JP2008023899A - ライン位置算出方法、補正値取得方法及びプログラム - Google Patents

ライン位置算出方法、補正値取得方法及びプログラム Download PDF

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文治 石本
Tatsuya Nakano
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Abstract

【課題】不良画素を正確に検出する。
【解決手段】このライン位置算出方法は、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、前記閾値に基づいて範囲を設定し、前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとする。
【選択図】図30

Description

本発明は、ライン位置算出方法、補正値取得方法及びプログラムに関する。
媒体(例えば紙や布など)を搬送方向に搬送するとともにヘッドにより媒体に記録を行う記録装置として、インクジェットプリンタが知られている。このような記録装置では、媒体を搬送する際に搬送誤差が生じると、媒体上の正しい位置にヘッドが記録できなくなる。特に、インクジェットプリンタでは、媒体上の正しい位置にインク滴が着弾しなくなると、印刷された画像に白スジや黒スジが生じ、画質が劣化するおそれがある。
そこで、媒体の搬送量を補正する方法が提案されている。例えば特許文献1では、テストパターンを印刷し、このテストパターンを読み取り、読取結果に基づいて補正値を算出し、画像を記録する際に補正値に基づいて搬送量を補正することが提案されている。
特開平5−96796号公報
特許文献1では、テストパターンを読み取った後、画像データをどのように処理しているのか、何も記載されていない。しかし、テストパターンにごみの付着やドット抜け等があると、画像データ上に不良画素が発生し、この結果、正確な補正値を算出することができないことがある。
本発明は、ごみの付着やドット抜け等による不良画素がある場合に、正確に不良画素を検出することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、前記閾値に基づいて範囲を設定し、前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとすることを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとする
ことを特徴とするライン位置算出方法が明らかになる。
このようなライン位置算出方法によれば、正確に不良画素を検出することができる。
また、前記ばらつき度合いとは標準偏差であり、前記範囲を設定する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値と、前記標準偏差と基づいて前記範囲が設定されることが望ましい。これにより、適切な範囲を設定することができる。また、前記閾値を設定する際に、前記標準偏差に所定の係数を乗じた値に基づいて前記閾値が設定されることが好ましい。これにより、標準偏差に応じた閾値が設定される。また、前記標準偏差の値が大きくなると前記係数が小さくなるように前記係数が設定されることが良い。これにより、不良画素が多い場合には多くの不良画素を検出することが可能になる。
また、検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データの平均値を算出し、前記平均値に基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出することが望ましい。これにより、ラインの位置を正確に算出できる。
また、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得した後に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値に基づいて近似直線を算出し、前記近似直線に基づいて各前記階調値を補正し、前記不良画素を検出する際に、補正された前記階調値に基づいて前記不良画素を検出することが望ましい。これにより、不良画素を正確に特定することができる。
また、テストシートを搬送する搬送動作と、所定方向に沿うラインを形成する形成動作とを交互に印刷装置に繰り返し行わせて、複数の前記ラインを含む測定用パターンを前記テストシートに印刷し、
前記テストシートに印刷された前記測定用パターンをスキャナで読み取り、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データを取得し、
前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出し、
前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得する
補正値取得方法であって、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
前記閾値に基づいて範囲を設定し、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとする
ことを特徴とする補正値取得方法が明らかになる。
このような補正値取得方法によれば、正確な補正値を算出できる。
また、印刷装置に、テストシートを搬送する搬送動作と、所定方向に沿うラインを形成する形成動作とを交互に繰り返し行わせ、複数の前記ラインを含む測定用パターンを前記テストシートに印刷させ、
スキャナに、前記テストシートに印刷された前記測定用パターンを読み取らせ、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データをコンピュータに出力させ、
前記コンピュータに、前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出させ、
前記コンピュータに、前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得させる
プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得させ、
前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出させ、
前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定させ、
前記閾値に基づいて範囲を設定させ、
前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出させ、
検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出させ、
検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとさせる
ことを特徴とするプログラムが明らかになる。
このようなプログラムによれば、コンピュータに、正確に不良画素を検出させることができる。
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。以下、プリンタの基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
なお、搬送ローラ23が紙Sを搬送するとき、紙Sは搬送ローラ23と従動ローラ26との間に挟まれている。これにより、紙Sの姿勢が安定する。一方、排紙ローラ25が紙Sを搬送するとき、紙Sは排紙ローラ25と従動ローラ27との間に挟まれている。排紙ローラ25は印刷領域よりも搬送方向下流側に設けられているので、従動ローラ27は、紙Sとの接触面が小さくなるように構成されている(図4も参照)。このため、紙Sの下端が搬送ローラ23を通過して、紙Sが排紙ローラ25のみによって搬送されるとき、紙Sの姿勢は不安定になり易く、搬送特性も変化しやすい。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<ノズルについて>
図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを90個備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが90dpi(1/90インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=8である。
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯90よりも搬送方向の下流側に位置している。なお、前述の光学センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯90とほぼ同じ位置にある。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
===搬送誤差===
<紙の搬送について>
図4は、搬送ユニット20の構成の説明図である。
搬送ユニット20は、コントローラ60からの搬送指令に基づいて、所定の駆動量にて搬送モータ22を駆動させる。搬送モータ22は、指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。搬送モータ22は、この駆動力を用いて搬送ローラ23を回転させる。つまり、搬送モータ22が所定の駆動量を発生すると、搬送ローラ23は所定の回転量にて回転する。搬送ローラ23が所定の回転量にて回転すると、紙は所定の搬送量にて搬送される。
紙の搬送量は、搬送ローラ23の回転量に応じて定まる。本実施形態では、搬送ローラ23が1回転すると、紙が1インチ搬送されるものとする(つまり、搬送ローラ23の周長は、1インチである)。このため、搬送ローラ23が1/4回転すると、紙が1/4インチ搬送される。
したがって、搬送ローラ23の回転量が検出できれば、紙の搬送量も検出可能である。そこで、搬送ローラ23の回転量を検出するため、ロータリー式エンコーダ52が設けられている。
ロータリー式エンコーダ52は、スケール521と検出部522とを有する。スケール521は、所定の間隔毎に設けられた多数のスリットを有する。このスケール521は、搬送ローラ23に設けられている。つまり、スケール521は、搬送ローラ23が回転すると、一緒に回転する。そして、搬送ローラ23が回転すると、スケール521の各スリットが検出部522を順次通過する。検出部522は、スケール521と対向して設けられており、プリンタ本体側に固定されている。ロータリー式エンコーダ52は、スケール521に設けられたスリットが検出部522を通過する毎に、パルス信号を出力する。搬送ローラ23の回転量に応じてスケール521に設けられたスリットが順次検出部522を通過するので、ロータリー式エンコーダ52の出力に基づいて、搬送ローラ23の回転量が検出される
