JP5612377B2 - ポリアミド組成物 - Google Patents
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Description
また、家電などの電気及び電子産業において、表面実装(SMT)ハンダの鉛フリー化に対応すべく、ハンダの融点上昇に耐えることができる、ポリアミド材料に対する高耐熱化が要求されている。
PA6及びPA66などのポリアミドでは、融点が低く、耐熱性の点でこれらの要求を満たすことができない。
しかしながら、PA6Tは、融点が370℃程度という高融点ポリアミドであるため、溶融成形により成形品を得ようとしても、ポリマーの熱分解が激しく起こり、十分な特性を有する成形品を得ることが難しい。
PA6T共重合ポリアミドとして、特許文献1には、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとからなり、脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミン及び2−メチルペンタメチレンジアミンの混合物である芳香族ポリアミド(以下、「PA6T/2MPDT」と略称する場合がある。)が開示されている。
また、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとからなる芳香族ポリアミドに対して、アジピン酸とテトラメチレンジアミンとからなる高融点脂肪族ポリアミド(以下、「PA46」と略称する場合がある。)や、脂環族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとからなる脂環族ポリアミドが提案されている。
特許文献2には、ジカルボン酸単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を1〜40%配合した半脂環族ポリアミドからなる電気及び電子部品では、ハンダ耐熱性が向上することが開示され、特許文献3には、該半脂環族ポリアミドからなる自動車部品では、流動性及び靭性などに優れることが開示されている。
また、特許文献5には、トランス/シス比が50/50から97/3である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を原料としたポリアミドが、耐熱性、低吸水性、及び耐光性などに優れることが開示されている。
PA46は、良好な耐熱性及び成形性を有するものの、吸水性が高く、吸水による寸法変化や機械物性の低下が著しく大きいという問題点を持っており、自動車用途などで要求される寸法安定性の面で要求を満たせない場合がある。
[1]
(A)少なくとも25モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミド100質量部と、
(B)造核剤0.001〜5質量部と、を含有するポリアミド組成物。
[2]
前記(B)造核剤0.001〜0.09質量部を含有する、[1]に記載のポリアミド組成物。
[3]
前記脂環族モノマーが脂環族ジカルボン酸である、[1]又は[2]に記載のポリアミド組成物。
[4]
ジカルボン酸中の前記脂環族ジカルボン酸の割合が50モル%以上である、[3]に記載のポリアミド組成物。
[5]
前記脂環族ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、[3]又は[4]に記載のポリアミド組成物。
[6]
前記(A)ポリアミドのモノマーとして炭素数4〜12の脂肪族ジアミンを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[7]
前記(A)ポリアミドのモノマーとして、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[8]
前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが2−メチルペンタメチレンジアミンである、[7]に記載のポリアミド組成物。
[9]
ジアミン中の前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合が50モル%以上である、[7]又は[8]に記載のポリアミド組成物。
[10]
(A)ポリアミドのトランス異性体比率が50〜85%である、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[11]
前記(B)造核剤の平均粒子径が0.01〜10μmである、[1]〜[10]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[12]
前記(B)造核剤がタルク、窒化ホウ素、及びカーボンブラックからなる群から選ばれる1種以上である、[1]〜[11]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[13]
[1]〜[12]のいずれかに記載のポリアミド組成物を含む成形品。
(A)ポリアミドのモノマー成分として、少なくとも25モル%の脂環族モノマーを含むことにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れるにポリアミドとすることができ、ポリアミドの性質に加え、ポリアミド組成物として、さらに高度に耐熱性に優れる。
本実施の形態において、ポリアミドとは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体である。
脂環族モノマーとしては、安定性が高く、酸素雰囲気下でも着色などの問題が起こりにくいため、脂環族ジカルボン酸であることが好ましい。
ジカルボン酸成分として、脂環族モノマーである脂環族ジカルボン酸を含むことが好ましい。
(a−1)脂環族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸とも記される)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの、脂環構造の炭素数が3〜10である、好ましくは炭素数5〜10の脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
脂環族モノマーとしての、脂環族ジカルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、脂環族カルボン酸として、トランス体/シス体比がモル比にして、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。
脂環族ジカルボン酸のトランス体/シス体のモル比は、液体クロマトグラフィー(HPLC)やNMRにより求めることができる。
種々の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基などのハロゲン基、炭素数1〜6のシリル基、並びにスルホン酸基及びナトリウム塩などのその塩などが挙げられる。
中でも、炭素数が10以上の脂肪族ジカルボン酸では、低吸水性のポリアミドとすることができるという観点で好ましい。
炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸などが挙げられる。
中でも、耐熱性の点で、セバシン酸、ドデカン二酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸の割合が、少なくとも50モル%であることにより、流動性、靭性、低吸水性等に優れるポリアミドとすることができる。
ジカルボン酸と等価な化合物としては、上記ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物などが挙げられる。
ジアミン成分として、(b−1)脂環族ジアミン、及び(b−2)脂環族ジアミン以外のジアミンなどが挙げられる。
(b−1)脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される)としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロペンタンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、及び4,4'-メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)などが挙げられる。
