JP2004059773A - 紫外線硬化型組成物および貼り合わせ型光ディスク - Google Patents
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Abstract
【課題】銀または銀合金の半透明膜または反射膜を使用した光ディスク基板用の貼り合わせ接着剤において、光ディスクの外観変色を制御できる紫外線硬化型組成物を提供すること、また、該紫外線硬化型組成物を使用することにより、太陽光下等の過酷な環境条件下に曝露した後でも外観変色が抑制できる、耐光性・耐変色性に優れた光ディスクを提供すること。
【解決手段】貼り合わせ用・接着剤としての紫外線硬化型組成物を、下記一般式(Ι)
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物を、組成物に対して、0.01〜5質量%含有したものとする。また、該組成物を使用して貼り合わせ型光ディスクとする。
【選択図】 なし
【解決手段】貼り合わせ用・接着剤としての紫外線硬化型組成物を、下記一般式(Ι)
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物を、組成物に対して、0.01〜5質量%含有したものとする。また、該組成物を使用して貼り合わせ型光ディスクとする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1枚の光ディスク基板における情報記録層の最外層が銀または銀合金の薄膜層である2枚の光ディスク基板を、その最外層面同士を対向させて、紫外線硬化型組成物の接着剤により貼り合わせた貼り合わせ型光ディスクに関し、更に詳しくは該光ディスクの耐光性・耐変色性改良の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
貼り合わせ型光ディスクの代表例としては、DVD(ディジタルバーサタイルディスク又はディジタルビデオディスク)がある。このDVDは、少なくとも1枚の光ディスク基板に情報記録層を形成した、2枚の光ディスク基板を貼り合わせる方法で製造し、その貼り合わせ剤としては、紫外線硬化型組成物からなる接着剤を使用することが一般的である。
ここで、情報記録層とは、ポリカーボネート等の光ディスク用合成樹脂基板に形成したピットと称する凹凸または相変化材料あるいは色素等からなる層とその上に最外層として形成した、一般的には金属または金属合金の薄膜である、半透明膜または反射膜の層との積層体を指す。
【0003】
DVDにおいては、再生専用型の場合、貼り合わせる2枚の光ディスク基板の構成に基づき、各種のタイプが存在する。例えば、「DVD−10」と称するものは、貼り合わせる2枚がそれぞれ、ポリカーボネート基板の片面に記録情報に対応するピットと称する凹凸を設け、その上に情報読み取り用のレーザー光反射膜として、例えばアルミニウムの層を形成して情報記録層としたものであり、「DVD−5」は、「DVD−10」における1枚を情報記録層がない透明なポリカーボネート基板そのものとしたものである。また、「DVD−9」は、2枚の光ディスク基板のうちの1枚の情報記録層を、金または金合金あるいは銀または銀合金あるいはケイ素化合物等からなる半透明膜で形成したものである。さらには、「DVD−18」と称する、片面に2層の情報記録層を有する基板を貼り合わせた構造のものもあり、これらは、用途により使い分けられている。
【0004】
上記「DVD−9」等の半透明膜または反射膜としては、金またはケイ素化合物が主として使用されているが、金は材料の値段が非常に高くコスト面で不利であり、またケイ素化合物は成膜が非常に困難であるという欠点があるため、他の代替え材料が模索されてきていた。
【0005】
このような中で、銀または銀合金は、他の金属に比べて、光ディスクの読み取り光に用いられる波長領域の反射率が高く、成膜も容易であるとの物理的特性に加えて、価格も比較的安価との長所を持つため、「DVD−9」用の半透明膜に適しているとして着目された。しかしながら、最近、半透明膜に銀合金を用いた「DVD−9」を太陽光や蛍光灯に暴露した場合、貼りあわせ接着用として使用する紫外線硬化型組成物によっては、読み取り面側、すなわち半透明膜側から見た場合の外観変色度合いが大きくなるとの欠点が有る。そのため、耐光性・耐変色性が問題であり、貼り合わせ剤の面から解決する必要があるとの状況にあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を有した貼り合わせ型光ディスク用の貼り合わせ接着剤にとしては、外観変色が防止できる接着剤を開発し、使用する必要があった。
