JP2004056177A - 増幅回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型ワンチップで数十ワット以上の出力を出し、スイッチングノイズを大幅に低減することが可能な増幅回路を提供することを目的とする。
【解決手段】PWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12と負帰還回路13とを一つのハイブリッドIC14で構成し、前記PWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12の各電源および各グランドを独立する構成とした増幅回路であり、出力スイッチング回路12で発生するスイッチングノイズがPWMドライバ回路11に影響しないため、歪率や残留ノイズなどのオーディオ特性が改善できる。
【選択図】 図1
【解決手段】PWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12と負帰還回路13とを一つのハイブリッドIC14で構成し、前記PWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12の各電源および各グランドを独立する構成とした増幅回路であり、出力スイッチング回路12で発生するスイッチングノイズがPWMドライバ回路11に影響しないため、歪率や残留ノイズなどのオーディオ特性が改善できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオーディオ用などの高効率なデジタルアンプのパワー部に用いられる増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、DVDサラウンドなどのオーディオ装置のマルチチャンネル化にともない増幅回路も5チャンネル以上必要となり、一つの筐体中に収めるためには、そのパワーアンプとなる増幅回路も小型、高効率化が必須条件となってきている。PWMアンプ、PDMアンプなどのデジタルアンプはその有効手段となってきており、特にデジタルアンプはスイッチング出力を用いるために、A級、B級アンプに比べて高効率化が可能となる。しかし、これらを小型化すると配線のインピーダンスが高くなりスイッチングノイズを発生しやすくなる。結果として、音質を決める特性である歪率や残留ノイズに悪影響を与えることになる。
【0003】
このため増幅回路のプリント基板は、基準電位となるグランドおよび出力段への電流を供給するパターンを太く配線することにより、低インピーダンス化を図ることが定石とされてきた。また、PWMなどのデジタルアンプにおいては、スイッチングノイズの影響を低減するためにグランドパターンの設計はさらに重要となり、可能な限りグランドパターンを広く取るなどの方法によりスイッチングノイズの低減に努めてきた。
【0004】
このスイッチングノイズの問題を解決するための手段として、特開平5−67925号公報に記載されたものが知られている。
【0005】
図5は従来の増幅回路のブロック図である。出力段トランジスタ1に対し、通常はヒステリシスコンパレータ3により制御されるスイッチングトランジスタ2でスイッチングして平滑コイル5で平滑した電源を供給している。しかし出力段トランジスタ1に急峻な入力電源が必要になった場合は、補助電源制御用トランジスタ4からスイッチングトランジスタ2で対応できない電源を供給するようにしている。そして出力段トランジスタ1を含む回路部6と、スイッチングトランジスタ2および補助電源制御用トランジスタ4を含む回路部7とを別々のパワーICで構成することにより、出力段へのスイッチングノイズの影響を少なくできるように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この増幅回路においては、主電流および補助電源を分割することによりスイッチングノイズを低減することが可能となっているが、さらに小型化するためには増幅回路のワンチップ化が必要である。
【0007】
しかし、増幅回路のワンチップ化はスイッチングノイズが大きくなりオーディオ特性が劣化するという課題を有していた。
【0008】
