JP2004058701A - 電気自動車用駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリーズハイブリッド型の電気自動車用駆動装置において、2つのパワーユニットの収納効率を向上してエンジン駆動式車両の縦置き型車載レイアウトに搭載する。
【解決手段】走行用の電動機4の電力源となるバッテリに充電する発電機3と、この発電機3を駆動する発電用のエンジン2とを有する電気自動車用駆動装置1であって、エンジン2を車両に縦置きに配置してエンジン2の後端に発電機3を取り付け、発電機3とその後方に配置される電動機4との間に、電動機4の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構5を取り付けている。必要な2つのパワーユニット14,15を直列の配置で一体に結合し、不要なトルクコンバータを設置していた位置にほぼ同じ大きさの発電機3を配置した構成であるため、結果的にエンジン駆動式車両の縦置き型パワーユニットと同じ大きさとなる。
【選択図】 図1
【解決手段】走行用の電動機4の電力源となるバッテリに充電する発電機3と、この発電機3を駆動する発電用のエンジン2とを有する電気自動車用駆動装置1であって、エンジン2を車両に縦置きに配置してエンジン2の後端に発電機3を取り付け、発電機3とその後方に配置される電動機4との間に、電動機4の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構5を取り付けている。必要な2つのパワーユニット14,15を直列の配置で一体に結合し、不要なトルクコンバータを設置していた位置にほぼ同じ大きさの発電機3を配置した構成であるため、結果的にエンジン駆動式車両の縦置き型パワーユニットと同じ大きさとなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走行用の電動機の電力源となるバッテリに充電する発電機およびこの発電機を駆動する発電用の内燃機関とを有するシリーズハイブリット型の電気自動車用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機を駆動輪の動力源とする電気自動車には、内燃機関により発電機を駆動して発電し、バッテリに充電して走行用の電動機つまり駆動用モータを動力源として走行するシリーズハイブリット型がある。このような電気自動車にあっては、電動機の出力を駆動輪に伝達するために、車両旋回時の左右の駆動輪間の回転差を吸収する差動機構と減速機または変速機とを有する動力伝達機構が車両に搭載される。
【0003】
このようにシリーズハイブリット車両の駆動装置は、内燃機関により直接駆動輪を駆動するエンジン駆動式の車両が1つのパワーユニットとなるのに対して、内燃機関と発電機を備えた発電パワーユニットと、電動機と動力伝達機構を備えた駆動用パワーユニットとの2つのパワーユニットを車両に搭載する必要がある。また車体に搭載するバッテリの容積も大きくなることから、いかにして2つのパワーユニットを高い収納効率で車体に搭載するようにするかが重要な課題となっている。
【0004】
従来、2つのパワーユニットを有する電気自動車としては、例えば、特開平10−145905号公報に開示されるように、内燃機関を車両の幅方向に配置するようにした横置き式の車載レイアウトが開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
2つのパワーユニットを有する電気自動車の駆動装置を開発するには、開発コストを抑える意味でも既に開発されているエンジン駆動式車両の駆動装置のレイアウトをそのまま流用してパワーユニットを搭載することが好ましい。多種ある車載レイアウトのうちでも後輪にかかる重量バランスがよいことから縦置き型車載レイアウトへの対応が要望されている。しかし前記公報には2つのパワーユニットをそれぞれ横置きに搭載する車載レイアウトしか開示しておらず、現行の縦置き型パワーユニットを搭載する車体に対応して2つのパワーユニットを搭載できるシリーズハイブリッド車用の車載レイアウトについてはまだ例がなかった。
【0006】
シリーズハイブリッド車の場合は2つのパワーユニットを搭載する関係から必要とする収容容積が大きく、縦置き型パワーユニットを1つだけ搭載するエンジン駆動式車両の縦置き型車載レイアウトへそのまま対応することは困難であった。そのため車体のマウントフレームなどを大きく変更する必要があり、その実施化には大きなコストを要するといった問題があった。また車体のマウントフレームを変更して搭載する場合であっても、エンジンルーム内の有効スペースをより多く確保できるよう2つのパワーユニットの収納効率を向上させることが要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、2つのパワーユニットの収納効率を向上してエンジン駆動式車両の縦置き型車載レイアウトに搭載可能なシリーズハイブリッド型の電気自動車用駆動装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気自動車用駆動装置は、走行用の電動機の電力源となるバッテリを充電する発電機と、この発電機を駆動する発電用の内燃機関と、電動機の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構とを有するものであり、内燃機関を縦置きに配置し、その後端に発電機を取り付け、発電機とその後方に配置される電動機との間に動力伝達機構を取り付けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の電気自動車用駆動装置は、走行用の電動機の電力源となるバッテリに充電する発電機と、この発電機を駆動する発電用の内燃機関と電動機の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構とを有するものであり、内燃機関を車両に縦置きに配置し、その後方に配置される電動機との間に動力伝達機構を取り付け、発電機を内燃機関に並べて配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明の電気自動車用駆動装置は、動力伝達機構が有段もしくは無段の変速機または減速機を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、シリーズハイブリッド型の電気自動車に必要とされる2つのパワーユニットにおいて、前方から内燃機関、発電機、動力伝達機構、電動機の順に直列の配置で一体に結合することにより縦方向に短くすることができる。特に、電気自動車には不要となるトルクコンバータ又はクラッチの代わりに動力伝達機構の前方部分へ発電機を置き換えた構成となっているため、結果的にエンジン駆動式車両の縦置き型パワーユニットと同じ大きさに構成することができる。したがってその車載レイアウトに対応する現行の車体を変更することなく本発明の駆動装置をそのまま設置できるため、低いコストで流用車体への置き換え搭載が可能になる。
