JP2004056837A - 電線仮支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない構成部材で構成され、少ない工数でより安全に効率のよい作業を実現可能な電線仮支持装置を提供する。
【解決手段】電線仮支持装置1が、垂直アーム2と、電線把持部4を有する電線仮支持部3と、垂直アーム2に沿って上下に移動可能な複数の支持部材5を有して構成され、支持部材5を支持物(電柱または腕金)か垂直アーム2に固定し、さらに垂直アーム持上げ装置8の一端を垂直アーム2か垂直アーム2に固定された支持部材5に係止し、他端を支持物に固定された支持部材5に係止して、垂直アーム持上げ装置8のベルトの長さを調整して垂直アーム2と電線支持部3と電線把持部4とを上下に移動可能にしているため、支持部材5の支持物把持部で、支持物の任意の位置に電線仮支持装置1を取り付け可能となり、横方向の荷重に強く、且つ、装置の取り付け及び作業が容易とし作業効率を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】電線仮支持装置1が、垂直アーム2と、電線把持部4を有する電線仮支持部3と、垂直アーム2に沿って上下に移動可能な複数の支持部材5を有して構成され、支持部材5を支持物(電柱または腕金)か垂直アーム2に固定し、さらに垂直アーム持上げ装置8の一端を垂直アーム2か垂直アーム2に固定された支持部材5に係止し、他端を支持物に固定された支持部材5に係止して、垂直アーム持上げ装置8のベルトの長さを調整して垂直アーム2と電線支持部3と電線把持部4とを上下に移動可能にしているため、支持部材5の支持物把持部で、支持物の任意の位置に電線仮支持装置1を取り付け可能となり、横方向の荷重に強く、且つ、装置の取り付け及び作業が容易とし作業効率を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電柱等の代わりに電線を張架状態のまま支持する電線仮支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
架空配電線の工事等においては、需要家の利便性向上のため極力停電工事を避ける工法が採用されている。このため、作業者は絶縁性のゴム手袋等をはめて直接活線に接触して作業を行う直接活線工法で作業を行っていた。しかし、この方法によると、充電部等への保護が必要となるため作業時間が長くなることや、活線に近づいて作業をするため作業者の感電事故等の可能性が高いこと、また、作業者は防護具等を身につけて作業をするため疲労が大きいというような問題があった。
【0003】
そこで、現在の架空線工事では、絶縁された工具や装置を使い作業者が直接活線に接触しないで工事を行う間接活線工法に移行され、作業の安全性向上及び効率化がなされており、それに伴い作業方法も大幅に変更され、間接活線工法に適した工具や装置が開発され使用されている。例えば、電線を仮支持するための仮支持装置を高所作業車に取り付けて電線を仮支持するような工法が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法では電線を仮支持した際の横方向の荷重に弱く対象とする工事が限定されるという問題があった。そのため、既設の電線を仮支持して電柱建替工事を行う場合には、充電線路への割り込みで実施する必要があるため、活線を仮支持して電柱を建替える必要があるが、対応する装置が無く、作業箇所を無充電にした上で工事を実施していた。しかし、コストの低減や作業停電の更なる減少のため、このような電柱建替工事においても間接活線工法が可能な工具や装置が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、少ない構成部材で構成され、少ない工数でより安全に効率の良い作業を実現可能な電線仮支持装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明に係る電線仮支持装置は、垂直アームと、この垂直アームの上端に繋がって水平に延びるように配設され、電線把持部材を有する電線仮支持部と、垂直アームに沿って上下に移動可能な複数の支持部材と、ひも状部材(例えば、実施形態におけるベルト8b)と、その長さを調節する調節手段(例えば、実施形態における荷締機8a)とを備えて構成される。この支持部材は、垂直アームに固定可能な垂直アーム把持部と、支持物に固定可能な支持物把持部とを有して構成されており、複数の支持部材のいずれかを支持物把持部により支持物に固定し、複数の支持部材の別のいずれかを垂直アーム把持部により垂直アームに固定する。そして、ひも状部材の一端を垂直アームに固定された支持部材もしくは垂直アームに係止し、ひも状部材の他端を支持物に固定された支持部材に係止した状態で、調節手段によりひも状部材の長さを調節して垂直アームと電線仮支持部と電線把持部材とを支持物に固定された支持部材に沿って上下動させるように構成し、且つ、垂直アームに支持部材をピンなどで固定し、この固定した支持部材が垂直アームの上下動に連動して上下動されるように構成する。
【0007】
このような構成によれば、本発明に係る電線仮支持装置を、支持部材により支持物の任意の位置に取り付けることができ、また、垂直アームに沿って支持部材を移動させて支持物あるいは垂直アームに固定しひも状部材の長さを調節することにより支持物の任意の位置に移動して電線を仮支持可能であるので、工事作業の効率化を図ることが可能である。また、複数の支持部材で電線仮支持装置を支持物に固定するため、電線を仮支持した際に生ずる横方向の荷重に対しても安定して支持することができる。さらに、電線に直接接触することなく、電線を離隔を持って電柱上方に仮支持できるため、安全に作業を行うことができる。
【0008】
あるいは、本発明に係る電線仮支持装置は、垂直アームと、この垂直アームの上端に繋がって水平に延びるように配設され、電線把持部材を有する電線仮支持部と、垂直アームに沿って上下に移動可能な一つの支持部材と、ひも状部材と、その長さを調節する調節手段とを備えて構成される。この支持部材が、垂直アームに固定可能な垂直アーム把持部と、支持物に固定可能な支持物把持部とを有して構成されており、この支持物把持部により支持部材を支持物に固定し、ひも状部材の一端を垂直アームに係止し、ひも状部材の他端を支持部材に係止した状態で、調節手段によりひも状部材の長さを調節して垂直アームと電線仮支持部と電線把持部材とを支持部材に沿って上下動させるように構成する。
【0009】
このような構成によれば、簡単な構成で電線を任意の位置に仮支持することができる。但し、一つの支持部材で電線仮支持装置を支持物に固定しているため、電線を仮支持したときの横方向の荷重に対して安定して支持するためには支持部材の縦方向の幅をある程度長くする必要がある。
【0010】
また、支持物把持部が、支持物を構成する電柱に支持部材を固定するための電柱把持部を有し、この電柱に沿って上下に移動させることができるように構成されている。
【0011】
さらに、支持物把持部が、支持物を構成する腕金に支持部材を固定するための腕金把持部を有して構成されている。
【0012】
このような構成によれば、支持物を構成する電柱の任意の位置に本発明に係る電線仮支持装置を取り付けることが可能であり、複数の配電機器や部材が任意に組み合わされて設置されている支持物において、装置の取り付け及び作業を容易にし、電線を押し上げて仮支持する高さも任意に調節可能である。さらに、電柱に配設された腕金のような補助部材に対しても本発明に係る電線仮支持装置を取り付けることが可能であり、適用可能な工事の範囲を広げることにより工事に必要な装置を少なくすることができ、かつ、作業効率を向上させることができる。
【0013】