脂環族モノマーとしての、脂環族ジアミンは、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンである、分岐状飽和脂肪族ジアミンを含むことが好ましい。主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
ジアミン中の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合に特に制限はないが、少なくとも50モル%が好ましく、60〜100モル%であることがより好ましい。主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合が、少なくとも50モル%であることにより、流動性、靭性、及び剛性などに優れるポリアミドとすることができる。
中でも、好ましくは、炭素数4〜12の脂肪族ジアミンであり、より好ましくは、炭素数5〜12の脂肪族ジアミンであり、さらに好ましくは、炭素数5〜10の脂肪族ジアミンであり、よりさらに好ましくは、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミンであり、よりさらに好ましくは、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンである。
脂環族ジアミン以外のジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多価アミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
「少なくとも25モル%の脂環族モノマーを含有する」とは、ポリアミドの単量体(モノマー)成分((a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び下記(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)のうち、脂環族モノマーの割合(モル%)が25モル%以上であることを意味する。
なお、ポリアミドのモノマー成分には、逃散を考慮して理論値を超えて添加している追添分のモノマーは含まない。
ポリアミドのモノマー中の脂環族モノマーの割合は、少なくとも25モル%以上であり、好ましくは35モル%以上である。脂環族モノマーの割合が、少なくとも25モル%であることにより、靭性、低吸水性、剛性、及び耐熱性などに優れるポリアミドとすることができる。
本実施の形態において用いられるポリアミドは、靭性の観点で、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させたポリアミドであることが好ましい。
本実施の形態に用いられる(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
ラクタム及び/アミノカルボン酸としては、好ましくは、炭素数が4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸であり、より好ましくは、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸である。
ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)などが挙げられる。
中でも、靭性の観点で、ε−カプロラクタム及びラウロラクタムなどが好ましく、より好ましくはε−カプロラクタムである。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸なども挙げられる。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(a)と前記(b)の添加量は、(a)、(b)及び(c)の各モノマー全体のモル量に対して、80〜100モル%であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。また、97モル%以下が好ましく、95モル%以下が好ましい。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、ポリアミドの熱安定性の観点で、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
モノアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体である比率を表し、トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。
脂環族ジカルボン酸としては、トランス体/シス体比(モル比)が50/50〜0/100である脂環族ジカルボン酸を用いることが好ましいが、(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンの重合により得られるポリアミドとしては、トランス異性体比率が50〜85モル%であることが好ましい。
トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、ポリアミドは、高融点、靭性及び剛性に優れるという特徴に加えて、高いガラス転移温度による熱時剛性と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性及び低吸水性とを同時に満足するという性質を持つ。
ポリアミドのこれらの特徴は、(a)少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、(b)少なくとも50モル%の2−メチルペンタメチレンジアミンの組み合わせからなり、かつトランス異性体比率が50〜85モル%であるポリアミドで特に顕著である。
本実施の形態において、トランス異性体比率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
該製造方法としては、例えば、ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物を形成成分とする熱溶融法やポリアミド形成成分の固体塩又はポリアミドの融点以下の温度で行う固相重合法、ジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分を用いた溶液法などが挙げられる
これらの方法は必要に応じて組み合わせて用いることもでき、中でも熱溶融法、熱溶融法と固相重合を組み合わせた方法がより効率的である。
重合装置も特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いることができる。
ポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、以下に記載するバッチ式の熱溶融法によりポリアミドを製造することができる。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミド形成成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱が続けられる。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素などの不活性ガスで加圧し、ポリアミドをストランドとして押し出す。該ストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
連続式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒としてポリアミド形成成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱し、次いで、濃縮層/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90質量%に濃縮し濃縮溶液を得る。該濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより重合が完成する。その後、ポリアミド溶融物はストランドとして押し出されて、次いで、冷却、カッティングされてペレットとなる。
本実施の形態のポリアミド組成物は、前記(A)ポリアミド及び(B)造核剤を含有し、(A)ポリアミド100質量部に対して、(B)造核剤を0.001〜5質量部含有する。
本実施の形態のポリアミド組成物として、(B)造核剤を含有することにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れるポリアミドの性質を損なうことなく、さらに、高度に耐熱性に優れるポリアミド組成物とすることができる。