すなわち本発明の目的は、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を使用した光ディスク基板用の貼り合わせ接着剤において、光ディスクの外観変色を抑制できる紫外線硬化型組成物を提供することである。また、該紫外線硬化型組成物を使用することにより、太陽光下等の過酷な環境条件下に曝露した後でも外観変色が抑制できる、耐光性・耐変色性に優れた光ディスクを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のチオエーテル系化合物を含有させた接着剤用の紫外線硬化型組成物とすることにより、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を有する貼り合わせ型光ディスクの外観変色の抑制が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、少なくとも1枚の基板には銀または銀合金の半透明膜または反射膜からなる情報記録層を有する、2枚の光ディスク基板を貼り合わせるための紫外線硬化型組成物であって、下記一般式(Ι)
【0009】
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物を、組成物に対して、0.01〜5質量%含有することを特徴とする紫外線硬化型組成物、さらには、少なくとも1枚の基板には銀または銀合金の半透明膜または反射膜からなる情報記録層を有する2枚の光ディスク基板を、紫外線硬化型組成物からなる接着剤で貼り合わせた貼り合わせ型光ディスクにおいて、該接着剤が、請求項1に記載の紫外線硬化型組成物であることを特徴とする貼り合わせ型光ディスクである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の紫外線硬化型組成物は、チオエーテル系化合物、光重合性化合物および光重合開始剤を構成成分として含むものである。
本発明の紫外線硬化型組成物に含有させるチオエーテル系化合物は、下記一般式(Ι)
【0011】
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物である。
【0012】
該チオエーテル系化合物としては各種存在するが、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート等が好ましい。このうち、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネートは、特に好ましい。この化合物は、市販品のイオウ系酸化防止剤:DOTP(淀化学(株)製)として、容易に入手可能である。
【0013】
本発明の組成物に用いる光重合性化合物としては、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマーが使用できる。重合性モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを用いることができ、これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることもできる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
【0014】
本発明に使用できる重合性モノマーのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソブチル、イソアミル、イソオクチル、イソデシル、イソミリスチル、イソステアリル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、エチルカルビトール、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の如き基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
さらに、重合性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等がある。
【0017】
本発明に使用する光重合開始剤は、用いる重合性モノマー及び/又は重合性モノマーに代表される光重合性化合物を硬化できる公知慣用のものがいずれも使用できる。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。
【0018】
本発明に使用する光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、また、これら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらには、水素引き抜き型光重合開始剤であるベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
【0019】
上記光重合開始剤に対して増感剤を使用することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化型化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
【0020】
また、本発明の紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、他の添加剤を使用することができ、例えば、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化型化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
