JP2004053504A - 超音波液面計 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両走行時の横Gや路面の傾斜状態等によりタンクの液面が傾斜しても、液面での反射波が適切に受信できて液面の高さを計測できる超音波液面計を提供する。
【解決手段】この超音波液面計1は、車載液体タンク3の液面5の高さを計測するものであって、液面5に向けて球面波状の超音波7Pを発振する発振素子9と、超音波7Pの液面5での反射波7Rを受信する受信素子11と、超音波7Pの発振時点から反射波7Rの受信時点までの時間差から液面5の高さを計測する計測手段13とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】この超音波液面計1は、車載液体タンク3の液面5の高さを計測するものであって、液面5に向けて球面波状の超音波7Pを発振する発振素子9と、超音波7Pの液面5での反射波7Rを受信する受信素子11と、超音波7Pの発振時点から反射波7Rの受信時点までの時間差から液面5の高さを計測する計測手段13とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の燃料タンク、冷却水タンク、ウォシャー液タンク、ブレーキ液タンク等の車載液体タンクの液面の高さを計測する超音波液面計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液面計としては、フロート式や熱抵抗式が使用されている。フロート式は、車載液体タンクの液面の上下動をフロートの上下動に変換し、そのフロートが一定の高さより高いか低いかに応じてスイッチがオンオフされることで、車載液体タンクの液面が一定の高さより高いか低いかを検出するものである。熱抵抗式は、例えば燃料計に使用されており、燃料に浸っているか否かに応じて熱抵抗が変化する発熱体を車載液体タンク内の一定の高さに配置し、その発熱体の熱抵抗の変化に応じて、車載液体タンクの液面の高さが一定の高さより高いか低いかを検出するものである。
【0003】
ところが、これらフロート式及び熱抵抗式の液面計では、一定の高さより高いか低いかの2値しか判定できず、液面低下の警報にしか使用できないという欠点がある。特に熱抵抗式の液面計では、検出精度や応答性があまり良くないという欠点もある。
【0004】
これらの欠点を解決する液面計として超音波式の液面計(以後、超音波液面計と称す)を用いることが例えば特願平11−237234等に開示されている。この超音波液面計は、例えばタンク底面上からタンク天井面(即ち液面)に向けて平面波状の超音波を発振し、その超音波の液面での反射波をタンク底面上で受信し、その超音波の発振時点から反射波の受信時点の時間差により液面の高さを計測するものであり、計測精度及び応答性が良く産業用途で使用されていたもの転用したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、もともと産業用途で使用されたいた上記超音波液面計は、使用される超音波が平面波状であるため、図6に示す様に、そのまま車載用に使用した場合、車両走行時の横Gや路面の傾斜により車載液体タンク101の液面103が傾斜すると、タンク底面から発振される超音波105Pの液面103での反射波105Rが適切にタンク底面側に反射されなくなり、即ちタンク底面側で反射波105Rを受信できなくなり、液面103の高さを計測できなくなる欠点がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、車両走行時の横Gや路面の傾斜状態等により車載液体タンクの液面が傾斜しても、液面での反射波が適切に受信できて液面の高さを計測できる超音波液面計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためには、請求項1に記載の発明は、車載液体タンクの液面の高さを計測する超音波液面計であって、前記液面に向けて球面波状の超音波を発振する発振素子と、前記超音波の前記液面での反射波を受信する受信素子と、前記超音波の発振時点から前記反射波の受信時点までの時間差から前記液面の高さを計測する計測手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記発振素子は、2次元的に分布された複数の超音波発振領域を有し、それら各超音波発振領域を中央に位置する領域から外周側に位置する領域に向けて時間差を付けて順に発振させることで、球面波状の超音波を発振させるものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記発振素子は、半球面状に形成された超音波発振領域を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
<実施の形態>
図1は本発明の実施の形態に係る超音波液面計の構成概略図であり、図2は図1の超音波液面計で用いられる発振用圧電素子の拡大斜視図であり、図3は図1の超音波液面計に於ける発振超音波及び受信反射波の時間経過に基づく振幅の一例図である。
【0011】
この実施の形態に係る超音波液面計1は、例えば自動車の燃料タンク、冷却水タンク、ウォッシャー液タンク、ブレーキ液タンク等の車載液体タンクの液面の高さを計測するものであり、図1に示す如く、車載液体タンク3の液面5(車載液体タンク3の天井面)に向けて球面波状の超音波7Pを発振する発振用振動子(発振素子)9と、発振用振動子9から発振された超音波7Pの車載液体タンク3の液面5での反射波7Rを受信する受信用振動子(受信素子)11と、超音波7Pの発振時点と反射波7Rの受信時点との時間差から車載液体タンク3の液面5の高さを計測する計測装置(計測手段)13とを備える。
