JP2004059700A - 封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができ、しかも、連続成形性を低下させないようにすることができる封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物に関する。硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物に関する。硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置などの電子部品の封止材として用いられる封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置などの電子部品の封止材としてはセラミックや熱硬化性樹脂が一般的に用いられているが、中でも、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を封止材として用いる方法が経済性と性能のバランスの点で好ましく、従来より広く行なわれている。このような方法を用いて半導体装置を製造するにあたっては、例えば、リードフレーム用の金属材の上に半導体素子(半導体チップ)を搭載し、その半導体素子とリードフレームをボンディングワイヤー等を用いて電気的に接続し、トランスファ成形等で金型を使用して半導体素子全体及びリードフレームの一部を樹脂組成物で封止するようにして行なわれている。
【0003】
ところで、上記のような半導体装置において、封止材(樹脂組成物の硬化物)とリードフレーム及び半導体素子との密着力が重要となる。もし、封止材とリードフレーム及び半導体素子との密着性が不十分であると、封止材とリードフレームの界面及び封止材と半導体素子の界面にエアが残存し、半導体素子やボンディングワイヤーが腐食したり半導体素子から発生する熱を外部に充分に逃がすことができなくなったりし、半導体装置としての性能が低下することがあった。特に、リードフレームとしてニッケルメッキを施した金属材を用いた場合は、リードフレームの表面が化学的に非常に不活性なために封止材と接着しにくく、上記のような問題がない良好な半導体装置を得ることが難しかった。
【0004】
そこで、ニッケルメッキのリードフレームと封止材との密着力を向上させる手段として、芳香族系酸無水物を樹脂組成物に配合することが知られているが、単に芳香族系酸無水物を樹脂組成物に配合しただけでは、トランスファ成形等の封止成形でバリの発生を抑えることができないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができる封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、ニッケルメッキを施したリードフレームと封止材との密着性に優れる半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合して成ることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、請求項1に加えて、芳香族系酸無水物を全量に対して0.05〜2.0質量%配合して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、請求項1又は2に加えて、芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いて成ることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、請求項1乃至3のいずれかに加えて、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5に係る半導体装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
エポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば何でも用いることができ、例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂などを例示することができる。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、エポキシ樹脂の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して7〜35質量%とすることが好ましい。
【0013】
硬化剤としては上記のエポキシ樹脂を硬化させるものであれば何でも用いることができ、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキルなどの各種多価フェノール化合物やナフトール化合物を例示することができる。これらの硬化剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、硬化剤の配合量はエポキシ樹脂に対して当量比で0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2となるようにすることができる。
【0014】
硬化促進剤としては上記エポキシ樹脂と硬化剤の硬化反応を促進するものであれば何でも用いることができ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール(2PZ)などのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィンなどの有機ホスフィン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミンなどを例示することができる。これらの硬化促進剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、上記の硬化促進剤の中でも連続成形性の低下が少ないトリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類を用いるのが好ましい。従来より、バリの発生を抑えるために、硬化促進剤(硬化触媒)である1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)と芳香族系酸無水物とを反応させる手段が知られているが、DBUは金型汚れの発生を促進しやすく、ニッケルメッキのリードフレームと封止材との密着力を確保するだけの芳香族系酸無水物とDBUとの反応物を利用した場合は、連続成形性の低下を避けることはできないことがあった。そこで、本発明では上記の硬化促進剤の中でも連続成形性の低下が少ないトリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類を用いるのが好ましく、これにより、連続成形性を低下させないようにすることができるものである。さらに連続成形性を損なわないようにするために、硬化促進剤の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して0.1〜0.5質量%とすることが好ましい。