【0021】
紫外線硬化型組成物としては、常温〜40℃において、液状であるものを用いるのが好ましい。溶媒は用いない方が好ましく、用いたとしても極力少量に留めるのがよい。また、前記組成物の塗布をスピンコーターで行う場合には、粘度を20〜1000mPa・sとなるように調整するのが好ましく、比較的厚膜とする場合は100〜1000mPa・sに調整するのが良い。
【0022】
本発明の光ディスクに用いられる基板としては、光ディスク用基板として通常用いられるものが使用でき、特にポリカーボネート基板を好適に用いることができる。
【0023】
本発明の光ディスクに用いられる「銀合金(銀を主成分とする合金)」としては、例えばUSP6007889に記載されているものがあげられる。
【0024】
本発明における光ディスクのタイプは、好ましくは再生専用型DVDである「DVD−5」、「DVD−10」、「DVD−9」および「DVD−18」、書き込み可能型のDVD−R、書き換え可能型のDVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM等のDVDであり、特に好ましくは「DVD−9」である。しかし、本発明の光ディスクはこれらには限定されず、例えば、厚さ約1.1mmの光ディスク基板の上に、紫外線硬化型組成物の塗布による硬化膜又は透明フィルムの貼り合わせ等により、厚さ約0.1mmの保護層若しくはカバー層または光透過層を形成したもの、すなわち、情報読み書き用のレーザー光として青紫色レーザー光に適したタイプのもの等であっても良い。
【0025】
本発明の光ディスク用紫外線硬化型組成物は、貼り合わせ型ディスクの接着剤として用いてもよいし、銀または銀を主成分とする合金の薄膜を光反射層とするCD−ROMまたはCD−Rなどの保護コート剤として用いてもよく、何れの場合でも優れた耐光性の光ディスクを得ることができる。
【0026】
次に、本発明の実施形態を好ましい様態に基づいて説明する。
まず、記録情報に対応するピットと称する凹凸の上に40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板1枚と、記録情報に対応するピットと称する凹凸の上に10〜30nmの銀または銀合金、若しくは10〜30nmの金、若しくは10〜30nmのシリコン系の半透明膜が積層された円盤状プラスチック基板或いは円盤状プラスチックのみからなる基板1枚を用意する。
【0027】
次いで、重合性モノマーまたは重合性オリゴマーとして、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを2種以上、必要に応じて単官能モノマーを用いて、光重合開始剤を紫外線硬化型組成物100重量部あたり2〜7部使用して紫外線硬化型組成物を調製する。この際、重合性モノマーまたは重合性オリゴマーとして、枝分かれ構造を有する炭化水素系(メタ)アクリレートを用いることもできる。
【0028】
前記組成物を、前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板の金属薄膜上に塗布し、10〜30nmの銀または銀合金、若しくは10〜30nmの金、若しくは10〜30nmのシリコン系の半透明膜が積層された円盤状プラスチック基板を、半透明膜が前記組成物を塗布した金属薄膜面と対向するよう貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−9」とする。
【0029】
前記組成物を、前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板の金属薄膜上に塗布し、前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板を、金属薄膜が前記組成物を塗布した金属薄膜面と対向するよう貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−10」とする。
【0030】
前記組成物を前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板の金属薄膜上に塗布し、円盤状プラスチックのみからなる基板を貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−5」とする。
【0031】
紫外線照射にあたっては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
【0032】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0033】
<実施例1>
(紫外線硬化型組成物の調製)