本発明はこの課題を解決するものであり、小型ワンチップで数十ワット以上の出力を出し、スイッチングノイズを大幅に低減することが可能な増幅回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、入力端子からアナログ信号を入力しゲート駆動信号を生成するPWMドライバ回路と、このゲート駆動信号により電源電圧をスイッチングする出力スイッチング回路と、この出力スイッチング回路のPWM信号を前記PWMドライバ回路の入力端子に帰還する負帰還回路からなる増幅回路において、前記PWMドライバ回路と出力スイッチング回路と負帰還回路とを一つのハイブリッドICで構成し、前記PWMドライバ回路と出力スイッチング回路の各電源および各グランドを独立する構成とした増幅回路であり、出力スイッチング回路で発生するスイッチングノイズがPWMドライバ回路に影響しないため、歪率や残留ノイズなどのオーディオ特性が改善できる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、PWMドライバ回路と出力スイッチング回路の各電源および各グランドの配線パターンは、グランドパターンを中心にして+PWM出力パターンと−PWM出力パターンを左右対称に配置した構成の増幅回路であり、出力バランスのバラツキによる歪が低減できる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、出力スイッチング回路を構成する各MOSFETの電源とグランドおよびPWM出力の外部接続端子は、グランド端子を中心にして+PWM出力端子と−PWM出力端子を左右対称に配置し、さらにその外側に電源端子を配置した構成の増幅回路であり、残留ノイズの低減と外部出力端子の標準化が図れる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、出力スイッチング回路を構成する各MOSFETの電源、グランドおよびPWM出力の外部接続端子への配線パターンが最短となるように、前記各MOSFETを外部接続端子の近傍に配置した構成の増幅回路であり、出力インピーダンスを極力低減することができ、スイッチングノイズの発生を抑制し出力効率を高めることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の発明は、出力スイッチング回路を構成する各MOSFETを金属カバーで覆うと共に、この金属カバーを出力スイッチング回路のグランドに接続する構成とした増幅回路であり、出力スイッチング回路において発生するスイッチングノイズをシールドすることができるので、PWMドライバ回路へのスイッチングノイズの影響が抑制できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施の形態による増幅回路を用いたシステムブロック図である。入力端子を設けたバンドパスフィルタ回路26と、反転および非反転入力端子を有する差動アンプと三角波発生回路と電圧比較器などからなるPWMドライバ回路11と4個のMOSFET25のブリッジ回路からなる出力スイッチング回路12とローパスフィルタ回路からなる負帰還回路13とを一体化したハイブリッドIC14と、インダクターとコンデンサからなる出力フィルタ回路15と、スピーカ24とから構成される。
【0016】
増幅回路の配線は、入力端子からバンドパスフィルタ回路26に接続され、このバンドパスフィルタ回路26からPWMドライバ回路11の差動アンプの反転および非反転入力端子に接続され、このPWMドライバ回路11から出力スイッチング回路12のそれぞれ4個のMOSFET25のゲート端子に接続され、この出力スイッチング回路12から出力フィルタ回路15と負帰還回路13に接続される。ここでPWMドライバ回路11の電源およびグランドと出力スイッチング回路12の電源およびグランドとはそれぞれ独立した構成である。それぞれの負帰還回路13からはPWMドライバ回路11の差動アンプの反転および非反転入力端子に接続される。そして出力フィルタ回路15からスピーカ24に接続される。
【0017】
次に本発明の動作について説明する。オーディオ用パワーアンプとして本発明による増幅回路を用いる場合には、入力信号は一般にアナログ信号であり、まず入力端子からバンドパスフィルタ回路26を通じてオーディオ用信号として信号周波数を帯域制限する。可聴周波数全域を再生する場合は、20Hzから20kHzに帯域制限してフィルタ処理されたアナログの入力信号をPWMドライバ回路11に入力する。この入力部を差動入力の構成とすることにより、コモンモードとして入力信号にのったノイズを打ち消すことができる。
【0018】
PWMドライバ回路11において、あらかじめ設定された再生周波数より十分に高い周波数の三角波を発生し、そしてこのPWMドライバ回路11の内部の電圧比較器によってアナログ信号と三角波との電圧を比較することにより、入力信号の電圧に応じたデューティ比の矩形波のPWM信号と、MOSFET25からなるブリッジ回路を駆動してタイミング制御するゲート駆動信号を生成する。このゲート駆動信号は出力スイッチング回路12のそれぞれ4個のMOSFET25のゲートに入力され、電源電圧をスイッチングして+PWM出力信号と−PWM出力信号を出力する。これらの差動PWM出力信号において高出力を得るためにはMOSFET25のオン抵抗はスピーカ24などの負荷インピーダンスに比べ十分に小さいことが必要である。
