JP2004056926A - 高電圧出力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単に高電圧が得られる多倍圧整流回路を用いてCRTの高電圧出力装置を提供する。
【解決手段】電圧供給トランス11の二次巻線22に多倍圧整流回路12を接続したうえで、この多倍圧整流回路12の両端部にそれぞれ整流ダイオードD10,D11を接続して所定の高電圧HVを得ると共に、二次巻線N2の中間タップより得られる中間電圧を分圧して調整抵抗回路14によりフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】電圧供給トランス11の二次巻線22に多倍圧整流回路12を接続したうえで、この多倍圧整流回路12の両端部にそれぞれ整流ダイオードD10,D11を接続して所定の高電圧HVを得ると共に、二次巻線N2の中間タップより得られる中間電圧を分圧して調整抵抗回路14によりフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管表示装置等に好適な高電圧出力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から例えばテレビジョン受像機やプロジェクタ装置等の電子機器においては、画像表示を行うために陰極線管(CRT:Cathode−ray Tube)を備えたものがある。このようなCRT表示装置では、CRTのアノードに供給する高電圧を発生させて出力する高圧出力回路が設けられている。このような高圧出力回路では、通常、アノード電圧と共にCRTのフォーカス電圧、スクリーン電圧等も出力可能に構成されている。
【0003】
図6は、CRTのフォーカス電圧、スクリーン電圧を出力可能な高圧出力回路の構成を示した図である。
この図6(a)に示す高圧出力回路は、フライバックトランス100に発生するアノード電圧HVを、ブリーダー抵抗101と調整抵抗器102との直列回路により構成される分圧回路で分圧し、調整抵抗器102からフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SV(G2)を出力するように構成されている。
この場合、フライバックトランス100の一次側には一次巻線N1が巻装されている。また二次側には二次巻線N21〜N25と整流ダイオードD21〜D25とを図示するように接続したいわゆるマルチシングラー方式の半波整流回路が形成されている。
【0004】
なお、フライバックトランス100の二次巻線N21の一端の電圧(ABL電圧)は、図示していない自動輝度制限回路へ供給され、CRTの輝度が異常に高くなったときにCRTに流れるアノード電流(ビーム電流)が増大することによる高圧出力回路の過負荷と、CRTのイオン焼け等の弊害を防止するようにしている。
【0005】
調整抵抗器102は、図示するように抵抗R1−可変抵抗VR1−抵抗R2−可変抵抗VR2の直列回路により構成され、可変抵抗VR1,VR2の抵抗値を可変調整することでフォーカス電圧FVとスクリーン電圧SVとを出力するようにされる。この場合は、アノード電圧HVとフォーカス電圧FVの比を常に一定に保つことができるという利点がある。
【0006】
このようにアノード電圧HVをブリーダ抵抗101と調整抵抗器102とに回路により分圧し、調整抵抗器102からフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するように構成した分圧回路のいことをトップブリーダ方式の分圧回路という。
【0007】
一方、図6(b)に示す高圧出力回路は、フライバックトランス100の二次側に巻装されている二次巻線N23と整流ダイオードD22のカソードとの接続点から中点電圧MVを取り出して調整抵抗器102に供給することにより、調整抵抗器102からフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するように構成されている。なお、本明細書では、フライバックトランスFBTの中点電圧MVを調整抵抗器102に直接入力し、調整抵抗器102でフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するように構成された分圧回路のことMV方式の分圧回路という。
【0008】
ところで、上記したようなトップブリーダー方式及びMV方式の分圧回路は、マルチシングラー方式のフライバックトランス100を備えた高圧出力回路において広く採用されているが、上記図6(a)に示したようなトップブリーダー方式の分圧回路を構成した場合には以下のような欠点があった。
高圧出力回路からフォーカス電極、及びスクリーン電極へ流れる電流は、「0」でなくCRT特有の電流値を持つとされる。このため、表示状態、時間経過、環境条件により電流値が不規則に変化する。
この結果、フォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVが変化して、フォーカスボケや、画面明度の変化などの不具合が発生する。
このためにトップブリーダー方式の分圧回路では、ブリーダ抵抗101にフォーカス電極、スクリーン電極へ流れる電流を無視できる程度の大きな電流を流すように回路を構成する必要があった。
また、この場合は、分圧抵抗の発熱が大きく、しかも高電圧であるため、安全性に十分注意して設計、製造を行う必要があった。
【0009】
これに対して、上記図6(b)に示したMV方式では、フライバックトランス100から取り出される中点電圧MVがアノード電圧HVの1/3〜1/2程度とされる。また、調整抵抗器102だけで構成することができるため、回路のインピーダンスが小さく、上記トップブリーダー方式のような欠点はないものとされる。従って、高圧出力回路からフォーカス電圧FVやスクリーン電圧SVを得る場合の分圧回路の構成としては、上記図6(b)に示したMV方式のほうが好適とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高圧出力回路としては、複数個の倍電圧整流回路を直列に接続した多倍圧整流回路なども利用されている。
多倍圧整流回路は、両波整流であること、入力電圧を低くできることなどから、小型、高効率で安全な高電圧出力装置を実現することができるものの、上記したようなMV方式の分圧回路をカスケード整流回路に適用した場合には以下ような欠点がある。
【0011】
例えばMV方式の分圧回路を基本型カスケード整流回路として知られているコッククロフト・ウォルトン整流回路に適用した場合、コッククロフト・ウォルトン整流回路は複数個の倍電圧整流回路を直列に接続しているため、回路のインピーダンスが大きく、入力段の倍電圧回路から離れた段の倍電圧回路ほど入力電圧が小さくなる。このため 、中点電圧MVとアノード電圧HVとの比はアノード電流に応じて変化し、例えばアノード電流を大きくすると中点電圧MVが高くなる。このように中点電圧MVとアノード電圧HVとの比がアノード電流に応じて変化する場合は、CRTのフォーカスにぼけが発生するため、実用化することが困難であった。
【0012】
これに対して、変形型のカスケード整流回路として知られているミッチェル(Mitchell)回路は、中点電圧MVとアノード電圧HVとの電圧を常に一定に保つことができるため、上記したようなCRTのフォーカスにぼけが発生しないとされる。
図7は、ミッチェル回路の回路構成を示した図である。
この図7に示すミッチェル整流回路は、整流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8という8つのダイオードを直列に接続したダイオード直列回路により形成される。そして図示するように、整流ダイオードD2のアノードと整流ダイオードD7のカソード間には、コンデンサC1,C2,C3,C4を直列に接続した第1のコンデンサ直列回路が形成されている。また、整流ダイオードD1のアノードと整流ダイオードD8のカソード間には、コンデンサC5,C6,C7,C8を直列に接続した第2のコンデンサ直列回路が形成されている。
【0013】
そして、第1のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC1が、ダイオード直列回路を形成する整流ダイオードD1〜D8の内、2本の整流ダイオードD2,D3の直列接続回路に対して並列に接続されている。また、コンデンサC2,C3の直列接続回路が、整流ダイオードD4,D5の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらに、コンデンサC4が整流ダイオードD6,D7の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0014】
