JP2004053867A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】TFT基板および対向基板の熱的、機械的、光学的特性を一致させ、視野角の広い高品位の表示を実現でき、熱による変形を受け難く、高信頼性を備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1支持基板101上に液晶駆動用の透明電極(第1電極)107が形成されてなるTFT基板(第1電極基板)と、第1支持基板101上に液晶駆動用の共通電極(第2電極)115が形成されてなる対向基板(第2電極基板)と、TFT基板と対向基板との間に挟持された液晶層110とを有する液晶表示装置100において、第1支持基板101および第2支持基板111はプラスチック基板からなり、第1支持基板101中および第2支持基板111中に該支持基板と屈折率が異なる粒子102が分散されているものである。
【選択図】 図1
【解決手段】第1支持基板101上に液晶駆動用の透明電極(第1電極)107が形成されてなるTFT基板(第1電極基板)と、第1支持基板101上に液晶駆動用の共通電極(第2電極)115が形成されてなる対向基板(第2電極基板)と、TFT基板と対向基板との間に挟持された液晶層110とを有する液晶表示装置100において、第1支持基板101および第2支持基板111はプラスチック基板からなり、第1支持基板101中および第2支持基板111中に該支持基板と屈折率が異なる粒子102が分散されているものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)に関し、詳しくは視野角が広く画面が明るい液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内光や自然光等の外光を入光させ、これの反射光により画面表示することができる液晶表示装置において、入射光を反射させる反射板が平坦な場合、入射光を正反射するためその外光の光源の位置によってコントラストが低下し視野角が制限されるという欠点を持っていた。そこで従来においては液晶を駆動するためのTFT素子上に設けられた表面凹凸を持った樹脂製散乱層とこの樹脂製散乱層上に沿って設けられた金属薄膜を反射板として適用することにより、光を散乱させて表示画面の視野角を拡大させていた。
【0003】
従来の反射型液晶表示装置の断面構造を図5の概略構成断面図によって説明する。
【0004】
図5に示すように、厚さが0.7mmのガラス基板501上に、低温ポリシリコンTFT(薄膜トランジスタ)502、樹脂からなりその表面が凹凸である樹脂製散乱層503、厚さが100nm〜300nmの銀薄膜から成る金属反射膜504、厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜505が順次積層されている。このように構成されているTFT基板に対向する位置には、間に液晶層506を挟んで厚さが0.7mmのガラス基板507が配置される。このガラス基板507に、スパッタ法により形成したクロム薄膜をフォトリソグラフィーとエッチングでパターニングして形成した画素間遮光用のブラックマトリックス508を設け、さらに赤、緑、青の各カラーフィルター509、厚さが2μmのオーバーコート層510、厚さが100nm〜200nmの酸化インジウム層(In2 O3 +SnO2 、以下ITO)で形成される共通電極511、および厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜512が順次積層されている。こうして作製したTFT基板と対向基板とは直径2μm〜5μmのスペーサー513を介して重ね合わせ、外周をシールして、ねじれネマティック(TN)型液晶506を封入した構造で、従来の反射型液晶表示装置500が構成されている。
【0005】
この液晶表示装置に外光Lが入射すると、金属反射膜504で反射される。この際、金属反射膜504は樹脂製散乱層503に設けられた凹凸(図示せず)を反映して表面が凹凸(図示せず)なので、入射した外光Lは散乱される。これにより、表示画面の視野角を拡大させることが可能である。
【0006】
この液晶表示装置においては、その製造に際して上記樹脂製散乱層を形成する工程とその表面に凹凸を付与する工程で、かつ、TFTの電極と金属反射膜とを導通させるため樹脂製散乱層をフォトリソグラフィー工程の後にエッチングしコンタクトホールを形成する工程等が必要であった。これらの工程は、例えば熱可塑性樹脂のリフロープロセスを用いるが、基板面内の温度分布に依存するリフロープロセスでは基板内で散乱特性を一定範囲に収めるのが難しいため、歩留まり低下要因となり、また工程数が多くコスト増の原因となっていた。
【0007】
そこでこの問題を解決する液晶表示装置として、特開2001−271674号公報に開示されたものがある。この公報に開示された液晶表示装置では、TFT基板に対向する基板側の支持基板は、プラスチック基板を有し、このプラスチック基板は、マトリクス材料と、このマトリクス材料の屈折率と異なる屈折率を有する粒子とを含み、この粒子によって光が散乱されることからプラスチック基板が光拡散層として機能し、視野角の改善を図るとしている。具体的には、特開2001−271674号公報の記載によれば、その段落0076に「対向基板に用いられる透明絶縁性基板に光拡散機能を有するものを用いることもできる」と記載されている。さらに段落0076には「プラスチック基板80は、充填剤を分散させた高分子材料から形成されており、光拡散機能を有する。プラスチック基板80は、例えば、PET樹脂やPES樹脂(マトリクス材料)に、シリカ系の粒子状充填剤(平均粒径1μm)を15〜20wt%分散させた材料を用いて形成される」と記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−271674号公報に開示されている液晶表示装置は、TFT基板に対向する対向基板側のみが基材と屈折率が異なる粒子が分散されているプラスチック基板となっており、TFT基板は対向基板とは異なる材料の構成である。この場合、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なり、その結果、液晶パネルにそりを生じる場合やシール部にはがれが発生する可能性がある。この問題を回避するために、粒子が分散されているプラスチック基板上に直接TFTを形成してTFT基板、対向基板双方とも同一のプラスチック基板とした場合、基板表面の平坦度の制約から粒径の大きい粒子を分散させることができず、十分な光散乱性が得られないという問題が生じる。
【0009】
またTFT基板側から入射して対向基板側へ出射する光は対向基板で1回しか散乱されないのに対し、対向基板側から入射して金属反射膜で反射し再び対向基板側へ出射する光は対向基板を2回透過するため2回散乱をされ、透過モードと反射モードとで視野角が異なるという問題点があった。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために成されたものであり、その主な目的はTFT基板と対向基板を同一のもとして、熱的、機械的、光学的特性を一致させ、高品位の表示を実現でき、高耐熱性、高信頼性を備えた液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされた液晶表示装置である。
【0012】
本発明の液晶表示装置は、第1支持基板上に液晶駆動用の第1電極が形成されてなる第1電極基板と、第2支持基板上に液晶駆動用の第2電極が形成されてなる第2電極基板と、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置において、前記第1支持基板および前記第2支持基板がプラスチック基板からなり、前記第1支持基板中および前記第2支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散されているものである。または前記第1支持基板および前記第2支持基板はプラスチック基板からなり、前記第1支持基板および前記第2支持基板のどちらか一方の支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散され、前記第1支持基板および前記第2支持基板のうちの前記粒子が分散されていない他方の支持基板は、前記分散されている粒子を含む支持基板の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するプラスチック材料からなるものである。