【0019】
出力スイッチング回路12からの+PWM出力信号および−PWM出力信号は出力フィルタ回路15に入力されて高調波成分が取り除かれ、入力信号に比例した出力信号を再生することによりスピーカ24で音として再生することができる。
【0020】
このとき、増幅回路において電源電圧をスイッチングすることからパルス的な大電流が発生して電源およびグランドの電位は大きく振られスイッチングノイズを発生する。
【0021】
ハイブリッドIC14は小型、高集積化を目的としていることから、今回検証したハイブリッドIC14のサイズは60mm×30mmの小さな基板を用いている。ハイブリッドIC14の場合はその面積が限られており、配線パターンの幅を広く取ることが難しいため、配線のインピーダンスが高くなりスイッチングノイズの影響を受けやすくなってしまう。
【0022】
また、従来のように出力スイッチング回路12の近傍に大容量の電解コンデンサを実装することは、ハイブリッドIC14の面積の構成から不可能である。そのため、スイッチングノイズの影響でPWMドライバ回路11の三角波との比較において、ノイズ成分による誤差が発生し音質にかかわる歪率の劣化につながっていた。特に、大出力時には比較動作が正しく行われず誤動作するといった状況も発生していた。
【0023】
図2に本発明の一実施の形態による増幅回路の歪率特性図を示す。スイッチングアンプの場合、低出力の場合は残留ノイズなどの影響が大きく、高出力の場合は出力フィルタ回路15のコイルのコアとして用いる非線形な磁気特性に起因する歪の影響を大きく受けるため、高出力の場合には一定の傾きで歪率が大きくなる。
【0024】
PWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12のグランドを接続した場合は、「GND共通」の特性が示すように20W以上の高出力時に影響が大きく変化して歪率が劣化する。これは出力スイッチング回路12のスイッチングノイズが、PWMドライバ回路11に影響し異常発振を起こすことが原因である。またこの状態で出力を続けると、異常発振により正しく信号出力できない状態に陥ることがある。
【0025】
次にPWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12のグランドを別々に接続した場合は、「GND別」の特性が示すように20W以上の高出力時に歪率の大きな変化は見られず異常発振が発生していないことがわかる。また1W以下の低出力時における歪率も改善されている。
【0026】
以上の構成により、スイッチングノイズの影響を低減できることから、オーディオ用パワーアンプとしての残留ノイズの低減、また出力スイッチング回路12の動作の安定化による歪率の低減や消費電力の低減を図ることができ、高効率なPWM方式で高音質なオーディオ用パワーアンプにも用いることのできる増幅回路を小型ワンチップのハイブリッドIC14で実現することができる。
【0027】
図3に本発明の一実施の形態によるハイブリッドIC14の外観図および出力スイッチング回路12の周辺の配線パターン図を示す。その他の部品については省略している。出力スイッチング回路12のMOSFET25の+PWM出力パターン18と−PWM出力パターン17は、グランドパターン19を中心として+PWM出力パターン18と−PWM出力パターン17を左右対称に配置し、さらにその外側に電源パターン16を配置している。
【0028】
また、各パターンは可能な限りパターン幅を広く取り寸法的にも可能な限り左右対称とすることで、スイッチングノイズが電源、グランド、+PWM出力、−PWM出力に均等に発生することとなりPWM出力の残留ノイズを低減することができる。
【0029】
つまり、負荷となるスピーカ24の両端には、+PWM出力と−PWM出力が接続されている。その両出力に均等に電圧を加えるとスピーカ24には電流が発生せず音圧は発生しない。
【0030】
スイッチングノイズにおいても同様に、+PWM出力と−PWM出力の両方に全く同じスイッチングノイズが発生すればスイッチングノイズは打ち消されることになる。
【0031】
また、図1に示す負帰還回路13を通してフィードバックされたスイッチングノイズもPWMドライバ回路11の差動入力により前述したようにスイッチングノイズを打ち消すことができ、オーディオ用パワーアンプとしてさらなる残留ノイズの低減や歪率の低減を図ることができる。