【0015】
無機充填材としては結晶シリカ、溶融シリカ、及びその他にアルミナや窒化珪素などを用いることができる。これらの無機充填材は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、無機充填材の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して60〜93質量%とすることが好ましい。
【0016】
離型剤としては天然カルナバ、脂肪酸アミド、ステアリン酸、モンタン酸アミド、脂肪酸エステル、カルボキシル基含有ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの離型剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、離型剤の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して0.1〜0.5質量%とすることが好ましい。
【0017】
芳香族系酸無水物としては無水トリメリット酸、無水フタル酸、ピロメリット酸2無水物などを用いることができる。これらの芳香族系酸無水物は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、芳香族系酸無水物の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して0.05〜2質量%とすることが好ましい。芳香族系酸無水物の配合量が0.05質量%より少ないと、封止材とリードフレーム及び半導体素子との密着性が不十分になる恐れがあり、芳香族系酸無水物の配合量が2質量%より多いと、バリの発生が促進されて成形性が低下する恐れがある。上記の芳香族系酸無水物の中でもバリの発生が少ない無水トリメリット酸を用いるのが好ましい。
【0018】
本発明では上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、離型剤及び芳香族系酸無水物の他に、必要に応じて、シランカップリング剤等のカップリング剤、難燃剤、着色剤、シリコーン可とう剤などを配合することができる。上記のシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランの他に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシシラン、アミノシランなども用いることができる。これらのシランカップリング剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。尚、エポキシ基/ポリエーテル基含有ポリシロキサンを用いる場合もその分子量・官能基当量については特に制限はない。
【0019】
そして、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、離型剤、芳香族系酸無水物及びその他の成分を配合することにより調製することができるが、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては次のようにして行なう。まず、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物はその他の成分と配合する前に予め溶融混合するものであり、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物からなる溶融混合物を調製する。溶融混合物を調製するにあたっては、100〜140℃で加熱しながら、硬化剤を溶融した後、これに芳香族系酸無水物を配合し、ディスパー等の攪拌機で15〜30分間撹拌して硬化剤と芳香族系酸無水物とを溶融混合し、この後さらに、離型剤を配合して攪拌機で10〜20分間撹拌して溶融混合し、硬化剤と芳香族系酸無水物と離型剤がほぼ均一に溶融混合しているのを確認してから冷却して粉砕する。このようにして溶融混合物を得る。
【0020】
次に、エポキシ樹脂と硬化促進剤と無機充填材と上記の溶融混合物及びその他の成分を配合し、ミキサーやブレンダー等の攪拌機でほぼ均一に撹拌した後、ニーダーやロール等の混練機により80〜130℃で加熱しながら溶融混練し、この後、冷却固化し、粉砕することによって、粉粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【0021】
本発明の半導体装置は上記の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物が半導体素子(半導体チップ)の封止材として形成されるものであって、例えば、リードフレーム用の金属材の上に半導体素子を搭載し、その半導体素子とリードフレームをボンディングワイヤー等を用いて電気的に接続し、トランスファ成形等で金型を使用して半導体素子全体及びリードフレームの一部を上記の封止用エポキシ樹脂組成物で封止するようにするものである。封止成形の際に行なうトランスファ成形の条件は適宜設定すればよいが、例えば、金型温度165〜175℃、注入時間7〜20秒、加圧時間60〜120秒、注入圧力5〜10MPaなどとすることができる。
【0022】
