JP5742288B2 - パージ方法 - Google Patents
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Description
一方、ポリアミド樹脂(A)からEVOHに切り替える際、ポリアミド樹脂(A)に適した温度のままでEVOHを押し出すと、装置内のEVOHがゲル化、劣化、分解等を起こし同様の問題を生ずる結果となる。
本発明において用いるポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位(I−1)及び炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸単位(II−1)を含むポリアミド樹脂である。ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン単位(I−1)は、優れたガスバリア性を付与する観点から、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは80モル%以上含み、更に好ましくは90モル%以上であり、また好ましくは100モル%以下である。
本発明のポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸単位(II−1)は、重合時の反応性、並びにポリアミド樹脂(A)の結晶性及び成形性の観点から、炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは80モル%以上含み、更に好ましくは90モル%以上であり、また好ましくは100モル%以下である。
炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリアミド樹脂の重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えても良い。
また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。また、ポリアミド樹脂(A)は溶融重縮合により製造したものを、分子量をさらに高める目的で固相重合しても良い。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱装置より、気密性に優れ高度に酸素とポリアミド樹脂との接触を絶つことができる回分式加熱装置が好ましく、特にタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。
なお、ここでいう相対粘度は、ポリアミド樹脂1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式(1)で示される。
相対粘度=t/t0・・・・(1)
次に、本発明で使用するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(以下、EVOHと略す)について説明する。本発明においては、エチレン含有量が通常10〜60モル%、好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは25〜55モル%であり、酢酸ビニル成分のケン化度が通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上のEVOHが使用される。
EVOHのエチレン含有量が10モル%以上であれば、得られるフィルムの耐水性は良好なものとなる。また、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%以上であれば、得られるフィルムの耐水性は良好なものとなる。
EVOH中の上記金属含有量の和が0.01ppm以上であれば、押出加工時に着色(黄変)が低く抑えられる。また、該金属含有量が30ppm以下であれば、ゲルの発生頻度を低く抑えられるので、それに起因する延伸時のフィルム破断の発生が抑制される。
またNa,K以外の金属含有量は特に制限されないが、5〜300ppmのCa及び/又は5〜200ppmのMgの含有は、ゲルの発生抑制の効果を奏するために好ましい。
トリル、アミド、無水物、不飽和スルホン酸またはその塩などのコモノマーを含んでいても差支えない。
本発明では、パージ材として、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位(I−2)及び炭素数8〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位(II−2)を含むポリアミド樹脂(B)100質量部に対し、アルカリ化合物(X)を0.01〜5質量部含むポリアミド樹脂組成物(P)を使用する。
なお、後述するように、本発明においては、アルカリ化合物(X)として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、アルコキシド、炭酸塩及び炭酸水素塩、さらにこれらの無水塩、含水塩が使用できるが、本発明においては、含水塩であってもアルカリ化合物(X)の無水塩として、ポリアミド樹脂(B)に対する含有量を算出する。
パージ材を構成するポリアミド樹脂(B)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位(I−2)と炭素数8〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位(II−2)とを含むポリアミド樹脂である。