【0032】
次に、図3において出力スイッチング回路12における各MOSFET25の電源端子20、+PWM出力端子23、−PWM出力端子21の配列について説明する。
【0033】
グランド端子22を中心として、+PWM出力端子23と−PWM出力端子21を左右対称に配置し、さらにその外側に電源端子20を配置した構成としている。そして、電源端子20は両側に各1本ずつ、+PWM出力端子23、グランド端子22、−PWM出力端子21はそれぞれ2本とすることにより各端子のインピーダンスを低減している。
【0034】
一例として、以上のような端子配列をハイブリッドIC14の右側に配し、図3には示していないがPWMドライバ回路11に関する接続端子を左側に配置する。
【0035】
このように接続端子の配列の構成を標準化することで、ハイブリッドIC14を実装するプリント基板の設計も標準化することができる。
【0036】
また、各MOSFET25を外部接続端子の近傍にそれぞれ設け、配線パターン長を最短化することにより、PWM出力部のインピーダンスを最小としスイッチングノイズの発生を最大限に抑制できる。
【0037】
図4に本発明の一実施の形態の金属カバーの構成図を示す。金属カバー27は透磁率の高い鉄や導電率の高いアルミニウムなどの金属材料でできており、出力スイッチング回路12を構成するMOSFET25を全て覆うように配置されている。
【0038】
そして、金属カバー27の一端を出力スイッチング回路12につながるグランドパターン19に電気的に接続する。またハイブリッドIC14の基板がアルミニウムなどの金属基板で構成されている場合は、金属カバー27の一端を出力スイッチング回路12につながるグランドパターン19の代わりに、ハイブリッドIC14を構成する金属基板に電気的接続することが望ましい。このように金属カバー27を設けることにより、出力スイッチング回路12において発生したスイッチングノイズのうち輻射ノイズとして発生するノイズをシールドすることができるため、スイッチングノイズの伝播をさらに小さくすることができる。
【0039】
以上の構成により、出力スイッチング回路12で発生したスイッチングノイズをシールドすることができるため、PWMドライバ回路11はノイズの影響を受けずオーディオ用パワーアンプとして更なる残留ノイズの低減ができ、また出力スイッチング回路12の動作の安定化も図れるため、歪率の低減や消費電力の低減を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、PWM増幅回路やPDM増幅回路などのデジタル増幅回路においてスイッチングノイズを低減できることから、PWMドライバ回路と出力スイッチング回路を単一のハイブリッドIC上に実装する構成で、数十ワット以上のオーディオ出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による増幅回路を用いたシステムブロック図
【図2】本発明の一実施の形態による増幅回路の歪率特性図
【図3】本発明の一実施の形態による増幅回路のハイブリッドICの外観図と出力スイッチング回路周辺の配線パターン図
【図4】本発明の一実施の形態による金属カバーの構成図
【図5】従来の増幅回路のブロック図
【符号の説明】
11 PWMドライバ回路
12 出力スイッチング回路
13 負帰還回路
14 ハイブリッドIC
15 出力フィルタ回路
16 電源パターン
17 −PWM出力パターン
18 +PWM出力パターン
19 グランドパターン
20 電源端子
21 −PWM出力端子
22 グランド端子
23 +PWM出力端子
24 スピーカ
25 MOSFET
26 バンドパスフィルタ回路
27 金属カバー
【発明の属する技術分野】
本発明はオーディオ用などの高効率なデジタルアンプのパワー部に用いられる増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、DVDサラウンドなどのオーディオ装置のマルチチャンネル化にともない増幅回路も5チャンネル以上必要となり、一つの筐体中に収めるためには、そのパワーアンプとなる増幅回路も小型、高効率化が必須条件となってきている。PWMアンプ、PDMアンプなどのデジタルアンプはその有効手段となってきており、特にデジタルアンプはスイッチング出力を用いるために、A級、B級アンプに比べて高効率化が可能となる。しかし、これらを小型化すると配線のインピーダンスが高くなりスイッチングノイズを発生しやすくなる。結果として、音質を決める特性である歪率や残留ノイズに悪影響を与えることになる。
【0003】
