギー線が照射されていない温度が低い領域でも、磁化パターンが反転してしまうおそれがある。
【0026】
ただし、エネルギー線の照射時間より短いと、磁化パターンの形成が不完全になるおそれがあるため、エネルギー線のパルス半値幅よりも長い必要がある。
【0027】
また、外部磁界はパルス状磁界成分のみであってもよく、パルス状磁界成分と静磁界成分の組合せであってもよい。例えば前者では、電磁石などでパルス状磁界を発生する。例えば後者では、永久磁石または電磁石によって、ある程度の大きさの静磁界を与えておいて、それ以上の磁界を電磁石でパルス状に印加する。後者では、パルス状磁界成分と静磁界成分の合計を外部磁界の強度とする。
【0028】
或いはパルス状磁界は、常時磁界を発生する磁石を短時間のみ磁気記録媒体に接近させる方式によって印加することもできる。例えば、磁気記録媒体の一部に永久磁石によって磁界を印加しつつ、媒体を所定以上の速度で回転させればよい。
【0029】
本発明によれば、磁気ヘッドの位置決め用の信号を直接書き込むことも可能である。
【0030】
本発明では、基板はアルミよりも熱伝導度が小さいガラス基板が好適である。また、本発明では、マスクを介して磁性層にエネルギー線を照射することにより、一度に広範囲にわたって磁化パターンの形成ができるため好ましい。
【0031】
本発明では、マスクと磁気記録媒体との間隔を1.0μm以下とし、エネルギー線の回折によるエネルギー線照射領域のブロード化(回折によりエネルギー線照射領域が広がり、磁化領域の輪郭がぼやけること)を抑制することが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0033】
第1図は本発明の実施の形態に係る磁化パターン形成方法及び装置を示すものであり、(a)図は磁気記録媒体及びマスクと磁石との位置関係を示す平面図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。なお、(a)図は(b)図のA−A線矢視図である。第2図は磁気記録媒体及びマスクと磁石との位置関係を示す斜視図、第3図は永久磁石と回転軸との位置関係を示す斜視図である。
【0034】
この実施の形態においても、中心部に開口を有したディスク状の磁気記録媒体1がターンテーブル10上に載置され、その上にスペーサ7を介してフォトマスク2を重ね合わせる。
【0035】
磁気記録媒体1は予め一様に磁化されている。この磁気記録媒体1は例えば真空吸引等によりターンテーブル10に固定される。フォトマスク2はハブ5によりターンテーブル10に対し固定される。フォトマスク2は、磁気記録媒体1と同様に中心部に開口を有したディスク状であり、この開口の縁部がハブ5によってターンテーブル10に固定される。ハブ5はターンテーブル10に対し真空チャック機構(図示略)により固定される。ターンテーブル10の下側には回転軸3が連結されている。
【0036】
このフォトマスク2の上方に遮光板9が配置されている。この遮光板9には要の位置を磁気記録媒体1の中心に合致させた略扇形の開口9aが設けられ、この開口を通してエネルギー線が磁気記録媒体1に向けて照射される。このエネルギー線の照射領域は、該開口9aを投影した扇形状である。
【0037】
外部磁界を印加するために、このフォトマスク2の上側とターンテーブル10の下側にそれぞれ静磁界印加手段としての永久磁石21a(N極)、21b(N極)、21c(N極)、21d(S極)と、動磁界印加手段としての空芯コイル12a,12b,12c,12dが配置されている。
【0038】
この永久磁石21a〜21dは、いずれも、棒状である。永久磁石21a,21bの後端同士及び永久磁石21c,21dの後端同士の間にヨーク22が架け渡され、コ字形平面視形状の馬蹄形磁石となっている。
【0039】
各永久磁石21a〜21dは、磁気記録媒体の半径方向線、即ち、中心からの放射方向線と平行方向に延在しており、ヨーク22は該放射方向線と直交方向に延在している。永久磁石21a,21b及び永久磁石21c,21dは、該半径方向線を挟んで両側に対称に配置されている。
【0040】
N極21a,21c及びS極21b,21dの間隔wは回転軸3の直径sよりも大きい。ターンテーブル10の下側の永久磁石21a,21dは、それらの先端同士の間に回転軸3の一部が入り込むように磁気記録媒体1の中心直近まで延在している。
【0041】
下側の永久磁石21c,21dの先端部の上面と、上側の永久磁石21a,21bの先端部の下面とには、それぞれ強磁性体片23が取り付けられている。
【0042】
上側の永久磁石(N極)21aは下側の永久磁石(N極)21cの上方に配置され、上側の永久磁石(S極)21bは下側の永久磁石(S極)21dの上方に配置されている。永久磁石21a,21bと永久磁石21c,21dとは磁気記録媒体1の磁性層を挟んで上下対称に配置されており、該磁性層から上側永久磁石21a,21bまでの距離と磁性層から下側永久磁石21c,21dまでの距離とは等しい。
【0043】
空芯コイル12a〜12dは各永久磁石21a〜21dに沿って延在するように配置されている。この実施の形態では、N極21a,21cとS極22b,22dとが対面する面(内側面)に沿って各空芯コイル12a〜12dが配置されているが、それと反対側(外側面)に配置されてもよい。
【0044】
上記のように永久磁石21a〜21dの先端側を磁気記録媒体の中心直近まで深く入り込ませることにより、前記扇形のエネルギー線照射領域Eの磁気記録媒体内周側における磁界強度の低下を抑制することができる。
【0045】
また、下側永久磁石の先端部上面と上側永久磁石の先端部下面とにそれぞれ強磁性体片23を設けることにより、該永久磁石の先端部付近から発生する磁束を磁気記録媒体に近い方に集中させ、これによってエネルギー線照射領域Eの磁気記録媒体内周側における磁界強度の低下を抑制することができる。なお、強磁性体片23を設ける代りに、各永久磁石21a〜21dの先端に、突出する凸部を設けてもよい。
【0046】
各永久磁石21a〜21dの長手方向の長さdは、磁気記録媒体1の内径(半径)riと外径(半径)r0との差(r0−ri)よりも大きく、好ましくはdは(r0−ri)の1.5倍以上である。N極及びS極の長さdをこのように大きくすることにより、前記エネルギー線照射領域Eのうち磁気記録媒体外周側における磁界強度低下を抑制することができる。また、外部磁界を発生させるコイルとしてインダクタンスの小さな空芯コイルを用いると、パルス幅を狭くでき、磁界印加時間を短くすることができる。
【0047】
このように構成された磁化パターン形成装置によって磁化パターンを形成するには、前記第7,8図と同様に、エネルギー線照射手段によって遮光板開口9a及びフォトマスク2を通して磁気記録媒体1の磁性層にエネルギー線をマスクパターン通りに照射すると同時に、空芯コイル12a〜12dに通電して磁気記録媒体1に所定強さ以上の磁界を印加し、エネルギー線の照射によって昇温した部分のみ磁化反転させて磁化パターンを形成する。
【0048】
1つの扇形領域に磁化パターンを形成した後、回転軸を駆動して磁気記録媒体1を扇形の周方向角度分だけ回転させ、上記と同じ手順にて磁化パターンを形成する。この工程を繰り返すことにより、磁気記録媒体1の全体に磁化パターンを形成する。その後、磁気記録媒体1を取り外し、替りに次の未処理の磁気記録媒体1を同様にしてパターン形成処理する。
【0049】
本発明では、この磁化パターン形成に際し、
エネルギー線のパルス半値幅(照射エネルギー線の最大値の1/2以上のエネルギー線が照射されている時間幅):Lw
印加する外部磁界のパルス幅(印加磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅):Mw
磁気記録媒体の基板の熱伝導度:σとした時、
(Mw/Lw)・σ<3×106[w/m・℃]
Mw>Lw
の関係を満すことようにする。これにより、線幅が小さくPW50も小さいパターンを形成することができる。
【0050】
なお、(Mw/Lw)・σは1×105以下が好ましい。(Mw/Lw)・σは通常の場合、1×103以上特に1×104以上である。磁界発生手段などの装置の能力からその下限値は決められる。
【0051】
以下、本発明方法のさらに好適な形態について説明する。
【0052】
磁気記録媒体を予め一様に磁化するには、磁気記録媒体に強い外部磁界を印加して、磁性層全体を所望の磁化方向に均一に磁化する。この外部磁界を印加するには、磁気ヘッドを用いてもよいし、電磁石または永久磁石を、所望の磁化方向に磁界が生じるよう配置して用いてもよい。更にそれら手段を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
なお、第1図〜第3図では、磁化容易軸が面内方向にあるので、この一様な磁化の方向は周方向であり、記録/再生ヘッドの走行方向と同一又は逆方向である。ただし、本発明は、磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合にも適用でき、この場合には垂直方向に磁化されるように、外部磁界を印加する。