ウレタンアクリレートとしてFAU−306(大日本インキ化学工業(株)製)28部、ビスフェノールA型エチレンオキシド変性ジアクリレート18部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート32部、エチルカルビトールアクリレート14部、トリメチロールプロパントリアクリレート1.5部、エチレンオキシド変性リン酸メタクリレート0.2部、ジメチルアミノ安息香酸エチル0.3部、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド2部および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4部、チオエーテル系化合物としてDOTP(淀化学(株)製)0.1部を配合し、60℃で1時間加熱混合して溶解し、淡黄色透明の紫外線硬化型組成物を調製した。
【0034】
(試験サンプル:銀合金半透明膜を有する「DVD−9」サンプルの調製)
記録情報のピットが形成され、アルミニウムが50nm積層されたポリカーボネート円版に上記各実施例および比較例の紫外線硬化型組成物をディスペンサで塗布し、半透明膜として銀合金が積層されたポリカーボネート円版を重ね合わせた。次いでスピンコーターで硬化塗膜の膜厚が約50〜60μmになるよう回転させた。次いで、ウシオ電機株式会社製「クセノンフラッシュ照射装置 SBC−04型」を用い、設定電圧1800Vで、銀合金半透明膜付きの基板側から空気中で10ショット紫外線を照射して、各組成物の「DVD−9」サンプルを作製した。このものを、耐光性試験前のサンプルとした。
【0035】
(耐光性試験A)
耐光性試験としてキセノンランプ耐光試験器SUNTEST CPS+(ATLAS社製)を用い、照度550W/m2、ブラックスタンダード温度65度の条件に設定し、読み取り面側(銀合金半透明膜側)をキセノンランプに対向させて24時間暴露した。
【0036】
(黄色度の測定、黄色度変化の算出方法および耐光性評価方法)
耐光性試験A前後の読み取り面側の黄色度測定として、JIS K7103に準じ、日本電色工業(株)製SE−2000を用い、黄色度を測定した。耐光性試験前の黄色度をYI0、耐光性試験後の黄色度をYI1とし、耐光性試験A前後の黄色度変化をΔYIとした。なお、ΔYIは次の式(2)により求められ、値が大きいほど変色度合いが大きいことを示す。
ΔYI=YI1−YI0 (2)
ここで、黄色度YIは、標準光Cにおける光ディスク読み取り面側の3刺激値:X,Y,Zより、YI=100(1.28X−1.06Z)/Yである。
また、ΔYI値は光ディスク構成材料全体としての黄色度変化量であり、ΔYI値が小さければ小さいほど光ディスクの外観変色量が小さく、光ディスクの耐光性が優れていることを示す。
さらに、ΔYI値を視感ないし視覚との関係で示した場合、ΔYIが5以下の時には「黄変をほとんど感じない」、5超過の時には「明らかに黄変を感じる」と区別することができる。
評価結果は、実施例1として、表1に示した。
【0037】
<比較例1>(チオエーテル系化合物は、不含)
上記実施例1において、紫外線硬化型組成物の調製でチオエーテル系化合物を含有させない以外は実施例1と同様にして、紫外線硬化型組成物および試験用サンプル「DVD−9」を調製した。
この組成物および試験用サンプル「DVD−9」を用いて、実施例1と同様の試験方法にて試験し、評価した。
評価結果は、比較例1として、表1に示した。
【0038】
【表1】
表1.実施例および比較例サンプルの評価結果
【0039】
≪評価結果のまとめ≫
表1の結果より、本発明に係わるチオエーテル系化合物含有の紫外線硬化型樹脂組成物を用いた実施例1の貼り合わせ型光ディスクサンプルにあっては、キセノンランプでの耐光性試験後においても、貼り合わせ剤の黄変が小さいことに起因して、黄変度変化が5以下と小さく、ほとんど外観変色を感じさせないレベルのものであった。
これに対し、本発明で使用したチオエーテル系化合物を含有させなかった比較例1は、貼り合わせ剤の黄変に起因して、光ディスクの黄色度変化が10.3と大きく、明らかに外観変色していると感じさせるものであり、耐光性に劣った。
【0040】
【発明の効果】
本発明の紫外線硬化型組成物は、貼り合わせ型光ディスクの黄色度変化ΔYIを5以下とすることができる、優れた貼り合わせ接着剤用の組成物である。このため、該組成物を接着剤として使用することにより、使用時または保存時などに太陽光等に暴露された場合でも貼り合わせ剤の黄変が極めて小さいため、耐光性・耐変色性に優れた、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を有した貼り合わせ型光ディスクの提供が可能となる。
これにより、長期間の使用や保存に対しても光ディスクの外観変色起因による商品価値や機能(信号特性,その他)等の低下・劣化が抑制できて、耐光性に優れた、高品質な光ディスクを供給することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1枚の光ディスク基板における情報記録層の最外層が銀または銀合金の薄膜層である2枚の光ディスク基板を、その最外層面同士を対向させて、紫外線硬化型組成物の接着剤により貼り合わせた貼り合わせ型光ディスクに関し、更に詳しくは該光ディスクの耐光性・耐変色性改良の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