さらに第2のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC5が、ダイオード直列回路を形成する整流ダイオードD1〜D8の内、整流ダイオードD1,D2の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC6が整流ダイオードD3,D4の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらにまた、コンデンサC7が整流ダイオードD5,D6の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC8が整流ダイオードD7,D8の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0015】
そして、この場合は電圧供給トランス11の二次巻線N2の一端部が第1のコンデンサ直列回路の中点に接続され、その他端部がダイオード直列回路と、第2のコンデンサ直列回路の中点にそれぞれ接続されている。
【0016】
この図7に示すような接続形態により構成されるミッチェル回路においては、各部の電圧レベル、及び電圧波形は図示するようになる。
つまり、整流ダイオードD1のカソードの電圧波形は、3.38kVを中心にそのピークtoピーク電圧レベル(以下「Vp−p」と表記する)が0〜6.75kVp−pの正弦波形になる。また、整流ダイオードD2のカソードの電圧波形は、6.75kVを中心に3.38〜10.13kVp−pの正弦波形になる。電圧レベル(Vp−p)が3kV〜6kVの正弦波形になる。
【0017】
以下同様に、整流ダイオードD3のカソードの電圧波形は、10.13kVを中心に6.75〜13.5kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形は、13.5kVを中心に10.13〜16.88kVp−pの正弦波形となる。なお、電圧供給トランス11の二次巻線N2を介して整流ダイオードD4のカソードと接続されるコンデンサC2とコンデンサC3との接続点の電圧波形は、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形とは位相が180度異なる波形になるだけで他は同一とされる。
【0018】
また、整流ダイオードD5のカソードの電圧波形は、16.88kVを中心に13.5〜20.25kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD6のカソードの電圧波形は、20.25kVを中心に16.88〜23.63kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD7のカソードの電圧波形は、23.63kVを中心に20.25〜27kVp−pの正弦波形となる。そして、最終的に電圧供給トランス11の二次巻線N2に誘起される誘起電圧(3.38kVp−p)の8倍の27kVのアノード電圧HVを出力するようにしている。
【0019】
このようなミッチェル回路では、電圧供給トランス11の二次巻線N2が整流回路の中点に接続され、整流回路の中点に入力電圧を印加するように構成されているので、中点を基点として高圧側のインピーダンスとアース側のインピーダンスが同じになる。このため、この整流回路の電圧を中点電圧MVとすると、中点電圧MVとアノード電圧HVとの電圧を常に一定に保つことができる。よって、上記したようにCRTのフォーカスぼけの発生を防止することが可能になる。
【0020】
従って、これまでの説明から分かるように、MV方式の分圧回路を備えた高圧出力回路をカスケード整流回路により構成する場合は、ミッチェル整流回路により形成することが好ましいとされる。
【0021】
しかしながら、ミッチェル回路を利用してCRTの高圧出力回路を形成した場合は、電圧供給トランス11の一次側を高いスイッチング周波数で駆動すると、整流回路が有する分布容量による電力損失が大きくなり、電力変換効率が低下するという欠点がある。また、電圧供給トランス11の温度が上昇するという欠点があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記したような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の高電圧出力装置は、入力される直流入力電圧を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、一次巻線と二次巻線とが巻装され、一次巻線に得られるスイッチング手段の出力を二次巻線に対して伝送するトランスと、コンデンサとダイオードとからなる整流回路を多段接続して形成され、二次巻線に発生する交番電圧を入力して整流動作を行う多倍圧整流回路を備えることで、所定の高圧レベルとされる第1の直流高電圧を生成する第1の直流高電圧生成手段と、第1の直流高電圧生成手段に備えられる多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ接続される整流ダイオードと、二次巻線に中間タップを設けたうえで、この中間タップを介するようにして取り出した多倍圧整流回路の中点に得られる電圧を利用して、第1の直流高電圧より低いレベルとされる第2の直流高電圧を生成する第2の直流高電圧生成手段と、第1の直流高電圧のレベルに応じて、スイッチング手段のスイッチング動作を制御することで、第1の直流高電圧の定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段とを備えている。
【0023】
本発明によれば、第1の直流高電圧生成手段に備えられる多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ整流ダイオードを接続するようにしている。これにより、トランスの二次巻線は、交流的に他の回路から分離されるので、二次巻線にはその中央を基点として両端に逆位相の交番電圧が発生することになる。このため、多倍圧整流回路に発生する交流電圧のピーク電圧レベルは、従来のように、二次巻線の一端の電位を強制的に0電位にした場合の約1/2以下にすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態として本発明を適用したテレビジョン受像機の高圧出力回路とその周辺回路の構成を示した図である。
【0025】
この図1において、図示しない商用交流電源からの電源入力は、整流ダイオード、平滑コンデンサからなる整流・平滑回路1において整流、平滑化されてスイッチング回路2に入力される。
スイッチング回路2は、例えば2つのスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合した電流共振形コンバータにより構成される。
スイッチング素子Q1,Q2は、例えばMOS−FETにより構成され、制御回路2aによって、そのスイッチング動作の制御が行われる。
【0026】
制御回路2aは、後述する高圧出力回路3からフィードバックされてくるフィードバック電圧に基づいて、電圧供給トランス11の一次巻線N1に入力する一次側電流を制御して、高圧出力回路3から出力される高電圧(アノード電圧)HVの定電圧化を図るようにしている。
【0027】
高圧出力回路3は、電圧供給トランス11、多倍圧整流回路12、平滑回路13、調整抵抗回路14からなる。
電圧供給トランス11は、一次巻線N1と二次巻線N2により形成され、一次巻線N1に入力される一次側入力を二次巻線N2に伝送するようにされる。このような電圧供給トランス11の二次巻線N2には、破線で囲って示すように多倍圧整流回路12が接続されている。
【0028】
なお、このような電圧供給トランス11は、500ターン程度の巻線を1個設ければ良いので、例えば巻線方式をセクション巻き方式とすれば、十分太い銅線を使用することができるので、安全なコイルを安価に実現することができる。勿論、フライバックトランスFBT等で主流とされる層巻き方式により形成することも可能である。
また、電圧供給トランス11のコアには、フライバックトランスFBTにおいて使用されるU字形タイプのコアを使用以外にも、U字形コアより漏洩磁束が少ない形状のコア、例えばEE字形タイプやEI型タイプのコアを使用することが可能である。
【0029】
そして、本実施の形態では、第1の直流高電圧生成回路として、この多倍圧整流回路12のアース側端部と高圧出力側端部に対して、図示するように、それぞれダイオードD10,D11を接続するようにしている。
【0030】
この場合の多倍圧整流回路12は、上記図7に示したミッチェル整流回路により形成される。即ち、多倍圧整流回路12は、整流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8という8つのダイオードを直列に接続したダイオード直列回路が設けられている。
