JP2004059903A - 水中生物防汚樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水中構築物、漁具、船底、水路、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー等への水中生物の付着を防止するために使用される、水中生物防汚樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】薬剤を含む有機溶媒で、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、ポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を膨潤させることを特徴とする、水中生物防汚樹脂組成物およびその製造方法。
【効果】有効成分の担持量の制御も行いやすく、長期に渡って効果を発揮させることが可能で、有効性が知られていた公知の種々の薬剤を有効成分として用いうる上、充分に簡便かつ安価である。
【選択図】なし
【解決手段】薬剤を含む有機溶媒で、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、ポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を膨潤させることを特徴とする、水中生物防汚樹脂組成物およびその製造方法。
【効果】有効成分の担持量の制御も行いやすく、長期に渡って効果を発揮させることが可能で、有効性が知られていた公知の種々の薬剤を有効成分として用いうる上、充分に簡便かつ安価である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中構築物、漁網、漁具、船底、水路、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー等への水棲生物の付着を防止するために使用される水中生物防汚用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水中構築物、漁具、船底、水路、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー等への水棲生物の付着を防止するための水中生物防汚剤の有効成分として主に有機スズ化合物が用いられていた。有機スズ化合物は広範な生物に活性を示し、卓越した水中生物防汚効果を示したが、その海洋汚染のため、近年使用が大幅に制限或いは禁止されている。
【0003】
一方、有機スズ化合物に替わる有効成分を含む水中生物防汚剤も提案されている。しかしながら、それらは水中生物付着の防汚活性がいまだ充分とは言えないものも多かった。即ち、実験室的には充分に有効な水中生物付着防汚活性を示す有効成分を水中生物防汚剤に用いても、実使用場面における有効成分の溶出の仕方は、水中生物防汚樹脂組成物に使用する樹脂の性質や、有効成分の処方等に依存するところが大きいため、適した適当な処方で使用しなければ、有効成分の溶出が意図した通りに進まず、結果として、実使用場面において初期の目的を達し得なかった。また、使用後の水中生物防汚樹脂組成物は有効成分の含有量が低くなっているが、これを簡便に再生できなかったため水中生物防汚樹脂組成物そのものを廃棄処分する事となり、廃棄物の増大を招くという問題を有していたのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水中生物の防汚に卓越した効果を示し、なおかつ安全性が高く、有効成分の溶出を意図した通りに進めるのに適しており、かつ、再生して所期の性能を回復させることも容易に可能な水中生物防汚用組成物、及び、その新規な製造方法を提供することを課題としてなされた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の樹脂を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒に浸漬する、或いは、水中生物防汚剤を含む有機溶媒を該樹脂に蓄液、通液する等の操作によって、
▲1▼使用した水中生物防汚剤(有効成分)を簡便に該樹脂に担持させることができること。
▲2▼該有効成分の担持量の制御が容易にできること。
▲3▼該有効成分として、従来から実験室的に有効性が知られていた公知の種々の薬剤を用いうる上、該薬剤の溶出の容易な制御や効果持続期間の容易な制御等が可能となったこと。
等を知得し、新たな水中生物防汚用組成物が製造できることを見出し、さらには本発明方法で製造した水中生物防汚用組成物は、その使用に伴い性能が低下してきた場合に、製造時と同様のいくつかの簡便な手法で容易に所定の性能を回復させて有効な水中生物防汚用組成物を再生することが極めて容易であることも知り、これらの知見を基に本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明は、下記〔1〕乃至〔20〕に記載の発明を提供することにより前記課題を解決したものである。
【0007】
〔1〕25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させたことを特徴とする水中生物防汚樹脂組成物。
【0008】
〔2〕ポリウレタン系樹脂が、一般式(1)
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、R1は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステルーポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示す。)
【0011】
で表されるポリオール成分と、ポリイソシアネート成分から得られたものである〔1〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0012】
〔3〕R1が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基;ポリアルキレンポリエステルポリオール残基;ポリカーボネートポリオール残基;ポリ(メタ)アクリレートポリオール残基;エポキシポリオール残基;ブタジエンポリオール残基;ポリエステル−ポリエーテルポリオール残基;アクリル、スチレン、ビニル付加及び/又は分散ポリマーポリオール残基;ウレア分散ポリオール残基;又は、カーボネートポリオール残基である〔2〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0013】
〔4〕ポリウレタン系樹脂の、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95である〔2〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0014】
〔5〕ポリウレタン系樹脂が、一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオール又はポリアルキレンポリエステルポリオールであると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものである〔2〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0015】
〔6〕ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)
【0016】
【化5】
【0017】
(式中、R2は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示し、x、(n−x)は共に平均値であって、xは0以上n未満の正の値を示す。)
【0018】
で表されるアミン化合物からなるアミン成分と、ポリイソシアネート成分から形成されたものである〔1〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0019】
〔7〕ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)
【0020】
【化6】
【0021】
(式中、R2は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示し、x、(n−x)は共に平均値であって、xは0以上n未満の正の値を示
【0022】
す。)
で表されるアミン化合物、及びポリアミンからなるアミン成分と、ポリイソシアネート成分から形成されたものである〔1〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0023】
〔8〕R2が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基;ポリアルキレンポリエステルポリオール残基;ポリカーボネートポリオール残基;ポリ(メタ)アクリレートポリオール残基;フェノールレジンポリオール残基;エポキシポリオール残基;ブタジエンポリオール残基;ポリアルキレン(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基;アクリル、スチレン、ビニル付加及び/又は分散ポリマーポリオール残基;ウレア分散ポリオール残基;又はカーボネートポリオール残基である〔6〕又は〔7〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0024】
〔9〕ポリウレタン系樹脂の、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95である〔6〕又は〔7〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0025】
〔10〕ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)におけるR2がポリアルキレンポリエーテルポリオール残基又はポリアルキレンポリエステルポリオール残基であると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものである〔6〕又は〔7〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0026】
〔11〕25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜95である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させることを特徴とする水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0027】
〔12〕膨潤が、水中生物防汚剤を含む有機溶媒に、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を浸漬することにより行われる〔10〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0028】
〔13〕膨潤が、水中生物防汚剤を含む有機溶媒を、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種中に蓄液又は通液することにより行われる〔10〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0029】
〔14〕水中生物防汚剤が、有機溶媒に溶解、乳化分散又は懸濁しているものである〔11〕又は〔12〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0030】
〔15〕水中生物防汚剤が有機溶媒に溶解しているものである〔11〕又は〔12〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0031】
〔16〕水中生物防汚剤の含まれる量が、有機溶媒に対して3重量%〜85重量%である〔11〕乃至〔14〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0032】
〔17〕膨潤処理直後の湿潤時の重量増加率が、使用樹脂重量に対して1重量%〜150重量%となるようにする〔11〕乃至〔15〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0033】
〔18〕膨潤処理後の乾燥時の重量増加率が、使用樹脂重量に対して−2重量%〜50重量%となるようにする〔11〕乃至〔16〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0034】
〔19〕〔1〕乃至〔9〕の何れか1に記載の方法で製造された水中生物防汚樹脂組成物よりなる成型品。
【0035】
〔20〕〔1〕乃至〔9〕の何れか1に記載の方法で製造された水中生物防汚樹脂組成物を用いる水中生物防汚資材。
【0036】
〔21〕〔1〕乃至〔9〕の何れか1に記載の方法で製造された水中生物防汚樹脂組成物の水中生物防汚用途への使用。
【0037】
以下、本発明の水中生物防汚樹脂組成物及びその製造方法について詳細に説明する。なお、本発明の水中生物防汚用樹脂組成物は、水中生物の防汚が必要とされる、様々な材質の広範な対象、例えば水中構築物、水路等、漁具、ロープ、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー、船底等の、水中生物の防汚を必要とする任意の用途に適用できるものである。
【0038】
まず、本発明の水中生物防汚用樹脂について説明する。
【0039】
本発明〔1〕の水中生物防汚用樹脂は、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、単に「本願樹脂資材」と記載することがある。)を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させたことを特徴とする。
【0040】
本発明〔1〕の水中生物防汚樹脂組成物に用い得るポリウレタン系樹脂は、一般に知られているポリウレタン樹脂であれば良く、具体的には一般式(1)
【0041】
【化7】
【0042】
(式中、R1は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステルーポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示す。)
【0043】
で表されるポリオール成分と、ポリイソシアネート成分から得られたものを挙げることができる。
【0044】
上記ポリウレタン系樹脂は、1液型のものでも2液型のものでも、ポリオールとポリイソシアネートから調製されたウレタンプレポリマーを用いて形成されたものでも良い。なお、該ウレタンプレポリマーは公知の方法で製造できるものである。
【0045】
本発明の〔1〕で使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリオールとしては、通常のウレタン系樹脂製造に用いられる、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、(ポリエステル−ポリエーテル)ポリールを用いることができ、例えばポリアルキレンポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ブタジエンポリオール等のポリエーテルポリオール;ポリアルキレンポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール、等のポリエステルポリオール;ポリアルキレン(ポリエステル−ポリエーテルポリオール)等の(ポリエステル−ポリエーテル)ポリールや、アクリル、スチレン、ビニル付加、及び/又は分散ポリマーポリオール;ウレア分散ポリオール;等のポリオールが挙げられる。
【0046】
ここで、上記ポリアルキレンポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等のジオール類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類;ソルビトール等;更にアンモニア、エチレンジアミン、尿素、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン等のアミン類の1種又は2種以上の存在下、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を開環重合して得られるランダム又はブロック共重合体;この他エチレン・αオレフィン骨格を有するポリオレフィン骨格のポリオール;アクリル骨格のポリオール等;及びこれらの混合物等が挙げられる。更に、これらのものの他、弗素原子、珪素原子、窒素原子、硫黄原子等を含有するポリオール化合物も含まれる。
【0047】
また、更にポリアルキレンポリエーテルポリオールとしては、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイドも挙げられる。具体的には、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリオールを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどを開環重合させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0048】
前記ポリオールに含まれる、上記以外のポリアルキレンポリエーテルポリオールとしては、ポリマーポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子ポリオールが挙げられる。
【0049】
また、ポリアルキレンポリエステルポリオールとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等のジカルボン酸単独若しくは混合物と、上記ジオール類単独若しくは混合物を重縮合して得られる重合体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合物等;ヒマシ油等の活性水素を2個以上有する活性水素化合物等;が挙げられ、通常、分子量が200〜20000のものが使用され、それらは使用目的や性能によって使い分ければ良い。例えば、脂肪族グリコールをジカルボン酸と縮合し、鎖延長させて得られるポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート等の脂肪族ポリエステルグリコール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどの開環重合によって得られるポリプロピレンエーテルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレンエーテルグリコール;ε−カプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステルグリコール;ポリブタジエンの末端基を水酸基化したもの;2種以上のアルキレンオキシドの共重合物;2種以上のグリコールとジカルボン酸との共重合物;及び芳香族グリコールの混合物などの長鎖状ジオールやグリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリオールと脂肪族グリコールとジカルボン酸とを共重合させて得られるポリエステルポリオール;を例示できる。他にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等をポリアルキレンポリエステルポリオールに含まれるものとして挙げられる。
【0050】
他に、ポリオールとしては、またはこれらの末端水酸基を公知のアミノ化法によりアミノ基に置換した末端アミノ基含有ポリオール等をあげることができる。
【0051】
本発明の製造方法〔1〕に用いるポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートとしては、例えばジイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物を除くポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0052】
本発明の製造方法〔1〕に用いるポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートに含まれるジイソシアネートとしては、例えば
【0053】
▲1▼脂肪族ジイソシアネート、具体的には例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート(HMDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアネート
【0054】
▲2▼脂環式ジイソシアネート、具体的には例えば1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート
【0055】
▲3▼芳香脂肪族ジイソシアネート、具体的には例えば1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン又はそれらの混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、
【0056】