【0012】
本発明にあっては、シリーズハイブリッド車に必要とされる2つのパワーユニットにおいて、発電機を内燃機関と並列に配置し、前方から内燃機関、動力伝達機構、電動機の順に直列の配置で一体に結合することにより、トルクコンバータ又はクラッチを省略した範囲分だけ内燃機関を後方へ配置でき、それだけ縦方向に短く構成して収納効率を向上させることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である電気自動車用駆動装置を示す一部切り欠き側面図であり、この駆動装置1は車両のエンジンルームに縦置きに配置される内燃機関であるガソリンエンジン2を有し、この後端には図示省略したバッテリに充電するための発電機3が取り付けられている。発電機3の後方には駆動用モータつまり電動機4が配置されており、この電動機4と発電機3との間には、電動機4の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構5が取り付けられている。
【0014】
発電機3はエンジン2のクランク軸に取り付けられる発電用ロータ6とエンジン2の後端面に取り付けられる発電用ステータ7とを有し、これらはエンジン2に取り付けられるケース8内の前方位置に収容されている。動力伝達機構5は駆動軸9及び図示しない差動機構(デファレンシャルギヤ)を介して駆動輪に連結されている終減速機10(ハイポイドギヤ10a及び図示しないハイポイドピニオンギヤ)と、この終減速機10の後方に連結される図示しない変速機又は減速機(詳細は後述する)とを有し、これらはケース8内に収容されている。電動機4は駆動用ステータ11と、変速機又は減速機に連結されるロータ軸12を中心に備えて駆動用ステータ11の内側で回転自在となっている駆動用ロータ13とを内部に有し、ケース8の後端面に取り付けられている。エンジン2と発電機3が発電用パワーユニット14を構成し、動力伝達機構5と電動機4が駆動用パワーユニット15を構成している。
【0015】
エンジン駆動式車両に用いられる縦置き型パワーユニットにあっては、エンジンと、その後方に位置してエンジン駆動力の伝達と切り離しを切り換えるトルクコンバータやクラッチと、その後方に位置する動力伝達機構とを直列の配置で一体に結合し、単体の駆動用パワーユニットを構成している。これに対して、図1に示す駆動装置1においては、エンジン2の後方に発電機3を取り付けるようにしたのでエンジン駆動式車両の車載レイアウトを活用することができる。
【0016】
したがって本実施の形態の電気自動車用駆動装置1によれば、縦置き型車載レイアウトで単一のパワーユニットを搭載しているエンジン駆動式車両の車体を流用する場合であっても、車体フレームなどを大きく変更することなく駆動装置1をそのまま設置できるため低いコストで容易に置き換え搭載することができる。
【0017】
また発電機3については、外部から電力が供給されて回転駆動力を発生できるものを用いることにより、運転開始前のエンジン2を始動させるためのセルモータとして機能させることもできる。
【0018】
図2は本発明の他の実施の形態である電気自動車用駆動装置を示す一部きり欠き側面図である。この図において、図1に示した駆動装置と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0019】
この駆動装置21にあっては、発電機22は外径の小さいものを使用しエンジン2の上方に並列に配置されてそれらが発電用パワーユニット23を構成しており、エンジン2のクランク軸と発電機22のロータ軸がベルト24を介して連結し駆動可能となっている。そして前方から順にエンジン2、動力伝達機構5及び電動機4が直列の配置で一体に結合されている。
【0020】
すなわち図1に示す場合には発電機3が動力伝達機構5の前方位置に設置されていたが、他の実施の形態では発電機22がエンジン2の上方に並列に配置され、その空いた範囲分Xだけエンジン2を後方へずらして配置し、それだけ駆動装置21の全長を短くした構成となっている。
【0021】
したがって本実施の形態の電気自動車用駆動装置21によれば、駆動装置21の全長を短くできたことにより、エンジンルームでの収納効率が向上し、より広い有効スペースを確保することができる。またこの発電機22についても回転駆動力を発生可能なものを用いることにより、始動用セルモータとして機能させることもできる。
【0022】
以下、本発明の駆動装置1,21において動力伝達機構5の内部に設置される変速機、減速機について図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
前記2つの実施の形態が備える動力伝達機構5の内部において、終減速機10(ハイポイドギヤ10a及びハイポイドピニオンギヤ)と電動機4との間に減速比の変更可能な変速機を連結して設けた場合には、電動機4の回転速度域に合わせて適切な減速比を選択的に得ることができ、比較的小さい電動機4を用いても加速性や駆動安定性を向上させることができる。したがって電動機4の小型軽量化が可能となり、駆動装置1,21の全長を短縮化してさらに収納性を向上することができる。
【0024】