このため増幅回路のプリント基板は、基準電位となるグランドおよび出力段への電流を供給するパターンを太く配線することにより、低インピーダンス化を図ることが定石とされてきた。また、PWMなどのデジタルアンプにおいては、スイッチングノイズの影響を低減するためにグランドパターンの設計はさらに重要となり、可能な限りグランドパターンを広く取るなどの方法によりスイッチングノイズの低減に努めてきた。
【0004】
このスイッチングノイズの問題を解決するための手段として、特開平5−67925号公報に記載されたものが知られている。
【0005】
図5は従来の増幅回路のブロック図である。出力段トランジスタ1に対し、通常はヒステリシスコンパレータ3により制御されるスイッチングトランジスタ2でスイッチングして平滑コイル5で平滑した電源を供給している。しかし出力段トランジスタ1に急峻な入力電源が必要になった場合は、補助電源制御用トランジスタ4からスイッチングトランジスタ2で対応できない電源を供給するようにしている。そして出力段トランジスタ1を含む回路部6と、スイッチングトランジスタ2および補助電源制御用トランジスタ4を含む回路部7とを別々のパワーICで構成することにより、出力段へのスイッチングノイズの影響を少なくできるように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この増幅回路においては、主電流および補助電源を分割することによりスイッチングノイズを低減することが可能となっているが、さらに小型化するためには増幅回路のワンチップ化が必要である。
【0007】
しかし、増幅回路のワンチップ化はスイッチングノイズが大きくなりオーディオ特性が劣化するという課題を有していた。
【0008】
本発明はこの課題を解決するものであり、小型ワンチップで数十ワット以上の出力を出し、スイッチングノイズを大幅に低減することが可能な増幅回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、入力端子からアナログ信号を入力しゲート駆動信号を生成するPWMドライバ回路と、このゲート駆動信号により電源電圧をスイッチングする出力スイッチング回路と、この出力スイッチング回路のPWM信号を前記PWMドライバ回路の入力端子に帰還する負帰還回路からなる増幅回路において、前記PWMドライバ回路と出力スイッチング回路と負帰還回路とを一つのハイブリッドICで構成し、前記PWMドライバ回路と出力スイッチング回路の各電源および各グランドを独立する構成とした増幅回路であり、出力スイッチング回路で発生するスイッチングノイズがPWMドライバ回路に影響しないため、歪率や残留ノイズなどのオーディオ特性が改善できる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、PWMドライバ回路と出力スイッチング回路の各電源および各グランドの配線パターンは、グランドパターンを中心にして+PWM出力パターンと−PWM出力パターンを左右対称に配置した構成の増幅回路であり、出力バランスのバラツキによる歪が低減できる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、出力スイッチング回路を構成する各MOSFETの電源とグランドおよびPWM出力の外部接続端子は、グランド端子を中心にして+PWM出力端子と−PWM出力端子を左右対称に配置し、さらにその外側に電源端子を配置した構成の増幅回路であり、残留ノイズの低減と外部出力端子の標準化が図れる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、出力スイッチング回路を構成する各MOSFETの電源、グランドおよびPWM出力の外部接続端子への配線パターンが最短となるように、前記各MOSFETを外部接続端子の近傍に配置した構成の増幅回路であり、出力インピーダンスを極力低減することができ、スイッチングノイズの発生を抑制し出力効率を高めることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の発明は、出力スイッチング回路を構成する各MOSFETを金属カバーで覆うと共に、この金属カバーを出力スイッチング回路のグランドに接続する構成とした増幅回路であり、出力スイッチング回路において発生するスイッチングノイズをシールドすることができるので、PWMドライバ回路へのスイッチングノイズの影響が抑制できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施の形態による増幅回路を用いたシステムブロック図である。入力端子を設けたバンドパスフィルタ回路26と、反転および非反転入力端子を有する差動アンプと三角波発生回路と電圧比較器などからなるPWMドライバ回路11と4個のMOSFET25のブリッジ回路からなる出力スイッチング回路12とローパスフィルタ回路からなる負帰還回路13とを一体化したハイブリッドIC14と、インダクターとコンデンサからなる出力フィルタ回路15と、スピーカ24とから構成される。