そして、この整流ダイオードD2のアノードと整流ダイオードD7のカソード間には、コンデンサC1,C2,C3,C4を直列に接続した第1のコンデンサ直列回路が設けられていると共に、整流ダイオードD1のアノードと整流ダイオードD8のカソード間には、コンデンサC5,C6,C7,C8を直列に接続した第2のコンデンサ直列回路が設けられている。
【0031】
そして、第1のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC1が、整流ダイオードD1〜D8の内、2本の整流ダイオードD2,D3の直列接続回路に対して並列に接続されている。また、コンデンサC2,C3の直列接続回路が、整流ダイオードD4,D5の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらに、コンデンサC4が整流ダイオードD6,D7の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0032】
また、第2のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC5が、整流ダイオードD1,D2の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC6が整流ダイオードD3,D4の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらに、コンデンサC7が整流ダイオードD5,D6の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC8が整流ダイオードD7,D8の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0033】
そして、この場合は電圧供給トランス11の二次巻線N2の一端部が第1のコンデンサ直列回路の中点であるコンデンサC2とコンデンサC3との接続点に接続され、その他端部がダイオード直列回路と、第2のコンデンサ直列回路の中点であるコンデンサC6とコンデンサC7との接続点にそれぞれ接続されている。
【0034】
本実施の形態では、上記のような接続形態により形成されるミッチェル回路のダイオード直列回路の両端部に、それぞれ整流ダイオードD10,D11を接続するようにしている。つまり、整流ダイオードD1のアノードに整流ダイオードD10のカソードを接続し、整流ダイオードD8のカソードに整流ダイオードD11のアノードを接続することで、電圧供給トランス11の二次巻線N2を交流的に他から分離するようにしている。そして、整流ダイオードD1のアノードを抵抗R5を介してアースに接地すると共に、整流ダイオードD11のカソードからアノード電圧HVを出力するようにしている。
【0035】
このような多倍圧整流回路の各部の電位レベル、及び電圧波形は図2のように示すことができる。
図2に示すように、本実施の形態の多倍圧整流回路では、整流ダイオードD10のカソードの電圧波形は、電圧レベルが0〜3kVp−pの正弦波形になる。また、整流ダイオードD1のカソードの電圧波形は、電圧レベルが3〜6kVp−pの正弦波形になる。
以下同様に、整流ダイオードD2のカソードの電圧波形は、電圧レベルが6〜9kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD3のカソードの電圧波形は、電圧レベルが9〜12kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形は、電圧レベルが12〜15kVp−pの正弦波形になる。なお、電圧供給トランス11の二次巻線N2を介して整流ダイオードD4のカソードと接続されるコンデンサC2とコンデンサC3との接続点の電圧波形は、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形とは位相が180度異なる波形になるだけで他は同一とされる。
【0036】
また、整流ダイオードD5のカソードの電圧波形は電圧レベルが15〜18kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD6のカソードの電圧波形は電圧レベルが18〜21kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD7のカソードの電圧波形は電圧レベルが21〜24kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD8のカソードの電圧波形は電圧レベルが24〜27kVp−pの正弦波形となる。そして、最終的に整流ダイオードD11のカソードから27kVのアノード電圧HVが出力されることになる。
【0037】
多倍圧整流回路12から出力されるアノード電圧HVは、平滑回路13に入力され、この平滑回路13に設けられている平滑コンデンサC11,C12により平滑化されて、CRT5のアノードボタン5aからCRT内部に供給される。
また平滑回路13には、アノード電圧HVの電位レベルを検出する検出回路として抵抗R11,R12,R13,R14を直列に接続した直列回路が設けられている。そして、この直列回路の抵抗R11〜R13と抵抗R14により分圧し、平滑コンデンサC12により平滑した電圧が、アノード電圧HVのレベル制御のための制御電圧として、スイッチング回路2にフィードバックされる。
【0038】
また、本実施の形態では、電圧供給トランス11の二次巻線N2のほぼ中間位置に中間タップを設け、この中間タップより中点電圧MVを得るようにしている。
この場合には、この中点電圧MVを平滑コンデンサC9で平滑して、第2の直流高電圧生成手段である直流調整抵抗回路14に供給するようにしている。
調整抵抗回路14は、図示するように、抵抗R1−可変抵抗VR1−抵抗R2−可変抵抗VR2の直列回路によって構成され、可変抵抗VR1、VR2により電圧調整を行って、第2の直流高電圧として、CRT5のフォーカス電圧FVとスクリーン電圧SVを出力するようにしている。
このようにして得られたフォーカス電圧FVは、CRT5のフォーカス電極(第4のグリッド電極)に供給される。また、スクリーン電圧SVは、CRT5の第2のグリッド電極G2に供給される。
【0039】
ここで、これまで説明した高圧出力回路3の構造例を、図5に示す断面図を用いて説明しておく。
この図5に示すように、高圧出力回路3においては、ボビン21を利用して、一次巻線N1と二次巻線(高圧コイル)N2とが巻装されている。そして、ボビン21に対して図示するようにコア22が取り付けられている。
また、上記した多倍圧整流回路12、平滑回路13、調整抵抗回路14を形成するコンデンサCや整流器(整流ダイオード)Dはプリント配線板23に実装されている。また、このプリント配線板23からは高圧出力ケーブル24がケース25の外部へと引き出されている。また、フォーカス電圧FVを調整する可変抵抗VR1のつまみ26部分やスクリーン電圧SVを調整する可変抵抗VR2のつまみ27部分がケース25から外部に突き出すように取り付けられている。
なお、このような高圧出力回路3の内部には、絶縁性を確保するため、そのケース25の内部にモールド樹脂28が充填されている。
【0040】
映像出力回路4は、CRT5において映像表示を行うために、映像入力に応じた信号をCRT5のカソード電極に供給する。
また、映像出力回路4には、CRT5の輝度が異常に高くなったときに、CRT5のアノード電流(ビーム電流)が増大することにより高圧出力回路3が過負荷状態になること、及びCRT5のイオン焼け等の弊害を防止するために、アノード電流が一定値以上に増加しないように制御する自動輝度制限機能(Automatic Beam Limiter;ABL)が設けられている。そして、このような映像出力回路4のABL機能の入力信号として、本実施の形態の多倍圧整流回路12のアース端子(t10)に発生する電圧(ABL電圧)を用いている。
これにより、CRT5に流れるアノード電流が一定値以上に増加しないように制御している。
【0041】
このように本実施の形態においては、CRT5に対して高電圧を供給する高圧出力回路3を、両波整流回路で、しかも低い入力電圧で構成することが可能な多倍圧整流回路の一つであるミッチェル整流回路を用いて形成するようにした。
そして、このように整流回路をミッチェル回路により形成した時に問題となる、多倍圧整流回路12の持つ分布容量による損失の増大と、効率の低下、及び電圧供給トランス11の温度上昇については、上述したようにミッチェル回路を形成するダイオード直列回路の両端部にそれぞれ整流ダイオードD10,D11を設けることで解消するようにした。
【0042】