▲4▼芳香族ジイソシアネート、具体的には例えばトリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート、2,4−トリレンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアナート(2,6−TDI)、2,4−TDIと2,6−TDIとの混合物、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、キシリレンジイソシアナート(XDI)、メタキシリレンジイソシアナート(MXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、(IPDI)、m−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ビフェニルジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジトルエン−4,4’−ジイソシアナート(TODI)、ジアニシジンジイソシアナート(DADI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、液状MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを一部カルボジイミド変性して液状化したもの)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアナート(TTI)等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0057】
本発明〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートに含まれる、ジイソシアネートを除くポリイソシアネートとしては、例えばリジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、3−イソシアネートメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環式ポリイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートに含まれるポリイソシアネートとしては、その他のポリウレタンの製造に使用されている任意のポリイソシアネートを使用することができる。
【0059】
また、本発明〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートとしては、プレポリマー化していないポリイソシアネートを、公知の方法で三量化したものや、トリイソシアネート以上のポリイソシアネートも挙げることができる。
【0060】
なお、本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートは、単独で、あるいは2種以上を混合して使用して差し支え無い。
【0061】
本発明〔1〕で使用しうるポリウレタン系樹脂の製造に用いるウレタンプレポリマーは、上記ポリイソシアネートとポリオールを使用して、NCO/OH=1.3〜10、好ましくは1.4〜2.5の範囲で公知のプレポリマーの製造方法に準じて製造することができるものである。
【0062】
本発明〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂を2液硬化型樹脂として使用する場合にも、上記ポリイソシアネートとポリオールを使用して、NCO/OH=0.9〜1.5、好ましくは0.95〜1.3の範囲で公知の製造方法に準じて製造することができるものである。
【0063】
ポリオールやポリイソシアネートを種々組み合わせて、及び/又はそれぞれの配合比(NCO/OH)も変化させることにより、得られるポリウレタン樹脂の硬度、強靱性、耐熱性、引張強度や曲げ強度等の強度、伸び、耐熱性等の特性を変化させることもできる。これにより、また、本発明〔1〕では、使用するポリウレタン系樹脂等に水中生物防汚に有効な薬剤を含有させるが、その薬剤の溶出量を制御することもできる。
【0064】
本発明〔1〕では、前記ポリウレタン樹脂を製造する際に、更に、ポリアミンを原料として用いて、ウレタン−ウレア系樹脂とすることもでき、その製造においてはウレタンプレポリマーを使用するのが一般に好ましい。ポリアミンを原料として用いることにより、得られるポリウレタン−ウレア系樹脂の硬度、強靱性、耐熱性、引張強度や曲げ強度等の強度、伸び、耐熱性等の特性を変化させることもでき、ひいては有効成分の薬剤の溶出量を制御することもできる。
【0065】
この目的で使用するポリアミンとしては、例えば
【0066】
▲1▼ジアミノジフェニルメタン系の芳香族ジアミン、具体的には4,4’−メチレンビスアニリン、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)(TCDAM)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジクロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロ−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロ−6−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−メトキシカルボニルアニリン)等のジアミノジフェニルメタン系の芳香族ジアミン
【0067】
▲2▼アミノ安息香酸エステル系の芳香族ジアミン、具体的には1,3−プロパンジオールビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−ブタンジオール(4−アミノベンゾエート)、ジエチレングリコール(4−アミノベンゾエート)、トリエチレングリコール(4−アミノベンゾエート)、4−クロロ−3,5−ジアミノ安息香酸イソプロピル、4−クロロ−3,5−ジアミノ安息香酸イソブチル等のアミノ安息香酸エステル系芳香族ジアミン
【0068】
▲3▼酸素原子または硫黄原子を含有する芳香族ジアミン、具体的には4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、ビス〔2−(2−アミノフェニルチオ)エチル〕テレフタレート等の酸素原子または硫黄原子を含有する芳香族ジアミン
【0069】
▲4▼トルエンジアミン系の芳香族ジアミン、具体的には2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン等のトルエンジアミン系の芳香族ジアミン
【0070】
▲5▼ジアミノジフェニルプロパン系の芳香族ジアミン、具体的には2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチルフェニル)プロパン等のジアミノジフェニルプロパン系の芳香族ジアミン
【0071】
▲6▼3,3’−ジアミノベンゾフェノン、m−もしくはp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン
【0072】
を、ポリウレタン−ウレアエラストマーの製造において使用するポリアミンの具体例として挙げることができる。
【0073】
これらのポリアミンは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができ、また、ジアミノジフェニルメタン系、あるいはアミノ安息香酸エステル系の芳香族ジアミンの使用が好ましい。
【0074】
ポリアミンの使用量は、NCO/NH2=0.9〜1.5、好ましくは0.95〜1.3の範囲であればよい。
【0075】
本発明〔1〕記載の水中生物防汚用樹脂であるポリウレタン樹脂は、1液型ポリウレタン樹脂又は2液型ポリウレタン樹脂で良く、又、湿気硬化型ポリウレタン樹脂も使い良いものとして挙げることができる。
【0076】
本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂は、市販されているものであるか、或いは例えば上記の方法や、公知の一般的なポリウレタン系樹脂の製造方法あるいはその変法等、公知の技術に従って製造できるものである。
【0077】
又、本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂は、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜98であればよく、ショア(Shore)A(HsA)70〜95であるものが好ましく、とりわけ、一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオール又はポリアルキレンポリエステルポリオールであると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものが好ましく、特に一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオールであると共に、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜95のものが好ましい。使用するポリウレタン系樹脂の種類にも依存するが、硬度が低くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されやすいが同時に溶出も早くなる傾向にあるので、硬度が低すぎると長期間の防汚効果が期待できなくなり、硬度が高くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されにくくなる傾向があるので、硬度が高すぎると防汚効果自体が期待できなくなる。
【0078】
続いて、本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂について説明する。
【0079】
本発明の製造方法〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂は、既に知られているポリ尿素樹脂、及びポリウレタン−ウレア樹脂であれば良く、例えば、一般式(2)
【0080】
【化8】
【0081】
(式中、R2は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示し、x、(n−x)は共に平均値であって、xは0以上n未満の正の値を示す。)
【0082】
で表されるアミン化合物、及び更に必要に応じポリアミンからなるアミン成分と、ポリイソシアネートから形成された、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂を挙げることができるが、これに限らず、公知のあらゆるポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が使用できる。
【0083】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の製造に用いられる一般式(2)のアミン化合物としては、具体的には例えばポリエチレンエーテルグリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリプロピレンエーテルグリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリオキシブチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリプロピレンエーテルグリセロールトリス(4−アミノベンゾエート)等を挙げることができる。
【0084】
これらのアミン化合物は単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
これらのアミン化合物において、中心部のポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエーテル−ポリエステル)ポリオール残基〔一般式(2)中のR2で表わされる部分構造〕の平均分子量は常に200以上の範囲に入るものである。
【0086】
一般式(2)で表されるアミン化合物は、例えば特開昭63−202612号公報記載の方法(特公昭60−32641号公報記載の方法及び特開昭56−135514号公報記載の方法)で、本発明〔1〕で使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリオールと同様のポリオールと、対応するニトロベンゾイルクロリド或いはイサト酸無水物等から製造することができる。
【0087】
上記一般式(2)で表されるアミン化合物の製造において、ポリオールと、対応するニトロベンゾイルクロリド或いはイサト酸無水物等の当量比を適宜変化させることにより、ポリ尿素樹脂の製造原料(ポリオール由来の水酸基が実質的に残っていない上記一般式(2)で表されるアミン化合物。)とポリウレタン−ウレア樹脂の製造原料(ポリオール由来の水酸基が残存している上記一般式(2)で表されるアミン化合物。)を造りわけることができる。
【0088】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の製造において、アミン成分として、必要に応じ用いられるポリアミンとしては、前記ポリウレタン系樹脂の項で説明したものと同様である。
【0089】
これらのポリアミンは、1種又は2種以上を使用してよい。
【0090】
芳香族ポリアミンの使用量は、全アミン成分中50重量%以下、好ましくは40重量%以下であればよい。
【0091】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の製造において、必要に応じ用いられるポリイソシアネートは、前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できるとして記載したポリイソシアネートと同様のものを挙げることができ、1種又は2種以上を使用することができる。
【0092】
その使用量は、NCO/(NH2+OH)=0.9〜1.5、好ましくは0.95〜1.3であればよい。
【0093】
アミン成分(アミン化合物と、場合により芳香族ポリアミンからなる)やポリイソシアネートを種々組み合わせ、及び/又はそれぞれの配合比も変化させることにより、得られるポリ尿素樹脂及びポリウレタン−ウレア樹脂の硬度、強靱性、耐熱性、引張強度や曲げ強度等の強度、伸び、耐熱性等の特性を変化させることもでき、ひいては有効成分の薬剤の溶出量を制御することもできる。
【0094】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の、数平均分子量や重量分子量は、本発明の目的を達する限り制限はなく、意図する水中生物防汚用樹脂の付着量や膜厚、意図する粘度や作業性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする薬剤の溶出制御性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする効果持続期間、施用場所の条件等に応じて適宜決定すればよいが、数平均分子量が200以上であることが好ましい。
【0095】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂は、一般式(2)におけるR2が、前述のポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリオールとのR1と同様の、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基又はポリアルキレンポリエステルポリオール残基であると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜98であればよく、ショア(Shore)A(HsA)70〜95であるものが好ましく、一般式(2)におけるR2がポリアルキレンポリエーテルポリオール残基であると共に、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)72〜95であるものが特に好ましい。使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の種類にも依存するが、硬度が低くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されやすいが同時に溶出も早くなる傾向があるので、硬度が低すぎると長期間の防汚効果が期待できなくなり、硬度が高くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されにくくなる傾向があるので、硬度が高すぎると防汚効果自体が期待できなくなる。
【0096】
このような、本発明〔1〕に使用する本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂)で市販されているものとして、例えば、耐水軟質ポリウレタンチューブUF(株式会社 潤工社製、硬度HsA93)、極軟質ポリウレタンチューブUS(株式会社 潤工社製、硬度HsA85)、軟質ポリウレタンチューブUH(株式会社 潤工社製、硬度HsA95)、スーパーエアーホース(十川産業株式会社製のウレタンホース)、例えばR−110各タイプ、R−300各タイプ、SX−010〜090各タイプ、S−100P各タイプ等のポレアシリーズ(イハラケミカル工業株式会社製のポリ尿素樹脂、硬度HsA70〜HsA98)、E−385シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン、硬度HsA85等)、E−190シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−375シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−380シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−590シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−660シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−670シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−675シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−990シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)等を例示することができる。
【0097】
更に、本発明〔1〕に使用する本願樹脂資材(ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂)としては、例えば、パンデックス(ディーアイシー バイエル ポリマー株式会社の商品名) 727−NS、パンデックス 727−(W)、パンデックス707−NS、パンデックス 707−(W)等のパンデックスシリーズのポリウレタン樹脂(1液型);プルーフロン(日本特殊塗料株式会社の商品名 )C−200等のプルーフロンシリーズのポリウレタン樹脂(1液型);オルタックカラー(田島ルーフィング社の商品)等のポリウレタン樹脂(2液型);ミゼロン(三井金属化学塗料株式会社の商品) B−500/A−5000等のポリウレタン樹脂(2液型);ポレア(イハラケミカル工業(株)の登録商標、イハラケミカル工業株式会社の商品名)R−110(2液型)やポレアSX−027(2液型)、ポレアSX−030(2液型)、ポレアSX−085(2液型)、ポレアSX−091(2液型)等のポリ尿素樹脂等、市販されているポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、及びポリウレタン−ウレア系樹脂を、使用してよいものとして挙げることができる。
【0098】
本発明〔1〕では、使用する本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂)の形態は、フィルム状;シート状;板状;チューブ状;ホース状;ブロック状;球状;種々の材質の成型加工品、種々の材質の繊維、ロープ、例えば漁網等の網、船底、例えばコンクリート等の建築物壁、その他の予め所定の形に成形された種々の芯又は核となる物品あるいは構造物にコーティングした状態のもの;又は、その他の任意の形態でよく、最終的な本発明方法で製造する水中生物防汚樹脂組成物の適用条件によって決定して良い。
【0099】
本発明〔1〕では、本願樹脂資材を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させるのであるが、この本発明〔1〕に使用できる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコールに代表されるアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルに代表されるエステル系溶媒を例示できる。
【0100】