【0013】
第1支持基板および第2支持基板がプラスチック基板からなり、第1支持基板中および第2支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散されている液晶表示装置では、TFT基板、対向基板とも同一種類の基板となることから、線膨張係数が同等になる。このため、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルがそるという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、第1支持基板および第2支持基板には、基板表面の平坦度が比較的悪くなる粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することができる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。よって、液晶表示装置の軽量化が図れる。
【0014】
また第1支持基板および第2支持基板はプラスチック基板からなり、第1支持基板および第2支持基板のどちらか一方の支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散され、第1支持基板および第2支持基板のうちの粒子が分散されていない他方の支持基板は、分散されている粒子を含む支持基板の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するプラスチック材料からなる液晶表示装置では、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルがそるという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、粒子を分散させる必要のない基板を設けることから、液晶表示装置の更なる軽量化が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示装置に係る第1実施の形態を、図1の液晶表示装置の概略構成断面図および図2の薄膜トランジスタ(以下TFTという、TFTはThin Film Transistorの略)の概略構成断面図および図3のTFTの製造方法によって説明する。
【0016】
図1はTFTを用いた透過反射併用型LCDの断面図である。図1に示すように、第1支持基板101上に紫外線硬化系接着剤層103を介して厚さが500nmのSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなる電気絶縁層104、TFT(例えばnチャネル型ボトムゲートTFT)105、TFT105を覆い画素部を開口した樹脂からなる平坦化層106、厚さが100nm〜300nmのITOから成る透明電極107、この画素部周辺の透明電極(第1電極)107上には厚さが100nm〜300nmの銀から成る金属反射膜108、さらに上記平坦化層106、透明電極107、金属反射膜108等を覆うように厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜109が順次形成されている。このようにTFT基板(第1電極基板)が構成されている。上記TFT105は液晶を駆動するための駆動素子であり、例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタで構成される。
【0017】
上記第1支持基板101はプラスチック基板を主材料とするものであり、例えば厚さが0.2mmのプラスチック基板に粒子102が分散されているものからなる。
【0018】
上記プラスチック基板の材料としては、例えばポリカーボネートを例示できるが、その他に例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリメチルペンテン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、液晶プラスチック、ポリベンゾイミダゾール、熱硬化性ポリブタジエンなどからなる基板である。
【0019】
上記粒子102の材料としては例えばSiO2 を例示できるが、その他に例えばCeO2、TiO2 、ZnS、Ta2 O5 、HfO2 、ZrO2 、Sb2 O3 、In2 O3 、SiO、ThO2 、MgO、Al2 O3 、CeF3 、MgF2 、CaF2 、LiF、Na3 AlF6 等またはこれらの複合材料から成る粒子である。粒子102は平均粒径が2μm〜40μmで基材のプラスチックの屈折率との差が0.02以上のものを用いる。平均粒径が2μmより小さい場合には必要な光散乱性が得られず、平均粒径が40μmより大きい場合は基板表面の平坦性が悪化する。また屈折率差が0.02より小さい場合は必要な光散乱性を得るために粒子の充填率を上げる必要があり、これにより基板の強度の低下や比重の増大などの問題を生じる。以上の点から粒子102は、平均粒径が4μm〜20μm、プラスチック基板101との屈折率差が0.05以上であることがより好ましい。本実施例ではプラスチック基板101の材料に屈折率1.58のポリカーボネート、粒子102に屈折率1.73で直径が10μmの(MgO)2 ・(Al2 O3 )5 を用いている。
【0020】
上記紫外線硬化系接着剤層103は、その厚さを粒子の直径以上まで厚くすることにより、第1支持基板101にTFTを直接形成した場合に問題となる表面粗さの問題を回避できる。
【0021】
上記TFT基板に対向する位置には、間に液晶層110を挟んで上記第1支持基板101と同種の第2支持基板111が配置される。したがって、第2支持基板111はプラスチック基板を主材料とするものであり、例えば厚さが0.2mmのプラスチック基板に上記粒子102が分散されているものからなる。このプラスチック基板は、上記説明したようなプラスチック材料で形成される。上記第2支持基板111には、スパッタ法により形成したクロム薄膜をフォトリソグラフィーとエッチングでパターニングして形成した画素間遮光用のブラックマトリックス112、さらに赤、緑、青の各カラーフィルター113、厚さが例えば2μmのオーバーコート層114、厚さが100nm〜200nmのITOの共通電極(第2電極)115、および厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜116が順次形成されている。このようにして対向基板(第2電極基板)が作成される。
【0022】
上記のようにして作製したTFT基板と対向基板とは直径が2μm〜5μmのスペーサー117を介して重ね合わされ、外周がシールされて、ねじれネマティック(TN)型の液晶層110を封入した液晶表示装置100なる構造を成す。
【0023】
第1支持基板101および第2支持基板111がプラスチック基板からなり、第1支持基板101中および第2支持基板111中に該支持基板と屈折率が異なる粒子102が分散されている液晶表示装置では、TFT基板、対向基板とも支持基板が同一種類の基板となることから、線膨張係数が同等になる。このため、TFT基板と対向基板の支持基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、第1支持基板101および第2支持基板111には、基板表面の平坦度が比較的悪くなる粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することができる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。よって、液晶表示装置100の軽量化が図れる。
【0024】
さらに、上記説明した透過反射併用型の液晶表示装置では、TFT基板側から透過部に入射した光L1は第1支持基板101と第2支持基板111とを透過するため、2回散乱される。一方対向基板の第2支持基板111側から反射部に入射した光L2は、外部より入射した時と、反射電極で反射され再び外部へ射出されるときの2回、第2支持基板111で散乱される。即ち透過部、反射部ともに各々に入射した光L1、L2は2回ずつ散乱されることとなり、透過モード使用した場合と反射モードで使用した場合の双方で視野角を増大させることができ、さらにその両モードでの視野角の差を減少させる効果がある。
