JP2008182352A - 位置特定方法、位置特定装置、及び、プログラム - Google Patents

位置特定方法、位置特定装置、及び、プログラム Download PDF

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JP2008182352A JP2007012858A JP2007012858A JP2008182352A JP 2008182352 A JP2008182352 A JP 2008182352A JP 2007012858 A JP2007012858 A JP 2007012858A JP 2007012858 A JP2007012858 A JP 2007012858A JP 2008182352 A JP2008182352 A JP 2008182352A
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Masahiko Yoshida
昌彦 吉田
Hiroichi Nunokawa
博一 布川
Bunji Ishimoto
文治 石本
Tatsuya Nakano
龍也 中野
Toru Miyamoto
徹 宮本
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Abstract

【課題】取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすること。
【解決手段】所定の画像のパターンを媒体に形成するステップと、前記媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、を含む位置特定方法。
【選択図】図19

Description

本発明は、位置特定方法、位置特定装置、及び、プログラムに関する。
用紙上に形成された罫線間距離に基づいて搬送誤差を求める場合がある。このとき、搬送方向の垂直方向に延びる複数の罫線が印刷され、これらの罫線間の距離が計測される。そして、計測された罫線間距離が所望の罫線間距離とどれだけ異なっているかに基づいて搬送誤差が求められる。
このような方法で搬送誤差を求める場合、印刷された罫線の位置を特定するために、媒体の各位置の濃度がスキャナによって取得される。そして、スキャナによって取得された各位置の濃度値に基づいて、罫線の位置が認識される。この罫線の位置の認識方法として、たとえば各位置の濃度値と所定のしきい値とを比較し、濃度値がしきい値を超えているときに対応する位置に罫線が存在すると認識する方法がある。
特開平5−96796号公報
しかしながら、スキャナの読み取り特性などにより、取得された濃度値に誤差が含まれる場合がある。上述の罫線位置の特定方法では、濃度値がしきい値を超えているときに対応する位置に基づいて罫線位置が特定される。そうすると、含まれる誤差によって、例えば濃度値がしきい値に対して常に高い値になるなどすると、罫線位置の認識に誤りを生ずることとなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
所定の画像のパターンを媒体に形成するステップと、
前記媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
を含む位置特定方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
所定の画像のパターンを媒体に形成するステップと、
前記媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
を含む位置特定方法。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
かかる位置特定方法であって、前記濃度値を補正するステップにおいて、前記ある位置の濃度値から前記ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値を減算することで、前記ある位置の前記濃度値を補正することが望ましい。また、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップにおいて、前記補正した各位置についての濃度値を所定のしきい値と比較することで前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定することが望ましい。また、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップにおいて、前記補正した各位置についての濃度値が所定のしきい値を超えているときの位置のうち、いずれかの位置を前記所定の画像のパターンの形成されている位置であると特定することが望ましい。また、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップは、所定のしきい値を超えた前記補正した濃度値のうち最も高い濃度値の位置を特定するステップと、前記最も高い濃度値の位置を中心としたある範囲において、ある位置の座標と該ある位置における濃度値の積の総和を求めるステップと、前記ある範囲における濃度値の合計値で前記総和を除したときに得られる値を前記所定の画像のパターンが形成されている位置であると特定するステップと、を含むことが望ましい。
また、前記所定の画像のパターンは、前記所定方向の垂直方向に延びる線分であることが望ましい。また、前記所定の画像のパターンを媒体に形成するステップにおいて、前記媒体が前記所定方向に搬送されつつ、前記所定の画像のパターンが前記媒体上に形成されることが望ましい。また、前記濃度値は、前記所定方向の垂直方向に並ぶ画素についての濃度平均値であることが望ましい。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得する取得装置と、
ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正する演算装置であって、前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定する演算装置と、
を備える位置特定装置。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
位置特定装置を動作させるためのプログラムであって、
所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
を前記位置特定装置に行わせるプログラム。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
所定の画像のパターンを媒体に形成するステップと、
前記媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
ある位置の前記濃度値の移動平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
を含む位置特定方法。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得する取得装置と、
ある位置の前記濃度値の移動平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正する演算装置であって、前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定する演算装置と、
を備える位置特定装置。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
位置特定装置を動作させるためのプログラムであって、
所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
ある位置の前記濃度値の移動平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
を前記位置特定装置に行わせるプログラム。
このようにすることで、取得した濃度値に誤差を含む場合であっても適切に画像の位置を特定することができるようにすることができる。
