JP2004058366A - インクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタの余白値補正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができるインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタの余白値補正方法を提供する。
【解決手段】コントローラ40は、操作部32から所定のコマンドが入力されたとき、左右余白の設定値及び検出された紙2の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域にテスト印刷画像を形成する。その後、テスト印刷画像の左右余白の測定値が操作部32から入力されたとき、左右余白の測定値と設定値との差に基づき左右余白の補正値を算出し、記憶手段に記憶させる。また、コントローラ40は、外部から画像データが送られたとき、検出された紙2の左右端の座標値と記憶手段内の左右余白の補正値とに基づき紙2の左右端の座標値を補正する。その後、補正された紙2の左右端の座標値によって示唆される領域に紙2が存在していると認識し、当該画像データの印刷を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】コントローラ40は、操作部32から所定のコマンドが入力されたとき、左右余白の設定値及び検出された紙2の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域にテスト印刷画像を形成する。その後、テスト印刷画像の左右余白の測定値が操作部32から入力されたとき、左右余白の測定値と設定値との差に基づき左右余白の補正値を算出し、記憶手段に記憶させる。また、コントローラ40は、外部から画像データが送られたとき、検出された紙2の左右端の座標値と記憶手段内の左右余白の補正値とに基づき紙2の左右端の座標値を補正する。その後、補正された紙2の左右端の座標値によって示唆される領域に紙2が存在していると認識し、当該画像データの印刷を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷媒体の有無及び印刷媒体のサイズを検出する機構を有するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のサイズの印刷媒体(例えば紙等)に記録できるインクジェットプリンタが知られている。このようなプリンタでは、装着されている印刷媒体のサイズを検出して、その印刷媒体に対応した記録を行っている。これは、特に、小さいサイズの印刷媒体に記録するときなどに、印刷媒体の存在しない箇所に記録をしないように、その印刷媒体のサイズを検出する必要があるためである。また、左右の余白値が著しく異なると、バランスが悪く、見た目に美しくない印刷画像が得られてしまう。したがって、インクジェットプリンタにおいては、印刷媒体のサイズを正確に検出することができる印刷媒体検出機構が必要である。
【0003】
この印刷媒体のサイズを検出する方法の一つとして、紙幅方向に沿ってスキャンするセンサによって印刷媒体の幅を検出する方法がある。このようなセンサには、一般に反射型のセンサであるフォトリフレクタが使われている。通常、フォトリフレクタはプリンタのキャリッジに備え付けられ、フォトリフレクタの反射光のレベルによって印刷媒体の有無を検出する。フォトリフレクタの反射光のレベルとしては、通常、印刷媒体からの反射光のレベルの方がプリンタプラテンからの反射光のレベルよりも大きいため、このレベル差により印刷媒体の有無を検出することが可能である。また、フォトリフレクタからの出力値のレベルは通常、アナログ値である。したがって、印刷媒体の有無を判断するスレッショルドレベルを予め設定しておき、センサからの出力値がこのスレッショルドレベルを超えるか否かに応じて、印刷媒体の有無を検出する。
【0004】
かかるセンサ(フォトリフレクタ)の検出位置と出力値との関係をグラフで表すと、図2の下側に示すようになる。ここで、Y軸はセンサの走査方向(キャリッジ走査方向)に平行であるとする。また、センサは、図2の上側に示すように、線分S上を走査し、反射光のレベルに応じた出力値を出力する。先にも述べたが、センサからの出力値はアナログ値であり、センサは紙の左右端においてスレッショルドレベル付近の値を出力する。以下、図2に示すようなセンサの出力値とY座標との対応を、「センサの位置特性」と呼ぶことにする。このようなセンサの位置特性は、理論的には一意に定まる一つのカーブであるはずである。しかし、実際にはプリンタに取り付けられるセンサの取り付け誤差、センサの個体差、センサのLEDの光量、使用環境(外乱光の有無など)に応じて、センサの位置特性は変化する。したがって、図2に示すように、センサの位置特性の理論値と実際値との間には乖離がある。この乖離に起因して、実際の紙端の位置とセンサによって検出された紙端の位置とには、図2に示すように、ΔX1及びΔX2の誤差が発生してしまう。図2では、紙左端の検出誤差をΔX1、紙右端の検出誤差をΔX2としている。このような検出誤差は、印刷画像のバランスを損ね、印刷品質の観点から望ましくない。
【0005】
従来、かかる紙端の検出誤差に起因した左右余白値の誤差及び左右余白のバランスを調整する調整手段を備えたプリンタがある。このようなプリンタでは、テスト印刷の結果に基づいて余白値の補正値が入力されたときに、印刷可能領域をキャリッジ走査方向に、その補正値に基づく所定量だけシフトさせることにより、印刷画像を印刷可能領域の中央に形成することを可能としている。例えば、図13に示すように、実際の紙左端の座標値がY=y0、実際の紙右端の座標値がY=y3である場合を考える。このとき、センサによって検出される紙の左右端の座標値と実際の紙の左右端の座標値との間にはそれぞれ、ΔX1,ΔX2の誤差が出る。いま、左右の余白についての設定値をtとすると、実際に形成される画像の左右の余白値はそれぞれt+ΔX1,t+ΔX2となり、左右の余白値が等しくならない。この問題を解消するために、従来、補正値ΔX3を入力し、印刷可能領域XをΔX3だけY軸方向(キャリッジ走査方向)にずらして印刷することにより、実際の左余白値ΔD1と実際の右余白値ΔD2とが等しくなるようにしている。
【0006】
具体的には、補正値ΔX3は、以下のようにして求めることが可能である。図13において、実際の紙の中心の座標をY=ym、その左端の座標値をY=y0、その右端の座標値をY=y3とし、また、印刷可能領域XをΔX3だけY軸方向(キャリッジ走査方向)にずらした後の印刷可能領域Xの左端の座標値をY=y1、その右端の座標値をY=y2としている。印刷可能領域Xの横幅はWである。このとき、印刷可能領域Xの中央の座標が実際の紙の中央の座標に来るようにシフト量(補正値)ΔX3を決定する。すなわち、補正後における印刷可能領域Xの左端の座標値y1は、
y1=y0+ΔX1+t+ΔX3 ・・・・・ (1)
であり、y0とy3の中点の座標値ymは、
ym=(ΔX1+ΔX2+2t+W)/2+y0 ・・・・・ (2)
である。印刷可能領域Xがy0とy3のちょうど真ん中に来るように(ΔD1=ΔD2となるように)、補正値ΔX3が入力されたとすると、以下の式が成り立つ。
ym−W/2=y1 ・・・・・ (3)
(3)式に(1)式及び(2)式を代入し、整理すると、
ΔX3=(ΔX2−ΔX1)/2 ・・・・・ (4)
が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の余白値補正方法では、(4)式より、補正値ΔX3は検出誤差ΔX1及びΔX2のみによって求まり、画像データのサイズ(紙サイズ)によらないことが証明される。したがって、画像データのサイズや紙サイズが変更されても、補正値を変更する必要はなく、しかも、左右の余白値が等しく(ΔD1=ΔD2)なるため、一見バランスのよい画像を形成することが可能である。しかしながら、このような従来の方法では、ΔD1=ΔD2となるように補正することができても、ΔD1=ΔD2=tとはならないことは理解されよう。このため、従来、形成する画像の余白値を所望の値に調整することができず、余白のない画像を形成することができなかった。
【0008】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができるインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタの余白値補正方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係るインクジェットプリンタは、光を発する発光部とプラテン又は印刷媒体で反射された前記光を受光する受光部とを有し、印刷媒体の送り方向と直交する方向に往復移動するフォトリフレクタと、前記フォトリフレクタの位置を検出する位置検出手段と、前記フォトリフレクタが前記受光部で受光された光のレベルに応じて出力する出力値に基づいて印刷媒体の有無を判断する際に基準となる閾値を記憶する記憶手段と、前記フォトリフレクタを移動させながら、前記フォトリフレクタの出力値と前記閾値とを比較し、前記フォトリフレクタの出力値と前記閾値との大小関係が逆転するときに前記位置検出手段によって得られる前記フォトリフレクタの位置を印刷媒体の左右端の座標値として求める媒体端検出手段と、印刷画像の左右余白についての設定値を入力するための入力手段と、前記入力手段から所定のコマンドが入力されたときに、前記入力手段から入力された左右余白についての設定値及び前記媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成し、且つ、そのテスト印刷画像の左右余白についての測定値が前記入力手段から入力されたときに、その入力された左右余白についての測定値と前記入力手段から入力された左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出して前記記憶手段に記憶させる余白補正値設定手段と、外部から画像データが送られたときに、前記媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値と前記記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正し、その補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識し、印刷画像の左右の余白値が所望の値になるように当該画像データの印刷を行う印刷処理手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0010】
また、上記の目的を達成するための請求項2記載の発明に係るインクジェットプリンタの余白値補正方法は、入力手段から印刷画像の左右余白についての設定値を入力する旨を表示手段に表示する第一工程と、フォトリフレクタを移動させながら印刷媒体の左右端の座標値を検出する第二工程と、前記入力手段から入力された左右余白についての設定値及び前記第二工程で得られた印刷媒体の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成する第三工程と、前記テスト印刷画像の左右余白についての測定値を前記入力手段から入力する旨を前記表示手段に表示する第四工程と、前記入力手段から入力された印刷画像の左右余白についての設定値と前記テスト印刷画像の左右余白についての測定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出して記憶手段に記憶させる第五工程とからなる余白補正値設定工程と、外部から画像データが送られたときに、前記フォトリフレクタを移動させながら印刷媒体の左右端の座標値を検出する第六工程と、前記第六工程で検出された印刷媒体の左右端の座標値と前記記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正する第七工程と、前記第七工程で補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識し、印刷画像の左右の余白値が所望の値になるように当該画像データの印刷を行う第八工程とからなる印刷処理工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
(基本的構成)
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタの概略構成図、図2はそのインクジェットプリンタにおけるフォトリフレクタの位置特性を説明するための図、図3はそのインクジェットプリンタのフォトリフレクタの概略回路図、図4はそのインクジェットプリンタの紙搬送装置の概略構成図、図5はそのインクジェットプリンタのエンジンコントローラの概略構成図、図6はそのエンジンコントローラのASICの概略構成図、図7はそのエンジンコントローラのEEPROMの概略構成図である。
【0012】
本実施形態のインクジェットプリンタは、図1に示すように、プラテン11と、キャリッジ12と、キャリッジレール13と、キャリッジモータ14と、キャリッジ駆動ベルト15と、キャリッジローラ16と、キャリッジ位置スケール17と、キャリッジ位置検出センサ(位置検出手段)18と、紙搬送装置19と、フォトリフレクタ21と、ホームポジションセンサ(ホームポジション検出手段)22と、遮光体23と、表示部31と、操作部(入力手段)32と、エンジンコントローラ40とを備えるものである。