そして、例えば搬送量1インチで紙を搬送する場合、搬送ローラ23が1回転したことをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、コントローラ60が搬送モータ22を駆動する。このように、コントローラ60は、目標とする搬送量(目標搬送量)に応じた回転量になることをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、搬送モータ22を駆動して、紙を目標搬送量にて搬送する。
<搬送誤差について>
ところで、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には搬送ローラ23の回転量を検出するのであって、厳密にいえば、紙Sの搬送量を検出していない。このため、搬送ローラ23の回転量と紙Sの搬送量が一致しない場合、ロータリー式エンコーダ52は紙Sの搬送量を正確に検出することができず、搬送誤差(検出誤差)が生じる。搬送誤差としては、DC成分の搬送誤差及びAC成分の搬送誤差の2種類がある。
DC成分の搬送誤差とは、搬送ローラが1回転したときに生じる所定量の搬送誤差のことである。このDC成分の搬送誤差は、製造誤差等によって搬送ローラ23の周長が個々のプリンタ毎に異なることが原因と考えられる。つまり、DC成分の搬送誤差は、設計上の搬送ローラ23の周長と実際の搬送ローラ23の周長が異なるために生じる搬送誤差である。このDC成分の搬送誤差は、搬送ローラ23が1回転するときの開始位置に関わらず、一定になる。但し、実際のDC成分の搬送誤差は、紙の摩擦等の影響によって、紙の総搬送量に応じて異なる値になる(後述)。言い換えると、実際のDC成分の搬送誤差は、紙Sと搬送ローラ23(又は紙Sとヘッド41)との相対位置関係に応じて異なる値になる。
AC成分の搬送誤差とは、搬送時に用いられる搬送ローラの周面の場所に応じた搬送誤差のことである。AC成分の搬送誤差は、搬送時に用いられる搬送ローラの周面の場所に応じて、異なる量になる。つまり、AC成分の搬送誤差は、搬送開始時の搬送ローラの回転位置と搬送量に応じて、異なる量になる。
図5は、AC成分の搬送誤差の説明用グラフである。横軸は、基準となる回転位置からの搬送ローラ23の回転量である。縦軸は、搬送誤差を示す。このグラフを微分すれば、その回転位置で搬送ローラが搬送しているときに生じる搬送誤差が導き出される。ここでは、基準位置における累積搬送誤差をゼロとし、DC成分の搬送誤差もゼロとしている。
搬送ローラ23が基準位置から1/4回転すると、δ_90の搬送誤差が生じ、紙は1/4インチ+δ_90にて搬送される。但し、搬送ローラ23が更に1/4回転すると、-δ_90の搬送誤差が生じ、紙は1/4インチ−δ_90にて搬送される。
AC成分の搬送誤差が生じる原因としては、例えば、以下の3つが考えられる。
まず第1に、搬送ローラの形状による影響が考えられる。例えば、搬送ローラが楕円形状や卵型である場合、搬送ローラの周面の場所に応じて、回転中心までの距離が異なっている。そして、回転中心までの距離が長い部分で媒体を搬送する場合、搬送ローラの回転量に対する搬送量が多くなる。一方、回転中心までの距離が短い部分で媒体を搬送する場合、搬送ローラの回転量に対する搬送量が少なくなる。
第2に、搬送ローラの回転軸の偏心が考えられる。この場合も、搬送ローラの周面の場所に応じて、回転中心までの長さが異なっている。このため、たとえ搬送ローラの回転量が同じであっても、搬送ローラの周面の場所に応じて、搬送量が異なることになる。
第3に、搬送ローラの回転軸と、ロータリー式エンコーダ52のスケール521の中心との不一致が考えられる。この場合、スケール521が偏心して回転することになる。この結果、検出部522が検出するスケール521の場所に応じて、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が異なることになる。例えば、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から離れている場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が少なくなるため、搬送量が少なくなる。一方、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から近い場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が多くなるため、搬送量が多くなる。
上記の原因のため、AC成分の搬送誤差は、図5に示す通り、ほぼサインカーブになる。
<本実施形態で補正する搬送誤差>
図6は、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)の大きさの紙を搬送する際に生じる搬送誤差のグラフ(概念図)である。グラフの横軸は、紙の総搬送量を示している。グラフの縦軸は、搬送誤差を示している。図中の点線は、DC成分の搬送誤差のグラフである。図中の実線の値(トータルの搬送誤差)から図中の点線の値(DC成分の搬送誤差)を引けば、AC成分の搬送誤差が求められる。AC成分の搬送誤差は、紙の総搬送量に関わらず、ほぼサインカーブになる。一方、点線で示されるDC成分の搬送誤差は、紙の摩擦等の影響によって、紙の総搬送量に応じて異なる値になる。
既に説明したように、AC成分の搬送誤差は、搬送ローラ23の周面の場所に応じて異なる。このため、たとえ同じ紙を搬送する場合であっても、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なれば、AC成分の搬送誤差が異なるため、トータルの搬送誤差(グラフの実線で示す搬送誤差)は異なることになる。これに対し、DC成分の搬送誤差はAC成分の搬送誤差とは異なり搬送ローラの周面の場所とは無関係なので、たとえ搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なっていても、搬送ローラ23が1回転したときに生じる搬送誤差(DC成分の搬送誤差)は同じになる。
また、AC成分の搬送誤差を補正しようとする場合、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転位置を検出する必要がある。しかし、搬送ローラ23の回転位置を検出するためには、ロータリー式エンコーダ52に原点センサを更に用意する必要があり、コストアップとなる。
そこで、以下に示す本実施形態の搬送量の補正では、DC成分の搬送誤差を補正することにしている。
一方、DC成分の搬送誤差は、紙の総搬送量(言い換えると、紙Sと搬送ローラ23との相対位置関係)に応じて異なる値になる(図6の点線参照)。このため、より多くの補正値を搬送方向の位置に応じて用意できれば、きめ細かく搬送誤差を補正することができる。そこで、本実施形態では、搬送ローラ23の1回転分に相当する1インチの範囲ごとではなく、1/4インチの範囲ごとに、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値を用意している。
===概略説明===
図7は、搬送量を補正するための補正値を決定するまでのフロー図である。図8A〜図8Cは、補正値を決定するまでの様子の説明図である。これらの処理は、プリンタ製造工場の検査工程において行われる。この処理に先立って、検査者は、組み立て完了後のプリンタ1を工場内のコンピュータ110に接続する。工場内のコンピュータ110には、スキャナ150も接続されており、プリンタドライバ、スキャナドライバ及び補正値取得プログラムが予めインストールされている。
まず、プリンタドライバが印刷データをプリンタ1に送信し、プリンタ1がテストシートTSに測定用パターンを印刷する(S101、図8A)。次に、検査者はテストシートTSをスキャナ150にセットし、スキャナドライバがスキャナ150に測定用パターンを読み取らせ、画像データを取得する(S102、図8B)。なお、スキャナ150にはテストシートTSとともに基準シートがセットされており、基準シートに描画されている基準パターンも一緒に読み取られる。
そして、補正値取得プログラムは、取得した画像データを解析し、補正値を算出する(S103)。そして、補正値取得プログラムは、補正データをプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ63に補正値を記憶させる(図8C)。プリンタに記憶される補正値は、個々のプリンタの搬送特性を反映したものになる。
なお、補正値を記憶したプリンタは、梱包されてユーザの下に届けられる。ユーザがプリンタで画像を印刷する際に、プリンタは、補正値に基づいて紙を搬送し、紙に画像を印刷する。
===測定用パターンの印刷(S101)===
まず、測定用パターンの印刷について説明する。通常の印刷と同様に、プリンタ1は、移動中のノズルからインクを吐出してドットを形成するドット形成処理と、紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、測定用パターンを紙に印刷する。なお、以下の説明では、ドット形成処理のことを「パス」と呼び、n回目のドット形成処理のことを「パスn」と呼ぶ。
図9は、測定用パターンの印刷の様子の説明図である。測定用パターンの印刷されるテストシートTSの大きさは、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)である。
図中の右側には、テストシートTSに印刷される測定用パターンが示されている。図中の左側の長方形は、各パスにおけるヘッド41の位置(テストシートTSに対する相対位置)が示されている。説明の都合上、ヘッド41がテストシートTSに対して移動しているように描かれているが、同図はヘッドとテストシートTSとの相対的な位置関係を示すものであって、実際にはテストシートTSが搬送方向に間欠的に搬送されている。
テストシートTSが搬送され続けると、テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過する。テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過する時に最上流ノズル♯90と対向するテストシートTSの位置が、「NIPライン」として図中に点線で示されている。つまり、図中においてヘッド41がNIPラインよりも上にあるパスでは、搬送ローラ23と従動ローラ26との間でテストシートTSが挟まれた状態(「NIP状態」とも言う)で、印刷が行われる。また、図中において、ヘッド41がNIPラインよりも下にあるパスでは、搬送ローラ23と従動ローラ26との間にテストシートTSがない状態(排紙ローラ25と従動ローラ27だけでテストシートTSを搬送する状態であり「非NIP状態」とも言う)で、印刷が行われる。