ここで本発明の駆動装置1,21に適用可能な有段の変速機の例として、変速段を切り換えるための制御機構を備えた遊星歯車を用いることが挙げられる。図3は本発明の駆動装置1,21に変速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。この図において、図1に示した駆動装置1と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。ケース8の内周にはブレーキリング25が固定されており、さらにその内周に装着されるリングギヤ26との間にはブレーキ操作によりリングギヤ26の固定と解放を切り換え可能なブレーキ機構27が設けられている。リングギヤ26の内側には、その内歯に噛み合う4つのプラネタリピニオンギヤ28とそれらを回転自在に支持するプラネタリキャリア29が回転自在に装着されており、その前方にはハイポイドギヤ10aに噛み合うハイポイドピニオンギヤ10bが連結されている。さらに各プラネタリピニオンギヤ28より内周側にそれぞれ噛み合うサンギヤ30が装着されており、その後方には電動機4のロータ軸12が連結されている。またプラネタリキャリア29とサンギヤ30との間には、それらの締結とその解放を切り換え可能なクラッチ機構31(プラネタリロック)が設けられている。これらのギヤ26,28,30及びキャリア29によって2段変速機である遊星歯車式変速機32が形成されている。
【0025】
このような遊星歯車式変速機32を備えた駆動装置の作動としては、まずエンジン2により駆動された発電機3が発電を行い、これにより生じた電力が図示しないバッテリや制御用インバータを通じて電動機4に供給され回転駆動力を発生させる。ここで遊星歯車式変速機32において、ブレーキ機構27を固定側に操作してリングギヤ26をブレーキリング25(ケース8)に対して固定し、クラッチ機構31を解放側に操作してプラネタリキャリア29(ハイポイドピニオンギヤ10b)とサンギヤ30(ロータ軸12)とが相対的に回転可能な状態とすることにより、遊星歯車式変速機32は低速段に入った状態となる。これによりサンギヤ30を介して入力される電動機4の回転駆動力は、その回転速度を減速されてキャリア29を回転させるが、そのトルクは、1+(リングギヤ26の歯数/サンギヤ30の歯数)だけ増幅されてキャリア29を駆動することになる。このような遊星歯車式変速機32と終減速機10との2段に渡って得られる大きな減速比とトルク増幅により、車両の発進時に必要とされる大きな駆動力を得ることができる。
【0026】
またブレーキ機構27を解放側に操作してリングギヤ26を回転自在とし、クラッチ機構31を締結側に操作して、ロータ軸12、キャリア29及びリングギヤ26を一体に締結した状態とすることにより、遊星歯車式変速機32は高速段に入った状態となる。これによりサンギヤ30を介して入力される電動機4の回転駆動力の回転速度はそのまま(減速比1)でキャリア29を駆動することになり、すなわち電動機4と駆動軸9との間の減速段は終減速機10の1段のみとなって、高速域での走行時に高い回転速度で駆動することができる。
【0027】
またブレーキ機構27及びクラッチ機構31を共に解放側に操作した場合には、サンギヤ30の回転に対してリングギヤ26とキャリア29の両方が空回りするだけとなり、すなわち遊星歯車式変速機32はニュートラルの状態となる。
【0028】
このような遊星歯車式変速機32におけるクラッチ機構31は、図4に示すようにリングギヤ26とキャリア29の間に設ける構成や、図5に示すようなリングギヤ26とサンギヤ30の間に設ける構成とすることも可能である。これらの構成の場合も図3に示す構成と同様にブレーキ機構27を固定してクラッチ機構31を解放することにより変速機32を低速段に入れることができ、またブレーキ機構27を解放してクラッチ機構31を締結することにより変速機32を高速段に入れることができる。
【0029】
またこのような遊星歯車で構成する変速機以外にも、本発明の駆動装置1,21に適用可能な例として可変溝幅プーリとベルトを利用した無段変速機を用いることが挙げられる。図6は本発明の駆動装置1,21に変速機として無段変速機を設けた構成のスケルトン図である。無段変速機33は、ロータ軸12に装着され電動機4から回転駆動力が入力されるプライマリプーリ34と、ハイポイドピニオンギヤ10bの回転軸に装着され終減速機10に回転駆動力を出力するセカンダリプーリ35と、プライマリプーリ34からセカンダリプーリ35へ回転を伝達する駆動ベルト36とから構成されている。またプライマリプーリ34とセカンダリプーリ35は、それぞれ可動シーブ34a,35aと固定シーブ34b,35bを組み合わせて構成されており、各可動シーブ34aが軸方向に移動可能な状態で組み込まれている。図示しない油圧制御により各可動シーブ34a,35aを軸方向にスライドさせてプライマリプーリ34とセカンダリプーリ35のそれぞれの溝幅を変更することができ、それにより駆動ベルト36の巻掛け径が変化して無段階で任意の減速比が得られることになる。
【0030】
このような無段変速機33と終減速機10との2段に渡って任意の大きさの減速比とトルク増幅が得られることにより、比較的小さい電動機4を用いても加速性や駆動安定性を向上させることができる。
【0031】
なお前記2つの例で挙げたような変速機の代わりに、減速比が固定された減速機を連結して設けることも可能であり、同じくモータトルクを増幅できることから電動機4の小型軽量化が可能となり、駆動装置1,21の全長を短縮化してさらに収納性を向上することができる。またこの場合、減速機は一般的に変速機と比較して構造が単純であるため、より簡素で安価なシステムを構築することができる。
【0032】
適用可能な減速機として例えば外歯式歯車対を用いることが挙げられる。図7は本発明の駆動装置1,21に減速機として外歯式歯車対を設けた構成のスケルトン図である。外歯式歯車対37は、ロータ軸12に装着され電動機4から回転駆動力が入力される小歯車38と、それに噛み合うとともにハイポイドピニオンギヤ10bの回転軸に装着され終減速機10に回転駆動力を出力する大歯車39とから構成されている。
【0033】