そして、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は芳香族系酸無水物を配合しているので、ニッケルメッキ等が施されて表面が不活性なリードフレームであっても密着性の高い封止材を形成することができるものである。従って、封止材とリードフレームの界面にエアが残存しにくくなって、半導体装置の性能低下を防止することができるものである。尚、密着性の高い封止材を形成することができる理由は芳香族系酸無水物のカルボン酸の部分(カルボキシル基)とニッケルメッキの表面の水酸基とが化学反応をするからであると考えられる。また、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は芳香族系酸無水物を配合するにあたって、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を予め溶融混合した後に他の成分と配合するので、封止成形の際に長いバリの発生を抑えることができるものである。従って、材料が無駄になることなく効率よく半導体装置を製造することができるものである。しかも、本発明は芳香族系酸無水物をイミダゾール系の硬化促進剤と予め溶融混合してバリの発生を抑えようとしているものではないので、硬化促進剤を多量に用いる必要がなく本来の硬化促進に必要な適正量を配合することができ、従って、封止成形の際の金型汚れを最低限に抑えることができて連続成形性を低下させないようにすることができるものである。
【0023】
【実施例】
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0024】
(実施例1〜9)
表1に示す配合量(単位は質量部)で各成分を配合して封止用エポキシ樹脂組成物を調製した。この調製は以下のようにして行なった。まず、120℃で加熱しながら、硬化剤を溶融した後、これに芳香族系酸無水物を配合し、ディスパーで15〜30分間撹拌して硬化剤と芳香族系酸無水物とを溶融混合し、この後さらに、離型剤を配合して攪拌機で約10分間撹拌して溶融混合し、硬化剤と芳香族系酸無水物と離型剤がほぼ均一に溶融混合しているのを確認してから冷却して粉砕する。このようにして硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物からなる溶融混合物を得た。次に、エポキシ樹脂と硬化促進剤と無機充填材と上記の溶融混合物及びその他の成分を配合し、ブレンダーでほぼ均一になるまで30分間撹拌した後、80℃に加熱しながらニーダーで混練溶融した後押し出し、この後、冷却固化し、粉砕機で所定の粒度に粉砕することによって、粉粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0025】
尚、表1に示す各成分としては以下のものを用いた。
【0026】
O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:住友化学(株)製の「ESCN 195XL」エポキシ当量195
フェノールノボラック樹脂:荒川化学(株)製の「タマノール752」水酸基当量104
ブロム化エポキシ樹脂:住友化学(株)製の「ESB400T」エポキシ当量400
三酸化アンチモン:東湖産業製の「NT−3」
硬化促進剤A(TPP):北興化学(株)製の「TPP」
硬化促進剤B(2PZ):四国化成(株)製の「2PZ」
硬化促進剤C(DBU):サンアプロ製の「DBU」
酸無水物A:三菱瓦斯化学製の無水トリメリット酸
酸無水物B:和光純薬工業製の無水フタル酸
酸無水物C:和光純薬工業製のピロメリット酸2無水物
カルナバワックス:大日化学製の「F1−100」
結晶シリカ:龍森製の「3K」平均粒径30μm
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製の「KBM403」
エポキシ基/ポリエーテル基含有ポリシロキサン:東レダウコーニング(株)製の「SF8421」
カーボンブラック:(三菱化学製の「40B」)
(比較例)
硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物から溶融混合物を調製しないで、そのまま他の成分と配合した以外は上記実施例と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0027】
上記の実施例1〜9及び比較例について以下の試験を行なった。
【0028】
(1)密着強度(接着強度)試験
プリン型成形用の金型を用いてニッケルメッキを施した銅板の上に実施例1〜9及び比較例の封止材をトランスファ成形し、プッシュプルゲージを用いてプリン型に成形された実施例1〜9及び比較例の接着面の剪断強度を測定した。上記の成形の際の条件は以下の通りである。
【0029】
ニッケルメッキを施した銅板(銅−ニッケルメッキ板):25mm×25mm角、厚み0.5mm
板と封止材の接着面積:1cm2
金型温度:175℃
注入圧力:6.86MPa
成形時間:100秒
ショット数:1ショット
(2)バリ測定
バリ金型を用いて実施例1〜9及び比較例をトランスファ成形し、バリ金型の10μmの隙間の部分でのバリの長さを測定し、比較して評価した。上記の成形の際の条件は以下の通りである。
【0030】
金型温度:175℃
注入圧力:6.86MPa
成形時間:100秒
ショット数:1ショット
尚、バリ金型とは金型内に10μm、20μm、30μm、50μm、100μmの隙間を作っているものであり、これら隙間から成形材料が何mmはみ出してバリとなるかを測定することで、成形材料のバリ性能(バリの生じ易さ)を判断するものである。そして、本バリ測定ではバリ金型の10μmの隙間の部分でのバリの長さを測定した。
【0031】
(3)連続成形性の評価
半導体装置としてTO−220パッケージをトランスファ成形にて連続成形し(1フレーム20キャビティ)、パッケージの汚れ具合を目視で観察することにより金型の汚れを評価し、連続成形可能なショット数を測定した。上記の成形の際の条件は以下の通りである。
【0032】
TO−220パッケージ:8mm×8mm角、厚み3.5mm
金型温度:175℃
注入圧力:6.86MPa
成形時間:90秒
上記(1)〜(3)の試験の評価を表1に示す。尚、上記(1)の試験では接着強度が0.5MPa以上であることが好ましく、(2)の試験ではバリの長さが5mm以下であることが好ましく、(3)の試験では連続成形のショット数が700ショット以上であることが好ましい。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例1と比較例とを対比すると明らかなように、両者は組成が同じであるにもかかわらず、比較例では実施例1よりもバリが長く発生した。従って、本発明のように硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を予め溶融混合した溶融混合物を配合する方がバリの発生を抑えることができると言える。