【0013】
プラテン11は、その上面に紙(印刷媒体)2を載置する台である。紙2は、紙搬送装置19により紙搬送方向に搬送されて、プラテン11上を移動する。紙搬送装置19は、図4に示すように、紙を加圧するコロ19aと、ローラ19bと、ローラ19bを駆動するためのステッピングモータ等の駆動手段(不図示)とを有する。コロ19aとローラ19bとの間に紙2を挟み込み、紙2を加圧した状態で、駆動手段がローラ19bを回転することにより、紙2がプラテン11上を移動する。
【0014】
キャリッジ12には、プリントヘッド及びフォトリフレクタ21が搭載されている。プリントヘッドは、その下面に多数のノズルを有し、各ノズルの吐出口から微小インク滴を吐出する。
【0015】
キャリッジレール13は、キャリッジ12が走査するレールである。キャリッジ駆動ベルト15は、キャリッジ12に固定されており、キャリッジモータ14の動力をキャリッジ12に伝達する。キャリッジ12は、キャリッジモータ14により、キャリッジレール13に沿ってプラテン11の長手方向(キャリッジ走査方向)に移動する。
【0016】
キャリッジローラ16は、キャリッジ駆動ベルト15によってキャリッジモータ14と連結されている。キャリッジモータ14の動力がキャリッジ駆動ベルト15を介してキャリッジローラ16に伝えられることにより、キャリッジローラ16が回転する。キャリッジ位置スケール17は、キャリッジローラ16と接続され、キャリッジローラ16と同じ方向、同じ回転数で回転するスケールである。キャリッジ位置検出センサ18は、キャリッジ位置スケール17のスケールを読み、キャリッジ12の位置を検出するものである。
【0017】
キャリッジ位置検出センサ18は互いに対向して配置された発光部と受光部とからなり、キャリッジ位置スケール17はキャリッジ位置検出センサ18の発光部と受光部との間に位置している。キャリッジ12が移動すると、キャリッジローラ16に取り付けられたキャリッジ位置スケール17が回転する。キャリッジ位置スケール17はキャリッジローラ16の回転角度に応じてキャリッジ位置検出センサ18の発光部と受光部との間を遮断したり開放したりする。すなわち、キャリッジ位置検出センサ18の発光部から発光される光線は、キャリッジ位置スケール17が発光部と受光部との間を移動することにより、通過したり遮られたりする。キャリッジ位置検出センサ18はこの明暗を検出し、キャリッジ位置スケール17の移動距離、速度に応じたパルスを出力する。この出力されたパルスのカウント値に基づいて、キャリッジ12の位置が認識される。尚、キャリッジ位置検出センサ18により検出されるキャリッジ12の位置は、フォトリフレクタ21の位置と同一視することができる。
【0018】
フォトリフレクタ21は、プラテン11上において紙2の有無及びサイズを検出するためのセンサであり、図3に示すように、発光部21aと受光部21bとからなる。ここでは、発光部21aにLED(発光ダイオード)を、受光部21bにトランジスタを用いている。発光部21aであるLEDのアノードはVCCに接続され、カソードは抵抗R1に接続される。抵抗R1はLEDとGNDとの間を接続する。また、受光部21bであるトランジスタのコレクタはVCCに接続され、エミッタは抵抗R2とエンジンコントローラ40におけるCPUの汎用アナログポートとに接続される。LEDから発せられた光線は、プラテン11で又はプラテン11上の紙2で反射された後、トランジスタで受光される。フォトリフレクタ21はかかる反射光のレベルに応じて紙2の有無を検出する。
【0019】
このフォトリフレクタ21の位置特性は、図2に示すようになる。このとき、フォトリフレクタ21の位置特性の理論値と実際値との間には乖離がある。この乖離に起因して、実際の紙端の位置とフォトリフレクタ21により検出された紙端の位置とには、図2に示すように、ΔX1及びΔX2の誤差が発生してしまう。図2では、紙左端の検出誤差をΔX1、紙右端の検出誤差をΔX2としている。
【0020】
ホームポジションセンサ22は、キャリッジ12がホームポジションに位置していることを検出するものである。このホームポジションセンサ22は、互いに対向して配置された発光部と受光部とからなる。また、キャリッジ12には遮光体23が取り付けられている。キャリッジ12がホームポジションにあるときには、遮光体23がホームポジションセンサ22の発光部と受光部との間に位置し、発光部からの光線を遮る。ホームポジションセンサ22の受光部がその発光部からの光線を受光しないときに、キャリッジ12がホームポジションに位置していることが検出される。
【0021】
表示部31は、ユーザに種々のメッセージを表示するための表示機能を有する。操作部32は、印刷画像の左右余白についての設定値を入力したり、各種のモードを選択したりするものである。操作部32には一つ以上のボタンがついている。ボタン操作により、インクジェットプリンタに所望の動作を実行させることができる。例えば、ボタンを操作することにより、オンラインモード、サービスモード等の動作モードを設定することができる。オンラインモードは図示しないホストコンピュータから画像データが送信されるのを待ち受けるモードである。オンラインモードのときに、画像データが送られると、インクジェットプリンタは印刷モードに移行する。印刷モードは、ホストコンピュータから送られた画像データを紙2に印刷するモードである。
【0022】
また、インクジェットプリンタがサービスモードにあるときに、ユーザは、操作部32のボタン操作により、メンテナンスのためのテスト印刷を実行するモード、用紙をカットするモード、用紙をフィードするモード、プリントヘッドのノズルの吸引を行うモード、余白補正値設定モード等を選択することができる。余白補正値設定モードは、余白補正用のテスト印刷を行うと共に、そのテスト印刷された画像の左右余白についての測定値が操作部32から入力されたときに、印刷画像の左右余白についての補正値を設定するモードである。余白補正値設定モード以外のサービスモードは、本発明のポイントを説明するには不要な部分であるので、その詳細な説明を省略する。
【0023】
エンジンコントローラ40は、印刷画像データの処理、当該インクジェットプリンタの駆動系やセンサ系の制御を行うものである。かかるエンジンコントローラ40は、図5に示すように、汎用アナログポートを備えたCPU41と、カスタムICであるASIC42と、EEPROM43と、SDRAM44と、エンジンコントローラ40とその外部機器との間の電気的入出力ポートなる入出力ポート45と、エンジンコントローラ40内の各ロジックを接続するシステムバス46とを有する。SDRAM44には、印刷画像データや種々の処理データが格納される。例えば、SDRAM44の位置記憶領域には、フォトリフレクタ21等を用いて検出された紙2の左右端の座標値、印刷モードにおいて補正された紙2の左右端の座標値等が記憶される。
【0024】
ASIC42は、図6に示すように、紙搬送装置制御部421と、紙位置カウンタ部422と、キャリッジモータ制御部423と、キャリッジ位置カウンタ部424とを有する。紙搬送装置制御部421は、紙搬送装置19を駆動させる制御信号を生成する。紙位置カウンタ部422は、紙搬送装置19によって紙2が搬送された距離をカウントし、このカウント値を紙2の相対的位置としてCPU41に対して表示するレジスタである。キャリッジモータ制御部423は、キャリッジモータ14を駆動させる制御信号を生成する。キャリッジ位置カウンタ部424は、キャリッジ位置検出センサ18からの出力信号パルスをカウントし、このカウント値をキャリッジ12の相対的位置としてCPU41に対して表示するレジスタである。
【0025】
また、上述したキャリッジモータ14、キャリッジ位置検出センサ18、紙搬送装置19、フォトリフレクタ21、ホームポジションセンサ22、表示部31、操作部32はすべてエンジンコントローラ40に電気的に接続され、エンジンコントローラ40内部のCPU41、ASIC42等の制御系ICにより制御され、また、エンジンコントローラ40内部の駆動系回路により駆動される。
【0026】
EEPROM43には、CPU41を動作させるためのプログラム等が格納されている。具体的に、かかるEEPROM43に格納されているプログラムとしては、図7に示すように、紙端検出プログラム431と、余白補正用のテスト印刷処理プログラム432と、位置補正プログラム433と、書き出し位置算出プログラム434と、印刷処理プログラム435とがある。また、EEPROM43に格納されているデータとして、フォトリフレクタ21のスレッショルドレベル(閾値)436、余白補正値設定モードにおいて得られた左右余白についての補正値437がある。スレッショルドレベル436は、フォトリフレクタ21の出力値に基づいて紙2の有無を判断する際に基準となるレベルであり、EEPROM43の閾値記憶領域に格納されている。左右余白についての補正値437は、印刷モードにおいて紙2の左右端の座標値を補正する際に基準となる値であり、EEPROM43の補正値記憶領域に格納されている。
【0027】
紙端検出プログラム431は、紙2の左右端の座標値を検出する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。これにより、CPU41は紙端検出手段としての役割を果たす。具体的には、CPU41は、フォトリフレクタ21を移動させながら、フォトリフレクタ21の出力値とEEPROM43の閾値記憶領域に記憶されるスレッショルドレベルとを比較し、フォトリフレクタ21の出力値とスレッショルドレベルとの大小関係が逆転するときにキャリッジ位置検出センサ18によって得られるフォトリフレクタ21の位置を紙2の左右端の座標値として求める。その求めた紙2の左右端の座標値は、SDRAM44の位置記憶領域に記憶される。この紙端検出プログラム431は、インクジェットプリンタが余白補正値設定モード及び印刷モードにあるときに実行される。
【0028】
余白補正用のテスト印刷処理プログラム432は、操作部32から、サービスモードの余白補正値設定モードへの移行を要求するコマンドが入力されたときに実行される。この余白補正用のテスト印刷処理プログラム432は、左右余白についての補正値を設定する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。これにより、CPU41は、余白補正値設定手段としての役割を果たす。具体的には、CPU41は、操作部32から入力された左右余白についての設定値及び紙端検出プログラム431を実行して得られた紙2の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成する。そして、そのテスト印刷画像の左右余白についての測定値が操作部32から入力されたときに、その入力された左右余白についての測定値と操作部32から入力された左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出する。その算出された左右余白についての補正値は、EEPROM43の補正値記憶領域に記憶される。
【0029】
位置補正プログラム433、書き出し位置算出プログラム434及び印刷処理プログラム435は、インクジェットプリンタが印刷モードにあるときに実行される。位置補正プログラム433は、紙端検出プログラム431を実行して得られた紙2の左右端の座標値とEEPROM43の補正値記憶領域に記憶される左右余白についての補正値とに基づいて紙2の左右端の座標値を補正し、その補正された紙2の左右端の座標値を補正後の紙左右端の座標値として新たにSDRAM44の位置記憶領域にライトする制御をCPU41に実行させるためのプログラムである。また、書き出し位置算出プログラム434は、SDRAM44の位置記憶領域に記憶される補正後の紙左右端の座標値によって示唆される領域に紙2が存在していると認識し、当該領域内において印刷画像の書き出し位置を決定する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。印刷処理プログラム435は、ホストコンピュータから送信される画像データに基づいて紙2上に印刷画像を形成する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。これらのプログラム433,434,435をCPU41に実行させることにより、CPU41は、印刷処理手段としての役割を果たす。
【0030】
(基本的機能)
本実施形態のインクジェットプリンタは、上記のように構成されており、以下に示すような機能を有する。図8は本実施形態のインクジェットプリンタにおいて紙2の左右端の座標値を補正する処理を説明するための図、図9はそのインクジェットプリンタにおいて左右余白についての補正値を算出する処理を説明するための図である。
【0031】
