JP2004060131A - 拡幅された繊維束の製造方法および拡幅された繊維束よりなる積層不織布 - Google Patents
拡幅された繊維束の製造方法および拡幅された繊維束よりなる積層不織布 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】繊維束を張力下に走行させながら頂点に回転ローラを有する叩打機でその繊維束を叩き、かつ、叩打機で繊維束が叩かれる前または後において、駆動により表面速度を繊維束の速度未満に制御されている複数本のローラ上を摺動させることによる、拡幅された繊維束の製造方法に関し、さらに、拡幅された繊維束を、タテ材、ヨコ材、斜交材の内の少なくとも一方向の材料として使用されている、拡幅された繊維束よりなる2軸または多軸積層不織布に関する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡幅された繊維束の製造方法、および拡幅された繊維束よりなる積層不織布に関し、特に、簡便な方式で繊維を損傷することなく拡幅倍率を大きく拡幅できる拡幅された繊維束の製造方法と、拡幅された繊維束の平面性、弾性率を大きく維持できることが特徴である積層不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、炭素繊維のプリプレグなど、高機能繊維束は拡幅されて使用される例が多かった。これは、より薄くして配列させることにより、高機能性繊維の機能を有効に活かすと同時に、高価な繊維を経済的に使用するためである。これらの繊維束の拡幅では、繊維束を叩くことと摺動することによる方式が最も簡便である(特開昭61−275438号)。しかし、これらの方法は、拡幅倍率を大きくすることが困難であり、また、拡幅倍率を大きくしようとすると、繊維が傷つく率が大きくなり、また、繊維に含まれている収束剤等の添加物が摺動面に蓄積するという問題点があった。これらの問題点を回避するために、叩くとか摺動するなどの手段を用いずに、弛緩した繊維束に加圧エアーや逆に負圧吸引等のエアーの作用により拡幅する手段が用いられ、拡幅倍率を3倍前後まで大きくでき、繊維を傷める率が少ない技術もある(特許3064019号、特許3146200号)。しかし、加圧エアーや負圧の作用は、繊維束を構成する個々のフィラメントの強度より桁違いに弱く、安定した拡幅性の維持や高速生産性に問題があり、また、加圧エアーや負圧エアーを多量に使用することは、経済性の面においても問題があった。
【0003】
また、拡幅された繊維束を使用して、薄い織物を製造することが行われており、樹脂等を含浸して、軽量で薄い補強材として使用されてきている(特開昭58−191244号、特開平11−217450号、特開2001−226850号)。拡幅しないかまたは拡幅倍率の低い繊維束によって織物を製造しても、単位面積当たりの使用する繊維量が大きく、炭素繊維のような高機能繊維では、コストがアップし、また、使用した繊維量が多くても、曲げ強度等は、繊維束間の繊維量の少ない部分で決まるので、使用量の割合に物性もよくない。また、織物構造は、経糸と緯糸が相互に相手を潜ることによって形成されており、繊維束が屈曲した構造にならざるをえない。したがって、この屈曲のためテンションが一定せず、繊維束を構成するフィラメントは弾性率や引張強度の大きいものであっても、その物性を充分に発揮されていない。さらに織物は、経糸のオサ打ちや緯糸のシャトル等の作用で、折角拡幅された繊維束も、幅が狭くなり、拡幅の効果の維持が困難である。また、織物の経糸は糊付工程が必要であるが、糊付工程は工程を増やしてコストアップになるばかりでなく、経糸糊付の糊は、最終的にはFRPとしては性能を損ねる存在であり、また、この糊付工程で、拡幅された繊維束の拡幅幅が小さくなる。拡幅した繊維束を使用することによって、使用する繊維量が少なくなるということは、それに対して樹脂含浸する樹脂の量も少なくなり、コストダウンと製品の軽量化に貢献する。薄くて、布の平面性を維持し、軽量であって引張強度や弾性率等の物性が良いことは、航空機や自動車等の乗物分野ばかりでなく、あらゆる分野に要求されてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の拡幅手段の有する問題点を克服し、簡便な手段であるにもかかわらず、拡幅倍率を大きく(3倍以上)とれ、繊維の損傷が少なくでき、また、摺動しても添加物の蓄積が少なく、安定した拡幅ができる手段を提供することにある。さらに、本発明は、拡幅された繊維束からなる織物に代わって、織物の有する問題点を克服し、簡便な手段で、薄くて軽く、平面性もよく、また、繊維束の拡幅が狭くなることも少なく、非常に生産性の良い布状体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維束を張力下に走行させながら頂点に回転ローラを有する叩打機でその繊維束を叩く工程と、かつ、前記叩打機で繊維束が叩かれる前または後において、駆動により表面速度を繊維束の速度未満に制御されている複数本のローラを摺動させる工程とを含むことを特徴とする、拡幅された繊維束の製造方法に関する。
