JP2004056193A - 圧電振動子及びその製造方法 - Google Patents
圧電振動子及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004056193A JP2004056193A JP2002206928A JP2002206928A JP2004056193A JP 2004056193 A JP2004056193 A JP 2004056193A JP 2002206928 A JP2002206928 A JP 2002206928A JP 2002206928 A JP2002206928 A JP 2002206928A JP 2004056193 A JP2004056193 A JP 2004056193A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lid
- metal
- binary alloy
- case
- alloy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2924/00—Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
- H01L2924/15—Details of package parts other than the semiconductor or other solid state devices to be connected
- H01L2924/161—Cap
- H01L2924/1615—Shape
- H01L2924/16195—Flat cap [not enclosing an internal cavity]
Landscapes
- Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
Abstract
【課題】小型化、高信頼性に適する振動子を実現する。
【解決手段】金属製の蓋体20に2元合金の層を施し、この2元合金と、セラミックケースに設けたメタライズ層、もしくは、金属製のケースとを、電子ビームを用いて封着する。その2元合金の合金の配合比を調整することにより、融点を300℃〜900℃の範囲に調節する。これにより、信頼性の高い、高真空度の振動子を実現する。
【選択図】 図2
【解決手段】金属製の蓋体20に2元合金の層を施し、この2元合金と、セラミックケースに設けたメタライズ層、もしくは、金属製のケースとを、電子ビームを用いて封着する。その2元合金の合金の配合比を調整することにより、融点を300℃〜900℃の範囲に調節する。これにより、信頼性の高い、高真空度の振動子を実現する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
携帯電話、移動体通信もしくは、小型携帯機器の分野で主に使用される小型で高信頼性の圧電振動子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面実装用の小型圧電振動子や発振器に用いられるパッケージや保持器には、一般にセラミックケースが用いられている。また、その封止方法には、シーム溶接(抵抗溶接)や低融点ガラス、金スズ半田などの高温半田、樹脂、電子ビームなどの技術が用いられている。
【0003】
特に、小型化の要求は高く、圧電振動子を小型化するために振動片の小型化追求が行われている。しかし、圧電振動片を小型化することは、その等価直列抵抗を高くすることに繋がるため、圧電振動片単体での改善は困難になる。それを回避する方策として、圧電振動片を搭載するケースの内部雰囲気を窒素ガスに換えて真空にする必要が高まっている。そのため、従来用いられてきた金−錫半田封止等に替わり、電子ビーム封止(特開平09−246415号公報)が効果的な方法として用いられる様になった。しかし、電子ビーム封止を用いる場合の条件として、ケース、もしくは蓋にクラット化した銀ろう材を貼り付けることが必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
小型で高性能の圧電振動子を得ようとする場合、ケースは、高気密であり、高真空を維持できることが条件となる。かつ、周波数精度を高めるためには、封止時に振動片に高い温度をかけないことが条件となる。金−錫半田の場合は、封止時にガスの発生が少ないので高品質の封止が可能であるが、封止時の温度が400℃程度に達するため、その熱により振動片の周波数変化が生じ、高精度化が難しい。また、金−錫の半田を成型で打ち抜き、取り付けなければならず、価格アップの要素となる。それに対し電子ビーム封止では、封止材としてクラッド化された金属ろう材を用いているために、低価格であり、圧電振動片全体の温度を上げないというメリットがある。しかし、周囲を高真空にして、電子ビームで加熱し、金属ろう材を溶融したときに、金属ろう材からガスが発生し、ケース内部の真空度を低下させる問題をもっていた。この問題を回避する方法として、電子ビームを2回に分けて照射する方法(特開2001−257279号公報)や、接合した金属ろう材の表面にニッケルをメッキする方法等が提案されてきた。