【0054】
磁性層全体を所望の方向に均一に磁化するとは、磁性層の全部をほぼ同一方向に磁化することを言うが、厳密に全部ではなく、少なくとも磁化パターンを形成すべき領域が同一方向に磁化されていればよい。
【0055】
一様な磁化のための外部磁界の強さは磁気記録媒体の保磁力に合わせて設定すればよいが、磁性層の室温での静的な保磁力の2倍以上の磁界によって磁化することが好ましい。これより弱いと磁化が不十分となる可能性がある。ただし、通常、磁界印加に用いる着磁装置の能力上、磁性層の室温での静的な保磁力の5倍以下程度である。室温とは例えば25℃である。また磁気記録媒体の保磁力は、磁性層(記録層)の保磁力とほぼ同じである。
【0056】
エネルギーの照射により、磁化反転させるべき箇所を、磁性層の動的な保磁力の低下が見られる温度まで加熱する。例えば磁性層の磁化消失温度、キュリー温度近傍、好ましくは100℃以上に加熱する。加熱温度が100℃未満で外部磁界の影響を受ける磁性層は、室温での磁区の安定性が低い傾向がある。
【0057】
ただし、加熱温度は所望の保磁力の低下が得られる範囲で低いことが望ましい。加熱温度が高すぎると加熱したい領域以外への熱拡散が起こりやすく、パターンがぼやけてしまう虞がある。また、磁性層が変形してしまう可能性がある。更に、通常、磁気記録媒体の表面には潤滑剤からなる潤滑層が形成されており、加熱による潤滑剤の劣化等の悪影響を防止するためにも、加熱温度は低いほど好ましい。加熱により潤滑剤が分解などの劣化を起こしたり気化して減少したりする虞があるほか、特に近接露光の場合には気化した潤滑剤がマスク等に付着する虞もある。従って加熱温度はできるだけ低いことが望ましく、またこうすることにより本発明の磁化パターン形成法を、潤滑層を備えた磁気記録媒体に工業的に適用することが可能となる。
【0058】
このため加熱温度は磁性層のキュリー温度以下とするのが好ましい。
【0059】
磁化パターンを形成するときにコイルに通電する電流は、パルス状であることが好ましい。パルス状に電流を通電することにより、パルス状の動磁界が印加される。
【0060】
コイル及び永久磁石により加えられる磁界の最大強度は、磁気記録媒体の磁性層の特性によって異なるが、室温の静的保磁力の2/3以上特に3/4以上であることが望ましい。あまり弱いと加熱領域が良好に磁化されない虞がある。
【0061】
この磁界強度は、磁気記録媒体の磁性層の室温での動的保磁力より小さい磁界とする。印加する磁界がこれより大きいと、非加熱領域の磁化に影響を与える。なお、動磁界のパルス幅を短くするほど、印加できる磁界の上限値が大きくなる。動的保磁力の値は磁界の印加時間によって変化し、外部磁界のパルス幅を短くするほど磁性層の室温での動的保磁力が大きくなるからである。
【0062】
なお本発明において、磁界強度の値H(Oe)は磁束密度の値B(Gauss)でそのまま代用できる。一般にB=μH(ただし、μは透磁率を表す)の関係があるが、通常磁化パターンの形成は空気中で行われるため、透磁率は1であって、B=Hの関係が成り立つからである。
【0063】
ここで局所加熱の温度と加熱時間、及び外部磁界の最大強度と印加時間との関係について図を用いて説明する。第4図の(a)図は、磁性層の室温における飽和磁化曲線、(b)図は同磁性層の加熱領域の温度における飽和磁化曲線の模式図であり、横軸は外部磁界強度H、縦軸はその時の磁性層の磁化Mである。
【0064】
外部磁界の最大強度の好ましい範囲を第4図に示す。(a)図の通り、外部磁界の最大強度は、室温にある磁性層が減磁(磁化が弱くなること)を起こしたり逆方向に磁化されない程度(室温にある磁性層の磁化がMh1以上を保つ程度)に弱くなければならない。ただし(b)図の通り、外部磁界は、加熱領域の温度にある磁性層が逆方向に磁化される程度(加熱領域の温度にある磁性層の磁化がMh2より負方向に大きくなる程度)に強くなければならない。
【0065】
飽和磁化をMsとすると、Mh1は0.70Ms以上であるのが好ましく、より好ましくは0.85Ms以上である。従って、外部磁界の上限はMsに制限される。一方Mh2は−0.70Ms以下であるのが好ましく、より好ましくは−0.85Ms以下である。従って、外部磁界の下限は−Msに制限される。
【0066】
第5図は減磁または逆方向磁化されるに必要な磁界強度の、処理時間との関係を表す片対数グラフである。上側の直線はいわゆる室温特性を示し、室温で磁性層が減磁を起こしてしまう磁界強度が磁界印加時間(処理時間)により変化することを模式的に示している。磁界印加時間が短いほど、磁性層が減磁を起こすに必要な磁界強度は大きくなる。
【0067】
下側の直線はいわゆる加熱温度特性を示し、加熱領域の温度における磁性層が逆方向に磁化されるために必要な磁界強度が、加熱時間(処理時間)により変化することを模式的に示している。つまり加熱時間(処理時間)が長くなるほど加熱領域の温度が高くなり、保磁力が低下するので、逆方向磁化に必要な磁界強度は小さくなる。
【0068】
この第5図から、加熱時間と外部磁界印加時間が決まれば、外部磁界の最大強度の好ましい範囲が決まる。この範囲は、第5図のminとmaxの間である。
【0069】
外部磁界のパルス幅は通常100msec以下、好ましくは10msec以下、より好ましくは1msec以下とする。外部磁界のパルス幅を短くするほど印加できる磁界の上限値が大きくなる。動的保磁力の値は磁界の印加時間によって変化し、外部磁界のパルス幅を短くするほど磁性層の室温での動的保磁力が大きくなる。
【0070】
外部磁界のパルス幅は、好ましくは10nsec以上、より好ましくは100nsec以上とする。あまり短いとそれだけ動的保磁力が大きくなるため、加熱領域を磁化するために必要な外部磁界が大きくなってしまう。また、磁界の大きさにもよるが、電磁石の特性上磁界の立上がり、立下がりには時間を要するので、パルス幅を短くするのには限界がある。
【0071】
外部磁界のパルス幅Mwはパルス状エネルギー線のパルス幅Lw以上とする。これ以下であると、局所加熱中に磁界が変化してしまうので磁化パターンが良好に形成されないおそれがある。
【0072】
また、パルス状エネルギー線とパルス状の外部磁界を同期させ、同時に印加するのが好ましい。この様に印加することにより、エネルギー線で加熱され、一旦保磁力の低下した領域が冷却され保磁力が回復する前に、効果的に逆方向磁化に必要な磁界を印加することができる。
【0073】
エネルギー線のパルス幅Lwより磁界のパルス幅のほうが長いので、磁界パルスを印加中にエネルギー線パルスを印加するのが好ましい。外部磁界のパルスを印加し、磁界が最大になる前、または最大になる時にエネルギー線パルスを印加するのがより好ましい。但し、エネルギー線パルス印加があまり早いと、磁界パルスが最大強度になる前に加熱領域の温度が下がり、保磁力が回復してしまう虞があるため、エネルギー線の照射時と磁界が最大になる時の時間差が30μsec以下であるのが好ましい。最も好ましくは、外部磁界のパルスを印加し、磁界が最大になるところでエネルギー線のパルスが印加されるよう制御する。
【0074】
本発明は、動的保磁力を高めた磁気記録媒体やAFC媒体に適用すると特に効果が高い。
【0075】
例えば、記録用の磁性層とともに熱的に安定性を保つための安定化磁性層を有する、2層の磁性層を備えた磁気記録媒体が挙げられる。安定化磁性層が記録用磁性層の瞬時の磁化反転を抑えるように働くため、動的保磁力が高く、従来法では磁化パターンが形成しにくい。このような媒体に静的保磁力近傍或いはそれ以上の外部磁界を、パルス状に与えると良好な磁化パターンが形成できる。
【0076】
本発明は、記録再生用磁気ヘッドを制御するための制御用情報を持つ磁化パターン、例えばヘッドの位置に対応した信号を発生するパターンの形成に好適である。
【0077】
制御用情報は、その情報を用いて磁気ヘッドなどの記録再生手段を制御するものであり、磁気ヘッドをデータトラックに位置決めするためのサーボ情報、媒体上での磁気ヘッドの位置を示すアドレス情報、磁気ヘッドによる記録再生速度を制御するための同期情報、サーボ情報を後で書込むための基準情報が例示される。
【0078】
これら制御用磁化パターンは高精度で形成される必要があり、特にサーボパターンは、データトラックの位置制御用パターンであるため、高精度に形成される必要がある。
【0079】
本発明では精度の高いサーボパターン又は基準パターンが得られるため、特にトラック密度が40kTPI以上であるような高密度記録用の磁気記録媒体に適用すると効果が高い。
【0080】
エネルギー線源としては、パルスレーザ光源が好適である。パルスレーザ光源はレーザをパルス状に断続的に発振するものであり、連続レーザを音響光学素子(AO)や電気光学素子(EO)などの光学部品で断続させパルス化するのに比して、パワー尖頭値の高いレーザをごく短時間に照射することができ熱の蓄積が起こりにくく非常に好ましい。
【0081】