このような外歯式歯車対37によれば、得られる減速比やトルク増幅の大きさは常に一定であるが、構造が大変単純であるため容易かつ安価に製造することができる。また外歯式歯車対37は構成部材が少ないため駆動装置1,21の小型軽量化を図ることができ、特に軸方向に短い構成であることからさらに駆動装置1,21の全長を短縮化して収納性を向上することができる。
【0034】
また他にも、適用可能な減速機の例として制御機構を何も設けていない遊星歯車を用いることが挙げられる。図8は本発明の駆動装置1,21に減速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。この図において、遊星歯車式減速機40が図3、図4、図5に示す遊星歯車式変速機32と相違する点は、リングギヤ26がケース8の内周に直接固定され、またクラッチ機構を何も設けていない点であり、それ以外の共通する部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
このような遊星歯車式減速機40によれば、電動機4からサンギヤ30に入力されたトルクは常に1+(リングギヤ26の歯数/サンギヤ30の歯数)の固定された比率で増幅され、終減速機10に出力される。しかし前記遊星歯車式変速機32と比較して構造が単純であるため、より簡素で安価なシステムを構築することができる。
【0036】
図9は縦置き型車載レイアウトで搭載されたエンジン駆動式車両用駆動装置を比較例として示す概略側面図である。エンジン駆動式車両101は左右2つの前輪102を駆動する車両であり、車両にはこれら駆動輪102を駆動する内燃機関つまりエンジン103を有している。エンジン103の駆動力は、駆動力の伝達と切り離しを切り換えるトルクコンバータ104と、差動機構及び減速機構又は変速機構を有する動力伝達機構105と、前輪軸4とを介して駆動輪102に伝達される。ここで前方から順にエンジン103、トルクコンバータ104及び動力伝達機構105が直列の配置で一体に結合されて単体の駆動用パワーユニット106を構成しており、この1つだけのパワーユニット106が車両の前後方向に対して縦置きとなる車載レイアウトで搭載されている。エンジン103を始動するためのセルモータ107がエンジン103の上方に並列に配置されており、エンジン103のクランク軸とセルモータ107の回転軸がベルト108を介して連結し駆動可能となっている。なおパワーユニット106の一部であるトルクコンバータ104は、動力伝達機構105内に有する変速機がオートマチックトランスミッションである場合に設置されるものであり、これがマニュアルトランスミッションである場合には代わりにクラッチが設置されることになる。これに対して本発明の一実施の形態にあっては、トルクコンバータ104の代わりに同等の大きさの発電機3を設置してシリーズハイブリッド車用の2つのパワーユニットを結合した構成となっているため、結果的にエンジン駆動式車両の単一のパワーユニット106と比較しても全体の大きさをほぼ同等にできる。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、前記2つの実施の形態が対応する車体は前輪駆動車であったが、本発明の電気自動車用駆動装置は4輪駆動車にも適用することが可能である。この場合には、前輪と後輪との間の回転差を吸収できる前後輪差動装置を動力伝達機構の内部に設け、それに連結するリヤ駆動軸を介して後輪減速差動機構及び後輪軸に動力を伝達させる構成となる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、シリーズハイブリッド車に必要とされる2つのパワーユニットを直列の配置で一体に結合し、特に電気自動車には不要となるトルクコンバータ又はクラッチの代わりにほぼ同じ大きさの発電機を置き換えた構成となっているため、結果的にエンジン駆動式車両の縦置き型パワーユニットと同じ大きさに構成することができる。したがって現行の車体を変更することなく本発明の駆動装置をそのまま設置できるため、低いコストで流用車体への置き換え搭載が可能になる。
【0039】
本発明によれば、シリーズハイブリッド車に必要とされる2つのパワーユニットにおいて、発電機をエンジンと並列に配置し、それ以外のエンジン、動力伝達機構、電動機を直列の配置で一体に結合することにより、トルクコンバータ又はクラッチを省略した範囲分だけエンジンを後方へ配置でき、それだけ縦方向に短く構成して収納効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電気自動車用駆動装置を示す一部切り欠き側面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の電気自動車用駆動装置を示す一部切り欠き側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の駆動装置に変速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。
【図4】図3に示す遊星歯車式変速機の変形例を設けた構成のスケルトン図である。
【図5】図3に示す遊星歯車式変速機の変形例を設けた構成のスケルトン図である。
【図6】本発明の一実施の形態の駆動装置に変速機として無段変速機を設けた構成のスケルトン図である。
【図7】本発明の一実施の形態の駆動装置に減速機として外歯式歯車対を設けた構成のスケルトン図である。
【図8】本発明の一実施の形態の駆動装置に減速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。
【図9】縦置き型車載レイアウトで搭載されたエンジン駆動式車両用駆動装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1 一実施の形態の電気自動車用駆動装置
2 ガソリンエンジン
3 発電機
4 電動機
5 動力伝達機構
21 他の実施の形態の電気自動車用駆動装置
22 発電機
32 遊星歯車式変速機
33 無段変速機
37 外歯式歯車対
40 遊星歯車式減速機
【発明の属する技術分野】