これにより、本実施の形態では、多倍圧整流回路12の各段において発生する交流電圧のピーク電圧値を、整流ダイオードD10,D11を設けることなく、多倍圧整流回路を構成した場合のピーク電圧値(図7参照)の約1/2にして、多倍圧整流回路12が持つ分布容量による損失を約1/4に低減するようにしている。
【0043】
本実施の形態の多倍圧整流回路12のピーク値が、従来の約1/2になるのは、多倍圧整流回路12の両端部にそれぞれ整流ダイオードD10,D11を接続することで、電圧供給トランス11の二次巻線N2を交流的に他の回路から分離したことによるものとされる。
【0044】
図3は、電圧供給トランスの二次側の整流器の動作を説明する説明図であり、同図(a)は二次巻線の一端が交流的に接地される場合、同図(b)は二次巻線の両端が接地ラインから分離される場合を示した図である。
なお、図3では、説明を判りやすくするために波形をパルス状に描いたが実際は正弦波に近い波形となる。また、斜線部は個々の巻線の位置に対して、発生するパルス電圧の基底部と頂点のエンベロープを示している。
【0045】
そして本実施の形態の多倍圧整流回路12は、同図(b)に示す状態になり、二次巻線N2の中央に中性点とよばれる基点が生じ、この中性点を境に二次巻線N2に発生する交番電圧の極性が、正電圧V1から負電圧V2(または負電圧V2から正電圧V1)に反転する。これにより、二次巻線N2の両端の電圧レベル(波高値)は、同図(a)に示すように、二次巻線N2の一端の電位を強制的に0電位にしたときの他端電圧の約1/2にすることができる。なお、この場合、二次巻線N2の中性点には直流電圧のみが発生する。
【0046】
また、電圧供給トランス11の二次巻線N2に発生する交流電圧のピークレベルは、図2と図7とを比較すれば分かるように、本実施の形態では、従来の約1/2以下になるため、電圧供給トランス11の巻線、配線等の寄生容量による損失を少なくすることが可能になる。
【0047】
また本実施の形態では電圧供給トランス11の巻線数が従来に比べて少なく、しかもコア−コイル間の耐圧も従来の1/2で済むので、一般的に使用されているEEタイプやEIタイプなどの小型形状でしかも安価なコアが使用することができるという利点もある。
【0048】
さらに、本実施の形態では、電圧供給トランス11の二次巻線N2に中間タップを設け、この中間タップからフォーカス電圧FV及びスクリーン電圧SV生成する調整抵抗回路14に供給する中点電圧MVを得るようにしている。このようにすれば、多倍圧整流回路12から出力されるアノード電圧HVと中点電圧MVとの比を一定に保つことができ、CRT5において発生するフォーカスぼけを防止することができる。
また、この場合は、直流電圧が発生するのは高圧出力電圧とこの中間タップだけであるため、整流ダイオードを設けることなく、中間タップから直流電圧を取り出すことができるという利点がある。
【0049】
ところで、基本的にはCRT5に供給するアノード電圧とフォーカス電圧の比はアノード電流が変化しても一定であるが、見かけの画質向上のためにアノード電圧HVとフォーカス電圧FVの比をアノード電流に応じて変化させる場合がある。
例えばCRT5の輝度を上げたときに最適なフォーカス電圧FVが上昇するように変化させる場合や、逆に輝度を上げると最適フォーカス電圧FVを降下するように変化させる場合などもある。もちろん常に同じフォーカス電圧FVとする場合もある。
【0050】
そこで、このような場合、本実施の形態では、多倍圧整流回路12を形成しているコンデンサC1〜C8の容量を必要に応じて変化させることで、上記したようにアノード電流IHVに応じてCRT5のフォーカス電圧FVを変化させることが可能とされる。
【0051】
例えば輝度を上げると最適なフォーカス電圧FVが上昇する特性を有するCRT5であれば、多倍圧整流回路12のコンデンサC1,C2,C5,C6の何れかまたは全部をコンデンサC3,C4,C7,C8より大きな容量、例えばコンデンサC2,C6だけを他の2倍の容量値に設定すれば、図4に示すフォーカス電圧FV2のように、フォーカス電圧FVをアノード電流IHVに比例して上昇させることができる。
【0052】
また、常に同じフォーカス電圧FVが最適なCRT5であれば、コンデンサC1〜C8をの容量を全て同じ容量(例えば100PF)にすれば、図4に示すフォーカス電圧FV1のように、フォーカス電圧をほぼ一定レベルに保つことができる。
【0053】
逆に輝度を上げると最適なフォーカス電圧FVが下降する特性を有するCRT5であれば、多倍圧整流回路12のコンデンサC1,C2,C5,C6の何れかまたは全部をコンデンサC3,C4,C7,C8より小さい容量にすれば、図示していないがフォーカス電圧FVをアノード電流IHVに比例して下降させることができる。
【0054】
これは、コンデンサの容量を大きくするとコンデンサが蓄えられる電気量が大きくなるため、負荷が大きくなったときの電圧降下が小さく、また逆にコンデンサの容量を小さくした場合は電圧降下が大きくなるからである。
【0055】
また、本実施の形態では多倍圧整流回路12において、電圧供給トランス11の二次巻線N2に発生する電圧を、例えば27KVまで昇圧する場合を例に挙げたが、これはあくまでも一例であり、多倍圧整流回路12を形成する倍電圧回路の数を変更すれば容易に出力電圧HVの電圧レベルを可変することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高電圧出力装置によれば、第1の直流高電圧生成手段に備えられる多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ整流ダイオードを接続するようにしている。これにより、トランスの二次巻線は、交流的に他の回路から分離されるので、二次巻線にはその中央を基点として両端に逆位相の交番電圧が発生することになる。このため、多倍圧整流回路に発生する交流電圧のピーク電圧レベルは、従来のように、二次巻線の一端の電位を強制的に0電位にした場合の約1/2以下にすることができる。
【0057】
従って、例えばCRTの高電圧出力装置を多倍圧整流回路を用いて構成した場合でも、整流回路が有する分布容量による電力損失を低減することができると共に、トランスの温度上昇も防止することができるため、小型、高効率で、しかも安全な高電圧出力装置を実現することができる。
【0058】
また、CRTの特性に応じて、多倍圧整流回路を形成するコンデンサの容量値を設定すれば、CRTの特性に応じて高品位の画像表示を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてテレビジョン受像機に備えられる高圧出力回路とその周辺回路の構成を示した図である。
【図2】本実施の形態としての多倍圧整流回路の回路構成を示した図である。
【図3】電圧供給トランスの二次側の整流器の働きの説明図である。
【図4】フォーカス電圧とアノード電流との関係を示した図である。
【図5】電圧供給トランスの構造を示した断面図である。
【図6】フライバックトランスからフォーカス電圧とスクリーン電圧を出力する抵抗分圧回路の構成と、その接続形態を示した図である。
【図7】ミッチェル回路の構成を示した図である。
【符号の説明】
1 整流・平滑回路、2 スイッチング回路、2a 制御回路、3 高圧出力回路、4 映像出力回路、5 CRT、5a アノードボタン、11 電圧供給トランス、12 多倍圧整流回路、13 平滑回路、14 調整抵抗回路、21ボビン、22 コア、23 プリント配線板、24 高圧出力ケーブル、25ケース、26 27 調整つまみ、28 モールド樹脂、C コンデンサ、D整流ダイオード、N1 一次巻線、N2 二次巻線、R 抵抗、VR 可変抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管表示装置等に好適な高電圧出力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から例えばテレビジョン受像機やプロジェクタ装置等の電子機器においては、画像表示を行うために陰極線管(CRT:Cathode−ray Tube)を備えたものがある。このようなCRT表示装置では、CRTのアノードに供給する高電圧を発生させて出力する高圧出力回路が設けられている。このような高圧出力回路では、通常、アノード電圧と共にCRTのフォーカス電圧、スクリーン電圧等も出力可能に構成されている。
【0003】
図6は、CRTのフォーカス電圧、スクリーン電圧を出力可能な高圧出力回路の構成を示した図である。
この図6(a)に示す高圧出力回路は、フライバックトランス100に発生するアノード電圧HVを、ブリーダー抵抗101と調整抵抗器102との直列回路により構成される分圧回路で分圧し、調整抵抗器102からフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SV(G2)を出力するように構成されている。