連続レーザを光学部品によりパルス化した場合、パルス内ではそのパルス幅に亘ってほぼ同じパワーを持つ。一方パルスレーザ光源は、例えば光源内で共振によりエネルギーをためて、パルスとしてレーザを一度に放出するため、パルス内では尖頭のパワーが非常に大きく、その後小さくなっていく。本発明では、コントラストが高く精度の高い磁化パターンを形成するために、ごく短時間に急激に加熱しその後急冷させるのが好ましいため、パルスレーザ光源の使用が適している。
【0082】
磁化パターンが形成される媒体面は、パルス状エネルギー線の照射時と非照射時で温度差が大きい方が、パターンのコントラストを上げ、或いは記録密度を上げるために好ましい。従ってパルス状エネルギー線の非照射時には室温以下程度になっているのが好ましい。室温とは25℃程度である。
【0083】
パルス状エネルギー線のパルス半値幅は、1μsec以下であることが望ましい。これよりパルス幅が広いと該磁気記録媒体にパルス状エネルギー線にて与えたエネルギーによる発熱が分散して、分解能が低下しやすい。1パルス当たりのパワーが同じである場合、パルス幅を短くし一度に強いエネルギーを照射した方が、熱拡散が小さく磁化パターンの分解能が高くなる傾向にある。より好ましくは100nsec以下である。この領域であると線幅の小さい磁化パターンが形成しやすい。最小幅が2μm以下のパターンを形成する際には、パルス半値幅を25nsec以下とするのがよい。即ち、分解能を重視すれば、パルス半値幅は短いほど良い。また、パルス半値幅は1nsec以上であるのが好ましい。磁性層の磁化反転が完了するまでの時間、加熱を保持しておくのが好ましいからである。
【0084】
なお、パルス状レーザの一種として、モードロックレーザのようにピコ秒、フェムト秒レベルの超短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パルスを高周波で照射している期間においては、各々の超短パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。すなわち、一旦キュリー温度以上に昇温された領域はキュリー温度以上に保たれる。
【0085】
従ってこのような場合、連続照射期間(超短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エネルギー量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/cm2)とする。
【0086】
エネルギー線のパワーは、外部磁界の大きさによって最適な値を選べばよいが、パルス状エネルギー線の1パルス当たりのパワーは1000mJ/cm2以下とすることが好ましい。これより大きなパワーをかけると、パルス状エネルギー線によって該磁気記録媒体表面が損傷を受け変形を起こす可能性がある。変形により粗度やうねりが大きくなると、浮上型/接触型ヘッドの走行に支障を来すおそれがある。
【0087】
エネルギー線のパワーは、より好ましくは500mJ/cm2以下であり、更に好ましくは200mJ/cm2以下である。この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。また、パワーは10mJ/cm2以上とするのが好ましい。これより小さいと、磁性層の温度が上がりにくく磁気転写が起こりにくい。なお、エネルギー線の回折の影響がパターン幅により変わるので、パターン幅に応じて最適なパワーも変化する。また、エネルギー線の波長が短いほど、印加可能なパワーの上限値は低下する傾向にある。
【0088】
磁気記録媒体の基板がガラスあるいはセラミックスである場合はアルミニウム等に比べて熱伝導が少なく、パルス状エネルギー線照射部位での熱の蓄積が多いことから、該パワーは10〜100mJ/cm2の範囲であることが好ましい。
【0089】
好ましいパワーの範囲はエネルギー線のパルスが照射したいパワーに到達するまでの時間、つまりパルスの立ち上がり時間にも影響される。上記記載の好ましいパワーの範囲は立ち上がり時間が5nsecにおいての値である。
【0090】
エネルギー線による磁性層、保護層、潤滑層の損傷が心配される場合は、パルス状エネルギー線のパワーを小さくして、該パルス状エネルギー線と同時に印加される磁界強度を上げるといった手段を取ることもできる。例えば、許容される範囲でできるだけ大きな磁界をかけ、照射エネルギーを下げる。
【0091】
なお、エネルギー線の照射により、潤滑剤がダメージ(分解、重合)等を受ける場合には、照射後に再塗布してもよい。
【0092】
エネルギー線の波長は、1100nm以下、特に600nm以下であることが好ましい。これより波長が短いと回折作用が小さく分解能が上がるため、微細な磁化パターンを形成しやすい。600nm以下の波長は、高分解能であるだけでなく、回折が小さいため、間隙によるマスクと磁気記録媒体との間隔を広くすることが可能となる。エネルギー線の波長は150nm以上であるのが好ましい。150nm未満では、マスクに用いる合成石英の吸収が大きくなり、加熱が不十分となりやすい。波長を350nm以上とすれば、光学ガラスをマスクとして使用することもできる。
【0093】
具体的には、エキシマレーザ(157,193,248,308,351nm)、YAGのQスイッチレーザ(1064nm)の2倍波(532nm)、3倍波(355nm)、或いは4倍波(266nm)、Arレーザ(488nm、514nm)、ルビーレーザ(694nm)などである。
【0094】
好ましくは、エネルギー線に予め強度分布の均一化処理をなし、照射した領域の加熱状態の分布を小さくする。これにより、磁化パターンの磁気的強さの分布が小さくなり、信号強度の均一性の高い磁化パターンが形成される。
【0095】
強度分布を均一化処理するには、例えば、ホモジナイザやコンデンサレンズを用いて均一化したり、遮光板やスリットなどでエネルギー線の強度分布の小さい部分だけを透過し必要に応じて拡大する。
【0096】
マスクは、エネルギー線の強度分布を、形成すべき磁化パターンに対応して変化させ、磁気ディスク面上にエネルギー線の濃淡(強度分布)を形成するものである。マスクとしては、パターンに応じてエネルギー線を透過する透過部を有するフォトマスクや、特定のパターンを媒体上に結像するホログラムが記録されたホログラムマスクが好適である。ホログラムマスクによればマスクと媒体の距離を十分離してもシャープで明瞭なパターンを形成することができる。フォトマスクは簡単かつ安価に作成できる。
【0097】
本発明では、マスクと磁気記録媒体との間隔を1μm以下と小さくし、レーザ光の回折を少なくすることにより、磁化パターンの精度を高くすることができる。
【0098】
磁気記録媒体に欠陥や傷を生じさせないようにするためには、マスクと磁気記録媒体との間に0.1μm以上間隙を設け、ゴミ等の挟み込みによる媒体やマスクの傷つき、欠陥発生を抑える。
【0099】
磁化パターンを均一に形成するためには、マスクと磁気記録媒体の間隔は磁気記録媒体の同一半径位上においては均一であるのが好ましい。このため、磁気記録媒体上に発生する干渉縞を観察するモニタリング装置を設けておくことも好ましい。マスクと磁気記録媒体の間隔が磁気記録媒体の同一半径位上において均一であった場合には、磁気記録媒体上に同心円状の干渉縞が発生する。しかし、マスクと磁気記録媒体の間隔が磁気記録媒体の同一半径位上において不均一であった場合には、磁気記録媒体上に非同心円状の干渉縞が発生する。従って、干渉縞を観察することにより、マスクと磁気記録媒体の間隔が磁気記録媒体の同一半径位上において均一となるように容易に調整することが好ましい。
【0100】
磁気記録媒体とマスクの間隙を均一に保つには、両者のあいだの、磁化パターン形成領域以外の場所にスペーサを挿入するのが好ましい。マスク自体にスペーサを一体形成しても良い。スペーサは硬質であり、また、磁化されない材料、例えば、ステンレス、銅などの金属や、ポリイミドなどよりなることが好ましい。
【0101】
フォトマスクは、所望の磁化パターンに相当する透過部と非透過部を備えている。このフォトマスクは、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス等の透明基板上にCr等の金属をスパッタリング形成し、その上にフォトレジストを塗布し、エッチング等によって、所望の透過部と非透過部を作成することができる。基板上に残ったCr等の金属層がエネルギー線非透過部となる。
【0102】
なお、透明基板自体をエッチングした後に、そのエッチング部にCr等の金属を埋め込み、非透過部を形成しても良い。
【0103】
透明基板は、石英ガラス又は光学ガラスで構成されているのが好ましい。石英ガラスは、300nm以下の短波長の紫外域のエネルギー線に対して透過性が高い。これより長い波長のエネルギー線を使用する場合は、廉価な光学ガラスを使うのがよい。
【0104】
透明基材は、たわみが生じず、安定的に平坦度をだすためには、通常1〜10mm程度が好ましい。
【0105】