しかしこれらの方法は、根本的にガスを発生する金属ろう材を使用している点に於いて、完全な対策とはなっていない。また、電子ビーム照射を2回以上に分ける方法では、一回目の照射後、極小さい隙間から内部に充満したガスを引きなおすために、真空引きに時間を要するという問題を持ち、また、一回目と二回目の照射の境界部分の気密が不完全になる問題を有している。また、金属ろう材の上にニッケルをフラッシュメッキで形成する方法は、電子ビームを照射したとき、金属ろう材が溶解しガスを発生させることは同じであり、大きな効果は見込めない上に、表面にメッキしたニッケルの融点が、金属ろう材よりも高いために金属ろう材が溶解してもニッケルの溶解が不完全となり、信頼性の高い安定した接合を得難いという問題を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明の振動子は、振動片を収納するケース体に金属製の蓋体がかぶされて密閉された構成であって、蓋体と接合する部位のケース体は金属層で構成され、蓋体の表面に形成された300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を溶融させて金属層に封着している。ここで、ケース体をセラミックで形成し、蓋体と接合する部位のセラミックケースにはメタライズ層を設け、2元合金を溶融させてメタライズ層に封着してもよい。本発明においては、根本的に溶解時にガスを発生するクラッド化した金属ろう材を用いず、その代わりに、蓋体である金属の表面に2元合金からなる金属のメッキ層を形成する。ここで、2元合金からなる金属は、元素の配合比及び構成を適切に行うことにより、その融点を300℃〜900℃の範囲に制御した合金であり、メッキによって蓋体の表面に設けられる。その蓋体をセラミックケースのメタライズ層の上に置き、その蓋体に電子ビームを照射することで、蓋体である金属を瞬間的に加熱し、その熱で電子ビーム照射の反対面にあるメッキ層を溶解して、下にあるケース体の金属層に封着するものである。
【0006】
さらに、本発明による振動子の製造方法によれば、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を設け、蓋体と接合する部分に金属層が形成されたケース体に蓋体をかぶせ、蓋体を加熱することで金属層と接触した2元合金を溶融させて、蓋体とケース体を接合する。あるいは、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を設け、蓋体と接合する部分にメタライズ層が形成されたセラミックケースにメタライズ層と2元合金が接触するように蓋体をかぶせ、蓋体を加熱することにより2元合金を溶融させて、2元合金をメタライズ層に封着することにより蓋体とセラミックケースを接合する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の振動子は、振動片を収納するケース体と金属製の蓋体を備えており、蓋体の表面に設けられた300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を溶融させてケース体の上面外周に形成された金属層に封着し、振動片をケース体と蓋体で密閉する構成である。
【0008】
あるいは、本発明の振動子は、振動片を収納するセラミックケースと金属製の蓋体とを備えており、蓋体の表面に設けられた300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を溶融させて、セラミックケースの上面外周に設けられたメタライズ層に封着し、振動片をセラミックケースと蓋体で密閉する構成である。
【0009】
ここで、2元合金としては、ニッケルとリンの合金、錫と銅の合金、金と錫の合金、または、銀と銅の合金が考えられ、これらの合金はメッキによって3μm以上20μm以下の厚みで蓋体の表面に形成することができる。
【0010】
さらに、本発明の圧電振動子の製造方法は、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金をメッキ処理により設ける工程と、少なくとも上面外周が金属層で形成されたケース体に、この金属層と2元合金が接触するように、蓋体をかぶせる工程と、蓋体を加熱して2元合金を溶融させて金属層に封着する工程と、を備えることにより、圧電振動片をケース体と蓋体との内部に密閉する。
【0011】
あるいは、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金をメッキ処理により設け、上面外周にメタライズ層が設けられたセラミックケースに、メタライズ層と2元合金が接触するように、蓋体をかぶせ、蓋体を加熱することにより、2元合金を溶融させてメタライズ層に封着することにより、振動片をセラミックケースと蓋体との内部に密閉する。
【0012】
ここで、蓋体を加熱するために、蓋体に電子ビームを照射することとした。さらに、電子ビームは、蓋体がケース体と接合する側の反対側から、蓋体とケース体との接合部に沿って照射されることとした。
【0013】
【実施例】
