JP2004058823A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ビードコアのフィラメントの断面を偏平形状とし、かつその偏平比とビード崩れとの関係を解明することにより、優れたビード耐久性を有する空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部の両端部に連なる一対のサイドウォール部5の内周に夫々形成された一対のビード部1を備えた空気入りタイヤにおいて、ビード部1に、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコア3が埋設されてなり、フィラメントの断面形状が、タイヤ径方向の高さ(a)とタイヤ幅方向の幅(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である偏平形状である。
【選択図】 図1
【解決手段】トレッド部の両端部に連なる一対のサイドウォール部5の内周に夫々形成された一対のビード部1を備えた空気入りタイヤにおいて、ビード部1に、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコア3が埋設されてなり、フィラメントの断面形状が、タイヤ径方向の高さ(a)とタイヤ幅方向の幅(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である偏平形状である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関し、詳しくは、タイヤのビード部に埋設されたビードコアを構成するフィラメントの改良により、ビード部耐久性の向上を図った空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのビード部におけるビードコアは、カーカスプライを形成する繊維や鋼線のコード端部を巻付け固定するとともに、タイヤ本体の内周の寸法を規定し、ホイールリムとの嵌め合いを確保している。このように、極めて重要なタイヤの構成要素であるビードコアを構成するフィラメントの断面形状は、従来より一般にほぼ真円であった。
【0003】
しかし、従来の空気入りタイヤにおいては、ビードコアのフィラメントの断面形状がほぼ真円であるために、走行によりビード構造が崩れ易いという問題があった。ビード構造が崩れると、カーカスプライ端の歪みが大きくなり、ビード部耐久性の低下を招くことになる。
【0004】
ところで、これまでに空気入りタイヤのビード部の改良技術として、ビードコアのフィラメントの断面形状が円形以外のものも幾つか提案されてきた。例えば、ビードフィラメント相互の安定した重なり姿勢を保つために、ストリップフィラメントにコーティングゴムを被覆してなるビードフィラメントの断面形状を楕円形とすることが特開平6−79807号公報に開示されている。
【0005】
また、製造を容易にしかつタイヤの成型、加硫時における配列の乱れを防止するために、積層巻回された硬鋼線の中心層の硬鋼線のみを偏平形状にすることが特開昭55−87605号に開示されている。
【0006】
さらに、形状の均一性を維持してビードコアを製造するために、断面円形状の硬鋼線を圧延または引き抜き加工することにより平行な2辺を持つ硬鋼線にし、該硬鋼線でビードコアを構成することが特開昭58−128238号公報に開示されている。
【0007】
さらにまた、ビードコアのフィラメントの断面形状が円形である場合のビード崩れやプライの引き抜けの問題を解消するために、ビードコアを構成するフィラメントの断面形状を楕円形とするとともに、ビードコア全体の断面形状をも従来の断面形状に比し偏平にすることにより、ビード部耐久性と耐プライ引き抜け性を高めることが特開平9−71111号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコアの、該フィラメントの断面を偏平形状としたとき、その偏平比とビード部耐久性との関係は必ずしも明らかにされていなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、ビードコアのフィラメントの断面を偏平形状とし、かつその偏平比とビード崩れとの関係を解明することにより、優れたビード部耐久性を有する空気入りタイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビードコアを構成するフィラメントの断面形状を特定の偏平比で偏平とすることにより、上下に隣接するフィラメント同士との接触面積が大きくなり、それにより互いのフィラメント同士の拘束力が大きくなってビードコアが崩れにくくなり、結果として、ビード部耐久性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
【0011】
(1)トレッド部の両端部に連なる一対のサイドウォール部の内周に夫々形成された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、前記ビード部に、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコアが埋設されてなり、前記フィラメントの断面形状が、タイヤ径方向の高さ(a)とタイヤ幅方向の幅(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である偏平形状であることを特徴とする空気入りタイヤである。