さらに本発明は、元の繊維束から2倍以上の幅に拡幅された繊維束をタテ材、ヨコ材、斜交材の内の少なくとも一方向の材料として使用されている、拡幅された繊維束よりなる2軸または多軸積層不織布に関する。
さらに本発明は、前記の積層不織布において、拡幅された繊維束の耳端部が、中央部より薄く拡幅されており、それらの繊維束が耳端部において重なり合っている拡幅された繊維束よりなる積層不織布に関する。
【0006】
本発明は、拡幅された繊維束の製造方法、およびその拡幅された繊維束を使用した積層不織布に関する。本発明において繊維束とは、細い繊維が束状に集合しているものをいい、その細い繊維(繊維束を構成する構成繊維)は、長繊維からなり、その構成繊維の繊度は、好ましくは0.1〜10dtex、0.5dtexから5dtexがさらに好ましい。0.1dtexより小さいと、個々の繊維の強力が小さく、回転ローラや摺動ローラにおける摩擦力に耐えない場合があるからであり、10dtexを越える場合は、繊維が剛直で、繊維間の絡み合いがなくなり、拡幅しても割れが入りやすくなる。繊維束としてのトウタル繊度は、1,000dtex以上、好ましくは5,000dtex以上、10,000dtex以上が最も好ましい。トウタル繊度が大きくないと、拡幅の効率が悪いばかりでなく、構成繊維の繊維数が小さいと、繊維間の絡み合いが少なく、拡幅しても割れが入り易いからである。但し、100万dtex以下であることが好ましく、50万dtex以下であることがさらに好ましい。トウタル繊度があまりにも大きな繊維束は、摺動ローラ上で均一に摺動せず、フィラメント間の絡み合いも多くなるからである。また、本発明の繊維束は、本質的に無撚であることを特徴とする。繊維束に撚があると、拡幅の妨げとなるからである。但し、トウの撚解除機等で撚を解除しながら装置に掛けられる場合は、多少の撚があっても使用することができる。
【0007】
本発明の繊維束を構成する繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、高強度ポリビニルアルコール繊維、PBO繊維(ヘテロ環含有ポリマー繊維)、ポリアリレート繊維等の高強度、高弾性率繊維であることが望ましく、水溶性ポリビニルアルコール繊維や生分解性ポリマーからなる繊維などのように、特殊な機能を有するものも有効に利用できる。
【0008】
本発明は、繊維束を張力下に走行させながら叩打機で繊維束を叩くことにより拡幅する。張力は大きすぎても、拡幅効率が悪く、かつ繊維を傷めて、ケバが生じるので好ましくなく、あまり小さい張力は、拡幅の効率が悪い。また、拡幅時の張力は、繊維の種類や、その繊維束が集束剤で固定されているか、繊維束を構成している個々のフィラメントに捲縮が入っているかなどによって影響される。本発明における張力の大きさは、加えた張力をトウタル繊度で割った値である叩打強度で表現することができる。本発明において好ましい叩打強度は、0.02cN/dtex以上であって0.5cN/dtex以下、さらに好ましくは0.04cN/dtex以上であって0.3cN/dtex以下、0.05cN/dtex以上であって0.2cN/dtex以下であることが最も望ましい。
【0009】
本発明は、繊維束に当たる箇所に回転ローラを有する叩打機で、その繊維束を叩くことを特徴とする。叩打機とは、一定周期で繊維束を叩く装置で、繊維束の拡幅後の幅より広い幅を持ち、その繊維束を叩く箇所は、回転ローラを有し、回転ローラの表面で叩くことを特徴とする。回転ローラで叩くことにより、叩打機が繊維束に与える損傷を少なくし、かつ、繊維束に与える叩打時の張力変化が急激になり過ぎず、スムースな拡幅になるからである。叩打機の種々の態様は、図面で説明する。
【0010】
本発明は、叩打機で繊維束が叩かれる前または後において、駆動により表面速度を繊維束の速度未満に制御されている複数本のローラ(摺動ローラという)を摺動させることを特徴とする。ここで摺動とは、ローラ表面を擦りながら動いていく状態をいう。但し、そのローラは、駆動されることにより一定の表面速度で回転しており、その表面速度は走行する繊維束の速度に達しない範囲で駆動されており、繊維の種類や拡幅状態を確認しながら定められる。そして、その摺動ローラの表面速度は、好ましくは繊維束の走行速度の70%以下、50%以下がさらに好ましく、30%以下が最も好ましい。ローラの表面速度をこの範囲に規定することにより、繊維束とローラ表面との摺動範囲が限定されることにより、繊維の損傷が少なく、また、摩擦によって発生する張力も大きくならないので、品質良く拡幅できる。