図1は、この発明による水晶振動子の一実施例を示す斜視図である。コバー材等の金属材料からなる蓋体20は、圧延された金属材料をプレス成型して打ち抜く、その表面に2元合金のメッキ層21を設ける。2元合金の種類は、ニッケルとリン、錫と銅、金と錫、銀と銅などの組合せが可能であり、その配合比率を調整することで、合金の融点を調節することが可能である。ニッケルとリンの場合は、リンの比率を重量比で12%近傍にすることで、融点を880℃にすることが可能である。また、錫と銅の場合は、銅の含有量を重量比50〜60%にすることで、融点を640℃程度に調節することが可能である。また、これらの合金は、容易にメッキ法により、金属表面にメッキ層の形成ができることが特徴である。
【0014】
このようして合金のメッキ層が表面に形成された蓋体を、セラミックケース10の側面部の上面にメタライズ層11を設けたケースの上に置き、全体を高真空にする。そして、その上面から、電子ビーム30を用いて蓋体の上面を加熱することにより、電子ビーム照射面の反対側にあるメッキ層を溶融し、下にあるセラミックケースのメタライズ層と封着させ、ケース内を高真空に保持する。このとき、電子ビームは、溶解させるメッキ層に直接に照射するのではなく、蓋体の金属に照射し、金属が加熱されることで、その反対側にあるメッキ層を溶解している。したがって、クラット化した金属ろう材を金属蓋体に機械的につけるのと比較して、純度を高めることが可能であり、接合部分の不純物も少ないことから、メッキ層からのガス発生を少なく抑えることが可能である。
【0015】
本実施例による圧電振動子の概略の断面構成を図2に模式的に示す。蓋体20の表面には、全面に2元合金のメッキ層が形成されている。セラミックケース10内には支持電極40が圧電振動片90を支持するように設けられ、さらに、外部電極50に電気的に接続されている。そして、蓋体20をセラミックケース10の上面に形成したメタライズ層の上に置き、蓋体に電子ビームを照射させる。電子ビームの照射により、蓋体の上面のメッキは蓋体の金属と一緒に溶解し合金化するが、蓋体の照射面の反対面にあるメッキ層は蓋体の加熱を熱源として溶融し、下のメタライズ層に封着する。これにより、均一で安定した、気密封止が可能となる。また、電子ビームで直接メッキ部を加熱するのではなく、一旦、蓋体を熱源にしてメッキ部を溶融するため、蓋体の金属の熱容量が干渉材の効果をなし、安定的に封着することが可能となる。ここで、メッキ層の厚みは、実験的な範囲から、3μmから20μmの範囲が妥当である。メッキ層の適切な厚みは、セラミックケースの表面粗さとメタライズ層の表面平坦度に依存する。メッキ層が薄い場合は、封着材となる部分が少なく、接着不良が生じやすい。また、メッキ層が厚すぎる場合は、メッキ層の平坦度が劣化し、密着性が悪くなると伴に、溶融する部材が多すぎて、封着部分からはみ出すことになり、ケース内部にはみ出すので、ケースの状態にあわせ適切な厚みを選定する必要がある。
【0016】
セラミックケース10の替わりに、金属を成型したケースを使用した圧電振動子の断面構成を図3に示す。図示するように、外部電極端子80はハーメチックシール70を用いて金属ケース60の外部に引き出されている。金属を成型したケースの場合は、セラミックケースと比較して、接合面の平坦度が高く、安定した封着品質があられるのが特徴である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高真空で機密性の高い圧電振動子を実現することが可能となる。従来の蓋体の裏にクラット化したろう材を設けて電子ビームで封着する方法では、ろう材と金属蓋体の界面から発生するガスにより、ケース内部を高真空にすることが難しく、封止方法等を変えることで対応せざるを得なかった。更に、クラット化したろう材を金属蓋体に接合するには、冷間圧延等の技術が用いられているが、ろう材の厚みが薄く正確に管理することが困難で、製造のバラツキ要因となっていた。これに対し、2元合金をメッキ法で形成することにより、ガスの発生を無くするとともに、安価で、安定したメッキ層の厚み管理が可能になる。そのため、信頼性の高い圧電振動子の製造原価が大幅に削減され、また、安定した加工条件を維持することが可能となる。
【0018】
本発明は、特にAT振動子、音叉振動子等の高真空、高信頼性を必要とする圧電振動子を安価に実現する手段として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の圧電振動子の構成と封着方法を示す斜視図である。
【図2】
本発明の圧電振動子の概略構造を示す断面図である。
【図3】
圧電振動子の保持器に金属ケースを使用した構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 セラミックケース
11 メタライズ層
20 蓋体
21 メッキ層
30 電子ビーム
40 支持電極
50 外部電極
90 圧電振動片
【発明の属する技術分野】