【0025】
上記液晶表示装置100においては、上記第1支持基板101は、分散されている粒子102を含む第2支持基板111の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するもので粒子を分散させないプラスチック材料を用いることもできる。言い換えれば、粒子を含まない第1支持基板101のプラスチック材料の線膨張係数に一致するように、第2支持基板111のプラスチック基板の材料およびその中に分散される粒子102の種類、分散量等を選択すればよい。これにより、透過光L1の第1支持基板101中での散乱は起こらなくなる。さらに、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生していた液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、粒子を分散させる必要のない基板を設けることから、液晶表示装置のさらなる軽量化が図れる。
【0026】
次に上記液晶表示装置100に搭載されるnチャネル型ボトムゲートTFTの一例を、図2の概略構成図断面図によって説明する。
【0027】
TFTは、先ずガラス基板上に形成され、後に図3によって説明する転写方法を用いることによってプラスチック基板上に紫外線硬化系接着剤層を介して形成されたものである。
【0028】
図2に示すように、プラスチック基板201は、紫外線硬化系接着剤202を介して電気絶縁層203に接着されている。この電気絶縁層203はプラズマCVDで形成した厚さが例えば500nmのSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなる。この電気絶縁層203上にはモリブデンゲート204が形成されている。さらにその上にSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなるゲート絶縁膜205、ポリシリコン層206、207、208を形成する。上記ポリシリコン層207はチャネル形成領域となるもので、その両側にはn− 型ドープ領域であるポリシリコン層208を介してn+ 型ドープ領域からなるポリシリコン層206が形成されている。ポリシリコン層207上にはn− 型のリンイオン打込み時にポリシリコン層207を保護するための例えばSiO2 からなるストッパ層209が形成されている。さらに、ゲート絶縁膜205上には上記ポリシリコン層206、207、208、ストッパ層209等を覆うパッシベーション膜210が形成されている。このパッシベーション膜210は、例えばプラズマCVD法によって、SiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体で形成される。上記パッシベーション膜210には各ポリシリコン層208に接続される電極211が例えばアルミニウム電極で形成されている。そして、パッシベーション膜210上には電極211を覆うパッシベーション膜212が、例えば厚さが1μm〜3μmのアクリル系樹脂で形成されている。
【0029】
次に、プラスチック基板上にTFTを転写する技術の一例を図3の製造工程図によって説明する。
【0030】
図3(a)に示すように、例えばスパッタリング法によって、第1基板(例えば厚さ0.7mmのガラス基板)301上に保護層302となるモリブデン(Mo)薄膜を例えば500nmの厚さに形成する。この保護層302のモリブデン薄膜の厚さは例えば0.1μm〜1μmの厚さの範囲で選択される。さらに、TFTを形成する既知の技術を用いて、保護層302上に、いわゆる低温ポリシリコン技術を使ってTFT303を形成する。このTFT303は、例えば液晶ディスプレー技術(松本正一編著、産業図書発行、1996年)p.115≡118に記載されているような低温ポリシリコントップゲート型TFTプロセスで形成する。なお、TFT303を被覆層(図示せず)により被覆してもよい。以下、被覆層を形成しない場合を説明する。
【0031】
その後、図3(b)に示すようにホットプレート304上に、第1基板301を載せ、このホットプレート304を80℃〜140℃に加熱しながら、TFT303上に第1接着層(例えばホットメルト系接着剤)305を、例えば厚さが1mm程度となるように塗布する。この第1接着層の厚さは例えば0.1mm〜3mmの厚さの範囲で選択される。
【0032】
次に、図3(c)に示すように、上記第1接着層305上に、第2基板306を載せ、例えば5×l04 Paの圧力で加圧しながら室温まで冷却し第2の基板306を貼り付ける。上記第2基板306には、例えば厚さが1mmのモリブデン基板を用いる。または、第2基板上にホットメルト系接着剤を塗布して、その上に第1基板に形成されたTFT側を載せてもよい。上記接着の際には、気泡が入ることがあるが、真空中で貼り合わせると、気泡は入らない。
【0033】
なお、第2基板306はモリブデン以外でもフッ酸に耐性があるような金属、例えばタングステン(W)、インコネル625、ステンレスもしくはこれらの金属で被覆されたガラス基板、セラミックス基板、またはポリイミド板、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート板、PEN板のような低線膨張係数のプラスチック板を用いてもよい。
【0034】
次に、図3(d)に示すように、第2基板306を貼り付けた第1基板301を例えば重量濃度50%〜60%のフッ酸水溶液107中に浸漬して、ガラス基板の第1基板301をエッチングする。ここで用いるフッ酸は、重量濃度50%で、エッチング時間は3.5時間とする。第1基板(ガラス基板)301を完全にエッチングした後は、図3(e)に示すように、保護層302が露出される。なお、エッチング生成物が保護層302上に残る場合には水洗により除去することができる。またフッ酸水溶液の濃度はこれより低くても良いが、必要に応じてエッチング時間と液温を調整する。また、エッチングの面内均一性を向上させるためにエッチング中に液を撹拌したり、循環したり、フッ酸水溶液濃度をー定に保つことが有効である。
【0035】
次に、図3(f)に示すように、上記表出された保護層302の表面に第2接着層308として、紫外線硬化系接着剤を塗布する。この紫外線硬化系接着剤は、粘度の低いものをスピンコートにより塗布した。ただし、紫外線硬化系接着剤の厚さの均一性が取れるならばどのような方法であってもよい。また、気泡を完全にとるためには、紫外線硬化系接着剤を真空中で脱泡した後、真空中での接着が効果的である。
【0036】
また、ここでは、アクリル系の紫外線硬化系接着剤を用いたが、紫外線硬化系接着剤である必要はなく、エポキシ系接着剤、ユリア系接着剤、ウレタン系接着剤、フェノール系接着剤、メラミン系接着剤、エマルジョン系接着剤、アクリル系接着剤、シアノアクリル酸エステル系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ウレタンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤、アクリル系粘着材でもよい。
【0037】
次に、図3(g)に示すように、紫外線硬化系接着剤からなる第2接着層308を形成した後、第3基板309に貼り付け、紫外線を照射して、第2接着層308を硬化させる。上記第3基板309には、プラスチックを基材とし、そのプラスチックの屈折率とは異なる屈折率を有する粒子、例えば2μm以上40μm以下の平均粒径を有する粒子を分散させた基板を用いる。この第3基板309については、後に詳細に説明する。
【0038】
次に、図3(h)に示すように、紫外線硬化系接着剤が充分に固まった後、例えば2−プロパノール310などの溶媒中に入れ、第1接着層(ホットメルト系接着剤)305を溶解・除去し第2基板306を剥離する。このようにして、粒子が分散されたプラスチック基板からなる第3基板309上に第2接着層308により保護層302を介してTFT303が形成された構成が得られる。
【0039】
このように、TFT303は転写によって紫外線硬化系接着剤の第2接着層308を介してプラスチック基板からなる第3基板309上に形成されるため、第3基板309が上記説明したような粒子を含むものであれば、紫外線硬化系接着剤の厚さを粒子の直径以上まで厚くすることにより、表面凹凸を平坦化することができる。これにより第3基板309にTFTを直接形成した場合に問題となる表面粗さの問題を回避できる。