【0012】
発振用振動子9及び受信用振動子11は、車載液体タンク3の例えば底部の中央にて互いに近接して配設される。この配設状態で、発振用振動子9の上面(超音波発振面)及び受信用振動子11の上面(超音波受信面)はそれぞれ、車載液体タンク3内に露出される様に即ち車載液体タンク3内の液体に浸される様にして車載液体タンク3の上方に向けて配置される。
【0013】
発振用振動子9は、図2に示す様に、平板状(図では円板状)の単一の圧電素子91と、圧電素子91の上面にそれぞれ2次元的に分布する様に形成された複数(図では2つ)の上面電極93,94と、圧電素子91の下面全面に形成された単一の下面電極95とを備えて構成される。図中の97a,97b,97cはそれぞれ、計測装置13から各電極93,94,95への駆動電圧の印加用の配線である。ここでは、複数の上面電極93,94の上面93u,94uが複数の超音波発振領域を成している(以後、超音波発振領域93u,94uと称す)。
【0014】
ここでは、複数の上面電極93,94は、中央に配置された例えば円形の電極93と、円形電極93の外周側にて円形電極93と同心円状に順に外側に配置された1つ以上(図では1つ)の例えば円環状の電極94とから構成される。ここでは、円還状電極94はC字状に一部開裂されて形成されており、その開裂部分の間隙を通じて、円形電極93に於ける配線97aの接続用の引出電極93sが外周側に引き出されて形成される。
【0015】
この発振用振動子9は、各上面電極93,94に個別に駆動電圧が印加されることで、各上面電極93,94の形成領域毎に部分的に圧電素子91を発振させることができ、これにより各超音波発振領域93u,94u毎に個別に超音波を発振することができる。ここでは、各超音波発振領域93u,94uは、計測装置13の制御により中央に位置する領域93uから外周側に位置する領域94uに向けて時間差(位相差)を付けて順に発振させられる。これにより、各超音波発振領域93u,94uから発振される各超音波は、ホイヘンスの原理により合成されて球面波状の超音波7Pとなって伝搬される。
【0016】
受信用振動子11は、詳細な図示は省略されるが、平板状の単一の圧電素子と、その圧電素子の上面全面に形成された単一の上面電極と、その圧電素子の下面全面に形成された単一の下面電極とを備えて構成される。ここでは、受信用振動子11の上面電極の上面が超音波受信領域を成している。この受信用振動子11は、その超音波受信領域で受信する反射波7Rを電気信号に変換して計測装置13に出力する。
【0017】
計測装置13は、発振用アンプ131、受信用アンプ132、発振回路133、受信回路134と、処理部135を備える。
【0018】
発振回路133は、処理部135の制御により所定の周波数の駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を発振用アンプ131を介して上記の如く発振用振動子9の各電極93,94に時間差を付けて印加することで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pを例えばパルス状に発振させる。
【0019】
受信回路134は、受信用アンプ132を介して受信用振動子11で受信された反射波7Rを検出する。
【0020】
処理部135は、図3に示す様に、発振用振動子9から発振される超音波7Pの発振時点として例えば発振用振動子9の複数の超音波発振領域93u,94uのうちの一番最初に発振される中央の超音波発振領域93uから超音波が発振された時点t1から、反射波7Rの受信時点として例えば受信回路134により反射波7Rの一波(順次受信する反射波の第1の番目の反射波)が検出された時点t2までの時間差(t2−t1)から車載液体タンク3の液面5の高さを計測する。
【0021】
例えば車載液体タンク3の液中での音速cが1500m/sの場合に於いて例えばt2−t1=138μsの場合は、車載液体タンク3の液面5の高さhは、例えばh=c×(t2−t1)÷2=1500m/s×138μs÷2=10.35cmとなる。尚、この計算法は一例でありこの計算法に限定するものではない。
【0022】
この超音波液面計1では、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pを発振させることで、その超音波7Pの車載液体タンク3の液面5での反射波7Rが球面波状の超音波となる様にしている。これにより、図4に示す様に、車載液体タンク3の液面5が傾斜した場合でも、その超音波7Pの車載液体タンク3の液面5での反射波7Rは、必ず車載液体タンク3の底面側に伝搬する成分を含み、必ず受信用振動子11に受信される。即ち、車載液体タンク3の液面5が傾斜した場合でも必ず液面5の高さが計測装置13により計測される。
【0023】
以上のように構成された超音波液面計1によれば、発振用振動子9から車載液体タンク3の液面5に向けて球面波状の超音波7Pを発振させることで、その超音波7Pの液面5での反射波7Rが球面波となる様にしているため、車載液体タンク3の液面5が多少傾斜する場合でも確実に反射波7Rを受信用振動子11に受信させることができ、確実に車載液体タンク3の液面5の高さを計測できる。
【0024】
