JP2004059525A - 抗菌剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】広い抗菌スペクトルを有し、特に耐熱性芽胞形成細菌に対して十分な抗菌力を示すとともに、添加する食品、化粧品等の味やにおいに影響を与えない抗菌剤組成物を提供する。
【解決手段】バンレイシ(Annona)属、ユーゲニア(Eugenia)属、ユーフォリア(Euphoria)属、サンドリカム(Sandoricum)属の各属に属する植物の果皮の抽出物を抗菌剤として食品、化粧品等に使用することにより、食中毒細菌、変敗菌等の増殖を抑制することができる。特に耐熱性芽胞形成細菌に効果があり、食品用保存剤として好適である。例えばバンレイシ(Annona squamosa Lnn.)(バンレイシ属)、マレーフトモモ(Eugenia macrophylla Lam.)(ユーゲニア属)、リュウガン(Euphoria longana Lam.)(ユーフォリア属)、サントール(Sandoricum koetjapa (Burm.f.)Merr.)(サンドカリム属)などが挙げられる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は植物の果皮抽出物を有効成分とする高い静菌効果、胞子発芽阻害効果を有する抗菌剤組成物に関する。また本発明はこの抗菌剤組成物を添加して保存性を高めた食品、化粧品、医薬品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品の保存、品質保持には保存料(抗菌剤)が不可欠である。特にわが国のように高温多湿の気候条件下では、細菌やカビによる食品の変敗は避けられず、食中毒の原因を誘発する可能性が高いことから、食品衛生上の見地から適切な保存料の活用が望まれている。このため、従来からソルビン酸、安息香酸及びその塩類、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)類等の合成保存料や、わさびのような香辛料抽出物、ヒノキチオールのような精油や柑橘種子抽出物、茶抽出物、孟宗竹抽出物、ポリリジン、キトサン等の天然系の保存料が使用されている。
また、化粧品や医薬品の分野においても、細菌やカビによる汚染は変臭、変質等の品質の低下をきたすので、これを防止するためにパラベン類のような抗菌性のある物質を防腐剤として使用している。
しかし、上述の保存料や防腐剤として用いられる物質はいずれも、食中毒などの微生物災害の原因となる耐熱性芽胞形成細菌に対する効果が十分でないなど、抗菌力の点で満足できるものではなかった。また、その物質自身が特有のにおいや味、色を有していたり、食品等のpHによって抗菌力が左右されたりする場合が多く、使用できる食品、化粧品等の種類や添加できる量が制限されるという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような理由から、広い抗菌スペクトルを有し、特に耐熱性芽胞形成細菌に対して十分な抗菌力を示すとともに、添加する食品、化粧品等の味やにおいに影響を与えない抗菌剤が望まれていた。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは抗菌力を有する天然物由来の物質を求めて鋭意検討した結果、バンレイシ(Annona)属、ユーゲニア(Eugenia)属、ユーフォリア(Euphoria)属およびサンドリカム(Sandoricum)属の各属に属する植物の果皮の抽出物に顕著な静菌及び胞子発芽阻害による抗菌効果があることを見出した。そしてこの抗菌効果を有する植物の果皮抽出物を食品、化粧品等の抗菌剤として使用することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明はバンレイシ(Annona)属、ユーゲニア(Eugenia)属、ユーフォリア(Euphoria)属、サンドリカム(Sandoricum)属のよりなる群から選ばれる植物の果皮の溶媒抽出物を1種または2種以上含有することを特徴とする抗菌剤組成物である。さらに本発明はバンレイシ(Annona)属に属する植物が、バンレイシ(Annona squamosa Linn.)、チェリモヤ(Annona cherimola Mill)、イヌバンレイシ(Annona glabra Linn.)、ホシバンレイシ(Annona Montana Macf.)、トゲバンレイシ(Annona muricata Linn.)、ギュウシンリ(Annona reticulata Linn.)、ユーゲニア(Eugenia)属に属する植物が、マレーフトモモ(Eugenia macrophylla Lam.)、ユーフォリア(Euphoria)属に属する植物が、リュウガン(Euphoria longana Lam.)、サンドリカム(Sandoricum)属に属する植物が、サントール(Sandoricum koetjape(Burm.f.)Merr.)であることを特徴とする。本発明はさらに上記抗菌剤組成物を含有することを特徴とする食品、化粧品、医薬品用保存剤である。また、本発明は前記抗菌剤組成物を用いて食品、化粧品、医薬品中の微生物を殺菌又は増殖抑制する方法である。さらに本発明は前記抗菌剤組成物を配合してなる、保存性の優れた食品、化粧品、医薬品である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)原材料