測定用パターンは、識別コードと、複数のラインとから構成される。
識別コードは、個々のプリンタ1をそれぞれ識別するための個体識別用の記号である。この識別コードは、S102において測定用パターンが読み取られるときに一緒に読み取られ、OCRによる文字認識によって、コンピュータ110に識別される。
各ラインは、いずれも移動方向に沿って形成されている。NIPラインよりも上端側には、多数のラインが形成される。NIPラインよりも上端側のラインについて、上端側から順にi番目のラインのことを「Li」と呼ぶ。また、NIPラインよりも下端側には、2つのラインが形成される。NIPラインよりも下端側の2つのラインのうち、上端側のラインをLb1と呼び、下端側のライン(一番下のライン)をLb2と呼ぶ。特定のラインは、他のラインよりも長く形成されている。例えば、ラインL1、ラインL13及びラインLb2は、他のラインと比べて、長く形成されている。これらのラインは、以下のようにして形成される。
まず、テストシートTSが所定の印刷開始位置まで搬送された後、パス1において、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインL1が形成される。パス1の後、コントローラ60は、搬送ローラ23を1/4回転させて、テストシートTSを約1/4インチだけ搬送する。搬送後、パス2において、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインL2が形成される。以下、同様の動作が繰り返し行われ、約1/4インチ間隔でラインL1〜ラインL20が形成される。このように、NIPラインよりも上端側にあるラインL1〜ラインL20は、ノズル♯1〜ノズル♯90のうちの最上流ノズル♯90により形成される。これにより、NIP状態で、できる限り多くのラインをテストシートTSに形成することができる。なお、ラインL1〜ラインL20はノズル♯90のみによって形成されるが、識別コードを印刷するパスでは、識別コードを印刷する際に、ノズル♯90以外のノズルも用いられる。
テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過した後、パスnにおいて、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインLb1が形成される。パスnの後、コントローラ60は、搬送ローラ23を1回転させて、テストシートTSを約1インチだけ搬送する。搬送後、パスn+1において、ノズル♯3のみからインク滴が吐出され、ラインLb2が形成される。仮にノズル♯1が用いられると、ラインLb1とラインLb2との間隔が非常に狭くなり(約1/90インチ)、後でラインLb1とラインLb2との間隔を測定する際に、測定しにくくなる。このため、本実施形態では、ノズル♯1よりも搬送方向上流側にあるノズル♯3を用いてラインLb2を形成することにより、ラインLb1とラインLb2との間隔を広げて、測定し易くしている。
ところで、テストシートTSの搬送が理想的に行われた場合、ラインL1〜ラインL20におけるライン同士の間隔は、ちょうど1/4インチになるはずである。しかし、搬送誤差があると、ライン間隔は1/4インチにならない。仮に理想的な搬送量よりも多くテストシートTSが搬送されると、ライン間隔は広がる。逆に、理想的な搬送量よりも少なくテストシートTSが搬送されると、ライン間隔が狭まる。つまり、ある2つのラインの間隔は、一方のラインが形成されるパスと他方のラインが形成されるパスとの間に行われる搬送処理での搬送誤差を反映している。このため、2つのラインの間隔を測定すれば、一方のラインが形成されるパスと他方のラインが形成されるパスとの間に行われる搬送処理での搬送誤差を測定することが可能になる。
同様に、ラインLb1とラインLb2との間隔は、テストシートTSの搬送が理想的に行われた場合(正確には、更にノズル♯90とノズル♯3のインクの吐出が同じである場合)、ちょうど3/90インチになるはずである。しかし、搬送誤差があると、ライン間隔は3/90インチにならない。このため、ラインLb1とラインLb2の間隔は、非NIP状態における搬送処理での搬送誤差を反映していると考えられる。このため、ラインLb1とラインLb2との間隔を測定すれば、非NIP状態における搬送処理での搬送誤差を測定することが可能になる。
===パターンの読み取り(S102)===
<スキャナの構成>
まず、測定用パターンの読み取りに用いられるスキャナ150の構成について説明する。
図10Aは、スキャナ150の縦断面図である。図10Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。
スキャナ150は、上蓋151と、原稿5が置かれる原稿台ガラス152と、この原稿台ガラス152を介して原稿5と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ153と、読取キャリッジ153を副走査方向に案内する案内部154と、読取キャリッジ153を移動させるための移動機構155と、スキャナ150内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ153には、原稿5に光を照射する露光ランプ157と、主走査方向(図10Aにおいて紙面に垂直な方向)のラインの像を検出するラインセンサ158と、原稿5からの反射光をラインセンサ158へ導くための光学系159とが設けられている。図中の読取キャリッジ153の内部の破線は、光の軌跡を示している。
原稿5の画像を読み取るとき、操作者は、上蓋151を開いて原稿5を原稿台ガラス152に置き、上蓋151を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ157を発光させた状態で読取キャリッジ153を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ158により原稿5の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ110のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ110は、原稿5の画像データを取得する。
<読み取り位置精度>
後述するように、本実施形態ではスキャナ150は、テストシートTSの測定用パターンと基準シートの基準パターンとを、720dpi(主走査方向)×720dpi(副走査方向)の解像度で読み取る。このため、以下の説明では、720×720dpiの解像度で画像を読み取ることを前提にして説明を行う。
図11は、スキャナの読み取り位置の誤差のグラフである。グラフの横軸は、読み取り位置(理論値)を示している(すなわち、グラフの横軸は、読取キャリッジ153の位置(理論値)を示している)。グラフの縦軸は、読み取り位置の誤差(読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置との差)を示している。例えば、読取キャリッジ153を1インチ(=25.4mm)移動させると、約60μmの誤差が生じることになる。
仮に、読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置が一致していれば、基準位置(読み取り位置がゼロの位置)を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、基準位置からちょうど1インチ離れた位置の画像を示すはずである。しかし、グラフに示すような読み取り位置の誤差が生じた場合、基準位置を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、基準位置から1インチ離れた位置よりも60μmだけ更に離れた位置の画像を示すことになる。
また、仮に、グラフの傾きがゼロであれば、1/720インチ毎に等間隔に、画像が読み取られるはずである。しかし、グラフの傾きがプラスの位置では、1/720インチよりも長い間隔で画像が読み取られることになる。また、グラフの傾きがマイナスの位置では、1/720インチよりも短い間隔で画像が読み取られることになる。
この結果、仮に測定用パターンのラインが等間隔に形成されたとしても、読み取り位置の誤差がある状態では、画像データ上のラインの画像が等間隔にならない。このように、読み取り位置の誤差がある状態では、測定用パターンを単に読み取っただけでは、ラインの位置を正確に計測することができない。
そこで、本実施形態では、テストシートTSをセットして測定用パターンをスキャナに読み取らせる際に、基準シートをセットして基準パターンも読み取らせている。
<測定用パターンと基準パターンの読み取り>
図12Aは、基準シートSSの説明図である。図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子の説明図である。
基準シートSSの大きさは10mm×300mmであり、基準シートSSは長細い形をしている。基準シートSSには、基準パターンとして36dpi間隔にて多数のラインが形成されている。基準シートSSは繰り返し使用されるため、紙ではなく、PETフィルムから構成される。また、基準パターンは、レーザー加工により、高精度に形成されている。
不図示の治具を用いることによって、テストシートTS及び基準シートSSは、原稿台ガラス152上の所定の位置にセットされる。基準シートSSは、長辺がスキャナ150の副走査方向に平行になるように、すなわち基準シートSSの各ラインがスキャナ150の主走査方向に平行になるように、原稿台ガラス152上にセットされる。この基準シートSSの横に、テストシートTSがセットされる。テストシートTSは、長辺がスキャナ150の副走査方向に平行になるように、すなわち測定用パターンの各ラインが主走査方向に平行になるように、原稿台ガラス152上にセットされる。
このようにテストシートTSと基準シートSSをセットした状態で、スキャナ150は、測定用パターンと基準パターンを読み取る。このとき、読み取り位置の誤差の影響のため、読取結果における測定用パターンの画像は実際の測定用パターンと比べて歪んだ画像になる。同様に、基準パターンの画像も実際の基準パターンと比べて歪んだ画像になる。
なお、読取結果における測定用パターンの画像は、読み取り位置の誤差の影響だけではなく、プリンタ1の搬送誤差の影響も受けている。一方、基準パターンはプリンタの搬送誤差とは何も関わりなく等間隔にて形成されているので、基準パターンの画像は、スキャナ150の読み取り位置の誤差の影響を受けているが、プリンタ1の搬送誤差の影響は受けていない。
そこで、補正値取得プログラムは、測定用パターンの画像に基づいて補正値を算出する際に、基準パターンの画像に基づいて、測定用パターンの画像における読み取り位置の誤差の影響をキャンセルさせる。
===補正値の算出(S103)===