携帯電話、移動体通信もしくは、小型携帯機器の分野で主に使用される小型で高信頼性の圧電振動子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面実装用の小型圧電振動子や発振器に用いられるパッケージや保持器には、一般にセラミックケースが用いられている。また、その封止方法には、シーム溶接(抵抗溶接)や低融点ガラス、金スズ半田などの高温半田、樹脂、電子ビームなどの技術が用いられている。
【0003】
特に、小型化の要求は高く、圧電振動子を小型化するために振動片の小型化追求が行われている。しかし、圧電振動片を小型化することは、その等価直列抵抗を高くすることに繋がるため、圧電振動片単体での改善は困難になる。それを回避する方策として、圧電振動片を搭載するケースの内部雰囲気を窒素ガスに換えて真空にする必要が高まっている。そのため、従来用いられてきた金−錫半田封止等に替わり、電子ビーム封止(特開平09−246415号公報)が効果的な方法として用いられる様になった。しかし、電子ビーム封止を用いる場合の条件として、ケース、もしくは蓋にクラット化した銀ろう材を貼り付けることが必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
小型で高性能の圧電振動子を得ようとする場合、ケースは、高気密であり、高真空を維持できることが条件となる。かつ、周波数精度を高めるためには、封止時に振動片に高い温度をかけないことが条件となる。金−錫半田の場合は、封止時にガスの発生が少ないので高品質の封止が可能であるが、封止時の温度が400℃程度に達するため、その熱により振動片の周波数変化が生じ、高精度化が難しい。また、金−錫の半田を成型で打ち抜き、取り付けなければならず、価格アップの要素となる。それに対し電子ビーム封止では、封止材としてクラッド化された金属ろう材を用いているために、低価格であり、圧電振動片全体の温度を上げないというメリットがある。しかし、周囲を高真空にして、電子ビームで加熱し、金属ろう材を溶融したときに、金属ろう材からガスが発生し、ケース内部の真空度を低下させる問題をもっていた。この問題を回避する方法として、電子ビームを2回に分けて照射する方法(特開2001−257279号公報)や、接合した金属ろう材の表面にニッケルをメッキする方法等が提案されてきた。しかしこれらの方法は、根本的にガスを発生する金属ろう材を使用している点に於いて、完全な対策とはなっていない。また、電子ビーム照射を2回以上に分ける方法では、一回目の照射後、極小さい隙間から内部に充満したガスを引きなおすために、真空引きに時間を要するという問題を持ち、また、一回目と二回目の照射の境界部分の気密が不完全になる問題を有している。また、金属ろう材の上にニッケルをフラッシュメッキで形成する方法は、電子ビームを照射したとき、金属ろう材が溶解しガスを発生させることは同じであり、大きな効果は見込めない上に、表面にメッキしたニッケルの融点が、金属ろう材よりも高いために金属ろう材が溶解してもニッケルの溶解が不完全となり、信頼性の高い安定した接合を得難いという問題を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明の振動子は、振動片を収納するケース体に金属製の蓋体がかぶされて密閉された構成であって、蓋体と接合する部位のケース体は金属層で構成され、蓋体の表面に形成された300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を溶融させて金属層に封着している。ここで、ケース体をセラミックで形成し、蓋体と接合する部位のセラミックケースにはメタライズ層を設け、2元合金を溶融させてメタライズ層に封着してもよい。本発明においては、根本的に溶解時にガスを発生するクラッド化した金属ろう材を用いず、その代わりに、蓋体である金属の表面に2元合金からなる金属のメッキ層を形成する。ここで、2元合金からなる金属は、元素の配合比及び構成を適切に行うことにより、その融点を300℃〜900℃の範囲に制御した合金であり、メッキによって蓋体の表面に設けられる。その蓋体をセラミックケースのメタライズ層の上に置き、その蓋体に電子ビームを照射することで、蓋体である金属を瞬間的に加熱し、その熱で電子ビーム照射の反対面にあるメッキ層を溶解して、下にあるケース体の金属層に封着するものである。
【0006】
さらに、本発明による振動子の製造方法によれば、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を設け、蓋体と接合する部分に金属層が形成されたケース体に蓋体をかぶせ、蓋体を加熱することで金属層と接触した2元合金を溶融させて、蓋体とケース体を接合する。あるいは、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を設け、蓋体と接合する部分にメタライズ層が形成されたセラミックケースにメタライズ層と2元合金が接触するように蓋体をかぶせ、蓋体を加熱することにより2元合金を溶融させて、2元合金をメタライズ層に封着することにより蓋体とセラミックケースを接合する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の振動子は、振動片を収納するケース体と金属製の蓋体を備えており、蓋体の表面に設けられた300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を溶融させてケース体の上面外周に形成された金属層に封着し、振動片をケース体と蓋体で密閉する構成である。