なお、本発明の電線仮支持装置は、ひも状部材を巻上げ繰出しを行う巻上繰出手段が、手動又は油圧モータで構成されることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、支持する電線の重量により、軽い電線の場合は、手動巻き上げで簡単な構成とすることができ、また、より重い電線に対しては油圧モータで引き上げる構成とすることができ、状況に応じて装置の構成を選択可能とすることができる。なお、ここで、ひも状部材は、長さを調節することにより支持部材に対して垂直アームと電線仮支持部と電線把持部材とを上下動させる働きをするものであるため、ベルト、ワイヤ、ロープ、チェーン等で実現可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本発明の実施形態に係る電線仮支持装置の構成について説明を行う。電線仮支持装置1は、垂直アーム2と、垂直アーム2の上端に水平に延びる電線仮支持部3を有して構成され、電線仮支持部3には電線を係止保持する電線把持部材4が配設されている。なお、電線把持部材4は電線仮支持部3に着脱可能であり、電線の本数に合わせて複数で構成することも可能である。図1においては配電線の1系統を構成する電線の本数に合わせて3個の電線把持部材4a,4b,4cで構成されている場合を示している。また、電線把持部材4はガイシを介して電気的に絶縁された状態で電柱仮支持部3に配設されており、さらに、前後に貫通した貫通孔4dを有しており、この貫通孔4dで電線を係止保持する(以下、垂直アーム2、電線仮支持部3及び電線把持部材4を合わせて「本体9」と呼ぶ)。
【0016】
垂直アーム2の下端前面には上部に環状部を持つアイナット6が配設されている。さらに、垂直アーム2には、垂直アーム2に沿って上下に移動可能な支持部材5が配設されている。支持部材5は支持物及び垂直アーム2に固定可能である。なお、支持物とは、断面略円形で棒状の電柱及びこの電柱に配設され配電機器を設置するための補助部材である腕金のことを指すものである。この支持部材5は垂直アーム2に対して着脱可能であり、工事の状況に合わせて複数構成とすることも可能である。図1では上部支持部材5a、中間支持部材5b及び下部支持部材5cの3個で構成した場合を示している。
【0017】
この支持部材5の構成について図2(a)及び(b)を用いて説明する。なお、以降の説明では図2(a)において、矢印Fの方向を前方、矢印Rの方向を後方と呼ぶ。支持部材5は断面略矩形状の筒状になっており、前側の部分が上下に貫通した垂直アーム把持部30を構成しており、この垂直アーム把持部30に垂直アーム2を通して、垂直アーム2に沿って支持部材5が上下に移動可能である。垂直アーム把持部30の左右両側面には貫通孔31が形成されており、係止ピン等(図示せず)を通して垂直アーム2に対して支持部材5を固定する。また、支持部材5の前面及び左右両側面前方には外側に延びて側面視において略矩形で環状の係止部32,32,32が形成されており、この部分に、後述する垂直アーム持上げ装置8のフックを係止する。
【0018】
支持部材5の後部は支持物把持部33を構成しており、左右両側面には、後方やや外側に延びてU字型の電柱用係止部34,34が形成されている。図2(b)に示すように支持部材5の後端部にある電柱把持部35,35を電柱10に当接し、電柱用係止部34,34に電柱固定装置38の両端を係止して締めることで、電柱10に対して支持部材5を固定することができる。
【0019】
さらに、支持部材5の後部の支持物把持部33には、後方に開口して、断面略矩形上の角筒状の腕金把持部36が形成されており、腕金把持部36の上下側面略中央部に貫通孔37が形成されている。この腕金把持部36の後方の開口部から電柱に設置された腕金の端を挿入し、貫通孔37に係止ピン等(図示せず)を通して腕金に対して支持部材5を固定することができる。
【0020】
垂直アーム持上げ装置8はハンドルを持つ荷締機8aの一端にベルト8bがあり、他端にフック8cがあり、ベルト8bの先にフック8dを有して構成されている。荷締機8aのハンドルを上下に揺動してベルト8bを巻上げ繰出しすることにより、ベルト8bの長さを調節することが可能である。この垂直アーム持上げ装置8のフック8c,8dを、支持部材5の係止部32又はアイナット6の環状部のいずれかに係止し、荷締機8aによりベルト8bを巻上げまたは繰り出して長さを調節することで、支持物に固定した支持部材5に対して本体9の位置を上下に調節可能である。電柱または腕金に対して本体9を上下に移動する方法については、後述する実施例の中で説明する。なお、電線仮支持装置1は、活線に対する装置のため、以上の構成部材は電気的に絶縁性を有することが望ましい。
【0021】
【実施例1】
次に本発明に係る電線仮支持装置1の使用方法について説明をする。図3〜15は第1の実施例について示している。第1の実施例では、丈尺が異なる電柱建替工事又は支持点高さが変更になる装柱工事に本発明に係る電線仮支持装置1を使用する場合について示しており、支持部材5を3個使用する実施例である。また、電線は3本張られているため、電線把持部材4は3個使用する。本実施例では、電線が張られた第1の電柱10の側方に丈尺の高い第2の電柱15を建て、第2の電柱15の上方に電線を仮支持した後、第2の電柱15に腕金を配設して電線を架けて丈尺の違う電柱に建替える場合である。
【0022】
まず、第1の電柱10に張られた電線の下方に電線仮支持部3が位置するように電線仮支持装置1を第2の電柱15に沿わせ、上部支持部材5aを垂直アーム2に固定し、中間支持部材5bと下部支持部材5cを電柱に固定する。このように、中間支持部材5bと下部支持部材5cが第2の電柱15に固定されているため、本体9に係る横方向の荷重に対して安定支持することができる。ここではアイナット6と下部支持部材5cの距離だけ本体9が上部に引き上げられる。このとき上部支持部材5aと中間支持部材5bは、垂直アーム2の上部に互いに当接させるように配置し、下部支持部材5cは垂直アーム2の略中間点に配置する。そして、中間支持部材5bとアイナット6に垂直アーム持上げ装置8を係止する(図3)。
【0023】
垂直アーム持上げ装置8を巻上げると、中間支持部材5bが第2の電柱15に固定され、アイナット6が垂直アーム2に固定されているため、垂直アーム2が引き上げられ、それとともに上部支持部材5aが垂直アーム2に固定されているため垂直アーム2とともに引き上げられる。電線仮支持部3に備えられた電線把持部材4の貫通孔4dに電線が係止保持された位置で垂直アーム持上げ装置8の巻上げを停止し、上部支持部材5aを第2の電柱15に固定し、さらに、下部支持部材5cを垂直アーム2へ固定することで、本体9を固定する(図4)。
【0024】
次に、下部支持部材5cの第2の電柱15への固定を解除し、中間支持部材5bに当接するまで上方へ移動させ第2の電柱15に固定した後、次に中間支持部材5bの第2の電柱15と垂直アーム2への固定を解除して垂直アーム2に沿って上部支持部材5aに当接するまで上方に移動させ、中間支持部材5bを第2の電柱15に固定する。そして、垂直アーム持上げ装置8を中間支持部材5bとアイナット6に係止する。この状態で、上部支持部材5aの第2の電柱15への固定を解除する。このときも、中間支持部材5bと下部支持部材5cが第2の電柱15に固定されているため、電線を仮支持した際に本体9に係る横方向の荷重に対して安定支持することができる(図5)。
【0025】
垂直アーム持上げ装置8を巻上げると、アイナット6が引き上げられ、よって、本体9が引き上げられるため、垂直アーム2に固定された上部支持部材5aが引き上げられる。しかし、この状態では第1の電柱10の上方へは離隔を保って保持されているが、第2の電柱15は第1の電柱10より丈尺が高いので、第2の電柱15に対しては電線の十分な離隔が確保されていない(図6)。
【0026】
そこで、まず、上部支持部材5aを第2の電柱15に固定し、下部支持部材5cの第2の電柱15への固定を解除し中間支持部材5bに当接するまで上方へ移動させ第2の電柱15に固定した後、次に中間支持部材5bの第2の電柱15への固定を解除して上部支持部材5aに当接するまで上方に移動させ、中間支持部材5bを第2の電柱15に固定する。そして、垂直アーム持上げ装置8を中間支持部材5bとアイナット6に係止した後、上部支持部材5aの電柱への固定を解除する。このときも中間支持部材5bと下部支持部材5cが電柱に固定されているため、本体9にかかる横方向の荷重に対して安定支持可能である(図7)。垂直アーム持上げ装置8の巻き上げを行うと、アイナット6が引き上げられるのに伴い、本体9が上方へ移動し、結果、電線を係止保持した電線仮支持部3が第2の電柱15の上方へ移動し、十分な離隔を保って保持される。この状態で上部支持部材5aを第2の電柱15に固定し、下部支持部材5cを垂直アーム2に固定して本体9を第2の電柱15に固定した後、第1の電柱10の撤去と第2の電柱15への腕金16の設置を行う(図8)。