駆動されておらず、自由に回転する摺動ローラは、叩打による衝撃と張力の変動で、異常な回転(逆回転や繊維束よりも速い表面速度)をする場合があり、安定性に欠ける。また、固定したローラ(固定バー)では、表面の梨地加工面の一部のみが摩滅し、さらに、繊維束に含まれている収束剤等の添加物がローラ面上で蓄積し、製品の品質を損なうばかりでなく、安定した拡幅が不可能となる。但し、本発明における摺動ローラは、複数本からなることを特徴とする。複数本のローラ上で多段階に拡幅されることにより、拡幅に無理がなく、安定して高倍率に拡幅できるからである。また、多段階に摺動することにより張力も揃いやすく、安定した拡幅が可能となる。なお、摺動ローラは、摩擦抵抗を小さく、かつ走行テンションを小さく安定して走行させるため、ローラの表面が平滑ではなく、梨地加工など、表面を粗面にする加工が施されていることが望ましく、材質は金属ばかりでなく、耐摩耗性のセラミックも用いられる。金属ローラでは、焼き入れ等で表面が耐摩耗処理されていることが望ましい。
【0011】
本発明における拡幅手段は、摺動ローラ群と叩打機の組み合わせを多段階に設けることもできる。カーボン繊維やガラス繊維のように、摺動や叩打でケバが発生しやすい繊維束では、叩打強度を小さく抑えて摺動や叩打すること好ましく、それでも高倍率拡幅を確保したい場合に、多段階拡幅手段が使用される。この場合の叩打強度は、先に述べた1段の叩打強度の80%以下が好ましく、70%以下とすることもできる。
【0012】
本発明は、元の繊維束から2倍以上の幅に拡幅された繊維束を、タテ材、ヨコ材、斜交材の内の少なくとも一方向の材料として使用することを特徴とする積層不織布に関する。積層不織布に使用される拡幅された繊維束は、必ずしも本発明の拡幅手段によるもののみを意味しないが、本発明の拡幅手段によるものがより好ましい。本発明の拡幅手段は、高倍率に安定して拡幅できるので、高速で生産される積層不織布では、安定して拡幅されていることが重要だからである。幅が元の繊維束の幅の2倍以上であることを要件としたのは、本発明の積層不織布が平面性を有し、薄いことを特徴とするからであり、2倍以上、好ましくは2.5倍以上、3倍以上であることが最も好ましい。なお、幅の測定は、JISR3420(1999)による。
【0013】
本発明は、拡幅された繊維束をタテ材、ヨコ材、斜交材の内の少なくとも一方向の材料として使用することを特徴とする2軸または多軸積層不織布に関する。本発明の積層不織布は、スパンボンド不織布等の従来の長繊維不織布とは、長繊維からなることと、織製されていない点で共通するが、スパンボンド等の従来の不織布は、構成するフィラメントがランダムであるのに対して、本発明の積層不織布は、構成するフィラメントが、タテ、ヨコ、斜めに配列している点で異なる。本発明は、このようにフィラメントが配列していることにより、フィラメントのもつ強度や弾性率を有効に利用できるのに対し、ランダム不織布は、繊維の強度や弾性率はフィラメントの絡み合いに依存し、フィラメントそのものが高強度、高弾性率であっても、不織布としては高い値を出すことができない。また、本発明の積層不織布は、織物とは構成するフィラメント(糸)がタテ、ヨコに配列している点は共通するが、織物の経糸緯糸が相互に屈曲しながらお互いを潜る構造となっているのに対して、本発明の積層不織布は、タテ群のフィラメント、ヨコ群のフィラメント、斜め群のフィラメントが平面的に積層されている構造である点で異なる。織物においては、構成するフィラメントが、高強度、高弾性率であっても、織物の経糸緯糸が相互に屈曲しながらお互いを潜る構造となっているため、フィラメントが屈曲し、せっかくのフィラメントの有する高弾性率が活かせないのに対し、本発明におけるフィラメントは、屈曲がなく、直線状に配列しているので、高弾性率が期待できる。また、織物は、高機能繊維織物に使用される高密度織物では、その生産速度は、0.1m/分から0.5m/分と低速であり、生産性が悪いのに対し、直交積層不織布や多軸積層不織布では、20m/分から50m/分と、2桁以上の高速速度が可能で、生産性が良い。
【0014】
糸の直交不織布とは、直交積層不織布ともよばれ、タテ糸とヨコ糸が直交し、接合点を接着固定した不織布であり、本出願人によってなされた特公昭51−9067号、また、フランスのシャバノ社等で開発された技術(フランス特許79765号、特公昭47−14791号等)があり、また別の技術として、USP3041230号、USP2797728号、特公昭47−49796号等もある。
【0015】