【0008】
あるいは、本発明の振動子は、振動片を収納するセラミックケースと金属製の蓋体とを備えており、蓋体の表面に設けられた300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層を溶融させて、セラミックケースの上面外周に設けられたメタライズ層に封着し、振動片をセラミックケースと蓋体で密閉する構成である。
【0009】
ここで、2元合金としては、ニッケルとリンの合金、錫と銅の合金、金と錫の合金、または、銀と銅の合金が考えられ、これらの合金はメッキによって3μm以上20μm以下の厚みで蓋体の表面に形成することができる。
【0010】
さらに、本発明の圧電振動子の製造方法は、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金をメッキ処理により設ける工程と、少なくとも上面外周が金属層で形成されたケース体に、この金属層と2元合金が接触するように、蓋体をかぶせる工程と、蓋体を加熱して2元合金を溶融させて金属層に封着する工程と、を備えることにより、圧電振動片をケース体と蓋体との内部に密閉する。
【0011】
あるいは、金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金をメッキ処理により設け、上面外周にメタライズ層が設けられたセラミックケースに、メタライズ層と2元合金が接触するように、蓋体をかぶせ、蓋体を加熱することにより、2元合金を溶融させてメタライズ層に封着することにより、振動片をセラミックケースと蓋体との内部に密閉する。
【0012】
ここで、蓋体を加熱するために、蓋体に電子ビームを照射することとした。さらに、電子ビームは、蓋体がケース体と接合する側の反対側から、蓋体とケース体との接合部に沿って照射されることとした。
【0013】
【実施例】
図1は、この発明による水晶振動子の一実施例を示す斜視図である。コバー材等の金属材料からなる蓋体20は、圧延された金属材料をプレス成型して打ち抜く、その表面に2元合金のメッキ層21を設ける。2元合金の種類は、ニッケルとリン、錫と銅、金と錫、銀と銅などの組合せが可能であり、その配合比率を調整することで、合金の融点を調節することが可能である。ニッケルとリンの場合は、リンの比率を重量比で12%近傍にすることで、融点を880℃にすることが可能である。また、錫と銅の場合は、銅の含有量を重量比50〜60%にすることで、融点を640℃程度に調節することが可能である。また、これらの合金は、容易にメッキ法により、金属表面にメッキ層の形成ができることが特徴である。
【0014】
このようして合金のメッキ層が表面に形成された蓋体を、セラミックケース10の側面部の上面にメタライズ層11を設けたケースの上に置き、全体を高真空にする。そして、その上面から、電子ビーム30を用いて蓋体の上面を加熱することにより、電子ビーム照射面の反対側にあるメッキ層を溶融し、下にあるセラミックケースのメタライズ層と封着させ、ケース内を高真空に保持する。このとき、電子ビームは、溶解させるメッキ層に直接に照射するのではなく、蓋体の金属に照射し、金属が加熱されることで、その反対側にあるメッキ層を溶解している。したがって、クラット化した金属ろう材を金属蓋体に機械的につけるのと比較して、純度を高めることが可能であり、接合部分の不純物も少ないことから、メッキ層からのガス発生を少なく抑えることが可能である。
【0015】
本実施例による圧電振動子の概略の断面構成を図2に模式的に示す。蓋体20の表面には、全面に2元合金のメッキ層が形成されている。セラミックケース10内には支持電極40が圧電振動片90を支持するように設けられ、さらに、外部電極50に電気的に接続されている。そして、蓋体20をセラミックケース10の上面に形成したメタライズ層の上に置き、蓋体に電子ビームを照射させる。電子ビームの照射により、蓋体の上面のメッキは蓋体の金属と一緒に溶解し合金化するが、蓋体の照射面の反対面にあるメッキ層は蓋体の加熱を熱源として溶融し、下のメタライズ層に封着する。これにより、均一で安定した、気密封止が可能となる。また、電子ビームで直接メッキ部を加熱するのではなく、一旦、蓋体を熱源にしてメッキ部を溶融するため、蓋体の金属の熱容量が干渉材の効果をなし、安定的に封着することが可能となる。ここで、メッキ層の厚みは、実験的な範囲から、3μmから20μmの範囲が妥当である。メッキ層の適切な厚みは、セラミックケースの表面粗さとメタライズ層の表面平坦度に依存する。メッキ層が薄い場合は、封着材となる部分が少なく、接着不良が生じやすい。また、メッキ層が厚すぎる場合は、メッキ層の平坦度が劣化し、密着性が悪くなると伴に、溶融する部材が多すぎて、封着部分からはみ出すことになり、ケース内部にはみ出すので、ケースの状態にあわせ適切な厚みを選定する必要がある。
【0016】