補正値の算出の説明の前に、スキャナ150から取得した画像データについて説明する。画像データは、複数の画素データから構成されている。各画素データは、対応する画素の階調値を示している。スキャナの読み取り誤差を無視すれば、各画素は1/720インチ×1/720インチの大きさに相当する。このような画素を最小構成単位として画像(ディジタル画像)が構成されており、画像データは、このような画像を示すデータになっている。
図13は、S103における補正値算出処理のフロー図である。コンピュータ110は、補正値取得プログラムに従って、各処理を実行する。つまり、補正値取得プログラムは、各処理をコンピュータ110に実行させるためのコードを有する。
<画像の分割(S131)>
まず、コンピュータ110は、スキャナ150から取得した画像データの示す画像を2つに分割する(S131)。
図14は、画像の分割(S131)の説明図である。図中の左側には、スキャナから取得した画像データの示す画像が描かれている。図中の右側には、分割された画像が描かれている。以下の説明において、図中の左右方向(水平方向)をx方向と呼び、図中の上下方向(垂直方向)をy方向と呼ぶ。基準パターンの画像における各ラインはx方向にほぼ平行であり、測定用パターンの画像における各ラインもx方向にほぼ平行である。
コンピュータ110は、読取結果の画像から所定の範囲の画像を取り出すことによって、画像を2つに分割する。読取結果の画像が2つに分割されることにより、一方の画像が基準パターンの画像を示し、他方の画像が測定用パターンの画像を示すことになる。このように分割する理由は、基準シートSSとテストシートTSがそれぞれ別々に傾いてスキャナ150にセットされるおそれがあるので、それぞれ別々に傾き補正(S133)をするためである。
<各画像の傾きの検出(S132)>
次に、コンピュータ110は、画像の傾きを検出する(S132)。
図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図である。コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX2番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。同様に、コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX3番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。なお、取り出される画素の中にラインL1を示す画素が含まれるように、パラメータKX2、KX3、KY1及びJYが設定されている。
図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。横軸は、画素の位置(Y座標)を示している。縦軸は、画素の階調値を示している。コンピュータ110は、取り出されたJY個の画素の画素データに基づいて、重心位置KY2、KY3をそれぞれ求める。
そして、コンピュータ110は、次式によりラインL1の傾きθを算出する。
θ=tan−1{(KY2−KY3)/(KX2−KX3)}
なお、コンピュータ110は、測定用パターンの画像の傾きだけでなく、基準パターンの画像の傾きも検出する。基準パターンの画像の傾きの検出方法は、上記の方法とほぼ同様であるので、説明を省略する。
<各画像の傾きの補正(S133)>
次に、コンピュータ110は、S132において検出した傾きθに基づいて、画像を回転処理し、画像の傾きを補正する(S133)。測定用パターンの画像は、測定用パターンの画像の傾き結果に基づいて回転補正され、基準パターンの画像は、基準パターンの画像の傾き結果に基づいて回転補正される。
画像の回転処理のアルゴリズムには、バイリニア法が用いられる。このアルゴリズムは良く知られているので、説明は省略する。
<印刷時の傾きの検出(S134)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンの印刷時の傾き(スキュー)を検出する(S134)。測定用パターンを印刷するときにテストシートの下端が搬送ローラを通過すると、テストシートの下端がヘッド41に接触し、テストシートが動くことがある。このようなことが起こると、その測定用パターンにより算出された補正値が不適切なものになる。そこで、測定用パターンの印刷時の傾きを検出することにより、テストシートの下端がヘッド41に接触したか否かを検出し、接触した場合にはエラーとする。
図16は、測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。まず、コンピュータ110は、ラインL1(一番上のライン)とラインLb2(一番下のライン、下端が搬送ローラを通過した後に形成されるライン)における左側の間隔YLと、右側の間隔YRとを検出する。そして、コンピュータ110は、間隔YLと間隔YRの差を算出し、この差が所定範囲内であれば次の処理(S135)へ進み、この差が所定範囲外であればエラーとする。
<余白量の算出(S135)>
次に、コンピュータ110は、余白量を算出する(S135)。
図17は、余白量Xの説明図である。図中の実線の四角形(外側の四角形)は、S133の回転補正後の画像を示している。図中の点線の四角形(内側の斜めの四角形)は、回転補正前の画像を示している。回転補正後の画像を長方形状にするため、S133の回転補正処理が行われる際に、回転後の画像の四隅に直角三角形状の余白が付加される。
仮に基準シートSSの傾きとテストシートTSの傾きとが異なると、付加される余白量が異なることになり、回転補正(S133)の前後において、基準パターンに対する測定用パターンのラインの位置が相対的にずれることになる。そこで、コンピュータ110は、次式により余白量Xを求め、S136において算出されるライン位置から余白量Xを差し引くことによって、基準パターンに対する測定用パターンのラインの位置のずれを防止する。
X=(w cosθ−W´/2)×tanθ
<スキャナ座標系でのライン位置の算出(S136)>
次に、コンピュータ110は、スキャナ座標系での基準パターンのラインの位置及び測定用パターンのラインの位置をそれぞれ算出する(S136)。
スキャナ座標系とは、1画素の大きさを1/720×1/720インチとしたときの座標系である。スキャナ150には読み取り位置の誤差があり、読み取り位置の誤差を考慮すると、各画素データの対応する実際の領域は厳密には1/720インチ×1/720インチにはならないが、スキャナ座標系では、各画素データの対応する領域(画素)の大きさを1/720×1/720インチとする。また、各画像における左上の画素の位置を、スキャナ座標系の原点とする。
図18Aは、ラインの位置を算出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。図中の点線で示す範囲の画像の画像データが、ラインの位置を算出する際に用いられる。図18Bは、ラインの位置の算出の説明図である。横軸は、画素のy方向の位置(スキャナ座標系)を示している。縦軸は、画素の階調値(x方向に並ぶ画素の階調値の平均値)を示している。
コンピュータ110は、階調値のピーク値の位置を求め、この位置を中心とする所定の範囲を演算範囲とする。そして、この演算範囲の画素の画素データに基づいて、階調値の重心位置を算出し、この重心位置をラインの位置とする。
図19は、算出されたラインの位置の説明図である(なお、図中に示す位置は、所定の演算が施されて無次元化されている)。基準パターンは等間隔のラインから構成されているにもかかわらず、基準パターンの各ラインの重心位置に注目すると、算出された各ラインの位置は、等間隔にはなっていない。これは、スキャナ150の読み取り位置の誤差の影響と考えられる。
なお、S136の処理については、後で詳細説明する。
<測定用パターンの各ラインの絶対位置の算出(S137)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンのラインの絶対位置をそれぞれ算出する(S137)。
図20は、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置の算出の説明図である。ここでは、測定用パターンのi番目のラインは、基準パターンのj−1番目のラインと、基準パターンのj番目のラインとの間に位置する。以下の説明では、測定用パターンのi番目のラインの位置(スキャナ座標系)を「S(i)」と呼び、基準パターンのj番目のラインの位置(スキャナ座標系)を「K(j)」と呼ぶ。また、基準パターンのj−1番目のラインとj番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L」と呼び、基準パターンのj−1番目のラインと測定用パターンのi番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L(i)」と呼ぶ。
まず、コンピュータ110は、次式に基づいて、間隔Lに対する間隔L(i)の比率Hを算出する。
H=L(i)/L
={S(i)−K(j−1)}/{K(j)−K(j−1)}
ところで、実際の基準シートSS上の基準パターンは等間隔であるので、基準パターンの1番目のラインの絶対位置をゼロとすれば、基準パターンの任意のラインの位置を算出できる。例えば、基準パターンの2番目のラインの絶対位置は1/36インチである。そこで、基準パターンのj番目のラインの絶対位置を「J(j)」とし、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置を「R(i)」とすると、次式のようにしてR(i)を算出できる。
R(i)={J(j)−J(j−1)}×H+J(j−1)
ここで、図19における測定用パターンの1番目のラインの絶対位置の算出の具体的な手順について説明する。まず、コンピュータ110は、S(1)の値(373.768667)に基づいて、測定用パターンの1番目のラインが、基準パターンの2番目のラインと3番目のラインの間に位置していることを検出する。次に、コンピュータ110は、比率Hが0.40143008(=(373.7686667-309.613250)/(469.430413-309.613250))であることを算出する。次に、コンピュータ110は、測定用パターンの1番目のラインの絶対位置R(1)が0.98878678ミリ(=0.038928613インチ={1/36インチ}×0.40143008+1/36インチ)であることを算出する。
このようにして、コンピュータ110は、測定用パターンの各ラインの絶対位置を算出する。
<補正値の算出(S138)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンを形成する際に行われた複数回の搬送動作に対応する補正値をそれぞれ算出する(S138)。各補正値は、理論上のライン間隔と実際のライン間隔との差に基づいて、算出される。