糸の多軸積層不織布とは、斜交する糸とタテ糸またはヨコ糸が接着接合した不織布であり、直交不織布と異なるのは、斜交する糸が含まれていることを特徴とする。糸の多軸積層不織布の製造方法としては、本出願人によってなされた特公昭62−54904号、特公平1−24903号、特公平3−80911号、特開平8−209518号等があるが、これらに限定するものではなく、タテ糸またはヨコ糸と斜交する糸が接着接合された不織布であればよい。多軸積層不織布としては、3軸、4軸、5軸等の斜交積層不織布がある。3軸積層不織布、または3軸不織布とは、構成するタテ(経)材に対し互いに逆方向に交差する2方向の斜交材が積層・接合された不織布をいう。4軸積層不織布、または4軸不織布とは、構成するタテ(経)材とヨコ(緯)材に対し、互いに逆方向に走行する2方向の斜交材が交差して積層・接合された不織布をいう。5軸不織布とは、タテ材に対し互いに逆方向に交差する斜交材が、角度を変えることにより、2組の斜交の組み合わせとなる場合である。これらの直交不織布や多軸不織布では、タテ材は1軸と数えられているが、表裏にタテ材を配することもでき、計算上、それも1軸に含む。
【0016】
本発明における直交不織布や多軸積層不織布においては、タテ糸層、ヨコ糸層、斜め糸層のそれぞれの層間は、接着剤により接合される。接合に使用される接着剤は、他の用途では、種々の弊害を生ずる場合もあるが、本発明のFRPや補強材用途に使用される分野では、後述するように直交不織布や多軸積層不織布の有する接着剤がFRP等のマトリックスや他の素材との接合にも使用され、一石二鳥の役割を果たす場合もある。このように、直交不織布や多軸積層不織布に使用される接着剤としては、炭素繊維におけるエポキシ樹脂系、ガラス繊維における不飽和ポリエステル樹脂系など使用される繊維に適合する化学種の接着剤が使用される。使用される接着剤の形態としては、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型など種々の形態で使用することができる。繊維状接着剤を層間に配置することもできる。また、繊維束を構成する繊維がコンジュゲート繊維からなり、そのコンジュゲート成分の一つが接着性を有する場合は、新たな外的な接着剤は必要としない場合もある。
【0017】
本発明の積層不織布は、拡幅された繊維束の耳端部が、中央部より薄く拡幅されており、それらの拡幅された繊維束が耳端部において、隣接する拡幅された繊維束と重なり合っているいることが好ましい。拡幅された繊維束の「耳端部」とは、拡幅された繊維束を幅方向に10分割し、両端のそれぞれの2分割を意味し、したがって中央部とは、中央の6分割部分を意味する。「拡幅された繊維束の耳端部が、中央部より薄く拡幅されており」とは、中央部の6分割の平均の質量(長さ100mmでサンプリングし、10分割のそれぞれで10点サンプリングし質量を測定する)と、耳端部4分割の平均の質量を比較し、耳端部の平均の質量が中央部の平均の質量より小さいことを意味する。「薄く」とは、本来は厚さの単位mmで表すべきであるが、繊維集合体は凹凸が激しく、また厚み測定は精度が良くないので、精度がよく、部分の平均の値が表現される質量法で測定し、厚みの測定に代えた。そして、拡幅された繊維束の両耳端の10分の1程度が、隣接する拡幅された繊維束と相互に重なるようにラップして積層されることが望ましい。「隣接する」とは、拡幅された繊維束をタテ材、ヨコ材、斜交材の内の少なくとも一方向の材料として使用されている場合において、例えばタテ材として使用した場合では、タテ材として配置した拡幅された繊維束相互において、隣り合わせになっていることを意味する。
【0018】
【実施形態】
本発明の実施の態様の例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の拡幅手段の工程の例を示す。ボビン1から繰り出された繊維束2は、繰出ニップローラ3a、3bを経て、ターンローラ4a、4b間に置かれた張力調整ローラ5により、一定の拡幅適性張力に保たれて走行する。繊維束2は、摺動ローラ6a、6b、6c上で摺動されて拡幅されながら走行する。摺動ローラ6a、6b、6cは、モータMの回転を変速機V1、V2、V3で変速し、繊維束2の走行速度未満の表面速度に制御されている。繊維束2は、三角形の頂点に回転ローラ7a、7b、7cを有する3本足の叩打機8が、進行方向に回転することにより叩打される。この場合、叩打機8の回転速度は、走行する繊維束2の走行速度以上であり、その頂点の回転ローラは、フリー回転でもよいが、繊維束2の走行速度と同速に回転していることが望ましい。叩打機8により叩打された拡幅された繊維束10は、ターンローラ9(表面速度が繊維束と同速未満に駆動されていることが望ましい)を経て、ニップローラ11a、11bに導かれ、巻取ボビン12で巻取られる。この図における摺動ローラ群6は、叩打機8の前に置いたが、叩打機8の後に摺動ローラ群を置くこともでき、また叩打機8の前後に分けて置くこともできる。