【0012】
(2)前記(1)の空気入りタイヤにおいて、前記高さ(a)が1〜5mmである空気入りタイヤである。
【0013】
(3)前記(1)の空気入りタイヤにおいて、前記幅(b)が1.2mm以上である空気入りタイヤである。
【0014】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記フィラメントの断面形状が楕円である空気入りタイヤである。
【0015】
(5)前記(1)〜(3)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記フィラメントの断面形状が略矩形であり、角が直線的に面取りされている空気入りタイヤである。
【0016】
(6)前記(1)〜(3)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記フィラメントの断面形状が略矩形であり、角が曲線的に面取りされている空気入りタイヤである。
【0017】
前記(1)〜(6)の発明においては、上下に隣接するフィラメント同士の接触面積が大きくなり、また縦方向(タイヤ径方向)に対してもビードフィラーの方向からの圧力を受け易くなる。それにより互いのフィラメント同士の拘束力が大きくなり、ビードコアが崩れにくくなる。特に、かかる作用効果を良好に得るために、前記(2)および(3)の発明においては、フィラメントの好適な断面寸法を規定するものであり、前記(4)〜(6)の発明においては、フィラメントの好適な偏平断面形状を規定するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤの、トレッド部(図示せず)の両端部に連なる一対のサイドウォール部5の内周に夫々形成された一対のビード部1の片方断面を図1に拡大して示す。
【0019】
この空気入りタイヤの骨格を構成する少なくとも1枚のカーカスプライ材2は、ナイロンやポリエステル等の有機繊維コードやスチールコードを平行に並べてゴムコーティングしたものである。そのコードはこの空気入りタイヤの赤道面に対して、通常、20〜90°の角度で交差する方向にそれぞれ配列した少なくとも1層により形成されている。なお、カーカスプライ2を複数層とするときは、プライコードを互いに交差させ、また、タイヤ赤道面に対して互いに反対方向に傾斜させる。
【0020】
このカーカスプライ材2の両端部近傍に、それぞれフィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコア3が一対にて配置されている。カーカスプライ材2は、これら一対のビードコア3にトロイド状に跨がり該カーカスプライ材2の両端部が巻き付けられて係止されている。さらに、このビードコア3の上部のカーカスプライ材2間の隙間には、硬質ゴム製で先細り形状に形成されたビードフィラー4がそれぞれ埋設されている。
【0021】
本発明においては、かかるビードコア3を構成するフィラメントの断面が偏平形状であり、その高さ(タイヤ径方向)(a)と幅(タイヤ幅方向)(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である。この偏平比は、好ましくは1.5〜6、より好ましくは1.5〜4である。この偏平比が1.2未満であると、互いのフィラメントの拘束力が十分に大きくならず、一方、6を超えると、カーカスプライコード端部の巻付け固定およびホイールリムとの嵌め合い確保の面から好ましくない。
【0022】
前記高さ(a)は、好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜3mmであり、一方、幅(b)は、好ましくは1.2mm以上、より好ましくは2〜6mmである。高さ(a)および幅(b)が上記好適範囲内のときに本発明の所望の効果が良好に得られるとともに、ビードコアとしてのカーカスプライコード端部の巻付け固定およびホイールリムとの嵌め合いも良好に行われる。
【0023】
また、本発明においては、ビードコア3を構成するフィラメントの断面形状は、好ましくは、図2に示すように、(ア)楕円、(イ)角が直線的に面取りされた略矩形、または(ウ)角が曲線的に面取りされた略矩形である。各断面形状に対し、高さ(a)および幅(b)は夫々図示する通りである。
【0024】
図示するように断面を楕円とすることにより、あるいは断面を略矩形とする場合にはその角を直線的または曲線的に面取りすることにより、隣接するフィラメント同士が互いに傷つけ合うことがなく、ビード部耐久性が損なわれることもない。
【0025】
本発明においては、ビードコア全体の断面形状も従来の断面形状に比し偏平となることにより、従来の断面形状よりもコアの幅を広く取ることができるので、プライの動きを抑制し、プライの引き抜けの可能性を小さくすることができる。また、この場合、ビードフィラーの容積を大きくすることができることによって、プライ端の歪みを抑え、結果としてビード部耐久性を向上させることができる。