本実施の形態において、「造核剤」とは、添加により熱示差走査分析(DSC)で測定される結晶化温度を上昇させたり、得られる成形品の球晶を微細化又はサイズの均一化に効果が得られる物質のことを意味する。
本実施の形態において用いられる(B)造核剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化珪素、カーボンブラック、チタン酸カリウム、及び二硫化モリブデンなどが挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種であり得る。
造核剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)造核剤としては、造核剤効果の観点で、タルク、窒化ホウ素、及びカーボンブラックが好ましい。
また、造核剤効果が高いため、数平均粒径が0.01〜10μmである造核剤が好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
造核剤の数平均粒径の測定は、成形品をギ酸などのポリアミドが可溶な溶媒で溶解し、得られた不溶成分の中から、例えば100個以上の造核剤を任意に選択し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡などで観察し、求めることができる。
配合量を0.001質量部以上とすることにより、ポリアミド組成物の耐熱性が良好に向上し、また、配合量を5質量部以下とすることにより、靭性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
ポリアミド組成物の製造方法としては、例えば、ポリアミドに造核剤を配合する方法、ポリアミドの粉体又はペレットの表面に造核剤を付着させる方法、ポリアミドに溶融混練により造核剤を配合する方法、造核剤のマスターバッチをポリアミドに配合する方法などが挙げられる。
これらの方法を組み合わせてポリアミドと造核剤を配合してもよく、ポリアミドと他の樹脂との混合時に造核剤を配合する方法であってもよい。
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
溶融混練時間は、0.5〜5分程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置としては、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、及びミキシングロールなどの溶融混練機が好ましく用いられる。
本実施の形態のポリアミド組成物として、(C)無機充填材をさらに含有することにより、剛性や靭性などの機械特性にさらに優れるポリアミド組成物を得ることができる。
本実施の形態において用いられる(C)無機充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、ハイドロタルサイト、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイトなどが挙げられる。
無機充填材としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(C)無機充填材としては、ウォラストナイトがより好ましく、ウォラストナイトの中でも、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比(L/D)が3〜100であるものがさらに好ましく用いられる。
該配合量を25質量部以上とすることにより、ポリアミド組成物の機械物性が良好に向上し、また、配合量を200質量部以下とすることにより、成形性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
前記(A)ポリアミドと(B)造核剤と(C)無機充填材を混合する方法としては、例えば、ポリアミドと造核剤と無機充填材とをヘンシェルミキサーなどを用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機でポリアミドと造核剤を予めヘンシェルミキサーなどを用いて混合したものを溶融混練機に供給し混練した後に、サイドフィダーから無機充填材を配合する方法などを挙げられる。
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもかまわない。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1Kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
本実施例において下記化合物を用いた。
(a)ジカルボン酸
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA) イーストマンケミカル社製 商品名 1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)
(2)アジピン酸(ADA) 和光純薬工業製 商品名 アジピン酸
(3)セバシン酸(C10DA) 和光純薬工業製 商品名 セバシン酸
(4)ドデカン二酸(C12DA) 和光純薬工業製 商品名 ドデカン二酸
(b)ジアミン
(5)ヘキサメチレンジアミン(HMD) 和光純薬工業製 商品名 ヘキサメチレンジアミン
(6)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MPMD) 東京化成工業製 商品名 2−メチル−1,5−ジアミノペンタン
(7)1,9−ノナメチレンジアミン(NMD)アルドリッチ製 商品名 1,9−ノナンジアミン
(8)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOMD) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
(9)ドデカメチレンジアミン(C12MD) 東京化成工業製 商品名 1,12−ジアミノドデカン
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
(10)ε−カプロラクタム(CPL) 和光純薬工業製 商品名 ε−カプロラクタム
(11)タルク 日本タルク製 商品名 MICRO ACE(登録商標) L−1 平均粒子径 5μm
(12)窒化ホウ素(BN) 電気化学工業製 商品名 デンカボロンナイトライド(登録商標) SP−2 平均粒子径 4μm
(13)カーボンブラック(CB) 三菱化学製 商品名 三菱カーボンブラック(登録商標) HCF #2300 平均粒子径 0.015μm
(C)無機充填材
(14)ガラス繊維(GF) 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H 平均繊維径 10μmφ、カット長 3mm
各ジアミンの(b)ジアミン中のモル%は、(原料モノマーとして加えた概ジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた全てのジアミンのモル数)×100として、計算により求めた。
また、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えたラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた、全てのジカルボン酸のモル数+全てのジアミンのモル数+ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数)×100として、計算により求めた。
なお、上記式により計算する際に、分母及び分子には、追添分として加えた原料モノマーのモル数は、逃散する分として加えているため含まない。
(1)融点Tm1、Tm2(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最高ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点Tm2は325℃、ΔH=25J/gとした。
ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、1H−NMRで測定した。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppmと1.86ppmのピーク面積の比率からトランス異性体比率を求めた。