【0019】
なお図1では、煩雑さを避けるため1本の繊維束2について説明したが、数10本、数100本の繊維束も図1の装置で並列して処理し、別々のボビンで巻き取ることもできる。また、図1の拡幅工程の後に、接着剤樹脂やプリプレグ樹脂で拡幅状態を固定し、その接着性樹脂等で、積層不織布の層間の接着にも使用できる。また、複数の繊維束が拡幅処理され、図5で説明した耳端部処理がなされ、複数の繊維束が耳端部で重なり合って1層の繊維配列ウェブ35としてシート状に巻き取ることもできる。
【0020】
図2は、2段階拡幅の例を示す。図1の拡幅工程の拡幅工程の後に、さらに摺動ロール群6d、6eを設け、その後にさらに叩打機8−2で叩打することによって拡幅する。
【0021】
図3は、種々の叩打機の構造の例を示す。図3Aは、1本足の叩打機21で、一端に回転ローラ22aを有し、叩打機21が上下方向に振動して回転ローラ22aで繊維束を叩打する。上下運動は、回転運動からのクランク機構や、電動バイブレータを使用することもできる。図3Bは2本足の叩打機23であり、頂点に回転ローラ22b1、22b2を有し、叩打機23が回転軸24を中心に回転することにより繊維束が叩打される。図3Cは、図1で示した3本足の叩打機8で、断面が三角形の頂点に回転ローラ7a、7b、7cを有し、回転軸24を中心に回転する。図3Dは、4本足の叩打機25で、断面が四角形の頂点に回転ローラ22c1、22c2、22c3、22c4を有し、叩打機25が回転軸24を中心に回転することにより、繊維束を叩打する。同様に5本足、6本足の叩打機の製作も可能であるが、あまり足の多い叩打機は、図4で説明する振幅幅Mが小さくなるので好ましくない。
【0022】
図4は、繊維束を叩打機で叩打する際の振幅について説明する。一定張力に制御された繊維束2は、摺動ローラ群6を経て叩打機8により叩打される。図では頂点に回転ローラ7a、7b、7cを有する3本足の叩打機8を例に説明する。叩打は、繊維束2の進行方向に叩打されることが望ましい。図では、回転ローラ7aが一番深くかかった状態より、摺動ローラ9にかかる状態を示してある。摺動ローラ9−2では、接触角度αは130度で、そのとき繊維束2が振幅する巾は、図の距離Mである。図のターンローラ9−1のように浅くかかる(図では150度)と、繊維束2の振幅はMより小さくなり、Mが小さくなりすぎると、拡幅倍率があがらない。ターンローラ9−3のように深くかかると(図では角度110度)、振幅範囲はMのままであるが、回転ローラ7が繊維束2を擦る長さが長くなり好ましくない。本発明では、繊維の種類(繊度、弾性率、捲縮の有無など)や拡幅倍率に合わせ、摺動ローラの周速や位置、叩打機の種類や回転数などを変化させて、振幅範囲を調整し、拡幅倍率を設定する。拡幅倍率を大きくでき、繊維の損傷が少ない振幅範囲として、5mmから30mm、好ましくは7mmから25mm、10mmから20mmが最も好ましいことを、実験結果見いだした。また、拡幅倍率が上がる叩打回数として、10m/分の繊維束の走行速度に対して、一分間に500回以上3000回以下、800回以上で2000回以下がさらに好ましく、1000回以上1500回以下が最も好ましい。走行速度が10m/分より増減する場合は、それにほぼ比例して叩打回数も増減する。
【0023】
図5は、積層不織布におけるタテウェブ、ヨコウェブまたは斜め材ウェブとして使用される隣接する拡幅された繊維束の耳端部が、重なりあって繊維の配列された広巾ウェブを製造する手段の例を示す。拡幅された繊維束10a、10bが間隔を開けて走行しており、ターンローラ31a上で、配管32a、32b、32c、32dで送られてくる圧縮エアーを、拡幅された繊維束10a、10bの耳端部に当てることにより、耳端部のみ拡げられ薄くなった耳端部が拡幅された繊維束33a、33bとなる。同様に、ターンローラ31b上に拡幅された繊維束10c、10dが走行し、ターンローラ31bの裏側で、圧縮空気(配管等は図では省略してある)により耳端部が拡幅され薄くなり、耳端部が拡幅された繊維束33c、33dとなる。耳端部が拡幅された繊維束33a、33b、33c、33dは、ターンローラ34上で耳端部を重ね合わせ、必要に応じ重ね合わせ部分を、熱エンボスや超音波シール、接着剤等で接合し、1枚の繊維の配列したウェブ35とする。図5では拡幅された繊維束が4本の例を示したが、必要に応じ数10本、数100本を使用して、より広巾の繊維の配列したウェブ35とすることができる。
【0024】
図6は、本発明の2軸積層不織布の製造方法の例を、モデル化して示した。図5で説明した繊維の配列した広巾ウェブ35をタテウェブ35aとし、同様に繊維の配列したウェブ35をヨコウェブ35bとし、ヨコウェブ35bは、長さ方向をタテウェブ35aの幅とほぼ同程度に切断されたウェブ35b−1、35b−2、35b−3が、タテウェブ上に順次積層され、必要に応じエンボスや超音波シール、接着剤等で接合し、2軸積層不織布36となる。