【0026】
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記ビードコアの断面形状は、好ましくは六角形であり、また該断面形状内のフィラメントの本数は、好ましくは7〜60本である。
【0027】
なお、本発明は空気入りタイヤのビード部の改良に係るものであり、その他の構造および材質等は特に制限されるべきものではない。例えば、図示はしないが、クラウン部には、ゴム材により円環状に形成されて路面に接地するトレッドが配置され、このトレッドには適宜トレッドパターンが形成される。また、ビードコア3とトレッドの両端部との間を繋ぐ部分のカーカスプライ材2上にはサイドウォール部5が配置され、空気入りタイヤの最内層にはインナーライナーが形成される。さらに、カーカスプライ材2とトレッド部との間にベルト層が配設される。
【0028】
また、例えば、図7に示すワインドビード構造を有する空気入りタイヤの場合についても同様であり、図示するように、ビード部13の形状を本発明に係る条件を満足するよう規定する以外の点については、常法に従い適宜決定することができる。この場合、クラウン部(図示せず)およびサイドウォール部15については図1に示す空気入りタイヤと同様の構成であるが、ビード部11に関しては、ビードコア13間に配設されたカーカスプライ材12のプライコードがビードコア13に巻きつく、いわゆるワインドビード構造を有しており、プライ端歪の抑制を図る構成となっている。また、ビードコア13の上部のカーカスプライ材12のタイヤ軸方向外側には、硬/軟ゴム製で先細り状に形成されたビードフィラー14が埋設されている。
【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例、従来例および比較例に基づき説明する。
下記の表1に示す条件にて各ビードコアをモノストランドにて製造し、これらビードコアを用いてサイズ315/70R22.5のタイヤを夫々試作した。表1に示すビードコアの断面構造を図3の(a)〜(j)に示す。
【0030】
各試作タイヤをETRTO規格に定める標準リムに組み、タイヤの規格最大内圧(ETRTO STANDARDS MANUALでの適用サイズ・ロードインデックスにおける最大負荷能力に対応する空気圧)とした。ついで、セミトラクターの100%積載車の駆動軸に装着して、走行距離15万kmの実車走行試験を実施した。
【0031】
また、ETRTO規格に定める標準リムに組み、タイヤの規格最大内圧(ETRTO STANDARDS MANUALでの適用サイズ・ロードインデックスにおける最大負荷能力に対応する空気圧)を充填した後、正規荷重(ETRTO STANDARDS MANUALでの適用サイズ・ロードインデックスにおける最大負荷能力)の190%の荷重、速度60km/時にてインサイドドラム試験に供した。
【0032】
ビード部耐久性の評価は、15万kmの実車走行試験後のビードコアの崩れ量と、新品時および15万kmの実車走行試験後における上記ドラム走行距離とにより評価した。なお、ビードコアの崩れ量とは、図4の(ア)に示す、新品時におけるビードコアの高さをH0、(イ)に示す、上記15万kmの実車走行試験後におけるビードコアの高さをH1としたとき、その比率(H1/H0)を崩れ量とした。得られた結果を下記の表1に併記する。
【0033】
ビードコアの崩れ量は、従来例を100として指数にて表示した。表値が大なる程結果が良好である。また、ビード部耐久性は、従来例の新品時および15万kmの実車走行試験後におけるドラム走行距離を夫々100として指数にて表示した。表値が大なる程結果が良好である。
【0034】
さらに、従来例、比較例および実施例6における偏平比(b/a)とビードコアの崩れ量との関係を図5に、また、偏平比(b/a)とドラム走行距離との関係を図6に、夫々示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、ビードコアを構成するフィラメント同士の拘束力が大きくなり、ビードコアが崩れにくくなる。これによりビード部耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤのビード部の拡大断面図である。
【図2】夫々ビードコアを構成するフィラメントの断面図である。
【図3】夫々実施例において用いたビードコアの断面図である。
【図4】ビードコアの崩れ量を表す説明図である。
【図5】従来例、比較例および実施例6における偏平比(b/a)とビードコアの崩れ量(H1/H0)との関係を示すグラフである。
【図6】従来例、比較例および実施例6における偏平比(b/a)と走行距離との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る空気入りタイヤのビード部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1,11 ビード部
2,12 カーカスプライ材
3,13 ビードコア
4,14 ビードフィラー
5,15 サイドウォール部