また、フォトマスクの非透過層は、クロム層と酸化クロム層との積層膜であることが好ましい。クロムは非常に反射率が高いので、その表面を反射率約16%の酸化クロムで覆う。これにより、媒体面で反射したエネルギー線が再度マスク面で反射して媒体に戻ることが防止される。酸化クロム層は反射率が低い上にクロムを酸化させるのみで形成することができ、また、クロム層への密着性にも優れる。
【0106】
このようなフォトマスクを製造するには、石英などのマスク基板の上に、まずクロムを成膜し、その上に酸化クロムを成膜する。クロムの成膜方法としては、スパッター、蒸着、塗布などの方法がある。ただし、緻密な膜を形成するという観点からは、スパッター法が好ましい。また、酸化クロムの成膜方法も同様の手法が用いられるが、クロムを酸化させるために酸素と反応させながら成膜するのが好ましい。
【0107】
次いで、クロム、酸化クロムの積層膜上に、フォトレジストをスピンコート等により塗布し、所望のパターンに露光する。露光後、そのパターンに従い、クロム、酸化クロムをエッチングして除去することにより、フォトマスクが得られる。
【0108】
非透過層の膜厚は、概ね40nm以上が好ましい。エネルギー線耐久性を高めるためには160nm以上が好ましく、より好ましくは200nm以上である。
【0109】
但しあまり厚いと成膜時間が長くなりすぎるため、500nm以下が好ましい。クロム膜と酸化クロム膜の積層膜の場合には、クロム膜の膜厚が20〜200nm、酸化クロム膜の膜厚が20〜200nmの範囲であることが好ましい。
【0110】
このようにして非透過層を形成したフォトマスクは、この非透過層による凸部が形成されたものとなる。このフォトマスクは一般に非透過層の形成面が磁気ディスクに対面するように配置する。なお、非透過層間の凹部に、エネルギー線を透過する材料を埋め込み、フォトマスクの非透過層の形成面を平坦にして使用しても良い。
【0111】
磁気記録媒体の潤滑剤としてフッ素系潤滑剤を用いる場合には、非透過層の材質としてシリコン(金属珪素)又はそれを主成分合金を用いても好ましい。
【0112】
フッ素系潤滑剤を用いた場合、エネルギー線の照射によって潤滑剤が分解し、フッ酸が発生する事がある。フッ酸は腐食作用を持つため、フォトマスクの非透過層を腐食する恐れがある。しかし、シリコンは化学的に非常に安定であり、フッ酸に対する耐性が強いため、フッ酸による腐食を防止できる。さらに、シリコンはマスク基材であるガラス基板との密着性にも優れるため、剥離が起こりにくい。
【0113】
シリコン系非透過層は、シリコンを90原子%以上含むものが好ましい。シリコン以外の元素としては例えば、水素、酸素、窒素、Cr、Mo、Al、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ti、Ni、Ta、Mg、Se、Hf、Zr、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Bなどから選ばれる1種以上が挙げられる。また、スパッタリング法等で作製する場合はアルゴン等のスパッタリングガスが膜中に混入することもある。
【0114】
フッ酸による腐食を防止するには、添加元素はPt、Au、Rh等の貴金属、あるいは酸素、水素、窒素が好ましい。これら他の元素は1種類でもよいが、2種類以上を用いても良い。含有量は通常、10原子%以下程度が好ましい。
【0115】
非透過層の作製法は特に限定されずスパッタリング、電子ビーム蒸着、熱蒸着、CVD等の成膜方法を取ることが可能であるが、膜が緻密であり熱衝撃等に対しても剥離しにくいことや成膜の高速性の点からスパッタリング法が好ましい。
【0116】
なお、必要に応じて非透過層は2層以上の複数層としてもよい。
【0117】
本発明においては、非透過部の最外層(媒体に対向する側)にエネルギー線に対して透明な誘電体層を形成するのが好ましい。この目的の一つは、遮光部の媒体側の反射率を低下させることである。この面の反射率が高いと媒体から反射された光が再度媒体に向かうために、本来記録を行わない媒体の遮光部直下の温度が上がり、転写信号が乱れてしまう。
【0118】
ここで用いられる誘電体層としては酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられるが、フッ酸への耐久性の観点、及びガラス基体との密着性の観点から酸化シリコンが好ましい。
【0119】
スパッタリングで作製した酸化シリコンは特に緻密であり、同じ酸化シリコンである基体の石英ガラスよりもフッ酸への耐久性に優れているため、透過部にも遮光部と同様にスパッタリングによる酸化シリコンが設けられていることが好ましい。これにより石英ガラスの耐腐食性をも向上できる。
【0120】
非透過部のみに誘電体層を設ける場合は、最初の基体への成膜段階で遮光用のシリコン含有層と誘電体層を連続して作製することができる。非透過部と透過部の両方に誘電体を設ける場合は透過部と非透過部のパターンを作製した後、全面に酸化シリコンのスパッタリングを行うという手法で作製できる。
【0121】
誘電体層の作製方法としては金属ターゲットを酸素、窒素などで反応性スパッタリングすると、反応性ガスの分圧や成膜パワーで膜質を制御可能である。従って十分透明な膜質を得る上で、また成膜速度の点からも反応性スパッタリングを用いることが好ましい。誘電体の厚みは20nm以上であることが好ましい。また厚すぎると成膜時間が長くなる上、光学的な影響も生じるので300nm以下であることが好ましい。
【0122】
但し、マスクの磁気記録媒体に対する面であっても、磁化パターン形成領域に対応する領域以外は、最外層に誘電体層を形成する必要はない。
【0123】
磁気記録媒体は媒体の主両面に磁性層が形成されている場合があるが、その場合、本発明の磁化パターン形成は片面ずつ、逐次に行ってもよいし、マスク、エネルギー照射系および外部磁界を印加する手段を媒体の両面に設置して、両面同時に磁化パターン形成を行うこともできる。
【0124】
一面に二層以上の記録用磁性層が形成されており、それぞれに異なるパターンを形成したい場合は、照射するエネルギー線の焦点を各層に合わせることにより、各層を個別に加熱し、個別のパターンを形成できる。
【0125】
磁化パターンを形成する際には、エネルギー線の光源とマスクとの間、又はマスクと該媒体との間の照射をしたくない領域に、エネルギー線を部分的に遮光可能な遮光板を設けて、エネルギー線の再照射を防ぐ構造とするのが好ましい。
【0126】
遮光板としては、使用するエネルギー線の波長を透過しないものであればよく、エネルギー線を反射又は吸収すればよい。ただし、エネルギー線を吸収すると加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、熱伝導度がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、Cr、Al、Feなどの金属板である。
【0127】
また好ましくは光学系に縮小結像技術を用いる。形成すべき磁化パターンに応じた強度分布を有するパターン化エネルギー線を縮小して媒体表面に結像させる。これによれば、エネルギー線を対物レンズで絞った後マスクを介する場合、すなわち近接露光の場合に比較して、マスクのパターニング精度やアライメント精度により磁化パターンの精度が制限されることがなく、より微細な磁化パターンを精度良く形成することができる。また、マスクと媒体が離間しているため、媒体上のゴミの影響も受けにくい。以下、本技術を縮小結像技術(結像光学系)と称することがある。
【0128】
光源から出射したエネルギー線は、マスクを介して強度分布を変化させ、結像レンズなどの結像手段を通して媒体表面に縮小結像させる。なお、結像レンズは投影レンズと、縮小結像を縮小投影と称することもある。
【0129】
次に、本発明に適した磁気記録媒体の構成について説明する。
【0130】
磁気記録媒体の基板としては、高速記録再生時に高速回転させても振動しない必要があり、通常、硬質基板が用いられる。振動しない十分な剛性を得るため、基板厚みは一般に0.3mm以上が好ましい。但し厚いと磁気記録装置の薄型化に不利なため、3mm以下が好ましい。
【0131】
本発明では、基板の熱伝導度を小さくしてエネルギー線照射領域からの熱拡散を少なくするため、基板材料は通常のソーダガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケート系ガラス、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラス、石英ガラス等あるいはセラミック基板が好適である。
【0132】
この基板の熱伝導度は、10w/(m・℃)以下、特に5w/(m・℃)以下であることが好ましい。なお、上記の各種ガラスの熱伝導度は0.2〜2w/(m・℃)程度である。
【0133】
ただし、基板は、(Mw/Lw)・σが3×106w/(m・℃)よりも小さくなるならば、アルミ合金やマグシウム合金などの金属製であってもよい。
【0134】
磁気記録媒体の製造工程においては、各層の密着性を確保する見地から、通常、基板の洗浄・乾燥が行われる。
【0135】