貼り合わせ型光ディスクの代表例としては、DVD(ディジタルバーサタイルディスク又はディジタルビデオディスク)がある。このDVDは、少なくとも1枚の光ディスク基板に情報記録層を形成した、2枚の光ディスク基板を貼り合わせる方法で製造し、その貼り合わせ剤としては、紫外線硬化型組成物からなる接着剤を使用することが一般的である。
ここで、情報記録層とは、ポリカーボネート等の光ディスク用合成樹脂基板に形成したピットと称する凹凸または相変化材料あるいは色素等からなる層とその上に最外層として形成した、一般的には金属または金属合金の薄膜である、半透明膜または反射膜の層との積層体を指す。
【0003】
DVDにおいては、再生専用型の場合、貼り合わせる2枚の光ディスク基板の構成に基づき、各種のタイプが存在する。例えば、「DVD−10」と称するものは、貼り合わせる2枚がそれぞれ、ポリカーボネート基板の片面に記録情報に対応するピットと称する凹凸を設け、その上に情報読み取り用のレーザー光反射膜として、例えばアルミニウムの層を形成して情報記録層としたものであり、「DVD−5」は、「DVD−10」における1枚を情報記録層がない透明なポリカーボネート基板そのものとしたものである。また、「DVD−9」は、2枚の光ディスク基板のうちの1枚の情報記録層を、金または金合金あるいは銀または銀合金あるいはケイ素化合物等からなる半透明膜で形成したものである。さらには、「DVD−18」と称する、片面に2層の情報記録層を有する基板を貼り合わせた構造のものもあり、これらは、用途により使い分けられている。
【0004】
上記「DVD−9」等の半透明膜または反射膜としては、金またはケイ素化合物が主として使用されているが、金は材料の値段が非常に高くコスト面で不利であり、またケイ素化合物は成膜が非常に困難であるという欠点があるため、他の代替え材料が模索されてきていた。
【0005】
このような中で、銀または銀合金は、他の金属に比べて、光ディスクの読み取り光に用いられる波長領域の反射率が高く、成膜も容易であるとの物理的特性に加えて、価格も比較的安価との長所を持つため、「DVD−9」用の半透明膜に適しているとして着目された。しかしながら、最近、半透明膜に銀合金を用いた「DVD−9」を太陽光や蛍光灯に暴露した場合、貼りあわせ接着用として使用する紫外線硬化型組成物によっては、読み取り面側、すなわち半透明膜側から見た場合の外観変色度合いが大きくなるとの欠点が有る。そのため、耐光性・耐変色性が問題であり、貼り合わせ剤の面から解決する必要があるとの状況にあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を有した貼り合わせ型光ディスク用の貼り合わせ接着剤にとしては、外観変色が防止できる接着剤を開発し、使用する必要があった。
すなわち本発明の目的は、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を使用した光ディスク基板用の貼り合わせ接着剤において、光ディスクの外観変色を抑制できる紫外線硬化型組成物を提供することである。また、該紫外線硬化型組成物を使用することにより、太陽光下等の過酷な環境条件下に曝露した後でも外観変色が抑制できる、耐光性・耐変色性に優れた光ディスクを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のチオエーテル系化合物を含有させた接着剤用の紫外線硬化型組成物とすることにより、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を有する貼り合わせ型光ディスクの外観変色の抑制が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、少なくとも1枚の基板には銀または銀合金の半透明膜または反射膜からなる情報記録層を有する、2枚の光ディスク基板を貼り合わせるための紫外線硬化型組成物であって、下記一般式(Ι)
【0009】
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物を、組成物に対して、0.01〜5質量%含有することを特徴とする紫外線硬化型組成物、さらには、少なくとも1枚の基板には銀または銀合金の半透明膜または反射膜からなる情報記録層を有する2枚の光ディスク基板を、紫外線硬化型組成物からなる接着剤で貼り合わせた貼り合わせ型光ディスクにおいて、該接着剤が、請求項1に記載の紫外線硬化型組成物であることを特徴とする貼り合わせ型光ディスクである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の紫外線硬化型組成物は、チオエーテル系化合物、光重合性化合物および光重合開始剤を構成成分として含むものである。
本発明の紫外線硬化型組成物に含有させるチオエーテル系化合物は、下記一般式(Ι)
【0011】
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物である。
【0012】