【0040】
上記第1実施の形態で説明した液晶表示装置100では、TFT基板のプラスチック基板101と対向基板のプラスチック基板111の両方が同種のプラスチックで形成され、各プラスチック基板101、111中に屈折率がプラスチック基板の屈折率と異なる粒子を分散させてプラスチック基板101,111自体が光散乱性を持つ。またTFT105が転写技術によってTFT基板上に形成される構成である。
【0041】
これによりTFT基板、対向基板とも同一種類のプラスチック基板となり、線膨張係数をそろえることができ、パネルのそりやシールのはがれなどを防止することが可能となる。また転写によってTFTをプラスチック基板上に形成する為、TFTを直接プラスチック基板上に形成する方法と比較して表面の凹凸から受ける影響が少ないので、基板表面の平坦度が比較的悪い、粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することがでる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。
【0042】
次に、本発明の液晶表示装置に係る第2実施の形態を、図4の概略構成断面図によって説明する。図4はTFTを用いた反射型LCDの断面図であり、TFT基板の第1支持基板、対向基板の第2支持基板共に粒子を分散したプラスチック基板を用いている。なお、TFT(nチャネル型ボトムゲートTFT)は、一例として前記図2によって説明した構成のものであり、まずガラス基板上に形成され、その後前記図3によって説明した転写技術を用いてプラスチック基板上に紫外線硬化系接着剤を介して形成されている。
【0043】
図4に示すように、第1支持基板401上に紫外線硬化系接着剤層403を介して厚さが500nmのSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなる電気絶縁層404、TFT(例えばnチャネル型ボトムゲートTFT)405、TFT405を覆う樹脂からなる平坦化層106、この平坦化層406上には厚さが100nm〜300nmの銀から成る反射電極(第1電極)407、さらに上記平坦化層406、反射電極407等を覆うように厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜408が順次形成されている。このようにTFT基板(第1電極基板)が構成されている。上記TFT405は液晶を駆動するための駆動素子であり、例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタで構成される。
【0044】
上記第1支持基板基板401はプラスチック基板を主材料とするものであり、例えば前記第1の実施の形態と同様に厚さが0.2mmのプラスチック基板に粒子402が分散されているものからなる。この粒子402は、前記説明した粒子102と同様のものを用いる。
【0045】
上記UV硬化系接着剤層403は、その厚さを粒子の直径以上まで厚くすることにより、第1支持基板401にTFTを直接形成した場合に問題となる表面粗さの問題を回避できる。
【0046】
上記TFT基板に対向する位置には、間に液晶層409を挟んで上記第1支持基板401と同種の第2支持基板410が配置される。したがって、第2支持基板410は、前記第1支持基板401と同様に例えば厚さが0.2mmのプラスチック基板に上記粒子402が分散されているものからなる。このプラスチック基板は、上記説明したようなプラスチック材料で形成される。上記第2支持基板410には、スパッタ法により成膜したクロム薄膜をフォトリソグラフィーとエッチングでパターニングして形成した画素間遮光用のブラックマトリックス411、さらに赤、緑、青の各カラーフィルター412、厚さが例えば2μmのオーバーコート層413、厚さが100nm〜200nmのITOの共通電極(第2電極)414、および厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜415が順次形成されている。このようにして対向基板(第2電極基板)が作成される。
【0047】
上記のようにして作製したTFT基板(第1電極基板)と対向基板(第2電極基板)とは直径が2μm〜5μmのスペーサー416を介して重ね合わされ、外周がシールされて、ねじれネマティック(TN)型の液晶層409を封入した液晶表示装置400なる構造を成す。
【0048】
この液晶表示装置400に外光Lが入射すると、反射電極407で反射される。この反射電極407で反射された外光Lは第2支持基板401中の粒子402によって散乱される。これにより、表示画面の視野角を拡大させることができる。
【0049】
上記液晶表示装置400では、第1支持基板401および第2支持基板410がプラスチック基板からなり、第1支持基板401中および第2支持基板410中に該支持基板と屈折率が異なる粒子402が分散されていて、両基板とも同一種類の基板となることから、線膨張係数が同等になる。このため、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、第1支持基板401および第2支持基板410には、基板表面の平坦度が比較的悪くなる粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することができる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。よって、液晶表示装置400の軽量化が図れる。
【0050】
上記液晶表示装置400においては、上記第1支持基板401は、分散されている粒子402を含む第2支持基板410の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するもので粒子を分散させないプラスチック材料を用いることもできる。言い換えれば、粒子を含まない第1支持基板401のプラスチック材料の線膨張係数に一致するように、第2支持基板410のプラスチック基板の材料およびその中に分散される粒子402の種類、分散量等を選択すればよい。これにより、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生していた液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避されるとともに、粒子を分散させる必要のない基板を設けたことにより、さらに液晶表示装置の軽量化が図れる。
【0051】
上記各実施の形態では、粒子102および粒子402として平均粒径が2μm以上40μm以下の無機粒子を分散させることにより、基板全体の線膨張係数を2×10−5/℃以下に下げることができ、転写技術によって形成されたTFT層との線膨張係数の差を減少させることが可能で、液晶表示装置の耐熱性、信頼性を向上させることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の液晶表示装置によれば、対向する第1支持基板および第2支持基板に粒子を分散させて、TFT側基板の第1支持基板とTFT側基板の第2支持基板とを同種なものとしたため、第1支持基板および第2支持基板双方の熱的特性(線膨張係数)を同等にすることができるので第1支持基板および第2支持基板が異なる熱的な変形を受け難くなる。このため、シールのはがれや液晶パネルの反りなどの問題を回避させることができる。また、第1支持基板、第2支持基板に分散された粒子によって光が散乱されるので表示画面の視野角を増大させるが可能になる。このため、各画素に対応した複数の電極を設ける反射板に光散乱処理を施す必要がない。したがって液晶表示装置を製造する際の工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置に係る第1実施の形態を示す概略構成断面図である。
【図2】薄膜トランジスタの概略構成断面図である。
【図3】TFTの製造方法を示す製造工程図である。
【図4】本発明の液晶表示装置に係る第2実施の形態を示す概略構成断面図である。
【図5】従来例に係る反射型液晶表示装置の概略構成断面図である。
【符号の説明】
100…液晶表示装置、101…第1支持基板、102…粒子、107…透明電極(第1電極)、110…液晶層、111…第2支持基板、115…共通電極(第2電極)