磁気記録媒体の製造に際しては、基板表面にNiP、NiAl等の金属層を形成してもよい。
【0136】
金属層の形成法としては、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法など薄膜形成に用いられる方法を利用することができる。導電性の材料からなる基板の場合であれば電解めっきを使用することが可能である。金属層の膜厚は50nm以上が好ましい。ただし、磁気記録媒体の生産性などを考慮すると20μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは10μm以下である。
【0137】
金属層を成膜する領域は基板表面全域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャリングを施す領域のみでも実施可能である。
【0138】
また、基板表面、又は基板に金属層が形成された表面に同心状テキスチャリングを施してもよい。本発明において同心状テキスチャリングとは、例えば遊離砥粒とテキスチャーテープを使用した機械式テキスチャリングやレーザ光線などを利用したテキスチャリング、又はこれらを併用することによって、円周方向に研磨することによって基板円周方向に微小溝を多数形成した状態を指称する。
【0139】
一般に、機械式テキスチャリングは磁性層の面内異方性を出すために行われる。面内等方性の磁性層としたい場合は施す必要はない。
【0140】
また一般に、レーザ光線などを利用したテキスチャリングは、CSS(コンタクト・スタート・アンド・ストップ)特性を良好にするために行われる。磁気記録装置が、非駆動時にヘッドを磁気記録媒体の外に待避させる方式(ロード・アンロード方式)などの場合は施す必要はない。
【0141】
機械的テキスチャリングに用いられる砥粒としてはアルミナ砥粒が広く用いられているが、特にテキスチャリング溝に沿って磁化容易軸を配向させるという面内配向媒体の観点から考えるとダイアモンド砥粒が極めて良い性能を発揮する。中でも表面がグラファイト化処理されているものが最も好ましい。
【0142】
ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高密度磁気記録の実現には有効であり、またこれら基板の特長のひとつが優れた表面平滑性にあることから、基板表面の粗度Raは2nm以下が好ましく、より好ましくは1nm以下である。特に0.5nm以下が好ましい。なお、基板表面粗度Raは、触針式表面粗さ計を用いて測定長400μmで測定後、JIS B0601に則って算出した値である。このとき測定用の針の先端は半径0.2μm程度の大きさのものが使用される。
【0143】
磁気記録媒体の基板上には、磁性層との間に下地層等を形成してもよい。下地層は、結晶を微細化し、かつその結晶面の配向を制御することを目的とし、Crを主成分とするものが好ましく用いられる。
【0144】
Crを主成分とする下地層の材料としては、純Crのほか、記録層との結晶マッチングなどの目的で、CrにV、Ti、Mo、Zr、Hf、Ta、W、Ge、Nb、Si、Cu、Bから選ばれる1又は2以上の元素を添加した合金や酸化Crなども含む。
【0145】
中でも純Cr、又はCrにTi、Mo、W、V、Ta、Si、Nb、Zr及びHfから選ばれる1又は2以上の元素を添加した合金が好ましい。これら第二、第三元素の含有量はそれぞれの元素によって最適な量が異なるが、一般には1原子%〜50原子%が好ましく、より好ましくは5原子%〜30原子%、さらに好ましくは5原子%〜20原子%の範囲である。
【0146】
下地層の膜厚はこの異方性を発現させ得るに十分なものであればよいが、好ましくは0.1〜50nmであり、より好ましくは0.3〜30nm、さらに好ましくは0.5〜10nmである。Crを主成分とする下地層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくてもよい。
【0147】
下地層の上には、記録層との間に、場合により軟磁性層を設けても良い。特に磁化遷移ノイズの少ないキーパー媒体、或いは磁区が媒体の面内に対して垂直方向にある垂直記録媒体には、効果が大きく、好適に用いられる。
【0148】
軟磁性層は透磁率が比較的高く損失の少ないものであればよいが、NiFeや、それに第3元素としてMo等を添加した合金が好適に用いられる。最適な透磁率は、データの記録に利用されるヘッドや記録層の特性によっても大きく変わるが、概して、最大透磁率が10〜1000000(H/m)程度であることが好ましい。
【0149】
Crを主成分とする下地層上に必要に応じ中間層を設けてもよい。例えばCoCr系中間層を設けると、磁性層の結晶配向が制御しやすく好ましい。
【0150】
次に記録層(磁性層)を形成するが、記録層と軟磁性層の間には下地層と同一材料の層又は他の非磁性材料が挿入されていてもよい。記録層の成膜時は、基板加熱を行っても行わなくてもよい。記録層としては、Co合金磁性層、TbFeCoを代表とする希土類系磁性層、CoとPdの積層膜を代表とする遷移金属と貴金属系の積層膜等が好ましく用いられる。
【0151】
Co合金磁性層としては、通常、純CoやCoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiCr、CoCrPtなどの磁性材料として一般に用いられるCo合金磁性材料を用いうる。これらのCo合金に更にNi、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの元素やSiO2等の化合物を加えたものでも良い。例えばCoCrPtTa、CoCrPtB、CoNiPt、CoNiCrPtB等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚は任意であるが、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。また、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。また、本記録層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであっても異なっていてもよい。
【0152】
希土類系磁性層としては、磁性材料として一般的なものを用いうるが、例えばTbFeCo、GdFeCo、DyFeCo、TbFeなどが挙げられる。これらの希土類合金にTb、Dy、Hoなどを添加してもよい。酸化劣化防止の目的からTi、Al、Ptが添加されていてもよい。希土類系磁性層の膜厚は、任意であるが、通常5〜100nm程度である。また、本記録層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであっても異なっていてもよい。特に希土類系磁性層は、アモルファス構造膜であり、かつメディア面内に対して垂直方向に磁化を持つため高記録密度記録に適し、高密度かつ高精度に磁化パターンを形成できる本発明の方法がより効果的に適用できる。
【0153】
同様に垂直磁気記録が行える、遷移金属と貴金属系の積層膜としては、磁性材料として一般的なものを用いうるが、例えばCo/Pd、Co/Pt、Fe/Pt、Fe/Au、Fe/Agなどが挙げられる。これらの積層膜材料の遷移金属、貴金属は、特に純粋なものでなくてもよく、それらを主とする合金であってもよい。積層膜の膜厚は、任意であるが、通常5〜1000nm程度である。また、必要に応じて3種以上の材料の積層であってもよい。
【0154】
本発明においては、記録層は薄い方が好ましい。記録層が厚いと、記録層を加熱したときの膜厚方向の熱の伝わりが悪く、良好に磁化されないおそれがあるためである。このため記録層膜厚は200nm以下が好ましい。ただし、磁化を保持するために、記録層膜厚は5nm以上が好ましい。
【0155】
本発明において、記録層としての磁性層は、室温において磁化を保持し、加熱と同時に外部磁界を印加されて消磁されるか逆方向に磁化される。
【0156】
磁性層は室温において磁化を保持する必要があり、磁性層の室温での静的保磁力を2000Oe以上とするのが好ましい。小さな磁区が保持でき高密度記録に適した媒体が得られる。より好ましくは3000Oe以上である。 ただし、好ましくは室温での静的保磁力を20kOe以下とする。20kOeを超えると、第1外部磁界による均一磁化のために大きな磁界強度が必要となり、また通常の磁気記録が困難となる可能性がある。より好ましくは15kOe以下とし、更に好ましくは15kOeとする。
【0157】
磁性層の静的保磁力と局所加熱温度、外部磁界強度について説明すると、例えば室温において静的保磁力が3500〜4000Oeの媒体は、通常、温度上昇に伴い、10〜15Oe/℃の割合で保磁力が線形に減少し、例えば150℃で2000Oe程度になる。3000Oe程度であれば外部磁界印加手段で容易に発生させることができるので、150℃程度の加熱でも十分に磁化パターンが形成できる。
【0158】