さらに、本発明〔1〕に使用できる有機溶媒としては、脂肪族(ターペン)類を主体とする、いわゆるペイントシンナー;キシレン等の芳香族炭化水素を主体とし脂肪族(ターペン)類も含有する、いわゆる塗料シンナー;キシレン等の芳香族炭化水素と酢酸ブチル等代表されるエステル系溶媒を含有する、いわゆるラッカーシンナー;ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン(MIBK)等)、芳香族炭化水素(キシレン、トルエン等)及びアルコール系溶媒(イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルセルソルブ等)等を含有する、いわゆるエポキシシンナー;ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン(MIBK)等)及び芳香族炭化水素(キシレン、トルエン等)を主体とする、いわゆるウレタンシンナー等の公知の各種シンナーを本発明〔1〕に使用できる有機溶媒として例示できる。本発明に使用する有機溶媒としては、その組成により異なるので一概には云えないものの、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、及び/又はアルコール系溶媒等を含有する、いわゆるラッカーシンナー、エポキシシンナー、ウレタンシンアー等の有機溶媒を用いた場合の方が、より好ましい結果を得られる傾向にある。
【0101】
本発明〔1〕に使用できる有機溶媒の使用量は、後記する膨潤処理の方法に応じて適宜決定することができる。
【0102】
また、本発明〔1〕に使用できる有効成分の薬剤としては、従来から水中生物防汚効果が知られている公知の全ての薬剤を使用することができる。この薬剤を、非限定例として例示すれば、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジンクジメチルジチオカーバメート、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメート、ジヨードメチル−P−トリルスルホン、ベンジルマレイミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、4−ノニルフェノール、ジジンクビス(ジメチルジチオカーバメート)エチレンビス(ジチオカーバメート)、2−メチルチオ−4−ターシャリーブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,3−ジクロロ−N−2’,6’−ジエチルフェニルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−2’−エチル−6’−メチルフェニルマレイミド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、テトラエチルチウラムジスルフィド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾール、トリフェニルボラン・ピリジン錯化合物(ピリジントリフェニルボラン)、テトラフェニルボラン・ピリジン錯化合物、3,4−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、亜酸化銅、ロダン銅、ジヨードメチルパラトリルスルホン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ブロモフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ヨードフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジメチルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジヘキシルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジブチルアンモニウム塩、5,6−ジクロログラミン、5−クロロ−2−メチルグラミン、5−ブロモ−2−メチルグラミン、1,2−ジメチル−6−ブロモグラミン、及び5,6−ジクロロ−1−メチルグラミン等を挙げることができる。これらの水中生物防汚に有効な薬剤は、1種または2種以上を使用しても差し支えない。
【0103】
中でも、好ましい薬剤として、ジンクジメチルジチオカーバメート、トリフェニルボラン・ピリジン錯化合物(ピリジントリフェニルボラン)、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、テトラエチルチウラムジスルフィド(TE)、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメート、ジヨードメチル−P−トリルスルホン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン(DCOI)、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ブロモフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ヨードフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジメチルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジヘキシルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリルジブチルアンモニウム塩、5,6−ジクロログラミン、5−クロロ−2−メチルグラミン、5−ブロモ−2−メチルグラミン、1,2−ジメチル−6−ブロモグラミン、及び5,6−ジクロロ−1−メチルグラミンを例示できる。
【0104】
これらの、水中生物防汚剤の有機溶媒中での所期濃度は、担持させたい薬剤量や、使用するポリウレタン系樹脂等の種類や性質、さらに興起する膨潤処理時間等にもよるので一概には云えないが、前記の有機溶媒に、例えば3重量%〜85重量%、好ましくは5重量%〜70重量%、より好ましくは7重量%〜50重量%の範囲で、例えば溶解、乳化分散或いは懸濁することにより含まれていれば良く、特には、担持させたい薬剤が上記の濃度範囲で溶解しているのが好ましい。
【0105】
水中生物防汚剤を含む有機溶媒の使用量は、膨潤処理の方法として後記するように、その適用方法に応じて適宜決定すればよい。
【0106】
次いで、本発明の水中生物防汚用樹脂の製造方法について説明する。
【0107】
本発明〔10〕の水中生物防汚用樹脂の製造方法は、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98、好ましくはショア(Shore)A(HsA)70〜95、より好ましくはショアーA(HsA)72〜95である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させることを特徴とする。
【0108】
本発明〔10〕において、本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、及び/又はポリウレタン−ウレア系樹脂)を膨潤させる方法(膨潤処理の方法)は任意であるが、本願樹脂資材を、例えば、前記の水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に、全部又は一部浸漬させる方法;予め水中生物防汚剤を含む有機溶媒を蓄液できるように所定の形態に成形加工した本願樹脂資材中/又は表面に前記の水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒を蓄液する方法;予め水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒の流路ができるように所定の形態に成形加工した本願樹脂資材中に前記の水中生物防汚剤を含む有機溶媒を通液する方法;水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒の流路或いは蓄液部として、予めチューブ状(或いはホース状)の本願樹脂資材(A)を用い、その樹脂資材(A)と、同一或いは別の本願樹脂資材(B)に、張り付け、埋め込み或いは融着等の適宜の方法により一体化するように取り付け、このチューブ状(或いはホース状)の本願樹脂資材(A)中に前記の水中生物防汚剤を含む有機溶媒を蓄液或いは通液して、チューブ状(或いはホース状)の本願樹脂資材(A)を通して本願樹脂資材(B)まで膨潤させる方法;等を例示できる。
【0109】
本発明〔10〕では、本願樹脂資材を前記のごとく膨潤させるのであるが、その際、どの程度まで膨潤させればよいか(膨潤の程度)について説明する。なお、有効成分たる薬剤の担持量は、膨潤の程度に大きく依存する。
【0110】
本発明〔10〕では、膨潤の程度を把握する方法として、膨潤処理直後の湿潤時の重量増加率を挙げることができ、該湿潤時の重量増加率として、使用した樹脂重量に対して、例えば1重量%〜150重量%、好ましくは3重量%〜130重量%、さらに好ましくは5重量%〜110重量%の範囲を例示できる。
【0111】
或いは、本発明〔10〕では膨潤の程度を把握する方法として、膨潤処理後の乾燥時の重量増加率を挙げることができ、該乾燥時の重量増加率として、使用した樹脂重量に対して−2重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜50重量%、さらに好ましくは2重量%〜30重量%の範囲を例示できる。
【0112】
湿潤時の重量基準と乾燥時の重量基準では、膨潤の程度が厳密に一致するわけではないが、本発明〔10〕により製造される水中生物防除樹脂組成物が実際に使用された場合に、その目的を達する薬剤担持量を実現できればよく、膨潤の程度を把握する方法として乾燥時の重量基準が好ましいが、水中生物防除樹脂組成物の製造作業の都合に合わせて何れの基準を採用しても構わない。
【0113】
なお、これらの膨潤の程度は、膨潤処理時の有機溶媒の種類、本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂等の樹脂)の性質、温度、処理時間、有機溶媒の適用方法(浸漬か、蓄液か通液かの違い)等によって変化させることができるが、使用する有機溶媒の液温度として、0〜70℃、好ましくは15〜40℃の範囲を例示でき、一般には室温で処理すれば良い。
【0114】
膨潤の程度の増しかたは、例えば重量の増加率を経時的にグラフ化するとした場合、使用する樹脂資材の種類等にもよるが、本発明者らの知見によれば、一般には、重量の増加率は、膨潤処理の初期には比較的小さく、次第に加速してゆき中期に大きくなり円滑に膨潤(重量増加)が進み、後期に再び小さくなると云う、いわゆるS字型の曲線形となることが多い。そこで、膨潤処理にはある程度の時間をかけるのが一般的であり、膨潤処理にかける時間としては、例えば15分〜240時間、好ましくは6〜96時間、より好ましくは12〜72時間、最も好ましくは24〜72時間と云う範囲を例示することができる。
【0115】
また、本発明〔10〕により製造される水中生物防除樹脂組成物は、前記膨潤処理後、直ちに使用することもできるが、乾燥させて使用することもできる。一般には乾燥させて使用することが好ましい。乾燥させて使用する場合の膨潤処理後の乾燥時間は、膨潤処理或いは本発明〔10〕により製造される水中生物防汚樹脂組成物の適用条件等に応じて変化させることが可能であり任意であるが、例えば、3時間〜20日間、好ましくは12時間から14日間、さらに好ましくは24時間〜10日間、最も好ましくは24時間〜7日間と云う範囲を例示できる。
【0116】
次に、本発明の水中生物防汚用組成物、成型物、資材について説明する。
【0117】
本発明〔10〕で製造できる水中生物防汚用組成物は、本願樹脂資材(ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂及びポリウレタン−ウレア樹脂の少なくとも1種)及び水中生物防汚に有効な薬剤からなる。
【0118】
本発明の水中生物防汚用組成物に用い得る水中生物防汚に有効な薬剤の含量は、本発明の水中生物防汚用組成物の目的を達する限り制限はなく、用いる本願樹脂資材の構造や、数平均分子量、重量平均分子量、その配合量、意図する付着量や膜厚、意図する粘度や作業性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする薬剤の溶出制御性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする効果持続期間、施用場所の条件等に応じて適宜決定すればよいのであるが、水中生物防汚に有効な薬剤の含量としては、水中生物防汚樹脂組成物の全重量に対して、例えば0.5〜50重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜50重量%、最も好ましくは3〜50重量%の範囲を例示できる。
【0119】
本発明の水中生物防汚樹脂組成物は、布、木材、コンクリート、スレート、モルタル、金属、FRP等に代表される、広範な材質に適用することができ、何れの材質においても優れた水中生物防汚の効果を示す。
【0120】
本発明の水中生物防汚用組成物の使用に当たっては、本発明の水中生物防汚用組成物それ自体を、例えば使用対象の表面処理なしに直接その表面に張り付ける等の方法で使用することもできるし、必要に応じ、使用対象を表面処理しておいてから使用することもできる。
【0121】
該表面処理としては、例えば、適用する材質の表面をサンダーにより目荒らしする;公知のアクリル樹脂系塗料(例えば、8400−1(日立化成(株)の商品)、198−XB(大日本インキ化学工業(株)の商品)等)で下塗りする;公知の液状ゴム(例えば、PLASTI DIPシリーズ(米国ピーディーアイ(PDI)社の製品)や、熱可塑性エラストマ−であるクレイトン(シェル・インターナショナル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッドの登録商標、KRATON) Dシリーズ(クレイトンポリマージャパン(株)の商品)、クレイトン Gシリーズ(クレイトンポリマー ジャパン社の商品)等)で下塗りする;公知のポリ尿素あるいはポリウレタン−ウレア樹脂や(例えば、ポレア(イハラケミカル工業(株)の登録商標)シリーズ(イハラケミカル工業(株)の商品)、T−41(大日本インキ化学工業(株)の商品)等)で下塗りする;公知の防錆塗料(例えば、ビニタール防錆塗料、(タール)エポキシ樹脂系防錆塗料等)で下塗りする;公知の防食プライマー(例えばジンクリッチプライマー)で下塗りする;その他の公知のプライマー(例えば、ミゼロン R プライマー(三井金属化学塗料株式会社の商品)、ミゼロン RW プライマー(三井金属化学塗料株式会社の商品)、ミゼロン シーラー U−60(三井金属化学塗料株式会社の商品)等)で下塗りする;等の方法による表面処理を例示できる。また、複数のプライマーや防錆塗料を重ね塗りした上に、本発明の水中生物防汚用組成物を更に取り付け或いは張り付ける等の施工をすることもできる。
【0122】
本発明の水中生物防汚用組成物の製造に用いる本願樹脂資材として、熱可塑性ポリウレタン樹脂に代表される、熱可塑性樹脂を用いると、使用後、不要となった本発明の水中生物防汚用組成物から、用いた本願樹脂資材を回収資源として再生し、再生樹脂を得ることもできる。
【0123】
【発明の効果】
本発明により、優れた水中生物防汚樹脂組成物が提供できるようになった。本発明の水中生物防汚樹脂組成物では、有効成分たる薬剤の担持量の制御も、有効成分たる薬剤の溶出の制御等も行いやすく、従って長期にわたってその効果を発揮させることが可能で、しかも、従来から実験室的に有効性が知られていたが実使用場面ではそれほどの有効性を示さなかった公知の種々の薬剤をその有効成分として用いうると云う適用範囲の広さを有し、しかも、充分に簡便かつ安価である。
【0124】
さらに、本発明の製造方法の諸条件は、そのまま、一度以上使用して性能の低下した水中生物防汚樹脂組成物を、製造時と同様の簡便な処理で、容易に性能回復させて再生する際の条件としても機能し、結果として水中生物防汚樹脂組成物を再使用することができるため、廃棄物も少なくてすむ。
【0125】
また、本発明により、使用するポリウレタン系樹脂等の樹脂を予め所定の形状に加工しておけば、有効成分の薬剤を溶解した有機溶媒を蓄液或いは通液するという様な簡便な作業で、長期間、改修等ができない構造物等の、半永久的な水中生物防汚を可能にする資材を製造して提供することができる。
【0126】
従って、本発明は、水中生物防汚樹脂組成物及びその製造方法として極めて有用である。
【0127】
【実施例】
以下に、(実施例)及び(試験例)により本発明をより詳細且つ具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0128】
(資材の説明)
水中生物防汚に有効な種々の薬剤を、種々の濃度で、種々の有機溶媒に溶解した、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に、種々の市販の資材を、全浸漬することによって膨潤させて、さらに自然乾燥させることにより、水中生物防汚樹脂組成物を製造した。
【0129】
まず、用いた資材について説明する。
【0130】
用いた薬剤の略号は、下記の通りである。なお、用いた薬剤の略号は、以後の記載において参照されるものである。
【0131】
略号 :化合物名
TE :テトラエチルチウラムジスルフィド
DCOI:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン
【0132】
用いた有機溶媒の略号は、下記の通りである。なお、用いた有機溶媒の略号は、以後の記載において参照されるものである。
【0133】
略号 :有機溶媒名
Xyl :キシレン
L−th:ラッカーシンナー
IPA :イソプロピルアルコール
【0134】
また、用いた本願樹脂資材は下記の通りである。なお、用いた本願樹脂資材の略号は、以後の記載において参照されるものである。また、ショア(Shore)A硬度については、略号HsAで記載する事がある。
【0135】
略号:名称、性状、形状
UF:耐水軟質ポリウレタンチューブUF−393
(株式会社潤工社製、(硬度HsA93)、一般式(1)中のR1のタイプ:ポリアルキレンポリエーテルポリオール)US:極軟質ポリウレタンチューブUS−85
(株式会社潤工社製、(硬度HsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
UH:軟質ポリウレタンチューブUH−395
(株式会社潤工社製、(硬度HsA95)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(なお、上記UF、US、UHの3点は、何れも、外径12mm、内径8mm、厚さ2mmのチューブを、後記表記載の長さに切断したものを各実施例に使用した。)
R−110:ポレアR−110
(イハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂、(硬度HsA98)、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
SX−030:ポレアSX−030
(イハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂、(硬度HsA80)、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(上記R−110、SX−030の2点は、縦50mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物を各実施例に使用した。)
S−100P:ポレアS−100P
(イハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂、硬度HsA95、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(上記S−100Pは、縦40mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物を各実施例に使用した。)
E−385:E−385
(日本ミラクトラン株式会社製エーテル系ポリウレタン、JIS−A硬度85(硬度HsAでは、ほぼHsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(上記E−385は、縦55mm×横20mm×厚さ2mmのシート状物を各実施例に使用した。)
【0136】
実施例1(DCOI/キシレン/UFによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを、有機溶媒としてキシレンを、また、本願樹脂資材としてUFを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。薬剤濃度、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤処理時間、膨潤の程度等の結果を(表1)に示した。なお、(表1)中の、「%重」は重量増加率を、乾燥時間は48時間膨潤処理後の乾燥時間をそれぞれ示す。
【0137】
【表1】
【0138】
実施例2(DCOI/キシレン/USによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを、有機溶媒としてキシレンを、また、樹脂資材としてUSを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。薬剤濃度、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤処理時間、膨潤の程度等の結果を(表2)に示した。なお、(表2)中の、「%重」は重量増加率を、乾燥時間は48時間膨潤処理後の乾燥時間をそれぞれ示す。
【0139】
【表2】
【0140】