前述のように、フォトリフレクタ21等を用いて紙2の左右端が認識されると、図8に示されるように、紙2の左右端の座標にそれぞれΔX1,ΔX2の誤差が出る。このような誤差があることにより、例えば所望の左右の余白値をt[mm]に設定していたとしても、インクジェットプリンタに認識される実際の印刷可能領域Xは、図8において補正前と書かれた領域となり、左右の余白にはそれぞれΔX1,ΔX2の誤差が出てしまう。すなわち、本実施形態のインクジェットプリンタは、フォトリフレクタ21を移動させることにより紙2の左右端を検出し、そのときのフォトリフレクタ21の位置を紙2の左右端の座標値として求める。ここで、紙2の右端の座標値をY(L)、左端部の座標をY(R)とする。このとき、インクジェットプリンタは、Y(L)+t≦Y≦Y(R)−tの範囲が印刷可能領域X(補正前)であると認識する。印刷可能領域Xと紙2の左右端との距離はそれぞれt[mm]であることが理想であるが、検出誤差ΔX1及びΔX2のために、そうはならない。印刷可能領域Xと紙2の左端との実際の距離がtlr[mm]、印刷可能範囲Xと紙2の右端との実際の距離がtrr[mm]であるとすると、tlr≠t、trr≠tである。
【0032】
本発明の目的は、印刷画像の余白値を所望の値に調整することである。この目的を達成するために、本実施形態のインクジェットプリンタは、ある補正値A(L)及びA(R)を設定し、
Yr(L)=Y(L)−A(L)
Yr(R)=Y(R)+A(R) ・・・・・ (5)
をそれぞれ紙2の左右端の座標値であると認識する。すなわち、Yr(L),Yr(R)が実際の紙2の左右端の座標値に一致するように補正値A(L)とA(R)の値を設定するのである。このとき、補正値A(L)とA(R)とがとらなければならない条件を考える。まず、tlr,trrの条件から、
tlr=t+ΔX1
trr=t+ΔX2 ・・・・・ (6)
である。tlr及びtrrを所望の余白値tに調節するのであるから、
tlr−A(L)=t
trr−A(R)=t ・・・・・ (7)
でなければならない。(6)式、(7)式により、
A(L)=ΔX1、A(R)=ΔX2 ・・・・・ (8)
がそれぞれ求められる。
【0033】
すなわち、インクジェットプリンタに認識される紙2の左右端の座標値Yr(L),Yr(R)は、(5)式及び(8)式を満たすことにより、実際の紙2の左右端の座標値に一致する。本実施形態のインクジェットプリンタは、(8)式を満たすような補正値A(L),A(R)を導出し、フォトリフレクタ21等を用いて検出された座標値Y(L),Y(R)を、▲5▼式にしたがってYr(L)=Y(L)−A(L),Yr(R)=Y(R)+A(R)のように補正することにより、紙2の左右端の座標値Yr(L),Yr(R)を認識する。これにより、インクジェットプリンタが認識する紙2の左右端の座標値と、実際の紙2の左右端の座標値との誤差をなくすことが可能である。しかし、(8)式がそのための条件であるので、補正値A(L)及びA(R)を(8)式を満たすように設定する必要がある。
【0034】
本実施形態のインクジェットプリンタは、余白補正値設定モードにおいて、(8)式を満たすような補正値A(L),A(R)を導出する。すなわち、インクジェットプリンタは、まず、図9の印刷可能領域X(補正前)のうち左右端部の所定領域に、テスト印刷を実行する。そして、インクジェットプリンタのユーザが、テスト印刷によって形成された画像の余白値tlr及びtrrを測定する。ユーザがその測定した余白値tlr及びtrrを操作部32から入力することにより、インクジェットプリンタは、その入力された左右の余白値tlr,trrと所望の左右の余白値tとの差であるΔX1,ΔX2を導出することが可能となる。そして、インクジェットプリンタは、(8)式により補正値A(L)及びA(R)を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態のインクジェットプリンタは、印刷モードにおいて、補正値A(L),A(R)を用いて紙2の左右端の座標値Yr(L),Yr(R)を算出する。すなわち、インクジェットプリンタは、Y(L)及びY(R)をフォトリフレクタ21等を用いて検出した後、(5)式により、Yr(L)=Y(L)−A(L),Yr(R)=Y(R)+A(R)を補正後における紙2の左右端の座標値として認識する。このようにして認識されたYr(L)及びYr(R)は、実際の紙2の左右端の座標値と理論的には一致するはずである。実際には、tlr,trrをユーザが計測しているため、多少の誤差が発生してしまうが、それでもYr(L)及びYr(R)の方がY(L)及びY(R)よりも実際の紙2の左右端の座標値に近い。
【0036】
本実施形態のインクジェットプリンタでは、このような処理により紙2の左右端の座標値を正確に認識し、左右の余白値を所望の値に調整することが可能である。また、(8)式より、補正値A(L)及びA(R)は検出誤差ΔX1及びΔX2のみによって求まり、画像データのサイズ(紙サイズ)によらないことが証明される。したがって、画像データのサイズや紙サイズが変更されても、補正値A(L)及びA(R)を変更する必要はない。このため、上記の左右余白についての補正値A(L)及びA(R)を算出する処理を、印刷を行う度に行う必要はなく、例えば当該インクジェットプリンタの工場出荷前に一度だけ行えばよい。
【0037】
(プロセス概要)
本実施形態のインクジェットプリンタは、以下に示すシーケンスを実行し、紙2の左右端の座標を正確に補正する。図10、図11及び図12は本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0038】
まず、インクジェットプリンタに電源が供給されると、インクジェットプリンタはオンラインモードになり、ホストコンピュータからのデータを待ち受ける状態になる(S1)。この状態で、インクジェットプリンタは、印刷要求があるか否かを判断する(S2)。印刷要求があると、インクジェットプリンタはオンラインモードから印刷モードに移行する。印刷モードへの移行はインクジェットプリンタがホストコンピュータから印刷画像を受信したときに実行される。一方、ステップS2において印刷要求がないと判断すると、インクジェットプリンタは、サービスモードへの移行の要求があるか否かを判断する(S3)。サービスモードへの移行の要求があると、インクジェットプリンタはオンラインモードからサービスモードに移行する(S16)。サービスモードへの移行は、ユーザが操作部32からサービスモードへの移行を要求するコマンドを入力することにより実行される。一方、ステップS3においてサービスモードへの移行の要求がないと、ステップS2に移行する。
【0039】
このように、インクジェットプリンタがオンラインモードにあるときに画像データを受信すると、印刷モードへ移行する。印刷モードでは、図11に示すステップS4からステップS15までの処理が行われる。ここで、ステップS4からステップS6までの処理は、EEPROM43内の紙端検出プログラム431にしたがって実行され、ステップS7及びS8の処理は、EEPROM43内の位置補正プログラム433にしたがって実行される。また、ステップS9からステップS13までの処理は、EEPROM43内の書き出し位置算出プログラムにしたがって実行され、ステップS14及びS15の処理は、EEPROM43内の印刷処理プログラム434にしたがって実行される。
【0040】
印刷モードにおいては、まず、CPU41は、ASIC42の紙搬送装置制御部424で生成された信号を紙搬送装置19に送り、図1又は図2に示すように、紙がS上に来るように紙2をフィードさせる(S4)。紙2をフィードする距離はΔXであるが、ΔXは必要最小限にとどめるべきである。
【0041】
次に、CPU41は、紙2の左端の座標値を検出する(S5)。すなわち、CPU41は、キャリッジ12をキャリッジモータ14で移動させながらフォトリフレクタ21の出力値を監視し、その出力値が所定のスレッショルドレベルを超えるときに、そのキャリッジ12の座標値をSDRAM44の位置記憶領域に記憶させるのである。この座標値がフォトリフレクタ21等を用いて検出された紙2の左端の座標値Y(L)である。
【0042】
ここで、キャリッジ12の位置は図1に示すキャリッジ位置検出センサ18によって検出される。キャリッジ12が移動すると、キャリッジ位置スケール17がキャリッジ位置検出センサ18の発光部と受光部との間を回転することにより、キャリッジ位置センサ18の発光部から発光される光線は、キャリッジ位置スケール17によって遮られたり、通過したりする。キャリッジ位置センサ18はこの明暗を検出し、キャリッジ位置スケール17の移動距離、速度に応じたパルスを出力する。そして、ASIC42に入力されるこのパルスをASIC42はカウントし、カウントした値をキャリッジ位置カウンタ部423に表示させる。CPU41はこのキャリッジ位置カウンタ部423のカウンタ値を読み、キャリッジ12の位置を認識する。また、このカウント値をリセットするタイミングは、キャリッジ12がホームポジションに位置するときが望ましい。図1に示す遮光体23がホームポジションセンサ22の発光部から発光される光線を遮るとき、CPU41は、キャリッジ12がイニシャルの位置にあるとし、キャリッジ位置カウンタ部423のカウンタ値を0にリセットするのである。すなわち、ホームポジションがキャリッジ位置の基準となる。
【0043】
その後、CPU41は、ステップS4と同様に、紙2の右端の座標値を検出し、その座標値をSDRAM44の位置記憶領域に記憶させる(S6)。この座標値がフォトリフレクタ21等を用いて検出された紙2の右端の座標値Y(R)である。言うまでもないが、かかる座標値はキャリッジ位置カウンタ部423のカウント値を読み取ることにより得ることが可能である。
【0044】
ステップS5,S6で検出された座標値Y(L),Y(R)はあくまでも検出値であり、前述のように、実際に検出されるフォトリフレクタ21の位置特性が理論値と異なるので、座標値Y(L),Y(R)は実際の紙2の左右端の座標値と異なる。このため、ステップS7,S8では、この検出値Y(L),Y(R)にそれぞれ補正値A(L),A(R)をインクリメント、デクリメントし、実際の紙2の左右端の座標値に近い値Yr(L),Yr(R)を得ることにしている。
【0045】
この補正値A(L),A(R)は、ステップS17において余白補正値設定モードが選択されたときに、テスト印刷の結果の余白値tlr,trrと所望の余白値tとの差分から導出される。すなわち、ステップS19においてユーザが操作部32から入力する所望の余白値tと実際のテスト印刷結果の余白値tlr,trrとから左余白についての補正値A(L)と右余白についての補正値A(R)とが導出される。tlrは左余白についての実際値、trrは右余白についての実際値であり、それらはユーザがテスト印刷の結果の余白値を測定し、当該測定値を操作部32から入力することによって得られる。このように、補正値A(L),A(R)はユーザが操作部32から入力する値であるtlr,trrから算出される。したがって、補正値A(L),A(R)には初期値を決めておかなければならない。さもないと、初期状態で、A(L),A(R)の値が存在しないときにステップS4以降の印刷モードに移行したときに、ソフトウェアがエラーになってしまう。初期値はあらかじめEEPROM43内部の補正値記憶領域437に記憶させておくのである。初期値は適当な値でよいが、0が望ましいであろう。
【0046】
補正後における紙2の左端の座標値Yr(L)、紙2の右端の座標値Yr(R)は、次式により導出可能である。
Yr(L)=Y(L)−A(L) ・・・・・ (9)
Yr(R)=Y(R)+A(R) ・・・・・ (10)
CPU41は、EEPROM43内の補正値記憶領域に記憶された補正値A(L)を用いて、(9)式により補正後における紙2の左端の座標値Yr(L)を算出する(S7)。その算出されたYr(L)はSDRAM44の位置記憶領域に記憶される。また、CPU41は、EEPROM43内の補正値記憶領域に記憶された補正値A(R)を用いて、(10)式により補正後における紙2の右端の座標値Yr(R)を算出する(S8)。その算出されたYr(R)はSDRAM44の位置記憶領域に記憶される。
【0047】
次に、CPU41は、印刷画像の書き出し位置を算出する処理を行う。まず、CPU41は、
W=Yr(R)−Yr(L)−2×t
を算出する(S9)。ここで算出するWは、インクジェットプリンタに認識された補正後の印刷可能領域Xの幅である。このとき、指定された印刷画像データのサイズ(幅)が、補正後の印刷可能領域Xの幅Wの中に収まるとは限らないので、CPU41は、印刷画像データのサイズ(幅)が幅Wの中に収まるか否かを判定する必要がある。このため、CPU41は、印刷したい画像を印刷したときを想定して、その画像の物理的なサイズ(幅)をW1として算出する(S10)。その後、CPU41は、WとW1とのサイズを比較する(S11)。W<W1であるときは、所望の画像データをこのままでは物理的に印刷できないので、その画像データを加工してW1≦Wになるようにしなければならない。普通、このようなときには画像データの一部を削除するか、画像データを縮小するかして、W1≦Wになるようにする。特に、本実施形態では、ステップS11においてW<W1と判断されるときには、CPU41は、W=W1となるように、印刷したい所望の画像データを加工する(S12)。加工方法はさまざまであるが、最も簡単な加工方法は上記のように、画像データの一部を削除する方法である。
【0048】