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、プリンタの基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
なお、搬送ローラ23が紙Sを搬送するとき、紙Sは搬送ローラ23と従動ローラ26との間に挟まれている。これにより、紙Sの姿勢が安定する。一方、排紙ローラ25が紙Sを搬送するとき、紙Sは排紙ローラ25と従動ローラ27との間に挟まれている。排紙ローラ25は印刷領域よりも搬送方向下流側に設けられているので、従動ローラ27は、紙Sとの接触面が小さくなるように構成されている(図4も参照)。このため、紙Sの下端が搬送ローラ23を通過して、紙Sが排紙ローラ25のみによって搬送されるとき、紙Sの姿勢は不安定になり易く、搬送特性も変化しやすい。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<ノズルについて>
図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを90個備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが90dpi(1/90インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=8である。
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯90よりも搬送方向の下流側に位置している。なお、前述の光学センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯90とほぼ同じ位置にある。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
===搬送誤差===
<紙の搬送について>
図4は、搬送ユニット20の構成の説明図である。
搬送ユニット20は、コントローラ60からの搬送指令に基づいて、所定の駆動量にて搬送モータ22を駆動させる。搬送モータ22は、指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。搬送モータ22は、この駆動力を用いて搬送ローラ23を回転させる。つまり、搬送モータ22が所定の駆動量を発生すると、搬送ローラ23は所定の回転量にて回転する。搬送ローラ23が所定の回転量にて回転すると、紙は所定の搬送量にて搬送される。
紙の搬送量は、搬送ローラ23の回転量に応じて定まる。ここでは、搬送ローラ23が1回転すると、紙が1インチ搬送されるものとする(つまり、搬送ローラ23の周長は、1インチである)。このため、搬送ローラ23が1/4回転すると、紙が1/4インチ搬送される。
したがって、搬送ローラ23の回転量が検出できれば、紙の搬送量も検出可能である。そこで、搬送ローラ23の回転量を検出するため、ロータリー式エンコーダ52が設けられている。
そして、例えば搬送量1インチで紙を搬送する場合、搬送ローラ23が1回転したことをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、コントローラ60が搬送モータ22を駆動する。このように、コントローラ60は、目標とする搬送量(目標搬送量)に応じた回転量になることをロータリー式エンコーダ52が検出するまで、搬送モータ22を駆動して、紙を目標搬送量にて搬送する。
<搬送誤差について>
ところで、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には搬送ローラ23の回転量を検出するのであって、厳密にいえば、紙Sの搬送量を検出していない。このため、搬送ローラ23の回転量と紙Sの搬送量が一致しない場合、ロータリー式エンコーダ52は紙Sの搬送量を正確に検出することができず、搬送誤差(検出誤差)が生じる。搬送誤差としては、DC成分の搬送誤差及びAC成分の搬送誤差の2種類がある。
DC成分の搬送誤差とは、搬送ローラが1回転したときに生じる所定量の搬送誤差のことである。このDC成分の搬送誤差は、製造誤差等によって搬送ローラ23の周長が個々のプリンタ毎に異なることが原因と考えられる。つまり、DC成分の搬送誤差は、設計上の搬送ローラ23の周長と実際の搬送ローラ23の周長が異なるために生じる搬送誤差である。このDC成分の搬送誤差は、搬送ローラ23が1回転するときの開始位置に関わらず、一定になる。但し、実際のDC成分の搬送誤差は、紙の摩擦等の影響によって、紙の総搬送量に応じて異なる値になる(後述)。言い換えると、実際のDC成分の搬送誤差は、紙Sと搬送ローラ23(又は紙Sとヘッド41)との相対位置関係に応じて異なる値になる。
AC成分の搬送誤差とは、搬送時に用いられる搬送ローラの周面の場所に応じた搬送誤差のことである。AC成分の搬送誤差は、搬送時に用いられる搬送ローラの周面の場所に応じて、異なる量になる。つまり、AC成分の搬送誤差は、搬送開始時の搬送ローラの回転位置と搬送量に応じて、異なる量になる。
図5は、AC成分の搬送誤差の説明用グラフである。横軸は、基準となる回転位置からの搬送ローラ23の回転量である。縦軸は、搬送誤差を示す。このグラフを微分すれば、その回転位置で搬送ローラが搬送しているときに生じる搬送誤差が導き出される。ここでは、基準位置における累積搬送誤差をゼロとし、DC成分の搬送誤差もゼロとしている。
搬送ローラ23が基準位置から1/4回転すると、δ_90の搬送誤差が生じ、紙は1/4インチ+δ_90にて搬送される。但し、搬送ローラ23が更に1/4回転すると、-δ_90の搬送誤差が生じ、紙は1/4インチ−δ_90にて搬送される。
AC成分の搬送誤差が生じる原因としては、例えば、以下の3つが考えられる。
まず第1に、搬送ローラの形状による影響が考えられる。例えば、搬送ローラが楕円形状や卵型である場合、搬送ローラの周面の場所に応じて、回転中心までの距離が異なっている。そして、回転中心までの距離が長い部分で媒体を搬送する場合、搬送ローラの回転量に対する搬送量が多くなる。一方、回転中心までの距離が短い部分で媒体を搬送する場合、搬送ローラの回転量に対する搬送量が少なくなる。
第2に、搬送ローラの回転軸の偏心が考えられる。この場合も、搬送ローラの周面の場所に応じて、回転中心までの長さが異なっている。このため、たとえ搬送ローラの回転量が同じであっても、搬送ローラの周面の場所に応じて、搬送量が異なることになる。
第3に、搬送ローラの回転軸と、ロータリー式エンコーダ52のスケール521の中心との不一致が考えられる。この場合、スケール521が偏心して回転することになる。この結果、検出部522が検出するスケール521の場所に応じて、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が異なることになる。例えば、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から離れている場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が少なくなるため、搬送量が少なくなる。一方、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から近い場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が多くなるため、搬送量が多くなる。
上記の原因のため、AC成分の搬送誤差は、図5に示す通り、ほぼサインカーブになる。
<参考例で補正する搬送誤差>
図6は、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)の大きさの紙を搬送する際に生じる搬送誤差のグラフ(概念図)である。グラフの横軸は、紙の総搬送量を示している。グラフの縦軸は、搬送誤差を示している。図中の点線は、DC成分の搬送誤差のグラフである。図中の実線の値(トータルの搬送誤差)から図中の点線の値(DC成分の搬送誤差)を引けば、AC成分の搬送誤差が求められる。AC成分の搬送誤差は、紙の総搬送量に関わらず、ほぼサインカーブになる。一方、点線で示されるDC成分の搬送誤差は、紙の摩擦等の影響によって、紙の総搬送量に応じて異なる値になる。