実施例3(DCOI/キシレン/UHによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを、有機溶媒としてキシレンを、また、樹脂資材としてUHを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。薬剤濃度、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤処理時間、膨潤の程度等の結果を(表3)に示した。なお、(表3)中の「%重」は重量増加率を、乾燥時間は48時間膨潤処理後の乾燥時間をそれぞれ示す。
【0141】
【表3】
【0142】
実施例4A〜10C(DCOI/有機溶媒/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、有機溶媒(各実施例において、キシレンを用いたものを実験A、ラッカーシンナーを実験B、IPAを用いたものを実験Cとし、例えば実施例3Aというように対応させるものとする)、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表4)に示した。なお、実験の薬剤濃度は、キシレン、ラッカーシンナーを用いたものは薬剤30重量%、IPAを用いたもの12重量%として行なった。また、(表4)中の「%重」は48時間膨潤処理後24時間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0143】
【表4】
【0144】
実施例11A〜17C(TE/有機溶媒/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてTEを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、有機溶媒(各実施例において、キシレンを用いたものを実験A、ラッカーシンナーを実験B、IPAを用いたものを実験Cとし、例えば実施例12Aというように対応させるものとする。)、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表5)に示した。なお、実験の薬剤濃度は、キシレン、ラッカーシンナーを用いたものは薬剤30%、IPAを用いたもの12%として行なった。また、(表5)中の「%重」は48時間膨潤処理後24時間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0145】
【表5】
【0146】
実施例18〜19(DCOI/有機溶媒/UFによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、樹脂資材としてUFを用いて、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた有機溶媒、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表6)に示した。なお、薬剤濃度は、12%として行なった。また、(表6)中の「%重」は48時間膨潤処理後24時間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0147】
【表6】
【0148】
実施例20〜22(DCOI/塗料シンナー/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、有機溶媒として塗料シンナーを用いて、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表7)に示した。なお、薬剤濃度は、20%として行なった。また、(表7)中の「%重」は48時間膨潤処理直後及び48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0149】
【表7】
【0150】
実施例23〜25(DCOI/ラッカーシンナー/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、有機溶媒としてラッカーシンナーを用いて、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表8)に示した。な、薬剤濃度は、20%として行なった。また、(表8)中の「%重」は48時間膨潤処理直後及び48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0151】
【表8】
【0152】
試験例1〜14
本発明方法により製造した種々の水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のキシレンを用いて、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)について、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬3ヶ月後、9ヶ月後及び20ヵ月後に、下記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。結果を(表9)に試験1〜14として示した。
【0153】
なお、使用した本願樹脂資材の形状は、
UF、US、UH:各々、外径12mm、内径8mm、厚さ2mmのチューブを50mmに切断したもの。
R−110、SX−030:各々、縦50mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物
S−100P:縦40mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物
E−385:縦55mm×横20mm×厚さ2mmのシート状物
【0154】
(評価基準1)
+++:生物付着面積が50%以上
++ :生物付着面積が30%以上50%未満
+ :生物付着面積が15%以上30%未満
− :生物付着面積が10%以上15%未満
−− :生物付着面積が5%以上10%未満
−−−:生物付着面積が5%未満
【0155】
【表9】
【0156】
対照試験1〜7
処理していない本願樹脂資材(形状は試験例1〜7と同様)を、試験例1〜7(或いは試験例8〜14)と同条件で、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬3ヶ月後、9ヶ月後及び20ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。結果を(表9)に対照1〜7として示した。
【0157】
試験例15
本願樹脂資材としてスーパーエアーホース(商品名、十川産業株式会社製のウレタンホース、硬度HsA90)を用い、薬剤としてDCOIを用いて製造した水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のキシレンを用いて、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)は、9ヶ月に渡って実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で充分な水中生物防汚効果(上記(評価基準1)の「−−−」相当)を維持できた。
【0158】
試験例16〜21
硬度及び一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率を変えた本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂又はポリ尿素系樹脂)を、薬剤としてDCOIを各々用いて製造した水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のラッカーシンナー、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)を、試験例1〜7(或いは試験例8〜14)と同条件で、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬12ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。(表10)に、硬度、一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率、及び結果を示した。なお、本使用した本願樹脂資材の試験片の形状は、全て、縦45mm×横20mm×厚さ2mmのシート状のものを用いた。(表10)中の「%重」は48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0159】
なお、本試験に用いたポリウレタン系樹脂は、
試験例16は日本ミラクトラン株式会社製E−670MNAT(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度70(HsAでは、ほぼHsA70)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例17は日本ミラクトラン株式会社製E−670MZAA(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度70(HsAでは、ほぼHsA70)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例18は日本ミラクトラン株式会社製E−675(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度75(HsAでは、ほぼHsA75)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例19は日本ミラクトラン株式会社製E−380(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度80(HsAでは、ほぼHsA80)、般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例20は日本ミラクトラン株式会社製E−385(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度85(HsAでは、ほぼHsA85)、般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例21はイハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂ポレアS−100P(商品名、硬度HsA95、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
である。
【0160】
なお、本試験に用いた本願樹脂資材の一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプについては、試験例16〜18で用いたものはアジペート由来のエステル骨格を有するポリエステルポリオールであり、試験例19〜21で用いたものはポリアルキレンポリエーテルポリオール骨格を有するポリエーテルポリオールであり、これらは(表10)のポリオールの項に下記略称で示した。
【0161】
エステル:アジペート由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
エーテル:ポリアルキレンポリエーテルポリオール
【0162】
【表10】
【0163】
試験例22〜35
硬度及び一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率を変えた本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン−ウレア系樹脂又はポリ尿素系樹脂)を、薬剤としてDCOIを各々用いて製造した水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のラッカーシンナー、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)を、試験例1〜7(或いは試験例8〜14)と同条件で、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬12ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。(表10)に、硬度、一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率、及び結果を示した。なお、本使用した本願樹脂資材の試験片の形状は、全て、縦45mm×横20mm×厚さ2mmのシート状のものを用いた。(表11)中の「%重」は48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0164】
なお、本試験に用いたポリウレタン系樹脂は、
試験例22は日本ミラクトラン株式会社製E−670MZAA(商品名、エステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度70(HsAでは、ほぼHsA70)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例23は日本ミラクトラン株式会社製E−675MNAT(商品名、エステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度75(HsAでは、ほぼHsA75)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例24は日本ミラクトラン株式会社製E−375MSJP(エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度75(HsAでは、ほぼHsA75)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例25は日本ミラクトラン株式会社製E−380EXMO(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度80(HsAでは、ほぼHsA80)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例26は日本ミラクトラン株式会社製E−380EYRJ(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度80(HsAでは、ほぼHsA80)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例27は日本ミラクトラン株式会社製E−385(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度85(HsAでは、ほぼHsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例28は日本ミラクトラン株式会社製E−590(商品名、カプロラクタムエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度90(HsAでは、ほぼHsA90)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例29は日本ミラクトラン株式会社製E−990(商品名、カーボネートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度90(HsAでは、ほぼHsA90)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例30は株式会社潤工社製UF−393(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、HsA95、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例31は株式会社潤工社製UH−395(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、HsA95、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例32は日本ミラクトラン株式会社製E−398(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度98(HsAでは、ほぼHsA98)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例33はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−027(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA72)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例34はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−085(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例35はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−091(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA92)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
である。
【0165】
なお、本試験例30に用いたポリウレタン系樹脂は、(表11)記載の対応する種々の構造のポリオール成分及びMDIを用いてE−385に準じて調製されたものである。
【0166】
なお、本試験に用いた本願樹脂資材の一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプについては、(表11)のポリオールの項に下記略称で示した。
【0167】
エステル:アジペート由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
エーテル:ポリアルキレンポリエーテルポリオール
カプロラクタム:カプロラクタム由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
カーボネート:カーボネート由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
【0168】
【表11】
【0169】
対照試験8〜10
シリコンゴム(薬剤含浸なし)或いは硬度が異なる樹脂資材(形状は試験例22〜35と同様)を用いて、薬剤(DCOI)の含浸処理を行った/或いは行わなかった試験片(形状は試験例22〜35と同様)を、試験例22〜35と同条件で実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬後12ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。結果を(表11)に対照8〜10として示した。
【0170】
なお、本対照試験に用いた樹脂は、各々、
対照8は市販のシリコンゴム、
対照9は日本ミラクトラン株式会社製E−660(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度60(硬度HsAでは、ほぼHsA60)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
対照10はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−095(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA96)である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中構築物、漁網、漁具、船底、水路、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー等への水棲生物の付着を防止するために使用される水中生物防汚用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水中構築物、漁具、船底、水路、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー等への水棲生物の付着を防止するための水中生物防汚剤の有効成分として主に有機スズ化合物が用いられていた。有機スズ化合物は広範な生物に活性を示し、卓越した水中生物防汚効果を示したが、その海洋汚染のため、近年使用が大幅に制限或いは禁止されている。
【0003】
一方、有機スズ化合物に替わる有効成分を含む水中生物防汚剤も提案されている。しかしながら、それらは水中生物付着の防汚活性がいまだ充分とは言えないものも多かった。即ち、実験室的には充分に有効な水中生物付着防汚活性を示す有効成分を水中生物防汚剤に用いても、実使用場面における有効成分の溶出の仕方は、水中生物防汚樹脂組成物に使用する樹脂の性質や、有効成分の処方等に依存するところが大きいため、適した適当な処方で使用しなければ、有効成分の溶出が意図した通りに進まず、結果として、実使用場面において初期の目的を達し得なかった。また、使用後の水中生物防汚樹脂組成物は有効成分の含有量が低くなっているが、これを簡便に再生できなかったため水中生物防汚樹脂組成物そのものを廃棄処分する事となり、廃棄物の増大を招くという問題を有していたのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水中生物の防汚に卓越した効果を示し、なおかつ安全性が高く、有効成分の溶出を意図した通りに進めるのに適しており、かつ、再生して所期の性能を回復させることも容易に可能な水中生物防汚用組成物、及び、その新規な製造方法を提供することを課題としてなされた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の樹脂を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒に浸漬する、或いは、水中生物防汚剤を含む有機溶媒を該樹脂に蓄液、通液する等の操作によって、