前記ポリアミド樹脂(B)を構成するジアミン単位(I−2)には、ポリアミド樹脂(A)との親和性の観点から、メタキシリレンジアミン単位が70モル%以上含まれることが必要であり、より好ましくは80モル%、さらに好ましくは90モル%以上である。ジアミン単位(I−2)中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、結晶性の低下を避けることが出来、固相重合による分子量調整を行うことが出来る。
ポリアミド樹脂(B)を構成するジカルボン酸単位(II−2)は、ポリアミド樹脂(A)との親和性、EVOHの押出温度以下の融点とする観点から、炭素数8〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上含まれていることが必要であり、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。ポリアミド樹脂(B)の融点をEVOHの押出温度以下とすることにより、パージ材であるポリアミド樹脂(B)がたとえ滞留箇所に残存していても、溶融することにより未溶融としての異物混入を抑えることが出来、外観不良を回避できる。
炭素数8〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸を例示出来るが、ジカルボン酸のコスト面からセバシン酸が特に好ましい。アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位(II−2)を構成しうる化合物としては、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリアミド樹脂の重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えても良い。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ土類金属アルコキシドとしては、炭素数1〜4のアルコキシドが好ましく、例えばナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、マグネシウムエトキシド、カルシウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド、リチウム−t−ブトキシド、マグネシウム−t−ブトキシド、カルシウム−t−ブトキシド等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び炭酸水素塩としては、例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カルシウム等が挙げられ、さらにこれらの無水塩、含水塩が使用できる。
ポリアミド樹脂(B)とアルカリ化合物(X)とを押出機により溶融混練する場合、押出機としては、バッチ式混練機、ニーダー、コニーダー、プラネタリ押出機、単軸もしくは二軸押出機等、任意の押出機を用いることができる。これらの中でも、混練能力及び生産性の観点から、単軸押出機や二軸押出機が好ましく用いられる。
ドライブレンドにより供給されたポリアミド樹脂(B)及びアルカリ化合物(X)を含むポリアミド樹脂混合物(M)は、押出機内で溶融混合され、ポリアミド樹脂組成物(P)となる。
また、アルカリ化合物(X)は、ポリアミド樹脂(B)中に均一に分散できるのであればその形状に制限はなく、そのまま添加してもよく、加熱し融解させてから添加してもよく、溶剤に溶解してから添加してもよい。粉体をそのまま添加する場合、その粒径は、好ましくは0.01mm〜5.0mm、より好ましくは0.02〜3.0mmである。アルカリ化合物(X)を溶剤に溶解してから添加する場合、押出機に液添加用のフィーダー等の装置を用いて添加することや、タンブラー等で予めブレンドすることもできる。溶剤としては、水や任意の有機溶剤を使用することができる。
また、ポリアミド樹脂(B)を高濃度のアルカリ化合物(X)と共に押出機等を用いて溶融混練してペレットとした後、該ペレットをポリアミド樹脂(B)とブレンドして成形加工に供してもよい。または、前記ペレットをポリアミド樹脂(B)とブレンドして固相重合させた後、成形加工に供してもよい。
本発明におけるパージ樹脂であるポリアミド樹脂組成物(P)について、260℃、122s−1における6分滞留後の溶融粘度(MV(6)と呼ぶ)、及び60分滞留後におけるポリアミド樹脂組成物(P)の溶融粘度(MV(60)と呼ぶ)から、次式(1)により溶融粘度比Rを算出する。
溶融粘度比 R=MV(60)/MV(6)・・・(1)
ポリアミド樹脂組成物(P)の溶融粘度比Rの範囲は、0.1<R<1.0が好ましく、より好ましくは0.3<R<0.95、さらに好ましくは0.453<R<0.95である。である。ポリアミド樹脂組成物(P)の溶融粘度比Rをこの範囲とすることにより、その後の置換樹脂であるポリエチレン等よりも溶融粘度が低下するため、滞留部におけるポリアミド樹脂組成物(P)からポリエチレンなどへの置換も短時間で行うことができる。
(1)相対粘度
ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを採り、25℃±0.03℃の恒温槽中で10分放置後、落下時間(t)を測定した。また96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(1)により相対粘度を求めた。
相対粘度=t/t0 ・・・・(1)
(2)溶融粘度
使用した測定機器は、東洋精機社製キャピログラフ1Dであり、ダイスとして1mmφ×10mmHのものを使用し、測定温度は260℃、ピストン降下速度を10mm/min.として、剪断速度122s−1における溶融粘度(Pa・s)を測定した。
製造例1