セラミックケース10の替わりに、金属を成型したケースを使用した圧電振動子の断面構成を図3に示す。図示するように、外部電極端子80はハーメチックシール70を用いて金属ケース60の外部に引き出されている。金属を成型したケースの場合は、セラミックケースと比較して、接合面の平坦度が高く、安定した封着品質があられるのが特徴である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高真空で機密性の高い圧電振動子を実現することが可能となる。従来の蓋体の裏にクラット化したろう材を設けて電子ビームで封着する方法では、ろう材と金属蓋体の界面から発生するガスにより、ケース内部を高真空にすることが難しく、封止方法等を変えることで対応せざるを得なかった。更に、クラット化したろう材を金属蓋体に接合するには、冷間圧延等の技術が用いられているが、ろう材の厚みが薄く正確に管理することが困難で、製造のバラツキ要因となっていた。これに対し、2元合金をメッキ法で形成することにより、ガスの発生を無くするとともに、安価で、安定したメッキ層の厚み管理が可能になる。そのため、信頼性の高い圧電振動子の製造原価が大幅に削減され、また、安定した加工条件を維持することが可能となる。
【0018】
本発明は、特にAT振動子、音叉振動子等の高真空、高信頼性を必要とする圧電振動子を安価に実現する手段として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の圧電振動子の構成と封着方法を示す斜視図である。
【図2】
本発明の圧電振動子の概略構造を示す断面図である。
【図3】
圧電振動子の保持器に金属ケースを使用した構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 セラミックケース
11 メタライズ層
20 蓋体
21 メッキ層
30 電子ビーム
40 支持電極
50 外部電極
90 圧電振動片
Claims (6)
- 振動片を収納するケース体に金属製の蓋体をかぶせて密閉してなる振動子であって、
前記蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金のメッキ層が設けられ、前記ケース体の前記蓋体と接合する部位は金属層で形成されるとともに、前記2元合金のメッキ層を溶融させて前記金属層に封着したことを特徴とする圧電振動子。 - 前記2元合金が、ニッケルとリンの合金、錫と銅の合金、金と錫の合金、または、銀と銅の合金、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の振動子。
- 前記2元合金のメッキ層の厚みが3μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動子。
- 金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金をメッキ処理により設ける工程と、前記蓋体と接合する部位が金属層で形成されたケース体に、前記金属層と前記2元合金が接触するように、前記蓋体をかぶせる工程と、前記蓋体を加熱して、前記2元合金を溶融させて前記金属層に封着することにより、前記ケース体と前記蓋体で圧電振動片を密閉する工程と、を備えることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
- 金属製の蓋体の表面に300℃〜900℃の融点を持つ2元合金をメッキ処理により設け、前記蓋体と接合する部位にメタライズ層が設けられたセラミックのケース体に、前記メタライズ層と前記2元合金が接触するように、前記蓋体をかぶせ、前記蓋体を加熱して、前記2元合金を溶融させ、前記2元合金を前記メタライズ層に封着することにより、前記ケース体と前記蓋体により圧電振動片を密閉することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
- 前記蓋体に電子ビームを照射することにより、前記蓋体を加熱することを特徴とする請求項4または5に記載の振動子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002206928A JP2004056193A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 圧電振動子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002206928A JP2004056193A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 圧電振動子及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004056193A true JP2004056193A (ja) | 2004-02-19 |
JP2004056193A5 JP2004056193A5 (ja) | 2005-09-29 |
Family
ID=31931520