▲1▼使用した水中生物防汚剤(有効成分)を簡便に該樹脂に担持させることができること。
▲2▼該有効成分の担持量の制御が容易にできること。
▲3▼該有効成分として、従来から実験室的に有効性が知られていた公知の種々の薬剤を用いうる上、該薬剤の溶出の容易な制御や効果持続期間の容易な制御等が可能となったこと。
等を知得し、新たな水中生物防汚用組成物が製造できることを見出し、さらには本発明方法で製造した水中生物防汚用組成物は、その使用に伴い性能が低下してきた場合に、製造時と同様のいくつかの簡便な手法で容易に所定の性能を回復させて有効な水中生物防汚用組成物を再生することが極めて容易であることも知り、これらの知見を基に本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明は、下記〔1〕乃至〔20〕に記載の発明を提供することにより前記課題を解決したものである。
【0007】
〔1〕25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させたことを特徴とする水中生物防汚樹脂組成物。
【0008】
〔2〕ポリウレタン系樹脂が、一般式(1)
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、R1は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステルーポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示す。)
【0011】
で表されるポリオール成分と、ポリイソシアネート成分から得られたものである〔1〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0012】
〔3〕R1が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基;ポリアルキレンポリエステルポリオール残基;ポリカーボネートポリオール残基;ポリ(メタ)アクリレートポリオール残基;エポキシポリオール残基;ブタジエンポリオール残基;ポリエステル−ポリエーテルポリオール残基;アクリル、スチレン、ビニル付加及び/又は分散ポリマーポリオール残基;ウレア分散ポリオール残基;又は、カーボネートポリオール残基である〔2〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0013】
〔4〕ポリウレタン系樹脂の、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95である〔2〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0014】
〔5〕ポリウレタン系樹脂が、一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオール又はポリアルキレンポリエステルポリオールであると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものである〔2〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0015】
〔6〕ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)
【0016】
【化5】
【0017】
(式中、R2は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示し、x、(n−x)は共に平均値であって、xは0以上n未満の正の値を示す。)
【0018】
で表されるアミン化合物からなるアミン成分と、ポリイソシアネート成分から形成されたものである〔1〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0019】
〔7〕ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)
【0020】
【化6】
【0021】
(式中、R2は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示し、x、(n−x)は共に平均値であって、xは0以上n未満の正の値を示
【0022】
す。)
で表されるアミン化合物、及びポリアミンからなるアミン成分と、ポリイソシアネート成分から形成されたものである〔1〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0023】
〔8〕R2が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基;ポリアルキレンポリエステルポリオール残基;ポリカーボネートポリオール残基;ポリ(メタ)アクリレートポリオール残基;フェノールレジンポリオール残基;エポキシポリオール残基;ブタジエンポリオール残基;ポリアルキレン(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基;アクリル、スチレン、ビニル付加及び/又は分散ポリマーポリオール残基;ウレア分散ポリオール残基;又はカーボネートポリオール残基である〔6〕又は〔7〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0024】
〔9〕ポリウレタン系樹脂の、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95である〔6〕又は〔7〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0025】
〔10〕ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)におけるR2がポリアルキレンポリエーテルポリオール残基又はポリアルキレンポリエステルポリオール残基であると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものである〔6〕又は〔7〕記載の水中生物防汚樹脂組成物。
【0026】
〔11〕25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜95である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させることを特徴とする水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0027】
〔12〕膨潤が、水中生物防汚剤を含む有機溶媒に、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を浸漬することにより行われる〔10〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0028】
〔13〕膨潤が、水中生物防汚剤を含む有機溶媒を、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種中に蓄液又は通液することにより行われる〔10〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0029】
〔14〕水中生物防汚剤が、有機溶媒に溶解、乳化分散又は懸濁しているものである〔11〕又は〔12〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0030】
〔15〕水中生物防汚剤が有機溶媒に溶解しているものである〔11〕又は〔12〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0031】
〔16〕水中生物防汚剤の含まれる量が、有機溶媒に対して3重量%〜85重量%である〔11〕乃至〔14〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0032】
〔17〕膨潤処理直後の湿潤時の重量増加率が、使用樹脂重量に対して1重量%〜150重量%となるようにする〔11〕乃至〔15〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0033】
〔18〕膨潤処理後の乾燥時の重量増加率が、使用樹脂重量に対して−2重量%〜50重量%となるようにする〔11〕乃至〔16〕記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
【0034】
〔19〕〔1〕乃至〔9〕の何れか1に記載の方法で製造された水中生物防汚樹脂組成物よりなる成型品。
【0035】
〔20〕〔1〕乃至〔9〕の何れか1に記載の方法で製造された水中生物防汚樹脂組成物を用いる水中生物防汚資材。
【0036】
〔21〕〔1〕乃至〔9〕の何れか1に記載の方法で製造された水中生物防汚樹脂組成物の水中生物防汚用途への使用。
【0037】
以下、本発明の水中生物防汚樹脂組成物及びその製造方法について詳細に説明する。なお、本発明の水中生物防汚用樹脂組成物は、水中生物の防汚が必要とされる、様々な材質の広範な対象、例えば水中構築物、水路等、漁具、ロープ、冷却系配管、シルトフェンス等の海洋土木関連資材、クーリングタワー、船底等の、水中生物の防汚を必要とする任意の用途に適用できるものである。
【0038】
まず、本発明の水中生物防汚用樹脂について説明する。
【0039】
本発明〔1〕の水中生物防汚用樹脂は、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、単に「本願樹脂資材」と記載することがある。)を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させたことを特徴とする。
【0040】
本発明〔1〕の水中生物防汚樹脂組成物に用い得るポリウレタン系樹脂は、一般に知られているポリウレタン樹脂であれば良く、具体的には一般式(1)
【0041】
【化7】
【0042】
(式中、R1は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステルーポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示す。)
【0043】
で表されるポリオール成分と、ポリイソシアネート成分から得られたものを挙げることができる。
【0044】
上記ポリウレタン系樹脂は、1液型のものでも2液型のものでも、ポリオールとポリイソシアネートから調製されたウレタンプレポリマーを用いて形成されたものでも良い。なお、該ウレタンプレポリマーは公知の方法で製造できるものである。
【0045】
本発明の〔1〕で使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリオールとしては、通常のウレタン系樹脂製造に用いられる、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、(ポリエステル−ポリエーテル)ポリールを用いることができ、例えばポリアルキレンポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ブタジエンポリオール等のポリエーテルポリオール;ポリアルキレンポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール、等のポリエステルポリオール;ポリアルキレン(ポリエステル−ポリエーテルポリオール)等の(ポリエステル−ポリエーテル)ポリールや、アクリル、スチレン、ビニル付加、及び/又は分散ポリマーポリオール;ウレア分散ポリオール;等のポリオールが挙げられる。
【0046】
ここで、上記ポリアルキレンポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等のジオール類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類;ソルビトール等;更にアンモニア、エチレンジアミン、尿素、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン等のアミン類の1種又は2種以上の存在下、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を開環重合して得られるランダム又はブロック共重合体;この他エチレン・αオレフィン骨格を有するポリオレフィン骨格のポリオール;アクリル骨格のポリオール等;及びこれらの混合物等が挙げられる。更に、これらのものの他、弗素原子、珪素原子、窒素原子、硫黄原子等を含有するポリオール化合物も含まれる。
【0047】
また、更にポリアルキレンポリエーテルポリオールとしては、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイドも挙げられる。具体的には、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリオールを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどを開環重合させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0048】
前記ポリオールに含まれる、上記以外のポリアルキレンポリエーテルポリオールとしては、ポリマーポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子ポリオールが挙げられる。
【0049】
また、ポリアルキレンポリエステルポリオールとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等のジカルボン酸単独若しくは混合物と、上記ジオール類単独若しくは混合物を重縮合して得られる重合体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合物等;ヒマシ油等の活性水素を2個以上有する活性水素化合物等;が挙げられ、通常、分子量が200〜20000のものが使用され、それらは使用目的や性能によって使い分ければ良い。例えば、脂肪族グリコールをジカルボン酸と縮合し、鎖延長させて得られるポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート等の脂肪族ポリエステルグリコール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどの開環重合によって得られるポリプロピレンエーテルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレンエーテルグリコール;ε−カプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステルグリコール;ポリブタジエンの末端基を水酸基化したもの;2種以上のアルキレンオキシドの共重合物;2種以上のグリコールとジカルボン酸との共重合物;及び芳香族グリコールの混合物などの長鎖状ジオールやグリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリオールと脂肪族グリコールとジカルボン酸とを共重合させて得られるポリエステルポリオール;を例示できる。他にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等をポリアルキレンポリエステルポリオールに含まれるものとして挙げられる。
【0050】
他に、ポリオールとしては、またはこれらの末端水酸基を公知のアミノ化法によりアミノ基に置換した末端アミノ基含有ポリオール等をあげることができる。
【0051】
本発明の製造方法〔1〕に用いるポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートとしては、例えばジイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物を除くポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0052】
本発明の製造方法〔1〕に用いるポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートに含まれるジイソシアネートとしては、例えば
【0053】
▲1▼脂肪族ジイソシアネート、具体的には例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート(HMDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアネート
【0054】
▲2▼脂環式ジイソシアネート、具体的には例えば1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート
【0055】
▲3▼芳香脂肪族ジイソシアネート、具体的には例えば1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン又はそれらの混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、
【0056】
▲4▼芳香族ジイソシアネート、具体的には例えばトリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート、2,4−トリレンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアナート(2,6−TDI)、2,4−TDIと2,6−TDIとの混合物、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、キシリレンジイソシアナート(XDI)、メタキシリレンジイソシアナート(MXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、(IPDI)、m−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ビフェニルジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジトルエン−4,4’−ジイソシアナート(TODI)、ジアニシジンジイソシアナート(DADI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、液状MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを一部カルボジイミド変性して液状化したもの)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアナート(TTI)等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0057】
本発明〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートに含まれる、ジイソシアネートを除くポリイソシアネートとしては、例えばリジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、3−イソシアネートメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の脂環式ポリイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートに含まれるポリイソシアネートとしては、その他のポリウレタンの製造に使用されている任意のポリイソシアネートを使用することができる。
【0059】
また、本発明〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートとしては、プレポリマー化していないポリイソシアネートを、公知の方法で三量化したものや、トリイソシアネート以上のポリイソシアネートも挙げることができる。
【0060】
なお、本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリイソシアネートは、単独で、あるいは2種以上を混合して使用して差し支え無い。
【0061】
本発明〔1〕で使用しうるポリウレタン系樹脂の製造に用いるウレタンプレポリマーは、上記ポリイソシアネートとポリオールを使用して、NCO/OH=1.3〜10、好ましくは1.4〜2.5の範囲で公知のプレポリマーの製造方法に準じて製造することができるものである。
【0062】
本発明〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂を2液硬化型樹脂として使用する場合にも、上記ポリイソシアネートとポリオールを使用して、NCO/OH=0.9〜1.5、好ましくは0.95〜1.3の範囲で公知の製造方法に準じて製造することができるものである。
【0063】