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定した。
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作成し、25℃の温度条件下で測定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)にASTM引張試験(ASTM D638)用のダンベル試験片(3.2mm厚)の金型(金型温度=Tg+20℃)を取り付けて、シリンダー温度=(Tm2+10)℃〜(Tm2+30)℃で射出成形を行った。
得られたASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3.2mm厚)を成形後の絶乾状態(dry as mold)で、試験前質量(吸水前質量)を測定した。80℃の純水中に24時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率(%)とした。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3.2mm厚)を用いて、ASTM D638に準じて行った。
ISO294−1に準拠した多目的試験片(4mm厚)を用いて、ISO−75−2に準じ、荷重1.8MPa、0.46MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。成形試験片は、射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)にISO多目的試験片(4mm厚)の金型(金型温度=Tg+20℃)を取り付けて、シリンダー温度=(Tm2+10)℃〜(Tm2+30)℃で成形を行った。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレット5kgを金属バット上に広げ、連粒と呼ばれるペレットが2つ以上繋がったペレットを、目視により観察して除去した。こういった連粒ペレットは成形で可塑化不良等を引き起こす可能性もあるため、少ない方が好ましい。除去された連粒ペレットの重さを測定した。
(a)CHDA895.6g(5.20モル)及び(b)2MPMD604.4g(5.20モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作成した。当該均一水溶液中に2MPMD24.2g(0.21モル)を追添した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、液温(内温)50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温約50℃から、槽内の圧力が約2.5Kg/cm2になるまで、加熱を続けた(この系での液温は約145℃だった)。槽内の圧力を約2.5Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃だった)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30Kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃だった)。槽内の圧力を約30Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けた。液温が320℃まで上昇したら、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0Kg/cm2)になるまで、120分ほどかけて降圧した。
樹脂温度(液温)は最終的に約340℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、50モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
(a)CHDA851g(4.94モル)、(b)2MPMD574g(4.94モル)、及び(c)CPL75.0g(0.66モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50質量%均一水溶液を作成した。当該均一水溶液中に2MPMD24.2g(0.21モル)を追添した。
得られた水溶液を用いた以外は、製造例1と同様の方法により実施して、約47モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
(a)CHDA895.6g(5.20モル)及び(b)NMD658.5g(4.16モル)、2MOMD164.6g(1.04モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作成した。
得られた水溶液を用いた以外は、製造例1と同様も方法により実施して、50モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
(a)CHDA668.1g(3.89モル)、ADA242.4g(1.66モル)、及び(b)HMD193.0g(1.66モル)、C12MD779.4g(3.89モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50質量%均一水溶液を作成した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、液温(内温)50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温約50℃から、槽内の圧力がゲージ圧(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧を表記)にして約2.5Kg/cm2になるまで、加熱を続けた(この系での液温は約145℃だった)。槽内の圧力を約2.5Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃だった)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18Kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約220℃だった)。槽内の圧力を約18Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けた。液温が275℃まで上昇したら、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0Kg/cm2)になるまで90分ほどかけて降圧した。
樹脂温度(液温)は最終的に約300℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、35モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
(a)CHDA287.5g(1.67モル)、ADA568.4g(3.89モル)、及び(b)HMD645.2g(5.55モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50質量%均一水溶液を作成した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、液温(内温)50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温約50℃から、槽内の圧力がゲージ圧(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧を表記)にして約2.5Kg/cm2になるまで、加熱を続けた(この系での液温は約145℃だった)。槽内の圧力を約2.5Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃だった)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18Kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約220℃だった)。槽内の圧力を約18Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けた。液温が280℃まで上昇したら、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0Kg/cm2)になるまで90分ほどかけて降圧した。