【0025】
図7は3軸積層不織布の構造の例を示す。点線で示すタテ方向の多数本の拡幅された繊維束41aは、裏面に位置するタテ配置の拡幅された繊維束の列を示す。1点破線で示すタテ方向の多数本の拡幅された繊維束41bは、不織布の表面に位置するタテ配置拡幅された繊維束の列である。42aは、互いに斜交する一群の斜め材である1方の拡幅された繊維束群で、42bは、その42a群と斜交するもう1群の斜交材の拡幅された繊維束群である。これらの41a、41b、42a、42bは、すべてが拡幅された繊維束である必要はなく、少なくともその1部が拡幅された繊維束であればよい。これらのタテ配置の繊維束41a、41bと、斜め材42aと42bより3軸積層不織布43が構成され、それぞれの層間は接合されている。図では、わかりやすくするために、ある1本の拡幅された繊維束の流れを線で示すが、拡幅された繊維束は幅を有する。したがって、図では線が交差した網状物に描かれているが、拡幅された繊維束積層不織布は、一面にフィラメントで充填された不織布となる。また、タテウェブ41aや41bは、この図のように多数本使用することなく、図5で示した繊維配列ウェブ35を使用し、その場合は、表面と裏面の2層ではなく、どちらか一方の1層であってもよい。
【0026】
図8は4軸積層不織布の例である。図8Aは、4軸に積層された構造の例で、図8Bは、その1群の斜交およびヨコ成分を構成する繊維材44aの走行パターンを示したものである。この図8Bで、1本の線を太く示して、走行パターンをわかりやすくした。4軸積層不織布45は、この繊維材44aと斜交して対称的に走行する拡幅された繊維束群44bと、図1に示したタテ配置の拡幅された繊維束41a、41bとからなる。また、3軸積層不織布の場合と同様、タテウェブ41aや41bの列の代わりに、図5で示した繊維配列ウェブ35を使用することもできる。これらの多軸積層不織布の製法の原理は、本出願人の先発明特公昭62−54904号、特公平1−24903号、特公平3−80911号、特開平8−209518号等で詳述されている。
【0027】
【実施例】
実施例1 元の幅3.7mm、厚み250μmのガラス繊維ロービング(NTBRS110QL、1100tex、日東紡績株式会社製)を使用し、その繊維束は、図1の拡幅プロセスにより、張力6.9N/本で走行し、3本の摺動ローラ(直径20mm、表面梨地加工#200)で、それぞれの表面速度5m/分、5m/分、5m/分)上を速度10m/分で走行する。摺動ローラ上の繊維束は、その後に設置されている三角形の頂点に回転ローラ(径14mm、表面梨地加工#200)を有し、回転数600/分で回転する3本足の叩打機(回転半径37mm)による叩打の振動により、繊維束幅16mm程度まで拡幅されている。このとき、叩打機の図4の叩打角度は130度で、振幅は15mmであった。繊維束は、さらに叩打機やその後のターンローラ上でも拡幅し、ニップローラを出る時点では、幅17.3mm、厚み45μm(幅よりの拡幅倍率4.7倍、厚みよりの拡幅倍率5.6倍)に拡幅されていた。その拡幅された繊維束を複数本走行させ、図5のように並列配置し、不飽和ポリエステル樹脂粉末(ニュートラック510、花王石鹸株式会社製)を8.1g/m2載せ、110℃で融着させ、ガラス繊維フィラメントの配列した1枚のシートとした。また、同様にして拡幅した繊維束を、やはり上記の不飽和ポリエステル樹脂粉末(8.5g/m2)で融着することにより、1本ずつ固め、1本ずつ巻き取った。シート状のフィラメントの配列体をタテウェブ、拡幅され樹脂固定された1本ずつの繊維束を斜め材として、斜め材のピッチは15mm間隔で作成し、図7の構造の3軸積層不織布とした。製品の坪量は、236.9g/m2、ガラス繊維220.4g/m2、不飽和ポリエステル樹脂接着剤16.5gであり、製品の厚みは270μmであった。このガラス繊維の3軸積層体は、タテ1層、斜め層2層の3層であり、かつ接着剤樹脂を含んでいるにもかかわらず、元のロービングの厚みとほぼ同等の厚みの製晶とすることができた。この3軸積層体は、不飽和ポリエステルをマトリックスとするFRPの基布などに使用される。
【0028】
実施例2 実施例1のガラス繊維ロービングを使用し、その繊維束は、図2の拡幅プロセスにより、張力4.8N/本で走行し、3本の摺動ローラ(直径20mm、表面梨地加工#200で、それぞれの表面速度5m/分、6m/分、7m/分)上を速度20m/分で走行する。摺動ローラ上の繊維束は、その後に設置されている三角形の頂点に回転ローラ(径14mm、表面梨地加工#200)を有し、回転数1000/分で回転する3本足の叩打機(回転半径は37mm)による叩打の振動により拡幅され、このとき、叩打機の図4の叩打角度は150度で、振幅は10mmであった。繊維束は、さらにその後の2本の摺動ローラ(それぞれの表面速度、10m/分、12m/分)上でも拡幅し、その後の回転数1200/分で回転する3本足の叩打機による叩打(叩打角度は150度)によっても拡幅される。この拡幅された繊維束は、ニップローラを出る時点では、幅17.8mm(拡幅倍率4.8倍)で、実施例1よりも拡幅された繊維束に発生するケバは少なかった。