ポリオールやポリイソシアネートを種々組み合わせて、及び/又はそれぞれの配合比(NCO/OH)も変化させることにより、得られるポリウレタン樹脂の硬度、強靱性、耐熱性、引張強度や曲げ強度等の強度、伸び、耐熱性等の特性を変化させることもできる。これにより、また、本発明〔1〕では、使用するポリウレタン系樹脂等に水中生物防汚に有効な薬剤を含有させるが、その薬剤の溶出量を制御することもできる。
【0064】
本発明〔1〕では、前記ポリウレタン樹脂を製造する際に、更に、ポリアミンを原料として用いて、ウレタン−ウレア系樹脂とすることもでき、その製造においてはウレタンプレポリマーを使用するのが一般に好ましい。ポリアミンを原料として用いることにより、得られるポリウレタン−ウレア系樹脂の硬度、強靱性、耐熱性、引張強度や曲げ強度等の強度、伸び、耐熱性等の特性を変化させることもでき、ひいては有効成分の薬剤の溶出量を制御することもできる。
【0065】
この目的で使用するポリアミンとしては、例えば
【0066】
▲1▼ジアミノジフェニルメタン系の芳香族ジアミン、具体的には4,4’−メチレンビスアニリン、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)(TCDAM)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジクロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロ−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロ−6−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−トリフルオロメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−メトキシカルボニルアニリン)等のジアミノジフェニルメタン系の芳香族ジアミン
【0067】
▲2▼アミノ安息香酸エステル系の芳香族ジアミン、具体的には1,3−プロパンジオールビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−ブタンジオール(4−アミノベンゾエート)、ジエチレングリコール(4−アミノベンゾエート)、トリエチレングリコール(4−アミノベンゾエート)、4−クロロ−3,5−ジアミノ安息香酸イソプロピル、4−クロロ−3,5−ジアミノ安息香酸イソブチル等のアミノ安息香酸エステル系芳香族ジアミン
【0068】
▲3▼酸素原子または硫黄原子を含有する芳香族ジアミン、具体的には4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、ビス〔2−(2−アミノフェニルチオ)エチル〕テレフタレート等の酸素原子または硫黄原子を含有する芳香族ジアミン
【0069】
▲4▼トルエンジアミン系の芳香族ジアミン、具体的には2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン等のトルエンジアミン系の芳香族ジアミン
【0070】
▲5▼ジアミノジフェニルプロパン系の芳香族ジアミン、具体的には2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチルフェニル)プロパン等のジアミノジフェニルプロパン系の芳香族ジアミン
【0071】
▲6▼3,3’−ジアミノベンゾフェノン、m−もしくはp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン
【0072】
を、ポリウレタン−ウレアエラストマーの製造において使用するポリアミンの具体例として挙げることができる。
【0073】
これらのポリアミンは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができ、また、ジアミノジフェニルメタン系、あるいはアミノ安息香酸エステル系の芳香族ジアミンの使用が好ましい。
【0074】
ポリアミンの使用量は、NCO/NH2=0.9〜1.5、好ましくは0.95〜1.3の範囲であればよい。
【0075】
本発明〔1〕記載の水中生物防汚用樹脂であるポリウレタン樹脂は、1液型ポリウレタン樹脂又は2液型ポリウレタン樹脂で良く、又、湿気硬化型ポリウレタン樹脂も使い良いものとして挙げることができる。
【0076】
本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂は、市販されているものであるか、或いは例えば上記の方法や、公知の一般的なポリウレタン系樹脂の製造方法あるいはその変法等、公知の技術に従って製造できるものである。
【0077】
又、本発明の製造方法〔1〕に使用するポリウレタン系樹脂は、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜98であればよく、ショア(Shore)A(HsA)70〜95であるものが好ましく、とりわけ、一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオール又はポリアルキレンポリエステルポリオールであると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものが好ましく、特に一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオールであると共に、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜95のものが好ましい。使用するポリウレタン系樹脂の種類にも依存するが、硬度が低くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されやすいが同時に溶出も早くなる傾向にあるので、硬度が低すぎると長期間の防汚効果が期待できなくなり、硬度が高くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されにくくなる傾向があるので、硬度が高すぎると防汚効果自体が期待できなくなる。
【0078】
続いて、本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂について説明する。
【0079】
本発明の製造方法〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂は、既に知られているポリ尿素樹脂、及びポリウレタン−ウレア樹脂であれば良く、例えば、一般式(2)
【0080】
【化8】
【0081】
(式中、R2は、n価で、不飽和結合を含んでも良い、数平均分子量200以上20000以下の、ポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエステル−ポリエーテル)ポリオール残基を表し、nは2〜4の整数を示し、x、(n−x)は共に平均値であって、xは0以上n未満の正の値を示す。)
【0082】
で表されるアミン化合物、及び更に必要に応じポリアミンからなるアミン成分と、ポリイソシアネートから形成された、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂を挙げることができるが、これに限らず、公知のあらゆるポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が使用できる。
【0083】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の製造に用いられる一般式(2)のアミン化合物としては、具体的には例えばポリエチレンエーテルグリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリプロピレンエーテルグリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリオキシブチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリプロピレンエーテルグリセロールトリス(4−アミノベンゾエート)等を挙げることができる。
【0084】
これらのアミン化合物は単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
これらのアミン化合物において、中心部のポリエーテルポリオール残基、ポリエステルポリオール残基又は(ポリエーテル−ポリエステル)ポリオール残基〔一般式(2)中のR2で表わされる部分構造〕の平均分子量は常に200以上の範囲に入るものである。
【0086】
一般式(2)で表されるアミン化合物は、例えば特開昭63−202612号公報記載の方法(特公昭60−32641号公報記載の方法及び特開昭56−135514号公報記載の方法)で、本発明〔1〕で使用するポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリオールと同様のポリオールと、対応するニトロベンゾイルクロリド或いはイサト酸無水物等から製造することができる。
【0087】
上記一般式(2)で表されるアミン化合物の製造において、ポリオールと、対応するニトロベンゾイルクロリド或いはイサト酸無水物等の当量比を適宜変化させることにより、ポリ尿素樹脂の製造原料(ポリオール由来の水酸基が実質的に残っていない上記一般式(2)で表されるアミン化合物。)とポリウレタン−ウレア樹脂の製造原料(ポリオール由来の水酸基が残存している上記一般式(2)で表されるアミン化合物。)を造りわけることができる。
【0088】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の製造において、アミン成分として、必要に応じ用いられるポリアミンとしては、前記ポリウレタン系樹脂の項で説明したものと同様である。
【0089】
これらのポリアミンは、1種又は2種以上を使用してよい。
【0090】
芳香族ポリアミンの使用量は、全アミン成分中50重量%以下、好ましくは40重量%以下であればよい。
【0091】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の製造において、必要に応じ用いられるポリイソシアネートは、前記ポリウレタン樹脂の製造に使用できるとして記載したポリイソシアネートと同様のものを挙げることができ、1種又は2種以上を使用することができる。
【0092】
その使用量は、NCO/(NH2+OH)=0.9〜1.5、好ましくは0.95〜1.3であればよい。
【0093】
アミン成分(アミン化合物と、場合により芳香族ポリアミンからなる)やポリイソシアネートを種々組み合わせ、及び/又はそれぞれの配合比も変化させることにより、得られるポリ尿素樹脂及びポリウレタン−ウレア樹脂の硬度、強靱性、耐熱性、引張強度や曲げ強度等の強度、伸び、耐熱性等の特性を変化させることもでき、ひいては有効成分の薬剤の溶出量を制御することもできる。
【0094】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の、数平均分子量や重量分子量は、本発明の目的を達する限り制限はなく、意図する水中生物防汚用樹脂の付着量や膜厚、意図する粘度や作業性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする薬剤の溶出制御性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする効果持続期間、施用場所の条件等に応じて適宜決定すればよいが、数平均分子量が200以上であることが好ましい。
【0095】
本発明〔1〕に使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂は、一般式(2)におけるR2が、前述のポリウレタン系樹脂の製造に使用するポリオールとのR1と同様の、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基又はポリアルキレンポリエステルポリオール残基であると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜98であればよく、ショア(Shore)A(HsA)70〜95であるものが好ましく、一般式(2)におけるR2がポリアルキレンポリエーテルポリオール残基であると共に、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)72〜95であるものが特に好ましい。使用するポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂の種類にも依存するが、硬度が低くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されやすいが同時に溶出も早くなる傾向があるので、硬度が低すぎると長期間の防汚効果が期待できなくなり、硬度が高くなるにつれて、水中生物防汚剤を含む有機溶媒が含浸されにくくなる傾向があるので、硬度が高すぎると防汚効果自体が期待できなくなる。
【0096】
このような、本発明〔1〕に使用する本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂)で市販されているものとして、例えば、耐水軟質ポリウレタンチューブUF(株式会社 潤工社製、硬度HsA93)、極軟質ポリウレタンチューブUS(株式会社 潤工社製、硬度HsA85)、軟質ポリウレタンチューブUH(株式会社 潤工社製、硬度HsA95)、スーパーエアーホース(十川産業株式会社製のウレタンホース)、例えばR−110各タイプ、R−300各タイプ、SX−010〜090各タイプ、S−100P各タイプ等のポレアシリーズ(イハラケミカル工業株式会社製のポリ尿素樹脂、硬度HsA70〜HsA98)、E−385シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン、硬度HsA85等)、E−190シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−375シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−380シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−590シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−660シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−670シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−675シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)、E−990シリーズ(日本ミラクトラン株式会社製のエーテル系ポリウレタン)等を例示することができる。
【0097】
更に、本発明〔1〕に使用する本願樹脂資材(ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂)としては、例えば、パンデックス(ディーアイシー バイエル ポリマー株式会社の商品名) 727−NS、パンデックス 727−(W)、パンデックス707−NS、パンデックス 707−(W)等のパンデックスシリーズのポリウレタン樹脂(1液型);プルーフロン(日本特殊塗料株式会社の商品名 )C−200等のプルーフロンシリーズのポリウレタン樹脂(1液型);オルタックカラー(田島ルーフィング社の商品)等のポリウレタン樹脂(2液型);ミゼロン(三井金属化学塗料株式会社の商品) B−500/A−5000等のポリウレタン樹脂(2液型);ポレア(イハラケミカル工業(株)の登録商標、イハラケミカル工業株式会社の商品名)R−110(2液型)やポレアSX−027(2液型)、ポレアSX−030(2液型)、ポレアSX−085(2液型)、ポレアSX−091(2液型)等のポリ尿素樹脂等、市販されているポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、及びポリウレタン−ウレア系樹脂を、使用してよいものとして挙げることができる。
【0098】
本発明〔1〕では、使用する本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂)の形態は、フィルム状;シート状;板状;チューブ状;ホース状;ブロック状;球状;種々の材質の成型加工品、種々の材質の繊維、ロープ、例えば漁網等の網、船底、例えばコンクリート等の建築物壁、その他の予め所定の形に成形された種々の芯又は核となる物品あるいは構造物にコーティングした状態のもの;又は、その他の任意の形態でよく、最終的な本発明方法で製造する水中生物防汚樹脂組成物の適用条件によって決定して良い。
【0099】
本発明〔1〕では、本願樹脂資材を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させるのであるが、この本発明〔1〕に使用できる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコールに代表されるアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルに代表されるエステル系溶媒を例示できる。
【0100】
さらに、本発明〔1〕に使用できる有機溶媒としては、脂肪族(ターペン)類を主体とする、いわゆるペイントシンナー;キシレン等の芳香族炭化水素を主体とし脂肪族(ターペン)類も含有する、いわゆる塗料シンナー;キシレン等の芳香族炭化水素と酢酸ブチル等代表されるエステル系溶媒を含有する、いわゆるラッカーシンナー;ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン(MIBK)等)、芳香族炭化水素(キシレン、トルエン等)及びアルコール系溶媒(イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルセルソルブ等)等を含有する、いわゆるエポキシシンナー;ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン(MIBK)等)及び芳香族炭化水素(キシレン、トルエン等)を主体とする、いわゆるウレタンシンナー等の公知の各種シンナーを本発明〔1〕に使用できる有機溶媒として例示できる。本発明に使用する有機溶媒としては、その組成により異なるので一概には云えないものの、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、及び/又はアルコール系溶媒等を含有する、いわゆるラッカーシンナー、エポキシシンナー、ウレタンシンアー等の有機溶媒を用いた場合の方が、より好ましい結果を得られる傾向にある。
【0101】
本発明〔1〕に使用できる有機溶媒の使用量は、後記する膨潤処理の方法に応じて適宜決定することができる。
【0102】
また、本発明〔1〕に使用できる有効成分の薬剤としては、従来から水中生物防汚効果が知られている公知の全ての薬剤を使用することができる。この薬剤を、非限定例として例示すれば、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジンクジメチルジチオカーバメート、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメート、ジヨードメチル−P−トリルスルホン、ベンジルマレイミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、4−ノニルフェノール、ジジンクビス(ジメチルジチオカーバメート)エチレンビス(ジチオカーバメート)、2−メチルチオ−4−ターシャリーブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,3−ジクロロ−N−2’,6’−ジエチルフェニルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−2’−エチル−6’−メチルフェニルマレイミド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、テトラエチルチウラムジスルフィド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N−フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾール、トリフェニルボラン・ピリジン錯化合物(ピリジントリフェニルボラン)、テトラフェニルボラン・ピリジン錯化合物、3,4−ジクロロフェニルイソチオシアネート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、亜酸化銅、ロダン銅、ジヨードメチルパラトリルスルホン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ブロモフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ヨードフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジメチルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジヘキシルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジブチルアンモニウム塩、5,6−ジクロログラミン、5−クロロ−2−メチルグラミン、5−ブロモ−2−メチルグラミン、1,2−ジメチル−6−ブロモグラミン、及び5,6−ジクロロ−1−メチルグラミン等を挙げることができる。これらの水中生物防汚に有効な薬剤は、1種または2種以上を使用しても差し支えない。