本発明は走行用の電動機の電力源となるバッテリに充電する発電機およびこの発電機を駆動する発電用の内燃機関とを有するシリーズハイブリット型の電気自動車用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機を駆動輪の動力源とする電気自動車には、内燃機関により発電機を駆動して発電し、バッテリに充電して走行用の電動機つまり駆動用モータを動力源として走行するシリーズハイブリット型がある。このような電気自動車にあっては、電動機の出力を駆動輪に伝達するために、車両旋回時の左右の駆動輪間の回転差を吸収する差動機構と減速機または変速機とを有する動力伝達機構が車両に搭載される。
【0003】
このようにシリーズハイブリット車両の駆動装置は、内燃機関により直接駆動輪を駆動するエンジン駆動式の車両が1つのパワーユニットとなるのに対して、内燃機関と発電機を備えた発電パワーユニットと、電動機と動力伝達機構を備えた駆動用パワーユニットとの2つのパワーユニットを車両に搭載する必要がある。また車体に搭載するバッテリの容積も大きくなることから、いかにして2つのパワーユニットを高い収納効率で車体に搭載するようにするかが重要な課題となっている。
【0004】
従来、2つのパワーユニットを有する電気自動車としては、例えば、特開平10−145905号公報に開示されるように、内燃機関を車両の幅方向に配置するようにした横置き式の車載レイアウトが開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
2つのパワーユニットを有する電気自動車の駆動装置を開発するには、開発コストを抑える意味でも既に開発されているエンジン駆動式車両の駆動装置のレイアウトをそのまま流用してパワーユニットを搭載することが好ましい。多種ある車載レイアウトのうちでも後輪にかかる重量バランスがよいことから縦置き型車載レイアウトへの対応が要望されている。しかし前記公報には2つのパワーユニットをそれぞれ横置きに搭載する車載レイアウトしか開示しておらず、現行の縦置き型パワーユニットを搭載する車体に対応して2つのパワーユニットを搭載できるシリーズハイブリッド車用の車載レイアウトについてはまだ例がなかった。
【0006】
シリーズハイブリッド車の場合は2つのパワーユニットを搭載する関係から必要とする収容容積が大きく、縦置き型パワーユニットを1つだけ搭載するエンジン駆動式車両の縦置き型車載レイアウトへそのまま対応することは困難であった。そのため車体のマウントフレームなどを大きく変更する必要があり、その実施化には大きなコストを要するといった問題があった。また車体のマウントフレームを変更して搭載する場合であっても、エンジンルーム内の有効スペースをより多く確保できるよう2つのパワーユニットの収納効率を向上させることが要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、2つのパワーユニットの収納効率を向上してエンジン駆動式車両の縦置き型車載レイアウトに搭載可能なシリーズハイブリッド型の電気自動車用駆動装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気自動車用駆動装置は、走行用の電動機の電力源となるバッテリを充電する発電機と、この発電機を駆動する発電用の内燃機関と、電動機の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構とを有するものであり、内燃機関を縦置きに配置し、その後端に発電機を取り付け、発電機とその後方に配置される電動機との間に動力伝達機構を取り付けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の電気自動車用駆動装置は、走行用の電動機の電力源となるバッテリに充電する発電機と、この発電機を駆動する発電用の内燃機関と電動機の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構とを有するものであり、内燃機関を車両に縦置きに配置し、その後方に配置される電動機との間に動力伝達機構を取り付け、発電機を内燃機関に並べて配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明の電気自動車用駆動装置は、動力伝達機構が有段もしくは無段の変速機または減速機を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、シリーズハイブリッド型の電気自動車に必要とされる2つのパワーユニットにおいて、前方から内燃機関、発電機、動力伝達機構、電動機の順に直列の配置で一体に結合することにより縦方向に短くすることができる。特に、電気自動車には不要となるトルクコンバータ又はクラッチの代わりに動力伝達機構の前方部分へ発電機を置き換えた構成となっているため、結果的にエンジン駆動式車両の縦置き型パワーユニットと同じ大きさに構成することができる。したがってその車載レイアウトに対応する現行の車体を変更することなく本発明の駆動装置をそのまま設置できるため、低いコストで流用車体への置き換え搭載が可能になる。
【0012】
本発明にあっては、シリーズハイブリッド車に必要とされる2つのパワーユニットにおいて、発電機を内燃機関と並列に配置し、前方から内燃機関、動力伝達機構、電動機の順に直列の配置で一体に結合することにより、トルクコンバータ又はクラッチを省略した範囲分だけ内燃機関を後方へ配置でき、それだけ縦方向に短く構成して収納効率を向上させることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である電気自動車用駆動装置を示す一部切り欠き側面図であり、この駆動装置1は車両のエンジンルームに縦置きに配置される内燃機関であるガソリンエンジン2を有し、この後端には図示省略したバッテリに充電するための発電機3が取り付けられている。発電機3の後方には駆動用モータつまり電動機4が配置されており、この電動機4と発電機3との間には、電動機4の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構5が取り付けられている。
【0014】