【0016】
増幅回路の配線は、入力端子からバンドパスフィルタ回路26に接続され、このバンドパスフィルタ回路26からPWMドライバ回路11の差動アンプの反転および非反転入力端子に接続され、このPWMドライバ回路11から出力スイッチング回路12のそれぞれ4個のMOSFET25のゲート端子に接続され、この出力スイッチング回路12から出力フィルタ回路15と負帰還回路13に接続される。ここでPWMドライバ回路11の電源およびグランドと出力スイッチング回路12の電源およびグランドとはそれぞれ独立した構成である。それぞれの負帰還回路13からはPWMドライバ回路11の差動アンプの反転および非反転入力端子に接続される。そして出力フィルタ回路15からスピーカ24に接続される。
【0017】
次に本発明の動作について説明する。オーディオ用パワーアンプとして本発明による増幅回路を用いる場合には、入力信号は一般にアナログ信号であり、まず入力端子からバンドパスフィルタ回路26を通じてオーディオ用信号として信号周波数を帯域制限する。可聴周波数全域を再生する場合は、20Hzから20kHzに帯域制限してフィルタ処理されたアナログの入力信号をPWMドライバ回路11に入力する。この入力部を差動入力の構成とすることにより、コモンモードとして入力信号にのったノイズを打ち消すことができる。
【0018】
PWMドライバ回路11において、あらかじめ設定された再生周波数より十分に高い周波数の三角波を発生し、そしてこのPWMドライバ回路11の内部の電圧比較器によってアナログ信号と三角波との電圧を比較することにより、入力信号の電圧に応じたデューティ比の矩形波のPWM信号と、MOSFET25からなるブリッジ回路を駆動してタイミング制御するゲート駆動信号を生成する。このゲート駆動信号は出力スイッチング回路12のそれぞれ4個のMOSFET25のゲートに入力され、電源電圧をスイッチングして+PWM出力信号と−PWM出力信号を出力する。これらの差動PWM出力信号において高出力を得るためにはMOSFET25のオン抵抗はスピーカ24などの負荷インピーダンスに比べ十分に小さいことが必要である。
【0019】
出力スイッチング回路12からの+PWM出力信号および−PWM出力信号は出力フィルタ回路15に入力されて高調波成分が取り除かれ、入力信号に比例した出力信号を再生することによりスピーカ24で音として再生することができる。
【0020】
このとき、増幅回路において電源電圧をスイッチングすることからパルス的な大電流が発生して電源およびグランドの電位は大きく振られスイッチングノイズを発生する。
【0021】
ハイブリッドIC14は小型、高集積化を目的としていることから、今回検証したハイブリッドIC14のサイズは60mm×30mmの小さな基板を用いている。ハイブリッドIC14の場合はその面積が限られており、配線パターンの幅を広く取ることが難しいため、配線のインピーダンスが高くなりスイッチングノイズの影響を受けやすくなってしまう。
【0022】
また、従来のように出力スイッチング回路12の近傍に大容量の電解コンデンサを実装することは、ハイブリッドIC14の面積の構成から不可能である。そのため、スイッチングノイズの影響でPWMドライバ回路11の三角波との比較において、ノイズ成分による誤差が発生し音質にかかわる歪率の劣化につながっていた。特に、大出力時には比較動作が正しく行われず誤動作するといった状況も発生していた。
【0023】
図2に本発明の一実施の形態による増幅回路の歪率特性図を示す。スイッチングアンプの場合、低出力の場合は残留ノイズなどの影響が大きく、高出力の場合は出力フィルタ回路15のコイルのコアとして用いる非線形な磁気特性に起因する歪の影響を大きく受けるため、高出力の場合には一定の傾きで歪率が大きくなる。
【0024】
PWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12のグランドを接続した場合は、「GND共通」の特性が示すように20W以上の高出力時に影響が大きく変化して歪率が劣化する。これは出力スイッチング回路12のスイッチングノイズが、PWMドライバ回路11に影響し異常発振を起こすことが原因である。またこの状態で出力を続けると、異常発振により正しく信号出力できない状態に陥ることがある。
【0025】