この場合、フライバックトランス100の一次側には一次巻線N1が巻装されている。また二次側には二次巻線N21〜N25と整流ダイオードD21〜D25とを図示するように接続したいわゆるマルチシングラー方式の半波整流回路が形成されている。
【0004】
なお、フライバックトランス100の二次巻線N21の一端の電圧(ABL電圧)は、図示していない自動輝度制限回路へ供給され、CRTの輝度が異常に高くなったときにCRTに流れるアノード電流(ビーム電流)が増大することによる高圧出力回路の過負荷と、CRTのイオン焼け等の弊害を防止するようにしている。
【0005】
調整抵抗器102は、図示するように抵抗R1−可変抵抗VR1−抵抗R2−可変抵抗VR2の直列回路により構成され、可変抵抗VR1,VR2の抵抗値を可変調整することでフォーカス電圧FVとスクリーン電圧SVとを出力するようにされる。この場合は、アノード電圧HVとフォーカス電圧FVの比を常に一定に保つことができるという利点がある。
【0006】
このようにアノード電圧HVをブリーダ抵抗101と調整抵抗器102とに回路により分圧し、調整抵抗器102からフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するように構成した分圧回路のいことをトップブリーダ方式の分圧回路という。
【0007】
一方、図6(b)に示す高圧出力回路は、フライバックトランス100の二次側に巻装されている二次巻線N23と整流ダイオードD22のカソードとの接続点から中点電圧MVを取り出して調整抵抗器102に供給することにより、調整抵抗器102からフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するように構成されている。なお、本明細書では、フライバックトランスFBTの中点電圧MVを調整抵抗器102に直接入力し、調整抵抗器102でフォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVを出力するように構成された分圧回路のことMV方式の分圧回路という。
【0008】
ところで、上記したようなトップブリーダー方式及びMV方式の分圧回路は、マルチシングラー方式のフライバックトランス100を備えた高圧出力回路において広く採用されているが、上記図6(a)に示したようなトップブリーダー方式の分圧回路を構成した場合には以下のような欠点があった。
高圧出力回路からフォーカス電極、及びスクリーン電極へ流れる電流は、「0」でなくCRT特有の電流値を持つとされる。このため、表示状態、時間経過、環境条件により電流値が不規則に変化する。
この結果、フォーカス電圧FV、スクリーン電圧SVが変化して、フォーカスボケや、画面明度の変化などの不具合が発生する。
このためにトップブリーダー方式の分圧回路では、ブリーダ抵抗101にフォーカス電極、スクリーン電極へ流れる電流を無視できる程度の大きな電流を流すように回路を構成する必要があった。
また、この場合は、分圧抵抗の発熱が大きく、しかも高電圧であるため、安全性に十分注意して設計、製造を行う必要があった。
【0009】
これに対して、上記図6(b)に示したMV方式では、フライバックトランス100から取り出される中点電圧MVがアノード電圧HVの1/3〜1/2程度とされる。また、調整抵抗器102だけで構成することができるため、回路のインピーダンスが小さく、上記トップブリーダー方式のような欠点はないものとされる。従って、高圧出力回路からフォーカス電圧FVやスクリーン電圧SVを得る場合の分圧回路の構成としては、上記図6(b)に示したMV方式のほうが好適とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高圧出力回路としては、複数個の倍電圧整流回路を直列に接続した多倍圧整流回路なども利用されている。
多倍圧整流回路は、両波整流であること、入力電圧を低くできることなどから、小型、高効率で安全な高電圧出力装置を実現することができるものの、上記したようなMV方式の分圧回路をカスケード整流回路に適用した場合には以下ような欠点がある。
【0011】
例えばMV方式の分圧回路を基本型カスケード整流回路として知られているコッククロフト・ウォルトン整流回路に適用した場合、コッククロフト・ウォルトン整流回路は複数個の倍電圧整流回路を直列に接続しているため、回路のインピーダンスが大きく、入力段の倍電圧回路から離れた段の倍電圧回路ほど入力電圧が小さくなる。このため 、中点電圧MVとアノード電圧HVとの比はアノード電流に応じて変化し、例えばアノード電流を大きくすると中点電圧MVが高くなる。このように中点電圧MVとアノード電圧HVとの比がアノード電流に応じて変化する場合は、CRTのフォーカスにぼけが発生するため、実用化することが困難であった。
【0012】
これに対して、変形型のカスケード整流回路として知られているミッチェル(Mitchell)回路は、中点電圧MVとアノード電圧HVとの電圧を常に一定に保つことができるため、上記したようなCRTのフォーカスにぼけが発生しないとされる。
図7は、ミッチェル回路の回路構成を示した図である。
この図7に示すミッチェル整流回路は、整流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8という8つのダイオードを直列に接続したダイオード直列回路により形成される。そして図示するように、整流ダイオードD2のアノードと整流ダイオードD7のカソード間には、コンデンサC1,C2,C3,C4を直列に接続した第1のコンデンサ直列回路が形成されている。また、整流ダイオードD1のアノードと整流ダイオードD8のカソード間には、コンデンサC5,C6,C7,C8を直列に接続した第2のコンデンサ直列回路が形成されている。
【0013】
そして、第1のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC1が、ダイオード直列回路を形成する整流ダイオードD1〜D8の内、2本の整流ダイオードD2,D3の直列接続回路に対して並列に接続されている。また、コンデンサC2,C3の直列接続回路が、整流ダイオードD4,D5の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらに、コンデンサC4が整流ダイオードD6,D7の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0014】
さらに第2のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC5が、ダイオード直列回路を形成する整流ダイオードD1〜D8の内、整流ダイオードD1,D2の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC6が整流ダイオードD3,D4の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらにまた、コンデンサC7が整流ダイオードD5,D6の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC8が整流ダイオードD7,D8の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0015】
そして、この場合は電圧供給トランス11の二次巻線N2の一端部が第1のコンデンサ直列回路の中点に接続され、その他端部がダイオード直列回路と、第2のコンデンサ直列回路の中点にそれぞれ接続されている。
【0016】
この図7に示すような接続形態により構成されるミッチェル回路においては、各部の電圧レベル、及び電圧波形は図示するようになる。
つまり、整流ダイオードD1のカソードの電圧波形は、3.38kVを中心にそのピークtoピーク電圧レベル(以下「Vp−p」と表記する)が0〜6.75kVp−pの正弦波形になる。また、整流ダイオードD2のカソードの電圧波形は、6.75kVを中心に3.38〜10.13kVp−pの正弦波形になる。電圧レベル(Vp−p)が3kV〜6kVの正弦波形になる。
【0017】
以下同様に、整流ダイオードD3のカソードの電圧波形は、10.13kVを中心に6.75〜13.5kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形は、13.5kVを中心に10.13〜16.88kVp−pの正弦波形となる。なお、電圧供給トランス11の二次巻線N2を介して整流ダイオードD4のカソードと接続されるコンデンサC2とコンデンサC3との接続点の電圧波形は、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形とは位相が180度異なる波形になるだけで他は同一とされる。
【0018】