【0035】
また、実施例2〜5を対比すると、芳香族系酸無水物の配合量が低下すると銅−ニッケルメッキ板との密着強度(接着強度)が低下する傾向となり、芳香族系酸無水物の配合量が増加するとバリの発生が促進される傾向となり、密着強度やバリの長さが上記の好ましい範囲から外れる恐れがあるので、芳香族系酸無水物の配合量は全量に対して0.05〜2.0質量%するのが好ましい。
【0036】
また、実施例1、6、7を対比すると、芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いた実施例1に比べて、無水トリメリット酸以外を用いた実施例6、7では密着強度が低下したりバリが長くなったり連続成形性が低下したりする傾向にある。従って、芳香族系酸無水物としては無水トリメリット酸を用いるのが好ましい。
【0037】
さらに、実施例8、9のように硬化促進剤として2PZやDBUを用いると、TPPを用いた場合に比べて連続成形性が低下するので、硬化促進剤としてはTPPを用いるのが好ましい。
【0038】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1の発明は、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合するので、ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができるものである。
【0039】
また、本発明の請求項2の発明は、芳香族系酸無水物を全量に対して0.05〜2.0質量%配合するので、封止材とリードフレーム及び半導体素子との密着性を十分に確保しながらバリの発生を抑えることができるものである。
【0040】
また、本発明の請求項3の発明は、芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いるので、密着強度が低下したりバリが長くなったり連続成形性が低下したりするのを抑えることができるものである。
【0041】
また、本発明の請求項4の発明は、硬化促進剤としてトリフェニルホスフェートを用いるので、連続成形性が低下するのを抑えることができるものである。
【0042】
本発明の請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止するので、ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができ、しかも、連続成形性を低下させないようにすることができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置などの電子部品の封止材として用いられる封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置などの電子部品の封止材としてはセラミックや熱硬化性樹脂が一般的に用いられているが、中でも、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を封止材として用いる方法が経済性と性能のバランスの点で好ましく、従来より広く行なわれている。このような方法を用いて半導体装置を製造するにあたっては、例えば、リードフレーム用の金属材の上に半導体素子(半導体チップ)を搭載し、その半導体素子とリードフレームをボンディングワイヤー等を用いて電気的に接続し、トランスファ成形等で金型を使用して半導体素子全体及びリードフレームの一部を樹脂組成物で封止するようにして行なわれている。
【0003】
ところで、上記のような半導体装置において、封止材(樹脂組成物の硬化物)とリードフレーム及び半導体素子との密着力が重要となる。もし、封止材とリードフレーム及び半導体素子との密着性が不十分であると、封止材とリードフレームの界面及び封止材と半導体素子の界面にエアが残存し、半導体素子やボンディングワイヤーが腐食したり半導体素子から発生する熱を外部に充分に逃がすことができなくなったりし、半導体装置としての性能が低下することがあった。特に、リードフレームとしてニッケルメッキを施した金属材を用いた場合は、リードフレームの表面が化学的に非常に不活性なために封止材と接着しにくく、上記のような問題がない良好な半導体装置を得ることが難しかった。
【0004】
そこで、ニッケルメッキのリードフレームと封止材との密着力を向上させる手段として、芳香族系酸無水物を樹脂組成物に配合することが知られているが、単に芳香族系酸無水物を樹脂組成物に配合しただけでは、トランスファ成形等の封止成形でバリの発生を抑えることができないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができる封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、ニッケルメッキを施したリードフレームと封止材との密着性に優れる半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合して成ることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、請求項1に加えて、芳香族系酸無水物を全量に対して0.05〜2.0質量%配合して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、請求項1又は2に加えて、芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いて成ることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、請求項1乃至3のいずれかに加えて、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5に係る半導体装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
エポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば何でも用いることができ、例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂などを例示することができる。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、エポキシ樹脂の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して7〜35質量%とすることが好ましい。
【0013】
硬化剤としては上記のエポキシ樹脂を硬化させるものであれば何でも用いることができ、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキルなどの各種多価フェノール化合物やナフトール化合物を例示することができる。これらの硬化剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、硬化剤の配合量はエポキシ樹脂に対して当量比で0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2となるようにすることができる。
【0014】
硬化促進剤としては上記エポキシ樹脂と硬化剤の硬化反応を促進するものであれば何でも用いることができ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール(2PZ)などのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィンなどの有機ホスフィン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミンなどを例示することができる。これらの硬化促進剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、上記の硬化促進剤の中でも連続成形性の低下が少ないトリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類を用いるのが好ましい。従来より、バリの発生を抑えるために、硬化促進剤(硬化触媒)である1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)と芳香族系酸無水物とを反応させる手段が知られているが、DBUは金型汚れの発生を促進しやすく、ニッケルメッキのリードフレームと封止材との密着力を確保するだけの芳香族系酸無水物とDBUとの反応物を利用した場合は、連続成形性の低下を避けることはできないことがあった。そこで、本発明では上記の硬化促進剤の中でも連続成形性の低下が少ないトリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類を用いるのが好ましく、これにより、連続成形性を低下させないようにすることができるものである。さらに連続成形性を損なわないようにするために、硬化促進剤の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して0.1〜0.5質量%とすることが好ましい。
【0015】
無機充填材としては結晶シリカ、溶融シリカ、及びその他にアルミナや窒化珪素などを用いることができる。これらの無機充填材は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、無機充填材の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して60〜93質量%とすることが好ましい。
【0016】
離型剤としては天然カルナバ、脂肪酸アミド、ステアリン酸、モンタン酸アミド、脂肪酸エステル、カルボキシル基含有ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの離型剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、離型剤の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して0.1〜0.5質量%とすることが好ましい。
【0017】
芳香族系酸無水物としては無水トリメリット酸、無水フタル酸、ピロメリット酸2無水物などを用いることができる。これらの芳香族系酸無水物は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。また、芳香族系酸無水物の配合量は本発明の封止用エポキシ樹脂組成物の全量に対して0.05〜2質量%とすることが好ましい。芳香族系酸無水物の配合量が0.05質量%より少ないと、封止材とリードフレーム及び半導体素子との密着性が不十分になる恐れがあり、芳香族系酸無水物の配合量が2質量%より多いと、バリの発生が促進されて成形性が低下する恐れがある。上記の芳香族系酸無水物の中でもバリの発生が少ない無水トリメリット酸を用いるのが好ましい。
【0018】
本発明では上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、離型剤及び芳香族系酸無水物の他に、必要に応じて、シランカップリング剤等のカップリング剤、難燃剤、着色剤、シリコーン可とう剤などを配合することができる。上記のシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランの他に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシシラン、アミノシランなども用いることができる。これらのシランカップリング剤は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。尚、エポキシ基/ポリエーテル基含有ポリシロキサンを用いる場合もその分子量・官能基当量については特に制限はない。
【0019】