本発明で使用する植物の果皮は、バンレイシ(Annona)属、ユーゲニア(Eugenia)属、ユーフォリア(Euphoria)属およびサンドリカム(Sandoricum)属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の植物の果皮であり、これらは単独で又は組合せて使用することができる。前記各属に属する植物の果皮であれば特に制限なく、いずれの植物の果皮であっても使用できるが、バンレイシ(Annona)属に属する植物についてはバンレイシ(Annona squamosa Linn.)、チェリモヤ(Annona cherimola Mill)、イヌバンレイシ(Annona glabra Linn.)、ホシバンレイシ(Annona Montana Macf.)、トゲバンレイシ(Annona muricata Linn.)、ギュウシンリ(Annona reticulata Linn.)、ユーゲニア(Eugenia)属に属する植物についてはマレーフトモモ(Eugenia macrophylla Lam.)、ユーフォリア(Euphoria)に属する植物についてはリュウガン(Euphoria longana Lam.)、サンドリカム(Sandoricum)属に属する植物についてはサントール(Sandoricum koetjape(Burm.f.)Merr.)の果皮を使用することが好ましい。
【0007】
バンレイシ(Annona squamosa Linn.)、チェリモヤ(Annona cherimola Mill)、イヌバンレイシ(Annona glabra Linn.)、ホシバンレイシ(Annona Montana Macf.)、トゲバンレイシ(Annona muricata Linn.)、ギュウシンリ(Annonareticulata Linn.)はいずれもバンレイシ属(Annona L.)の植物であり、中央アメリカ、エジプト、インド、東南アジア諸国で多く栽培されている。その果実は生食の他、飲料やアイスクリーム、ジャム、ゼリー、ママレード、キャンディーなどに加工されて食されている。マレーフトモモ(Eugenia macrophylla Lam.)、サントール(Sandoricum koetjape(Burm.f.)Merr.)は東南アジアを中心に栽培されておりデザートとして生食するほかピクルス、ジャム、ジュースに加工されている。リュウガン(Euphoria longana Lam.)は亜熱帯性の植物で、中国南部および台湾を中心として果肉を生食又は加工して缶詰、乾果として食されている他、滋養強壮剤、保温薬として薬用にも用いられている。これらの植物のうち、バンレイシ属に属する植物の生理活性については報告があり、特開平6−40861号及び特開平9−12433号公報には、葉・樹皮・材・枝・果肉・果皮・根または茎からの抽出物に脱毛防止や育毛促進効果を示すことが開示されている。しかし、これらの植物の果皮の溶媒抽出物が抗菌作用を有することは全く知られていない。
【0008】
(2)抽出処理
1)溶媒
抽出処理に使用する溶媒は、水又は有機溶媒であり、有機溶媒は含水物であってもよい。有機溶媒としては特に制限はなく、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類を適宜単独で、又は混合して使用することができる。アルコール類のような極性有機溶媒が好ましく、特に50〜95%エタノールが好ましい。
抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できるが、一般には上記原材料1重量部に対して溶媒量1〜100重量部を使用する。
【0009】
2)抽出処理方法
抽出処理方法としては、溶媒の種類、量等により種々の方法を採用することができる。例えば前記各種天然物を粉砕したものを溶媒中に入れ、浸漬法又は加熱還流法で抽出することができる。なお浸漬法による場合は加温条件下、室温又は冷却条件下のいずれであってもよい。
ついで、溶媒に不溶な固形物を除去して抽出液を得るが、固形物除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等の各種の固液分離手段を用いることができる。
得られた抽出液はそのままでも抗菌剤組成物として使用できるが、例えば水、エタノール、グリセリン、トリエチルシトレート、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等の液体希釈剤で適宜希釈して使用してもよい。またはデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもできる。これらをさらに濃縮してペースト状の抽出エキスとしても、また凍結乾燥又は加熱乾燥などの処理を行い粉末として使用してもよい。
また超臨界抽出による抽出、分画、または脱臭処理したものも使用可能である。
【0010】
3)精製
上記方法で得られた抽出物は、そのまま食品等に配合することができるが、さらに、脱色、脱臭等の精製処理をすることができる。精製処理には活性炭や多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤などが使用できる。精製用の合成樹脂吸着剤としては例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」などが使用できる。