次にPWMドライバ回路11と出力スイッチング回路12のグランドを別々に接続した場合は、「GND別」の特性が示すように20W以上の高出力時に歪率の大きな変化は見られず異常発振が発生していないことがわかる。また1W以下の低出力時における歪率も改善されている。
【0026】
以上の構成により、スイッチングノイズの影響を低減できることから、オーディオ用パワーアンプとしての残留ノイズの低減、また出力スイッチング回路12の動作の安定化による歪率の低減や消費電力の低減を図ることができ、高効率なPWM方式で高音質なオーディオ用パワーアンプにも用いることのできる増幅回路を小型ワンチップのハイブリッドIC14で実現することができる。
【0027】
図3に本発明の一実施の形態によるハイブリッドIC14の外観図および出力スイッチング回路12の周辺の配線パターン図を示す。その他の部品については省略している。出力スイッチング回路12のMOSFET25の+PWM出力パターン18と−PWM出力パターン17は、グランドパターン19を中心として+PWM出力パターン18と−PWM出力パターン17を左右対称に配置し、さらにその外側に電源パターン16を配置している。
【0028】
また、各パターンは可能な限りパターン幅を広く取り寸法的にも可能な限り左右対称とすることで、スイッチングノイズが電源、グランド、+PWM出力、−PWM出力に均等に発生することとなりPWM出力の残留ノイズを低減することができる。
【0029】
つまり、負荷となるスピーカ24の両端には、+PWM出力と−PWM出力が接続されている。その両出力に均等に電圧を加えるとスピーカ24には電流が発生せず音圧は発生しない。
【0030】
スイッチングノイズにおいても同様に、+PWM出力と−PWM出力の両方に全く同じスイッチングノイズが発生すればスイッチングノイズは打ち消されることになる。
【0031】
また、図1に示す負帰還回路13を通してフィードバックされたスイッチングノイズもPWMドライバ回路11の差動入力により前述したようにスイッチングノイズを打ち消すことができ、オーディオ用パワーアンプとしてさらなる残留ノイズの低減や歪率の低減を図ることができる。
【0032】
次に、図3において出力スイッチング回路12における各MOSFET25の電源端子20、+PWM出力端子23、−PWM出力端子21の配列について説明する。
【0033】
グランド端子22を中心として、+PWM出力端子23と−PWM出力端子21を左右対称に配置し、さらにその外側に電源端子20を配置した構成としている。そして、電源端子20は両側に各1本ずつ、+PWM出力端子23、グランド端子22、−PWM出力端子21はそれぞれ2本とすることにより各端子のインピーダンスを低減している。
【0034】
一例として、以上のような端子配列をハイブリッドIC14の右側に配し、図3には示していないがPWMドライバ回路11に関する接続端子を左側に配置する。
【0035】
このように接続端子の配列の構成を標準化することで、ハイブリッドIC14を実装するプリント基板の設計も標準化することができる。
【0036】
また、各MOSFET25を外部接続端子の近傍にそれぞれ設け、配線パターン長を最短化することにより、PWM出力部のインピーダンスを最小としスイッチングノイズの発生を最大限に抑制できる。
【0037】
図4に本発明の一実施の形態の金属カバーの構成図を示す。金属カバー27は透磁率の高い鉄や導電率の高いアルミニウムなどの金属材料でできており、出力スイッチング回路12を構成するMOSFET25を全て覆うように配置されている。
【0038】
そして、金属カバー27の一端を出力スイッチング回路12につながるグランドパターン19に電気的に接続する。またハイブリッドIC14の基板がアルミニウムなどの金属基板で構成されている場合は、金属カバー27の一端を出力スイッチング回路12につながるグランドパターン19の代わりに、ハイブリッドIC14を構成する金属基板に電気的接続することが望ましい。このように金属カバー27を設けることにより、出力スイッチング回路12において発生したスイッチングノイズのうち輻射ノイズとして発生するノイズをシールドすることができるため、スイッチングノイズの伝播をさらに小さくすることができる。
【0039】
以上の構成により、出力スイッチング回路12で発生したスイッチングノイズをシールドすることができるため、PWMドライバ回路11はノイズの影響を受けずオーディオ用パワーアンプとして更なる残留ノイズの低減ができ、また出力スイッチング回路12の動作の安定化も図れるため、歪率の低減や消費電力の低減を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、PWM増幅回路やPDM増幅回路などのデジタル増幅回路においてスイッチングノイズを低減できることから、PWMドライバ回路と出力スイッチング回路を単一のハイブリッドIC上に実装する構成で、数十ワット以上のオーディオ出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による増幅回路を用いたシステムブロック図