ステップS11でW≧W1と判断されたとき、又はステップS12の処理の後、CPU41は、W,Yr(R),Yr(L)を用いて、画像データの書き出しの座標値Yinitを算出する(S13)。書き出しの座標値Yinitは、当然、補正後の印刷可能領域Xの座標値に基づいて算出されるが、例えば以下のような計算によって求めることができる。
Yinit=(Yr(R)+Yr(L))/2−W/2 ・・・・・ (11)
このようにして、書き出しの座標値Yinitが決定される。
【0049】
次に、CPU41は、印刷動作を実行する。すなわち、CPU41は、各部を制御して、Yinit≦Yw≦Yinit+W1の範囲に印刷画像を形成する(S14)。このとき、印刷画像の左右の余白値は、ユーザが操作部32から入力した所望の値t[mm]になるはずである。印刷が終了すると(S15)、図10、図11及び図12のシーケンスが終了する。
【0050】
ところで、本実施形態のインクジェットプリンタにおける印刷方法は従来のものである。プリントヘッドがキャリッジ12に搭載されており、キャリッジ12の移動にあわせてプリントヘッドのノズルからインクを吐出することにより、紙面上に画像を形成する。印字方式には、図1においてホームポジションのある左側から右側に向かう方向にキャリッジ12を移動させながら印刷する方式である往方向印字と、図1において右側から左側に向かう方向にキャリッジ12を移動させながら印刷する方式である復方向印字とがあるが、上記のように算出された書き出しの座標値Yinitは、画像データの書き出し開始時に往方向印字を行う場合を想定して求められた。1枚の画像が形成されるまでには、キャリッジ12が複数回スキャンされるのであるが、本実施形態では、最初のスキャンだけは往方向印字で行うことを想定している。それ以降のスキャンは往方向印字、復方向印字のいずれか、または両方で行ってもよい。要は、画像の左端の座標値がYinitになるようにするのである。このようにして得られた印刷画像は、紙2の左余白値が所望の値t[mm]になるはずである。
【0051】
以上説明したように、印刷モードにおいては、ステップS4からステップS15までの処理が行われる。一方、本発明のポイントであるサービスモードの余白補正値設定モードには、ステップS19からステップS34までの処理が対応する。以下、余白補正値設定モードにおける処理を説明する。
【0052】
上述したように、ステップS2にて印刷要求があるときには、ステップS4からS15までの処理が印刷モードとして実行されるが、ステップS3にてサービスモードの要求があると、ステップS16以下のサービスモードの処理が実行される。ステップS3にて判断しているのは、ユーザが操作部32からサービスモードを要求するコマンドを入力したか否かである。サービスモードには、メンテナンスのためのテスト印刷を実行するモード、用紙をカットするモード、用紙をフィードするモード、プリントヘッドのノズルの吸引をするモード、余白補正値設定モードなどがあるが、余白補正値設定モード以外のモードは、本発明のポイントを説明するには不要な部分であるので、以下では、それらの説明を省略する。
【0053】
ステップS3においてサービスモードへの移行要求があると、インクジェットプリンタはサービスモードへ移行し(S16)、操作部32からの入力待ち状態になる。この入力待ち状態では、インクジェットプリンタは、まず、サービスモードにおいて、余白補正値設定モードが選択されているか否かを判断する(S17)。余白補正値設定モードが選択されていないと判断すると、サービスモードから脱出する要求があるか否かを判断する(S18)。サービスモードから脱出する要求がなければ、ステップS16に移行し、一方、サービスモードから脱出する要求があれば、ステップS1に移行し、オンラインモードに戻る。
【0054】
ステップS17において操作部32から余白補正値設定モードが選択されたと判断されると、インクジェットプリンタは、余白補正値設定モードに移行する。余白補正値設定モードでは、図12に示すステップS19からステップS34までの処理が行われる。ここで、ステップS21及びS22の処理は、EEPROM43内の紙端検出プログラム431にしたがって実行され、ステップS19及びS20、ステップS23からステップS34までの処理は、EEPROM43内の余白補正用のテスト印刷処理プログラム432にしたがって実行される。
【0055】
余白補正値設定モードに移行すると、CPU41は、「所望の余白値(mm)を操作部から入力してください。」というメッセージを表示部31に表示する(S19)。そして、所望の余白値t[mm]が操作部32から入力されるのを待つウエイト状態になる(S20)。ステップS20において所望の余白値t[mm]が入力されたと判断されると、CPU41は、フォトリフレクタ21等を用いて紙2の左端の座標値Y(L)を検出する(S21)。そして、次に、フォトリフレクタ21等を用いて紙2の右端の座標値Y(R)を検出する(S22)。図9に示されるY(R),Y(L)はそれぞれステップS21,S22において検出された座標値である。この結果により、CPU41は印刷可能領域Xを認識する。すなわち、図9において、印刷可能領域XはY(L)+t≦Y≦Y(R)−tとなる。
【0056】
次に、CPU41は、このようにして認識された印刷可能領域Xのうち左端部の所定領域に左余白補正用テスト印刷画像を印刷する処理を実行する(S23)。左余白補正用テスト印刷画像は、印刷可能領域Xのうちその左端Y(L)+tから所定の幅を有する領域に形成された画像である。CPU41は、このテスト印刷処理が終了したと判断すると(S24)、「印刷された画像の左余白値(mm)を操作部から入力してください。」というメッセージを表示部31に表示する(S25)。テスト印刷された画像の左余白値tlrは所望の余白値と異なることが多く、インクジェットプリンタにtlrを認識させる必要があるからである。CPU41は、テスト印刷された画像の左余白値tlrが操作部32から入力されたと判断すると(S26)、その入力された左余白値tlrと所望の余白値tとから、新たな左余白の補正値A(L)をA(L)=tlr−tとして導出する(S27)。このようにして導出された補正値A(L)はEEPROM43の補正値記憶領域に記憶される。その後、CPU41は、表示部21に「左余白の補正値を更新しました。」というメッセージを表示する(S28)。
【0057】
ステップS23〜S28の処理が行われて、左余白の補正値が更新されると、次に、ステップS29〜S34において、同様に右余白の補正値を更新する処理が実行される。CPU41は、まず、印刷可能領域Xのうち右端部の所定領域に右余白補正用テスト印刷画像を印刷する処理を実行する(S29)。右余白補正用テスト印刷画像は、印刷可能領域Xのうちその右端Y(R)−tから所定の幅を有する領域に形成された画像である。CPU41は、このテスト印刷処理が終了したと判断すると(S30)、「印刷された画像の右余白値(mm)を操作部から入力してください。」というメッセージを表示部31に表示する(S31)。テスト印刷された画像の右余白値trrは所望の余白値と異なることが多く、インクジェットプリンタにtrrを認識させる必要があるからである。CPU41は、テスト印刷された画像の右余白値trrが操作部32から入力されたと判断すると(S32)、その入力された右余白値trrと所望の余白値tとから、新たな右余白の補正値A(R)をA(R)=trr−tとして導出する(S33)。このようにして導出された補正値A(R)はEEPROM43の補正値記憶領域に記憶される。その後、CPU41は、表示部21に「右余白の補正値を更新しました。」というメッセージを表示する(S34)。
【0058】
ステップS19からステップS34までの処理を行うことにより、インクジェットプリンタは左余白の補正値A(L)と右余白の補正値A(R)とを更新し終えることになる。前述のように、A(L),A(R)はステップS7,S8においてYr(L)及びYr(R)を算出するために使われる補正値である。以上で、余白補正値設定モードにおける処理が終了する。その後、ステップS1に移行して、インクジェットプリンタはオンラインモードに戻る。
【0059】
本実施形態のインクジェットプリンタは、余白補正値設定モードが選択されたときに、テスト印刷画像の左右余白についての測定値と左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出し、EEPROMに記憶しておく。また、外部から画像データが送られたときに、フォトリフレクタ等を用いて検出された紙の左右端の座標値とEEPROMに記憶された左右余白についての補正値とに基づいて紙の左右端の座標値を補正し、その補正された紙の左右端の座標値によって示唆される領域に紙が存在していると認識する。これにより、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができ、したがって、左右余白値が0である印刷画像を形成することも可能である。
【0060】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るインクジェットプリンタは、所定のコマンドが入力されたときに、テスト印刷画像の左右余白についての測定値と左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出し、記憶手段に記憶しておく。また、外部から画像データが送られたときに、媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値と記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正し、その補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識する。これにより、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができ、したがって、左右余白値が0である印刷画像を形成することも可能である。
【0062】
また、本発明に係るインクジェットプリンタの余白値補正方法は、上記と同様に、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができ、したがって、左右余白値が0である印刷画像を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】そのインクジェットプリンタにおけるフォトリフレクタの位置特性を説明するための図である。
【図3】そのインクジェットプリンタのフォトリフレクタの概略回路図である。
【図4】そのインクジェットプリンタの紙搬送装置の概略構成図である。
【図5】そのインクジェットプリンタのエンジンコントローラの概略構成図である。
【図6】そのエンジンコントローラのASICの概略構成図である。
【図7】そのエンジンコントローラのEEPROMの概略構成図である。
【図8】本実施形態のインクジェットプリンタにおいて紙の左右端の座標値を補正する処理を説明するための図である。
【図9】そのインクジェットプリンタにおいて左右余白についての補正値を算出する処理を説明するための図である。
【図10】本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図13】従来のインクジェットプリンタにおける余白値の補正方法を説明するための図である。
【符号の説明】
2・・・ 紙、11・・・ プラテン、12・・・ キャリッジ、13・・・ キャリッジレール、14・・・ キャリッジモータ、15・・・ キャリッジ駆動ベルト、16・・・ キャリッジローラ、17・・・ キャリッジ位置スケール、18・・・ キャリッジ位置検出センサ、19・・・ 紙搬送装置、19a・・・ コロ、19b・・・ ローラ、21・・・ フォトリフレクタ、21a・・・ 発光部、21b・・・ 受光部、22・・・ ホームポジションセンサ、23・・・ 遮光体、31・・・ 表示部、32・・・ 操作部、40・・・ エンジンコントローラ、41・・・ CPU、42・・・ ASIC、421・・・ 紙搬送装置制御部、422・・・ 紙位置カウンタ部、423・・・ キャリッジモータ制御部、424・・・ キャリッジ位置カウンタ部、43・・・ EEPROM、431・・・ 紙端検出プログラム、432・・・ テスト印刷処理プログラム、433・・・ 位置補正プログラム、434・・・ 書き出し位置算出プログラム、435・・・ 印刷処理プログラム、436・・・ スレッショルドレベル、437・・・ 左右余白の補正値、44・・・ SDRAM、45・・・ 入出力ポート、46・・・ システムバス
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷媒体の有無及び印刷媒体のサイズを検出する機構を有するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のサイズの印刷媒体(例えば紙等)に記録できるインクジェットプリンタが知られている。このようなプリンタでは、装着されている印刷媒体のサイズを検出して、その印刷媒体に対応した記録を行っている。これは、特に、小さいサイズの印刷媒体に記録するときなどに、印刷媒体の存在しない箇所に記録をしないように、その印刷媒体のサイズを検出する必要があるためである。また、左右の余白値が著しく異なると、バランスが悪く、見た目に美しくない印刷画像が得られてしまう。したがって、インクジェットプリンタにおいては、印刷媒体のサイズを正確に検出することができる印刷媒体検出機構が必要である。