【0011】
(3)抗菌剤組成物の調製
上記方法で得られた抽出物はそのまま抗菌剤組成物として食品等に配合することができるが、以下のように製剤化して使用することもできる。
一般的には有機酸、酸化防止剤、pH調整剤及び乳化剤等の各種成分を組み合わせて、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の(混合)溶剤に適当な濃度で溶解させて(具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン等の混合溶剤)液剤とする。また、各種成分の溶液に賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にすることも可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
【0012】
(4)用法
本発明の抗菌剤組成物を使用し得る製品としては特に限定はなく、食品、化粧品、医薬品に使用できる。食品の例としては、炭酸飲料、果汁、果汁飲料、乳性飲料、茶飲料等の飲料、ヨーグルト、ゼリー、アイスクリーム等の冷菓、キャンディー、水飴、ガム等の菓子、すし、おにぎり、レトルト米飯、無菌米飯、冷凍米飯等の米飯類、即席(フライ)麺類、豆腐の油揚(油揚、生上、がんもどき)、揚かまぼこ、てんぷら、フライ、スナック類(ポテトチップス、揚あられ類、かりんとう、ドーナッツ等)、調理冷凍食品(冷凍コロッケ、エビフライ等)等のフライ食品、食用油脂(動物性油脂、植物性油脂)、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング、ハードバター等の油脂及び油脂加工食品及び油脂を原料とする食品、生乳、牛乳、加工乳、クリーム、バター、バターオイル、濃縮ホエー、チーズ、アイスクリーム類、ヨーグルト、練乳、粉乳、濃縮乳、乳酸菌飲料等の乳、乳製品、乳等を主原料とする製品、サンドイッチ類、サラダ類や総菜類などのいわゆるおかずの類を挙げることができる。
化粧品の例としては香水、オーデコロン等の芳香製品、ボディソープ、シャンプー、リンス等の洗浄料、化粧水、乳液、クリーム、ヘアトニック、ヘアクリーム等の基礎化粧料、白粉、アイシャドウ、ポマード、ヘアカラー等の仕上げ化粧料、歯磨き、含嗽剤等の口腔用組成物を挙げることができる。
医薬品も特に制限はなく、通常の医薬品、医薬部外品に広く使用することができる。例としては各種ドリンク剤、皮膚外用剤、養毛剤、薬用石鹸、薬用歯磨き等を挙げることができる。
【0013】
本発明の抗菌剤組成物は広い抗菌スペクトルを示し、食中毒細菌、食品、化粧品、医薬品の変敗菌、感染症起因菌等に対し殺菌又は増殖抑制効果を示す。特にバチルス属細菌、スタフィロコッカス属細菌等のグラム陽性細菌に対して強い抗菌スペクトルを示し、食品等の微生物災害を引き起こす耐熱性芽胞形成細菌(枯草菌(Bacillus subtilis)、セレウス菌(Bacillus cereus)等)には特に顕著な効果を示すことから、食品用保存剤として好適である。
【0014】
本発明の抗菌剤は食品等の加工段階で適宜添加することができる。添加量は、抗菌剤の濃度或いは食品等の種類によっても多少異なるが、食品(等)の香味に影響を及ぼさない範囲内で添加する観点から、一般的に食品等に対して0.01〜0.001重量%の添加量が適当であり、特に0.005〜0.002重量%が好ましい。
また抗菌剤を2種類以上併用する場合の混合割合は、特に限定されるものではない。混合した抗菌剤の添加量については、使用する抗菌剤の精製の程度、あるいは添加対象の製品の種類により異なるが、0.01〜0.001重量%が適当である。0.005〜0.002重量%の範囲が好ましい。
【0015】
【実施例】
次に、試験例および実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0016】
〔抽出例1〕
インドネシア産バンレイシ(Annona squamosa Linn.)果実の果皮を乾燥し、粉砕した後、この粉砕粉末100gに50%エタノール1Lを添加し、1時間加熱還流抽出を行った。引き続き冷却後、ろ過して不溶物を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮および乾固して、バンレイシ果皮抽出物23.3gを得た。
【0017】
〔抽出例2〕
インドネシア産トゲバンレイシ(Annona muricata Linn.)果実の果皮を乾燥し、粉砕した後、この粉砕粉末100gに50%エタノール1Lを添加し、1時間加熱還流抽出を行った。引き続き冷却後、ろ過して不溶物を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮および乾固して、ドゲバンレイシ果皮抽出物33.4gを得た。
【0018】
〔抽出例3〕
インドネシア産ギュウシンリ(Annona reticulata Linn.)果実の果皮を乾燥し、粉砕した後、この粉砕粉末100gに50%エタノール1Lを添加し、1時間加熱還流抽出を行った。引き続き冷却後、ろ過して不溶物を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮および乾固して、ギュウシンリ果皮抽出物36.2gを得た。