【0027】
次に、以上の手順で引き上げた電線を、引き下げて第2の電柱15に取り付ける作業について図9〜14を用いて説明する。まず第2のアイナット13を垂直アーム2の上部側面で、上部支持部材5aと垂直アーム2の先端部との略中央部に取り付ける(垂直アームの下端前面に配設されているアイナット6を「第1のアイナット6」と呼ぶ)。そして、第2の垂直アーム持上げ装置14を第2のアイナット13と中間支持部材5bの係止部に係止する(既に係止されている垂直アーム持上げ装置8を「第1の垂直アーム持上げ装置8」と呼ぶ)。さらに、第1のアイナット6に係止されている第1の垂直アーム持上げ装置8を外し、下部支持部材5cに係止する。その後、第1の垂直アーム持上げ装置8と第2の垂直アーム持上げ装置14がたるまないように巻き上げる。その後、上部支持部材5aの垂直アーム2への固定を解除し、次に下部支持部材5cと第2の電柱15との固定を解除する。このときも、上部支持部材5a及び中間支持部材5bが第2の電柱15に固定されているため、電線を仮支持した際に本体9にかかる横方向の荷重を安定支持することができる(図9)。
【0028】
ここで、第2の垂直アーム持上げ装置14は巻上げることで第2のアイナット13を引き下げ、そのため本体9を引き下げる働きをし、第1の垂直アーム持上げ装置8は上部支持部材5aに対して下部支持部材5cが過度に引き下げられないように制限する働きをし、その結果、下部支持部材5cが垂直アーム2に固定されているため、本体9が過度に引き下げられないように制限される。よって、本体9を引き下げる場合は、第2の垂直アーム持上げ装置14の巻き上げと、第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを同時に行うか、第2の垂直アーム持上げ装置14のベルトを常にたるみを付けた状態で第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを行う。このようにして、本体9を引き下げるが、垂直アーム2の上部に第2のアイナット13を固定したため、垂直アーム2は第2のアイナット13と上部支持部材5aが当接する位置より下に引き下げることができず、第2の電柱15において電線が固定される正規の位置まで電線は引き下げられていない(図10)。
【0029】
そこで、この状態で、下部支持部材5cを第2の電柱15に固定し、本体9を第2の電柱15に固定する。そして、第1の垂直アーム持上げ装置8及び、第2の垂直アーム持上げ装置14をゆるめ、その後上部支持部材5aと第2の電柱15との固定を解除し、中間支持部材5bに当接するまで引き下げた後第2の電柱15と固定する(図11)。次に、中間支持部材5bと第2の電柱15との固定を解除し下部支持部材5cに当接するまで引き下げた後、第2の電柱15と固定をする。そして、ゆるめていた第1の垂直アーム持上げ装置8及び、第2の垂直アーム持上げ装置14をたるまないようにして締める。そして下部支持部材5cの第2の電柱15との固定を解除する。このときも、中間支持部材5b及び下部支持部材5cが第2の電柱15に固定されているため、電線を仮支持した際に本体9にかかる横方向の荷重を安定支持することができる(図12)。
【0030】
この時、第2の垂直アーム持上げ装置14は巻上げることで第2のアイナット13を引き下げ、そのため本体9を引き下げる働きをし、第1の垂直アーム持上げ装置8は上部支持部材5aに対して下部支持部材5cが過度に引き下げられないように制限する働きをし、その結果、下部支持部材5cが垂直アーム2に固定されているため、本体9が過度に引き下げられないように制限される。よって、本体9を引き下げる場合は、第2の垂直アーム持上げ装置14の巻き上げと、第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを同時に行うか、第2の垂直アーム持上げ装置14のベルトを常にたるみを付けた状態で第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを行う。このようにして電線が第2の電柱15の腕金16の位置まで来たら巻き上げを停止し、電線を第2の電柱15に固定する作業を行う(図13)。
【0031】
第2の電柱15に電線を固定した後、引き下げの手順を繰り返し行い、本体9が取り外し位置まで下方に移動した時点で巻き上げを停止し(図14)、第2の電柱15から電線仮支持装置1を取り外して作業を終了する。
【0032】
以上のように、支持部材5の固定箇所を第2の電柱15または垂直アーム2にして本体9を引き上げまたは引き下げし、さらに垂直アーム2に沿って支持部材5の位置を変えることにより、本体9を任意の距離だけ移動させることが可能となる。また、上述のように3個の支持部材5のうちの少なくとも2個を電柱に常時固定することにより、本体9に対して横方向へかかる荷重を安定支持することが可能となる。
【0033】
【実施例2】
次に第2の実施例として、2個の支持部材5(上部支持部材5aと下部支持部材5c)を使用して電線を押し上げる工事について図15を用いて説明する(以下の実施例では電柱、アイナット及び垂直アーム持上げ装置を各々一つしか使用しないため、単に「電柱10」、「アイナット6」、「垂直アーム持上げ装置8」と呼ぶ)。第2の実施例では丈尺が同一の電柱建替工事や支持点高さの変更が無い装柱工事の例を示すものである。まず、電柱10に張られた電線の下方に電線仮支持部3が位置するように電線仮支持装置1を電柱10に沿わせ、上部支持部材5a及び下部支持部材5cを電柱に固定し、垂直アーム持上げ装置8を上部支持部材5aの係止部とアイナット6に係止する。この状態で垂直アーム持上げ装置8を巻上げまたは繰出しすることにより、上部支持部材5a及び下部支持部材5cに沿って本体9を上下することができるため、電線を電柱10の上方に仮支持することが可能である。本実施例では2個の支持部材5を使用しているため本体9に対して横方向にかかる荷重に対しても安定支持することが可能である。
【0034】
なお、本実施例では2個の支持部材5を使用したが、1個の支持部材5でも同様の工事を行うことは可能である。但し、1個の支持部材5で電線を仮支持するためには、本体9にかかる横方向の荷重に対するため、支持部材5の縦方向の幅をある程度長くする必要がある。
【0035】
【実施例3】
第3の実施例として高圧変成器の工事を行う例を図16に示し、支持部材5が1個で構成される場合を説明する。なお、電線仮支持部3に対して電線把持部材4は着脱可能でありその取り付け位置を移動可能に構成することにより工事対象の電線の位置や間隔により電線把持部材4の位置が調節可能となり、作業効率を向上させることができる。また、以上の実施例では支持部材5は垂直に延びた電柱に固定していたが、腕金把持部36を用いることにより、図16に示すように電柱に取り付けられた腕金に対して本体9を垂直に固定するように構成することも可能である。
【0036】
高圧変成器17は電柱10に配設されている。この高圧変成器17へは引込用開閉器18を介して引込線19が接続されており、さらに高圧変成器17から取引用計器20に接続され、さらに需要家に繋がり電力が供給されている。この高圧変成器17が接続されている配電系統に関する停電工事を行う場合、別電源から電力を供給して需要家の停電を避けることが可能であり、本実施例ではそのようなときに本発明に係る電線仮支持装置1を使用する場合を示すものである。なお、電線仮支持装置1は上述のように電柱10に配設された腕金16に対して支持部材5の腕金把持部36により固定されており、垂直アーム持上げ装置8は支持部材5の係止部とアイナット6に係止されている。