【0029】
実施例3 元の幅7.0mm、厚み140μmのカーボン繊維束(トレカCF12K、800tex、東レ株式会社製)を使用した。その繊維束は、図1の拡幅プロセスにより、張力7.1N/本で走行し、120℃熱風によりカーボン繊維の集束剤を軟化させながら、4本の摺動ローラ(径20mm、表面梨地加工#200)で、それぞれの表面速度6m/分、5m/分、4m/分)上を、速度10m/分で走行する。摺動ローラ上の繊維束は、その後に設置されている四角形の頂点に回転ローラを有し、回転数500/分で回転する図3の4本足の叩打機(回転半径37mm)による叩打の振動によって、繊維束幅20mm程度まで拡幅されている。このとき叩打機の図4の叩打角度は130度で、振幅は10mmであった。繊維束は、さらに叩打機やその後のターンローラ上でも拡幅し、ニップローラを出る時点では、幅21.8mm、厚み44μ(幅よりの拡幅倍率3.2倍、厚みよりの拡幅倍率3.2倍)に拡幅されていた。その拡幅された繊維束を複数本走行させ、図5のように並列配置し、エポキシ樹脂粉末(ペルパウダーPE45、日本ペルノックス社製)を5.7g/m2載せ、150℃で50秒間加熱してゲル化し、1枚のプリプレグシートとした。このプリプレグシートを経ウェブ、緯ウェブとして使用し、図6の方式で経緯積層することにより直交不織布とした。製品の坪量は、50.2g/m2、カーボン繊維38.2g/m2、エポキシ接着剤12.0gであり、製品の厚みは、120μmであった。このカーボン繊維の2軸積層体は、タテ1層、ヨコ1層の2層であり、かつ接着剤樹脂を含んでいるにもかかわらず、元のカーボン繊維束の厚みより薄い製品とすることができた。この直交不織布は、エポキシ樹脂をマトリックスとするFRPの基布等として使用される。
【0030】
実施例4 元の幅2.8mm、厚み190μmの超高分子量ポリエチレン繊維(商品名ダイニーマ、272tex、東洋紡績株式会社製)を使用し、その繊維束は、図1の拡幅プロセスにより、張力2.0N/本、速度10m/分で走行する。図1とは異なり、繊維束は、張力調整ローラの後に設置されている、頂点に回転ローラを有し、回転数1100/分で回転する図3Bの2本足の叩打機により叩打される。その後、5本の摺動ローラ(それぞれの表面速度3m/分、4m/分、5m/分)上で、叩打機の振動により拡幅し、ニップローラを出る時点では、幅18.2mm(拡幅倍率6.5倍)に拡幅されていた。繊維束は、その拡幅された繊維束を複数本走行させ、図5のように並列配置し、熱可塑性エラストマー(クレイトンD1107、シェルジャパン株式会社製)のトリクロルエタン溶液を表面に塗布して乾燥し、フィラメントの配列したシートとした。熱可塑性エラストマーの量は、3.7g/m2であった。また、同様にして拡幅した繊維束を、やはり上記の熱可塑性エラストマーで1本ずつ固め、1本ずつ巻き取った。シート状のフィラメントの配列体をタテウェブ、拡幅され樹脂固定された1本ずつの繊維束を斜め材として、斜め材のピッチは15mm間隔で作成し、図7の構造の3軸積層不織布とした。製品の坪量は、66.3g/m2、超高分子量ポリエチレン繊維55.8g/m2、熱可塑性エラストマー10.5g/m2であり、製品の厚みは230μmであった。この製品は、熱可塑性エラストマーシートと共に複数枚積層されて、防弾チョッキ等の耐衝撃性複合製品の基布とされた。
【0031】
実施例5 元の幅2.2mm、厚み110μmのポリビニルアルコール系繊維(80℃熱水中で溶解するポリビニルアルコール系繊維トウ、200tex)を使用し、その繊維束は、図1の拡幅プロセスにより、張力2.6N/本で走行し、3本の摺動ローラ(それぞれの表面速度は、2m/分、3m/分、4m/分)上を速度8m/分で走行する。摺動ローラ上の繊維束は、その後に設置されている頂点に回転ローラを有し、1200回/分で上下に振動する図3の1本足の叩打機による叩打の振動により、繊維束幅10mmまで拡幅され、さらに叩打機やその後のターンローラ上でも拡幅した。そして、ニップローラを出る時点では、幅13mm(拡幅倍率5.9倍)に拡幅されていた。その拡幅された繊維束を複数本走行させ、図5のように並列配置し、ポリビニルアルコール系接着剤(ポバール210、ケン化度88%、クラレ株式会社製)水溶液により、固形分として6.5g/m2を載せ、加熱乾燥して、1枚のフィラメントの配列したシートとした。