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)に関し、詳しくは視野角が広く画面が明るい液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内光や自然光等の外光を入光させ、これの反射光により画面表示することができる液晶表示装置において、入射光を反射させる反射板が平坦な場合、入射光を正反射するためその外光の光源の位置によってコントラストが低下し視野角が制限されるという欠点を持っていた。そこで従来においては液晶を駆動するためのTFT素子上に設けられた表面凹凸を持った樹脂製散乱層とこの樹脂製散乱層上に沿って設けられた金属薄膜を反射板として適用することにより、光を散乱させて表示画面の視野角を拡大させていた。
【0003】
従来の反射型液晶表示装置の断面構造を図5の概略構成断面図によって説明する。
【0004】
図5に示すように、厚さが0.7mmのガラス基板501上に、低温ポリシリコンTFT(薄膜トランジスタ)502、樹脂からなりその表面が凹凸である樹脂製散乱層503、厚さが100nm〜300nmの銀薄膜から成る金属反射膜504、厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜505が順次積層されている。このように構成されているTFT基板に対向する位置には、間に液晶層506を挟んで厚さが0.7mmのガラス基板507が配置される。このガラス基板507に、スパッタ法により形成したクロム薄膜をフォトリソグラフィーとエッチングでパターニングして形成した画素間遮光用のブラックマトリックス508を設け、さらに赤、緑、青の各カラーフィルター509、厚さが2μmのオーバーコート層510、厚さが100nm〜200nmの酸化インジウム層(In2 O3 +SnO2 、以下ITO)で形成される共通電極511、および厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜512が順次積層されている。こうして作製したTFT基板と対向基板とは直径2μm〜5μmのスペーサー513を介して重ね合わせ、外周をシールして、ねじれネマティック(TN)型液晶506を封入した構造で、従来の反射型液晶表示装置500が構成されている。
【0005】
この液晶表示装置に外光Lが入射すると、金属反射膜504で反射される。この際、金属反射膜504は樹脂製散乱層503に設けられた凹凸(図示せず)を反映して表面が凹凸(図示せず)なので、入射した外光Lは散乱される。これにより、表示画面の視野角を拡大させることが可能である。
【0006】
この液晶表示装置においては、その製造に際して上記樹脂製散乱層を形成する工程とその表面に凹凸を付与する工程で、かつ、TFTの電極と金属反射膜とを導通させるため樹脂製散乱層をフォトリソグラフィー工程の後にエッチングしコンタクトホールを形成する工程等が必要であった。これらの工程は、例えば熱可塑性樹脂のリフロープロセスを用いるが、基板面内の温度分布に依存するリフロープロセスでは基板内で散乱特性を一定範囲に収めるのが難しいため、歩留まり低下要因となり、また工程数が多くコスト増の原因となっていた。
【0007】
そこでこの問題を解決する液晶表示装置として、特開2001−271674号公報に開示されたものがある。この公報に開示された液晶表示装置では、TFT基板に対向する基板側の支持基板は、プラスチック基板を有し、このプラスチック基板は、マトリクス材料と、このマトリクス材料の屈折率と異なる屈折率を有する粒子とを含み、この粒子によって光が散乱されることからプラスチック基板が光拡散層として機能し、視野角の改善を図るとしている。具体的には、特開2001−271674号公報の記載によれば、その段落0076に「対向基板に用いられる透明絶縁性基板に光拡散機能を有するものを用いることもできる」と記載されている。さらに段落0076には「プラスチック基板80は、充填剤を分散させた高分子材料から形成されており、光拡散機能を有する。プラスチック基板80は、例えば、PET樹脂やPES樹脂(マトリクス材料)に、シリカ系の粒子状充填剤(平均粒径1μm)を15〜20wt%分散させた材料を用いて形成される」と記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−271674号公報に開示されている液晶表示装置は、TFT基板に対向する対向基板側のみが基材と屈折率が異なる粒子が分散されているプラスチック基板となっており、TFT基板は対向基板とは異なる材料の構成である。この場合、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なり、その結果、液晶パネルにそりを生じる場合やシール部にはがれが発生する可能性がある。この問題を回避するために、粒子が分散されているプラスチック基板上に直接TFTを形成してTFT基板、対向基板双方とも同一のプラスチック基板とした場合、基板表面の平坦度の制約から粒径の大きい粒子を分散させることができず、十分な光散乱性が得られないという問題が生じる。
【0009】
またTFT基板側から入射して対向基板側へ出射する光は対向基板で1回しか散乱されないのに対し、対向基板側から入射して金属反射膜で反射し再び対向基板側へ出射する光は対向基板を2回透過するため2回散乱をされ、透過モードと反射モードとで視野角が異なるという問題点があった。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために成されたものであり、その主な目的はTFT基板と対向基板を同一のもとして、熱的、機械的、光学的特性を一致させ、高品位の表示を実現でき、高耐熱性、高信頼性を備えた液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされた液晶表示装置である。
【0012】
本発明の液晶表示装置は、第1支持基板上に液晶駆動用の第1電極が形成されてなる第1電極基板と、第2支持基板上に液晶駆動用の第2電極が形成されてなる第2電極基板と、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置において、前記第1支持基板および前記第2支持基板がプラスチック基板からなり、前記第1支持基板中および前記第2支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散されているものである。または前記第1支持基板および前記第2支持基板はプラスチック基板からなり、前記第1支持基板および前記第2支持基板のどちらか一方の支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散され、前記第1支持基板および前記第2支持基板のうちの前記粒子が分散されていない他方の支持基板は、前記分散されている粒子を含む支持基板の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するプラスチック材料からなるものである。
【0013】
第1支持基板および第2支持基板がプラスチック基板からなり、第1支持基板中および第2支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散されている液晶表示装置では、TFT基板、対向基板とも同一種類の基板となることから、線膨張係数が同等になる。このため、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルがそるという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、第1支持基板および第2支持基板には、基板表面の平坦度が比較的悪くなる粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することができる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。よって、液晶表示装置の軽量化が図れる。
【0014】