既に説明したように、AC成分の搬送誤差は、搬送ローラ23の周面の場所に応じて異なる。このため、たとえ同じ紙を搬送する場合であっても、搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なれば、AC成分の搬送誤差が異なるため、トータルの搬送誤差(グラフの実線で示す搬送誤差)は異なることになる。これに対し、DC成分の搬送誤差はAC成分の搬送誤差とは異なり搬送ローラの周面の場所とは無関係なので、たとえ搬送開始時の搬送ローラ23の回転位置が異なっていても、搬送ローラ23が1回転したときに生じる搬送誤差(DC成分の搬送誤差)は同じになる。
また、AC成分の搬送誤差を補正しようとする場合、コントローラ60は、搬送ローラ23の回転位置を検出する必要がある。しかし、搬送ローラ23の回転位置を検出するためには、ロータリー式エンコーダ52に原点センサを更に用意する必要があり、コストアップとなる。
そこで、以下に示す参考例の搬送量の補正では、DC成分の搬送誤差を補正することにしている。
一方、DC成分の搬送誤差は、紙の総搬送量(言い換えると、紙Sと搬送ローラ23との相対位置関係)に応じて異なる値になる(図6の点線参照)。このため、より多くの補正値を搬送方向の位置に応じて用意できれば、きめ細かく搬送誤差を補正することができる。そこで、参考例では、搬送ローラ23の1回転分に相当する1インチの範囲ごとではなく、1/4インチの範囲ごとに、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値を用意している。
===概略説明===
図7は、搬送量を補正するための補正値を決定するまでのフロー図である。図8A〜図8Cは、補正値を決定するまでの様子の説明図である。これらの処理は、プリンタ製造工場の検査工程において行われる。この処理に先立って、検査者は、組み立て完了後のプリンタ1を工場内のコンピュータ110に接続する。工場内のコンピュータ110には、スキャナ150も接続されており、プリンタドライバ、スキャナドライバ及び補正値取得プログラムが予めインストールされている。
まず、プリンタドライバが印刷データをプリンタ1に送信し、プリンタ1がテストシートTSに測定用パターンを印刷する(S101、図8A)。次に、検査者はテストシートTSをスキャナ150にセットし、スキャナドライバがスキャナ150に測定用パターンを読み取らせ、画像データを取得する(S102、図8B)。なお、スキャナ150にはテストシートTSとともに基準シートがセットされており、基準シートに描画されている基準パターンも一緒に読み取られる。
そして、補正値取得プログラムは、取得した画像データを解析し、補正値を算出する(S103)。そして、補正値取得プログラムは、補正データをプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ63に補正値を記憶させる(図8C)。プリンタに記憶される補正値は、個々のプリンタの搬送特性を反映したものになる。
===測定用パターンの印刷(S101)===
まず、測定用パターンの印刷について説明する。通常の印刷と同様に、プリンタ1は、移動中のノズルからインクを吐出してドットを形成するドット形成処理と、紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、測定用パターンを紙に印刷する。なお、以下の説明では、ドット形成処理のことを「パス」と呼び、n回目のドット形成処理のことを「パスn」と呼ぶ。
図9は、測定用パターンの印刷の様子の説明図である。測定用パターンの印刷されるテストシートTSの大きさは、101.6mm×152.4mm(4インチ×6インチ)である。
図中の右側には、テストシートTSに印刷される測定用パターンが示されている。図中の左側の長方形は、各パスにおけるヘッド41の位置(テストシートTSに対する相対位置)が示されている。説明の都合上、ヘッド41がテストシートTSに対して移動しているように描かれているが、同図はヘッドとテストシートTSとの相対的な位置関係を示すものであって、実際にはテストシートTSが搬送方向に間欠的に搬送されている。
テストシートTSが搬送され続けると、テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過する。テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過する時に最上流ノズル♯90と対向するテストシートTSの位置が、「NIPライン」として図中に点線で示されている。つまり、図中においてヘッド41がNIPラインよりも上にあるパスでは、搬送ローラ23と従動ローラ26との間でテストシートTSが挟まれた状態(「NIP状態」とも言う)で、印刷が行われる。また、図中において、ヘッド41がNIPラインよりも下にあるパスでは、搬送ローラ23と従動ローラ26との間にテストシートTSがない状態(排紙ローラ25と従動ローラ27だけでテストシートTSを搬送する状態であり「非NIP状態」とも言う)で、印刷が行われる。
測定用パターンは、識別コードと、複数のラインとから構成される。
識別コードは、個々のプリンタ1をそれぞれ識別するための個体識別用の記号である。この識別コードは、S102において測定用パターンが読み取られるときに一緒に読み取られ、OCRによる文字認識によって、コンピュータ110に識別される。
各ラインは、いずれも移動方向に沿って形成されている。NIPラインよりも上端側には、多数のラインが形成される。NIPラインよりも上端側のラインについて、上端側から順にi番目のラインのことを「Li」と呼ぶ。また、NIPラインよりも下端側には、2つのラインが形成される。NIPラインよりも下端側の2つのラインのうち、上端側のラインをLb1と呼び、下端側のライン(一番下のライン)をLb2と呼ぶ。特定のラインは、他のラインよりも長く形成されている。例えば、ラインL1、ラインL13及びラインLb2は、他のラインと比べて、長く形成されている。これらのラインは、以下のようにして形成される。
まず、テストシートTSが所定の印刷開始位置まで搬送された後、パス1において、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインL1が形成される。パス1の後、コントローラ60は、搬送ローラ23を1/4回転させて、テストシートTSを約1/4インチだけ搬送する。搬送後、パス2において、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインL2が形成される。以下、同様の動作が繰り返し行われ、約1/4インチ間隔でラインL1〜ラインL20が形成される。このように、NIPラインよりも上端側にあるラインL1〜ラインL20は、ノズル♯1〜ノズル♯90のうちの最上流ノズル♯90により形成される。これにより、NIP状態で、できる限り多くのラインをテストシートTSに形成することができる。なお、ラインL1〜ラインL20はノズル♯90のみによって形成されるが、識別コードを印刷するパスでは、識別コードを印刷する際に、ノズル♯90以外のノズルも用いられる。
テストシートTSの下端が搬送ローラ23を通過した後、パスnにおいて、ノズル♯90のみからインク滴が吐出され、ラインLb1が形成される。パス1の後、コントローラ60は、搬送ローラ23を1回転させて、テストシートTSを約1インチだけ搬送する。搬送後、パスn+1において、ノズル♯3のみからインク滴が吐出され、ラインLb2が形成される。仮にノズル♯1が用いられると、ラインLb1とラインLb2との間隔が非常に狭くなり(約1/90インチ)、後でラインLb1とラインLb2との間隔を測定する際に、測定しにくくなる。このため、ここでは、ノズル♯1よりも搬送方向上流側にあるノズル♯3を用いてラインLb2を形成することにより、ラインLb1とラインLb2との間隔を広げて、測定し易くしている。
===パターンの読み取り(S102)===
<スキャナの構成>
まず、測定用パターンの読み取りに用いられるスキャナ150の構成について説明する。
図10Aは、スキャナ150の縦断面図である。図10Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。