このシートを経ウェブ、緯ウェブとして使用し、図6の方式で経緯積層し直交不織布とした。製品の坪量は、53.1g/m2、繊維40.2g/m2、接着剤12.9gであり、製品の厚みは、70μmであった。本製品は、ケミカルレース用基布としてそのまま使用され、また水溶性の不織布と水溶性接着剤で積層接着されて、やはりケミカルレース用基布として使用される。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、繊維束を簡便な手段で拡幅することにより、高倍率に拡幅された繊維配列ウェブが製造できることを特徴とする。本発明は、拡幅倍率が画期的に高くでき、したがって薄い繊維配列ウェブが製造可能なことを特徴とする。薄いウェブが製造できるということは、炭素繊維等の高価な繊維の繊維量が少量でも、平面に繊維が敷き詰められ、コストの安い製品が製造可能である。さらに繊維量が少ないことより、プリプレグ等のマトリックス樹脂も少ないすることができ、さらにコストが安くなるばかりでなく、物性を損なわずに、軽量な製品が製造可能となった。
【0033】
本発明の拡幅された繊維束よりなる積層不織布は、織物に比較して、繊維束が屈曲していないので、薄く、平面性が良く、そのため弾性率が高い製品となる。また、織物の製法に比較して、工程がシンプルで、拡幅された繊維束の乱れが少ないく、目開きも少なく、ケバの発生が少ないので、品質の良いものが製造可能である。さらに本発明の積層不織布は、生産速度が速いために、コスト安く製造可能なことも特徴である。織物は、糊付工程が必要で、糊付けしないと、さらに生産性が落ち、ケバの発生が激しくなる。
【0034】
本発明の拡幅された繊維束よりなる積層不織布において、配列された拡幅された繊維束の耳端部を薄くして隣接する繊維束との境界部を薄くすることにより、相互にラップし、繊維束の耳端部でギャップのない製品となり、外観的にも物性的にも均一な製品とすることができた。物性の内、特に曲げ強度は、ギャップがあるとその部分で曲げが始まり、曲げ強度が極端に落ちるので、ギャップがないことが重要であり、ギャップが無いよう多量の繊維を使用することは、コスト高になるばかりでなく、重量も大きくなる。
【0035】
本発明の拡幅された繊維束は、プリプレグ等のマトリックス樹脂を充填し、FRPや各種シートの補強に使用でき、また、管状物に巻き付けて管状物の補強にも使用できる。また、本発明の2軸や3軸積層不織布は、やはりプリプレグ等のマトリックス樹脂を充填し、FRPや各種シートの補強に使用でき、防弾チョッキやケミカルレース用不織布の基布とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維束の拡幅工程の側面を示す概略図
【図2】本発明の2段階拡幅工程の例を示す側面図。
【図3】本発明の種々の叩打機の例を示す側面図。
【図4】叩打機の叩打角度と振幅を示す概略図。
【図5】拡幅された繊維束を重ね合わせてシート化する工程の概略図。
【図6】2軸積層不織布を製造する積層プロセスの概念図。
【図7】3軸積層不織布の構造を示す概念図。
【図8】4軸積層不織布の構造を示す概念図。
【符号の説明】
1:ボビン、 2:繊維束、 3:繰出ニップローラ、 4:ターンローラ、
5:張力調整ローラ、 6:摺動ローラ、
M:モータ、 V:変速機
7:回転ローラ、 8:叩打機、 9:ターンローラ、
10:拡幅された繊維束、 11:ニップローラ、 12:巻取ボビン。
21:1本足叩打機、 22:回転ローラ、
23:2本足叩打機、 24:回転軸、 25:4本足叩打機。
31:ターンローラ、 32:圧縮エアー配管、
33:耳端部が拡幅された繊維束、 34:ターンローラ、
35:広巾の繊維の配列したウェブ。
36:2軸積層不織布。
41:拡幅された繊維束、 42:斜め材、
43:3軸積層不織布。
44:ヨコ成分を構成する繊維材、 45:4軸積層不織布。
Claims (3)
- 繊維束を張力下に走行させながら頂点に回転ローラを有する叩打機で該繊維束を叩く工程と、前記叩打機で繊維束が叩かれる前または後において、駆動により表面速度を繊維束の速度未満に制御されている複数本のローラを摺動させる工程とを含むことを特徴とする、拡幅された繊維束の製造方法。
- 元の繊維束から2倍以上の幅に拡幅された繊維束を、タテ材、ヨコ材、斜交材の内の少なくとも一方向の材料として使用されている、拡幅された繊維束よりなる2軸または多軸積層不織布。
- 請求項2の積層不織布において、拡幅された繊維束の耳端部が中央部より薄く拡幅されており、それらの繊維束が隣接する拡幅された繊維束とが耳端部において重なり合っている、拡幅された繊維束よりなる積層不織布。
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