【0037】
まず、個別の電源を用意して、開閉器21に接続し、開閉器21からリード線22を引き出し、電線仮支持装置1の電線把持部材4にてリード線22を保持する。リード線22の先端はフック状の係止部23が形成されており、この係止部23を開閉器から高圧変成器17に繋がる引込線19に係止する。なお、係止部23は導電性を有しており、リード線22とは電気的に接続されるため、係止部23及び引込線19の係止部23が接続されている部分は充電状態にある。このような状態でリード線22を引込線19に係止して、垂直アーム持上げ装置8により垂直アーム2及び電線支持部3の高さを調節すると、リード線22の自重により引込線19は電線仮支持装置1の方に引きつけられる。リード線22は電線把持部材4により適切な間隔を維持されているため、引込線19もそれに合わせて適切な間隔を保つことが可能であり、そのため充電部であるリード線23の係止部を固定し、且つ、適切な間隔に保つことが可能となる。このような方法によると、引込用開閉器18を開放し、別電源より電源を供給することにより、高圧変成器17に繋がる需要家を停電させることなく工事を行うことができる。
【0038】
なお、本実施例では一つの支持部材5で本体9にかかる横方向の荷重を支えているため、支持部材5の縦方向の幅はある程度長くする必要がある。また、本実施例では支持部材5を1個使用した場合を説明したが、2本あるいはそれ以上の腕金に対して2個あるいはそれ以上の支持部材5を使用し、上述の方法で電線仮支持装置1を支えることも可能である。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではない。以上の実施例1〜3では垂直アーム持上げ装置8におけるベルトの巻上げ、繰り出しに荷締機のハンドルを上下に揺動する手動の方式で説明を行ったが、油圧モータによる巻上げ、繰り出しで実現することも可能である。このような構成によると、重量の重い電線等に対しても引き上げ、引き下げ作業が可能となる。
【0040】
また、上記の実施例ではベルト式の垂直アーム持上げ装置を用いたが、ロープ、ワイヤやチェーン等を用いたものであれば同様の効果を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る電線仮支持装置は、垂直アームと垂直アームに繋がって設けられた電線把持部を有する電線仮支持部と、垂直アームに沿って上下に移動可能な複数の支持部材とを有して構成され、支持部材のいずれかを支持物把持部にて支持物(電柱または腕金)に固定し、支持部材の別のいずれか垂直アーム把持部にて垂直アームに固定し、垂直アーム持上げ装置の一端を垂直アームか垂直アームに固定された支持部材に係止し、垂直アーム持上げ装置の他端を電柱に固定された支持部材に係止して、垂直アームと電線仮支持部部と電線把持部材とを上下動可能にしているため、支持部材の支持物把持部で、支持物の任意の位置に電線仮支持装置を取り付け可能となり、装置の取り付け及び作業を容易にすることができる。また、少なくとも2つの支持部材を支持物に固定することにより、電線仮支持装置にかかる横方向の荷重に対して安定して支持することが可能である。なお、本発明に係る仮支持装置を用いることができる工事は丈尺が同一かまたは支持点高さの変更が無い装柱工事だけでなく、丈尺が異なる電柱建替え工事や支持点高さが変更になる装柱工事にも適用可能である。
【0042】
あるいは、本発明に係る電線仮支持装置を一つの支持部材で構成することができ、簡単な構成で電線を任意の位置に仮支持可能であるが、この場合は、横方向の荷重に対するために支持部材の縦方向の長さをある程度長くすることで対応することができる。
【0043】
さらに、支持物把持部には支持物に係止するための電柱把持部と腕金に係止するための腕金把持部のいずれか一方または両方を有するように構成することにより、本発明に係る電線仮支持装置を支持物の任意の箇所に取り付けることが可能であり、適用可能な工事の範囲を広げることにより、工事に必要な装置を少なくすることができ、且つ、作業効率を向上させることができる。
【0044】
また、電線仮支持部により配電線の1回線分の電線を一括して仮支持することも可能であり、少ない構成部材で構成可能であるとともに、一回の作業で電線の仮支持が可能なため、作業効率を向上させることができ、さらに、電線に直接接触することなく、電線を離隔を保って電柱上方に仮支持できるため、安全に作業を行うことができる。
【0045】
さらに、ベルトを巻上げ繰出しする方法とし、手動又は油圧モータで構成することができるようにすることにより、支持する電線の重量に合わせて、軽い電線の場合は手動で簡単な構成とすることができ、また、重い電線に対しては油圧モータで構成とすることができるため、状況に応じて装置の構成を選択可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線仮支持装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る電線仮支持装置における支持部材を示し、同図(a)は上方から見た平面図であり、同図(b)は電柱に固定した状態を側方から見た側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における第1の状態を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における第2の状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における第3の状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における第4の状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における第5の状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における第6の状態を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における第7の状態を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における第8の状態を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態における第9の状態を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における第10の状態を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態における第11の状態を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施形態における第12の状態を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態における電柱仮支持装置の取り付け状態を示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態における電柱仮支持装置の取り付け状態を示す図である。
【符号の説明】
1 電線仮支持装置
2 垂直アーム
3 電線仮支持部
4 電線把持部材
5 支持部材
8 垂直アーム持上げ装置
8a 荷締機(調節手段)
8b ベルト(ひも状部材)
10 電柱
16 腕金
30 垂直アーム把持部
32 支持物把持部
35 電柱把持部
36 腕金把持部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電柱等の代わりに電線を張架状態のまま支持する電線仮支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