又、発振用振動子9が2次元的に分布された複数の超音波発振領域93u,94uを有して構成され、それら各超音波発振領域93u,94uが中央に位置する領域93uから外周側に位置する領域94uに向けて時間差を付けて順に発振されることで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pが発振されるため、簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波7Pを発振させることができる。
【0025】
又、発振用振動子9及び受信用振動子11が車載液体タンク3の底部の中央にて互いに近接して配設されるため、車載液体タンク3の液面5が傾斜しても、その傾斜による液面5の上下動の影響を避けて正確に液面5の高さを計測できる。
【0026】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9から発振される超音波7Pが球面波(従って反射波7Rも球面波)であるため、そのエネルギは伝搬距離の2乗に反比例して減衰するが、その減衰については、発振用振動子9から発振されて液面5で反射されて受信用振動子11で受信される間の伝搬距離は精々数10cm程度なので、発振時の発振電圧を適当に上げることで十分補償可能である。
【0027】
尚、発振用振動子9から発振される球面状波の超音波は、ここでは、球面波や楕円波等の曲面波を含む意味で使用される。
【0028】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9と受信用振動子11とを別々に備える場合で説明したが、受信用振動子11を省略して発振用振動子9を発振用と受信用とに共通使用する様にしても構わない。即ち、図1を参照して、超音波発振時は、発振用振動子9を発振用アンプ131に接続し、発振用アンプ131を介して発振回路133から印加される駆動電圧によって発振用振動子9から超音波7Pを発振させ、超音波受信時は(即ち発振直後に)、発振用振動子9を発振用アンプ131から切り離して受信用アンプ132に接続し直し、発振用振動子9で受信される反射波7Rを受信用アンプ132を介して受信回路134に出力する様に構成しても構わない。
【0029】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9が、単一の圧電素子91の上面に複数の上面電極93,94を形成し圧電素子91の下面に単一の下面電極95を形成して構成される場合で説明したが、圧電素子91を複数の上面電極93,94毎に個別に設ける様にしても構わず、更に下面電極95も複数の上面電極93,94毎に個別に形成する様にしても構わない。即ち、発振用振動子9を、それぞれが超音波発振領域93u,94uに対応する複数の発振用振動子の集合体として構成しても構わない。それらの場合も本実施の形態の場合と同様の効果を得る。
【0030】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9が2次元的に分布された複数の超音波発振領域93u,94uを有して構成され、それら各超音波発振領域93u,94uが時間差を付けて発振されることで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pが発振される場合で説明したが、発振用振動子9の超音波発振領域を単一の半球面状に形成することで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pを発振させる様にしても構わない。図5はその場合の発振用振動子9Bの側面視の断面図である。
【0031】
この場合の発振用振動子9Bは、図5に示す様に、例えば平板状の圧電素子92の上面に例えば半球体状の上面電極97が形成され、その圧電素子91の下面に下面電極98が形成されて構成される。図中の99a、99bはそれぞれ、計測装置13から各電極97,98への駆動電圧の印加用の配線である。ここでは、半球体状の上面電極97の上面97uが超音波発振領域を成している。この発振用振動子9Bでは、上面電極97及び下面電極98に駆動電圧が印加されることで、半球面状の超音波発振領域97uから球面波状の超音波7Pが発振される。この場合の発振用振動子9Bによっても簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波7Pを発振させることができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、発振素子から車載液体タンクの液面に向けて球面波状の超音波を発振させることで、その超音波の液面での反射波が球面波となる様にしているため、車載液体タンクの液面が多少傾斜する場合でも確実に反射波が受信素子に受信される様にでき、確実に車載液体タンクの液面の高さを計測できる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、発振素子が2次元的に分布された複数の超音波発振領域を有して構成され、それら各超音波発振領域が中央に位置する領域から外周側に位置する領域に向けて時間差を付けて順に発振されることで、発振素子から球面波状の超音波が発振されるため、簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波を発振させることができる。
【0034】