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関し、詳しくは、タイヤのビード部に埋設されたビードコアを構成するフィラメントの改良により、ビード部耐久性の向上を図った空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのビード部におけるビードコアは、カーカスプライを形成する繊維や鋼線のコード端部を巻付け固定するとともに、タイヤ本体の内周の寸法を規定し、ホイールリムとの嵌め合いを確保している。このように、極めて重要なタイヤの構成要素であるビードコアを構成するフィラメントの断面形状は、従来より一般にほぼ真円であった。
【0003】
しかし、従来の空気入りタイヤにおいては、ビードコアのフィラメントの断面形状がほぼ真円であるために、走行によりビード構造が崩れ易いという問題があった。ビード構造が崩れると、カーカスプライ端の歪みが大きくなり、ビード部耐久性の低下を招くことになる。
【0004】
ところで、これまでに空気入りタイヤのビード部の改良技術として、ビードコアのフィラメントの断面形状が円形以外のものも幾つか提案されてきた。例えば、ビードフィラメント相互の安定した重なり姿勢を保つために、ストリップフィラメントにコーティングゴムを被覆してなるビードフィラメントの断面形状を楕円形とすることが特開平6−79807号公報に開示されている。
【0005】
また、製造を容易にしかつタイヤの成型、加硫時における配列の乱れを防止するために、積層巻回された硬鋼線の中心層の硬鋼線のみを偏平形状にすることが特開昭55−87605号に開示されている。
【0006】
さらに、形状の均一性を維持してビードコアを製造するために、断面円形状の硬鋼線を圧延または引き抜き加工することにより平行な2辺を持つ硬鋼線にし、該硬鋼線でビードコアを構成することが特開昭58−128238号公報に開示されている。
【0007】
さらにまた、ビードコアのフィラメントの断面形状が円形である場合のビード崩れやプライの引き抜けの問題を解消するために、ビードコアを構成するフィラメントの断面形状を楕円形とするとともに、ビードコア全体の断面形状をも従来の断面形状に比し偏平にすることにより、ビード部耐久性と耐プライ引き抜け性を高めることが特開平9−71111号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコアの、該フィラメントの断面を偏平形状としたとき、その偏平比とビード部耐久性との関係は必ずしも明らかにされていなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、ビードコアのフィラメントの断面を偏平形状とし、かつその偏平比とビード崩れとの関係を解明することにより、優れたビード部耐久性を有する空気入りタイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビードコアを構成するフィラメントの断面形状を特定の偏平比で偏平とすることにより、上下に隣接するフィラメント同士との接触面積が大きくなり、それにより互いのフィラメント同士の拘束力が大きくなってビードコアが崩れにくくなり、結果として、ビード部耐久性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
【0011】
(1)トレッド部の両端部に連なる一対のサイドウォール部の内周に夫々形成された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、前記ビード部に、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコアが埋設されてなり、前記フィラメントの断面形状が、タイヤ径方向の高さ(a)とタイヤ幅方向の幅(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である偏平形状であることを特徴とする空気入りタイヤである。
【0012】
(2)前記(1)の空気入りタイヤにおいて、前記高さ(a)が1〜5mmである空気入りタイヤである。
【0013】
(3)前記(1)の空気入りタイヤにおいて、前記幅(b)が1.2mm以上である空気入りタイヤである。
【0014】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記フィラメントの断面形状が楕円である空気入りタイヤである。
【0015】
(5)前記(1)〜(3)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記フィラメントの断面形状が略矩形であり、角が直線的に面取りされている空気入りタイヤである。
【0016】
(6)前記(1)〜(3)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記フィラメントの断面形状が略矩形であり、角が曲線的に面取りされている空気入りタイヤである。
【0017】