スキャナ150は、上蓋151と、原稿5が置かれる原稿台ガラス152と、この原稿台ガラス152を介して原稿5と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ153と、読取キャリッジ153を副走査方向に案内する案内部154と、読取キャリッジ153を移動させるための移動機構155と、スキャナ150内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ153には、原稿5に光を照射する露光ランプ157と、主走査方向(図10Aにおいて紙面に垂直な方向)のラインの像を検出するラインセンサ158と、原稿5からの反射光をラインセンサ158へ導くための光学系159とが設けられている。図中の読取キャリッジ153の内部の破線は、光の軌跡を示している。
原稿5の画像を読み取るとき、操作者は、上蓋151を開いて原稿5を原稿台ガラス152に置き、上蓋151を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ157を発光させた状態で読取キャリッジ153を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ158により原稿5の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ110のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ110は、原稿5の画像データを取得する。
<読み取り位置精度>
後述するように、参考例ではスキャナ150は、テストシートTSの測定用パターンと基準シートの基準パターンとを、720dpi(主走査方向)×720dpi(副走査方向)の解像度で読み取る。このため、以下の説明では、720×720dpiの解像度で画像を読み取ることを前提にして説明を行う。
図11は、スキャナの読み取り位置の誤差のグラフである。グラフの横軸は、読み取り位置(理論値)を示している(すなわち、グラフの横軸は、読取キャリッジ153の位置(理論値)を示している)。グラフの縦軸は、読み取り位置の誤差(読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置との差)を示している。例えば、読取キャリッジ153を1インチ(=25.4mm)移動させると、約60μmの誤差が生じることになる。
仮に、読み取り位置の理論値と実際の読み取り位置が一致していれば、基準位置(読み取り位置がゼロの位置)を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、基準位置からちょうど1インチ離れた位置の画像を示すはずである。しかし、グラフに示すような読み取り位置の誤差が生じた場合、基準位置を示す画素から副走査方向に720画素離れた画素は、基準位置から1インチ離れた位置よりも60μmだけ更に離れた位置の画像を示すことになる。
また、仮に、グラフの傾きがゼロであれば、1/720インチ毎に等間隔に、画像が読み取られるはずである。しかし、グラフの傾きがプラスの位置では、1/720インチよりも長い間隔で画像が読み取られることになる。また、グラフの傾きがマイナスの位置では、1/720インチよりも短い間隔で画像が読み取られることになる。
この結果、仮に測定用パターンのラインが等間隔に形成されたとしても、読み取り位置の誤差がある状態では、画像データ上のラインの画像が等間隔にならない。このように、読み取り位置の誤差がある状態では、測定用パターンを単に読み取っただけでは、ラインの位置を正確に計測することができない。
そこで、参考例では、テストシートTSをセットして測定用パターンをスキャナに読み取らせる際に、基準シートをセットして基準パターンも読み取らせている。
<測定用パターンと基準パターンの読み取り>
図12Aは、基準シートSSの説明図である。図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子の説明図である。
基準シートSSの大きさは10mm×300mmであり、基準シートSSは長細い形をしている。基準シートSSには、基準パターンとして36dpi間隔にて多数のラインが形成されている。基準シートSSは繰り返し使用されるため、紙ではなく、PETフィルムから構成される。また、基準パターンは、レーザー加工により、高精度に形成されている。
不図示の治具を用いることによって、テストシートTS及び基準シートSSは、原稿台ガラス152上の所定の位置にセットされる。基準シートSSは、長辺がスキャナ150の副走査方向に平行になるように、すなわち基準シートSSの各ラインがスキャナ150の主走査方向に平行になるように、原稿台ガラス152上にセットされる。この基準シートSSの横に、テストシートTSがセットされる。テストシートTSは、長辺がスキャナ150の副走査方向に平行になるように、すなわち測定用パターンの各ラインが主走査方向に平行になるように、原稿台ガラス152上にセットされる。
このようにテストシートTSと基準シートSSをセットした状態で、スキャナ150は、測定用パターンと基準パターンを読み取る。このとき、読み取り位置の誤差の影響のため、読取結果における測定用パターンの画像は実際の測定用パターンと比べて歪んだ画像になる。同様に、基準パターンの画像も実際の基準パターンと比べて歪んだ画像になる。
なお、読取結果における測定用パターンの画像は、読み取り位置の誤差の影響だけではなく、プリンタ1の搬送誤差の影響も受けている。一方、基準パターンはプリンタの搬送誤差とは何も関わりなく等間隔にて形成されているので、基準パターンの画像は、スキャナ150の読み取り位置の誤差の影響を受けているが、プリンタ1の搬送誤差の影響は受けていない。
そこで、補正値取得プログラムは、測定用パターンの画像に基づいて補正値を算出する際に、基準パターンの画像に基づいて、測定用パターンの画像における読み取り位置の誤差の影響をキャンセルさせる。
===補正値の算出(S103)===
補正値の算出の説明の前に、スキャナ150から取得した画像データについて説明する。画像データは、複数の画素データから構成されている。各画素データは、対応する画素の階調値を示している。スキャナの読み取り誤差を無視すれば、各画素は1/720インチ×1/720インチの大きさに相当する。このような画素を最小構成単位として画像(ディジタル画像)が構成されており、画像データは、このような画像を示すデータになっている。
図13は、S103における補正値算出処理のフロー図である。コンピュータ110は、補正値取得プログラムに従って、各処理を実行する。つまり、補正値取得プログラムは、各処理をコンピュータ110に実行させるためのコードを有する。
<画像の分割(S131)>
図14は、画像の分割(S131)の説明図である。まず、コンピュータ110は、読取結果の画像から所定の範囲の画像を取り出すことによって、スキャナ150から取得した画像データの示す画像を2つに分割する(S131)。
<各画像の傾きの検出(S132)>
次に、コンピュータ110は、画像の傾きを検出する(S132)。
図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図である。コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX2番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。同様に、コンピュータ110は、画像データの中から、左からKX3番目の画素であって、上からKY1番目からJY個の画素を取り出す。なお、取り出される画素の中にラインL1を示す画素が含まれるように、パラメータKX2、KX3、KY1及びJYが設定されている。
図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。横軸は、画素の位置(Y座標)を示している。縦軸は、画素の階調値を示している。コンピュータ110は、取り出されたJY個の画素の画素データに基づいて、重心位置KY2、KY3をそれぞれ求める。
そして、コンピュータ110は、次式によりラインL1の傾きθを算出する。
θ=tan−1{(KY2−KY3)/(KX2−KX3)}