動的な保磁力は、高密度に記録した情報を安定に保持するためには大きいものとなる。動的保磁力は通常、磁界強度を1sec以下の短時間で変化させたときに測定される保磁力、つまりパルス幅が1sec以下の磁界に対する保磁力である。但しその値は磁界や熱の印加時間によって変わる。
【0159】
好ましくは、1secでの動的保磁力が静的保磁力の2倍以上である。但し、あまり大きいと外部磁界による磁化のために大きな磁界強度が必要になるので20kOe以下が好ましい。
【0160】
以下に、磁気記録媒体の動的保磁力(記録層としての磁性層の保磁力)の測定手順の一例を示す。
1.印加時間t=10secにおける媒体の保磁力を求める。
1.1 最大磁界強度(20kOe)まで磁界を印加し,媒体を飽和させる。
1.2 負の方向(飽和方向と反対向き)に所定強度の磁界H1を印加する。
1.3 その磁界下で10sec保持する。
1.4 磁界をゼロに戻す。
1.5 1.4の時の磁化値を読みとると、残留磁化値M1が得られる。
1.6 1.2とは少し印加磁界強度を変えて同じ測定(1.1〜1.5)を繰り返す。合計4点の磁界強度H1,H2,H3,H4での残留磁化値M1、M2、M3、M4が得られる。
1.7 この4点から残留磁化Mが0となる印加磁界強度Hを求める。これが印加時間t=10secにおける媒体の保磁力となる。
2.印加時間tを60sec、100sec、600secについて同じ測定を行い、それぞれの印加時間での保磁力を求める。
3.以上で得られた10sec、60sec、100sec、600secでの保磁力の値から外挿して、より短い印加時間での保磁力を求めることができる。
例えば印加時間1nsecでの動的保磁力も求められる。
【0161】
磁性層は、室温において磁化を保持しつつ、適当な加熱温度では弱い外部磁界で磁化されるものである必要がある。また室温と磁化消失温度との差が大きい方が磁化パターンの磁区が明瞭に形成しやすい。このため磁化消失温度は高いほうが好ましく、100℃以上が好ましくより好ましくは150℃以上である。例えば、キュリー温度近傍(キュリー温度のやや下)や補償温度近傍に磁化消失温度がある。
【0162】
キュリー温度は、好ましくは100℃以上である。100℃未満では、室温での磁区の安定性が低い傾向がある。より好ましくは150℃以上である。また好ましくは700℃以下である。磁性層をあまり高温に加熱すると、変形してしまう可能性があるためである。
【0163】
なお、本発明においては、AFC(Anti−Ferromagnetic coupled)媒体のキュリー温度とは、主磁性層のキュリー温度ではなく媒体全体の見かけ上のキュリー温度を言う。
【0164】
磁気記録媒体が面内磁気記録媒体である場合、高密度用の高い保磁力を持った磁気記録媒体に対しては従来の磁気転写法では飽和記録が難しく、磁界強度の高い磁化パターン生成が困難となり、半値幅も広がってしまう。このような高記録密度に適した面内記録媒体でも、本方法によれば良好な磁化パターン形成が可能となる。特に、該磁性層の飽和磁化が50emu/cc以上である場合は、反磁界の影響が大きいので本発明を適用する効果が大きい。
【0165】
100emu/cc以上であるとより効果が高い。ただしあまり大きいと磁化パターンの形成がしにくいため、500emu/cc以下が好ましい。
【0166】
磁気記録媒体が垂直磁気記録媒体であり、磁化パターンが比較的大きく1磁区の単位体積が大きい場合は、飽和磁化が大きくなり、磁気的な減磁作用で磁化反転が起こりやすいためそれがノイズとなり半値幅を悪化させる。しかし、本発明では、軟磁性を使用した下地層の併用で、これらの媒体にも良好な記録が可能となる。
【0167】
本発明においては、磁性層上に保護層を形成するのが好ましい。すなわち、媒体の最表面を硬質の保護層により覆う。保護層はヘッドや衝突や塵埃・ゴミ等のマスクとの挟み込みによる磁性層の損傷を防ぐ働きをする。本発明のようにマスクを用いた磁化パターン形成法を適用する際には、マスクとの接触から媒体を保護する働きもある。
【0168】
また、本発明において保護層は、加熱された磁性層の酸化を防止する効果もある。磁性層は一般に酸化されやすく、加熱されると更に酸化されやすい。本発明では磁性層をエネルギー線などで局所的に加熱するため、酸化を防ぐための保護層を磁性層上に予め形成しておくのが望ましい。
【0169】
磁性層が複数層ある場合には、最表面に近い磁性層の上に保護層を設ければよい。保護層は磁性層上に直接設けても良いし、必要に応じて間に他の働きをする層をはさんでも良い。
【0170】
エネルギー線の一部は保護層でも吸収され、熱伝導によって磁性層を局所的に加熱する働きをする。このため保護層が厚すぎると横方向への熱伝導により磁化パターンがぼやけてしまう可能性があるので、膜厚は薄い方が好ましい。また記録再生時の磁性層とヘッドとの距離を小さくするためにも薄い方が好ましい。従って50nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。ただし、充分な耐久性を得るためには0.1nm以上が好ましく、より好ましくは1nm以上である。
【0171】
保護層としては、硬質で酸化に強い性質を有していればよい。一般にカーボン、水素化カーボン、窒素化カーボン、アモルファスカーボン、SiC等の炭素質層やSiO2、Zr2O3、SiN、TiNなどが用いられる。保護層が磁性を有する材料であっても良い。
【0172】
特にヘッドと磁性層の距離を極限まで近づけるためには、非常に硬質の保護層を薄く設けることが好ましい。従って耐衝撃性及び潤滑性の点で炭素質保護膜が好ましく、特にダイヤモンドライクカーボンが好ましい。エネルギー線による磁性層の損傷防止の役割を果たすだけでなく、ヘッドによる磁性層の損傷にも極めて強くなる。本発明の磁化パターン形成法は、炭素質保護層のような不透明な保護層に対しても適用できる。
【0173】
また、保護層が2層以上の層から構成されていてもよい。磁性層の直上の保護層としてCrを主成分とする層を設けると、磁性層への酸素透過を防ぐ効果が高く好ましい。
【0174】
更に保護層上には潤滑層を形成するのが好ましい。媒体のマスク及び磁気ヘッドによる損傷を防ぐ機能を持つ。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられ、ディップ法、スピンコート法などの常法で塗布することができる。蒸着法で成膜してもよい。磁化パターン形成の妨げとならないために潤滑層は薄い方が好ましく、10nm以下が好ましい。より好ましくは4nm以下である。十分な潤滑性能を得るためには0.5nm以上が好ましい。より好ましくは1nm以上である。
【0175】
潤滑層上からエネルギー線を照射する場合には、潤滑剤のダメージ(分解、重合)等を考慮し、再塗布などを行ってもよい。
【0176】
また、以上の層構成には他の層を必要に応じて加えても良い。
【0177】
浮上型/接触型ヘッドの走行安定性を損なわないよう、磁化パターン形成後の該媒体の表面粗度Raは3nm以下に保つのが好ましい。なお、媒体表面粗度Raとは潤滑層を含まない媒体表面の粗度であって、触針式表面粗さ計(機種名:Tencor P−12 disk profiler(KLA Tencor社製))を用いて測定長400μmで測定後、JIS B0601に則って算出した値である。より好ましくは1.5nm以下とする。
【0178】
望ましくは磁化パターン形成後の該媒体の表面うねりWaを5nm以下に保つ。Waは潤滑層を含まない媒体表面のうねりであって、触針式表面粗さ計(機種名:Tencor P−12 disk profiler(KLA Tencor社製))を用いて測定長2mmで測定後、Ra算出に準じて算出した値である。より好ましくは3nm以下とする。
【0179】
磁気記録媒体への磁化パターンの形成は、記録層上に保護層や潤滑層などを形成した後に行うのが好ましいが、記録層の酸化のおそれが無い場合は記録層の成膜直後に行っても良い。
【0180】
磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法としては各種の方法が採りうるが、例えば直流(マグネトロン)スパッタリング法、高周波(マグネトロン)スパッタリング法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法が挙げられる。
【0181】
また、成膜時の条件としては、得るべき媒体の特性に応じて、到達真空度、基板加熱の方式と基板温度、スパッタリングガス圧、バイアス電圧等を適宜決定する。例えば、スパッタリング成膜では、通常の場合、到達真空度は5×10−6Torr(1Torrは1.33×102Pa)以下、基板温度は室温〜400℃、スパッタリングガス圧は1×10−3〜20×10−3Torr、バイアス電圧は0〜−500Vが好ましい。
【0182】
基板を加熱する場合は下地層形成前から加熱しても良い。或いは、熱吸収率が低い透明な基板を使用する場合には、熱吸収率を高くするため、Crを主成分とする種子層又はB2結晶構造を有する下地層を形成してから基板を加熱し、しかる後に記録層等を形成しても良い。
【0183】