そして、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、離型剤、芳香族系酸無水物及びその他の成分を配合することにより調製することができるが、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては次のようにして行なう。まず、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物はその他の成分と配合する前に予め溶融混合するものであり、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物からなる溶融混合物を調製する。溶融混合物を調製するにあたっては、100〜140℃で加熱しながら、硬化剤を溶融した後、これに芳香族系酸無水物を配合し、ディスパー等の攪拌機で15〜30分間撹拌して硬化剤と芳香族系酸無水物とを溶融混合し、この後さらに、離型剤を配合して攪拌機で10〜20分間撹拌して溶融混合し、硬化剤と芳香族系酸無水物と離型剤がほぼ均一に溶融混合しているのを確認してから冷却して粉砕する。このようにして溶融混合物を得る。
【0020】
次に、エポキシ樹脂と硬化促進剤と無機充填材と上記の溶融混合物及びその他の成分を配合し、ミキサーやブレンダー等の攪拌機でほぼ均一に撹拌した後、ニーダーやロール等の混練機により80〜130℃で加熱しながら溶融混練し、この後、冷却固化し、粉砕することによって、粉粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【0021】
本発明の半導体装置は上記の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物が半導体素子(半導体チップ)の封止材として形成されるものであって、例えば、リードフレーム用の金属材の上に半導体素子を搭載し、その半導体素子とリードフレームをボンディングワイヤー等を用いて電気的に接続し、トランスファ成形等で金型を使用して半導体素子全体及びリードフレームの一部を上記の封止用エポキシ樹脂組成物で封止するようにするものである。封止成形の際に行なうトランスファ成形の条件は適宜設定すればよいが、例えば、金型温度165〜175℃、注入時間7〜20秒、加圧時間60〜120秒、注入圧力5〜10MPaなどとすることができる。
【0022】
そして、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は芳香族系酸無水物を配合しているので、ニッケルメッキ等が施されて表面が不活性なリードフレームであっても密着性の高い封止材を形成することができるものである。従って、封止材とリードフレームの界面にエアが残存しにくくなって、半導体装置の性能低下を防止することができるものである。尚、密着性の高い封止材を形成することができる理由は芳香族系酸無水物のカルボン酸の部分(カルボキシル基)とニッケルメッキの表面の水酸基とが化学反応をするからであると考えられる。また、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は芳香族系酸無水物を配合するにあたって、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を予め溶融混合した後に他の成分と配合するので、封止成形の際に長いバリの発生を抑えることができるものである。従って、材料が無駄になることなく効率よく半導体装置を製造することができるものである。しかも、本発明は芳香族系酸無水物をイミダゾール系の硬化促進剤と予め溶融混合してバリの発生を抑えようとしているものではないので、硬化促進剤を多量に用いる必要がなく本来の硬化促進に必要な適正量を配合することができ、従って、封止成形の際の金型汚れを最低限に抑えることができて連続成形性を低下させないようにすることができるものである。
【0023】
【実施例】
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0024】
(実施例1〜9)
表1に示す配合量(単位は質量部)で各成分を配合して封止用エポキシ樹脂組成物を調製した。この調製は以下のようにして行なった。まず、120℃で加熱しながら、硬化剤を溶融した後、これに芳香族系酸無水物を配合し、ディスパーで15〜30分間撹拌して硬化剤と芳香族系酸無水物とを溶融混合し、この後さらに、離型剤を配合して攪拌機で約10分間撹拌して溶融混合し、硬化剤と芳香族系酸無水物と離型剤がほぼ均一に溶融混合しているのを確認してから冷却して粉砕する。このようにして硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物からなる溶融混合物を得た。次に、エポキシ樹脂と硬化促進剤と無機充填材と上記の溶融混合物及びその他の成分を配合し、ブレンダーでほぼ均一になるまで30分間撹拌した後、80℃に加熱しながらニーダーで混練溶融した後押し出し、この後、冷却固化し、粉砕機で所定の粒度に粉砕することによって、粉粒状の封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0025】
尚、表1に示す各成分としては以下のものを用いた。
【0026】
O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:住友化学(株)製の「ESCN 195XL」エポキシ当量195
フェノールノボラック樹脂:荒川化学(株)製の「タマノール752」水酸基当量104
ブロム化エポキシ樹脂:住友化学(株)製の「ESB400T」エポキシ当量400
三酸化アンチモン:東湖産業製の「NT−3」
硬化促進剤A(TPP):北興化学(株)製の「TPP」
硬化促進剤B(2PZ):四国化成(株)製の「2PZ」
硬化促進剤C(DBU):サンアプロ製の「DBU」
酸無水物A:三菱瓦斯化学製の無水トリメリット酸
酸無水物B:和光純薬工業製の無水フタル酸
酸無水物C:和光純薬工業製のピロメリット酸2無水物
カルナバワックス:大日化学製の「F1−100」
結晶シリカ:龍森製の「3K」平均粒径30μm
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製の「KBM403」
エポキシ基/ポリエーテル基含有ポリシロキサン:東レダウコーニング(株)製の「SF8421」
カーボンブラック:(三菱化学製の「40B」)
(比較例)
硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物から溶融混合物を調製しないで、そのまま他の成分と配合した以外は上記実施例と同様にして封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0027】