樹脂温度(液温)は最終的に約315℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、15モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
(a)CHDA701.8g(4.08モル)、C10DA206.1g(1.02モル)、及び(b)2MPMD592.1g(5.10モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50質量%均一水溶液を作成した。当該均一水溶液中に2MPMD5.9g(0.05モル)を追添した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、液温(内温)50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温約50℃から、槽内の圧力が約2.5Kg/cm2になるまで、加熱を続けた(この系での液温は約145℃だった)。槽内の圧力を約2.5Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃だった)。その後、水の除去を止め、槽内の圧力が約18Kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約230℃だった)。槽内の圧力を約18Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けた。液温が280℃まで上昇したら、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0Kg/cm2)になるまで、90分ほどかけて降圧した。
樹脂温度(液温)は最終的に約315℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、40モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
(a)CHDA688.7g(4.00モル)、C12DA230.3g(1.00モル)及び(b)2MPMD581.0g(5.00モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50質量%均一水溶液を作成した。当該均一水溶液中に2MPMD5.8g(0.05モル)を追添した。
得られた水溶液を用いた以外は、製造例6と同様の方法により実施して、40モル%の脂環族モノマーを含むモノマーを重合させたポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度ηr)を表1に示す。
製造例1のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。100質量部のポリアミド対して、0.05質量部のタルクを配合し、二軸押出機[東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)]を用いて、設定温度340℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量40kg/hで溶融混練し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物ペレットを得た。得られたポリアミド組成物の測定結果を表2に示す。
表2に記載の割合で、(A)ポリアミドと(B)造核剤を配合した以外は、実施例1と同様の方法により実施して、ポリアミド組成物ペレットを得た。得られたポリアミド組成物の測定結果を表2に示す。
一方、比較例1のように、タルクを10質量部配合した場合は、荷重たわみ温度は飛躍的に向上するものの、靭性が低下した。
比較例6のように、脂環族モノマーの割合が少ないポリアミドでは、吸水性が優れない。また、脂環族モノマーの割合が少ないポリアミドに少量のタルクを配合した比較例7のポリアミド組成物は靭性が低下した。
また、1,9−ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンのような、炭素数の多い脂肪族ジアミンを用いた場合も、少量のタルクを配合することで、飛躍的に荷重たわみ温度が向上することが確認された。
製造例1のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。100質量部のポリアミド対して、0.05質量部のタルクを配合し、二軸押出機[東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)]を用いて、設定温度340℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量45kg/hで、表3記載の割合となるように、押出機最上流部に設けられたトップフィード口よりポリアミドとタルクを配合したものを供給し、押出し機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が十分溶融している状態)のサイドフィード口よりガラス繊維(GF)を供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物ペレットを得た。ガラス繊維(GF)の配合量はポリアミド100質量部に対して100質量部とした。得られたポリアミド組成物の測定結果を表3に示す。
表3に記載の割合で、(A)ポリアミド、(B)造核剤、及び(C)無機充填材を配合した以外は、実施例7と同様の方法により実施して、ポリアミド組成物ペレットを得た。得られたポリアミド組成物の測定結果を表3に示す。
製造例1のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。100質量部のポリアミド対して、0.05質量部のBNを配合し、二軸押出機[コペリオン製ZSK26MC、L/D=48(D=25.5mmφ)]を用いて、設定温度340℃、スクリュー回転数500rpm、吐出量50kg/hで溶融混練し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物ペレットを得た。得られたポリアミド組成物ペレット中の連粒ペレットの量を測定した。測定結果を表4に示す。
表4に記載の割合で、(A)ポリアミドと(B)造核剤を配合した以外は、実施例14と同様の方法により実施して、ポリアミド組成物ペレットを得た。得られたポリアミド組成物ペレット中の連粒ペレットの量を測定した。測定結果を表4に示す。
Claims (10)
- (A)ジカルボン酸中少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸と、炭素数4〜10の脂肪族ジアミンと、を含むモノマーを重合させたポリアミド100質量部と、
(B)造核剤0.001〜5質量部と、を含有し、
ポリフェニレンエーテルを含有しない、ポリアミド組成物。 - 前記(B)造核剤0.001〜0.09質量部を含有する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記脂環族ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
- 前記(A)ポリアミドのモノマーとして、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが2−メチルペンタメチレンジアミンである、請求項4に記載のポリアミド組成物。
- ジアミン中の前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合が50モル%以上である、請求項4又は5に記載のポリアミド組成物。
- (A)ポリアミドのトランス異性体比率が50〜85%である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(B)造核剤の平均粒子径が0.01〜10μmである、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(B)造核剤がタルク、窒化ホウ素、及びカーボンブラックからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド組成物を含む成形品。
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