パスiとパスi+1との間で行われた搬送動作の補正値C(i)は、「6.35mm」(1/4インチ、すなわちラインLiとラインLi+1との理論上の間隔)から「R(i+1)−R(i)」(ラインLi+1の絶対位置とラインLiの実際の間隔)を引いた値になる。例えば、パス1とパス2との間で行われた搬送動作の補正値C(1)は、6.35mm−{R(2)−R(1)}となる。コンピュータ110は、このようにして補正値C(1)〜補正値C(19)を算出する。
但し、NIPラインよりも下(搬送方向上流側)にあるラインLb1及びLb2を用いて補正値を算出する場合、ラインLb1とラインLb2の理論上の間隔は「0.847mm」(=3/90インチ)として計算する。コンピュータ110は、このようにして、非NIP状態での補正値Cbを算出する。
図21は、補正値C(i)の対応する範囲の説明図である。もし仮に、測定用パターンを印刷するときのパス1とパス2との間の搬送動作の際に、当初の目標搬送量から補正値C(1)を引いた値を目標にすれば、実際の搬送量がちょうど1/4インチ(=6.35mm)になったはずである。同様に、もし仮に、測定用パターンを印刷するときのパスnとパスn+1との間の搬送動作の際に、当初の目標搬送量から補正値Cbを引いた値を目標にすれば、実際の搬送量がちょうど1インチになったはずである。
<補正値の平均化(S139)>
ところで、本実施形態のロータリー式エンコーダ52は原点センサを備えていないので、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転量は検出できるが、搬送ローラ23の回転位置までは検出していない。このため、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置をプリンタ1は保証することがでない。つまり、印刷する度に、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なるおそれがある。一方、測定用パターンにおける隣接する2つの罫線の間隔は、1/4インチにて搬送するときのDC成分の搬送誤差の影響だけではなく、AC成分の搬送誤差の影響も受けている。
従って、目標搬送量を補正する際に、測定用パターンにおける隣接する2つの罫線の間隔に基づいて算出された補正値Cをそのまま適用してしまうと、AC成分の搬送誤差の影響のため、搬送量が正しく補正されないおそれがある。例えば、測定用パターンの印刷時と同じようにパス1とパス2との間で1/4インチの搬送量の搬送動作を行う場合であっても、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が測定用パターンの印刷時と異なるのであれば、目標搬送量を補正値C(1)で補正しても、搬送量は正しく補正されない。もし、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が測定用パターンの印刷時と比べて180度異なっていると、AC成分の搬送誤差の影響のため、搬送量は正しく補正されないどころか、むしろ搬送誤差が悪化することもあり得る。
そこで、本実施形態では、DC成分の搬送誤差だけを補正するようにするため、次式のように4個の補正値Cを平均化することによって、DC成分の搬送誤差を補正するための補正量Caを算出している。
Ca(i)={C(i−1)+C(i)+C(i+1)+C(i+2)}/4
ここで、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値Caを上式によって算出できる理由を説明する。
前述した通り、パスiとパスi+1との間で行われた搬送動作の補正値C(i)は、「6.35mm」(1/4インチ、すなわちラインLiとラインLi+1との理論上の間隔)から「R(i+1)−R(i)」(ラインLi+1の絶対位置とラインLiの実際の間隔)を引いた値になる。そうすると、補正値Caを算出するための上式は、次式のような意味になる。
Ca(i)=[25.4mm−{R(i+3)−R(i−1)}]/4
つまり、補正値Ca(i)は、理論上1インチ離れるべき2つのライン(ラインLi+3とラインLi−1)の間隔と1インチ(搬送ローラ23の1回転分の搬送量)との差を4で割った値である。このため、補正値Ca(i)は、紙Sを1インチ(搬送ローラ23の1回転分の搬送量)にて搬送したときに生じる搬送誤差の1/4を補正する値になる。そして、紙Sを1インチにて搬送したときに生じる搬送誤差は、DC成分の搬送誤差であり、この搬送誤差の中にはAC成分の搬送誤差は含まれない。
ゆえに、4個の補正値Cを平均化して算出される補正値Ca(i)は、AC成分の搬送誤差の影響を受けず、DC成分の搬送誤差を反映した値になる。
図22は、測定用パターンのラインと補正値Caとの関係の説明図である。図に示すように、補正値Ca(i)は、ラインLi+3とラインL−1の間隔に応じた値になる。例えば、補正値Ca(2)は、ラインL5とラインL1の間隔に応じた値になる。また、測定用パターンのラインは、ほぼ1/4インチ毎に形成されているため、補正値Caは、1/4インチ毎に算出することができる。このため、各補正値Ca(i)は、理論上1インチ離れるべき2つのラインの間隔に応じた値になるにも関わらず、各補正値Caの適用範囲を1/4インチにすることができる。つまり、本実施形態では、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値を、搬送ローラ23の1回転分に相当する1インチの範囲毎ではなく、1/4インチの範囲毎に設定することができる。これにより、総搬送量に応じて変化するDC成分の搬送誤差(図6の点線を参照)を、きめ細かく補正することができる。
なお、パス2とパス3との間で行われる搬送動作の補正値Ca(2)は、補正値C(1)〜C(4)の総和を4で割った値(補正値C(1)〜C(4)の平均値)として算出される。言い換えると、補正値Ca(2)は、パス1で形成されるラインL1と、ラインL1を形成してから1インチ搬送した後のパス5で形成されるラインL5との間隔に応じた値になる。
また、補正値Ca(i)を算出する際にi−1がゼロ以下になる場合、補正値C(i−1)はC(1)を適用する。例えば、パス1とパス2との間で行われる搬送動作の補正値Ca(1)は、{C(1)+C(1)+C(2)+C(3)}/4として算出される。また、補正値Ca(i)を算出する際にi+1が20以上になる場合、補正値Caを算出するためのC(i+1)はC(19)を適用する。同様に、i+2が20以上になる場合、C(i+2)はC(19)を適用する。例えば、パス19とパス20との間で行われる搬送動作の補正量Ca(19)は、{C(18)+C(19)+C(19)+C(19)}/4として算出される。
コンピュータ110は、このようにして補正値Ca(1)〜補正値Ca(19)を算出する。これにより、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値が、1/4インチの範囲ごとに求められる。
===補正値の記憶(S104)===
次に、コンピュータ110は、補正値をプリンタ1のメモリ63に記憶する(S104)。
図23は、メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。メモリ63に記憶される補正値は、NIP状態における補正値Ca(1)〜Ca(19)と、非NIP状態における補正値Cbである。また、各補正値を適用する範囲を示すための境界位置情報も、各補正値に関連付けられてメモリ63に記憶される。
補正値Ca(i)に関連付けられる境界位置情報は、測定用パターンのラインLi+1に相当する位置(理論上の位置)を示す情報であり、この境界位置情報は、補正値Ca(i)を適用する範囲の下端側の境界を示している。なお、上端側の境界は、補正値Ca(i−1)に関連付けられる境界位置情報から求めることができる。従って、例えば補正値C(2)の適用範囲は、紙Sに対してラインL1の位置とラインL2の位置の間(にノズル♯90が位置する)の範囲となる。なお、非NIP状態になる範囲は既知なので、補正値Cbには境界位置情報を関連付けなくても良い。
プリンタ製造工場では、製造されるプリンタ毎に、各プリンタの個体の特徴を反映したテーブルがメモリ63に記憶される。そして、このテーブルを記憶したプリンタは、梱包されて出荷される。
===ユーザの下での印刷時の搬送動作===
プリンタを購入したユーザの下で印刷が行われる際に、コントローラ60は、メモリ63からテーブルを読み出し、目標搬送量を補正値に基づいて補正し、補正された目標搬送量に基づいて搬送動作を行う。以下、ユーザの下での印刷時の搬送動作の様子について説明する。
図24Aは、第1のケースでの補正値の説明図である。第1のケースでは、搬送動作前のノズル♯90の位置(紙に対する相対位置)が補正値Ca(i)の適用範囲の上端側の境界位置と一致し、搬送動作後のノズル♯90の位置が補正値Ca(i)の適用範囲の下端側の境界位置と一致している。このような場合、コントローラ60は、補正値をCa(i)とし、当初の目標搬送量Fから補正値Ca(i)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
図24Bは、第2のケースでの補正値の説明図である。第2のケースでは、搬送動作前後のノズル♯90の位置が、ともに補正値Ca(i)の適用範囲内にある。このような場合、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fと適用範囲の搬送方向長さLとの比F/LをCa(i)で掛けた値を補正値にする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値Ca(i)×(F/L)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
図24Cは、第3のケースでの補正値の説明図である。第3のケースでは、搬送動作前のノズル♯90の位置が補正値Ca(i)の適用範囲内にあり、搬送動作後のノズル♯90の位置が補正値Ca(i+1)の適用範囲内にある。ここで、目標搬送量Fのうちの補正値Ca(i)の適用範囲内での搬送量をF1とし、補正値Ca(i+1)の適用範囲内での搬送量をF2とする。このような場合、コントローラ60は、Ca(i)をF1/Lで掛けた値と、Ca(i+1)をF2/Lで掛けた値との和を補正値とする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
図24Dは、第4のケースでの補正値の説明図である。第4のケースでは、補正値Ca(i+1)の適用範囲を通過するように紙が搬送される。このような場合、コントローラ60は、Ca(i)をF1/Lで掛けた値と、Ca(i+1)と、Ca(i+2)をF2/Lで掛けた値との和を補正値にする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