架空配電線の工事等においては、需要家の利便性向上のため極力停電工事を避ける工法が採用されている。このため、作業者は絶縁性のゴム手袋等をはめて直接活線に接触して作業を行う直接活線工法で作業を行っていた。しかし、この方法によると、充電部等への保護が必要となるため作業時間が長くなることや、活線に近づいて作業をするため作業者の感電事故等の可能性が高いこと、また、作業者は防護具等を身につけて作業をするため疲労が大きいというような問題があった。
【0003】
そこで、現在の架空線工事では、絶縁された工具や装置を使い作業者が直接活線に接触しないで工事を行う間接活線工法に移行され、作業の安全性向上及び効率化がなされており、それに伴い作業方法も大幅に変更され、間接活線工法に適した工具や装置が開発され使用されている。例えば、電線を仮支持するための仮支持装置を高所作業車に取り付けて電線を仮支持するような工法が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法では電線を仮支持した際の横方向の荷重に弱く対象とする工事が限定されるという問題があった。そのため、既設の電線を仮支持して電柱建替工事を行う場合には、充電線路への割り込みで実施する必要があるため、活線を仮支持して電柱を建替える必要があるが、対応する装置が無く、作業箇所を無充電にした上で工事を実施していた。しかし、コストの低減や作業停電の更なる減少のため、このような電柱建替工事においても間接活線工法が可能な工具や装置が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、少ない構成部材で構成され、少ない工数でより安全に効率の良い作業を実現可能な電線仮支持装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明に係る電線仮支持装置は、垂直アームと、この垂直アームの上端に繋がって水平に延びるように配設され、電線把持部材を有する電線仮支持部と、垂直アームに沿って上下に移動可能な複数の支持部材と、ひも状部材(例えば、実施形態におけるベルト8b)と、その長さを調節する調節手段(例えば、実施形態における荷締機8a)とを備えて構成される。この支持部材は、垂直アームに固定可能な垂直アーム把持部と、支持物に固定可能な支持物把持部とを有して構成されており、複数の支持部材のいずれかを支持物把持部により支持物に固定し、複数の支持部材の別のいずれかを垂直アーム把持部により垂直アームに固定する。そして、ひも状部材の一端を垂直アームに固定された支持部材もしくは垂直アームに係止し、ひも状部材の他端を支持物に固定された支持部材に係止した状態で、調節手段によりひも状部材の長さを調節して垂直アームと電線仮支持部と電線把持部材とを支持物に固定された支持部材に沿って上下動させるように構成し、且つ、垂直アームに支持部材をピンなどで固定し、この固定した支持部材が垂直アームの上下動に連動して上下動されるように構成する。
【0007】
このような構成によれば、本発明に係る電線仮支持装置を、支持部材により支持物の任意の位置に取り付けることができ、また、垂直アームに沿って支持部材を移動させて支持物あるいは垂直アームに固定しひも状部材の長さを調節することにより支持物の任意の位置に移動して電線を仮支持可能であるので、工事作業の効率化を図ることが可能である。また、複数の支持部材で電線仮支持装置を支持物に固定するため、電線を仮支持した際に生ずる横方向の荷重に対しても安定して支持することができる。さらに、電線に直接接触することなく、電線を離隔を持って電柱上方に仮支持できるため、安全に作業を行うことができる。
【0008】
あるいは、本発明に係る電線仮支持装置は、垂直アームと、この垂直アームの上端に繋がって水平に延びるように配設され、電線把持部材を有する電線仮支持部と、垂直アームに沿って上下に移動可能な一つの支持部材と、ひも状部材と、その長さを調節する調節手段とを備えて構成される。この支持部材が、垂直アームに固定可能な垂直アーム把持部と、支持物に固定可能な支持物把持部とを有して構成されており、この支持物把持部により支持部材を支持物に固定し、ひも状部材の一端を垂直アームに係止し、ひも状部材の他端を支持部材に係止した状態で、調節手段によりひも状部材の長さを調節して垂直アームと電線仮支持部と電線把持部材とを支持部材に沿って上下動させるように構成する。
【0009】
このような構成によれば、簡単な構成で電線を任意の位置に仮支持することができる。但し、一つの支持部材で電線仮支持装置を支持物に固定しているため、電線を仮支持したときの横方向の荷重に対して安定して支持するためには支持部材の縦方向の幅をある程度長くする必要がある。
【0010】
また、支持物把持部が、支持物を構成する電柱に支持部材を固定するための電柱把持部を有し、この電柱に沿って上下に移動させることができるように構成されている。
【0011】
さらに、支持物把持部が、支持物を構成する腕金に支持部材を固定するための腕金把持部を有して構成されている。
【0012】
このような構成によれば、支持物を構成する電柱の任意の位置に本発明に係る電線仮支持装置を取り付けることが可能であり、複数の配電機器や部材が任意に組み合わされて設置されている支持物において、装置の取り付け及び作業を容易にし、電線を押し上げて仮支持する高さも任意に調節可能である。さらに、電柱に配設された腕金のような補助部材に対しても本発明に係る電線仮支持装置を取り付けることが可能であり、適用可能な工事の範囲を広げることにより工事に必要な装置を少なくすることができ、かつ、作業効率を向上させることができる。
【0013】
なお、本発明の電線仮支持装置は、ひも状部材を巻上げ繰出しを行う巻上繰出手段が、手動又は油圧モータで構成されることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、支持する電線の重量により、軽い電線の場合は、手動巻き上げで簡単な構成とすることができ、また、より重い電線に対しては油圧モータで引き上げる構成とすることができ、状況に応じて装置の構成を選択可能とすることができる。なお、ここで、ひも状部材は、長さを調節することにより支持部材に対して垂直アームと電線仮支持部と電線把持部材とを上下動させる働きをするものであるため、ベルト、ワイヤ、ロープ、チェーン等で実現可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本発明の実施形態に係る電線仮支持装置の構成について説明を行う。電線仮支持装置1は、垂直アーム2と、垂直アーム2の上端に水平に延びる電線仮支持部3を有して構成され、電線仮支持部3には電線を係止保持する電線把持部材4が配設されている。なお、電線把持部材4は電線仮支持部3に着脱可能であり、電線の本数に合わせて複数で構成することも可能である。図1においては配電線の1系統を構成する電線の本数に合わせて3個の電線把持部材4a,4b,4cで構成されている場合を示している。また、電線把持部材4はガイシを介して電気的に絶縁された状態で電柱仮支持部3に配設されており、さらに、前後に貫通した貫通孔4dを有しており、この貫通孔4dで電線を係止保持する(以下、垂直アーム2、電線仮支持部3及び電線把持部材4を合わせて「本体9」と呼ぶ)。
【0016】
垂直アーム2の下端前面には上部に環状部を持つアイナット6が配設されている。さらに、垂直アーム2には、垂直アーム2に沿って上下に移動可能な支持部材5が配設されている。支持部材5は支持物及び垂直アーム2に固定可能である。なお、支持物とは、断面略円形で棒状の電柱及びこの電柱に配設され配電機器を設置するための補助部材である腕金のことを指すものである。この支持部材5は垂直アーム2に対して着脱可能であり、工事の状況に合わせて複数構成とすることも可能である。図1では上部支持部材5a、中間支持部材5b及び下部支持部材5cの3個で構成した場合を示している。
【0017】
この支持部材5の構成について図2(a)及び(b)を用いて説明する。なお、以降の説明では図2(a)において、矢印Fの方向を前方、矢印Rの方向を後方と呼ぶ。支持部材5は断面略矩形状の筒状になっており、前側の部分が上下に貫通した垂直アーム把持部30を構成しており、この垂直アーム把持部30に垂直アーム2を通して、垂直アーム2に沿って支持部材5が上下に移動可能である。垂直アーム把持部30の左右両側面には貫通孔31が形成されており、係止ピン等(図示せず)を通して垂直アーム2に対して支持部材5を固定する。また、支持部材5の前面及び左右両側面前方には外側に延びて側面視において略矩形で環状の係止部32,32,32が形成されており、この部分に、後述する垂直アーム持上げ装置8のフックを係止する。