【0019】
〔抽出例4〕
インドネシア産マレーフトモモ(Eugenia macrophylla Lam.)果実の果皮を乾燥し、粉砕した後、この粉砕粉末100gに酢酸エチル1Lを添加し、1時間加熱還流抽出を行った。引き続き冷却後、ろ過して不溶物を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮および乾固して、マレーフトモモ果皮抽出物44.8gを得た。
【0020】
〔抽出例5〕
インドネシア産リュウガン(Euphoria longana Lam.)果実の果皮を乾燥し、粉砕した後、この粉砕粉末100gに95%エタノール1Lを添加し、1時間加熱還流抽出を行った。引き続き冷却後、ろ過して不溶物を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮および乾固して、リュウガン果皮抽出物22.8gを得た。
【0021】
〔抽出例6〕
インドネシア産サントール(Sandoricum Koetjape  (Burm.f.) Merr.)果実の果皮を乾燥し、粉砕した後、この粉砕粉末100gに95%エタノール1Lを添加し、1時間加熱還流抽出を行った。引き続き冷却後、ろ過して不溶物を除去し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮および乾固して、サントール果皮抽出物33.5gを得た。
【0022】
〔抽出例7〕
活性画分を得るため抽出例1の抽出物5gを水に分散させ合成吸着剤(ダイヤイオンHP−20)1000mlを充填したカラムに通導し、水、50%エタノール、エタノール各1000mlにて順次溶出させ、各々の画分を濃縮後凍結乾燥することにより、それぞれ水画分2.6g、50%エタノール画分2.3g、エタノール画分0.1gが得られた。
【0023】
〔試験例1〕
抽出例1〜6で得られた果皮抽出物について、比較例としてパラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)を用い、種々の細菌に対する抗菌力を以下の実験により評価した。培地はミュラーヒントン培地(Difco)を用い、前記培地を高圧滅菌したものにあらかじめ前培養した被検菌を1×10となるように培地に接種した。抽出物は50%エタノールに10,000ppmとなるように溶解させ、2倍段階希釈して10,000ppmから9.8ppmまでの試験サンプルを調製した。ついでこの試験サンプルを培地に対して1/10添加し抽出物が最終濃度で1,000ppmから0.98ppmまで含まれた培養液を調製した。使用した被検菌はグラム陽性菌3種、グラム陰性菌2種で24時間、37℃で培養後菌の生育が認められない濃度をその抽出物のMIC(最小発育阻止濃度)として抗菌力を求めた。
その結果を表1に示す。
被検菌:
Bacillus subtilis  IFO 3134
Bacillus cereus IFO 13494
Staphylococcus aureus IFO 12732
Escherichia coli IFO 3301
Pseudomonas aeruginosa IFO 3080
【0024】
【表1】
Figure 2004059525
【0025】
表1に示されるように、いずれの抽出物もメチルパラベンより高い抗菌効果を有していた。
【0026】
〔試験例2〕
抽出例7で得られた各画分の抗菌力を試験例1と同様の方法により測定した。その結果を表2に示す。エタノール溶出画分にもっとも強い活性が見られた。
【0027】
【表2】
Figure 2004059525
【0028】
表2に示されるように、エタノール溶出画分にもっとも強い活性が見られた。
【0029】
〔試験例3〕(コーヒー牛乳飲料中での芽胞増殖抑制効果試験)
下記処方のコーヒー牛乳にBacillus cereus IFO13494を1mlあたり1×10となるように添加し、さらに抽出例7のエタノール溶出画分の抽出物をコーヒー牛乳中に50ppm、100ppmとなるように添加し密閉容器に充填したのち80℃、10分加熱殺菌を行ったのち、37℃、3日間保存後微生物数を常法に従い標準寒天培地へ混釈後、37℃、24時間培養した後に計測されたコロニー数により評価した。また対照区として無添加のものも同時に培養した。これらの結果を下記表3に示す。
【0030】
コーヒー牛乳処方
コーヒーエキス           2.5
牛乳                     10
砂糖                     6
重曹                     pH6.8に調製

total                    100
【表3】
Figure 2004059525
【0031】
対照区と比較して3日後において50ppmでは初期の生菌数と同等レベルにより静菌効果、100ppmにおいては菌の生育が認められなかったことから発芽抑制効果が見られた。
【0032】
〔実施例1〕(乳酸菌飲料)
市販乳酸菌飲料100重量部に対し、抽出例1の果皮抽出物を30ppmとなるように添加した。得られた乳酸菌飲料は専門パネルにより評価した結果、異味異臭がなく、乳酸菌飲料のさわやかな風味が保持されていた。
【0033】
〔実施例2〕(果汁飲料)