なお、コンピュータ110は、測定用パターンの画像の傾きだけでなく、基準パターンの画像の傾きも検出する。基準パターンの画像の傾きの検出方法は、上記の方法とほぼ同様であるので、説明を省略する。
<各画像の傾きの補正(S133)>
次に、コンピュータ110は、S132において検出した傾きに基づいて、測定用パターンの画像及び基準パターンの画像の傾きをそれぞれ補正する(S133)。
<印刷時の傾きの検出(S134)>
図16は、測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。次に、コンピュータ110は、測定用パターンの印刷時の傾き(スキュー)を検出する(S134)。
まず、コンピュータ110は、ラインL1(一番上のライン)とラインLb1(一番下のライン、下端が搬送ローラを通過した後に形成されるライン)における左側の間隔YLと、右側の間隔YRとを検出する。そして、コンピュータ110は、間隔YLと間隔YRの差を算出し、この差が所定範囲内であれば次の処理(S135)へ進み、この差が所定範囲外であればエラーとする。
<余白量の算出(S135)>
次に、コンピュータ110は、余白量を算出する(S135)。
図17は、余白量Xの説明図である。コンピュータ110は、次式により余白量Xを求め、S136において算出されるライン位置から余白量Xを差し引くことによって、基準パターンに対する測定用パターンのラインの位置のずれを防止する。
X=(w cosθ−W´/2)×tanθ
尚、X,w,W’,θは、図17に示すとおりである。
<スキャナ座標系でのライン位置の算出(S136)>
次に、コンピュータ110は、スキャナ座標系での基準パターンのラインの位置及び測定用パターンのラインの位置をそれぞれ算出する(S136)。
スキャナ座標系とは、1画素の大きさを1/720×1/720インチとしたときの座標系である。スキャナ150には読み取り位置の誤差があり、読み取り位置の誤差を考慮すると、各画素データの対応する実際の領域は厳密には1/720インチ×1/720インチにはならないが、スキャナ座標系では、各画素データの対応する領域(画素)の大きさを1/720×1/720インチとする。また、各画像における左上の画素の位置を、スキャナ座標系の原点とする。
本実施形態では、濃度を定量的に表すために階調値を使用する。また、本実施形態では、取得した階調値(後述において階調平均値)を補正して使用する。これは、スキャナ150の読み取り特性によって、取得した階調値に誤差を生じている場合があり、ライン位置の特定の際に不具合を生じる場合があるからである。このスキャナ150の読み取り特性は、緩やかな階調値の変動を繰り返すものになる。
図18は、誤差を生じているときの階調値の例を示す図である。図において、縦軸は階調値を示し、横軸は媒体上のy座標の位置を示す。図では、用紙の一部のラインL1〜L5までの範囲の階調値(後述において階調平均値)を示している。図を参照すると、y座標の位置が進むごとに階調値が高くなっている。ここでは、スキャナ150の読み取り特性のうち徐々に階調値が増加する部分の誤差が含まれていることが考えられる。
ライン位置の算出処理において、コンピュータ110は、所定のしきい値を階調値(後述において階調平均値)が超えたか否かによってラインの存在する位置の範囲を特定する。しかしながら、上述のように、取得した階調値に誤差を含んでいると、しきい値と比較してラインの存在する位置の範囲を特定する際に、誤った位置を特定してしまう場合がある。例えば、図18では、誤差を含むことにより前述のように階調値が徐々に高くなるような階調値となってしまっている。その結果、ラインL3以降のラインをしきい値に基づいて特定することが困難となっている。
図18によると、本実施形態の階調値に含まれる誤差の変化量は、各ラインによって生じる階調値の変化量に比して緩やかなものである。つまり本実施形態における誤差は、ラインの階調値よりも低周波の値として階調値に含まれている。ところで、後述する階調値の移動平均値の算出は、低周波の成分を抽出する演算とほぼ同様である。
本実施形態では、まず、スキャナの読み取り特性を求めるために階調値について移動平均値が求められる。ここで、スキャナの読み取り特性を求めるために階調値についての移動平均値が求められるのは次の理由からである。例えば、白い用紙をスキャナで読みとると、読みとったデータには、ほぼスキャナの読み取り特性が表れる。本実施形態においても、読みとる画像は図20に示すような複数の線分であって、読みとった画像の面積のほとんどを占めるのが用紙の白い部分である。そうすると、本実施形態で読みとった画像の階調値の移動平均値を求めると、そこにはほぼスキャナの読み取り特性が現れることとなる。
階調値についての移動平均値が求められると、ある位置の階調値からそのある位置に対応する移動平均値を減算し、階調値に含まれる誤差を除去して、補正した階調値が求められる。そして、この補正した階調値に基づいてラインの位置が特定される。
図19は、各ラインの位置の算出処理を説明するためのフローチャートである。以下、本フローチャートを参照しつつ説明を行う。
まず、コンピュータ110は、階調値のラスタごとの階調平均値を求める(S1361)。
図20は、ラインの位置を算出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。ここでは、図中の点線で示す範囲の画像の画像データが、ラインの位置を特定する際に用いられる。
図21は、階調平均値を説明するための図である。図に示されるように、各ラインについて拡大してみると、本実施形態におけるラインは、ほぼ中央のラスタの階調値が高くなるような段階的な階調をもって表現されている。ここで、ラスタとは、X方向における画素の列をいう。本実施形態では、ラインの位置の特定において、ラスタごとの階調平均値AVEgを用いる。ここで、階調平均値は、1ラスタにおける各画素の階調値の平均値である。
iyを用紙Sのy座標の位置とし、Sg(iy)を1ラスタの階調値の合計値とする。座標の位置の1単位は1画素に対応する。また、幅Wg(階調平均計算範囲)を階調値の平均を求めるための幅であって図20において点線で示した領域のX軸方向の幅であるとすると、階調平均値AVEgは、
AVEg(iy)= Sg(iy) / Wg
となる。尚、幅Wgは、例えば20画素である。
次に、コンピュータ110は、階調平均値の移動平均値を求める(S1362)。各位置の移動平均値を求めることにより移動平均線が求められる。移動平均線には、スキャナ150の読み取り特性が表れる。よって、以下では、この階調平均値の移動平均値を求めることによって、スキャナ150の読み取り特性を求めている。そして、この読み取り特性を示す移動平均値を階調平均値から差し引くことによって、読み取り特性による誤差を除去している。
図22は、階調平均値AVEgの移動平均値の算出方法を説明するための図である。図において、縦軸は階調平均値を示し、横軸は媒体上のy座標の位置iyを示す。本実施形態において、各位置における階調値の移動平均値を求めるために、ある位置iyを中心としてその周辺の29個の階調平均値の平均を求める。つまり、ある位置iyのときの階平均値の移動平均値は、iy-14からiy+14までの範囲の階調値の平均を求めることで得られる。よって、位置iyにおける階調平均値の移動平均値AVE(iy)は、
AVE(iy)={AVEg(iy−14)+AVEg(iy−13)+・・・+AVEg(iy+13)+AVEg(iy+14)}/29
となる。この式が用いられ、各位置における階調平均値の移動平均値が求められる。
図23は、移動平均値を求めることによって得られる移動平均線を示す図である。図を参照するとわかる通り、階調平均値の移動平均線には、スキャナ150の読み取り特性である緩やかな階調値の変動が現れている。
本実施形態において、29個の階調平均値の平均を求めることで移動平均値が求められた。この平均値を求めるために使用される階調平均値の個数は、ライン間隔が約240画素となることから経験的に見いだされた個数であるが、ラインの太さ分の画素数(約6画素)よりも多い個数となっている。尚、平均値を求めるために使用される階調平均値の個数はこれに限定されないし、解像度等が異なればこれらの値も異なる。