【0003】
この印刷媒体のサイズを検出する方法の一つとして、紙幅方向に沿ってスキャンするセンサによって印刷媒体の幅を検出する方法がある。このようなセンサには、一般に反射型のセンサであるフォトリフレクタが使われている。通常、フォトリフレクタはプリンタのキャリッジに備え付けられ、フォトリフレクタの反射光のレベルによって印刷媒体の有無を検出する。フォトリフレクタの反射光のレベルとしては、通常、印刷媒体からの反射光のレベルの方がプリンタプラテンからの反射光のレベルよりも大きいため、このレベル差により印刷媒体の有無を検出することが可能である。また、フォトリフレクタからの出力値のレベルは通常、アナログ値である。したがって、印刷媒体の有無を判断するスレッショルドレベルを予め設定しておき、センサからの出力値がこのスレッショルドレベルを超えるか否かに応じて、印刷媒体の有無を検出する。
【0004】
かかるセンサ(フォトリフレクタ)の検出位置と出力値との関係をグラフで表すと、図2の下側に示すようになる。ここで、Y軸はセンサの走査方向(キャリッジ走査方向)に平行であるとする。また、センサは、図2の上側に示すように、線分S上を走査し、反射光のレベルに応じた出力値を出力する。先にも述べたが、センサからの出力値はアナログ値であり、センサは紙の左右端においてスレッショルドレベル付近の値を出力する。以下、図2に示すようなセンサの出力値とY座標との対応を、「センサの位置特性」と呼ぶことにする。このようなセンサの位置特性は、理論的には一意に定まる一つのカーブであるはずである。しかし、実際にはプリンタに取り付けられるセンサの取り付け誤差、センサの個体差、センサのLEDの光量、使用環境(外乱光の有無など)に応じて、センサの位置特性は変化する。したがって、図2に示すように、センサの位置特性の理論値と実際値との間には乖離がある。この乖離に起因して、実際の紙端の位置とセンサによって検出された紙端の位置とには、図2に示すように、ΔX1及びΔX2の誤差が発生してしまう。図2では、紙左端の検出誤差をΔX1、紙右端の検出誤差をΔX2としている。このような検出誤差は、印刷画像のバランスを損ね、印刷品質の観点から望ましくない。
【0005】
従来、かかる紙端の検出誤差に起因した左右余白値の誤差及び左右余白のバランスを調整する調整手段を備えたプリンタがある。このようなプリンタでは、テスト印刷の結果に基づいて余白値の補正値が入力されたときに、印刷可能領域をキャリッジ走査方向に、その補正値に基づく所定量だけシフトさせることにより、印刷画像を印刷可能領域の中央に形成することを可能としている。例えば、図13に示すように、実際の紙左端の座標値がY=y0、実際の紙右端の座標値がY=y3である場合を考える。このとき、センサによって検出される紙の左右端の座標値と実際の紙の左右端の座標値との間にはそれぞれ、ΔX1,ΔX2の誤差が出る。いま、左右の余白についての設定値をtとすると、実際に形成される画像の左右の余白値はそれぞれt+ΔX1,t+ΔX2となり、左右の余白値が等しくならない。この問題を解消するために、従来、補正値ΔX3を入力し、印刷可能領域XをΔX3だけY軸方向(キャリッジ走査方向)にずらして印刷することにより、実際の左余白値ΔD1と実際の右余白値ΔD2とが等しくなるようにしている。
【0006】
具体的には、補正値ΔX3は、以下のようにして求めることが可能である。図13において、実際の紙の中心の座標をY=ym、その左端の座標値をY=y0、その右端の座標値をY=y3とし、また、印刷可能領域XをΔX3だけY軸方向(キャリッジ走査方向)にずらした後の印刷可能領域Xの左端の座標値をY=y1、その右端の座標値をY=y2としている。印刷可能領域Xの横幅はWである。このとき、印刷可能領域Xの中央の座標が実際の紙の中央の座標に来るようにシフト量(補正値)ΔX3を決定する。すなわち、補正後における印刷可能領域Xの左端の座標値y1は、
y1=y0+ΔX1+t+ΔX3 ・・・・・ (1)
であり、y0とy3の中点の座標値ymは、
ym=(ΔX1+ΔX2+2t+W)/2+y0 ・・・・・ (2)
である。印刷可能領域Xがy0とy3のちょうど真ん中に来るように(ΔD1=ΔD2となるように)、補正値ΔX3が入力されたとすると、以下の式が成り立つ。
ym−W/2=y1 ・・・・・ (3)
(3)式に(1)式及び(2)式を代入し、整理すると、
ΔX3=(ΔX2−ΔX1)/2 ・・・・・ (4)
が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の余白値補正方法では、(4)式より、補正値ΔX3は検出誤差ΔX1及びΔX2のみによって求まり、画像データのサイズ(紙サイズ)によらないことが証明される。したがって、画像データのサイズや紙サイズが変更されても、補正値を変更する必要はなく、しかも、左右の余白値が等しく(ΔD1=ΔD2)なるため、一見バランスのよい画像を形成することが可能である。しかしながら、このような従来の方法では、ΔD1=ΔD2となるように補正することができても、ΔD1=ΔD2=tとはならないことは理解されよう。このため、従来、形成する画像の余白値を所望の値に調整することができず、余白のない画像を形成することができなかった。
【0008】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができるインクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタの余白値補正方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係るインクジェットプリンタは、光を発する発光部とプラテン又は印刷媒体で反射された前記光を受光する受光部とを有し、印刷媒体の送り方向と直交する方向に往復移動するフォトリフレクタと、前記フォトリフレクタの位置を検出する位置検出手段と、前記フォトリフレクタが前記受光部で受光された光のレベルに応じて出力する出力値に基づいて印刷媒体の有無を判断する際に基準となる閾値を記憶する記憶手段と、前記フォトリフレクタを移動させながら、前記フォトリフレクタの出力値と前記閾値とを比較し、前記フォトリフレクタの出力値と前記閾値との大小関係が逆転するときに前記位置検出手段によって得られる前記フォトリフレクタの位置を印刷媒体の左右端の座標値として求める媒体端検出手段と、印刷画像の左右余白についての設定値を入力するための入力手段と、前記入力手段から所定のコマンドが入力されたときに、前記入力手段から入力された左右余白についての設定値及び前記媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成し、且つ、そのテスト印刷画像の左右余白についての測定値が前記入力手段から入力されたときに、その入力された左右余白についての測定値と前記入力手段から入力された左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出して前記記憶手段に記憶させる余白補正値設定手段と、外部から画像データが送られたときに、前記媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値と前記記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正し、その補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識し、印刷画像の左右の余白値が所望の値になるように当該画像データの印刷を行う印刷処理手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0010】
また、上記の目的を達成するための請求項2記載の発明に係るインクジェットプリンタの余白値補正方法は、入力手段から印刷画像の左右余白についての設定値を入力する旨を表示手段に表示する第一工程と、フォトリフレクタを移動させながら印刷媒体の左右端の座標値を検出する第二工程と、前記入力手段から入力された左右余白についての設定値及び前記第二工程で得られた印刷媒体の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成する第三工程と、前記テスト印刷画像の左右余白についての測定値を前記入力手段から入力する旨を前記表示手段に表示する第四工程と、前記入力手段から入力された印刷画像の左右余白についての設定値と前記テスト印刷画像の左右余白についての測定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出して記憶手段に記憶させる第五工程とからなる余白補正値設定工程と、外部から画像データが送られたときに、前記フォトリフレクタを移動させながら印刷媒体の左右端の座標値を検出する第六工程と、前記第六工程で検出された印刷媒体の左右端の座標値と前記記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正する第七工程と、前記第七工程で補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識し、印刷画像の左右の余白値が所望の値になるように当該画像データの印刷を行う第八工程とからなる印刷処理工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
(基本的構成)
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタの概略構成図、図2はそのインクジェットプリンタにおけるフォトリフレクタの位置特性を説明するための図、図3はそのインクジェットプリンタのフォトリフレクタの概略回路図、図4はそのインクジェットプリンタの紙搬送装置の概略構成図、図5はそのインクジェットプリンタのエンジンコントローラの概略構成図、図6はそのエンジンコントローラのASICの概略構成図、図7はそのエンジンコントローラのEEPROMの概略構成図である。
【0012】
本実施形態のインクジェットプリンタは、図1に示すように、プラテン11と、キャリッジ12と、キャリッジレール13と、キャリッジモータ14と、キャリッジ駆動ベルト15と、キャリッジローラ16と、キャリッジ位置スケール17と、キャリッジ位置検出センサ(位置検出手段)18と、紙搬送装置19と、フォトリフレクタ21と、ホームポジションセンサ(ホームポジション検出手段)22と、遮光体23と、表示部31と、操作部(入力手段)32と、エンジンコントローラ40とを備えるものである。
【0013】
プラテン11は、その上面に紙(印刷媒体)2を載置する台である。紙2は、紙搬送装置19により紙搬送方向に搬送されて、プラテン11上を移動する。紙搬送装置19は、図4に示すように、紙を加圧するコロ19aと、ローラ19bと、ローラ19bを駆動するためのステッピングモータ等の駆動手段(不図示)とを有する。コロ19aとローラ19bとの間に紙2を挟み込み、紙2を加圧した状態で、駆動手段がローラ19bを回転することにより、紙2がプラテン11上を移動する。
【0014】
キャリッジ12には、プリントヘッド及びフォトリフレクタ21が搭載されている。プリントヘッドは、その下面に多数のノズルを有し、各ノズルの吐出口から微小インク滴を吐出する。
【0015】
キャリッジレール13は、キャリッジ12が走査するレールである。キャリッジ駆動ベルト15は、キャリッジ12に固定されており、キャリッジモータ14の動力をキャリッジ12に伝達する。キャリッジ12は、キャリッジモータ14により、キャリッジレール13に沿ってプラテン11の長手方向(キャリッジ走査方向)に移動する。
【0016】
キャリッジローラ16は、キャリッジ駆動ベルト15によってキャリッジモータ14と連結されている。キャリッジモータ14の動力がキャリッジ駆動ベルト15を介してキャリッジローラ16に伝えられることにより、キャリッジローラ16が回転する。キャリッジ位置スケール17は、キャリッジローラ16と接続され、キャリッジローラ16と同じ方向、同じ回転数で回転するスケールである。キャリッジ位置検出センサ18は、キャリッジ位置スケール17のスケールを読み、キャリッジ12の位置を検出するものである。
【0017】
キャリッジ位置検出センサ18は互いに対向して配置された発光部と受光部とからなり、キャリッジ位置スケール17はキャリッジ位置検出センサ18の発光部と受光部との間に位置している。キャリッジ12が移動すると、キャリッジローラ16に取り付けられたキャリッジ位置スケール17が回転する。キャリッジ位置スケール17はキャリッジローラ16の回転角度に応じてキャリッジ位置検出センサ18の発光部と受光部との間を遮断したり開放したりする。すなわち、キャリッジ位置検出センサ18の発光部から発光される光線は、キャリッジ位置スケール17が発光部と受光部との間を移動することにより、通過したり遮られたりする。キャリッジ位置検出センサ18はこの明暗を検出し、キャリッジ位置スケール17の移動距離、速度に応じたパルスを出力する。この出力されたパルスのカウント値に基づいて、キャリッジ12の位置が認識される。尚、キャリッジ位置検出センサ18により検出されるキャリッジ12の位置は、フォトリフレクタ21の位置と同一視することができる。
