JP2004058604A - 樹脂成形機の停止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタキシリレンジアミンおよびα、ω−脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリアミド樹脂(A)を押し出した装置を停止した後の再起動に際し、該ポリアミド樹脂のゲル皮膜生成を抑え、製品中へのスジの発生を抑制し、ゲル、ブツの混入による製品不良をなくし、樹脂流路内に存在する該樹脂のゲルおよび分解物の長時間にわたる吐出を防止し、正常な製品を短時間で効率的に得る。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)を、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止する。
【選択図】 無
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)を、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止する。
【選択図】 無
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂を押し出した成形機の停止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミド(以下ポリアミド樹脂(A)と略記することがある)は、高湿度下でのバリア性に優れるため、水分の多い食品や水物食品の包装用フィルムや容器などに成形されて使用されている。ポリアミド樹脂(A)はまた、透明性に優れ、ボイル・レトルト時のバリア性の低下が少ないことから、ボイル・レトルト用途でも広く使われるようになってきている。
【0003】
ポリアミド樹脂(A)は、金属と密着しやすいため、押出機内部で滞留しやすく、長時間加熱された場合、熱劣化や変質により装置内表面にゲル皮膜を生成することがある。ポリアミド樹脂(A)を押し出した後、そのまま装置を停止した場合、次回の運転再開時の加熱により、このゲル皮膜が生成しやすくなる。この皮膜は、押出時に剥がれて製品に混入する事があり、製品中にスジが発生したり、ゲル、ブツの混入が起こり製品不良を生じたり、樹脂流路内に存在する該樹脂のゲルおよび分解物が長時間にわたり吐出されるため、正常な製品を得るのに膨大な時間と製品ロスをもたらす結果となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアミド樹脂(A)を押し出した装置を停止した後の再起動に際し、ポリアミド樹脂(A)のゲル皮膜生成を抑え、製品中へのスジの発生を抑制し、ゲル、ブツの混入による製品不良をなくし、樹脂流路内に存在する該樹脂のゲルおよび分解物の長時間にわたる吐出を防止し、正常な製品を短時間で効率的に得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止することで、再加熱時のゲル化、劣化、分解等を抑えられることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミド樹脂(A)を溶融押出した装置を停止する際に、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止することを特徴とする樹脂成形機の停止方法に関する。
【0007】
本発明において用いるポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン酸成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重合することにより得られるポリアミドであり、好ましくはメタキシリレンジアミンとアジピン酸から誘導される繰り返し単位を90モル%以上含むポリアミドである。
【0008】
前記ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン酸成分には、メタキシリレンジアミンが70モル%以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれるとより好ましい。ジアミン酸成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミドは優れたガスバリア性を発現することができる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミン酸成分としては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
また、前記ポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分中には、アジピン酸が70モル%以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれるとより好ましい。ジカルボン酸成分中のアジピン酸が70モル%以上であると、ガスバリア性の低下や結晶性の過度の低下を避けることができる。アジピン酸以外に使用できるジカルボン酸成分として、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。また、ポリアミド樹脂(A)の重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
【0010】
さらに、ポリアミド樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を添加しても良い。ポリアミド樹脂(A)には必要に応じて他の樹脂を添加することもできる。添加する樹脂としてはナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、エラストマー、アイオノマー等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
上記のポリアミド樹脂(A)は、溶融重縮合法により製造される。例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧状態で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、メタキシリレンジアミンをアジピン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。また、ポリアミド樹脂(A)は溶融重縮合により製造したものを、分子量をさらに高める目的で固相重合してもよい。なお、ポリアミド樹脂(A)の固相重合方法は公知の方法を適用することができる。
【0012】
ポリアミド樹脂(A)を溶融押し出した装置を停止する際には、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止する。
