JP2004061146A - 角度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を削減して構成を簡単にするとともに、摩耗による寿命の低下を回避し得る角度センサを提供する。
【解決手段】検出対象と連動して軸中心に回転する検出軸1aと、該検出軸1aの回転角を2重で検出する検出手段が配設された基板2とを具備した角度センサにおいて、検出軸1aにおける基板2と対向した表面に異なる極(S極及びN極)を有する磁石が形成されるとともに、検出手段を基板2の表面及び裏面のそれぞれに設けられた一対の磁気抵抗素子a、bとし、これら磁気抵抗素子a、bが磁石の磁力線mに基づいた出力電圧を生じることにより、検出軸1aの回転角を検出するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検出対象と連動して回転する検出軸を有し、該検出軸の回転角を検出することにより検出対象の回転角を検出する角度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、二輪車のスロットル開度やハンドルの回転角を検出する角度センサとしては、検出対象物とセンサの検出軸とを連結し、該検出軸の回転角をポテンショセンサで検出するものが知られている。
【0003】
前記した角度センサにおいては、信号検出部を2つ具備し、一方に不具合があっても他方の信号に基づいて種々制御が行われるよう2重信号系が必要とされる場合がある。このように、検出信号部を2重信号系とする技術は、例えば特開平10−176581号公報に開示されている。
【0004】
同公報によれば、二輪車のスロットル制御を、互いに逆方向の特性を有するメインセンサとサブセンサとの2重信号系で検出している。即ち、同公報中図3で示されているように、開度を横軸及び出力電圧を縦軸としたグラフにおいて、一方のセンサは開度が大きくなるにつれて直線的に下降する一方、他方のセンサは直線的に上昇し、且つ、各々のグラフが対称となるよう調整しておき、各開度における出力電圧の和が常に一定(5V)としている。
【0005】
従って、一方のセンサが壊れた場合であれば、そのセンサからの出力電圧はダウンして検出値が略0となり、出力電圧の和が違ってくるので、当該一方のセンサに不具合があることが認識できる。この場合、他方のセンサによる出力のみに基づき各種制御が行われ、走行時の安全性が確保されるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の角度センサにおいては、異なる位置にそれぞれポテンショセンサを配設して2重信号系を構成しているため、部品点数の増大とともに構成が複雑となってしまうという問題があった。更に、配設されるポテンショセンサが、検出軸と連動して回動するブラシを抵抗体上で摺動させ、得られる電圧の変化を検出する抵抗式から成るものであるため、ブラシと抵抗体とに摩耗が生じ、寿命が低下してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、部品点数を削減して構成を簡単にするとともに、摩耗による寿命の低下を回避し得る角度センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、検出対象と連動して軸中心に回転する検出軸と、該検出軸の回転角を2重で検出する検出手段が配設された基板とを具備した角度センサにおいて、前記検出軸における前記基板と対向した表面に異なる極を有する磁石が形成されるとともに、前記検出手段を前記基板の表面及び裏面のそれぞれに設けられた一対の磁気抵抗素子とし、これら磁気抵抗素子が前記磁石の磁力線に基づいた出力電圧を生じることにより、前記検出軸の回転角を検出することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、検出対象と連動して検出軸が回転すると、磁石の磁力線の方向が変化するので、該磁力線の方向に基づいて基板の表面及び裏面の両方に磁気抵抗素子に出力電圧を生じさせる。これら磁気抵抗素子の出力電圧をそれぞれ検出信号として2重信号系が得られる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記一対の磁気抵抗素子で生じる出力電圧が互いに逆向きに変化する検出信号となるよう、それぞれの磁気抵抗素子が基板に位置決めされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記磁石が、前記検出軸の先端を着磁して形成されたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る角度センサは、検出対象と連動して軸中心に回転する検出軸1aの回転角を2重に検出して各検出信号を電子制御装置に送信し得るものであり、図1に示すように、樹脂製のケース1bの下面に形成された凹部1baに検出軸1aを回転自在に挿通するとともに、当該ケース1b内に2つの磁気抵抗素子(MR)a、bを具備した基板2を備えたものである。尚、同図中符号3は、検出軸1aのケース1bからの抜け止めと、当該検出軸1aの回動角を一定範囲内に収める規制部材とを兼ねたプレートを示している。
【0013】