【0018】
支持部材5の後部は支持物把持部33を構成しており、左右両側面には、後方やや外側に延びてU字型の電柱用係止部34,34が形成されている。図2(b)に示すように支持部材5の後端部にある電柱把持部35,35を電柱10に当接し、電柱用係止部34,34に電柱固定装置38の両端を係止して締めることで、電柱10に対して支持部材5を固定することができる。
【0019】
さらに、支持部材5の後部の支持物把持部33には、後方に開口して、断面略矩形上の角筒状の腕金把持部36が形成されており、腕金把持部36の上下側面略中央部に貫通孔37が形成されている。この腕金把持部36の後方の開口部から電柱に設置された腕金の端を挿入し、貫通孔37に係止ピン等(図示せず)を通して腕金に対して支持部材5を固定することができる。
【0020】
垂直アーム持上げ装置8はハンドルを持つ荷締機8aの一端にベルト8bがあり、他端にフック8cがあり、ベルト8bの先にフック8dを有して構成されている。荷締機8aのハンドルを上下に揺動してベルト8bを巻上げ繰出しすることにより、ベルト8bの長さを調節することが可能である。この垂直アーム持上げ装置8のフック8c,8dを、支持部材5の係止部32又はアイナット6の環状部のいずれかに係止し、荷締機8aによりベルト8bを巻上げまたは繰り出して長さを調節することで、支持物に固定した支持部材5に対して本体9の位置を上下に調節可能である。電柱または腕金に対して本体9を上下に移動する方法については、後述する実施例の中で説明する。なお、電線仮支持装置1は、活線に対する装置のため、以上の構成部材は電気的に絶縁性を有することが望ましい。
【0021】
【実施例1】
次に本発明に係る電線仮支持装置1の使用方法について説明をする。図3〜15は第1の実施例について示している。第1の実施例では、丈尺が異なる電柱建替工事又は支持点高さが変更になる装柱工事に本発明に係る電線仮支持装置1を使用する場合について示しており、支持部材5を3個使用する実施例である。また、電線は3本張られているため、電線把持部材4は3個使用する。本実施例では、電線が張られた第1の電柱10の側方に丈尺の高い第2の電柱15を建て、第2の電柱15の上方に電線を仮支持した後、第2の電柱15に腕金を配設して電線を架けて丈尺の違う電柱に建替える場合である。
【0022】
まず、第1の電柱10に張られた電線の下方に電線仮支持部3が位置するように電線仮支持装置1を第2の電柱15に沿わせ、上部支持部材5aを垂直アーム2に固定し、中間支持部材5bと下部支持部材5cを電柱に固定する。このように、中間支持部材5bと下部支持部材5cが第2の電柱15に固定されているため、本体9に係る横方向の荷重に対して安定支持することができる。ここではアイナット6と下部支持部材5cの距離だけ本体9が上部に引き上げられる。このとき上部支持部材5aと中間支持部材5bは、垂直アーム2の上部に互いに当接させるように配置し、下部支持部材5cは垂直アーム2の略中間点に配置する。そして、中間支持部材5bとアイナット6に垂直アーム持上げ装置8を係止する(図3)。
【0023】
垂直アーム持上げ装置8を巻上げると、中間支持部材5bが第2の電柱15に固定され、アイナット6が垂直アーム2に固定されているため、垂直アーム2が引き上げられ、それとともに上部支持部材5aが垂直アーム2に固定されているため垂直アーム2とともに引き上げられる。電線仮支持部3に備えられた電線把持部材4の貫通孔4dに電線が係止保持された位置で垂直アーム持上げ装置8の巻上げを停止し、上部支持部材5aを第2の電柱15に固定し、さらに、下部支持部材5cを垂直アーム2へ固定することで、本体9を固定する(図4)。
【0024】
次に、下部支持部材5cの第2の電柱15への固定を解除し、中間支持部材5bに当接するまで上方へ移動させ第2の電柱15に固定した後、次に中間支持部材5bの第2の電柱15と垂直アーム2への固定を解除して垂直アーム2に沿って上部支持部材5aに当接するまで上方に移動させ、中間支持部材5bを第2の電柱15に固定する。そして、垂直アーム持上げ装置8を中間支持部材5bとアイナット6に係止する。この状態で、上部支持部材5aの第2の電柱15への固定を解除する。このときも、中間支持部材5bと下部支持部材5cが第2の電柱15に固定されているため、電線を仮支持した際に本体9に係る横方向の荷重に対して安定支持することができる(図5)。
【0025】
垂直アーム持上げ装置8を巻上げると、アイナット6が引き上げられ、よって、本体9が引き上げられるため、垂直アーム2に固定された上部支持部材5aが引き上げられる。しかし、この状態では第1の電柱10の上方へは離隔を保って保持されているが、第2の電柱15は第1の電柱10より丈尺が高いので、第2の電柱15に対しては電線の十分な離隔が確保されていない(図6)。
【0026】
そこで、まず、上部支持部材5aを第2の電柱15に固定し、下部支持部材5cの第2の電柱15への固定を解除し中間支持部材5bに当接するまで上方へ移動させ第2の電柱15に固定した後、次に中間支持部材5bの第2の電柱15への固定を解除して上部支持部材5aに当接するまで上方に移動させ、中間支持部材5bを第2の電柱15に固定する。そして、垂直アーム持上げ装置8を中間支持部材5bとアイナット6に係止した後、上部支持部材5aの電柱への固定を解除する。このときも中間支持部材5bと下部支持部材5cが電柱に固定されているため、本体9にかかる横方向の荷重に対して安定支持可能である(図7)。垂直アーム持上げ装置8の巻き上げを行うと、アイナット6が引き上げられるのに伴い、本体9が上方へ移動し、結果、電線を係止保持した電線仮支持部3が第2の電柱15の上方へ移動し、十分な離隔を保って保持される。この状態で上部支持部材5aを第2の電柱15に固定し、下部支持部材5cを垂直アーム2に固定して本体9を第2の電柱15に固定した後、第1の電柱10の撤去と第2の電柱15への腕金16の設置を行う(図8)。
【0027】
次に、以上の手順で引き上げた電線を、引き下げて第2の電柱15に取り付ける作業について図9〜14を用いて説明する。まず第2のアイナット13を垂直アーム2の上部側面で、上部支持部材5aと垂直アーム2の先端部との略中央部に取り付ける(垂直アームの下端前面に配設されているアイナット6を「第1のアイナット6」と呼ぶ)。そして、第2の垂直アーム持上げ装置14を第2のアイナット13と中間支持部材5bの係止部に係止する(既に係止されている垂直アーム持上げ装置8を「第1の垂直アーム持上げ装置8」と呼ぶ)。さらに、第1のアイナット6に係止されている第1の垂直アーム持上げ装置8を外し、下部支持部材5cに係止する。その後、第1の垂直アーム持上げ装置8と第2の垂直アーム持上げ装置14がたるまないように巻き上げる。その後、上部支持部材5aの垂直アーム2への固定を解除し、次に下部支持部材5cと第2の電柱15との固定を解除する。このときも、上部支持部材5a及び中間支持部材5bが第2の電柱15に固定されているため、電線を仮支持した際に本体9にかかる横方向の荷重を安定支持することができる(図9)。
【0028】
ここで、第2の垂直アーム持上げ装置14は巻上げることで第2のアイナット13を引き下げ、そのため本体9を引き下げる働きをし、第1の垂直アーム持上げ装置8は上部支持部材5aに対して下部支持部材5cが過度に引き下げられないように制限する働きをし、その結果、下部支持部材5cが垂直アーム2に固定されているため、本体9が過度に引き下げられないように制限される。よって、本体9を引き下げる場合は、第2の垂直アーム持上げ装置14の巻き上げと、第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを同時に行うか、第2の垂直アーム持上げ装置14のベルトを常にたるみを付けた状態で第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを行う。このようにして、本体9を引き下げるが、垂直アーム2の上部に第2のアイナット13を固定したため、垂直アーム2は第2のアイナット13と上部支持部材5aが当接する位置より下に引き下げることができず、第2の電柱15において電線が固定される正規の位置まで電線は引き下げられていない(図10)。