また第1支持基板および第2支持基板はプラスチック基板からなり、第1支持基板および第2支持基板のどちらか一方の支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散され、第1支持基板および第2支持基板のうちの粒子が分散されていない他方の支持基板は、分散されている粒子を含む支持基板の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するプラスチック材料からなる液晶表示装置では、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルがそるという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、粒子を分散させる必要のない基板を設けることから、液晶表示装置の更なる軽量化が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示装置に係る第1実施の形態を、図1の液晶表示装置の概略構成断面図および図2の薄膜トランジスタ(以下TFTという、TFTはThin Film Transistorの略)の概略構成断面図および図3のTFTの製造方法によって説明する。
【0016】
図1はTFTを用いた透過反射併用型LCDの断面図である。図1に示すように、第1支持基板101上に紫外線硬化系接着剤層103を介して厚さが500nmのSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなる電気絶縁層104、TFT(例えばnチャネル型ボトムゲートTFT)105、TFT105を覆い画素部を開口した樹脂からなる平坦化層106、厚さが100nm〜300nmのITOから成る透明電極107、この画素部周辺の透明電極(第1電極)107上には厚さが100nm〜300nmの銀から成る金属反射膜108、さらに上記平坦化層106、透明電極107、金属反射膜108等を覆うように厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜109が順次形成されている。このようにTFT基板(第1電極基板)が構成されている。上記TFT105は液晶を駆動するための駆動素子であり、例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタで構成される。
【0017】
上記第1支持基板101はプラスチック基板を主材料とするものであり、例えば厚さが0.2mmのプラスチック基板に粒子102が分散されているものからなる。
【0018】
上記プラスチック基板の材料としては、例えばポリカーボネートを例示できるが、その他に例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリメチルペンテン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、液晶プラスチック、ポリベンゾイミダゾール、熱硬化性ポリブタジエンなどからなる基板である。
【0019】
上記粒子102の材料としては例えばSiO2 を例示できるが、その他に例えばCeO2、TiO2 、ZnS、Ta2 O5 、HfO2 、ZrO2 、Sb2 O3 、In2 O3 、SiO、ThO2 、MgO、Al2 O3 、CeF3 、MgF2 、CaF2 、LiF、Na3 AlF6 等またはこれらの複合材料から成る粒子である。粒子102は平均粒径が2μm〜40μmで基材のプラスチックの屈折率との差が0.02以上のものを用いる。平均粒径が2μmより小さい場合には必要な光散乱性が得られず、平均粒径が40μmより大きい場合は基板表面の平坦性が悪化する。また屈折率差が0.02より小さい場合は必要な光散乱性を得るために粒子の充填率を上げる必要があり、これにより基板の強度の低下や比重の増大などの問題を生じる。以上の点から粒子102は、平均粒径が4μm〜20μm、プラスチック基板101との屈折率差が0.05以上であることがより好ましい。本実施例ではプラスチック基板101の材料に屈折率1.58のポリカーボネート、粒子102に屈折率1.73で直径が10μmの(MgO)2 ・(Al2 O3 )5 を用いている。
【0020】
上記紫外線硬化系接着剤層103は、その厚さを粒子の直径以上まで厚くすることにより、第1支持基板101にTFTを直接形成した場合に問題となる表面粗さの問題を回避できる。
【0021】
上記TFT基板に対向する位置には、間に液晶層110を挟んで上記第1支持基板101と同種の第2支持基板111が配置される。したがって、第2支持基板111はプラスチック基板を主材料とするものであり、例えば厚さが0.2mmのプラスチック基板に上記粒子102が分散されているものからなる。このプラスチック基板は、上記説明したようなプラスチック材料で形成される。上記第2支持基板111には、スパッタ法により形成したクロム薄膜をフォトリソグラフィーとエッチングでパターニングして形成した画素間遮光用のブラックマトリックス112、さらに赤、緑、青の各カラーフィルター113、厚さが例えば2μmのオーバーコート層114、厚さが100nm〜200nmのITOの共通電極(第2電極)115、および厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜116が順次形成されている。このようにして対向基板(第2電極基板)が作成される。
【0022】
上記のようにして作製したTFT基板と対向基板とは直径が2μm〜5μmのスペーサー117を介して重ね合わされ、外周がシールされて、ねじれネマティック(TN)型の液晶層110を封入した液晶表示装置100なる構造を成す。
【0023】
第1支持基板101および第2支持基板111がプラスチック基板からなり、第1支持基板101中および第2支持基板111中に該支持基板と屈折率が異なる粒子102が分散されている液晶表示装置では、TFT基板、対向基板とも支持基板が同一種類の基板となることから、線膨張係数が同等になる。このため、TFT基板と対向基板の支持基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、第1支持基板101および第2支持基板111には、基板表面の平坦度が比較的悪くなる粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することができる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。よって、液晶表示装置100の軽量化が図れる。
【0024】
さらに、上記説明した透過反射併用型の液晶表示装置では、TFT基板側から透過部に入射した光L1は第1支持基板101と第2支持基板111とを透過するため、2回散乱される。一方対向基板の第2支持基板111側から反射部に入射した光L2は、外部より入射した時と、反射電極で反射され再び外部へ射出されるときの2回、第2支持基板111で散乱される。即ち透過部、反射部ともに各々に入射した光L1、L2は2回ずつ散乱されることとなり、透過モード使用した場合と反射モードで使用した場合の双方で視野角を増大させることができ、さらにその両モードでの視野角の差を減少させる効果がある。
【0025】
上記液晶表示装置100においては、上記第1支持基板101は、分散されている粒子102を含む第2支持基板111の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するもので粒子を分散させないプラスチック材料を用いることもできる。言い換えれば、粒子を含まない第1支持基板101のプラスチック材料の線膨張係数に一致するように、第2支持基板111のプラスチック基板の材料およびその中に分散される粒子102の種類、分散量等を選択すればよい。これにより、透過光L1の第1支持基板101中での散乱は起こらなくなる。さらに、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生していた液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、粒子を分散させる必要のない基板を設けることから、液晶表示装置のさらなる軽量化が図れる。
【0026】
次に上記液晶表示装置100に搭載されるnチャネル型ボトムゲートTFTの一例を、図2の概略構成図断面図によって説明する。
【0027】
TFTは、先ずガラス基板上に形成され、後に図3によって説明する転写方法を用いることによってプラスチック基板上に紫外線硬化系接着剤層を介して形成されたものである。
【0028】