上記の実施例1〜9及び比較例について以下の試験を行なった。
【0028】
(1)密着強度(接着強度)試験
プリン型成形用の金型を用いてニッケルメッキを施した銅板の上に実施例1〜9及び比較例の封止材をトランスファ成形し、プッシュプルゲージを用いてプリン型に成形された実施例1〜9及び比較例の接着面の剪断強度を測定した。上記の成形の際の条件は以下の通りである。
【0029】
ニッケルメッキを施した銅板(銅−ニッケルメッキ板):25mm×25mm角、厚み0.5mm
板と封止材の接着面積:1cm2
金型温度:175℃
注入圧力:6.86MPa
成形時間:100秒
ショット数:1ショット
(2)バリ測定
バリ金型を用いて実施例1〜9及び比較例をトランスファ成形し、バリ金型の10μmの隙間の部分でのバリの長さを測定し、比較して評価した。上記の成形の際の条件は以下の通りである。
【0030】
金型温度:175℃
注入圧力:6.86MPa
成形時間:100秒
ショット数:1ショット
尚、バリ金型とは金型内に10μm、20μm、30μm、50μm、100μmの隙間を作っているものであり、これら隙間から成形材料が何mmはみ出してバリとなるかを測定することで、成形材料のバリ性能(バリの生じ易さ)を判断するものである。そして、本バリ測定ではバリ金型の10μmの隙間の部分でのバリの長さを測定した。
【0031】
(3)連続成形性の評価
半導体装置としてTO−220パッケージをトランスファ成形にて連続成形し(1フレーム20キャビティ)、パッケージの汚れ具合を目視で観察することにより金型の汚れを評価し、連続成形可能なショット数を測定した。上記の成形の際の条件は以下の通りである。
【0032】
TO−220パッケージ:8mm×8mm角、厚み3.5mm
金型温度:175℃
注入圧力:6.86MPa
成形時間:90秒
上記(1)〜(3)の試験の評価を表1に示す。尚、上記(1)の試験では接着強度が0.5MPa以上であることが好ましく、(2)の試験ではバリの長さが5mm以下であることが好ましく、(3)の試験では連続成形のショット数が700ショット以上であることが好ましい。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例1と比較例とを対比すると明らかなように、両者は組成が同じであるにもかかわらず、比較例では実施例1よりもバリが長く発生した。従って、本発明のように硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を予め溶融混合した溶融混合物を配合する方がバリの発生を抑えることができると言える。
【0035】
また、実施例2〜5を対比すると、芳香族系酸無水物の配合量が低下すると銅−ニッケルメッキ板との密着強度(接着強度)が低下する傾向となり、芳香族系酸無水物の配合量が増加するとバリの発生が促進される傾向となり、密着強度やバリの長さが上記の好ましい範囲から外れる恐れがあるので、芳香族系酸無水物の配合量は全量に対して0.05〜2.0質量%するのが好ましい。
【0036】
また、実施例1、6、7を対比すると、芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いた実施例1に比べて、無水トリメリット酸以外を用いた実施例6、7では密着強度が低下したりバリが長くなったり連続成形性が低下したりする傾向にある。従って、芳香族系酸無水物としては無水トリメリット酸を用いるのが好ましい。
【0037】
さらに、実施例8、9のように硬化促進剤として2PZやDBUを用いると、TPPを用いた場合に比べて連続成形性が低下するので、硬化促進剤としてはTPPを用いるのが好ましい。
【0038】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1の発明は、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合するので、ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができるものである。
【0039】
また、本発明の請求項2の発明は、芳香族系酸無水物を全量に対して0.05〜2.0質量%配合するので、封止材とリードフレーム及び半導体素子との密着性を十分に確保しながらバリの発生を抑えることができるものである。
【0040】
また、本発明の請求項3の発明は、芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いるので、密着強度が低下したりバリが長くなったり連続成形性が低下したりするのを抑えることができるものである。
【0041】
また、本発明の請求項4の発明は、硬化促進剤としてトリフェニルホスフェートを用いるので、連続成形性が低下するのを抑えることができるものである。
【0042】
本発明の請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止するので、ニッケルメッキを施したリードフレームとの密着性を確保しながら封止成形の際のバリの発生を抑えることができ、しかも、連続成形性を低下させないようにすることができるものである。
Claims (5)
- 無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を含有する封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化剤と離型剤と芳香族系酸無水物を溶融混合した溶融混合物を上記他の成分に配合して成ることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
- 芳香族系酸無水物を全量に対して0.05〜2.0質量%配合して成ることを特徴とする請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 芳香族系酸無水物として無水トリメリット酸を用いて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止して成ることを特徴とする半導体装置。
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