【0018】
フォトリフレクタ21は、プラテン11上において紙2の有無及びサイズを検出するためのセンサであり、図3に示すように、発光部21aと受光部21bとからなる。ここでは、発光部21aにLED(発光ダイオード)を、受光部21bにトランジスタを用いている。発光部21aであるLEDのアノードはVCCに接続され、カソードは抵抗R1に接続される。抵抗R1はLEDとGNDとの間を接続する。また、受光部21bであるトランジスタのコレクタはVCCに接続され、エミッタは抵抗R2とエンジンコントローラ40におけるCPUの汎用アナログポートとに接続される。LEDから発せられた光線は、プラテン11で又はプラテン11上の紙2で反射された後、トランジスタで受光される。フォトリフレクタ21はかかる反射光のレベルに応じて紙2の有無を検出する。
【0019】
このフォトリフレクタ21の位置特性は、図2に示すようになる。このとき、フォトリフレクタ21の位置特性の理論値と実際値との間には乖離がある。この乖離に起因して、実際の紙端の位置とフォトリフレクタ21により検出された紙端の位置とには、図2に示すように、ΔX1及びΔX2の誤差が発生してしまう。図2では、紙左端の検出誤差をΔX1、紙右端の検出誤差をΔX2としている。
【0020】
ホームポジションセンサ22は、キャリッジ12がホームポジションに位置していることを検出するものである。このホームポジションセンサ22は、互いに対向して配置された発光部と受光部とからなる。また、キャリッジ12には遮光体23が取り付けられている。キャリッジ12がホームポジションにあるときには、遮光体23がホームポジションセンサ22の発光部と受光部との間に位置し、発光部からの光線を遮る。ホームポジションセンサ22の受光部がその発光部からの光線を受光しないときに、キャリッジ12がホームポジションに位置していることが検出される。
【0021】
表示部31は、ユーザに種々のメッセージを表示するための表示機能を有する。操作部32は、印刷画像の左右余白についての設定値を入力したり、各種のモードを選択したりするものである。操作部32には一つ以上のボタンがついている。ボタン操作により、インクジェットプリンタに所望の動作を実行させることができる。例えば、ボタンを操作することにより、オンラインモード、サービスモード等の動作モードを設定することができる。オンラインモードは図示しないホストコンピュータから画像データが送信されるのを待ち受けるモードである。オンラインモードのときに、画像データが送られると、インクジェットプリンタは印刷モードに移行する。印刷モードは、ホストコンピュータから送られた画像データを紙2に印刷するモードである。
【0022】
また、インクジェットプリンタがサービスモードにあるときに、ユーザは、操作部32のボタン操作により、メンテナンスのためのテスト印刷を実行するモード、用紙をカットするモード、用紙をフィードするモード、プリントヘッドのノズルの吸引を行うモード、余白補正値設定モード等を選択することができる。余白補正値設定モードは、余白補正用のテスト印刷を行うと共に、そのテスト印刷された画像の左右余白についての測定値が操作部32から入力されたときに、印刷画像の左右余白についての補正値を設定するモードである。余白補正値設定モード以外のサービスモードは、本発明のポイントを説明するには不要な部分であるので、その詳細な説明を省略する。
【0023】
エンジンコントローラ40は、印刷画像データの処理、当該インクジェットプリンタの駆動系やセンサ系の制御を行うものである。かかるエンジンコントローラ40は、図5に示すように、汎用アナログポートを備えたCPU41と、カスタムICであるASIC42と、EEPROM43と、SDRAM44と、エンジンコントローラ40とその外部機器との間の電気的入出力ポートなる入出力ポート45と、エンジンコントローラ40内の各ロジックを接続するシステムバス46とを有する。SDRAM44には、印刷画像データや種々の処理データが格納される。例えば、SDRAM44の位置記憶領域には、フォトリフレクタ21等を用いて検出された紙2の左右端の座標値、印刷モードにおいて補正された紙2の左右端の座標値等が記憶される。
【0024】
ASIC42は、図6に示すように、紙搬送装置制御部421と、紙位置カウンタ部422と、キャリッジモータ制御部423と、キャリッジ位置カウンタ部424とを有する。紙搬送装置制御部421は、紙搬送装置19を駆動させる制御信号を生成する。紙位置カウンタ部422は、紙搬送装置19によって紙2が搬送された距離をカウントし、このカウント値を紙2の相対的位置としてCPU41に対して表示するレジスタである。キャリッジモータ制御部423は、キャリッジモータ14を駆動させる制御信号を生成する。キャリッジ位置カウンタ部424は、キャリッジ位置検出センサ18からの出力信号パルスをカウントし、このカウント値をキャリッジ12の相対的位置としてCPU41に対して表示するレジスタである。
【0025】
また、上述したキャリッジモータ14、キャリッジ位置検出センサ18、紙搬送装置19、フォトリフレクタ21、ホームポジションセンサ22、表示部31、操作部32はすべてエンジンコントローラ40に電気的に接続され、エンジンコントローラ40内部のCPU41、ASIC42等の制御系ICにより制御され、また、エンジンコントローラ40内部の駆動系回路により駆動される。
【0026】
EEPROM43には、CPU41を動作させるためのプログラム等が格納されている。具体的に、かかるEEPROM43に格納されているプログラムとしては、図7に示すように、紙端検出プログラム431と、余白補正用のテスト印刷処理プログラム432と、位置補正プログラム433と、書き出し位置算出プログラム434と、印刷処理プログラム435とがある。また、EEPROM43に格納されているデータとして、フォトリフレクタ21のスレッショルドレベル(閾値)436、余白補正値設定モードにおいて得られた左右余白についての補正値437がある。スレッショルドレベル436は、フォトリフレクタ21の出力値に基づいて紙2の有無を判断する際に基準となるレベルであり、EEPROM43の閾値記憶領域に格納されている。左右余白についての補正値437は、印刷モードにおいて紙2の左右端の座標値を補正する際に基準となる値であり、EEPROM43の補正値記憶領域に格納されている。
【0027】
紙端検出プログラム431は、紙2の左右端の座標値を検出する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。これにより、CPU41は紙端検出手段としての役割を果たす。具体的には、CPU41は、フォトリフレクタ21を移動させながら、フォトリフレクタ21の出力値とEEPROM43の閾値記憶領域に記憶されるスレッショルドレベルとを比較し、フォトリフレクタ21の出力値とスレッショルドレベルとの大小関係が逆転するときにキャリッジ位置検出センサ18によって得られるフォトリフレクタ21の位置を紙2の左右端の座標値として求める。その求めた紙2の左右端の座標値は、SDRAM44の位置記憶領域に記憶される。この紙端検出プログラム431は、インクジェットプリンタが余白補正値設定モード及び印刷モードにあるときに実行される。
【0028】
余白補正用のテスト印刷処理プログラム432は、操作部32から、サービスモードの余白補正値設定モードへの移行を要求するコマンドが入力されたときに実行される。この余白補正用のテスト印刷処理プログラム432は、左右余白についての補正値を設定する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。これにより、CPU41は、余白補正値設定手段としての役割を果たす。具体的には、CPU41は、操作部32から入力された左右余白についての設定値及び紙端検出プログラム431を実行して得られた紙2の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成する。そして、そのテスト印刷画像の左右余白についての測定値が操作部32から入力されたときに、その入力された左右余白についての測定値と操作部32から入力された左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出する。その算出された左右余白についての補正値は、EEPROM43の補正値記憶領域に記憶される。
【0029】
位置補正プログラム433、書き出し位置算出プログラム434及び印刷処理プログラム435は、インクジェットプリンタが印刷モードにあるときに実行される。位置補正プログラム433は、紙端検出プログラム431を実行して得られた紙2の左右端の座標値とEEPROM43の補正値記憶領域に記憶される左右余白についての補正値とに基づいて紙2の左右端の座標値を補正し、その補正された紙2の左右端の座標値を補正後の紙左右端の座標値として新たにSDRAM44の位置記憶領域にライトする制御をCPU41に実行させるためのプログラムである。また、書き出し位置算出プログラム434は、SDRAM44の位置記憶領域に記憶される補正後の紙左右端の座標値によって示唆される領域に紙2が存在していると認識し、当該領域内において印刷画像の書き出し位置を決定する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。印刷処理プログラム435は、ホストコンピュータから送信される画像データに基づいて紙2上に印刷画像を形成する処理をCPU41に実行させるためのプログラムである。これらのプログラム433,434,435をCPU41に実行させることにより、CPU41は、印刷処理手段としての役割を果たす。
【0030】
(基本的機能)
本実施形態のインクジェットプリンタは、上記のように構成されており、以下に示すような機能を有する。図8は本実施形態のインクジェットプリンタにおいて紙2の左右端の座標値を補正する処理を説明するための図、図9はそのインクジェットプリンタにおいて左右余白についての補正値を算出する処理を説明するための図である。
【0031】
前述のように、フォトリフレクタ21等を用いて紙2の左右端が認識されると、図8に示されるように、紙2の左右端の座標にそれぞれΔX1,ΔX2の誤差が出る。このような誤差があることにより、例えば所望の左右の余白値をt[mm]に設定していたとしても、インクジェットプリンタに認識される実際の印刷可能領域Xは、図8において補正前と書かれた領域となり、左右の余白にはそれぞれΔX1,ΔX2の誤差が出てしまう。すなわち、本実施形態のインクジェットプリンタは、フォトリフレクタ21を移動させることにより紙2の左右端を検出し、そのときのフォトリフレクタ21の位置を紙2の左右端の座標値として求める。ここで、紙2の右端の座標値をY(L)、左端部の座標をY(R)とする。このとき、インクジェットプリンタは、Y(L)+t≦Y≦Y(R)−tの範囲が印刷可能領域X(補正前)であると認識する。印刷可能領域Xと紙2の左右端との距離はそれぞれt[mm]であることが理想であるが、検出誤差ΔX1及びΔX2のために、そうはならない。印刷可能領域Xと紙2の左端との実際の距離がtlr[mm]、印刷可能範囲Xと紙2の右端との実際の距離がtrr[mm]であるとすると、tlr≠t、trr≠tである。
【0032】
本発明の目的は、印刷画像の余白値を所望の値に調整することである。この目的を達成するために、本実施形態のインクジェットプリンタは、ある補正値A(L)及びA(R)を設定し、
Yr(L)=Y(L)−A(L)
Yr(R)=Y(R)+A(R) ・・・・・ (5)
をそれぞれ紙2の左右端の座標値であると認識する。すなわち、Yr(L),Yr(R)が実際の紙2の左右端の座標値に一致するように補正値A(L)とA(R)の値を設定するのである。このとき、補正値A(L)とA(R)とがとらなければならない条件を考える。まず、tlr,trrの条件から、
tlr=t+ΔX1
trr=t+ΔX2 ・・・・・ (6)
である。tlr及びtrrを所望の余白値tに調節するのであるから、
tlr−A(L)=t
trr−A(R)=t ・・・・・ (7)
でなければならない。(6)式、(7)式により、
A(L)=ΔX1、A(R)=ΔX2 ・・・・・ (8)
がそれぞれ求められる。
【0033】
すなわち、インクジェットプリンタに認識される紙2の左右端の座標値Yr(L),Yr(R)は、(5)式及び(8)式を満たすことにより、実際の紙2の左右端の座標値に一致する。本実施形態のインクジェットプリンタは、(8)式を満たすような補正値A(L),A(R)を導出し、フォトリフレクタ21等を用いて検出された座標値Y(L),Y(R)を、▲5▼式にしたがってYr(L)=Y(L)−A(L),Yr(R)=Y(R)+A(R)のように補正することにより、紙2の左右端の座標値Yr(L),Yr(R)を認識する。これにより、インクジェットプリンタが認識する紙2の左右端の座標値と、実際の紙2の左右端の座標値との誤差をなくすことが可能である。しかし、(8)式がそのための条件であるので、補正値A(L)及びA(R)を(8)式を満たすように設定する必要がある。
【0034】