また、整流ダイオードD5のカソードの電圧波形は、16.88kVを中心に13.5〜20.25kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD6のカソードの電圧波形は、20.25kVを中心に16.88〜23.63kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD7のカソードの電圧波形は、23.63kVを中心に20.25〜27kVp−pの正弦波形となる。そして、最終的に電圧供給トランス11の二次巻線N2に誘起される誘起電圧(3.38kVp−p)の8倍の27kVのアノード電圧HVを出力するようにしている。
【0019】
このようなミッチェル回路では、電圧供給トランス11の二次巻線N2が整流回路の中点に接続され、整流回路の中点に入力電圧を印加するように構成されているので、中点を基点として高圧側のインピーダンスとアース側のインピーダンスが同じになる。このため、この整流回路の電圧を中点電圧MVとすると、中点電圧MVとアノード電圧HVとの電圧を常に一定に保つことができる。よって、上記したようにCRTのフォーカスぼけの発生を防止することが可能になる。
【0020】
従って、これまでの説明から分かるように、MV方式の分圧回路を備えた高圧出力回路をカスケード整流回路により構成する場合は、ミッチェル整流回路により形成することが好ましいとされる。
【0021】
しかしながら、ミッチェル回路を利用してCRTの高圧出力回路を形成した場合は、電圧供給トランス11の一次側を高いスイッチング周波数で駆動すると、整流回路が有する分布容量による電力損失が大きくなり、電力変換効率が低下するという欠点がある。また、電圧供給トランス11の温度が上昇するという欠点があった。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記したような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の高電圧出力装置は、入力される直流入力電圧を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、一次巻線と二次巻線とが巻装され、一次巻線に得られるスイッチング手段の出力を二次巻線に対して伝送するトランスと、コンデンサとダイオードとからなる整流回路を多段接続して形成され、二次巻線に発生する交番電圧を入力して整流動作を行う多倍圧整流回路を備えることで、所定の高圧レベルとされる第1の直流高電圧を生成する第1の直流高電圧生成手段と、第1の直流高電圧生成手段に備えられる多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ接続される整流ダイオードと、二次巻線に中間タップを設けたうえで、この中間タップを介するようにして取り出した多倍圧整流回路の中点に得られる電圧を利用して、第1の直流高電圧より低いレベルとされる第2の直流高電圧を生成する第2の直流高電圧生成手段と、第1の直流高電圧のレベルに応じて、スイッチング手段のスイッチング動作を制御することで、第1の直流高電圧の定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段とを備えている。
【0023】
本発明によれば、第1の直流高電圧生成手段に備えられる多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ整流ダイオードを接続するようにしている。これにより、トランスの二次巻線は、交流的に他の回路から分離されるので、二次巻線にはその中央を基点として両端に逆位相の交番電圧が発生することになる。このため、多倍圧整流回路に発生する交流電圧のピーク電圧レベルは、従来のように、二次巻線の一端の電位を強制的に0電位にした場合の約1/2以下にすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態として本発明を適用したテレビジョン受像機の高圧出力回路とその周辺回路の構成を示した図である。
【0025】
この図1において、図示しない商用交流電源からの電源入力は、整流ダイオード、平滑コンデンサからなる整流・平滑回路1において整流、平滑化されてスイッチング回路2に入力される。
スイッチング回路2は、例えば2つのスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合した電流共振形コンバータにより構成される。
スイッチング素子Q1,Q2は、例えばMOS−FETにより構成され、制御回路2aによって、そのスイッチング動作の制御が行われる。
【0026】
制御回路2aは、後述する高圧出力回路3からフィードバックされてくるフィードバック電圧に基づいて、電圧供給トランス11の一次巻線N1に入力する一次側電流を制御して、高圧出力回路3から出力される高電圧(アノード電圧)HVの定電圧化を図るようにしている。
【0027】
高圧出力回路3は、電圧供給トランス11、多倍圧整流回路12、平滑回路13、調整抵抗回路14からなる。
電圧供給トランス11は、一次巻線N1と二次巻線N2により形成され、一次巻線N1に入力される一次側入力を二次巻線N2に伝送するようにされる。このような電圧供給トランス11の二次巻線N2には、破線で囲って示すように多倍圧整流回路12が接続されている。
【0028】
なお、このような電圧供給トランス11は、500ターン程度の巻線を1個設ければ良いので、例えば巻線方式をセクション巻き方式とすれば、十分太い銅線を使用することができるので、安全なコイルを安価に実現することができる。勿論、フライバックトランスFBT等で主流とされる層巻き方式により形成することも可能である。
また、電圧供給トランス11のコアには、フライバックトランスFBTにおいて使用されるU字形タイプのコアを使用以外にも、U字形コアより漏洩磁束が少ない形状のコア、例えばEE字形タイプやEI型タイプのコアを使用することが可能である。
【0029】
そして、本実施の形態では、第1の直流高電圧生成回路として、この多倍圧整流回路12のアース側端部と高圧出力側端部に対して、図示するように、それぞれダイオードD10,D11を接続するようにしている。
【0030】
この場合の多倍圧整流回路12は、上記図7に示したミッチェル整流回路により形成される。即ち、多倍圧整流回路12は、整流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8という8つのダイオードを直列に接続したダイオード直列回路が設けられている。
そして、この整流ダイオードD2のアノードと整流ダイオードD7のカソード間には、コンデンサC1,C2,C3,C4を直列に接続した第1のコンデンサ直列回路が設けられていると共に、整流ダイオードD1のアノードと整流ダイオードD8のカソード間には、コンデンサC5,C6,C7,C8を直列に接続した第2のコンデンサ直列回路が設けられている。
【0031】
そして、第1のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC1が、整流ダイオードD1〜D8の内、2本の整流ダイオードD2,D3の直列接続回路に対して並列に接続されている。また、コンデンサC2,C3の直列接続回路が、整流ダイオードD4,D5の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらに、コンデンサC4が整流ダイオードD6,D7の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0032】
また、第2のコンデンサ直列回路を形成するコンデンサC5が、整流ダイオードD1,D2の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC6が整流ダイオードD3,D4の直列接続回路に対して並列に接続されている。さらに、コンデンサC7が整流ダイオードD5,D6の直列接続回路に対して並列に接続され、コンデンサC8が整流ダイオードD7,D8の直列接続回路に対して並列に接続されている。
【0033】
そして、この場合は電圧供給トランス11の二次巻線N2の一端部が第1のコンデンサ直列回路の中点であるコンデンサC2とコンデンサC3との接続点に接続され、その他端部がダイオード直列回路と、第2のコンデンサ直列回路の中点であるコンデンサC6とコンデンサC7との接続点にそれぞれ接続されている。
【0034】
本実施の形態では、上記のような接続形態により形成されるミッチェル回路のダイオード直列回路の両端部に、それぞれ整流ダイオードD10,D11を接続するようにしている。つまり、整流ダイオードD1のアノードに整流ダイオードD10のカソードを接続し、整流ダイオードD8のカソードに整流ダイオードD11のアノードを接続することで、電圧供給トランス11の二次巻線N2を交流的に他から分離するようにしている。そして、整流ダイオードD1のアノードを抵抗R5を介してアースに接地すると共に、整流ダイオードD11のカソードからアノード電圧HVを出力するようにしている。