【0103】
中でも、好ましい薬剤として、ジンクジメチルジチオカーバメート、トリフェニルボラン・ピリジン錯化合物(ピリジントリフェニルボラン)、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、テトラエチルチウラムジスルフィド(TE)、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメート、ジヨードメチル−P−トリルスルホン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン(DCOI)、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン)−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ブロモフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−ヨードフェニル)−2−〔4−(2−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−〔4−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジメチルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フェニル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリル ジヘキシルアンモニウム塩、3−(2−クロロフェニル)−2−(4−t−ブチル−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン〕−3−オキソプロピオニトリルジブチルアンモニウム塩、5,6−ジクロログラミン、5−クロロ−2−メチルグラミン、5−ブロモ−2−メチルグラミン、1,2−ジメチル−6−ブロモグラミン、及び5,6−ジクロロ−1−メチルグラミンを例示できる。
【0104】
これらの、水中生物防汚剤の有機溶媒中での所期濃度は、担持させたい薬剤量や、使用するポリウレタン系樹脂等の種類や性質、さらに興起する膨潤処理時間等にもよるので一概には云えないが、前記の有機溶媒に、例えば3重量%〜85重量%、好ましくは5重量%〜70重量%、より好ましくは7重量%〜50重量%の範囲で、例えば溶解、乳化分散或いは懸濁することにより含まれていれば良く、特には、担持させたい薬剤が上記の濃度範囲で溶解しているのが好ましい。
【0105】
水中生物防汚剤を含む有機溶媒の使用量は、膨潤処理の方法として後記するように、その適用方法に応じて適宜決定すればよい。
【0106】
次いで、本発明の水中生物防汚用樹脂の製造方法について説明する。
【0107】
本発明〔10〕の水中生物防汚用樹脂の製造方法は、25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98、好ましくはショア(Shore)A(HsA)70〜95、より好ましくはショアーA(HsA)72〜95である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させることを特徴とする。
【0108】
本発明〔10〕において、本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、及び/又はポリウレタン−ウレア系樹脂)を膨潤させる方法(膨潤処理の方法)は任意であるが、本願樹脂資材を、例えば、前記の水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に、全部又は一部浸漬させる方法;予め水中生物防汚剤を含む有機溶媒を蓄液できるように所定の形態に成形加工した本願樹脂資材中/又は表面に前記の水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒を蓄液する方法;予め水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒の流路ができるように所定の形態に成形加工した本願樹脂資材中に前記の水中生物防汚剤を含む有機溶媒を通液する方法;水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒の流路或いは蓄液部として、予めチューブ状(或いはホース状)の本願樹脂資材(A)を用い、その樹脂資材(A)と、同一或いは別の本願樹脂資材(B)に、張り付け、埋め込み或いは融着等の適宜の方法により一体化するように取り付け、このチューブ状(或いはホース状)の本願樹脂資材(A)中に前記の水中生物防汚剤を含む有機溶媒を蓄液或いは通液して、チューブ状(或いはホース状)の本願樹脂資材(A)を通して本願樹脂資材(B)まで膨潤させる方法;等を例示できる。
【0109】
本発明〔10〕では、本願樹脂資材を前記のごとく膨潤させるのであるが、その際、どの程度まで膨潤させればよいか(膨潤の程度)について説明する。なお、有効成分たる薬剤の担持量は、膨潤の程度に大きく依存する。
【0110】
本発明〔10〕では、膨潤の程度を把握する方法として、膨潤処理直後の湿潤時の重量増加率を挙げることができ、該湿潤時の重量増加率として、使用した樹脂重量に対して、例えば1重量%〜150重量%、好ましくは3重量%〜130重量%、さらに好ましくは5重量%〜110重量%の範囲を例示できる。
【0111】
或いは、本発明〔10〕では膨潤の程度を把握する方法として、膨潤処理後の乾燥時の重量増加率を挙げることができ、該乾燥時の重量増加率として、使用した樹脂重量に対して−2重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜50重量%、さらに好ましくは2重量%〜30重量%の範囲を例示できる。
【0112】
湿潤時の重量基準と乾燥時の重量基準では、膨潤の程度が厳密に一致するわけではないが、本発明〔10〕により製造される水中生物防除樹脂組成物が実際に使用された場合に、その目的を達する薬剤担持量を実現できればよく、膨潤の程度を把握する方法として乾燥時の重量基準が好ましいが、水中生物防除樹脂組成物の製造作業の都合に合わせて何れの基準を採用しても構わない。
【0113】
なお、これらの膨潤の程度は、膨潤処理時の有機溶媒の種類、本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂等の樹脂)の性質、温度、処理時間、有機溶媒の適用方法(浸漬か、蓄液か通液かの違い)等によって変化させることができるが、使用する有機溶媒の液温度として、0〜70℃、好ましくは15〜40℃の範囲を例示でき、一般には室温で処理すれば良い。
【0114】
膨潤の程度の増しかたは、例えば重量の増加率を経時的にグラフ化するとした場合、使用する樹脂資材の種類等にもよるが、本発明者らの知見によれば、一般には、重量の増加率は、膨潤処理の初期には比較的小さく、次第に加速してゆき中期に大きくなり円滑に膨潤(重量増加)が進み、後期に再び小さくなると云う、いわゆるS字型の曲線形となることが多い。そこで、膨潤処理にはある程度の時間をかけるのが一般的であり、膨潤処理にかける時間としては、例えば15分〜240時間、好ましくは6〜96時間、より好ましくは12〜72時間、最も好ましくは24〜72時間と云う範囲を例示することができる。
【0115】
また、本発明〔10〕により製造される水中生物防除樹脂組成物は、前記膨潤処理後、直ちに使用することもできるが、乾燥させて使用することもできる。一般には乾燥させて使用することが好ましい。乾燥させて使用する場合の膨潤処理後の乾燥時間は、膨潤処理或いは本発明〔10〕により製造される水中生物防汚樹脂組成物の適用条件等に応じて変化させることが可能であり任意であるが、例えば、3時間〜20日間、好ましくは12時間から14日間、さらに好ましくは24時間〜10日間、最も好ましくは24時間〜7日間と云う範囲を例示できる。
【0116】
次に、本発明の水中生物防汚用組成物、成型物、資材について説明する。
【0117】
本発明〔10〕で製造できる水中生物防汚用組成物は、本願樹脂資材(ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂及びポリウレタン−ウレア樹脂の少なくとも1種)及び水中生物防汚に有効な薬剤からなる。
【0118】
本発明の水中生物防汚用組成物に用い得る水中生物防汚に有効な薬剤の含量は、本発明の水中生物防汚用組成物の目的を達する限り制限はなく、用いる本願樹脂資材の構造や、数平均分子量、重量平均分子量、その配合量、意図する付着量や膜厚、意図する粘度や作業性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする薬剤の溶出制御性、水中生物防汚用組成物に付与しようとする効果持続期間、施用場所の条件等に応じて適宜決定すればよいのであるが、水中生物防汚に有効な薬剤の含量としては、水中生物防汚樹脂組成物の全重量に対して、例えば0.5〜50重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜50重量%、最も好ましくは3〜50重量%の範囲を例示できる。
【0119】
本発明の水中生物防汚樹脂組成物は、布、木材、コンクリート、スレート、モルタル、金属、FRP等に代表される、広範な材質に適用することができ、何れの材質においても優れた水中生物防汚の効果を示す。
【0120】
本発明の水中生物防汚用組成物の使用に当たっては、本発明の水中生物防汚用組成物それ自体を、例えば使用対象の表面処理なしに直接その表面に張り付ける等の方法で使用することもできるし、必要に応じ、使用対象を表面処理しておいてから使用することもできる。
【0121】
該表面処理としては、例えば、適用する材質の表面をサンダーにより目荒らしする;公知のアクリル樹脂系塗料(例えば、8400−1(日立化成(株)の商品)、198−XB(大日本インキ化学工業(株)の商品)等)で下塗りする;公知の液状ゴム(例えば、PLASTI DIPシリーズ(米国ピーディーアイ(PDI)社の製品)や、熱可塑性エラストマ−であるクレイトン(シェル・インターナショナル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッドの登録商標、KRATON) Dシリーズ(クレイトンポリマージャパン(株)の商品)、クレイトン Gシリーズ(クレイトンポリマー ジャパン社の商品)等)で下塗りする;公知のポリ尿素あるいはポリウレタン−ウレア樹脂や(例えば、ポレア(イハラケミカル工業(株)の登録商標)シリーズ(イハラケミカル工業(株)の商品)、T−41(大日本インキ化学工業(株)の商品)等)で下塗りする;公知の防錆塗料(例えば、ビニタール防錆塗料、(タール)エポキシ樹脂系防錆塗料等)で下塗りする;公知の防食プライマー(例えばジンクリッチプライマー)で下塗りする;その他の公知のプライマー(例えば、ミゼロン R プライマー(三井金属化学塗料株式会社の商品)、ミゼロン RW プライマー(三井金属化学塗料株式会社の商品)、ミゼロン シーラー U−60(三井金属化学塗料株式会社の商品)等)で下塗りする;等の方法による表面処理を例示できる。また、複数のプライマーや防錆塗料を重ね塗りした上に、本発明の水中生物防汚用組成物を更に取り付け或いは張り付ける等の施工をすることもできる。
【0122】
本発明の水中生物防汚用組成物の製造に用いる本願樹脂資材として、熱可塑性ポリウレタン樹脂に代表される、熱可塑性樹脂を用いると、使用後、不要となった本発明の水中生物防汚用組成物から、用いた本願樹脂資材を回収資源として再生し、再生樹脂を得ることもできる。
【0123】
【発明の効果】
本発明により、優れた水中生物防汚樹脂組成物が提供できるようになった。本発明の水中生物防汚樹脂組成物では、有効成分たる薬剤の担持量の制御も、有効成分たる薬剤の溶出の制御等も行いやすく、従って長期にわたってその効果を発揮させることが可能で、しかも、従来から実験室的に有効性が知られていたが実使用場面ではそれほどの有効性を示さなかった公知の種々の薬剤をその有効成分として用いうると云う適用範囲の広さを有し、しかも、充分に簡便かつ安価である。
【0124】
さらに、本発明の製造方法の諸条件は、そのまま、一度以上使用して性能の低下した水中生物防汚樹脂組成物を、製造時と同様の簡便な処理で、容易に性能回復させて再生する際の条件としても機能し、結果として水中生物防汚樹脂組成物を再使用することができるため、廃棄物も少なくてすむ。
【0125】
また、本発明により、使用するポリウレタン系樹脂等の樹脂を予め所定の形状に加工しておけば、有効成分の薬剤を溶解した有機溶媒を蓄液或いは通液するという様な簡便な作業で、長期間、改修等ができない構造物等の、半永久的な水中生物防汚を可能にする資材を製造して提供することができる。
【0126】
従って、本発明は、水中生物防汚樹脂組成物及びその製造方法として極めて有用である。
【0127】
【実施例】
以下に、(実施例)及び(試験例)により本発明をより詳細且つ具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0128】
(資材の説明)
水中生物防汚に有効な種々の薬剤を、種々の濃度で、種々の有機溶媒に溶解した、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に、種々の市販の資材を、全浸漬することによって膨潤させて、さらに自然乾燥させることにより、水中生物防汚樹脂組成物を製造した。
【0129】
まず、用いた資材について説明する。
【0130】
用いた薬剤の略号は、下記の通りである。なお、用いた薬剤の略号は、以後の記載において参照されるものである。
【0131】
略号 :化合物名
TE :テトラエチルチウラムジスルフィド
DCOI:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン
【0132】
用いた有機溶媒の略号は、下記の通りである。なお、用いた有機溶媒の略号は、以後の記載において参照されるものである。
【0133】
略号 :有機溶媒名
Xyl :キシレン
L−th:ラッカーシンナー
IPA :イソプロピルアルコール
【0134】
また、用いた本願樹脂資材は下記の通りである。なお、用いた本願樹脂資材の略号は、以後の記載において参照されるものである。また、ショア(Shore)A硬度については、略号HsAで記載する事がある。
【0135】
略号:名称、性状、形状
UF:耐水軟質ポリウレタンチューブUF−393
(株式会社潤工社製、(硬度HsA93)、一般式(1)中のR1のタイプ:ポリアルキレンポリエーテルポリオール)US:極軟質ポリウレタンチューブUS−85
(株式会社潤工社製、(硬度HsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
UH:軟質ポリウレタンチューブUH−395
(株式会社潤工社製、(硬度HsA95)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(なお、上記UF、US、UHの3点は、何れも、外径12mm、内径8mm、厚さ2mmのチューブを、後記表記載の長さに切断したものを各実施例に使用した。)
R−110:ポレアR−110
(イハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂、(硬度HsA98)、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
SX−030:ポレアSX−030
(イハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂、(硬度HsA80)、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(上記R−110、SX−030の2点は、縦50mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物を各実施例に使用した。)
S−100P:ポレアS−100P
(イハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂、硬度HsA95、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(上記S−100Pは、縦40mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物を各実施例に使用した。)
E−385:E−385
(日本ミラクトラン株式会社製エーテル系ポリウレタン、JIS−A硬度85(硬度HsAでは、ほぼHsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
(上記E−385は、縦55mm×横20mm×厚さ2mmのシート状物を各実施例に使用した。)
【0136】
実施例1(DCOI/キシレン/UFによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを、有機溶媒としてキシレンを、また、本願樹脂資材としてUFを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。薬剤濃度、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤処理時間、膨潤の程度等の結果を(表1)に示した。なお、(表1)中の、「%重」は重量増加率を、乾燥時間は48時間膨潤処理後の乾燥時間をそれぞれ示す。
【0137】
【表1】
【0138】
実施例2(DCOI/キシレン/USによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを、有機溶媒としてキシレンを、また、樹脂資材としてUSを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。薬剤濃度、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤処理時間、膨潤の程度等の結果を(表2)に示した。なお、(表2)中の、「%重」は重量増加率を、乾燥時間は48時間膨潤処理後の乾燥時間をそれぞれ示す。
【0139】
【表2】
【0140】
実施例3(DCOI/キシレン/UHによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを、有機溶媒としてキシレンを、また、樹脂資材としてUHを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。薬剤濃度、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤処理時間、膨潤の程度等の結果を(表3)に示した。なお、(表3)中の「%重」は重量増加率を、乾燥時間は48時間膨潤処理後の乾燥時間をそれぞれ示す。
【0141】
【表3】
【0142】
実施例4A〜10C(DCOI/有機溶媒/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、有機溶媒(各実施例において、キシレンを用いたものを実験A、ラッカーシンナーを実験B、IPAを用いたものを実験Cとし、例えば実施例3Aというように対応させるものとする)、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表4)に示した。なお、実験の薬剤濃度は、キシレン、ラッカーシンナーを用いたものは薬剤30重量%、IPAを用いたもの12重量%として行なった。また、(表4)中の「%重」は48時間膨潤処理後24時間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0143】
【表4】
【0144】
実施例11A〜17C(TE/有機溶媒/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてTEを用いて、樹脂資材を水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、有機溶媒(各実施例において、キシレンを用いたものを実験A、ラッカーシンナーを実験B、IPAを用いたものを実験Cとし、例えば実施例12Aというように対応させるものとする。)、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表5)に示した。なお、実験の薬剤濃度は、キシレン、ラッカーシンナーを用いたものは薬剤30%、IPAを用いたもの12%として行なった。また、(表5)中の「%重」は48時間膨潤処理後24時間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0145】
【表5】
【0146】
実施例18〜19(DCOI/有機溶媒/UFによる水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、樹脂資材としてUFを用いて、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた有機溶媒、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表6)に示した。なお、薬剤濃度は、12%として行なった。また、(表6)中の「%重」は48時間膨潤処理後24時間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0147】