検出軸1aは、検出対象と連動して軸中心に回転するものであり、図3で示すように、検出対象を嵌合係止し得る凹部1abが裏面側に形成されるとともに、表面1aaに異なる極(S極及びN極)を有する磁石が形成されたものである。即ち、検出軸1aにおける基板2と対向した表面1aa中央には、円形状の凹部1acが形成されており、この凹部1acの外側縁部における上側略半分がN極とされ、下側略半分がS極とされている。
【0014】
かかる磁石によれば、別個の磁石を固定させるものに比べて、部品点数を更に削減することができるとともに、角度センサ1の構成を簡素化することができるが、別個の磁石を検出軸1a先端に固定させたものとしても機能上は問題ない。
【0015】
基板2は、ケース1b内に固定され、印刷により電気的配線が施されたもので、図2に示すように、検出手段としての磁気抵抗素子a、bがその表裏面にそれぞれ設けられたものである。かかる磁気抵抗素子a、bは、磁石から生じる磁力線に基づき抵抗値を生じさせるもので、当該磁力線の通過する方向によって抵抗値が変化するよう構成されている。
【0016】
即ち、図4に示すように、検出軸1aの表面1aaに形成された磁石により、磁力線mがN極からS極の向きで生じており、かかる磁力線mが基板2上の磁気抵抗素子a、bに影響して電気的抵抗を生じさせるよう構成されている。更に、基板2とケース1bの内周面とが成す空間には、モールド樹脂が充填されており、当該基板2に設けられた各種素子及びプリント配線などに対して防水及び短絡防止を施している。
【0017】
尚、図2における符号4は、磁気抵抗素子a、bの検出信号を増幅するアンプを示しており、該アンプ4は、各時期抵抗素子a、bにそれぞれ対応させて基板2の表面2a及び2bに設けられている。また、同図符号H1〜H4は、基板2に対する各種配線を示しており、H1が電源VCC、H2がグランド接続されるとともに、H3及びH4が図示しない電子制御装置に接続され、アンプ4で増幅された検出信号が電子制御装置に送信され得るよう構成されている。
【0018】
例えば、図5に示すように、基板2の裏面2bに設けられた磁気抵抗素子aに対し、磁石からの磁力線mは、同図左側面から右側面に通過する状態(同図(a)の状態)とされており、この状態では抵抗値が0となっている。そして、磁力線mが左回りに回転(同図(b)参照)して180(deg)回転するまで抵抗値は増加し続け、出力電圧が直線的に増加するよう磁気抵抗素子aが位置決めされている。
【0019】
そして、磁力線mの向きが180(deg)となった時点で抵抗値が再び0となり、360(deg)回転するまでは、180(deg)までと同様な抵抗値の増加がなされるので、図6に示すような出力電圧に基づく検出信号OUT1が生成される。この検出信号OUT1は、配線H3を通じて電子制御装置に送信される。尚、図6において、出力電圧値が0とならないのは、基板2の配線において別途の抵抗が接続されているからである。この別途の抵抗の接続により、配線の途中が短絡したとしても、過電流が流れるのを防止することができる。
【0020】
一方、図7に示すように、基板2の表面2aに設けられた磁気抵抗素子bに対し、磁石からの磁力線mは、同図右側面から左側面に通過する状態(同図(a)の状態)とされており、この状態では抵抗値が0となっている。そして、磁力線mが右回りに回転(同図(b)参照)して180(deg)回転するまで抵抗値は減少し続け、出力電圧が直線的に低下するよう磁気抵抗素子aが位置決めされている。
【0021】
そして、磁力線mの向きが180(deg)となった時点で抵抗値が再び0となり、360(deg)回転するまでは、180(deg)までと同様な抵抗値の減少がなされるので、図8に示すような出力電圧に基づく検出信号OUT2が生成される。この検出信号OUT2は、配線H4を通じて電子制御装置に送信される。尚、図7においても、出力電圧値が0とならないのは、磁気抵抗素子aの説明と同様である。
【0022】
ここで、同一磁力線mに対して磁気抵抗素子aとbとで当該磁力線mの通過する方向が異なる(逆になる)のは、各時期抵抗素子a、bがそれぞれ基板2の表裏面に設けられているからである。即ち、図4において、磁気抵抗素子aを基板2に対してQ方向から見た場合と、磁気抵抗素子bを基板2に対してP方向から見た場合とでは、磁力線mが通過する方向が逆となり、該磁力線mの回転も逆(右回りと左回り)となるのである。
【0023】
生成された検出信号OUT1及びOUT2は、2重信号系を構成しており、電子制御装置において、これら検出信号OUT1とOUT2とを合成し、図9に示すような波形を得る。かかる波形においては、横軸の回転角が0〜180(deg)と180〜360(deg)までの間において、出力電圧が互いに逆向きに変化している。
【0024】
かかる範囲内においては、所定の回転角での検出信号OUT1とOUT2との和は、常時一定となっており、これにより、一方の磁気抵抗素子又は配線が壊れた場合であれば、そのセンサからの出力電圧はダウンして、出力電圧の和が違ってくるので、当該一方のセンサに不具合があることが認識できる。この場合、他方のセンサによる出力のみに基づき各種制御が行われ、安全性が確保されるのである。
【0025】
上記実施形態の角度センサ1によれば、検出対象の回転角に応じて検出軸1aが回転すると、その先端に形成された磁石の磁力線mも同一方向に回転する。かかる磁力線mの回転角に応じて磁気抵抗素子a、bが所定の電気的抵抗を生じ、それら磁気抵抗素子a、bを通過した電流が出力電圧として配線H3及びH4のそれぞれから電子制御装置へ送信される。