発電機3はエンジン2のクランク軸に取り付けられる発電用ロータ6とエンジン2の後端面に取り付けられる発電用ステータ7とを有し、これらはエンジン2に取り付けられるケース8内の前方位置に収容されている。動力伝達機構5は駆動軸9及び図示しない差動機構(デファレンシャルギヤ)を介して駆動輪に連結されている終減速機10(ハイポイドギヤ10a及び図示しないハイポイドピニオンギヤ)と、この終減速機10の後方に連結される図示しない変速機又は減速機(詳細は後述する)とを有し、これらはケース8内に収容されている。電動機4は駆動用ステータ11と、変速機又は減速機に連結されるロータ軸12を中心に備えて駆動用ステータ11の内側で回転自在となっている駆動用ロータ13とを内部に有し、ケース8の後端面に取り付けられている。エンジン2と発電機3が発電用パワーユニット14を構成し、動力伝達機構5と電動機4が駆動用パワーユニット15を構成している。
【0015】
エンジン駆動式車両に用いられる縦置き型パワーユニットにあっては、エンジンと、その後方に位置してエンジン駆動力の伝達と切り離しを切り換えるトルクコンバータやクラッチと、その後方に位置する動力伝達機構とを直列の配置で一体に結合し、単体の駆動用パワーユニットを構成している。これに対して、図1に示す駆動装置1においては、エンジン2の後方に発電機3を取り付けるようにしたのでエンジン駆動式車両の車載レイアウトを活用することができる。
【0016】
したがって本実施の形態の電気自動車用駆動装置1によれば、縦置き型車載レイアウトで単一のパワーユニットを搭載しているエンジン駆動式車両の車体を流用する場合であっても、車体フレームなどを大きく変更することなく駆動装置1をそのまま設置できるため低いコストで容易に置き換え搭載することができる。
【0017】
また発電機3については、外部から電力が供給されて回転駆動力を発生できるものを用いることにより、運転開始前のエンジン2を始動させるためのセルモータとして機能させることもできる。
【0018】
図2は本発明の他の実施の形態である電気自動車用駆動装置を示す一部きり欠き側面図である。この図において、図1に示した駆動装置と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0019】
この駆動装置21にあっては、発電機22は外径の小さいものを使用しエンジン2の上方に並列に配置されてそれらが発電用パワーユニット23を構成しており、エンジン2のクランク軸と発電機22のロータ軸がベルト24を介して連結し駆動可能となっている。そして前方から順にエンジン2、動力伝達機構5及び電動機4が直列の配置で一体に結合されている。
【0020】
すなわち図1に示す場合には発電機3が動力伝達機構5の前方位置に設置されていたが、他の実施の形態では発電機22がエンジン2の上方に並列に配置され、その空いた範囲分Xだけエンジン2を後方へずらして配置し、それだけ駆動装置21の全長を短くした構成となっている。
【0021】
したがって本実施の形態の電気自動車用駆動装置21によれば、駆動装置21の全長を短くできたことにより、エンジンルームでの収納効率が向上し、より広い有効スペースを確保することができる。またこの発電機22についても回転駆動力を発生可能なものを用いることにより、始動用セルモータとして機能させることもできる。
【0022】
以下、本発明の駆動装置1,21において動力伝達機構5の内部に設置される変速機、減速機について図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
前記2つの実施の形態が備える動力伝達機構5の内部において、終減速機10(ハイポイドギヤ10a及びハイポイドピニオンギヤ)と電動機4との間に減速比の変更可能な変速機を連結して設けた場合には、電動機4の回転速度域に合わせて適切な減速比を選択的に得ることができ、比較的小さい電動機4を用いても加速性や駆動安定性を向上させることができる。したがって電動機4の小型軽量化が可能となり、駆動装置1,21の全長を短縮化してさらに収納性を向上することができる。
【0024】
ここで本発明の駆動装置1,21に適用可能な有段の変速機の例として、変速段を切り換えるための制御機構を備えた遊星歯車を用いることが挙げられる。図3は本発明の駆動装置1,21に変速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。この図において、図1に示した駆動装置1と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。ケース8の内周にはブレーキリング25が固定されており、さらにその内周に装着されるリングギヤ26との間にはブレーキ操作によりリングギヤ26の固定と解放を切り換え可能なブレーキ機構27が設けられている。リングギヤ26の内側には、その内歯に噛み合う4つのプラネタリピニオンギヤ28とそれらを回転自在に支持するプラネタリキャリア29が回転自在に装着されており、その前方にはハイポイドギヤ10aに噛み合うハイポイドピニオンギヤ10bが連結されている。さらに各プラネタリピニオンギヤ28より内周側にそれぞれ噛み合うサンギヤ30が装着されており、その後方には電動機4のロータ軸12が連結されている。またプラネタリキャリア29とサンギヤ30との間には、それらの締結とその解放を切り換え可能なクラッチ機構31(プラネタリロック)が設けられている。これらのギヤ26,28,30及びキャリア29によって2段変速機である遊星歯車式変速機32が形成されている。
【0025】
このような遊星歯車式変速機32を備えた駆動装置の作動としては、まずエンジン2により駆動された発電機3が発電を行い、これにより生じた電力が図示しないバッテリや制御用インバータを通じて電動機4に供給され回転駆動力を発生させる。ここで遊星歯車式変速機32において、ブレーキ機構27を固定側に操作してリングギヤ26をブレーキリング25(ケース8)に対して固定し、クラッチ機構31を解放側に操作してプラネタリキャリア29(ハイポイドピニオンギヤ10b)とサンギヤ30(ロータ軸12)とが相対的に回転可能な状態とすることにより、遊星歯車式変速機32は低速段に入った状態となる。これによりサンギヤ30を介して入力される電動機4の回転駆動力は、その回転速度を減速されてキャリア29を回転させるが、そのトルクは、1+(リングギヤ26の歯数/サンギヤ30の歯数)だけ増幅されてキャリア29を駆動することになる。このような遊星歯車式変速機32と終減速機10との2段に渡って得られる大きな減速比とトルク増幅により、車両の発進時に必要とされる大きな駆動力を得ることができる。