【0035】
このような多倍圧整流回路の各部の電位レベル、及び電圧波形は図2のように示すことができる。
図2に示すように、本実施の形態の多倍圧整流回路では、整流ダイオードD10のカソードの電圧波形は、電圧レベルが0〜3kVp−pの正弦波形になる。また、整流ダイオードD1のカソードの電圧波形は、電圧レベルが3〜6kVp−pの正弦波形になる。
以下同様に、整流ダイオードD2のカソードの電圧波形は、電圧レベルが6〜9kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD3のカソードの電圧波形は、電圧レベルが9〜12kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形は、電圧レベルが12〜15kVp−pの正弦波形になる。なお、電圧供給トランス11の二次巻線N2を介して整流ダイオードD4のカソードと接続されるコンデンサC2とコンデンサC3との接続点の電圧波形は、整流ダイオードD4のカソードの電圧波形とは位相が180度異なる波形になるだけで他は同一とされる。
【0036】
また、整流ダイオードD5のカソードの電圧波形は電圧レベルが15〜18kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD6のカソードの電圧波形は電圧レベルが18〜21kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD7のカソードの電圧波形は電圧レベルが21〜24kVp−pの正弦波形、整流ダイオードD8のカソードの電圧波形は電圧レベルが24〜27kVp−pの正弦波形となる。そして、最終的に整流ダイオードD11のカソードから27kVのアノード電圧HVが出力されることになる。
【0037】
多倍圧整流回路12から出力されるアノード電圧HVは、平滑回路13に入力され、この平滑回路13に設けられている平滑コンデンサC11,C12により平滑化されて、CRT5のアノードボタン5aからCRT内部に供給される。
また平滑回路13には、アノード電圧HVの電位レベルを検出する検出回路として抵抗R11,R12,R13,R14を直列に接続した直列回路が設けられている。そして、この直列回路の抵抗R11〜R13と抵抗R14により分圧し、平滑コンデンサC12により平滑した電圧が、アノード電圧HVのレベル制御のための制御電圧として、スイッチング回路2にフィードバックされる。
【0038】
また、本実施の形態では、電圧供給トランス11の二次巻線N2のほぼ中間位置に中間タップを設け、この中間タップより中点電圧MVを得るようにしている。
この場合には、この中点電圧MVを平滑コンデンサC9で平滑して、第2の直流高電圧生成手段である直流調整抵抗回路14に供給するようにしている。
調整抵抗回路14は、図示するように、抵抗R1−可変抵抗VR1−抵抗R2−可変抵抗VR2の直列回路によって構成され、可変抵抗VR1、VR2により電圧調整を行って、第2の直流高電圧として、CRT5のフォーカス電圧FVとスクリーン電圧SVを出力するようにしている。
このようにして得られたフォーカス電圧FVは、CRT5のフォーカス電極(第4のグリッド電極)に供給される。また、スクリーン電圧SVは、CRT5の第2のグリッド電極G2に供給される。
【0039】
ここで、これまで説明した高圧出力回路3の構造例を、図5に示す断面図を用いて説明しておく。
この図5に示すように、高圧出力回路3においては、ボビン21を利用して、一次巻線N1と二次巻線(高圧コイル)N2とが巻装されている。そして、ボビン21に対して図示するようにコア22が取り付けられている。
また、上記した多倍圧整流回路12、平滑回路13、調整抵抗回路14を形成するコンデンサCや整流器(整流ダイオード)Dはプリント配線板23に実装されている。また、このプリント配線板23からは高圧出力ケーブル24がケース25の外部へと引き出されている。また、フォーカス電圧FVを調整する可変抵抗VR1のつまみ26部分やスクリーン電圧SVを調整する可変抵抗VR2のつまみ27部分がケース25から外部に突き出すように取り付けられている。
なお、このような高圧出力回路3の内部には、絶縁性を確保するため、そのケース25の内部にモールド樹脂28が充填されている。
【0040】
映像出力回路4は、CRT5において映像表示を行うために、映像入力に応じた信号をCRT5のカソード電極に供給する。
また、映像出力回路4には、CRT5の輝度が異常に高くなったときに、CRT5のアノード電流(ビーム電流)が増大することにより高圧出力回路3が過負荷状態になること、及びCRT5のイオン焼け等の弊害を防止するために、アノード電流が一定値以上に増加しないように制御する自動輝度制限機能(Automatic Beam Limiter;ABL)が設けられている。そして、このような映像出力回路4のABL機能の入力信号として、本実施の形態の多倍圧整流回路12のアース端子(t10)に発生する電圧(ABL電圧)を用いている。
これにより、CRT5に流れるアノード電流が一定値以上に増加しないように制御している。
【0041】
このように本実施の形態においては、CRT5に対して高電圧を供給する高圧出力回路3を、両波整流回路で、しかも低い入力電圧で構成することが可能な多倍圧整流回路の一つであるミッチェル整流回路を用いて形成するようにした。
そして、このように整流回路をミッチェル回路により形成した時に問題となる、多倍圧整流回路12の持つ分布容量による損失の増大と、効率の低下、及び電圧供給トランス11の温度上昇については、上述したようにミッチェル回路を形成するダイオード直列回路の両端部にそれぞれ整流ダイオードD10,D11を設けることで解消するようにした。
【0042】
これにより、本実施の形態では、多倍圧整流回路12の各段において発生する交流電圧のピーク電圧値を、整流ダイオードD10,D11を設けることなく、多倍圧整流回路を構成した場合のピーク電圧値(図7参照)の約1/2にして、多倍圧整流回路12が持つ分布容量による損失を約1/4に低減するようにしている。
【0043】
本実施の形態の多倍圧整流回路12のピーク値が、従来の約1/2になるのは、多倍圧整流回路12の両端部にそれぞれ整流ダイオードD10,D11を接続することで、電圧供給トランス11の二次巻線N2を交流的に他の回路から分離したことによるものとされる。
【0044】
図3は、電圧供給トランスの二次側の整流器の動作を説明する説明図であり、同図(a)は二次巻線の一端が交流的に接地される場合、同図(b)は二次巻線の両端が接地ラインから分離される場合を示した図である。
なお、図3では、説明を判りやすくするために波形をパルス状に描いたが実際は正弦波に近い波形となる。また、斜線部は個々の巻線の位置に対して、発生するパルス電圧の基底部と頂点のエンベロープを示している。
【0045】
そして本実施の形態の多倍圧整流回路12は、同図(b)に示す状態になり、二次巻線N2の中央に中性点とよばれる基点が生じ、この中性点を境に二次巻線N2に発生する交番電圧の極性が、正電圧V1から負電圧V2(または負電圧V2から正電圧V1)に反転する。これにより、二次巻線N2の両端の電圧レベル(波高値)は、同図(a)に示すように、二次巻線N2の一端の電位を強制的に0電位にしたときの他端電圧の約1/2にすることができる。なお、この場合、二次巻線N2の中性点には直流電圧のみが発生する。
【0046】
また、電圧供給トランス11の二次巻線N2に発生する交流電圧のピークレベルは、図2と図7とを比較すれば分かるように、本実施の形態では、従来の約1/2以下になるため、電圧供給トランス11の巻線、配線等の寄生容量による損失を少なくすることが可能になる。
【0047】
また本実施の形態では電圧供給トランス11の巻線数が従来に比べて少なく、しかもコア−コイル間の耐圧も従来の1/2で済むので、一般的に使用されているEEタイプやEIタイプなどの小型形状でしかも安価なコアが使用することができるという利点もある。
【0048】
さらに、本実施の形態では、電圧供給トランス11の二次巻線N2に中間タップを設け、この中間タップからフォーカス電圧FV及びスクリーン電圧SV生成する調整抵抗回路14に供給する中点電圧MVを得るようにしている。このようにすれば、多倍圧整流回路12から出力されるアノード電圧HVと中点電圧MVとの比を一定に保つことができ、CRT5において発生するフォーカスぼけを防止することができる。
また、この場合は、直流電圧が発生するのは高圧出力電圧とこの中間タップだけであるため、整流ダイオードを設けることなく、中間タップから直流電圧を取り出すことができるという利点がある。