このように、コントローラが当初の目標搬送量Fを補正して、補正後の目標搬送量に基づいて搬送ユニットを制御すると、実際の搬送量が当初の目標搬送量Fになるように補正され、DC成分の搬送誤差が補正される。
ところで、上記のように補正値を計算すれば、目標搬送量Fが小さいとき、補正値も小さい値になる。目標搬送量Fが小さければ、その搬送を行う際に生じる搬送誤差も小さいと考えられるので、上記のように補正値を計算すれば、搬送時に生じる搬送誤差に合う補正値を算出できる。また、各補正値Caに対して1/4インチ毎に適用範囲が設定されているので、これにより、紙Sとヘッド41との相対位置に応じて変化するDC成分の搬送誤差を的確に補正することができる。
なお、非NIP状態で搬送を行うときには、補正値Cbに基づいて目標搬送量を補正している。非NIP状態での搬送量がFの場合、コントローラ60は、補正値CbにF/Lで掛けた値を補正値にする。但し、この場合、Lは、非NIP状態の範囲に関わらず、1インチに設定されている。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値(Cb×F/L)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
===ライン位置の算出の詳細説明===
ここでは、補正値の算出(S103)でのスキャナ座標系でのライン位置の算出(S136)について更に詳しく説明する。
<基本的な流れ>
図25は、ラインの位置を算出する様子の説明図である。
図中の左側には、図18Aの点線で示す範囲の画像データが示されている。この画像データは、マトリクス状に配置された画素の画素データから構成される。この画像データでは、x方向に所定数の画素が並んでいる。以下、図中の太線で囲んだ範囲の画素群のことを「画素列」と呼ぶ。
コンピュータ110は、ラインの位置を算出する際に、各画素列の画素データの平均値を算出する。この平均値は、画素列のy方向の位置に対応付けられており、グラフにすると図中の右側のようになる。このグラフは、図18Bのグラフと同じである。
そして、コンピュータ110は、階調値がピーク値になる画素列を求め、この画素列を中心として所定範囲の複数の画素列を演算範囲と決定する。そして、演算範囲の画素列の階調値に基づいて、演算範囲における階調値の重心位置を算出し、この重心位置をラインの位置として算出する。
<不良画素の影響>
図26Aは、基準シートやテストシートにごみがあった場合の画素列内の階調値のグラフである。グラフの横軸は、画素列内における画素のx方向の位置を示している。縦軸は、画素の階調値を示している。実線のグラフは、各画素の階調値を示している。点線のグラフは、この画素列の画素データ(階調値)の平均値を示している。
ごみの画像を示す画素が画素列内にある場合、画素列の画素データの平均値が高くなってしまう。このような画素列が演算範囲にあると、ラインの位置の算出に影響を与えてしまう。例えば、ごみの影響で平均値が高くなった画素列が演算範囲の上の方(−y方向)にあると、ラインの位置は、本来の位置よりも上の方に算出されてしまう。この結果、正しい補正値を算出できず、搬送誤差を正確に補正できなくなるおそれがある。
図26Bは、ドット抜けのある場合のラインの画像を示す画素列内の階調値のグラフである。
測定用パターンのラインを構成するドット列にドット抜けがある場合、画素列の画素のデータの平均値が低くなってしまう。このような画素列が演算範囲内にあると、ラインの位置の算出に影響を与えてしまう。この結果、正しい補正値を算出できず、搬送誤差を正確に補正できなくなるおそれがある。
このように、不良画素(ごみの画像を示す画素やドット抜けの画像を示す画素等)が画素列内にあると、その画素列の画素データの平均値が影響をうけてしまい、ラインの位置を正確に算出することができなくなる。
<比較例>
図27は、比較例の説明図である。
比較例では、コンピュータ110は、まず画素列内の全画素データの平均値を算出する。次に、コンピュータ110は、全画素データの平均値を中心にして所定の閾値の範囲を正常範囲と設定し、この正常範囲外の画素データを除去する。つまり、図中の点線で示す画素データを除去する(このとき、不良画素の画素データを除去することができる)。なお、比較例では、閾値は固定された値である。次に、コンピュータ110は、残りの画素データ(正常範囲内の画素データ)の平均値を算出する。つまり、図中の太線で示す画素データの平均値を算出する。
この比較例により算出された画素列の平均値に基づいてラインの位置を算出すれば、不良画素の影響を軽減させてラインの位置を算出することができる。
<ラインが傾いた場合の問題点>
図28Aは、測定用パターンのラインが傾いている様子の説明図である。この図の黒い領域は、測定用パターンのラインを示している。図中の升目は、測定用パターンをスキャナ150で読み取る際の各画素の領域に対応している。
S133において、測定用パターンの画像の傾きがラインL1の傾きに応じて補正されている。しかし、他のラインがラインL1に対して傾いていれば、S133において傾き補正しても、ラインL1以外のラインが傾いていることがある。
このようにラインが傾くと、ラインの境界の画素列(図中の矢印で示す画素列)において、画素に占めるラインの領域は、図中の右の画素ほど少なくなる。
図28Bは、図28Aの矢印で示す画素列の階調値のグラフである。画素に占めるラインの領域が図中の右の画素ほど少なくなるため、グラフは右下がりになる。
このような画素列に対して、全画素データの平均値を中心にして所定の閾値の範囲を正常範囲と設定すると、不良画素ではない正常な画素の画素データが除去されてしまう。
<閾値を固定した場合の問題点>
図29は、不良画素がない場合のグラフである。図中の下側のグラフは、ラインが形成されていない部分(テストシートの白地部分)の画素列の階調値のグラフである。図中の上側のグラフは、ラインが形成されている部分(ライン形成部分)の画素列の階調値のグラフである。
ラインが形成されていない部分では、テストシートの白地部分がそのままスキャナ150に読み取られるため、画素列内の階調値のばらつきが小さい。一方、ラインが形成されている部分では、ラインを構成する多数のドットをスキャナ150で読み取ることになるため、画素列内の階調値のばらつきが大きくなる。
白地部分では階調値のばらつきが小さいため(図29の下側のグラフ参照)、図27に示す閾値を小さく設定することができる。しかし、このような小さい閾値がライン形成部分の画素列の階調値に適用されると、不良画素ではない正常な画素の画素データが除去されてしまう。
一方、ライン形成部分では階調値のばらつきが大きいため(図29の上側のグラフ参照)、正常な画素を不良画素と判別しないようにするためには、図27に示す閾値を大きく設定する必要がある。しかし、このような大きい閾値が白地部分の画素列の階調値に適用されると、不良画素の識別の感度が低くなる。
<本実施形態>
上記の問題点を解決する本実施形態について以下に説明する。
図30は、S136のライン位置算出処理のフロー図である。コンピュータ110は、補正値取得プログラムに従って、各処理を実行する。つまり、補正値取得プログラムは、各処理をコンピュータ110に実行させるためのコードを有する。
まず、コンピュータ110は、平均値算出の対象となる画素列の画素データを取得する(S201)。次に、コンピュータ110は、画素データの近似直線を算出する。
図31Aは、近似直線の説明図である。図中の点線で示すグラフは、画素列の階調値のグラフである(この画素列には不良画素がある)。この点線のグラフをG(x)とする。図中の実線は、算出された近似直線である。この直線は、傾きをa、切片をbとして表現できる。傾きaと切片bは、最小二乗法により算出される。
次に、コンピュータ110は、近似直線に基づいて、階調値の傾きを補正する(S203)。図31Bは、傾き補正後の階調値のグラフである。補正後の階調値のグラフをg(x)とすると、g(x)=G(x)−(ax+b)としてg(x)が算出される。
次に、コンピュータ110は、傾き補正後の階調値g(x)の平均値aveと標準偏差σを算出する(S204)。なお、画素列に不良画素が無い場合又は不良画素の数が少ない場合には、画素列に不良画素が多い場合と比べて、標準偏差σは小さい値になる。また、画素列に不良画素が無い場合において、その画素列が白地部分の場合(図29の下側のグラフ参照)には、ライン形成部分の場合(図29の上側のグラフ参照)と比べて、更に小さい値になる。
次に、コンピュータ110は、標準偏差σが所定値以下か否かを判断する(S205)。この所定値としては、例えば「3」が予め設定されている。傾き補正後の階調値g(x)が図29のいずれかのグラフのように不良画素が無い場合や、画素列に不良画素が少ない場合、標準偏差σは所定値以下になりやすい。一方、標準偏差σが所定値よりも大きい場合(S205でNO)、その画素列には不良画素が多いと考えられる。
そして、コンピュータ110は、S205において標準偏差σが所定値以下と判断した場合、閾値として3×σを設定する(S206)。一方、コンピュータ110は、S205において標準偏差σが所定値よりも大きいと判断した場合、閾値としてσを設定する(S207)。
次に、コンピュータ110は、不良画素の検出を行う(S208)。不良画素の検出には、S206又はS207で設定された閾値が用いられ、傾き補正後のグラフg(x)の平均値aveを中心とする閾値の範囲内が正常範囲と設定され、この正常範囲外の階調値になる画素が不良画素として検出される。
図32A〜図32Dは、正常範囲の説明図である。
図32Aは、白地部分の画素列に不良画素が無い場合の正常範囲の説明図である。白地部分の画素列に不良画素が無い場合、この画素列の標準偏差σは比較的小さい値になり、正常範囲の階調値の幅は狭くなる。このため、仮に微小なごみ等があっても、不良画素を検出することが可能である。
図32Bは、ライン形成部分の画素列に不良画素が無い場合の正常範囲の説明図である。ライン形成部分の画素列では、白地部分の画素列と比べて、標準偏差σが比較的大きい値になり、正常範囲の階調値の幅は広くなる。このため、正常な画素が、不良画素として検出されるおそれが軽減する。
図32Cは、画素列に不良画素がある場合の正常範囲の説明図である。ごみが微小な場合や、ごみの数が少ない場合、標準偏差σは所定値以下になり、閾値は3×σに設定される(S206参照)。そして、傾き補正後のグラフg(x)の平均値aveを中心にして閾値の範囲外の階調値になる画素が不良画素として検出される。
図32Dは、画素列に多数の不良画素がある場合の正常範囲の説明図である。ごみが大きい場合やごみの数が多い場合、標準偏差σは所定値よりも大きくなり、閾値は、3×σよりも小さい値σに設定される(S207参照)。もし仮に、S205の判断処理を設けず、閾値が常に3×σに設定されるとすると、正常範囲が広く設定されてしまい、不良画素として検出すべき画素が、正常な画素と判断されてしまう。