次に、コンピュータ110は、求めた階調平均値の移動平均値に基づいて、補正した階調平均値を求める(S1363)。補正した階調平均値は、ある位置iyの階調平均値からその位置iyにおける階調平均値の移動平均値を減算することで求められる。よって、補正した階調平均値をAVEc(iy)とすると、
AVEc(iy)=AVEg(iy)−AVE(iy)
となる。
図24は、補正した階調平均値の一例を示すグラフである。図において、縦軸は補正した階調平均値を示し、横軸は媒体上のy座標の位置を示す。図を参照するとわかる通り、図18においてみられた階調平均値の上昇傾向が全体的に抑制されている。そして、階調値の高い位置と低い位置とがしきい値によって容易に切り分けることができるようになっている。以降の処理において、階調平均値は補正後の階調平均値が用いられる。
このようにして、各ラスタについて補正した階調平均値AVEcを求めると、次にコンピュータ110は、所定のしきい値を超える連続する階調平均値の中から最高階調平均値を有するラスタを求める(S1364)。
図25は、最高階調平均値を有するラスタの求め方を説明するための図である。ここでは、まず、コンピュータ110は、求めた階調平均値AVEcと所定のしきい値との比較を行い、この所定のしきい値を連続して超える階調平均値に対応する連続するラスタを求める。そして、求めた連続するラスタの中から最も高い階調平均値AVEcを有するラスタを最高階調平均値のラスタとする。このようにすることで、1つ1つのラインに対応した最高階調平均値のラスタが求められる。例えば、図25では、位置jのラスタが最高階調平均値を有するラスタとして特定されている。
次に、最高階調平均値を有するラスタを中心とした複数のラスタの中から階調重心をなすラスタの位置を求める(S1365)。
図26は、複数のラスタの中から階調重心をなすラスタの位置の求め方を説明するための図である。まず、コンピュータ110は、最高階調平均値を有するラスタを中心として、所定の範囲分(階調重心演算範囲)のラスタの階調平均値AVEcの合計Nを求める。本実施形態では、5画素の範囲を階調重心演算範囲としている。
次に、コンピュータ110は、位置jを中心とした階調重心演算範囲内(j−2からj+2までの5画素分)における各ラスタの絶対ラスタ位置(y座標の位置j)とラスタの階調平均値AVEcの積をとる。そして、これらの総和であるXを次式によって求める。
次に、コンピュータ110は、総和Xをラスタの階調の合計Nで除する。そして得られた値を階調重心をなすラスタ位置とし、コンピュータ110は、この位置をラインの位置であると特定する。このようにすることで、取得した階調値に誤差を含む場合であっても適切にラインの位置を特定することができるようになる。
図27は、算出されたラインの位置の説明図である(なお、図中に示す位置は、所定の演算が施されて無次元化されている)。基準パターンは等間隔のラインから構成されているにもかかわらず、基準パターンの各ラインの重心位置に注目すると、算出された各ラインの位置は、等間隔にはなっていない。これは、スキャナ150の読み取り位置の誤差の影響と考えられる。
<測定用パターンの各ラインの絶対位置の算出(S137)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンのラインの絶対位置をそれぞれ算出する(S137)。
図28は、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置の算出の説明図である。ここでは、測定用パターンのi番目のラインは、基準パターンのj−1番目のラインと、基準パターンのj番目のラインとの間に位置する。以下の説明では、測定用パターンのi番目のラインの位置(スキャナ座標系)を「S(i)」と呼び、基準パターンのj番目のラインの位置(スキャナ座標系)を「K(j)」と呼ぶ。また、基準パターンのj−1番目のラインとj番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L」と呼び、基準パターンのj−1番目のラインと測定用パターンのi番目のラインとの間隔(y方向の間隔)を「L(i)」と呼ぶ。
まず、コンピュータ110は、次式に基づいて、間隔Lに対する間隔L(i)の比率Hを算出する。
H=L(i)/L
={S(i)−K(j−1)}/{K(j)−K(j−1)}
ところで、実際の基準シートSS上の基準パターンは等間隔であるので、基準パターンの1番目のラインの絶対位置をゼロとすれば、基準パターンの任意のラインの位置を算出できる。例えば、基準パターンの2番目のラインの絶対位置は1/36インチである。そこで、基準パターンのj番目のラインの絶対位置を「J(j)」とし、測定用パターンのi番目のラインの絶対位置を「R(i)」とすると、次式のようにしてR(i)を算出できる。
R(i)={J(j)−J(j−1)}×H+J(j−1)
このようにして、コンピュータ110は、測定用パターンの各ラインの絶対位置を算出する。
<補正値の算出(S138)>
次に、コンピュータ110は、測定用パターンを形成する際に行われた複数回の搬送動作に対応する補正値をそれぞれ算出する(S138)。各補正値は、理論上のライン間隔と実際のライン間隔との差に基づいて、算出される。
パスiとパスi+1との間で行われた搬送動作の補正値C(i)は、「6.35mm」(1/4インチ、すなわちラインLiとラインLi+1との理論上の間隔)から「R(i+1)−R(i)」(ラインLi+1の絶対位置とラインLiの実際の間隔)を引いた値になる。例えば、パス1とパス2との間で行われた搬送動作の補正値C(1)は、6.35mm−{R(2)−R(1)}となる。コンピュータ110は、このようにして補正値C(1)〜補正値C(19)を算出する。
但し、NIPラインよりも下(搬送方向上流側)にあるラインLb1及びLb2を用いて補正値を算出する場合、ラインLb1とラインLb2の理論上の間隔は「0.847mm」(=3/90インチ)として計算する。コンピュータ110は、このようにして、非NIP状態での補正値Cbを算出する。
図29は、補正値C(i)の対応する範囲の説明図である。もし仮に、測定用パターンを印刷するときのパス1とパス2との間の搬送動作の際に、当初の目標搬送量から補正値C(1)を引いた値を目標にすれば、実際の搬送量がちょうど1/4インチ(=6.35mm)になったはずである。同様に、もし仮に、測定用パターンを印刷するときのパスnとパスn+1との間の搬送動作の際に、当初の目標搬送量から補正値Cbを引いた値を目標にすれば、実際の搬送量がちょうど1インチになったはずである。
<補正値の平均化(S139)>
ここでは、DC成分の搬送誤差だけを補正するようにするため、次式のように4個の補正値Cを平均化することによって、DC成分の搬送誤差を補正するための補正量Caを算出している。
Ca(i)={C(i−1)+C(i)+C(i+1)+C(i+2)}/4
なお、パス2とパス3との間で行われる搬送動作の補正値Ca(2)は、補正値C(1)〜C(4)の総和を4で割った値(補正値C(1)〜C(4)の平均値)として算出される。言い換えると、補正値Ca(2)は、パス1で形成されるラインL1と、ラインL1を形成してから1インチ搬送した後のパス5で形成されるラインL5との間隔に応じた値になる。
また、補正値Ca(i)を算出する際にi−1がゼロ以下になる場合、補正値C(i−1)はC(1)を適用する。例えば、パス1とパス2との間で行われる搬送動作の補正値Ca(1)は、{C(1)+C(1)+C(2)+C(3)}/4として算出される。また、補正値Ca(i)を算出する際にi+1が20以上になる場合、補正値Caを算出するためのC(i+1)はC(19)を適用する。同様に、i+2が20以上になる場合、C(i+2)はC(19)を適用する。例えば、パス19とパス20との間で行われる搬送動作の補正量Ca(19)は、{C(18)+C(19)+C(19)+C(19)}/4として算出される。
コンピュータ110は、このようにして補正値Ca(1)〜補正値Ca(19)を算出する。これにより、DC成分の搬送誤差を補正するための補正値が、1/4インチの範囲ごとに求められる。
===補正値の記憶(S104)===
次に、コンピュータ110は、補正値をプリンタ1のメモリ63に記憶する(S104)。