記録層が、希土類系の磁性層の場合には、腐食・酸化防止の見地から、ディスク状磁気記録媒体の最内周部及び最外周部を最初マスクして、記録層まで成膜、続く保護層の成膜の際にマスクを外し、記録層を保護層で完全に覆う方法や、保護層が2層の場合には、記録層と第1の保護層までをマスクしたまま成膜し、第2の保護層を成膜する際にマスクを外し、やはり記録層を第2の保護層で完全に覆うようにすると希土類系磁性層の腐食、酸化を防ぐことができる。
【0184】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、その要旨の範囲を越えない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0185】
(実施例1)
熱伝導度σ=1.5w/m・℃のアルミノシリケイトガラスよりなる外径(半径)32.5mm、内径(半径)10.0mmの基板を洗浄、乾燥し、その上に到達真空度:1×10−7Torr、基板温度:350℃、バイアス電圧:−200V、スパッタリングガス:Ar、ガス圧:3×10−3Torrの条件下で、NiAlを60nm、Cr90Mo10を10nm、記録層としてCo64Cr16Pt12B8を12nm、保護層としてカーボン(ダイヤモンドライクカーボン)を5nm成膜した。
【0186】
その上には潤滑層としてフッ素系潤滑剤を0.5nmの厚さに塗布し、100℃で40分焼成し、室温での静的保磁力3450Oe、Brt(残留磁束密度(G)と磁性層の厚み(μm)との積)が52.8の面内記録用磁気ディスクを得た。
【0187】
このディスクに、電磁石の磁界方向がディスクの回転方向と同じとなるように構成して、約10kOe(約10kガウス)の強度で印加して、ディスク面を一様に(均一に)磁化した。
【0188】
フォトマスクは外径(半径)95mm、内径(半径)10mmのドーナツ型、2.3mm厚の石英ガラスを基材とし、ディスクに対する面側に、クロムを75nm、酸化クロムを25nmの膜厚で順次に成膜し、エッチング領域(パターン領域)をパターン最小幅0.5μm(ライン、スペースとも0.5μm)にエッチングし、非透過部を形成した。なお、エッチング領域(パターン領域)以外の領域は全てクロム層と酸化クロム層が形成された非透過部である。得られたフォトマスクの、波長248nmのエキシマパルスレーザに対する反射率は非透過部で16%、透過部で5%であった。
【0189】
この後、フォトマスクに非感光性ポリイミド樹脂を2.5μmの厚さで均一に塗布し、さらにフォトレジストを0.2μmの厚さに塗布した。ここに、突起形成用マスクを介して高圧水銀ランプの光を照射しブロードバンド露光を行い、アルカリ液により現像及びエッチングを行ったのち残ったフォトレジスト層を除去し、突起を形成した。続いて350℃で15分間ベーク(焼成)を行い、ポリイミド樹脂からなる突起を硬化させた。
【0190】
パターン領域外の外周部である半径約32.3〜32.5mmの範囲には、高さ0.7μm、直径50μmの略円形の突起(スペーサ)が100μm間隔に形成されたマスクを得た。
【0191】
第1図〜第3図に示す磁化パターン形成装置を用いて上記構成の磁気記録媒体に磁化パターンを形成した。
【0192】
即ち、上記のフォトマスクと磁気ディスクを第1図〜第3図のようにターンテーブルに密着し、次いで永久磁石とコイルからなる磁化装置を図示の通り配置した。そして、ターンテーブルを3.2秒間で1回転の速度で回転させた。ここに波長248nmのエキシマパルスレーザをパルス半値幅Lw=21nsec、パワー(エネルギー密度):130mJ/cm2、ビーム形状:10mm×30mm(ピークエネルギーの1/e2となる径)に制御しレーザ照射口にビーム形状を角度12°の扇形に整形する遮光板を設置して、繰り返し周波数10Hz(照射周期100msec)で32パルス照射し、同時に図3に示す磁界印加手段を用いて磁界を印加し、磁化パターンの転写を試みた。
【0193】
空芯コイルに700Vのパルス状電流を流すことにより、パルス幅Mw=350μsecのパルス状動磁界を発生させ、静磁界と重畳させて3500ガウス程度の磁界を印加した。
【0194】
この場合、(Mw/Lw)・σ=(350×103/21)×1.5=2.5×104である。
【0195】
この様にして得られた磁気記録媒体を5400rpmで回転させて、再生素子幅0.4μmのハードディスク用MRヘッドで磁化パターンを再生した信号のPw50は20nsecであった。
【0196】
なお、ここで用いた、レーザ照射のための光学系の構成は以下のとおりである。エキシマパルスレーザ光源から発振したパルスレーザはプログラマブルシャッターを通過する。プログラマブルシャッターは光源から所望のパルスのみ取り出す役目をする。
【0197】
プログラマブルシャッターで選択されたレーザは、所望のパワーに出力調整され次いで、レーザは短軸方向を3分割するためのプリズムアレイと、長軸方向を7分割するためのプリズムアレイを通過し、投影レンズに至る。プリズムアレイは、レーザを分割し重ね合わせ、エネルギー強度分布を均一にする機能を有する。これらをホモジナイザと称することもある。さらに、レーザは必要に応じて遮光板を通して所望のビーム形状とし、フォトマスクにより強度分布を磁化パターンに応じて変化させたのち、ディスクに投影される。
【0198】
(実施例2)
熱伝導度σ=240w/m・℃の3.5インチ径のNiPメッキ付きアルミニウム合金基板を用いた以外は実施例1と同様にして記録層等を成膜し、 その上に潤滑層としてフッ素系潤滑剤を0.5nmの厚さに塗布し、100℃で40分焼成し、室温での静的保磁力3450Oe、Brt(残留磁束密度(G)と磁性層の厚み(μm)との積)が48.0のの面内記録用磁気ディスクを得た。
【0199】
このディスクに、電磁石の磁界方向がディスクの回転方向と同じとなるように構成して、約10kOe(約10kガウス)の強度で印加して、ディスク面を一様に(均一に)磁化した。
【0200】
フォトマスクは127mm×127mmの正方形、2.3mm厚の石英ガラスを基材とし、ディスクに対する面側に、クロムを75nm、酸化クロムを25nmの膜厚で順次に成膜し、エッチング領域(パターン領域)をパターン最小幅0.5μm(ライン、スペースとも0.5μm)にエッチングし、非透過部を形成した。なお、エッチング領域(パターン領域)以外の領域は全てクロム層と酸化クロム層が形成された非透過部である。得られたフォトマスクの、波長248nmのエキシマパルスレーザに対する反射率は非透過部で16%、透過部で5%であった。
【0201】
この後、フォトマスクに非感光性ポリイミド樹脂を2.5μmの厚さで均一に塗布し、さらにフォトレジストを0.2μmの厚さに塗布した。ここに、突起形成用マスクを介して高圧水銀ランプの光を照射しブロードバンド露光を行い、アルカリ液により現像及びエッチングを行ったのち残ったフォトレジスト層を除去し、突起を形成した。続いて350℃で15分間ベーク(焼成)を行い、ポリイミド樹脂からなる突起を硬化させた。
【0202】
突起形成用マスクは、直径約3.5インチのディスク状で、半径47〜48mmの領域に、直径50μmの非円形透過部が100μm間隔に並んでいる。
【0203】
以上により、パターン領域が半径18〜45mmに形成され、パターン領域の周縁部、つまりパターン領域以外の外周である半径約47〜48mmの範囲に、高さ0.7μm、直径50μmの略円形の突起(スペーサ)が100μm間隔で形成されたフォトマスクを得た。
【0204】
このフォトマスクと磁気ディスクを用いて、表1にあるレーザーパワー、最大磁界、Mw、Lwの条件にて、実施例1と同様に磁化パターンの形成を行い、同様にPw50を計測した。結果を(Mw/Lw)・σ値と併せて表1に示す。
【0205】
(実施例3、4及び比較例1、2)
磁気記録媒体の基板がガラス基板の場合は実施例1と同様にして、磁気記録媒体の基板がアルミ合金基板の場合は実施例2と同様にして、表1にあるレーザーパワー、最大磁界、Mw、Lwの条件にて磁化パターンの形成を行い、同様にPw50を計測した。結果を(Mw/Lw)・σ値と併せて表1に示す。
【0206】
【表1】
【0207】
【発明の効果】
本発明によれば、線幅の小さい磁化パターンを形成することができる。本発明によれば、PW50の小さい微細な磁化パターンを効率よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁化パターン形成装置の実施の形態を示す概略的な構成図である。
【図2】本発明の磁化パターン形成装置の実施の形態を示す概略的な斜視図である。
【図3】本発明の磁化パターン形成装置の永久磁石と回転軸を示す斜視図である。
【図4】(a)図は、磁性層の室温における飽和磁化曲線、(b)図は同磁性層の加熱領域の温度における飽和磁化曲線の模式図である。
【図5】減磁または逆方向磁化されるに必要な磁界強度の処理時間との関係を表す片対数グラフである。
【図6】先行技術を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体
2 フォトマスク