【0049】
ところで、基本的にはCRT5に供給するアノード電圧とフォーカス電圧の比はアノード電流が変化しても一定であるが、見かけの画質向上のためにアノード電圧HVとフォーカス電圧FVの比をアノード電流に応じて変化させる場合がある。
例えばCRT5の輝度を上げたときに最適なフォーカス電圧FVが上昇するように変化させる場合や、逆に輝度を上げると最適フォーカス電圧FVを降下するように変化させる場合などもある。もちろん常に同じフォーカス電圧FVとする場合もある。
【0050】
そこで、このような場合、本実施の形態では、多倍圧整流回路12を形成しているコンデンサC1〜C8の容量を必要に応じて変化させることで、上記したようにアノード電流IHVに応じてCRT5のフォーカス電圧FVを変化させることが可能とされる。
【0051】
例えば輝度を上げると最適なフォーカス電圧FVが上昇する特性を有するCRT5であれば、多倍圧整流回路12のコンデンサC1,C2,C5,C6の何れかまたは全部をコンデンサC3,C4,C7,C8より大きな容量、例えばコンデンサC2,C6だけを他の2倍の容量値に設定すれば、図4に示すフォーカス電圧FV2のように、フォーカス電圧FVをアノード電流IHVに比例して上昇させることができる。
【0052】
また、常に同じフォーカス電圧FVが最適なCRT5であれば、コンデンサC1〜C8をの容量を全て同じ容量(例えば100PF)にすれば、図4に示すフォーカス電圧FV1のように、フォーカス電圧をほぼ一定レベルに保つことができる。
【0053】
逆に輝度を上げると最適なフォーカス電圧FVが下降する特性を有するCRT5であれば、多倍圧整流回路12のコンデンサC1,C2,C5,C6の何れかまたは全部をコンデンサC3,C4,C7,C8より小さい容量にすれば、図示していないがフォーカス電圧FVをアノード電流IHVに比例して下降させることができる。
【0054】
これは、コンデンサの容量を大きくするとコンデンサが蓄えられる電気量が大きくなるため、負荷が大きくなったときの電圧降下が小さく、また逆にコンデンサの容量を小さくした場合は電圧降下が大きくなるからである。
【0055】
また、本実施の形態では多倍圧整流回路12において、電圧供給トランス11の二次巻線N2に発生する電圧を、例えば27KVまで昇圧する場合を例に挙げたが、これはあくまでも一例であり、多倍圧整流回路12を形成する倍電圧回路の数を変更すれば容易に出力電圧HVの電圧レベルを可変することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高電圧出力装置によれば、第1の直流高電圧生成手段に備えられる多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ整流ダイオードを接続するようにしている。これにより、トランスの二次巻線は、交流的に他の回路から分離されるので、二次巻線にはその中央を基点として両端に逆位相の交番電圧が発生することになる。このため、多倍圧整流回路に発生する交流電圧のピーク電圧レベルは、従来のように、二次巻線の一端の電位を強制的に0電位にした場合の約1/2以下にすることができる。
【0057】
従って、例えばCRTの高電圧出力装置を多倍圧整流回路を用いて構成した場合でも、整流回路が有する分布容量による電力損失を低減することができると共に、トランスの温度上昇も防止することができるため、小型、高効率で、しかも安全な高電圧出力装置を実現することができる。
【0058】
また、CRTの特性に応じて、多倍圧整流回路を形成するコンデンサの容量値を設定すれば、CRTの特性に応じて高品位の画像表示を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてテレビジョン受像機に備えられる高圧出力回路とその周辺回路の構成を示した図である。
【図2】本実施の形態としての多倍圧整流回路の回路構成を示した図である。
【図3】電圧供給トランスの二次側の整流器の働きの説明図である。
【図4】フォーカス電圧とアノード電流との関係を示した図である。
【図5】電圧供給トランスの構造を示した断面図である。
【図6】フライバックトランスからフォーカス電圧とスクリーン電圧を出力する抵抗分圧回路の構成と、その接続形態を示した図である。
【図7】ミッチェル回路の構成を示した図である。
【符号の説明】
1 整流・平滑回路、2 スイッチング回路、2a 制御回路、3 高圧出力回路、4 映像出力回路、5 CRT、5a アノードボタン、11 電圧供給トランス、12 多倍圧整流回路、13 平滑回路、14 調整抵抗回路、21ボビン、22 コア、23 プリント配線板、24 高圧出力ケーブル、25ケース、26 27 調整つまみ、28 モールド樹脂、C コンデンサ、D整流ダイオード、N1 一次巻線、N2 二次巻線、R 抵抗、VR 可変抵抗
Claims (3)
- 入力される直流入力電圧を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、
一次巻線と二次巻線とが巻装され、上記一次巻線に得られる上記スイッチング手段の出力を上記二次巻線に対して伝送するトランスと、
コンデンサとダイオードとから成る整流回路を多段接続して形成され、上記二次巻線に発生する交番電圧を入力して整流動作を行う多倍圧整流回路を備えることで、所定の高圧レベルとされる第1の直流高電圧を生成する第1の直流高電圧生成手段と、
上記第1の直流高電圧生成手段に備えられる上記多倍圧整流回路の両端部に対して、それぞれ接続される整流ダイオードと、
上記二次巻線に中間タップを設けたうえで、この中間タップを介するようにして取り出した上記多倍圧整流回路の中点に得られる電圧を利用して、上記第1の直流高電圧より低いレベルとされる第2の直流高電圧を生成する第2の直流高電圧生成手段と、
上記第1の直流高電圧のレベルに応じて、上記スイッチング手段のスイッチング動作を制御することで、上記第1の直流高電圧の定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段と、
を備えていることを特徴とする高電圧出力装置。 - 上記多倍圧整流回路は、ミッチェル回路により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の高電圧出力装置。
- 上記第1の直流高電圧が入力される陰極線管の特性に応じて、上記多倍圧整流回路を形成するコンデンサのうち、所要のコンデンサの容量値を設定することを特徴とする請求項1に記載の高電圧出力装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002211545A JP2004056926A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 高電圧出力装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002211545A JP2004056926A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 高電圧出力装置 |
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JP2004056926A true JP2004056926A (ja) | 2004-02-19 |
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ID=31934753
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JP2002211545A Pending JP2004056926A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 高電圧出力装置 |
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JP (1) | JP2004056926A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5447651B2 (ja) * | 2010-03-16 | 2014-03-19 | 株式会社村田製作所 | スイッチング電源装置 |
EP4336722A1 (en) * | 2022-09-08 | 2024-03-13 | E-Square Holding B.V. | Ac/dc voltage multiplier |
-
2002
- 2002-07-19 JP JP2002211545A patent/JP2004056926A/ja active Pending
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