前記(1)〜(6)の発明においては、上下に隣接するフィラメント同士の接触面積が大きくなり、また縦方向(タイヤ径方向)に対してもビードフィラーの方向からの圧力を受け易くなる。それにより互いのフィラメント同士の拘束力が大きくなり、ビードコアが崩れにくくなる。特に、かかる作用効果を良好に得るために、前記(2)および(3)の発明においては、フィラメントの好適な断面寸法を規定するものであり、前記(4)〜(6)の発明においては、フィラメントの好適な偏平断面形状を規定するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤの、トレッド部(図示せず)の両端部に連なる一対のサイドウォール部5の内周に夫々形成された一対のビード部1の片方断面を図1に拡大して示す。
【0019】
この空気入りタイヤの骨格を構成する少なくとも1枚のカーカスプライ材2は、ナイロンやポリエステル等の有機繊維コードやスチールコードを平行に並べてゴムコーティングしたものである。そのコードはこの空気入りタイヤの赤道面に対して、通常、20〜90°の角度で交差する方向にそれぞれ配列した少なくとも1層により形成されている。なお、カーカスプライ2を複数層とするときは、プライコードを互いに交差させ、また、タイヤ赤道面に対して互いに反対方向に傾斜させる。
【0020】
このカーカスプライ材2の両端部近傍に、それぞれフィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコア3が一対にて配置されている。カーカスプライ材2は、これら一対のビードコア3にトロイド状に跨がり該カーカスプライ材2の両端部が巻き付けられて係止されている。さらに、このビードコア3の上部のカーカスプライ材2間の隙間には、硬質ゴム製で先細り形状に形成されたビードフィラー4がそれぞれ埋設されている。
【0021】
本発明においては、かかるビードコア3を構成するフィラメントの断面が偏平形状であり、その高さ(タイヤ径方向)(a)と幅(タイヤ幅方向)(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である。この偏平比は、好ましくは1.5〜6、より好ましくは1.5〜4である。この偏平比が1.2未満であると、互いのフィラメントの拘束力が十分に大きくならず、一方、6を超えると、カーカスプライコード端部の巻付け固定およびホイールリムとの嵌め合い確保の面から好ましくない。
【0022】
前記高さ(a)は、好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜3mmであり、一方、幅(b)は、好ましくは1.2mm以上、より好ましくは2〜6mmである。高さ(a)および幅(b)が上記好適範囲内のときに本発明の所望の効果が良好に得られるとともに、ビードコアとしてのカーカスプライコード端部の巻付け固定およびホイールリムとの嵌め合いも良好に行われる。
【0023】
また、本発明においては、ビードコア3を構成するフィラメントの断面形状は、好ましくは、図2に示すように、(ア)楕円、(イ)角が直線的に面取りされた略矩形、または(ウ)角が曲線的に面取りされた略矩形である。各断面形状に対し、高さ(a)および幅(b)は夫々図示する通りである。
【0024】
図示するように断面を楕円とすることにより、あるいは断面を略矩形とする場合にはその角を直線的または曲線的に面取りすることにより、隣接するフィラメント同士が互いに傷つけ合うことがなく、ビード部耐久性が損なわれることもない。
【0025】
本発明においては、ビードコア全体の断面形状も従来の断面形状に比し偏平となることにより、従来の断面形状よりもコアの幅を広く取ることができるので、プライの動きを抑制し、プライの引き抜けの可能性を小さくすることができる。また、この場合、ビードフィラーの容積を大きくすることができることによって、プライ端の歪みを抑え、結果としてビード部耐久性を向上させることができる。
【0026】
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記ビードコアの断面形状は、好ましくは六角形であり、また該断面形状内のフィラメントの本数は、好ましくは7〜60本である。
【0027】
なお、本発明は空気入りタイヤのビード部の改良に係るものであり、その他の構造および材質等は特に制限されるべきものではない。例えば、図示はしないが、クラウン部には、ゴム材により円環状に形成されて路面に接地するトレッドが配置され、このトレッドには適宜トレッドパターンが形成される。また、ビードコア3とトレッドの両端部との間を繋ぐ部分のカーカスプライ材2上にはサイドウォール部5が配置され、空気入りタイヤの最内層にはインナーライナーが形成される。さらに、カーカスプライ材2とトレッド部との間にベルト層が配設される。
【0028】
また、例えば、図7に示すワインドビード構造を有する空気入りタイヤの場合についても同様であり、図示するように、ビード部13の形状を本発明に係る条件を満足するよう規定する以外の点については、常法に従い適宜決定することができる。この場合、クラウン部(図示せず)およびサイドウォール部15については図1に示す空気入りタイヤと同様の構成であるが、ビード部11に関しては、ビードコア13間に配設されたカーカスプライ材12のプライコードがビードコア13に巻きつく、いわゆるワインドビード構造を有しており、プライ端歪の抑制を図る構成となっている。また、ビードコア13の上部のカーカスプライ材12のタイヤ軸方向外側には、硬/軟ゴム製で先細り状に形成されたビードフィラー14が埋設されている。