(ポリアミド樹脂1の溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸(AAと略記する)15000g(102.6mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)12.98g(0.122mol、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として150ppm)、酢酸ナトリウム7.03g(0.0857mol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.70)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(MXDAと略記する)13928g(102.26mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド樹脂を得た。
次いで、窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに前記ポリアミド樹脂と蒸留水1.2kgを仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミド樹脂1を得た。得られたポリアミド樹脂1の相対粘度は2.7、融点は239℃であった。結果を表1に示す。
<ポリアミド樹脂2>
ポリアミド樹脂1のジカルボン酸成分をアジピン酸(AA)が94モル%とイソフタル酸(IPAと略記する)が6モル%とした以外は製造例1と同様にしてポリアミド樹脂2を得た。得られたポリアミド樹脂2の相対粘度は2.7、融点は231℃であった。結果を表1に示す。
<ポリアミド樹脂3>
ポリアミド樹脂1のジカルボン酸成分をアジピン酸が90モル%とイソフタル酸が10モル%とした以外は製造例1と同様にしてポリアミド樹脂3を得た。得られたポリアミド樹脂3の相対粘度は2.6、融点は226℃であった。結果を表1に示す。
<ポリアミド樹脂4>
ポリアミド樹脂1の固相重合条件を210℃で180分保持する以外は製造例1と同様にしてポリアミド樹脂4を得た。得られたポリアミド樹脂4の相対粘度は3.8、融点は239℃であった。結果を表1に示す。
(ポリアミド樹脂5の溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸(SAと略記する)15000g(74.2mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)11.24g(0.106mol、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として150ppm)、酢酸ナトリウム6.09g(0.074mol、次亜リン酸ナトリウム一水和物に対するモル数比として0.70)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(MXDAと略記する)10063g(73.89mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミド樹脂を得た。
次いで、窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに前記ポリアミド樹脂と蒸留水1.7kgを仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約90分かけてペレット温度を110℃に昇温した後、110℃で180分間保持することにより結晶化を行った。次いで、系内の圧力を1torr以下に減圧して昇温を行い、約180分かけてペレット温度を130℃まで昇温した。次いで、約180分かけてペレット温度を160℃まで昇温し、ペレット温度が160℃に到達した後、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミド樹脂5を得た。得られたポリアミド樹脂5の相対粘度は2.5、融点は190℃であった。結果を表1に示す。
<ポリアミド樹脂6>
ポリアミド樹脂1の固相重合条件を160℃で240分保持する以外は製造例5と同様にしてポリアミド樹脂6を得た。得られたポリアミド樹脂6の相対粘度は2.8、融点は190℃であった。結果を表1に示す。
製造例7
<マスターバッチ(Y1)>
ポリアミド樹脂(B)として、ポリアミド樹脂5を5000gと酢酸ナトリウム200g(ポリアミド樹脂5を100質量部に対して4質量部)を、東芝製二軸押出機TEM37Bを用い220℃にて溶融混練し、マスターバッチ(Y1)を得た。
<マスターバッチ(Y2)>
アルカリ化合物(X)として炭酸ナトリウム10水和物を270g(ポリアミド樹脂5を100質量部に対して、炭酸ナトリウムとして2質量部)とした以外は、製造例7と同様にして、マスターバッチ(Y2)を得た。
<マスターバッチ(Y3)>
ポリアミド樹脂(B)として、ポリアミド樹脂6を使用した以外は、製造例5と同様にして、マスターバッチ(Y3)を得た。
ポリアミド樹脂(B)として、ポリアミド樹脂5〜6のいずれかを使用し、ポリアミド樹脂(B)10000gに対し展着材として日油製ノニオンLT−221を400g加えて混合撹拌後、表3記載のアルカリ化合物(X)を加えて混合撹拌することによりポリアミド樹脂混合物(M1〜M5)を調整した。結果を表3に示す。
ポリアミド樹脂(B)として、ポリアミド樹脂5〜6のいずれかを使用し、ポリアミド樹脂(B)10000gに対し表4記載のマスターバッチ(Y)を加えて混合撹拌することによりポリアミド樹脂混合物(M6〜M10)を調整した。結果を表4に示す。