【0013】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができるが、ポリエチレンが特に好ましい。
【0014】
ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂としては、脂肪族ポリアミドを用いることが好ましい。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6−66等が挙げられ、ポリアミド6が特に好ましい。
【0015】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルカーボネート等を用いることができるが、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0016】
ポリアミド樹脂(A)の押出し温度は通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃である。押出し温度が高いとゲル皮膜や分解物が生成しやすくなる。温度が低いと未溶融物が生成しやすくなる。以下に、各樹脂で置換する場合の手順を例示するが、本発明は、これらに限定されない。
【0017】
ポリオレフィン樹脂に置換する際は、押出し温度はそのままでポリオレフィン樹脂を流し、十分に置換する。その後、ポリオレフィン樹脂を流したまま押出し温度を下げ160〜200℃に下げたところで装置を停止する。再起動の際は装置を加熱し、260〜280℃にし、ポリアミド樹脂(A)を流す。十分に置換した後、生産を始める。
【0018】
ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂に置換する際は、押出し温度はそのままで、例えばナイロン6樹脂を流し、十分に置換する。その後、ナイロン6樹脂を流したまま押出し温度を下げ230〜240℃に下げたところで装置を停止する。再起動の際は装置を加熱し、260〜280℃にし、ポリアミド樹脂(A)を流す。十分に置換した後、生産を始める。
【0019】
ポリエステル樹脂に置換する際は、押出し温度を270〜290℃に上げ、その後、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂を流し、十分に置換したところで装置を停止する。再起動の際は装置を加熱し、270〜290℃にし、ポリアミド樹脂(A)を流す。十分に置換した後、ポリアミド樹脂(A)の押出し温度である260〜280℃に設定し、生産を始める。
【0020】
置換効果を高めるため、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミドを吸湿させたポリアミド樹脂(B)を併用しても良い。停止時には、ポリアミド樹脂(A)からポリアミド樹脂(B)に切り替えた後、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等に置換して停止する。再起動時は、最初にポリアミド樹脂(B)を流したのちポリアミド樹脂(A)を流す。この場合、ポリアミド樹脂(B)の水分量は1〜5wt%の範囲が好ましい。
【0021】
本置換方法は、通常の単軸押出機、二軸押出機、Tダイス、円筒ダイス、ストランドダイス等の成形機に適用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【0023】
実施例1
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.6、以下、N−MXD6と略記することがある)を20mm単軸押出機(東洋精機製作所製ラボプラストミル)で押出し温度260℃にて押し出した。装置の停止に際し、ポリエチレン(三井石化(株)製:ウルトゼックス2022L)に切り替え、10分流した。その後、20分かけて180℃にし装置を停止した。翌日、昇温し温度が260℃になったところでN−MXD6を流し始めた。20分で置換は終了し、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出されなくなり、製品フィルムを生産することができるようになった。
【0024】
実施例2
実施例1と同じ装置を用いて、270℃でN−MXD6を押し出した。装置の停止に際し、ナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:宇部ナイロン1024B)に切り替え、10分流した。その後、10分かけて240℃にし装置を停止した。翌日、昇温し温度が260℃になったところでN−MXD6を流し始めた。15分で置換は終了し、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出されなくなり、製品フィルムを生産することができるようになった。
【0025】
実施例3
実施例1と同じ装置を用いて、270℃でN−MXD6を押し出した。装置の停止に際し、15分かけて押出し温度を280℃まで上げた後、ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:ユニペットRT543C)に切り替え、10分流したのち停止した。翌日、昇温し温度が280℃になったところでN−MXD6を流し始めた。20分で置換は終了し、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出されなくなり、製品フィルムを生産することができるようになった。
【0026】
比較例1
実施例1と同じ装置を用いて、270℃でN−MXD6を押し出し後、そのまま装置を停止した。翌日、昇温し温度が260℃になったところでN−MXD6を流し始めた。60分間N−MXD6を流しても、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出され、製品フィルムを得ることができず、置換完了には120分を要した。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ポリアミド樹脂(A)の押出し終了後、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂あるいはポリエステル樹脂に置換して装置を停止することで、再起動の際の加熱時にヤケ・コゲ、ゲル等の生成を抑制し、置換を短時間で終えることができ、生産開始時の材料のパージ量を最小限に抑えることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂を押し出した成形機の停止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミド(以下ポリアミド樹脂(A)と略記することがある)は、高湿度下でのバリア性に優れるため、水分の多い食品や水物食品の包装用フィルムや容器などに成形されて使用されている。ポリアミド樹脂(A)はまた、透明性に優れ、ボイル・レトルト時のバリア性の低下が少ないことから、ボイル・レトルト用途でも広く使われるようになってきている。