3 回転軸
9 遮光板
9a 開口
12a,12b,12c,12d 空芯コイル
21a,21b,21c,21d 永久磁石
22 ヨーク
23 強磁性体片
Claims (6)
- 基板上に磁性層を有する磁気記録媒体に磁化パターンを形成する方法であって、
所定方向にほぼ一様に磁化されてなる該磁性層に対し、エネルギー線をパルス状に照射して該磁性層を局所的に加熱すると同時に該磁性層にパルス状の磁界成分を有する外部磁界を印加し、この加熱された部分を該所定方向とは逆向きに磁化することにより磁化パターンを形成する方法において、
エネルギー線のパルス半値幅(照射エネルギー線の最大値の1/2以上のエネルギー線が照射されている時間幅):Lw
印加する外部磁界のパルス幅(印加磁界の最大値の80%以上の磁界が印加されている時間幅):Mw
磁気記録媒体の基板の熱伝導度:σとした時、
(Mw/Lw)・σ<3×106[w/m・℃]
Mw>Lw
の関係を満すことを特徴とする磁化パターン形成方法。 - 請求項1において、0.5μm以下の線幅の磁化パターンを形成することを特徴とする磁化パターン形成方法。
- 請求項1又は2において、前記エネルギー線をマスクを介して前記磁性層に照射することを特徴とする磁化パターン形成方法。
- 請求項3において、該マスクと磁気記録媒体との間隔が1.0μm以下であることを特徴とする磁化パターン形成方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該磁気記録媒体の基板がガラス基板であることを特徴とする磁化パターン形成方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項の方法により磁気パターンが形成されてなる磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002221579A JP2004063022A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 磁気記録媒体における磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002221579A JP2004063022A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 磁気記録媒体における磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004063022A true JP2004063022A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31941852
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002221579A Pending JP2004063022A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 磁気記録媒体における磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004063022A (ja) |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002221579A patent/JP2004063022A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6744583B2 (en) | Method for forming a magnetic pattern in a magnetic recording medium, a magnetic pattern forming device, a magnetic recording medium and a magnetic recording device | |
US6816330B2 (en) | Method for forming a magnetic pattern in a magnetic recording medium, magnetic recording medium magnetic recording device and photomask | |
US6781779B2 (en) | Magnetic recording medium, its production method and magnetic recording apparatus | |
JP4098019B2 (ja) | 磁化パターン形成方法及び装置 | |
JP2004063022A (ja) | 磁気記録媒体における磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 | |
JP3908778B2 (ja) | マスク | |
JP2004053955A (ja) | 磁化パターン形状規定用マスクに対する薄膜形成方法及び磁化パターン形状規定用マスク、並びに磁化パターン形状規定用マスクの余剰薄膜除去方法 | |
JP3712998B2 (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、並びにマスク | |
JP3859198B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP3886388B2 (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、及び磁化パターン形成に使用するマスク | |
JP2003272137A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、磁気記録媒体及び磁気記録装置、並びにマスク | |
JP4219529B2 (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装置 | |
JP3908563B2 (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法 | |
JP2002358634A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成装置及び形成方法 | |
JP2004021160A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成用マスク、磁化パターン形成方法、及び磁気記録媒体、並びに磁気記録装置 | |
JP3712987B2 (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、並びにマスク | |
JP3886377B2 (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法 | |
JP2003272136A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、磁気記録媒体及び磁気記録装置、並びにマスク | |
JP4004883B2 (ja) | 磁化パターン形成方法 | |
JP2002197647A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、磁気記録媒体及び磁気記録装置、並びにフォトマスク | |
JP2002251719A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、磁気記録媒体及び磁気記録装置、並びにフォトマスク | |
JP2001357524A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法、並びに磁気記録装置 | |
JP2001338419A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び製造方法、磁気記録媒体、並びに磁気記録装置 | |
JP2006351196A (ja) | 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体 | |
JP2001312808A (ja) | 磁気ディスク及びその磁化パターン形成方法並びに磁気ディスク装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20040210 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050728 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070516 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070522 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070927 |