本実施形態のインクジェットプリンタは、余白補正値設定モードにおいて、(8)式を満たすような補正値A(L),A(R)を導出する。すなわち、インクジェットプリンタは、まず、図9の印刷可能領域X(補正前)のうち左右端部の所定領域に、テスト印刷を実行する。そして、インクジェットプリンタのユーザが、テスト印刷によって形成された画像の余白値tlr及びtrrを測定する。ユーザがその測定した余白値tlr及びtrrを操作部32から入力することにより、インクジェットプリンタは、その入力された左右の余白値tlr,trrと所望の左右の余白値tとの差であるΔX1,ΔX2を導出することが可能となる。そして、インクジェットプリンタは、(8)式により補正値A(L)及びA(R)を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態のインクジェットプリンタは、印刷モードにおいて、補正値A(L),A(R)を用いて紙2の左右端の座標値Yr(L),Yr(R)を算出する。すなわち、インクジェットプリンタは、Y(L)及びY(R)をフォトリフレクタ21等を用いて検出した後、(5)式により、Yr(L)=Y(L)−A(L),Yr(R)=Y(R)+A(R)を補正後における紙2の左右端の座標値として認識する。このようにして認識されたYr(L)及びYr(R)は、実際の紙2の左右端の座標値と理論的には一致するはずである。実際には、tlr,trrをユーザが計測しているため、多少の誤差が発生してしまうが、それでもYr(L)及びYr(R)の方がY(L)及びY(R)よりも実際の紙2の左右端の座標値に近い。
【0036】
本実施形態のインクジェットプリンタでは、このような処理により紙2の左右端の座標値を正確に認識し、左右の余白値を所望の値に調整することが可能である。また、(8)式より、補正値A(L)及びA(R)は検出誤差ΔX1及びΔX2のみによって求まり、画像データのサイズ(紙サイズ)によらないことが証明される。したがって、画像データのサイズや紙サイズが変更されても、補正値A(L)及びA(R)を変更する必要はない。このため、上記の左右余白についての補正値A(L)及びA(R)を算出する処理を、印刷を行う度に行う必要はなく、例えば当該インクジェットプリンタの工場出荷前に一度だけ行えばよい。
【0037】
(プロセス概要)
本実施形態のインクジェットプリンタは、以下に示すシーケンスを実行し、紙2の左右端の座標を正確に補正する。図10、図11及び図12は本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0038】
まず、インクジェットプリンタに電源が供給されると、インクジェットプリンタはオンラインモードになり、ホストコンピュータからのデータを待ち受ける状態になる(S1)。この状態で、インクジェットプリンタは、印刷要求があるか否かを判断する(S2)。印刷要求があると、インクジェットプリンタはオンラインモードから印刷モードに移行する。印刷モードへの移行はインクジェットプリンタがホストコンピュータから印刷画像を受信したときに実行される。一方、ステップS2において印刷要求がないと判断すると、インクジェットプリンタは、サービスモードへの移行の要求があるか否かを判断する(S3)。サービスモードへの移行の要求があると、インクジェットプリンタはオンラインモードからサービスモードに移行する(S16)。サービスモードへの移行は、ユーザが操作部32からサービスモードへの移行を要求するコマンドを入力することにより実行される。一方、ステップS3においてサービスモードへの移行の要求がないと、ステップS2に移行する。
【0039】
このように、インクジェットプリンタがオンラインモードにあるときに画像データを受信すると、印刷モードへ移行する。印刷モードでは、図11に示すステップS4からステップS15までの処理が行われる。ここで、ステップS4からステップS6までの処理は、EEPROM43内の紙端検出プログラム431にしたがって実行され、ステップS7及びS8の処理は、EEPROM43内の位置補正プログラム433にしたがって実行される。また、ステップS9からステップS13までの処理は、EEPROM43内の書き出し位置算出プログラムにしたがって実行され、ステップS14及びS15の処理は、EEPROM43内の印刷処理プログラム434にしたがって実行される。
【0040】
印刷モードにおいては、まず、CPU41は、ASIC42の紙搬送装置制御部424で生成された信号を紙搬送装置19に送り、図1又は図2に示すように、紙がS上に来るように紙2をフィードさせる(S4)。紙2をフィードする距離はΔXであるが、ΔXは必要最小限にとどめるべきである。
【0041】
次に、CPU41は、紙2の左端の座標値を検出する(S5)。すなわち、CPU41は、キャリッジ12をキャリッジモータ14で移動させながらフォトリフレクタ21の出力値を監視し、その出力値が所定のスレッショルドレベルを超えるときに、そのキャリッジ12の座標値をSDRAM44の位置記憶領域に記憶させるのである。この座標値がフォトリフレクタ21等を用いて検出された紙2の左端の座標値Y(L)である。
【0042】
ここで、キャリッジ12の位置は図1に示すキャリッジ位置検出センサ18によって検出される。キャリッジ12が移動すると、キャリッジ位置スケール17がキャリッジ位置検出センサ18の発光部と受光部との間を回転することにより、キャリッジ位置センサ18の発光部から発光される光線は、キャリッジ位置スケール17によって遮られたり、通過したりする。キャリッジ位置センサ18はこの明暗を検出し、キャリッジ位置スケール17の移動距離、速度に応じたパルスを出力する。そして、ASIC42に入力されるこのパルスをASIC42はカウントし、カウントした値をキャリッジ位置カウンタ部423に表示させる。CPU41はこのキャリッジ位置カウンタ部423のカウンタ値を読み、キャリッジ12の位置を認識する。また、このカウント値をリセットするタイミングは、キャリッジ12がホームポジションに位置するときが望ましい。図1に示す遮光体23がホームポジションセンサ22の発光部から発光される光線を遮るとき、CPU41は、キャリッジ12がイニシャルの位置にあるとし、キャリッジ位置カウンタ部423のカウンタ値を0にリセットするのである。すなわち、ホームポジションがキャリッジ位置の基準となる。
【0043】
その後、CPU41は、ステップS4と同様に、紙2の右端の座標値を検出し、その座標値をSDRAM44の位置記憶領域に記憶させる(S6)。この座標値がフォトリフレクタ21等を用いて検出された紙2の右端の座標値Y(R)である。言うまでもないが、かかる座標値はキャリッジ位置カウンタ部423のカウント値を読み取ることにより得ることが可能である。
【0044】
ステップS5,S6で検出された座標値Y(L),Y(R)はあくまでも検出値であり、前述のように、実際に検出されるフォトリフレクタ21の位置特性が理論値と異なるので、座標値Y(L),Y(R)は実際の紙2の左右端の座標値と異なる。このため、ステップS7,S8では、この検出値Y(L),Y(R)にそれぞれ補正値A(L),A(R)をインクリメント、デクリメントし、実際の紙2の左右端の座標値に近い値Yr(L),Yr(R)を得ることにしている。
【0045】
この補正値A(L),A(R)は、ステップS17において余白補正値設定モードが選択されたときに、テスト印刷の結果の余白値tlr,trrと所望の余白値tとの差分から導出される。すなわち、ステップS19においてユーザが操作部32から入力する所望の余白値tと実際のテスト印刷結果の余白値tlr,trrとから左余白についての補正値A(L)と右余白についての補正値A(R)とが導出される。tlrは左余白についての実際値、trrは右余白についての実際値であり、それらはユーザがテスト印刷の結果の余白値を測定し、当該測定値を操作部32から入力することによって得られる。このように、補正値A(L),A(R)はユーザが操作部32から入力する値であるtlr,trrから算出される。したがって、補正値A(L),A(R)には初期値を決めておかなければならない。さもないと、初期状態で、A(L),A(R)の値が存在しないときにステップS4以降の印刷モードに移行したときに、ソフトウェアがエラーになってしまう。初期値はあらかじめEEPROM43内部の補正値記憶領域437に記憶させておくのである。初期値は適当な値でよいが、0が望ましいであろう。
【0046】
補正後における紙2の左端の座標値Yr(L)、紙2の右端の座標値Yr(R)は、次式により導出可能である。
Yr(L)=Y(L)−A(L) ・・・・・ (9)
Yr(R)=Y(R)+A(R) ・・・・・ (10)
CPU41は、EEPROM43内の補正値記憶領域に記憶された補正値A(L)を用いて、(9)式により補正後における紙2の左端の座標値Yr(L)を算出する(S7)。その算出されたYr(L)はSDRAM44の位置記憶領域に記憶される。また、CPU41は、EEPROM43内の補正値記憶領域に記憶された補正値A(R)を用いて、(10)式により補正後における紙2の右端の座標値Yr(R)を算出する(S8)。その算出されたYr(R)はSDRAM44の位置記憶領域に記憶される。
【0047】
次に、CPU41は、印刷画像の書き出し位置を算出する処理を行う。まず、CPU41は、
W=Yr(R)−Yr(L)−2×t
を算出する(S9)。ここで算出するWは、インクジェットプリンタに認識された補正後の印刷可能領域Xの幅である。このとき、指定された印刷画像データのサイズ(幅)が、補正後の印刷可能領域Xの幅Wの中に収まるとは限らないので、CPU41は、印刷画像データのサイズ(幅)が幅Wの中に収まるか否かを判定する必要がある。このため、CPU41は、印刷したい画像を印刷したときを想定して、その画像の物理的なサイズ(幅)をW1として算出する(S10)。その後、CPU41は、WとW1とのサイズを比較する(S11)。W<W1であるときは、所望の画像データをこのままでは物理的に印刷できないので、その画像データを加工してW1≦Wになるようにしなければならない。普通、このようなときには画像データの一部を削除するか、画像データを縮小するかして、W1≦Wになるようにする。特に、本実施形態では、ステップS11においてW<W1と判断されるときには、CPU41は、W=W1となるように、印刷したい所望の画像データを加工する(S12)。加工方法はさまざまであるが、最も簡単な加工方法は上記のように、画像データの一部を削除する方法である。
【0048】
ステップS11でW≧W1と判断されたとき、又はステップS12の処理の後、CPU41は、W,Yr(R),Yr(L)を用いて、画像データの書き出しの座標値Yinitを算出する(S13)。書き出しの座標値Yinitは、当然、補正後の印刷可能領域Xの座標値に基づいて算出されるが、例えば以下のような計算によって求めることができる。
Yinit=(Yr(R)+Yr(L))/2−W/2 ・・・・・ (11)
このようにして、書き出しの座標値Yinitが決定される。
【0049】
次に、CPU41は、印刷動作を実行する。すなわち、CPU41は、各部を制御して、Yinit≦Yw≦Yinit+W1の範囲に印刷画像を形成する(S14)。このとき、印刷画像の左右の余白値は、ユーザが操作部32から入力した所望の値t[mm]になるはずである。印刷が終了すると(S15)、図10、図11及び図12のシーケンスが終了する。
【0050】
ところで、本実施形態のインクジェットプリンタにおける印刷方法は従来のものである。プリントヘッドがキャリッジ12に搭載されており、キャリッジ12の移動にあわせてプリントヘッドのノズルからインクを吐出することにより、紙面上に画像を形成する。印字方式には、図1においてホームポジションのある左側から右側に向かう方向にキャリッジ12を移動させながら印刷する方式である往方向印字と、図1において右側から左側に向かう方向にキャリッジ12を移動させながら印刷する方式である復方向印字とがあるが、上記のように算出された書き出しの座標値Yinitは、画像データの書き出し開始時に往方向印字を行う場合を想定して求められた。1枚の画像が形成されるまでには、キャリッジ12が複数回スキャンされるのであるが、本実施形態では、最初のスキャンだけは往方向印字で行うことを想定している。それ以降のスキャンは往方向印字、復方向印字のいずれか、または両方で行ってもよい。要は、画像の左端の座標値がYinitになるようにするのである。このようにして得られた印刷画像は、紙2の左余白値が所望の値t[mm]になるはずである。
【0051】
以上説明したように、印刷モードにおいては、ステップS4からステップS15までの処理が行われる。一方、本発明のポイントであるサービスモードの余白補正値設定モードには、ステップS19からステップS34までの処理が対応する。以下、余白補正値設定モードにおける処理を説明する。
【0052】
上述したように、ステップS2にて印刷要求があるときには、ステップS4からS15までの処理が印刷モードとして実行されるが、ステップS3にてサービスモードの要求があると、ステップS16以下のサービスモードの処理が実行される。ステップS3にて判断しているのは、ユーザが操作部32からサービスモードを要求するコマンドを入力したか否かである。サービスモードには、メンテナンスのためのテスト印刷を実行するモード、用紙をカットするモード、用紙をフィードするモード、プリントヘッドのノズルの吸引をするモード、余白補正値設定モードなどがあるが、余白補正値設定モード以外のモードは、本発明のポイントを説明するには不要な部分であるので、以下では、それらの説明を省略する。