該チオエーテル系化合物としては各種存在するが、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート等が好ましい。このうち、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネートは、特に好ましい。この化合物は、市販品のイオウ系酸化防止剤:DOTP(淀化学(株)製)として、容易に入手可能である。
【0013】
本発明の組成物に用いる光重合性化合物としては、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマーが使用できる。重合性モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレートや多官能(メタ)アクリレートを用いることができ、これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることもできる。ここで、本発明では、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
【0014】
本発明に使用できる重合性モノマーのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソブチル、イソアミル、イソオクチル、イソデシル、イソミリスチル、イソステアリル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、エチルカルビトール、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の如き基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
さらに、重合性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等がある。
【0017】
本発明に使用する光重合開始剤は、用いる重合性モノマー及び/又は重合性モノマーに代表される光重合性化合物を硬化できる公知慣用のものがいずれも使用できる。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。
【0018】
本発明に使用する光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、また、これら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらには、水素引き抜き型光重合開始剤であるベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
【0019】
上記光重合開始剤に対して増感剤を使用することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化型化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
【0020】
また、本発明の紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、他の添加剤を使用することができ、例えば、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化型化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
【0021】
紫外線硬化型組成物としては、常温〜40℃において、液状であるものを用いるのが好ましい。溶媒は用いない方が好ましく、用いたとしても極力少量に留めるのがよい。また、前記組成物の塗布をスピンコーターで行う場合には、粘度を20〜1000mPa・sとなるように調整するのが好ましく、比較的厚膜とする場合は100〜1000mPa・sに調整するのが良い。
【0022】
本発明の光ディスクに用いられる基板としては、光ディスク用基板として通常用いられるものが使用でき、特にポリカーボネート基板を好適に用いることができる。
【0023】
本発明の光ディスクに用いられる「銀合金(銀を主成分とする合金)」としては、例えばUSP6007889に記載されているものがあげられる。
【0024】
本発明における光ディスクのタイプは、好ましくは再生専用型DVDである「DVD−5」、「DVD−10」、「DVD−9」および「DVD−18」、書き込み可能型のDVD−R、書き換え可能型のDVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM等のDVDであり、特に好ましくは「DVD−9」である。しかし、本発明の光ディスクはこれらには限定されず、例えば、厚さ約1.1mmの光ディスク基板の上に、紫外線硬化型組成物の塗布による硬化膜又は透明フィルムの貼り合わせ等により、厚さ約0.1mmの保護層若しくはカバー層または光透過層を形成したもの、すなわち、情報読み書き用のレーザー光として青紫色レーザー光に適したタイプのもの等であっても良い。
【0025】
本発明の光ディスク用紫外線硬化型組成物は、貼り合わせ型ディスクの接着剤として用いてもよいし、銀または銀を主成分とする合金の薄膜を光反射層とするCD−ROMまたはCD−Rなどの保護コート剤として用いてもよく、何れの場合でも優れた耐光性の光ディスクを得ることができる。