図2に示すように、プラスチック基板201は、紫外線硬化系接着剤202を介して電気絶縁層203に接着されている。この電気絶縁層203はプラズマCVDで形成した厚さが例えば500nmのSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなる。この電気絶縁層203上にはモリブデンゲート204が形成されている。さらにその上にSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなるゲート絶縁膜205、ポリシリコン層206、207、208を形成する。上記ポリシリコン層207はチャネル形成領域となるもので、その両側にはn− 型ドープ領域であるポリシリコン層208を介してn+ 型ドープ領域からなるポリシリコン層206が形成されている。ポリシリコン層207上にはn− 型のリンイオン打込み時にポリシリコン層207を保護するための例えばSiO2 からなるストッパ層209が形成されている。さらに、ゲート絶縁膜205上には上記ポリシリコン層206、207、208、ストッパ層209等を覆うパッシベーション膜210が形成されている。このパッシベーション膜210は、例えばプラズマCVD法によって、SiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体で形成される。上記パッシベーション膜210には各ポリシリコン層208に接続される電極211が例えばアルミニウム電極で形成されている。そして、パッシベーション膜210上には電極211を覆うパッシベーション膜212が、例えば厚さが1μm〜3μmのアクリル系樹脂で形成されている。
【0029】
次に、プラスチック基板上にTFTを転写する技術の一例を図3の製造工程図によって説明する。
【0030】
図3(a)に示すように、例えばスパッタリング法によって、第1基板(例えば厚さ0.7mmのガラス基板)301上に保護層302となるモリブデン(Mo)薄膜を例えば500nmの厚さに形成する。この保護層302のモリブデン薄膜の厚さは例えば0.1μm〜1μmの厚さの範囲で選択される。さらに、TFTを形成する既知の技術を用いて、保護層302上に、いわゆる低温ポリシリコン技術を使ってTFT303を形成する。このTFT303は、例えば液晶ディスプレー技術(松本正一編著、産業図書発行、1996年)p.115≡118に記載されているような低温ポリシリコントップゲート型TFTプロセスで形成する。なお、TFT303を被覆層(図示せず)により被覆してもよい。以下、被覆層を形成しない場合を説明する。
【0031】
その後、図3(b)に示すようにホットプレート304上に、第1基板301を載せ、このホットプレート304を80℃〜140℃に加熱しながら、TFT303上に第1接着層(例えばホットメルト系接着剤)305を、例えば厚さが1mm程度となるように塗布する。この第1接着層の厚さは例えば0.1mm〜3mmの厚さの範囲で選択される。
【0032】
次に、図3(c)に示すように、上記第1接着層305上に、第2基板306を載せ、例えば5×l04 Paの圧力で加圧しながら室温まで冷却し第2の基板306を貼り付ける。上記第2基板306には、例えば厚さが1mmのモリブデン基板を用いる。または、第2基板上にホットメルト系接着剤を塗布して、その上に第1基板に形成されたTFT側を載せてもよい。上記接着の際には、気泡が入ることがあるが、真空中で貼り合わせると、気泡は入らない。
【0033】
なお、第2基板306はモリブデン以外でもフッ酸に耐性があるような金属、例えばタングステン(W)、インコネル625、ステンレスもしくはこれらの金属で被覆されたガラス基板、セラミックス基板、またはポリイミド板、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート板、PEN板のような低線膨張係数のプラスチック板を用いてもよい。
【0034】
次に、図3(d)に示すように、第2基板306を貼り付けた第1基板301を例えば重量濃度50%〜60%のフッ酸水溶液107中に浸漬して、ガラス基板の第1基板301をエッチングする。ここで用いるフッ酸は、重量濃度50%で、エッチング時間は3.5時間とする。第1基板(ガラス基板)301を完全にエッチングした後は、図3(e)に示すように、保護層302が露出される。なお、エッチング生成物が保護層302上に残る場合には水洗により除去することができる。またフッ酸水溶液の濃度はこれより低くても良いが、必要に応じてエッチング時間と液温を調整する。また、エッチングの面内均一性を向上させるためにエッチング中に液を撹拌したり、循環したり、フッ酸水溶液濃度をー定に保つことが有効である。
【0035】
次に、図3(f)に示すように、上記表出された保護層302の表面に第2接着層308として、紫外線硬化系接着剤を塗布する。この紫外線硬化系接着剤は、粘度の低いものをスピンコートにより塗布した。ただし、紫外線硬化系接着剤の厚さの均一性が取れるならばどのような方法であってもよい。また、気泡を完全にとるためには、紫外線硬化系接着剤を真空中で脱泡した後、真空中での接着が効果的である。
【0036】
また、ここでは、アクリル系の紫外線硬化系接着剤を用いたが、紫外線硬化系接着剤である必要はなく、エポキシ系接着剤、ユリア系接着剤、ウレタン系接着剤、フェノール系接着剤、メラミン系接着剤、エマルジョン系接着剤、アクリル系接着剤、シアノアクリル酸エステル系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ウレタンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤、アクリル系粘着材でもよい。
【0037】
次に、図3(g)に示すように、紫外線硬化系接着剤からなる第2接着層308を形成した後、第3基板309に貼り付け、紫外線を照射して、第2接着層308を硬化させる。上記第3基板309には、プラスチックを基材とし、そのプラスチックの屈折率とは異なる屈折率を有する粒子、例えば2μm以上40μm以下の平均粒径を有する粒子を分散させた基板を用いる。この第3基板309については、後に詳細に説明する。
【0038】
次に、図3(h)に示すように、紫外線硬化系接着剤が充分に固まった後、例えば2−プロパノール310などの溶媒中に入れ、第1接着層(ホットメルト系接着剤)305を溶解・除去し第2基板306を剥離する。このようにして、粒子が分散されたプラスチック基板からなる第3基板309上に第2接着層308により保護層302を介してTFT303が形成された構成が得られる。
【0039】
このように、TFT303は転写によって紫外線硬化系接着剤の第2接着層308を介してプラスチック基板からなる第3基板309上に形成されるため、第3基板309が上記説明したような粒子を含むものであれば、紫外線硬化系接着剤の厚さを粒子の直径以上まで厚くすることにより、表面凹凸を平坦化することができる。これにより第3基板309にTFTを直接形成した場合に問題となる表面粗さの問題を回避できる。
【0040】
上記第1実施の形態で説明した液晶表示装置100では、TFT基板のプラスチック基板101と対向基板のプラスチック基板111の両方が同種のプラスチックで形成され、各プラスチック基板101、111中に屈折率がプラスチック基板の屈折率と異なる粒子を分散させてプラスチック基板101,111自体が光散乱性を持つ。またTFT105が転写技術によってTFT基板上に形成される構成である。
【0041】
これによりTFT基板、対向基板とも同一種類のプラスチック基板となり、線膨張係数をそろえることができ、パネルのそりやシールのはがれなどを防止することが可能となる。また転写によってTFTをプラスチック基板上に形成する為、TFTを直接プラスチック基板上に形成する方法と比較して表面の凹凸から受ける影響が少ないので、基板表面の平坦度が比較的悪い、粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することがでる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。
【0042】
次に、本発明の液晶表示装置に係る第2実施の形態を、図4の概略構成断面図によって説明する。図4はTFTを用いた反射型LCDの断面図であり、TFT基板の第1支持基板、対向基板の第2支持基板共に粒子を分散したプラスチック基板を用いている。なお、TFT(nチャネル型ボトムゲートTFT)は、一例として前記図2によって説明した構成のものであり、まずガラス基板上に形成され、その後前記図3によって説明した転写技術を用いてプラスチック基板上に紫外線硬化系接着剤を介して形成されている。