【図2】本発明の一実施の形態による増幅回路の歪率特性図
【図3】本発明の一実施の形態による増幅回路のハイブリッドICの外観図と出力スイッチング回路周辺の配線パターン図
【図4】本発明の一実施の形態による金属カバーの構成図
【図5】従来の増幅回路のブロック図
【符号の説明】
11 PWMドライバ回路
12 出力スイッチング回路
13 負帰還回路
14 ハイブリッドIC
15 出力フィルタ回路
16 電源パターン
17 −PWM出力パターン
18 +PWM出力パターン
19 グランドパターン
20 電源端子
21 −PWM出力端子
22 グランド端子
23 +PWM出力端子
24 スピーカ
25 MOSFET
26 バンドパスフィルタ回路
27 金属カバー
Claims (5)
- 入力端子からアナログ信号を入力しゲート駆動信号を生成するPWMドライバ回路と、このゲート駆動信号により電源電圧をスイッチングする出力スイッチング回路と、この出力スイッチング回路のPWM信号を前記PWMドライバ回路の入力端子に帰還する負帰還回路からなる増幅回路において、前記PWMドライバ回路と出力スイッチング回路と負帰還回路とを一つのハイブリッドICで構成し、前記PWMドライバ回路と出力スイッチング回路の各電源および各グランドを独立する構成とした増幅回路。
- PWMドライバ回路と出力スイッチング回路の各電源および各グランドの配線パターンは、グランドパターンを中心にして+PWM出力パターンと−PWM出力パターンを左右対称に配置した請求項1に記載の増幅回路。
- 出力スイッチング回路を構成する各MOSFETの電源とグランドおよびPWM出力の外部接続端子は、グランド端子を中心にして+PWM出力端子と−PWM出力端子を左右対称に配置し、さらにその外側に電源端子を配置した請求項1に記載の増幅回路。
- 出力スイッチング回路を構成する各MOSFETの電源、グランドおよびPWM出力の外部接続端子への配線パターンが最短となるように、前記各MOSFETを外部接続端子の近傍に配置した請求項1に記載の増幅回路。
- 出力スイッチング回路を構成する各MOSFETを金属カバーで覆うと共に、この金属カバーを出力スイッチング回路のグランドに接続する構成とした請求項1に記載の増幅回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002206791A JP2004056177A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 増幅回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002206791A JP2004056177A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 増幅回路 |
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JP2004056177A true JP2004056177A (ja) | 2004-02-19 |
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JP2002206791A Pending JP2004056177A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 増幅回路 |
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JP (1) | JP2004056177A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016112783A (ja) * | 2014-12-15 | 2016-06-23 | セイコーエプソン株式会社 | 液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動用集積回路装置 |
-
2002
- 2002-07-16 JP JP2002206791A patent/JP2004056177A/ja active Pending
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