【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例、従来例および比較例に基づき説明する。
下記の表1に示す条件にて各ビードコアをモノストランドにて製造し、これらビードコアを用いてサイズ315/70R22.5のタイヤを夫々試作した。表1に示すビードコアの断面構造を図3の(a)〜(j)に示す。
【0030】
各試作タイヤをETRTO規格に定める標準リムに組み、タイヤの規格最大内圧(ETRTO STANDARDS MANUALでの適用サイズ・ロードインデックスにおける最大負荷能力に対応する空気圧)とした。ついで、セミトラクターの100%積載車の駆動軸に装着して、走行距離15万kmの実車走行試験を実施した。
【0031】
また、ETRTO規格に定める標準リムに組み、タイヤの規格最大内圧(ETRTO STANDARDS MANUALでの適用サイズ・ロードインデックスにおける最大負荷能力に対応する空気圧)を充填した後、正規荷重(ETRTO STANDARDS MANUALでの適用サイズ・ロードインデックスにおける最大負荷能力)の190%の荷重、速度60km/時にてインサイドドラム試験に供した。
【0032】
ビード部耐久性の評価は、15万kmの実車走行試験後のビードコアの崩れ量と、新品時および15万kmの実車走行試験後における上記ドラム走行距離とにより評価した。なお、ビードコアの崩れ量とは、図4の(ア)に示す、新品時におけるビードコアの高さをH0、(イ)に示す、上記15万kmの実車走行試験後におけるビードコアの高さをH1としたとき、その比率(H1/H0)を崩れ量とした。得られた結果を下記の表1に併記する。
【0033】
ビードコアの崩れ量は、従来例を100として指数にて表示した。表値が大なる程結果が良好である。また、ビード部耐久性は、従来例の新品時および15万kmの実車走行試験後におけるドラム走行距離を夫々100として指数にて表示した。表値が大なる程結果が良好である。
【0034】
さらに、従来例、比較例および実施例6における偏平比(b/a)とビードコアの崩れ量との関係を図5に、また、偏平比(b/a)とドラム走行距離との関係を図6に、夫々示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、ビードコアを構成するフィラメント同士の拘束力が大きくなり、ビードコアが崩れにくくなる。これによりビード部耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤのビード部の拡大断面図である。
【図2】夫々ビードコアを構成するフィラメントの断面図である。
【図3】夫々実施例において用いたビードコアの断面図である。
【図4】ビードコアの崩れ量を表す説明図である。
【図5】従来例、比較例および実施例6における偏平比(b/a)とビードコアの崩れ量(H1/H0)との関係を示すグラフである。
【図6】従来例、比較例および実施例6における偏平比(b/a)と走行距離との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る空気入りタイヤのビード部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1,11 ビード部
2,12 カーカスプライ材
3,13 ビードコア
4,14 ビードフィラー
5,15 サイドウォール部
Claims (6)
- トレッド部の両端部に連なる一対のサイドウォール部の内周に夫々形成された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、前記ビード部に、フィラメントを螺旋状に旋回し束ねることによって形成されたモノストランドビードコアが埋設されてなり、前記フィラメントの断面形状が、タイヤ径方向の高さ(a)とタイヤ幅方向の幅(b)との偏平比(b/a)が1.2以上である偏平形状であることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記高さ(a)が1〜5mmである請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記幅(b)が1.2mm以上である請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィラメントの断面形状が楕円である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィラメントの断面形状が略矩形であり、角が直線的に面取りされている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィラメントの断面形状が略矩形であり、角が曲線的に面取りされている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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