次に、コンピュータ110は、S208で検出された不良画素の数が画素列の画素数の30%以下か否かを判断する(S209)。画素列における不良画素の占有率が30%を超える場合(S209でNO)、不良画素を除去して画素列の画素データの平均値を算出しても、算出された平均値と画素列本来の階調(濃度)との関連性が希釈していると考えられる。このため、コンピュータ110は、エラーを報知し、以後の処理を行わずに終了する(S210)。本実施形態によれば、不良画素を精度良く検出できるので、エラーの報知を正確に行うことができる。なお、エラーが報知された場合、検査者は、テストパターンをスキャナ150に置き直してS102(図7)の処理を再度行っても良い。
画素列における不良画素の占有率が30%以下の場合(S209でYES)、コンピュータ110は、不良画素を除去して画素列の平均値を算出する(S211)。なお、このときの平均値の算出に用いられるデータは、傾き補正後のグラフg(x)の値ではなく、傾き補正前のグラフG(x)の値である。仮に傾き補正後のグラフg(x)の値に基づいて平均値を算出すると、近似直線の切片bの値が不良画素の影響を受けているので、算出された平均値も不良画素の影響を受けたものになるからである。
コンピュータ110は、全ての画素列に対して上記の処理を繰り返し行い(S201〜S212)、各画素列の画素データの平均値を算出する(S213)。これにより、図18Bや図25右側のようなデータが得られる。
そして、コンピュータ110は、各画素列のそれぞれの階調値(上記の処理で算出された各画素列のそれぞれの平均値)に基づいて、画像データの示すラインの位置を算出する(S213)。具体的には、コンピュータ110は、階調値がピーク値になる画素列を求め、この画素列を中心として所定範囲の複数の画素列を演算範囲と決定する。そして、演算範囲の画素列の階調値に基づいて、演算範囲における階調値の重心位置を算出し、この重心位置をラインの位置として算出する。なお、重心位置は、「画素列の階調値とその画素列のy方向の位置の積の演算範囲での総和」を「画素列の階調値の演算範囲での総和」で割った値として算出される。本実施形態によれば、不良画素を適切に除去した状態で階調値の重心位置を算出できるので、正確にラインの位置を算出できる。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、搬送方法、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<プリンタについて>
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。
また、ピエゾ素子を利用するものに限られず、例えばサーマルプリンタなどにも適用できる。また、液体を吐出するものに限られず、ワイヤドットプリンタなどにも適用できる。
<テストシートについて>
前述の実施形態によれば、搬送量を補正するためのテストシートに形成された各ラインの位置を算出する際に、図30に示すライン位置算出処理が行われる。但し、画像データの示す画像のラインの位置を算出する場合であれば、前述のライン位置算出処理を適用することが可能である。
例えば、インクの吐出タイミングを補正するためのテストシートに対して、前述のライン位置算出処理を行うことも可能である。インクの吐出タイミングを補正するためのテストシートでは、キャリッジ31が往路に移動するときに搬送方向下流側のノズル♯1〜♯45からインクを同時に吐出することによって搬送方向に沿う第1ラインが形成され、その後テストシートを搬送せずに、キャリッジ31が復路に移動するときに搬送方向上流側のノズル♯46〜90からインクを同時に吐出することによって搬送方向に沿う第2ラインが形成される。そして、第1ラインと第2ラインとの間隔を検出すれば、往路に対する復路のインク吐出タイミングを補正することができる。このようなテストシートをスキャナで読み取らせ、その画像データに基づいてインク吐出タイミングを補正する際に、図30に示すライン位置算出処理を適用することが可能である。但し、前述の実施形態では、移動方向に沿うラインが形成されて、各ラインの搬送方向の位置を算出しているが、インクの吐出タイミングを補正するためのテストシートでは、搬送方向に沿うラインが形成されて、各ラインの移動方向の位置を算出する点で異なることになる。
また、画像データに基づいてラインの位置を算出する技術は、テストシートにおけるラインの位置の算出に限られず、基準シートのラインの位置の算出に適用しても良い。
===まとめ===
(1)前述の実施形態によれば、x方向及びy方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、x方向に沿うラインのy方向の位置を算出している(図25参照)。この際に、ごみが付着していたり、ラインを形成するドットに抜けがあったりすると、ラインの位置を正確に算出することができなくなるおそれがある(図26参照)。そこで、前述の実施形態によれば、画素列(x方向に並ぶ複数の画素)の階調値の平均値を算出する際に、正常範囲を設定し、正常範囲外の階調値の画素を不良画素として検出することにしている。
但し、正常範囲の幅を固定してしまうと、不良画素ではない正常な画素の画素データが除去されてしまったり、不良画素の識別の感度が低くなったりするおそれがある。
そこで、前述の実施形態によれば、階調値のばらつき度合いに応じて閾値を設定し、この閾値に基づいて正常範囲を設定している。例えば、白地部分では階調値のばらつきが小さくなり、小さい値の閾値に基づいて幅の狭い正常範囲が設定される(図32A参照)。また、ライン形成部分では階調値のばらつきが大きくなり、大きい値の閾値に基づいて幅の広い正常範囲が設定される(図32B参照)。これにより、本実施形態によれば、正常な画素を不良画素として検出しないようにしつつ、不良画素の識別の感度が低減しないようにしている。
(2)前述の実施形態によれば、階調値のばらつき度合いとして、標準偏差σを採用している。なお、標準偏差σは、分散(統計値と平均値との差を2乗し、算術平均したもの)の正の平方根として算出される。そして、平均値ave±標準偏差σの範囲を正常範囲として設定すれば、正常な画素を不良画素として検出しないようにしつつ、不良画素の識別の感度が低減しないようにすることができる。
但し、必ずしも標準偏差σに基づいて正常範囲を設定しなくても良い。例えば、分散に基づいて正常範囲を設定しても良い。
(3)前述の実施形態によれば、標準偏差σが所定値以下であれば、標準偏差σに係数3を乗じた値を閾値としている(図30のS206参照)。これにより、標準偏差σに応じて正常範囲を設定することが可能になる。
(4)更に前述の実施形態によれば、標準偏差σが所定値以下であれば、標準偏差σに係数3を乗じた値を閾値とし(図30のS206参照)、標準偏差σが所定値よりも大きければ、標準偏差σに係数1を乗じた値を閾値としている(図30のS207参照)。このように、標準偏差の値が大きくなると係数が小さくなるように係数が設定されることによって、画素列に不良画素が多い場合には多くの不良画素を検出することが可能になる。
(5)前述の実施形態によれば、検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データの平均値を算出し(図30のS211参照)、前記平均値に基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出することにしている。仮に不良画素を含んだまま画素列の平均値を算出すると、不良画素の影響を受けた状態でラインの位置が算出されるためである。なお、不良画素が1つでも検出されたときにエラーにしてしまうと、作業が進まなくなってしまうため、前述の実施形態では不良画素占有率が30%以下であれば、ライン位置算出処理を継続している。
(6)前述の実施形態によれば、画素列(x方向に並ぶ複数の画素)の画素データの示す階調値G(x)に基づいて近似直線を算出し、この近似直線に基づいて階調値G(s)をg(x)に補正し(図31A及び図31B参照)、補正された階調値g(x)に基づいて不良画素を検出している。これにより、たとえ測定用パターンのラインが傾いていた場合であっても、不良画素を正確に特定することができる。
(7)前述の実施形態の全ての構成要素を備えれば、全ての効果が得られるので望ましい。但し、必ずしも前述の実施形態の全ての構成要素を備える必要は無い。例えば、仮にS135(図13参照)の余白量の算出を行わなかったとしても、補正の精度は落ちるものの、DC成分の搬送誤差を補正することは可能である。
(8)なお、前述の実施形態の説明には、ラインの位置の算出方法の説明だけでなく、補正値を算出する方法の説明も含まれている。そして、前述の補正値算出方法によれば、ラインの位置を正確に算出できるので、補正値を正確に算出することが可能である。
(9)なお、前述の実施形態の説明には、ラインの位置の算出方法の説明だけでなく、コンピュータ110にインストールされたプログラムの説明も含まれている。そして、前述のプログラムによれば、ラインの位置を正確に算出できるようにプリンタ1、スキャナ150及びコンピュータ110を制御することができる。
プリンタ1の全体構成のブロック図である。 図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。 ノズルの配列を示す説明図である。 搬送ユニット20の構成の説明図である。 AC成分の搬送誤差の説明用グラフである。 紙を搬送する際に生じる搬送誤差のグラフ(概念図)である。 搬送量を補正するための補正値を決定するまでのフロー図である。 図8A〜図8Cは、補正値を決定するまでの様子の説明図である。 測定用パターンの印刷の様子の説明図である。 図10Aは、スキャナ150の縦断面図である。図10Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。 スキャナの読み取り位置の誤差のグラフである。 図12Aは、基準シートSSの説明図である。図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子の説明図である。 S103における補正値算出処理のフロー図である。 画像の分割(S131)の説明図である。 図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図である。図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。 測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。 余白量Xの説明図である。 図18Aは、ラインの位置を算出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。図18Bは、ラインの位置の算出の説明図である。 算出されたラインの位置の説明図である。 測定用パターンのi番目のラインの絶対位置の算出の説明図である。 補正値C(i)の対応する範囲の説明図である。 測定用パターンのラインと補正値Caとの関係の説明図である。 メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。 図24Aは、第1のケースでの補正値の説明図である。図24Bは、第2のケースでの補正値の説明図である。図24Cは、第3のケースでの補正値の説明図である。図24Dは、第4のケースでの補正値の説明図である。 ラインの位置を算出する様子の説明図である。 図26Aは、基準シートやテストシートにごみがあった場合の画素列内の階調値のグラフである。図26Bは、ドット抜けのある場合のラインの画像を示す画素列内の階調値のグラフである。 比較例の説明図である。 図28Aは、測定用パターンのラインが傾いている様子の説明図である。図28Bは、図28Aの矢印で示す画素列の階調値のグラフである。 不良画素がない場合のグラフである。 S136のライン位置算出処理のフロー図である。 図31Aは、近似直線の説明図である。図31Bは、傾き補正後の階調値のグラフである。 図32A〜図32Dは、正常範囲の説明図である。図32Aは、白地部分の画素列に不良画素が無い場合の正常範囲の説明図である。図32Bは、ライン形成部分の画素列に不良画素が無い場合の正常範囲の説明図である。図32Cは、画素列に不良画素がある場合の正常範囲の説明図である。図32Dは、画素列に多数の不良画素がある場合の正常範囲の説明図である。