【0026】
次に、本発明の実施形態を好ましい様態に基づいて説明する。
まず、記録情報に対応するピットと称する凹凸の上に40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板1枚と、記録情報に対応するピットと称する凹凸の上に10〜30nmの銀または銀合金、若しくは10〜30nmの金、若しくは10〜30nmのシリコン系の半透明膜が積層された円盤状プラスチック基板或いは円盤状プラスチックのみからなる基板1枚を用意する。
【0027】
次いで、重合性モノマーまたは重合性オリゴマーとして、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを2種以上、必要に応じて単官能モノマーを用いて、光重合開始剤を紫外線硬化型組成物100重量部あたり2〜7部使用して紫外線硬化型組成物を調製する。この際、重合性モノマーまたは重合性オリゴマーとして、枝分かれ構造を有する炭化水素系(メタ)アクリレートを用いることもできる。
【0028】
前記組成物を、前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板の金属薄膜上に塗布し、10〜30nmの銀または銀合金、若しくは10〜30nmの金、若しくは10〜30nmのシリコン系の半透明膜が積層された円盤状プラスチック基板を、半透明膜が前記組成物を塗布した金属薄膜面と対向するよう貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−9」とする。
【0029】
前記組成物を、前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板の金属薄膜上に塗布し、前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板を、金属薄膜が前記組成物を塗布した金属薄膜面と対向するよう貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−10」とする。
【0030】
前記組成物を前記40〜60nmの金属薄膜が積層された円盤状プラスチック基板の金属薄膜上に塗布し、円盤状プラスチックのみからなる基板を貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、両者を接着させ「DVD−5」とする。
【0031】
紫外線照射にあたっては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
【0032】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0033】
<実施例1>
(紫外線硬化型組成物の調製)
ウレタンアクリレートとしてFAU−306(大日本インキ化学工業(株)製)28部、ビスフェノールA型エチレンオキシド変性ジアクリレート18部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート32部、エチルカルビトールアクリレート14部、トリメチロールプロパントリアクリレート1.5部、エチレンオキシド変性リン酸メタクリレート0.2部、ジメチルアミノ安息香酸エチル0.3部、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド2部および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4部、チオエーテル系化合物としてDOTP(淀化学(株)製)0.1部を配合し、60℃で1時間加熱混合して溶解し、淡黄色透明の紫外線硬化型組成物を調製した。
【0034】
(試験サンプル:銀合金半透明膜を有する「DVD−9」サンプルの調製)
記録情報のピットが形成され、アルミニウムが50nm積層されたポリカーボネート円版に上記各実施例および比較例の紫外線硬化型組成物をディスペンサで塗布し、半透明膜として銀合金が積層されたポリカーボネート円版を重ね合わせた。次いでスピンコーターで硬化塗膜の膜厚が約50〜60μmになるよう回転させた。次いで、ウシオ電機株式会社製「クセノンフラッシュ照射装置 SBC−04型」を用い、設定電圧1800Vで、銀合金半透明膜付きの基板側から空気中で10ショット紫外線を照射して、各組成物の「DVD−9」サンプルを作製した。このものを、耐光性試験前のサンプルとした。
【0035】
(耐光性試験A)
耐光性試験としてキセノンランプ耐光試験器SUNTEST CPS+(ATLAS社製)を用い、照度550W/m2、ブラックスタンダード温度65度の条件に設定し、読み取り面側(銀合金半透明膜側)をキセノンランプに対向させて24時間暴露した。
【0036】
(黄色度の測定、黄色度変化の算出方法および耐光性評価方法)
耐光性試験A前後の読み取り面側の黄色度測定として、JIS K7103に準じ、日本電色工業(株)製SE−2000を用い、黄色度を測定した。耐光性試験前の黄色度をYI0、耐光性試験後の黄色度をYI1とし、耐光性試験A前後の黄色度変化をΔYIとした。なお、ΔYIは次の式(2)により求められ、値が大きいほど変色度合いが大きいことを示す。