【0029】
そこで、この状態で、下部支持部材5cを第2の電柱15に固定し、本体9を第2の電柱15に固定する。そして、第1の垂直アーム持上げ装置8及び、第2の垂直アーム持上げ装置14をゆるめ、その後上部支持部材5aと第2の電柱15との固定を解除し、中間支持部材5bに当接するまで引き下げた後第2の電柱15と固定する(図11)。次に、中間支持部材5bと第2の電柱15との固定を解除し下部支持部材5cに当接するまで引き下げた後、第2の電柱15と固定をする。そして、ゆるめていた第1の垂直アーム持上げ装置8及び、第2の垂直アーム持上げ装置14をたるまないようにして締める。そして下部支持部材5cの第2の電柱15との固定を解除する。このときも、中間支持部材5b及び下部支持部材5cが第2の電柱15に固定されているため、電線を仮支持した際に本体9にかかる横方向の荷重を安定支持することができる(図12)。
【0030】
この時、第2の垂直アーム持上げ装置14は巻上げることで第2のアイナット13を引き下げ、そのため本体9を引き下げる働きをし、第1の垂直アーム持上げ装置8は上部支持部材5aに対して下部支持部材5cが過度に引き下げられないように制限する働きをし、その結果、下部支持部材5cが垂直アーム2に固定されているため、本体9が過度に引き下げられないように制限される。よって、本体9を引き下げる場合は、第2の垂直アーム持上げ装置14の巻き上げと、第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを同時に行うか、第2の垂直アーム持上げ装置14のベルトを常にたるみを付けた状態で第1の垂直アーム持上げ装置8の繰り出しを行う。このようにして電線が第2の電柱15の腕金16の位置まで来たら巻き上げを停止し、電線を第2の電柱15に固定する作業を行う(図13)。
【0031】
第2の電柱15に電線を固定した後、引き下げの手順を繰り返し行い、本体9が取り外し位置まで下方に移動した時点で巻き上げを停止し(図14)、第2の電柱15から電線仮支持装置1を取り外して作業を終了する。
【0032】
以上のように、支持部材5の固定箇所を第2の電柱15または垂直アーム2にして本体9を引き上げまたは引き下げし、さらに垂直アーム2に沿って支持部材5の位置を変えることにより、本体9を任意の距離だけ移動させることが可能となる。また、上述のように3個の支持部材5のうちの少なくとも2個を電柱に常時固定することにより、本体9に対して横方向へかかる荷重を安定支持することが可能となる。
【0033】
【実施例2】
次に第2の実施例として、2個の支持部材5(上部支持部材5aと下部支持部材5c)を使用して電線を押し上げる工事について図15を用いて説明する(以下の実施例では電柱、アイナット及び垂直アーム持上げ装置を各々一つしか使用しないため、単に「電柱10」、「アイナット6」、「垂直アーム持上げ装置8」と呼ぶ)。第2の実施例では丈尺が同一の電柱建替工事や支持点高さの変更が無い装柱工事の例を示すものである。まず、電柱10に張られた電線の下方に電線仮支持部3が位置するように電線仮支持装置1を電柱10に沿わせ、上部支持部材5a及び下部支持部材5cを電柱に固定し、垂直アーム持上げ装置8を上部支持部材5aの係止部とアイナット6に係止する。この状態で垂直アーム持上げ装置8を巻上げまたは繰出しすることにより、上部支持部材5a及び下部支持部材5cに沿って本体9を上下することができるため、電線を電柱10の上方に仮支持することが可能である。本実施例では2個の支持部材5を使用しているため本体9に対して横方向にかかる荷重に対しても安定支持することが可能である。
【0034】
なお、本実施例では2個の支持部材5を使用したが、1個の支持部材5でも同様の工事を行うことは可能である。但し、1個の支持部材5で電線を仮支持するためには、本体9にかかる横方向の荷重に対するため、支持部材5の縦方向の幅をある程度長くする必要がある。
【0035】
【実施例3】
第3の実施例として高圧変成器の工事を行う例を図16に示し、支持部材5が1個で構成される場合を説明する。なお、電線仮支持部3に対して電線把持部材4は着脱可能でありその取り付け位置を移動可能に構成することにより工事対象の電線の位置や間隔により電線把持部材4の位置が調節可能となり、作業効率を向上させることができる。また、以上の実施例では支持部材5は垂直に延びた電柱に固定していたが、腕金把持部36を用いることにより、図16に示すように電柱に取り付けられた腕金に対して本体9を垂直に固定するように構成することも可能である。
【0036】
高圧変成器17は電柱10に配設されている。この高圧変成器17へは引込用開閉器18を介して引込線19が接続されており、さらに高圧変成器17から取引用計器20に接続され、さらに需要家に繋がり電力が供給されている。この高圧変成器17が接続されている配電系統に関する停電工事を行う場合、別電源から電力を供給して需要家の停電を避けることが可能であり、本実施例ではそのようなときに本発明に係る電線仮支持装置1を使用する場合を示すものである。なお、電線仮支持装置1は上述のように電柱10に配設された腕金16に対して支持部材5の腕金把持部36により固定されており、垂直アーム持上げ装置8は支持部材5の係止部とアイナット6に係止されている。
【0037】
まず、個別の電源を用意して、開閉器21に接続し、開閉器21からリード線22を引き出し、電線仮支持装置1の電線把持部材4にてリード線22を保持する。リード線22の先端はフック状の係止部23が形成されており、この係止部23を開閉器から高圧変成器17に繋がる引込線19に係止する。なお、係止部23は導電性を有しており、リード線22とは電気的に接続されるため、係止部23及び引込線19の係止部23が接続されている部分は充電状態にある。このような状態でリード線22を引込線19に係止して、垂直アーム持上げ装置8により垂直アーム2及び電線支持部3の高さを調節すると、リード線22の自重により引込線19は電線仮支持装置1の方に引きつけられる。リード線22は電線把持部材4により適切な間隔を維持されているため、引込線19もそれに合わせて適切な間隔を保つことが可能であり、そのため充電部であるリード線23の係止部を固定し、且つ、適切な間隔に保つことが可能となる。このような方法によると、引込用開閉器18を開放し、別電源より電源を供給することにより、高圧変成器17に繋がる需要家を停電させることなく工事を行うことができる。
【0038】
なお、本実施例では一つの支持部材5で本体9にかかる横方向の荷重を支えているため、支持部材5の縦方向の幅はある程度長くする必要がある。また、本実施例では支持部材5を1個使用した場合を説明したが、2本あるいはそれ以上の腕金に対して2個あるいはそれ以上の支持部材5を使用し、上述の方法で電線仮支持装置1を支えることも可能である。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではない。以上の実施例1〜3では垂直アーム持上げ装置8におけるベルトの巻上げ、繰り出しに荷締機のハンドルを上下に揺動する手動の方式で説明を行ったが、油圧モータによる巻上げ、繰り出しで実現することも可能である。このような構成によると、重量の重い電線等に対しても引き上げ、引き下げ作業が可能となる。
【0040】