符号の説明
1 プリンタ、110 コンピュータ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、26 従動ローラ、27 従動ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、521 スケール、522 検出部、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、
150 スキャナ、151 上蓋、152 原稿台ガラス、
153 読取キャリッジ、154 案内部、155 移動機構、
157 露光ランプ、158 ラインセンサ、159 光学系、
TS テストシート、SS 基準シート

Claims (9)

  1. 第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
    前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
    前記閾値に基づいて範囲を設定し、
    前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
    検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
    検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとする
    ことを特徴とするライン位置算出方法。
  2. 請求項1に記載のライン位置算出方法であって、
    前記ばらつき度合いとは、標準偏差であり、
    前記範囲を設定する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値と、前記標準偏差と基づいて前記範囲が設定される
    ことを特徴とするライン位置算出方法。
  3. 請求項2に記載のライン位置算出方法であって、
    前記閾値を設定する際に、前記標準偏差に所定の係数を乗じた値に基づいて前記閾値が設定されることを特徴とするライン位置算出方法。
  4. 請求項3に記載のライン位置算出方法であって、
    前記標準偏差の値が大きくなると前記係数が小さくなるように前記係数が設定されることを特徴とするライン位置算出方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のライン位置算出方法であって、
    検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出する際に、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データの平均値を算出し、前記平均値に基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出する
    ことを特徴とするライン位置算出方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のライン位置算出方法であって、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得した後に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値に基づいて近似直線を算出し、前記近似直線に基づいて各前記階調値を補正し、
    前記不良画素を検出する際に、補正された前記階調値に基づいて前記不良画素を検出する
    ことを特徴とするライン位置算出方法。
  7. (1)第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出する方法であって、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
    前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
    前記閾値に基づいて範囲を設定し、
    前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
    検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
    検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとし、
    (2)前記ばらつき度合いとは、標準偏差であり、
    前記範囲を設定する際に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値と、前記標準偏差と基づいて前記範囲が設定され、
    (3)前記閾値を設定する際に、前記標準偏差に所定の係数を乗じた値に基づいて前記閾値が設定され、
    (4)前記標準偏差の値が大きくなると前記係数が小さくなるように前記係数が設定され、
    (5)検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出する際に、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素のうちの前記不良画素以外の画素の画素データの平均値を算出し、前記平均値に基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
    (6)前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得した後に、前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値に基づいて近似直線を算出し、前記近似直線に基づいて各前記階調値を補正し、
    前記不良画素を検出する際に、補正された前記階調値に基づいて前記不良画素を検出する
    ことを特徴とするライン位置算出方法。
  8. テストシートを搬送する搬送動作と、所定方向に沿うラインを形成する形成動作とを交互に印刷装置に繰り返し行わせて、複数の前記ラインを含む測定用パターンを前記テストシートに印刷し、
    前記テストシートに印刷された前記測定用パターンをスキャナで読み取り、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データを取得し、
    前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出し、
    前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得する
    補正値取得方法であって、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得し、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出し、
    前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定し、
    前記閾値に基づいて範囲を設定し、
    前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出し、
    検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出し、
    検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとする
    ことを特徴とする補正値取得方法。
  9. 印刷装置に、テストシートを搬送する搬送動作と、所定方向に沿うラインを形成する形成動作とを交互に繰り返し行わせ、複数の前記ラインを含む測定用パターンを前記テストシートに印刷させ、
    スキャナに、前記テストシートに印刷された前記測定用パターンを読み取らせ、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶ複数の画素から構成される画像の画像データをコンピュータに出力させ、
    前記コンピュータに、前記画像データに基づいて、前記画像の中の前記第1方向に沿うラインの前記第2方向の位置を算出させ、
    前記コンピュータに、前記位置に基づいて前記搬送動作のための補正値を取得させる
    プログラムであって、
    前記コンピュータに、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データを取得させ、
    前記第1方向に並ぶ複数の画素の画素データの示す階調値のばらつき度合いを算出させ、
    前記ばらつき度合いに応じた閾値を設定させ、
    前記閾値に基づいて範囲を設定させ、
    前記画素データの示す階調値が前記範囲外になる不良画素を検出させ、
    検出された前記不良画素の数が所定値以下の場合、前記画像データに基づいて前記ラインの前記第2方向の位置を算出させ、
    検出された前記不良画素の数が前記所定値よりも大きい場合、エラーとさせる
    ことを特徴とするプログラム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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