【0026】
2つの出力電圧を受けた電子制御装置側では、これらを2重の検出信号として扱い、合成して和を求める演算を行う。かかる和が一定であることを判定した場合は、それら検出信号OUT1又はOUT2に基づいて種々制御を行い、和が一定でないと判定した場合は、出力電圧値が0となっている方に不具合が生じているものと認識し、他方に基づき種々制御を行う。
【0027】
従って、検出軸1aの回転角を、その先端に形成された磁石と磁気抵抗素子a、bとによって非接触にて検出することができるので、接触ブラシを具備した摺動型のポテンショセンサなどに比べて、摩耗による寿命の低下を回避することができる。また、基板2の表裏面にそれぞれ磁気抵抗素子a、bを設け、これらから出力される検出信号で2重信号系を構成しているので、1ユニット内に2つの信号系を備えたセンサとすることができ、部品点数を削減して構成を簡単にすることができる。
【0028】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、磁気抵抗素子aから出力される検出信号OUT1と磁気抵抗素子bから出力される検出信号OUT2とが、互いに逆向きに変化しないものとしてもよい。即ち、本実施形態の如く、2つの検出信号が互いに逆向きに変化するよう構成すれば、いずれかのセンサが不具合となったことが判別し易いのであるが、それとは異なって変化する2つの検出信号を採用したとしても、小型化及び信頼性を向上しつつ2重信号系に基づくフェールセーフを実現することができる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、基板の表面及び裏面に設けられた磁気抵抗素子で、検出軸に形成された磁石の磁力線に基づく出力電圧を生じさせ、2重信号系を得ているので、部品点数を削減して構成を簡単にするとともに、非接触にて検出軸の回転角を検出することができるので、摩耗による寿命の低下を回避することができる。
【0030】
請求項2の発明によれば、一対の磁気抵抗素子で生じる出力電圧が互いに逆向きに変化する検出信号としているので、検出対象が所定の角度の時には各々の検出信号の和が常時一定となり、いずれかのセンサの異常を容易に認識することができる。
【0031】
請求項3の発明によれば、磁石が検出軸の先端を着磁して形成されたものであるので、別個の磁石を固定させるものに比べて、部品点数を更に削減することができるとともに、センサの構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る角度センサを示す縦断面図
【図2】本発明の実施形態に係る角度センサにおける基板及び該基板に設けられた磁気抵抗素子などを示す正面、側面及び背面図
【図3】本発明の実施形態に係る角度センサにおける検出軸を示す側面図及び正面図
【図4】本発明の実施形態に係る角度センサにおいて、検出軸先端の磁石から生じる磁力線mを示す模式図
【図5】本発明の実施形態に係る角度センサにおける基板の表面に設けられた磁気抵抗素子を通過する磁力線mを示す模式図であって、(a)磁力線mが水平方向に生じた状態を示す模式図(b)磁力線mが左回りに所定角回転した状態を示す模式図
【図6】本発明の実施形態に係る角度センサにおける基板の表面に設けられた磁気抵抗素子によって生成された検出信号OUT1を示すグラフ
【図7】本発明の実施形態に係る角度センサにおける基板の裏面に設けられた磁気抵抗素子を通過する磁力線mを示す模式図であって、(a)磁力線mが水平方向に生じた状態を示す模式図(b)磁力線mが左回りに所定角回転した状態を示す模式図
【図8】本発明の実施形態に係る角度センサにおける基板の裏面側に設けられた磁気抵抗素子によって生成された検出信号OUT2を示すグラフ
【図9】本発明の実施形態に係る角度センサにおける検出信号OUT1とOUT2とを合成したグラフ
【符号の説明】
1…角度センサ
1a…検出軸
2…基板
2a…(基板の)表面
2b…(基板の)裏面
3…プレート
4…アンプ
a…(基板の裏面に設けられた)磁気抵抗素子
b…(基板の表面に設けられた)磁気抵抗素子
m…磁力線

Claims (3)

  1. 検出対象と連動して軸中心に回転する検出軸と、
    該検出軸の回転角を2重で検出する検出手段が配設された基板と、
    を具備した角度センサにおいて、
    前記検出軸における前記基板と対向した表面に異なる極を有する磁石が形成されるとともに、前記検出手段を前記基板の表面及び裏面のそれぞれに設けられた一対の磁気抵抗素子とし、これら磁気抵抗素子が前記磁石の磁力線に基づいた出力電圧を生じることにより、前記検出軸の回転角を検出することを特徴とする角度センサ。
  2. 前記一対の磁気抵抗素子で生じる出力電圧が互いに逆向きに変化する検出信号となるよう、それぞれの磁気抵抗素子が基板に位置決めされたことを特徴とする請求項1記載の角度センサ。
  3. 前記磁石は、前記検出軸の先端を着磁して形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の角度センサ。
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