ΔYI=YI1−YI0 (2)
ここで、黄色度YIは、標準光Cにおける光ディスク読み取り面側の3刺激値:X,Y,Zより、YI=100(1.28X−1.06Z)/Yである。
また、ΔYI値は光ディスク構成材料全体としての黄色度変化量であり、ΔYI値が小さければ小さいほど光ディスクの外観変色量が小さく、光ディスクの耐光性が優れていることを示す。
さらに、ΔYI値を視感ないし視覚との関係で示した場合、ΔYIが5以下の時には「黄変をほとんど感じない」、5超過の時には「明らかに黄変を感じる」と区別することができる。
評価結果は、実施例1として、表1に示した。
【0037】
<比較例1>(チオエーテル系化合物は、不含)
上記実施例1において、紫外線硬化型組成物の調製でチオエーテル系化合物を含有させない以外は実施例1と同様にして、紫外線硬化型組成物および試験用サンプル「DVD−9」を調製した。
この組成物および試験用サンプル「DVD−9」を用いて、実施例1と同様の試験方法にて試験し、評価した。
評価結果は、比較例1として、表1に示した。
【0038】
【表1】
表1.実施例および比較例サンプルの評価結果
【0039】
≪評価結果のまとめ≫
表1の結果より、本発明に係わるチオエーテル系化合物含有の紫外線硬化型樹脂組成物を用いた実施例1の貼り合わせ型光ディスクサンプルにあっては、キセノンランプでの耐光性試験後においても、貼り合わせ剤の黄変が小さいことに起因して、黄変度変化が5以下と小さく、ほとんど外観変色を感じさせないレベルのものであった。
これに対し、本発明で使用したチオエーテル系化合物を含有させなかった比較例1は、貼り合わせ剤の黄変に起因して、光ディスクの黄色度変化が10.3と大きく、明らかに外観変色していると感じさせるものであり、耐光性に劣った。
【0040】
【発明の効果】
本発明の紫外線硬化型組成物は、貼り合わせ型光ディスクの黄色度変化ΔYIを5以下とすることができる、優れた貼り合わせ接着剤用の組成物である。このため、該組成物を接着剤として使用することにより、使用時または保存時などに太陽光等に暴露された場合でも貼り合わせ剤の黄変が極めて小さいため、耐光性・耐変色性に優れた、銀または銀合金の半透明膜または反射膜を有した貼り合わせ型光ディスクの提供が可能となる。
これにより、長期間の使用や保存に対しても光ディスクの外観変色起因による商品価値や機能(信号特性,その他)等の低下・劣化が抑制できて、耐光性に優れた、高品質な光ディスクを供給することが可能となる。
Claims (5)
- 少なくとも1枚の基板には銀または銀合金の半透明膜または反射膜からなる情報記録層を有する、2枚の光ディスク基板を貼り合わせるための接着剤として使用する紫外線硬化型組成物であって、下記一般式(Ι)
S−(CH2−CH2−COO−R1)2 (Ι)
(ここで、S、C、H、Oは、それぞれ、イオウ、炭素、水素、酸素の各原子を、また、R1はアルキル基を表す)
で表されるチオエーテル系化合物を、組成物に対して、0.01〜5質量%含有することを特徴とする紫外線硬化型組成物。 - 請求項1に記載の紫外線硬化型組成物で貼り合わせたことを特徴とする貼り合わせ型光ディスク。
- 光ディスクの情報読み取り面側の外観変色度合いを黄色度変化ΔYIで表したとき、耐光性試験Aの前後での黄色度変化ΔYIが5以下である請求項2に記載の貼り合わせ型光ディスク。
- 貼り合わせ型光ディスクが、再生専用型または書換え可能型若しくは書き込み型のDVDである請求項2または請求項3に記載の貼り合わせ型光ディスク。
- 貼り合わせ型光ディスクが、銀または銀合金の半透明膜を有するDVD−9である請求項3に記載の貼り合わせ型光ディスク。
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WO2008056751A1 (fr) * | 2006-11-09 | 2008-05-15 | Toagosei Co., Ltd. | Composition adhésive durcissable par rayonnement actinique |
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2002
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WO2008056751A1 (fr) * | 2006-11-09 | 2008-05-15 | Toagosei Co., Ltd. | Composition adhésive durcissable par rayonnement actinique |
JPWO2008056751A1 (ja) * | 2006-11-09 | 2010-02-25 | 東亞合成株式会社 | 活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 |
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