【0026】
またブレーキ機構27を解放側に操作してリングギヤ26を回転自在とし、クラッチ機構31を締結側に操作して、ロータ軸12、キャリア29及びリングギヤ26を一体に締結した状態とすることにより、遊星歯車式変速機32は高速段に入った状態となる。これによりサンギヤ30を介して入力される電動機4の回転駆動力の回転速度はそのまま(減速比1)でキャリア29を駆動することになり、すなわち電動機4と駆動軸9との間の減速段は終減速機10の1段のみとなって、高速域での走行時に高い回転速度で駆動することができる。
【0027】
またブレーキ機構27及びクラッチ機構31を共に解放側に操作した場合には、サンギヤ30の回転に対してリングギヤ26とキャリア29の両方が空回りするだけとなり、すなわち遊星歯車式変速機32はニュートラルの状態となる。
【0028】
このような遊星歯車式変速機32におけるクラッチ機構31は、図4に示すようにリングギヤ26とキャリア29の間に設ける構成や、図5に示すようなリングギヤ26とサンギヤ30の間に設ける構成とすることも可能である。これらの構成の場合も図3に示す構成と同様にブレーキ機構27を固定してクラッチ機構31を解放することにより変速機32を低速段に入れることができ、またブレーキ機構27を解放してクラッチ機構31を締結することにより変速機32を高速段に入れることができる。
【0029】
またこのような遊星歯車で構成する変速機以外にも、本発明の駆動装置1,21に適用可能な例として可変溝幅プーリとベルトを利用した無段変速機を用いることが挙げられる。図6は本発明の駆動装置1,21に変速機として無段変速機を設けた構成のスケルトン図である。無段変速機33は、ロータ軸12に装着され電動機4から回転駆動力が入力されるプライマリプーリ34と、ハイポイドピニオンギヤ10bの回転軸に装着され終減速機10に回転駆動力を出力するセカンダリプーリ35と、プライマリプーリ34からセカンダリプーリ35へ回転を伝達する駆動ベルト36とから構成されている。またプライマリプーリ34とセカンダリプーリ35は、それぞれ可動シーブ34a,35aと固定シーブ34b,35bを組み合わせて構成されており、各可動シーブ34aが軸方向に移動可能な状態で組み込まれている。図示しない油圧制御により各可動シーブ34a,35aを軸方向にスライドさせてプライマリプーリ34とセカンダリプーリ35のそれぞれの溝幅を変更することができ、それにより駆動ベルト36の巻掛け径が変化して無段階で任意の減速比が得られることになる。
【0030】
このような無段変速機33と終減速機10との2段に渡って任意の大きさの減速比とトルク増幅が得られることにより、比較的小さい電動機4を用いても加速性や駆動安定性を向上させることができる。
【0031】
なお前記2つの例で挙げたような変速機の代わりに、減速比が固定された減速機を連結して設けることも可能であり、同じくモータトルクを増幅できることから電動機4の小型軽量化が可能となり、駆動装置1,21の全長を短縮化してさらに収納性を向上することができる。またこの場合、減速機は一般的に変速機と比較して構造が単純であるため、より簡素で安価なシステムを構築することができる。
【0032】
適用可能な減速機として例えば外歯式歯車対を用いることが挙げられる。図7は本発明の駆動装置1,21に減速機として外歯式歯車対を設けた構成のスケルトン図である。外歯式歯車対37は、ロータ軸12に装着され電動機4から回転駆動力が入力される小歯車38と、それに噛み合うとともにハイポイドピニオンギヤ10bの回転軸に装着され終減速機10に回転駆動力を出力する大歯車39とから構成されている。
【0033】
このような外歯式歯車対37によれば、得られる減速比やトルク増幅の大きさは常に一定であるが、構造が大変単純であるため容易かつ安価に製造することができる。また外歯式歯車対37は構成部材が少ないため駆動装置1,21の小型軽量化を図ることができ、特に軸方向に短い構成であることからさらに駆動装置1,21の全長を短縮化して収納性を向上することができる。
【0034】
また他にも、適用可能な減速機の例として制御機構を何も設けていない遊星歯車を用いることが挙げられる。図8は本発明の駆動装置1,21に減速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。この図において、遊星歯車式減速機40が図3、図4、図5に示す遊星歯車式変速機32と相違する点は、リングギヤ26がケース8の内周に直接固定され、またクラッチ機構を何も設けていない点であり、それ以外の共通する部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
このような遊星歯車式減速機40によれば、電動機4からサンギヤ30に入力されたトルクは常に1+(リングギヤ26の歯数/サンギヤ30の歯数)の固定された比率で増幅され、終減速機10に出力される。しかし前記遊星歯車式変速機32と比較して構造が単純であるため、より簡素で安価なシステムを構築することができる。
【0036】