また、上記の実施例ではベルト式の垂直アーム持上げ装置を用いたが、ロープ、ワイヤやチェーン等を用いたものであれば同様の効果を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る電線仮支持装置は、垂直アームと垂直アームに繋がって設けられた電線把持部を有する電線仮支持部と、垂直アームに沿って上下に移動可能な複数の支持部材とを有して構成され、支持部材のいずれかを支持物把持部にて支持物(電柱または腕金)に固定し、支持部材の別のいずれか垂直アーム把持部にて垂直アームに固定し、垂直アーム持上げ装置の一端を垂直アームか垂直アームに固定された支持部材に係止し、垂直アーム持上げ装置の他端を電柱に固定された支持部材に係止して、垂直アームと電線仮支持部部と電線把持部材とを上下動可能にしているため、支持部材の支持物把持部で、支持物の任意の位置に電線仮支持装置を取り付け可能となり、装置の取り付け及び作業を容易にすることができる。また、少なくとも2つの支持部材を支持物に固定することにより、電線仮支持装置にかかる横方向の荷重に対して安定して支持することが可能である。なお、本発明に係る仮支持装置を用いることができる工事は丈尺が同一かまたは支持点高さの変更が無い装柱工事だけでなく、丈尺が異なる電柱建替え工事や支持点高さが変更になる装柱工事にも適用可能である。
【0042】
あるいは、本発明に係る電線仮支持装置を一つの支持部材で構成することができ、簡単な構成で電線を任意の位置に仮支持可能であるが、この場合は、横方向の荷重に対するために支持部材の縦方向の長さをある程度長くすることで対応することができる。
【0043】
さらに、支持物把持部には支持物に係止するための電柱把持部と腕金に係止するための腕金把持部のいずれか一方または両方を有するように構成することにより、本発明に係る電線仮支持装置を支持物の任意の箇所に取り付けることが可能であり、適用可能な工事の範囲を広げることにより、工事に必要な装置を少なくすることができ、且つ、作業効率を向上させることができる。
【0044】
また、電線仮支持部により配電線の1回線分の電線を一括して仮支持することも可能であり、少ない構成部材で構成可能であるとともに、一回の作業で電線の仮支持が可能なため、作業効率を向上させることができ、さらに、電線に直接接触することなく、電線を離隔を保って電柱上方に仮支持できるため、安全に作業を行うことができる。
【0045】
さらに、ベルトを巻上げ繰出しする方法とし、手動又は油圧モータで構成することができるようにすることにより、支持する電線の重量に合わせて、軽い電線の場合は手動で簡単な構成とすることができ、また、重い電線に対しては油圧モータで構成とすることができるため、状況に応じて装置の構成を選択可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線仮支持装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る電線仮支持装置における支持部材を示し、同図(a)は上方から見た平面図であり、同図(b)は電柱に固定した状態を側方から見た側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における第1の状態を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における第2の状態を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における第3の状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における第4の状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における第5の状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における第6の状態を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における第7の状態を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における第8の状態を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態における第9の状態を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における第10の状態を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態における第11の状態を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施形態における第12の状態を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態における電柱仮支持装置の取り付け状態を示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態における電柱仮支持装置の取り付け状態を示す図である。
【符号の説明】
1 電線仮支持装置
2 垂直アーム
3 電線仮支持部
4 電線把持部材
5 支持部材
8 垂直アーム持上げ装置
8a 荷締機(調節手段)
8b ベルト(ひも状部材)
10 電柱
16 腕金
30 垂直アーム把持部
32 支持物把持部
35 電柱把持部
36 腕金把持部
Claims (5)
- 垂直アームと、
前記垂直アームの上端に繋がって水平に延びるように配設され、電線把持部材を有する電線仮支持部と、
前記垂直アームに沿って上下に移動可能な複数の支持部材と、
ひも状部材と、
前記ひも状部材の長さを調節する調節手段とを備えて構成され、
前記支持部材が、前記垂直アームに固定可能な垂直アーム把持部と、支持物に固定可能な支持物把持部とを有して構成され、
前記複数の支持部材のいずれかを前記支持物把持部により前記支持物に固定し、前記複数の支持部材の別のいずれかを前記垂直アーム把持部により前記垂直アームに固定し、
前記ひも状部材の一端を前記垂直アームに固定された前記支持部材もしくは前記垂直アームに係止し、前記ひも状部材の他端を前記支持物に固定された前記支持部材に係止した状態で、前記調節手段により前記ひも状部材の長さを調節して、前記垂直アームと前記電線仮支持部と前記電線把持部材とを前記支持物に固定された支持部材に沿って上下動させるように構成し、且つ、前記垂直アームに前記支持部材をピンなどで固定し、前記固定した支持部材が前記垂直アームの上下動に連動して上下動されるように構成したことを特徴とする電線仮支持装置。 - 垂直アームと、
前記垂直アームの上端に繋がって水平に延びるように配設され、電線把持部材を有する電線仮支持部と、
前記垂直アームに沿って上下に移動可能な一つの支持部材と、
ひも状部材と、
前記ひも状部材の長さを調節する調節手段とを備えて構成され、
前記支持部材が、前記垂直アームに固定可能な垂直アーム把持部と、支持物に固定可能な支持物把持部とを有して構成され、
前記支持部材を前記支持物把持部により前記支持物に固定し、
前記ひも状部材の一端を前記垂直アームに係止し、前記ひも状部材の他端を前記支持部材に係止した状態で、前記調節手段により前記ひも状部材の長さを調節して、前記垂直アームと前記電線仮支持部と前記電線把持部材とを前記支持部材に沿って上下動させるように構成したことを特徴とする電線仮支持装置。 - 前記支持物把持部が、前記支持物を構成する電柱に前記支持部材を固定するための電柱把持部を有し、前記電柱に沿って上下に移動させることができるように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電線仮支持装置。
- 前記支持物把持部が、前記支持物を構成する腕金に前記支持部材を固定するための腕金把持部を有して構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電線仮支持装置。
- 前記調節手段が、前記ひも状部材を巻き上げ繰り出しを行う巻上繰出手段であり、手動又は油圧モータによる巻上繰出手段で構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電線仮支持装置。
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