グレープフルーツ果汁100重量部に対し、抽出例2の果皮抽出物を50ppmとなるように添加し、本発明の抗菌剤含有グレープフルーツ果汁飲料を得た。この果汁飲料は専門パネルにより評価した結果、異味異臭がなく、グレープフルーツ果汁本来の香味が保持されていた。
【0034】
〔実施例3〕(緑茶飲料)
市販の緑茶飲料に抽出例4の果皮抽出物を緑茶飲料中に対し100ppmとなるように添加し、密閉容器に充填したのち90℃、10分間加熱殺菌を行った。この緑茶飲料を専門パネルにより評価したところ、異味異臭は感じられなかった。
【0035】
〔実施例4〕(ドリンク剤)
下記処方のドリンク剤100重量部に対し、抽出例6の果皮抽出物を20ppmとなるように添加し、本発明の抗菌剤を含有するドリンク剤を得た。
成分名        配合料(重量部)
ペプチド        5.0
クエン酸ナトリウム   4.0
還元麦芽糖       5.0
レモンフレーバー    0.1
純水          残量
計         100.0 重量部
【0036】
〔実施例5〕(ドリンク剤)
ビタミンミックス(理研ビタミン株式会社)0.02%W/W水溶液100重量部に対し、抽出例1の果皮抽出物50ppmとなるように添加し、本発明の抗菌剤を含有するドリンク剤を得た。
【0037】
〔実施例6〕(化粧水)
以下の処方により化粧水を調製した。
成分名                    配合料(重量部)
1,3−ブチレングリコール             6.0
グリセリン                    4.0
オレイルアルコール                0.1
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル  0.5
POE(15)ラウリルアルコールエーテル     0.5
95%エタノール                 10.0
香料                       0.2
抽出例1の果皮抽出物               0.01
クチナシ黄色素                  0.01
精製水                      残量
計                      100.0重量部
抽出例1の果皮抽出物と同様に、抽出例3、抽出例6の果皮抽出物を同濃度添加し、化粧水を作成した。
【0038】
【発明の効果】
本発明の抗菌剤を食品等に添加することにより、食中毒細菌、食品、化粧品、医薬品の変敗菌、感染症起因菌等の増殖を抑制することができる。特に食品等の微生物災害を引き起こす耐熱性芽胞形成細菌(枯草菌(Bacillus subtilis)、セレウス菌(Bacillus cereus)等)には特に顕著な効果を示すことから、食品用保存剤として好適である。また、本発明の抗菌剤はそれ自体の味やにおいが食品等の本来の香味に影響を及ぼすことがなく、熱にも安定であることから、さまざまな加工食品、飲料、化粧品等への幅広い適用が可能である。

Claims (8)

  1. バンレイシ(Annona)属、ユーゲニア(Eugenia)属、ユーフォリア(Euphoria)属およびサンドリカム(Sandoricum)属よりなる群から選ばれる植物の果皮の溶媒抽出物を1種または2種以上含有することを特徴とする抗菌剤組成物。
  2. バンレイシ(Annona)属に属する植物が、バンレイシ(Annona squamosa Linn.)、チェリモヤ(Annona cherimola Mill)、イヌバンレイシ(Annona glabra Linn.)、ホシバンレイシ(Annona Montana Macf.)、トゲバンレイシ(Annona muricata Linn.)またはギュウシンリ(Annona reticulata Linn.)であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤組成物。
  3. ユーゲニア(Eugenia)属に属する植物が、マレーフトモモ(Eugenia macrophylla Lam.)であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤組成物。
  4. ユーフォリア(Euphoria)属に属する植物が、リュウガン(Euphoria longana Lam.)であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤組成物。
  5. サンドリカム(Sandoricum)属に属する植物が、サントール(Sandoricum koetjape(Burm.f.)Merr.)であることを特徴とする請求項1記載の抗菌剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の抗菌剤組成物を含有することを特徴とする食品、化粧品又は医薬品用保存剤。
  7. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の抗菌剤組成物を用いて食品、化粧品又は医薬品中の微生物を殺菌又は増殖抑制する方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の抗菌剤組成物を配合してなる、保存性の優れた食品、化粧品又は医薬品。
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