【表6】
【0148】
実施例20〜22(DCOI/塗料シンナー/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、有機溶媒として塗料シンナーを用いて、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表7)に示した。なお、薬剤濃度は、20%として行なった。また、(表7)中の「%重」は48時間膨潤処理直後及び48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0149】
【表7】
【0150】
実施例23〜25(DCOI/ラッカーシンナー/樹脂資材による水中生物防汚樹脂組成物の製造)
水中生物防汚に有効な薬剤としてDCOIを用いて、有機溶媒としてラッカーシンナーを用いて、水中生物防汚に有効な薬剤を含む有機溶媒に全浸漬することによって水中生物防汚樹脂組成物を製造した。用いた樹脂資材、膨潤処理前の樹脂資材の基準方向長さ及び重量、膨潤の程度等の結果を(表8)に示した。な、薬剤濃度は、20%として行なった。また、(表8)中の「%重」は48時間膨潤処理直後及び48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0151】
【表8】
【0152】
試験例1〜14
本発明方法により製造した種々の水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のキシレンを用いて、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)について、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬3ヶ月後、9ヶ月後及び20ヵ月後に、下記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。結果を(表9)に試験1〜14として示した。
【0153】
なお、使用した本願樹脂資材の形状は、
UF、US、UH:各々、外径12mm、内径8mm、厚さ2mmのチューブを50mmに切断したもの。
R−110、SX−030:各々、縦50mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物
S−100P:縦40mm×横25mm×厚さ2mmのシート状物
E−385:縦55mm×横20mm×厚さ2mmのシート状物
【0154】
(評価基準1)
+++:生物付着面積が50%以上
++ :生物付着面積が30%以上50%未満
+ :生物付着面積が15%以上30%未満
− :生物付着面積が10%以上15%未満
−− :生物付着面積が5%以上10%未満
−−−:生物付着面積が5%未満
【0155】
【表9】
【0156】
対照試験1〜7
処理していない本願樹脂資材(形状は試験例1〜7と同様)を、試験例1〜7(或いは試験例8〜14)と同条件で、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬3ヶ月後、9ヶ月後及び20ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。結果を(表9)に対照1〜7として示した。
【0157】
試験例15
本願樹脂資材としてスーパーエアーホース(商品名、十川産業株式会社製のウレタンホース、硬度HsA90)を用い、薬剤としてDCOIを用いて製造した水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のキシレンを用いて、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)は、9ヶ月に渡って実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で充分な水中生物防汚効果(上記(評価基準1)の「−−−」相当)を維持できた。
【0158】
試験例16〜21
硬度及び一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率を変えた本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂又はポリ尿素系樹脂)を、薬剤としてDCOIを各々用いて製造した水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のラッカーシンナー、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)を、試験例1〜7(或いは試験例8〜14)と同条件で、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬12ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。(表10)に、硬度、一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率、及び結果を示した。なお、本使用した本願樹脂資材の試験片の形状は、全て、縦45mm×横20mm×厚さ2mmのシート状のものを用いた。(表10)中の「%重」は48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0159】
なお、本試験に用いたポリウレタン系樹脂は、
試験例16は日本ミラクトラン株式会社製E−670MNAT(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度70(HsAでは、ほぼHsA70)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例17は日本ミラクトラン株式会社製E−670MZAA(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度70(HsAでは、ほぼHsA70)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例18は日本ミラクトラン株式会社製E−675(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度75(HsAでは、ほぼHsA75)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例19は日本ミラクトラン株式会社製E−380(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度80(HsAでは、ほぼHsA80)、般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例20は日本ミラクトラン株式会社製E−385(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度85(HsAでは、ほぼHsA85)、般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例21はイハラケミカル工業株式会社製ポリ尿素樹脂ポレアS−100P(商品名、硬度HsA95、一般式(2)中のR2のタイプ:R2=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)
である。
【0160】
なお、本試験に用いた本願樹脂資材の一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプについては、試験例16〜18で用いたものはアジペート由来のエステル骨格を有するポリエステルポリオールであり、試験例19〜21で用いたものはポリアルキレンポリエーテルポリオール骨格を有するポリエーテルポリオールであり、これらは(表10)のポリオールの項に下記略称で示した。
【0161】
エステル:アジペート由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
エーテル:ポリアルキレンポリエーテルポリオール
【0162】
【表10】
【0163】
試験例22〜35
硬度及び一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率を変えた本願樹脂資材(ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン−ウレア系樹脂又はポリ尿素系樹脂)を、薬剤としてDCOIを各々用いて製造した水中生物防汚樹脂組成物(30重量%薬剤濃度のラッカーシンナー、全浸漬48時間で膨潤処理した後、48時間乾燥したもの)を、試験例1〜7(或いは試験例8〜14)と同条件で、実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬12ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。(表10)に、硬度、一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプ、浸漬処理時の含浸率、及び結果を示した。なお、本使用した本願樹脂資材の試験片の形状は、全て、縦45mm×横20mm×厚さ2mmのシート状のものを用いた。(表11)中の「%重」は48時間膨潤処理後10日間乾燥した際の重量増加率を示す。
【0164】
なお、本試験に用いたポリウレタン系樹脂は、
試験例22は日本ミラクトラン株式会社製E−670MZAA(商品名、エステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度70(HsAでは、ほぼHsA70)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例23は日本ミラクトラン株式会社製E−675MNAT(商品名、エステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度75(HsAでは、ほぼHsA75)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例24は日本ミラクトラン株式会社製E−375MSJP(エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度75(HsAでは、ほぼHsA75)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例25は日本ミラクトラン株式会社製E−380EXMO(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度80(HsAでは、ほぼHsA80)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例26は日本ミラクトラン株式会社製E−380EYRJ(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度80(HsAでは、ほぼHsA80)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例27は日本ミラクトラン株式会社製E−385(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度85(HsAでは、ほぼHsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例28は日本ミラクトラン株式会社製E−590(商品名、カプロラクタムエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度90(HsAでは、ほぼHsA90)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例29は日本ミラクトラン株式会社製E−990(商品名、カーボネートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度90(HsAでは、ほぼHsA90)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
試験例30は株式会社潤工社製UF−393(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、HsA95、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例31は株式会社潤工社製UH−395(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、HsA95、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例32は日本ミラクトラン株式会社製E−398(商品名、エーテル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度98(HsAでは、ほぼHsA98)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例33はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−027(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA72)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例34はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−085(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA85)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
試験例35はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−091(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA92)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエーテルポリオール)、
である。
【0165】
なお、本試験例30に用いたポリウレタン系樹脂は、(表11)記載の対応する種々の構造のポリオール成分及びMDIを用いてE−385に準じて調製されたものである。
【0166】
なお、本試験に用いた本願樹脂資材の一般式(1)中のR1のタイプ又は一般式(2)中のR2のタイプについては、(表11)のポリオールの項に下記略称で示した。
【0167】
エステル:アジペート由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
エーテル:ポリアルキレンポリエーテルポリオール
カプロラクタム:カプロラクタム由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
カーボネート:カーボネート由来のエステル骨格を有するポリアルキレンポリエステルポリオール
【0168】
【表11】
【0169】
対照試験8〜10
シリコンゴム(薬剤含浸なし)或いは硬度が異なる樹脂資材(形状は試験例22〜35と同様)を用いて、薬剤(DCOI)の含浸処理を行った/或いは行わなかった試験片(形状は試験例22〜35と同様)を、試験例22〜35と同条件で実際の海(試験地:三重県尾鷲湾、水深1.5m)で浸漬試験を行い、浸漬後12ヶ月後に、前記(評価基準1)により水中生物防汚効果を評価した。結果を(表11)に対照8〜10として示した。
【0170】
なお、本対照試験に用いた樹脂は、各々、
対照8は市販のシリコンゴム、
対照9は日本ミラクトラン株式会社製E−660(商品名、アジペートエステル系ポリウレタン樹脂、JIS−A硬度60(硬度HsAでは、ほぼHsA60)、一般式(1)中のR1のタイプ:R1=ポリアルキレンポリエステルポリオール)、
対照10はイハラケミカル工業株式会社製ポレアSX−095(エーテル系ポリウレタン−ウレア樹脂、HsA96)である。
Claims (21)
- 25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させたことを特徴とする水中生物防汚樹脂組成物。
- R1が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基;ポリアルキレンポリエステルポリオール残基;ポリカーボネートポリオール残基;ポリ(メタ)アクリレートポリオール残基;エポキシポリオール残基;ブタジエンポリオール残基;ポリエステル−ポリエーテルポリオール残基;アクリル、スチレン、ビニル付加及び/又は分散ポリマーポリオール残基;ウレア分散ポリオール残基;又はカーボネートポリオール残基である請求項2記載の水中生物防汚樹脂組成物。
- ポリウレタン系樹脂の、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95である請求項2記載の水中生物防汚樹脂組成物。
- ポリウレタン系樹脂が、一般式(1)におけるR1がポリアルキレンポリエーテルポリオール残基又はポリアルキレンポリエステルポリオール残基であると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものである請求項2記載の水中生物防汚樹脂組成物。
- R2が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基;ポリアルキレンポリエステルポリオール残基;ポリカーボネートポリオール残基;ポリ(メタ)アクリレートポリオール残基;エポキシポリオール残基;ブタジエンポリオール残基;ポリエステル−ポリエーテルポリオール残基;アクリル、スチレン、ビニル付加及び/又は分散ポリマーポリオール残基;ウレア分散ポリオール残基;又はカーボネートポリオールの残基である請求項6又は7記載の水中生物防汚樹脂組成物。
- ポリウレタン−ウレア系樹脂又はポリ尿素系樹脂の、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95である請求項6又は7記載の水中生物防汚樹脂組成物。
- ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂が、一般式(2)におけるR2が、ポリアルキレンポリエーテルポリオール残基又はポリアルキレンポリエステルポリオール残基であると共に、25℃における硬度が、ショア(Shore)A(HsA)70〜95のものである請求項6又は7記載の水中生物防汚樹脂組成物。
- 25℃における硬度がショア(Shore)A(HsA)70〜98である、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を、水中生物防汚剤を含む有機溶媒で膨潤させることを特徴とする水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 膨潤が、水中生物防汚剤を含む有機溶媒に、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を浸漬することにより行われる請求項10記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 膨潤が、水中生物防汚剤を含む有機溶媒を、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系或いはポリウレタン−ウレア系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種中に蓄液又は通液することにより行われる請求項10記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 水中生物防汚剤が、有機溶媒に溶解、乳化分散又は懸濁しているものである請求項11又は12記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 水中生物防汚剤が有機溶媒に溶解しているものである請求項11又は12記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 水中生物防汚剤の含まれる量が、有機溶媒に対して3重量%〜85重量%である請求項11乃至14記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 膨潤処理直後の湿潤時の重量増加率が、使用樹脂重量に対して1重量%〜150重量%となるようにする請求項11乃至15記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 膨潤処理後の乾燥時の重量増加率が、使用樹脂重量に対して−2重量%〜50重量%となるようにする請求項11乃至16記載の水中生物防汚樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1乃至9の何れか1項に記載の水中生物防汚樹脂組成物よりなる成型品。
- 請求項1乃至9の何れか1項に記載の水中生物防汚樹脂組成物を用いる水中生物防汚資材。
- 請求項1乃至9の何れか1項に記載の水中生物防汚樹脂組成物の水中生物防汚用途への使用。
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