図30は、メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。メモリ63に記憶される補正値は、NIP状態における補正値Ca(1)〜Ca(19)と、非NIP状態における補正値Cbである。また、各補正値を適用する範囲を示すための境界位置情報も、各補正値に関連付けられてメモリ63に記憶される。
===ユーザの下での印刷時の搬送動作===
プリンタを購入したユーザの下で印刷が行われる際に、コントローラ60は、メモリ63からテーブルを読み出し、目標搬送量を補正値に基づいて補正し、補正された目標搬送量に基づいて搬送動作を行う。以下、ユーザの下での印刷時の搬送動作の様子について説明する。
図31Aは、第1のケースでの補正値の説明図である。第1のケースでは、搬送動作前のノズル♯90の位置(紙に対する相対位置)が補正値Ca(i)の適用範囲の上端側の境界位置と一致し、搬送動作後のノズル♯90の位置が補正値Ca(i)の適用範囲の下端側の境界位置と一致している。このような場合、コントローラ60は、補正値をCa(i)とし、当初の目標搬送量Fから補正値Ca(i)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
図31Bは、第2のケースでの補正値の説明図である。第2のケースでは、搬送動作前後のノズル♯90の位置が、ともに補正値Ca(i)の適用範囲内にある。このような場合、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fと適用範囲の搬送方向長さLとの比F/LをCa(i)で掛けた値を補正値にする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値Ca(i)×(F/L)を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
図31Cは、第3のケースでの補正値の説明図である。第3のケースでは、搬送動作前のノズル♯90の位置が補正値Ca(i)の適用範囲内にあり、搬送動作後のノズル♯90の位置が補正値Ca(i+1)の適用範囲内にある。ここで、目標搬送量Fのうちの補正値Ca(i)の適用範囲内での搬送量をF1とし、補正値Ca(i+1)の適用範囲内での搬送量をF2とする。このような場合、コントローラ60は、Ca(i)をF1/Lで掛けた値と、Ca(i+1)をF2/Lで掛けた値との和を補正値とする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
図31Dは、第4のケースでの補正値の説明図である。第4のケースでは、補正値Ca(i+1)の適用範囲を通過するように紙が搬送される。このような場合、コントローラ60は、Ca(i)をF1/Lで掛けた値と、Ca(i+1)と、Ca(i+2)をF2/Lで掛けた値との和を補正値にする。そして、コントローラ60は、当初の目標搬送量Fから補正値を加えた値を目標にして搬送モータ22を駆動して、紙を搬送する。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<ヘッドについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
また、前述の実施形態では、ヘッドはキャリッジに設けられていた。しかし、キャリッジに着脱可能なインクカートリッジにヘッドが設けられても良い。
===まとめ===
(1)本実施形態のおけるラインの位置の特定方法は次のような手法による。まず、所定の画像のパターンとして複数のラインLiを用紙Sに形成する。次に、この用紙S上を所定方向(実施形態においてy軸方向)に走査して、この所定方向における各位置の階調値を取得する。尚、ここでは、濃度値を定量的に表すために階調値を使用している。
次に、ある位置の所定範囲に含まれる位置の階調値の平均値に基づいて、このある位置の階調値を補正する。そして、各位置について補正した階調値に基づいて、ラインの形成されている位置を特定する。
このように、ある位置の所定範囲に含まれる位置の階調値の平均値に基づいて、このある位置の階調値を補正する。よって、取得した階調値に誤差を含む場合であっても、適切にラインの位置を特定することができるようになる。
(2)また、前述の階調値の補正において、前述のある位置の階調値からこのある位置の所定範囲に含まれる位置の階調値の平均値(本実施形態における階調値の移動平均)を減算することで、このある位置の階調値を補正する。
階調値の移動平均は、スキャナ150の読み取り特性を表したものになる。よって、取得した階調値から読み取り特性を減算することで、階調値に含まれる読み取り特性を取り除くことができる。
(3)また、ラインの形成されている位置の特定において、補正した各位置についての階調値を所定のしきい値と比較することでラインの形成されている位置を特定する。
このようにすることで、誤差を含んでいたとしても階調値は階調値の移動平均値に基づいて補正されているので、所定のしきい値と比較することによって、ラインの形成されている位置の範囲を適切に特定することができる。
(4)また、ラインの形成されている位置の特定において、補正した各位置についての階調値(実施形態における階調平均値)が所定のしきい値を超えているときの位置のうち、いずれかの位置をラインの形成されている位置であると特定する。
このようにすることで、ラインが形成されていると判定された位置の範囲からラインの位置を特定することができる。
(5)また、ラインの形成されている位置の特定では、次のような動作を含む。まず、所定のしきい値を超えた補正した階調平均値のうち最も高い補正した階調平均値の位置を特定する。次に、この最も高い階調平均値の位置を中心としたある範囲において、ある位置の座標とこのある位置における階調平均値との積を求め、前述のある範囲におけるこの積の総和Xを求める。そして、前述のある範囲における階調平均値の合計値Nでこの総和Xを除したときに得られる値をラインが形成されている位置であると特定する。
このようにすることで、階調平均値の重心を求めてラインの位置を特定することができる。
(6)また、所定の画像としてのラインLiは、前述の所定方向の垂直方向に延びる線分である。
(7)また、ラインLiの用紙Sへの形成において、用紙Sが前述の所定方向に搬送されつつ、ラインLiが用紙S上に形成される。
このようにすることで、これらのライン間の距離を計測し、計測されたライン間距離が所望のライン間距離とどれだけ異なっているかに基づいて、用紙Sを所定方向に搬送させたときの搬送誤差を得ることができる。
(8)また、階調値は、所定方向の垂直方向に並ぶ画素についての階調平均値である。
このようにすることで、ラスタごとの階調平均値を用いてラインの位置を特定することができる。
(9)また、次のようなラインの位置の特定装置があることはいうまでもない。このラインの位置の特定装置は、取得装置としてのスキャナと演算装置としてのコンピュータとを備える。取得装置は、所定の画像のパターンとしてのラインLiが形成されている用紙S上を所定方向に走査して、この所定方向における各位置の階調値を取得する。演算装置は、ある位置の所定範囲に含まれる位置の階調値の平均値に基づいて、このある位置の階調値を補正する演算装置であって、各位置について補正した階調値に基づいて、ラインの形成されている位置を特定する。
このようにすることで、取得した階調値に誤差を含む場合であっても適切にラインの位置を特定することができる。
(10)また、前述のラインの位置の特定方法を、前述のラインの位置の特定装置に行わせるプログラムがあることはいうまでもない。
(11)尚、上述のラインの位置の特定装置、ラインの位置の特定方法、及び、プログラムにおいて、ある所定範囲に含まれる位置の濃度値の平均値は、実施形態中の移動平均値であることはいうまでもない。