ポリアミド樹脂組成物P1〜P10について、260℃、122s−1、6分滞留後のポリアミド樹脂組成物(P)の溶融粘度(以下、(MV(6)と呼ぶ)、及び60分滞留後のポリアミド樹脂組成物(P)の溶融粘度(以下、MV(60)と呼ぶ)を測定した。そして、MV(6)及びMV(60)の値溶融粘度比Rを求めた。
溶融粘度比 R=MV(60)/MV(6)
ポリアミド樹脂(A)としてポリアミド1〜4を用い、パージ樹脂として表5記載のポリアミド樹脂組成物P1〜P10又はLLDPE(UF240)とした以外は実施例1と同様に260℃にてLLDPEをフィルム外観の白濁が無くなるまで押出を行った。更に実施例1と同様の押出温度にてLLDPEからEVOHへの切り替えを行い、押し出されたEVOH中のポリアミド樹脂(A)の未溶融物やゲルの有無を確認した。結果を表5に示す。
ポリアミド樹脂組成物(P1)を使用せずにLLDPE(日本ポリエチレン社製、ノバテックLL UF240)を押し出した以外は実施例1と同様にしてLLDPEへの切り替えを行った。次いで実施例1と同様にしてLLDPEからEVOHへの切り替えを行った。EVOH押出時において、ポリアミド樹脂1の未溶融物の混入が1時間経っても消えず、スジの外観不良を生じた。
実施例1と同様にパージ樹脂であるポリアミド樹脂組成物(P)を変更してLLDPEへの切り替えを経てEVOHへの切り替えを行った。パージ後のEVOH押出時におけるポリアミド樹脂(A)の未溶融物やゲルの有無を確認した。結果を表5に示す。
アルカリ化合物を0.008質量%配合したポリアミド樹脂組成物(P4)を用いた比較例2ではEVOHへの切り替え当初には外観不良は無かったが、押出時間の経過と共に滞留箇所に残存していたポリアミド樹脂1とEVOHとのゲル化物の混入が認められた。
アルカリ化合物を6質量%配合したポリアミド樹脂組成物(P5)を用いた比較例3では、ポリアミド樹脂組成物(P5)の260℃、122s−1における6分滞留後の溶融粘度が100pa・sと低いことから、LLDPE押出時におけるフィルム外観の白濁が無くなるまでの時間は40分と実施例1と同様であった。しかしながら、流路壁面や滞留部におけるポリアミド樹脂(A)の置換が不十分でありEVOHへの切り替え後においてポリアミド樹脂1の未溶融物が多量に混入した。
これに対し、アルカリ化合物(X)を0.01質量%〜5質量%としたポリアミド樹脂組成物(P)を用いた実施例1〜11では、ポリアミド樹脂(A)の置換性が良好であり、かつ滞留箇所においてパージ樹脂であるポリアミド樹脂組成物(P)の増粘を抑制できることから、EVOHへの切り替え後の異物の混入なく、短時間で行うことができた。
Claims (7)
- 押出機または成形機内の、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位(I−1)及び炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位(II−1)を含むポリアミド樹脂(A)とエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂との樹脂切り替えの際に、パージ材として、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位(I−2)及び炭素数8〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位(II−2)を含むポリアミド樹脂(B)100質量部に対してアルカリ化合物(X)を0.01〜5質量部を含むポリアミド樹脂組成物(P)を用いるパージ方法であって、前記アルカリ化合物(X)が、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウム十水和物からなる群から選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属塩である、パージ方法。
- ポリアミド樹脂組成物(P)の260℃、122s-1の6分滞留後における溶融粘度が、200〜3000(pa・s)であり、かつポリアミド樹脂(P)の滞留6分後の溶融粘度(MV(6))と滞留60分後の溶融粘度(MV(60))との溶融粘度比R(R=MV(60)/MV(6))が0.1<R<1である、ポリアミド樹脂組成物(P)を用いた請求項1記載のパージ方法。
- 前記アルカリ化合物(X)が、炭素数10以下のカルボン酸のアルカリ金属塩である、請求項1または2に記載のパージ方法。
- 前記ポリアミド樹脂(B)のジカルボン酸単位(II−2)が、セバシン酸単位を70モル%以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載のパージ方法。
- 前記ポリアミド樹脂(B)の融点が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の押出加工温度以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のパージ方法。
- 前記ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位(II−1)が、アジピン酸単位を70モル%以上含む、請求項1〜5のいずれかに記載のパージ方法。
- 前記ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸単位(II−1)が、アジピン酸単位を70〜99モル%及びイソフタル酸を1〜30モル%含む、請求項1〜5のいずれかに記載のパージ方法。
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