【0053】
ステップS3においてサービスモードへの移行要求があると、インクジェットプリンタはサービスモードへ移行し(S16)、操作部32からの入力待ち状態になる。この入力待ち状態では、インクジェットプリンタは、まず、サービスモードにおいて、余白補正値設定モードが選択されているか否かを判断する(S17)。余白補正値設定モードが選択されていないと判断すると、サービスモードから脱出する要求があるか否かを判断する(S18)。サービスモードから脱出する要求がなければ、ステップS16に移行し、一方、サービスモードから脱出する要求があれば、ステップS1に移行し、オンラインモードに戻る。
【0054】
ステップS17において操作部32から余白補正値設定モードが選択されたと判断されると、インクジェットプリンタは、余白補正値設定モードに移行する。余白補正値設定モードでは、図12に示すステップS19からステップS34までの処理が行われる。ここで、ステップS21及びS22の処理は、EEPROM43内の紙端検出プログラム431にしたがって実行され、ステップS19及びS20、ステップS23からステップS34までの処理は、EEPROM43内の余白補正用のテスト印刷処理プログラム432にしたがって実行される。
【0055】
余白補正値設定モードに移行すると、CPU41は、「所望の余白値(mm)を操作部から入力してください。」というメッセージを表示部31に表示する(S19)。そして、所望の余白値t[mm]が操作部32から入力されるのを待つウエイト状態になる(S20)。ステップS20において所望の余白値t[mm]が入力されたと判断されると、CPU41は、フォトリフレクタ21等を用いて紙2の左端の座標値Y(L)を検出する(S21)。そして、次に、フォトリフレクタ21等を用いて紙2の右端の座標値Y(R)を検出する(S22)。図9に示されるY(R),Y(L)はそれぞれステップS21,S22において検出された座標値である。この結果により、CPU41は印刷可能領域Xを認識する。すなわち、図9において、印刷可能領域XはY(L)+t≦Y≦Y(R)−tとなる。
【0056】
次に、CPU41は、このようにして認識された印刷可能領域Xのうち左端部の所定領域に左余白補正用テスト印刷画像を印刷する処理を実行する(S23)。左余白補正用テスト印刷画像は、印刷可能領域Xのうちその左端Y(L)+tから所定の幅を有する領域に形成された画像である。CPU41は、このテスト印刷処理が終了したと判断すると(S24)、「印刷された画像の左余白値(mm)を操作部から入力してください。」というメッセージを表示部31に表示する(S25)。テスト印刷された画像の左余白値tlrは所望の余白値と異なることが多く、インクジェットプリンタにtlrを認識させる必要があるからである。CPU41は、テスト印刷された画像の左余白値tlrが操作部32から入力されたと判断すると(S26)、その入力された左余白値tlrと所望の余白値tとから、新たな左余白の補正値A(L)をA(L)=tlr−tとして導出する(S27)。このようにして導出された補正値A(L)はEEPROM43の補正値記憶領域に記憶される。その後、CPU41は、表示部21に「左余白の補正値を更新しました。」というメッセージを表示する(S28)。
【0057】
ステップS23〜S28の処理が行われて、左余白の補正値が更新されると、次に、ステップS29〜S34において、同様に右余白の補正値を更新する処理が実行される。CPU41は、まず、印刷可能領域Xのうち右端部の所定領域に右余白補正用テスト印刷画像を印刷する処理を実行する(S29)。右余白補正用テスト印刷画像は、印刷可能領域Xのうちその右端Y(R)−tから所定の幅を有する領域に形成された画像である。CPU41は、このテスト印刷処理が終了したと判断すると(S30)、「印刷された画像の右余白値(mm)を操作部から入力してください。」というメッセージを表示部31に表示する(S31)。テスト印刷された画像の右余白値trrは所望の余白値と異なることが多く、インクジェットプリンタにtrrを認識させる必要があるからである。CPU41は、テスト印刷された画像の右余白値trrが操作部32から入力されたと判断すると(S32)、その入力された右余白値trrと所望の余白値tとから、新たな右余白の補正値A(R)をA(R)=trr−tとして導出する(S33)。このようにして導出された補正値A(R)はEEPROM43の補正値記憶領域に記憶される。その後、CPU41は、表示部21に「右余白の補正値を更新しました。」というメッセージを表示する(S34)。
【0058】
ステップS19からステップS34までの処理を行うことにより、インクジェットプリンタは左余白の補正値A(L)と右余白の補正値A(R)とを更新し終えることになる。前述のように、A(L),A(R)はステップS7,S8においてYr(L)及びYr(R)を算出するために使われる補正値である。以上で、余白補正値設定モードにおける処理が終了する。その後、ステップS1に移行して、インクジェットプリンタはオンラインモードに戻る。
【0059】
本実施形態のインクジェットプリンタは、余白補正値設定モードが選択されたときに、テスト印刷画像の左右余白についての測定値と左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出し、EEPROMに記憶しておく。また、外部から画像データが送られたときに、フォトリフレクタ等を用いて検出された紙の左右端の座標値とEEPROMに記憶された左右余白についての補正値とに基づいて紙の左右端の座標値を補正し、その補正された紙の左右端の座標値によって示唆される領域に紙が存在していると認識する。これにより、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができ、したがって、左右余白値が0である印刷画像を形成することも可能である。
【0060】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るインクジェットプリンタは、所定のコマンドが入力されたときに、テスト印刷画像の左右余白についての測定値と左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出し、記憶手段に記憶しておく。また、外部から画像データが送られたときに、媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値と記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正し、その補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識する。これにより、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができ、したがって、左右余白値が0である印刷画像を形成することも可能である。
【0062】
また、本発明に係るインクジェットプリンタの余白値補正方法は、上記と同様に、印刷画像の左右余白値を所望の値に正確に調節することができ、したがって、左右余白値が0である印刷画像を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】そのインクジェットプリンタにおけるフォトリフレクタの位置特性を説明するための図である。
【図3】そのインクジェットプリンタのフォトリフレクタの概略回路図である。
【図4】そのインクジェットプリンタの紙搬送装置の概略構成図である。
【図5】そのインクジェットプリンタのエンジンコントローラの概略構成図である。
【図6】そのエンジンコントローラのASICの概略構成図である。
【図7】そのエンジンコントローラのEEPROMの概略構成図である。
【図8】本実施形態のインクジェットプリンタにおいて紙の左右端の座標値を補正する処理を説明するための図である。
【図9】そのインクジェットプリンタにおいて左右余白についての補正値を算出する処理を説明するための図である。
【図10】本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】本実施形態のインクジェットプリンタにおける処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図13】従来のインクジェットプリンタにおける余白値の補正方法を説明するための図である。
【符号の説明】
2・・・ 紙、11・・・ プラテン、12・・・ キャリッジ、13・・・ キャリッジレール、14・・・ キャリッジモータ、15・・・ キャリッジ駆動ベルト、16・・・ キャリッジローラ、17・・・ キャリッジ位置スケール、18・・・ キャリッジ位置検出センサ、19・・・ 紙搬送装置、19a・・・ コロ、19b・・・ ローラ、21・・・ フォトリフレクタ、21a・・・ 発光部、21b・・・ 受光部、22・・・ ホームポジションセンサ、23・・・ 遮光体、31・・・ 表示部、32・・・ 操作部、40・・・ エンジンコントローラ、41・・・ CPU、42・・・ ASIC、421・・・ 紙搬送装置制御部、422・・・ 紙位置カウンタ部、423・・・ キャリッジモータ制御部、424・・・ キャリッジ位置カウンタ部、43・・・ EEPROM、431・・・ 紙端検出プログラム、432・・・ テスト印刷処理プログラム、433・・・ 位置補正プログラム、434・・・ 書き出し位置算出プログラム、435・・・ 印刷処理プログラム、436・・・ スレッショルドレベル、437・・・ 左右余白の補正値、44・・・ SDRAM、45・・・ 入出力ポート、46・・・ システムバス
Claims (2)
- 光を発する発光部とプラテン又は印刷媒体で反射された前記光を受光する受光部とを有し、印刷媒体の送り方向と直交する方向に往復移動するフォトリフレクタと、
前記フォトリフレクタの位置を検出する位置検出手段と、
前記フォトリフレクタが前記受光部で受光された光のレベルに応じて出力する出力値に基づいて印刷媒体の有無を判断する際に基準となる閾値を記憶する記憶手段と、
前記フォトリフレクタを移動させながら、前記フォトリフレクタの出力値と前記閾値とを比較し、前記フォトリフレクタの出力値と前記閾値との大小関係が逆転するときに前記位置検出手段によって得られる前記フォトリフレクタの位置を印刷媒体の左右端の座標値として求める媒体端検出手段と、
印刷画像の左右余白についての設定値を入力するための入力手段と、
前記入力手段から所定のコマンドが入力されたときに、前記入力手段から入力された左右余白についての設定値及び前記媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成し、且つ、そのテスト印刷画像の左右余白についての測定値が前記入力手段から入力されたときに、その入力された左右余白についての測定値と前記入力手段から入力された左右余白についての設定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出して前記記憶手段に記憶させる余白補正値設定手段と、
外部から画像データが送られたときに、前記媒体端検出手段で得られた印刷媒体の左右端の座標値と前記記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正し、その補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識し、印刷画像の左右の余白値が所望の値になるように当該画像データの印刷を行う印刷処理手段と、
を具備することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 入力手段から印刷画像の左右余白についての設定値を入力する旨を表示手段に表示する第一工程と、フォトリフレクタを移動させながら印刷媒体の左右端の座標値を検出する第二工程と、前記入力手段から入力された左右余白についての設定値及び前記第二工程で得られた印刷媒体の左右端の座標値から認識される印刷可能領域のうち左右端部の所定領域に、所定のテスト印刷画像を形成する第三工程と、前記テスト印刷画像の左右余白についての測定値を前記入力手段から入力する旨を前記表示手段に表示する第四工程と、前記入力手段から入力された印刷画像の左右余白についての設定値と前記テスト印刷画像の左右余白についての測定値との差に基づいて、左右余白についての補正値を算出して記憶手段に記憶させる第五工程とからなる余白補正値設定工程と、
外部から画像データが送られたときに、前記フォトリフレクタを移動させながら印刷媒体の左右端の座標値を検出する第六工程と、前記第六工程で検出された印刷媒体の左右端の座標値と前記記憶手段に記憶された左右余白についての補正値とに基づいて印刷媒体の左右端の座標値を補正する第七工程と、前記第七工程で補正された印刷媒体の左右端の座標値によって示唆される領域に印刷媒体が存在していると認識し、印刷画像の左右の余白値が所望の値になるように当該画像データの印刷を行う第八工程とからなる印刷処理工程と、
を具備することを特徴とするインクジェットプリンタの余白値補正方法。
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