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002206928A Withdrawn JP2004056193A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 圧電振動子及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004056193A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007142231A (ja) * | 2005-11-21 | 2007-06-07 | Nec Schott Components Corp | 電子部品用パッケージおよびその製造方法 |
JP2007300406A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Kyocera Kinseki Corp | 圧電デバイス |
-
2002
- 2002-07-16 JP JP2002206928A patent/JP2004056193A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007142231A (ja) * | 2005-11-21 | 2007-06-07 | Nec Schott Components Corp | 電子部品用パッケージおよびその製造方法 |
JP2007300406A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Kyocera Kinseki Corp | 圧電デバイス |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI280733B (en) | Piezoelectric oscillator, manufacturing method thereof, and mobile phone and electronic apparatus using the same | |
JP2007012728A (ja) | 圧電振動子パッケージ及びその製造方法ならびに物理量センサー | |
JP2004208236A (ja) | 圧電デバイスとその製造方法ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話装置および圧電デバイスを利用した電子機器 | |
JP2010177810A (ja) | 圧電振動デバイスおよび圧電振動デバイスの製造方法 | |
JP2000353919A (ja) | 表面実装水晶発振器 | |
JP3977682B2 (ja) | 水晶振動子及びその保持構造 | |
JP2009232327A (ja) | 圧電振動子パッケージの製造方法 | |
JP3922570B2 (ja) | 圧電デバイスと圧電デバイス用パッケージ、圧電デバイスの製造方法、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話装置ならびに圧電デバイスを利用した電子機器 | |
JP2003158208A (ja) | 圧電デバイス及びその製造方法 | |
JP2004056193A (ja) | 圧電振動子及びその製造方法 | |
KR950012947B1 (ko) | 발진기 | |
JP3401781B2 (ja) | 電子部品用パッケージおよび電子部品用パッケージの製造方法 | |
JP2008186917A (ja) | 電子部品収納用パッケージ、電子装置、およびその製造方法 | |
JP2007318209A (ja) | 表面実装型圧電振動デバイス、およびその製造方法 | |
JP2007173973A (ja) | 水晶デバイスの製造方法 | |
JP2007142231A (ja) | 電子部品用パッケージおよびその製造方法 | |
JP2001274649A (ja) | 水晶振動デバイスの気密封止方法 | |
JP2004281545A (ja) | 圧電デバイス用パッケージの封止方法並びにパッケージの蓋体及び圧電デバイス | |
JP3374395B2 (ja) | 電子部品用パッケージ | |
JP2004055580A (ja) | 電子部品パッケージ封止用蓋体 | |
JP2004179332A (ja) | 電子装置 | |
JP2001110922A (ja) | 電子部品用パッケージ | |
JP3886437B2 (ja) | 小型電子部品パッケージの封止構造 | |
JPH11261360A (ja) | 圧電振動子の製造方法 | |
JP2006129185A (ja) | 封止装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20040304 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050511 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050511 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070109 |