【0003】
ポリアミド樹脂(A)は、金属と密着しやすいため、押出機内部で滞留しやすく、長時間加熱された場合、熱劣化や変質により装置内表面にゲル皮膜を生成することがある。ポリアミド樹脂(A)を押し出した後、そのまま装置を停止した場合、次回の運転再開時の加熱により、このゲル皮膜が生成しやすくなる。この皮膜は、押出時に剥がれて製品に混入する事があり、製品中にスジが発生したり、ゲル、ブツの混入が起こり製品不良を生じたり、樹脂流路内に存在する該樹脂のゲルおよび分解物が長時間にわたり吐出されるため、正常な製品を得るのに膨大な時間と製品ロスをもたらす結果となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアミド樹脂(A)を押し出した装置を停止した後の再起動に際し、ポリアミド樹脂(A)のゲル皮膜生成を抑え、製品中へのスジの発生を抑制し、ゲル、ブツの混入による製品不良をなくし、樹脂流路内に存在する該樹脂のゲルおよび分解物の長時間にわたる吐出を防止し、正常な製品を短時間で効率的に得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止することで、再加熱時のゲル化、劣化、分解等を抑えられることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミド樹脂(A)を溶融押出した装置を停止する際に、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止することを特徴とする樹脂成形機の停止方法に関する。
【0007】
本発明において用いるポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン酸成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重合することにより得られるポリアミドであり、好ましくはメタキシリレンジアミンとアジピン酸から誘導される繰り返し単位を90モル%以上含むポリアミドである。
【0008】
前記ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン酸成分には、メタキシリレンジアミンが70モル%以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれるとより好ましい。ジアミン酸成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミドは優れたガスバリア性を発現することができる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミン酸成分としては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
また、前記ポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分中には、アジピン酸が70モル%以上含まれることが必要であり、90モル%以上含まれるとより好ましい。ジカルボン酸成分中のアジピン酸が70モル%以上であると、ガスバリア性の低下や結晶性の過度の低下を避けることができる。アジピン酸以外に使用できるジカルボン酸成分として、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。また、ポリアミド樹脂(A)の重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
【0010】
さらに、ポリアミド樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を添加しても良い。ポリアミド樹脂(A)には必要に応じて他の樹脂を添加することもできる。添加する樹脂としてはナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、エラストマー、アイオノマー等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
上記のポリアミド樹脂(A)は、溶融重縮合法により製造される。例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧状態で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、メタキシリレンジアミンをアジピン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。また、ポリアミド樹脂(A)は溶融重縮合により製造したものを、分子量をさらに高める目的で固相重合してもよい。なお、ポリアミド樹脂(A)の固相重合方法は公知の方法を適用することができる。
【0012】
ポリアミド樹脂(A)を溶融押し出した装置を停止する際には、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止する。
【0013】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができるが、ポリエチレンが特に好ましい。
【0014】
ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂としては、脂肪族ポリアミドを用いることが好ましい。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6−66等が挙げられ、ポリアミド6が特に好ましい。
【0015】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルカーボネート等を用いることができるが、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0016】
ポリアミド樹脂(A)の押出し温度は通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃である。押出し温度が高いとゲル皮膜や分解物が生成しやすくなる。温度が低いと未溶融物が生成しやすくなる。以下に、各樹脂で置換する場合の手順を例示するが、本発明は、これらに限定されない。
【0017】
ポリオレフィン樹脂に置換する際は、押出し温度はそのままでポリオレフィン樹脂を流し、十分に置換する。その後、ポリオレフィン樹脂を流したまま押出し温度を下げ160〜200℃に下げたところで装置を停止する。再起動の際は装置を加熱し、260〜280℃にし、ポリアミド樹脂(A)を流す。十分に置換した後、生産を始める。
【0018】
ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂に置換する際は、押出し温度はそのままで、例えばナイロン6樹脂を流し、十分に置換する。その後、ナイロン6樹脂を流したまま押出し温度を下げ230〜240℃に下げたところで装置を停止する。再起動の際は装置を加熱し、260〜280℃にし、ポリアミド樹脂(A)を流す。十分に置換した後、生産を始める。
【0019】
ポリエステル樹脂に置換する際は、押出し温度を270〜290℃に上げ、その後、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂を流し、十分に置換したところで装置を停止する。再起動の際は装置を加熱し、270〜290℃にし、ポリアミド樹脂(A)を流す。十分に置換した後、ポリアミド樹脂(A)の押出し温度である260〜280℃に設定し、生産を始める。
【0020】
置換効果を高めるため、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミドを吸湿させたポリアミド樹脂(B)を併用しても良い。停止時には、ポリアミド樹脂(A)からポリアミド樹脂(B)に切り替えた後、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等に置換して停止する。再起動時は、最初にポリアミド樹脂(B)を流したのちポリアミド樹脂(A)を流す。この場合、ポリアミド樹脂(B)の水分量は1〜5wt%の範囲が好ましい。
【0021】
本置換方法は、通常の単軸押出機、二軸押出機、Tダイス、円筒ダイス、ストランドダイス等の成形機に適用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【0023】
実施例1
ナイロンMXD6(三菱ガス化学(株)製、相対粘度:2.6、以下、N−MXD6と略記することがある)を20mm単軸押出機(東洋精機製作所製ラボプラストミル)で押出し温度260℃にて押し出した。装置の停止に際し、ポリエチレン(三井石化(株)製:ウルトゼックス2022L)に切り替え、10分流した。その後、20分かけて180℃にし装置を停止した。翌日、昇温し温度が260℃になったところでN−MXD6を流し始めた。20分で置換は終了し、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出されなくなり、製品フィルムを生産することができるようになった。
【0024】
実施例2
実施例1と同じ装置を用いて、270℃でN−MXD6を押し出した。装置の停止に際し、ナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:宇部ナイロン1024B)に切り替え、10分流した。その後、10分かけて240℃にし装置を停止した。翌日、昇温し温度が260℃になったところでN−MXD6を流し始めた。15分で置換は終了し、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出されなくなり、製品フィルムを生産することができるようになった。
【0025】
実施例3
実施例1と同じ装置を用いて、270℃でN−MXD6を押し出した。装置の停止に際し、15分かけて押出し温度を280℃まで上げた後、ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:ユニペットRT543C)に切り替え、10分流したのち停止した。翌日、昇温し温度が280℃になったところでN−MXD6を流し始めた。20分で置換は終了し、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出されなくなり、製品フィルムを生産することができるようになった。
【0026】
比較例1
実施例1と同じ装置を用いて、270℃でN−MXD6を押し出し後、そのまま装置を停止した。翌日、昇温し温度が260℃になったところでN−MXD6を流し始めた。60分間N−MXD6を流しても、ヤケ・コゲ、ゲル等が吐出され、製品フィルムを得ることができず、置換完了には120分を要した。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ポリアミド樹脂(A)の押出し終了後、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂あるいはポリエステル樹脂に置換して装置を停止することで、再起動の際の加熱時にヤケ・コゲ、ゲル等の生成を抑制し、置換を短時間で終えることができ、生産開始時の材料のパージ量を最小限に抑えることができる。
Claims (4)
- メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分から得られたポリアミド樹脂(A)を溶融押出した装置を停止する際に、該樹脂をポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂に置換した後、装置を停止することを特徴とする樹脂成形機の停止方法。
- ポリオレフィン樹脂がポリエチレンである請求項1に記載の樹脂成形機の停止方法。
- ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂がナイロン6である請求項1に記載の樹脂成形機の停止方法。
- ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載の樹脂成形機の停止方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002223626A JP2004058604A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 樹脂成形機の停止方法 |
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JP2002223626A JP2004058604A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 樹脂成形機の停止方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004058604A true JP2004058604A (ja) | 2004-02-26 |
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ID=31943331
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002223626A Pending JP2004058604A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 樹脂成形機の停止方法 |
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