【0043】
図4に示すように、第1支持基板401上に紫外線硬化系接着剤層403を介して厚さが500nmのSiO2 層、またはSiO2 層とSiNx 層の積層体からなる電気絶縁層404、TFT(例えばnチャネル型ボトムゲートTFT)405、TFT405を覆う樹脂からなる平坦化層106、この平坦化層406上には厚さが100nm〜300nmの銀から成る反射電極(第1電極)407、さらに上記平坦化層406、反射電極407等を覆うように厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜408が順次形成されている。このようにTFT基板(第1電極基板)が構成されている。上記TFT405は液晶を駆動するための駆動素子であり、例えば低温ポリシリコン薄膜トランジスタで構成される。
【0044】
上記第1支持基板基板401はプラスチック基板を主材料とするものであり、例えば前記第1の実施の形態と同様に厚さが0.2mmのプラスチック基板に粒子402が分散されているものからなる。この粒子402は、前記説明した粒子102と同様のものを用いる。
【0045】
上記UV硬化系接着剤層403は、その厚さを粒子の直径以上まで厚くすることにより、第1支持基板401にTFTを直接形成した場合に問題となる表面粗さの問題を回避できる。
【0046】
上記TFT基板に対向する位置には、間に液晶層409を挟んで上記第1支持基板401と同種の第2支持基板410が配置される。したがって、第2支持基板410は、前記第1支持基板401と同様に例えば厚さが0.2mmのプラスチック基板に上記粒子402が分散されているものからなる。このプラスチック基板は、上記説明したようなプラスチック材料で形成される。上記第2支持基板410には、スパッタ法により成膜したクロム薄膜をフォトリソグラフィーとエッチングでパターニングして形成した画素間遮光用のブラックマトリックス411、さらに赤、緑、青の各カラーフィルター412、厚さが例えば2μmのオーバーコート層413、厚さが100nm〜200nmのITOの共通電極(第2電極)414、および厚さが50nm〜150nmのポリイミド配向膜415が順次形成されている。このようにして対向基板(第2電極基板)が作成される。
【0047】
上記のようにして作製したTFT基板(第1電極基板)と対向基板(第2電極基板)とは直径が2μm〜5μmのスペーサー416を介して重ね合わされ、外周がシールされて、ねじれネマティック(TN)型の液晶層409を封入した液晶表示装置400なる構造を成す。
【0048】
この液晶表示装置400に外光Lが入射すると、反射電極407で反射される。この反射電極407で反射された外光Lは第2支持基板401中の粒子402によって散乱される。これにより、表示画面の視野角を拡大させることができる。
【0049】
上記液晶表示装置400では、第1支持基板401および第2支持基板410がプラスチック基板からなり、第1支持基板401中および第2支持基板410中に該支持基板と屈折率が異なる粒子402が分散されていて、両基板とも同一種類の基板となることから、線膨張係数が同等になる。このため、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生する液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避される。さらに、第1支持基板401および第2支持基板410には、基板表面の平坦度が比較的悪くなる粒径の大きい粒子が分散されているプラスチック基板を使用することができる。これにより粒径の小さい粒子を分散させた場合と同程度の散乱性を持たせようとした場合、粒子の充填量を少なくすることができ、結果としてプラスチック基板の比重を下げることが可能となる。よって、液晶表示装置400の軽量化が図れる。
【0050】
上記液晶表示装置400においては、上記第1支持基板401は、分散されている粒子402を含む第2支持基板410の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するもので粒子を分散させないプラスチック材料を用いることもできる。言い換えれば、粒子を含まない第1支持基板401のプラスチック材料の線膨張係数に一致するように、第2支持基板410のプラスチック基板の材料およびその中に分散される粒子402の種類、分散量等を選択すればよい。これにより、TFT基板と対向基板の線膨張係数が異なることにより発生していた液晶パネルが反るという問題やシール部がはがれるという問題が回避されるとともに、粒子を分散させる必要のない基板を設けたことにより、さらに液晶表示装置の軽量化が図れる。
【0051】
上記各実施の形態では、粒子102および粒子402として平均粒径が2μm以上40μm以下の無機粒子を分散させることにより、基板全体の線膨張係数を2×10−5/℃以下に下げることができ、転写技術によって形成されたTFT層との線膨張係数の差を減少させることが可能で、液晶表示装置の耐熱性、信頼性を向上させることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の液晶表示装置によれば、対向する第1支持基板および第2支持基板に粒子を分散させて、TFT側基板の第1支持基板とTFT側基板の第2支持基板とを同種なものとしたため、第1支持基板および第2支持基板双方の熱的特性(線膨張係数)を同等にすることができるので第1支持基板および第2支持基板が異なる熱的な変形を受け難くなる。このため、シールのはがれや液晶パネルの反りなどの問題を回避させることができる。また、第1支持基板、第2支持基板に分散された粒子によって光が散乱されるので表示画面の視野角を増大させるが可能になる。このため、各画素に対応した複数の電極を設ける反射板に光散乱処理を施す必要がない。したがって液晶表示装置を製造する際の工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置に係る第1実施の形態を示す概略構成断面図である。
【図2】薄膜トランジスタの概略構成断面図である。
【図3】TFTの製造方法を示す製造工程図である。
【図4】本発明の液晶表示装置に係る第2実施の形態を示す概略構成断面図である。
【図5】従来例に係る反射型液晶表示装置の概略構成断面図である。
【符号の説明】
100…液晶表示装置、101…第1支持基板、102…粒子、107…透明電極(第1電極)、110…液晶層、111…第2支持基板、115…共通電極(第2電極)
Claims (2)
- 第1支持基板上に液晶駆動用の第1電極が形成されてなる第1電極基板と、
前記第1支持基板上に液晶駆動用の第2電極が形成されてなる第2電極基板と、
前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に挟持された液晶層と
を有する液晶表示装置において、
前記第1支持基板および前記第2支持基板はプラスチック基板からなり、
前記第1支持基板中および前記第2支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散されている
ことを特徴とする液晶表示装置。 - 第1支持基板上に液晶駆動用の第1電極が形成されてなる第1電極基板と、
前記第1支持基板上に液晶駆動用の第2電極が形成されてなる第2電極基板と、
前記第1電極基板と前記第2電極基板との間に挟持された液晶と
を有する液晶表示装置において、
前記第1支持基板および前記第2支持基板はプラスチック基板からなり、
前記第1支持基板および前記第2支持基板のどちらか一方の支持基板中に該支持基板と屈折率が異なる粒子が分散され、
前記第1支持基板および前記第2支持基板のうちの前記粒子が分散されていない他方の支持基板は、前記分散されている粒子を含む支持基板の線膨張係数と同等なる線膨張係数を有するプラスチック材料からなる
ことを特徴とする液晶表示装置。
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- 2002-07-19 JP JP2002210478A patent/JP2004053867A/ja active Pending
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