図9は縦置き型車載レイアウトで搭載されたエンジン駆動式車両用駆動装置を比較例として示す概略側面図である。エンジン駆動式車両101は左右2つの前輪102を駆動する車両であり、車両にはこれら駆動輪102を駆動する内燃機関つまりエンジン103を有している。エンジン103の駆動力は、駆動力の伝達と切り離しを切り換えるトルクコンバータ104と、差動機構及び減速機構又は変速機構を有する動力伝達機構105と、前輪軸4とを介して駆動輪102に伝達される。ここで前方から順にエンジン103、トルクコンバータ104及び動力伝達機構105が直列の配置で一体に結合されて単体の駆動用パワーユニット106を構成しており、この1つだけのパワーユニット106が車両の前後方向に対して縦置きとなる車載レイアウトで搭載されている。エンジン103を始動するためのセルモータ107がエンジン103の上方に並列に配置されており、エンジン103のクランク軸とセルモータ107の回転軸がベルト108を介して連結し駆動可能となっている。なおパワーユニット106の一部であるトルクコンバータ104は、動力伝達機構105内に有する変速機がオートマチックトランスミッションである場合に設置されるものであり、これがマニュアルトランスミッションである場合には代わりにクラッチが設置されることになる。これに対して本発明の一実施の形態にあっては、トルクコンバータ104の代わりに同等の大きさの発電機3を設置してシリーズハイブリッド車用の2つのパワーユニットを結合した構成となっているため、結果的にエンジン駆動式車両の単一のパワーユニット106と比較しても全体の大きさをほぼ同等にできる。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、前記2つの実施の形態が対応する車体は前輪駆動車であったが、本発明の電気自動車用駆動装置は4輪駆動車にも適用することが可能である。この場合には、前輪と後輪との間の回転差を吸収できる前後輪差動装置を動力伝達機構の内部に設け、それに連結するリヤ駆動軸を介して後輪減速差動機構及び後輪軸に動力を伝達させる構成となる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、シリーズハイブリッド車に必要とされる2つのパワーユニットを直列の配置で一体に結合し、特に電気自動車には不要となるトルクコンバータ又はクラッチの代わりにほぼ同じ大きさの発電機を置き換えた構成となっているため、結果的にエンジン駆動式車両の縦置き型パワーユニットと同じ大きさに構成することができる。したがって現行の車体を変更することなく本発明の駆動装置をそのまま設置できるため、低いコストで流用車体への置き換え搭載が可能になる。
【0039】
本発明によれば、シリーズハイブリッド車に必要とされる2つのパワーユニットにおいて、発電機をエンジンと並列に配置し、それ以外のエンジン、動力伝達機構、電動機を直列の配置で一体に結合することにより、トルクコンバータ又はクラッチを省略した範囲分だけエンジンを後方へ配置でき、それだけ縦方向に短く構成して収納効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電気自動車用駆動装置を示す一部切り欠き側面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の電気自動車用駆動装置を示す一部切り欠き側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の駆動装置に変速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。
【図4】図3に示す遊星歯車式変速機の変形例を設けた構成のスケルトン図である。
【図5】図3に示す遊星歯車式変速機の変形例を設けた構成のスケルトン図である。
【図6】本発明の一実施の形態の駆動装置に変速機として無段変速機を設けた構成のスケルトン図である。
【図7】本発明の一実施の形態の駆動装置に減速機として外歯式歯車対を設けた構成のスケルトン図である。
【図8】本発明の一実施の形態の駆動装置に減速機として遊星歯車を設けた構成のスケルトン図である。
【図9】縦置き型車載レイアウトで搭載されたエンジン駆動式車両用駆動装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1 一実施の形態の電気自動車用駆動装置
2 ガソリンエンジン
3 発電機
4 電動機
5 動力伝達機構
21 他の実施の形態の電気自動車用駆動装置
22 発電機
32 遊星歯車式変速機
33 無段変速機
37 外歯式歯車対
40 遊星歯車式減速機
Claims (3)
- 走行用の電動機の電力源となるバッテリに充電する発電機と、この発電機を駆動する発電用の内燃機関とを有する電気自動車用駆動装置であって、
前記内燃機関を車両に縦置きに配置して前記内燃機関の後端に前記発電機を取り付け、
前記発電機とその後方に配置される前記電動機との間に、前記電動機の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構を取り付けたことを特徴とする電気自動車用駆動装置。 - 走行用の電動機の電力源となるバッテリに充電する発電機と、この発電機を駆動する発電用の内燃機関とを有する電気自動車用駆動装置であって、
前記内燃機関を車両に縦置きに配置して前記内燃機関とその後方に配置される前記電動機との間に、前記電動機の走行用駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構を取り付け、
前記発電機を前記内燃機関に並べて配置したことを特徴とする電気自動車用駆動装置。 - 請求項1または2記載の電気自動車用駆動装置において、前記動力伝達機構が有段もしくは無段の変速機または減速機を有することを特徴とする電気自動車用駆動装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (3)
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JP2006097804A (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-13 | Fuji Heavy Ind Ltd | 縦置トランスアクスルのドライブピニオン軸の組付構造 |
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JP2019089392A (ja) * | 2017-11-13 | 2019-06-13 | ダイハツ工業株式会社 | ハイブリッドシステム |
-
2002
- 2002-07-24 JP JP2002215818A patent/JP2004058701A/ja active Pending
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