プリンタ1の全体構成のブロック図である。 図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図であり、図2Bは、プリンタ1の全体構成の横断面図である。 ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。 搬送ユニット20の構成の説明図である。 AC成分の搬送誤差の説明用グラフである。 101.6mm×152.4mmの大きさの神を搬送する際に生じる搬送誤差のグラフである。 搬送量を補正するための補正値を決定するまでのフロー図である。 図8A〜図8Cは、補正値を決定するまでの様子の説明図である。 測定用パターンの印刷の様子の説明図である。 図10Aは、スキャナ150の縦断面図であり、図10Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。 スキャナの読み取り位置の誤差のグラフである。 図12Aは、基準シートSSの説明図であり、図12Bは、原稿台ガラス152にテストシートTSと基準シートSSをセットした様子の説明図である。 S103における補正値算出処理のフロー図である。 画像の分割(S131)の説明図である。 図15Aは、測定用パターンの画像の傾きを検出する様子の説明図であり、図15Bは、取り出された画素の階調値のグラフである。 測定用パターンの印刷時の傾きの検出の様子の説明図である。 余白量Xの説明図である。 誤差を生じているときの階調値の例を示す図である。 各ラインの位置の算出処理を説明するためのフローチャートである。 ラインの位置を算出する際に用いられる画像の範囲の説明図である。 階調平均値を説明するための図である。 階調平均値の移動平均値の算出方法を説明するための図である。 移動平均値を求めることによって得られる移動平均線を示す図である。 補正した階調平均値の一例を示すグラフである。 最高階調平均値を有するラスタの求め方を説明するための図である。 複数のラスタの中から階調重心をなるラスタの位置の求め方を説明するための図である。 算出されたラインの位置の説明図である。 測定用パターンのi番目のラインの絶対位置の算出の説明図である。 補正値C(i)の対応する範囲の説明図である。 メモリ63に記憶されるテーブルの説明図である。 第1のケースでの補正値の説明図である。 第2のケースでの補正値の説明図である。 第3のケースでの補正値の説明図である。 第4のケースでの補正値の説明図である。
符号の説明
1 プリンタ、110 コンピュータ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、26 従動ローラ、27 従動ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、521 スケール、522 検出部、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、
150 スキャナ、151 上蓋、152 原稿台ガラス、
153 読取キャリッジ、154 案内部、155 移動機構、
157 露光ランプ、158 ラインセンサ、159 光学系、
TS テストシート、SS 基準シート

Claims (13)

  1. 所定の画像のパターンを媒体に形成するステップと、
    前記媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
    ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
    前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
    を含む位置特定方法。
  2. 前記濃度値を補正するステップにおいて、前記ある位置の濃度値から前記ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値を減算することで、前記ある位置の前記濃度値を補正する、請求項1に記載の位置特定方法。
  3. 前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップにおいて、前記補正した各位置についての濃度値を所定のしきい値と比較することで前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定する、請求項1又は2に記載の位置特定方法。
  4. 前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップにおいて、前記補正した各位置についての濃度値が所定のしきい値を超えているときの位置のうち、いずれかの位置を前記所定の画像のパターンの形成されている位置であると特定する、請求項1〜3のいずれかに記載の位置特定方法。
  5. 前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップは、
    所定のしきい値を超えた前記補正した濃度値のうち最も高い濃度値の位置を特定するステップと、
    前記最も高い濃度値の位置を中心としたある範囲において、ある位置の座標と該ある位置における濃度値との積の総和を求めるステップと、
    前記ある範囲における濃度値の合計値で前記総和を除したときに得られる値を前記所定の画像のパターンが形成されている位置であると特定するステップと、
    を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の位置特定方法。
  6. 前記所定の画像のパターンは、前記所定方向の垂直方向に延びる線分である、請求項1〜5のいずれかに記載の位置特定方法。
  7. 前記所定の画像のパターンを媒体に形成するステップにおいて、前記媒体が前記所定方向に搬送されつつ、前記所定の画像のパターンが前記媒体上に形成される、請求項1〜6のいずれかに記載の位置特定方法。
  8. 前記濃度値は、前記所定方向の垂直方向に並ぶ画素についての濃度平均値である、請求項1〜7のいずれかに記載の位置特定方法。
  9. 所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得する取得装置と、
    ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正する演算装置であって、前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定する演算装置と、
    を備える位置特定装置。
  10. 位置特定装置を動作させるためのプログラムであって、
    所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
    ある位置の所定範囲に含まれる位置の前記濃度値の平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
    前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
    を前記位置特定装置に行わせるプログラム。
  11. 所定の画像のパターンを媒体に形成するステップと、
    前記媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
    ある位置の前記濃度値の移動平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
    前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
    を含む位置特定方法。
  12. 所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得する取得装置と、
    ある位置の前記濃度値の移動平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正する演算装置であって、前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定する演算装置と、
    を備える位置特定装置。
  13. 位置特定装置を動作させるためのプログラムであって、
    所定の画像のパターンが形成されている媒体上を所定方向に走査して、該所定方向における各位置の濃度値を取得するステップと、
    ある位置の前記濃度値の移動平均値に基づいて、前記ある位置の前記濃度値を補正するステップと、
    前記各位置について補正した前記濃度値に基づいて、前記所定の画像のパターンの形成されている位置を特定するステップと、
    を前記位置特定装置に行わせるプログラム。
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