請求項3に記載の発明によれば、発振素子は、半球面状に形成された超音波発振領域を有して構成されるため、簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波を発振させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る超音波液面計の構成概略図である。
【図2】図1の発振用圧電素子の拡大斜視図である。
【図3】図1の超音波液面計に於ける発振超音波及び受信反射波の時間経過に基づく振幅の一例図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る超音波液面計の液面傾斜時の反射波の様子を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る超音波液面計の発振用振動子の変形例の側面視の断面図である。
【図6】従来の超音波液面計の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 超音波液面計
3 車載液体タンク
5 液面
7P 超音波
7R 反射波
9 発振用振動子
11 受信用振動子
13 計測装置
91,92 圧電素子
93,94,97 上面電極
93u,94u 超音波発振領域(上面電極の上面)
95,98 下面電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の燃料タンク、冷却水タンク、ウォシャー液タンク、ブレーキ液タンク等の車載液体タンクの液面の高さを計測する超音波液面計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液面計としては、フロート式や熱抵抗式が使用されている。フロート式は、車載液体タンクの液面の上下動をフロートの上下動に変換し、そのフロートが一定の高さより高いか低いかに応じてスイッチがオンオフされることで、車載液体タンクの液面が一定の高さより高いか低いかを検出するものである。熱抵抗式は、例えば燃料計に使用されており、燃料に浸っているか否かに応じて熱抵抗が変化する発熱体を車載液体タンク内の一定の高さに配置し、その発熱体の熱抵抗の変化に応じて、車載液体タンクの液面の高さが一定の高さより高いか低いかを検出するものである。
【0003】
ところが、これらフロート式及び熱抵抗式の液面計では、一定の高さより高いか低いかの2値しか判定できず、液面低下の警報にしか使用できないという欠点がある。特に熱抵抗式の液面計では、検出精度や応答性があまり良くないという欠点もある。
【0004】
これらの欠点を解決する液面計として超音波式の液面計(以後、超音波液面計と称す)を用いることが例えば特願平11−237234等に開示されている。この超音波液面計は、例えばタンク底面上からタンク天井面(即ち液面)に向けて平面波状の超音波を発振し、その超音波の液面での反射波をタンク底面上で受信し、その超音波の発振時点から反射波の受信時点の時間差により液面の高さを計測するものであり、計測精度及び応答性が良く産業用途で使用されていたもの転用したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、もともと産業用途で使用されたいた上記超音波液面計は、使用される超音波が平面波状であるため、図6に示す様に、そのまま車載用に使用した場合、車両走行時の横Gや路面の傾斜により車載液体タンク101の液面103が傾斜すると、タンク底面から発振される超音波105Pの液面103での反射波105Rが適切にタンク底面側に反射されなくなり、即ちタンク底面側で反射波105Rを受信できなくなり、液面103の高さを計測できなくなる欠点がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、車両走行時の横Gや路面の傾斜状態等により車載液体タンクの液面が傾斜しても、液面での反射波が適切に受信できて液面の高さを計測できる超音波液面計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためには、請求項1に記載の発明は、車載液体タンクの液面の高さを計測する超音波液面計であって、前記液面に向けて球面波状の超音波を発振する発振素子と、前記超音波の前記液面での反射波を受信する受信素子と、前記超音波の発振時点から前記反射波の受信時点までの時間差から前記液面の高さを計測する計測手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記発振素子は、2次元的に分布された複数の超音波発振領域を有し、それら各超音波発振領域を中央に位置する領域から外周側に位置する領域に向けて時間差を付けて順に発振させることで、球面波状の超音波を発振させるものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記発振素子は、半球面状に形成された超音波発振領域を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
<実施の形態>
図1は本発明の実施の形態に係る超音波液面計の構成概略図であり、図2は図1の超音波液面計で用いられる発振用圧電素子の拡大斜視図であり、図3は図1の超音波液面計に於ける発振超音波及び受信反射波の時間経過に基づく振幅の一例図である。
【0011】
この実施の形態に係る超音波液面計1は、例えば自動車の燃料タンク、冷却水タンク、ウォッシャー液タンク、ブレーキ液タンク等の車載液体タンクの液面の高さを計測するものであり、図1に示す如く、車載液体タンク3の液面5(車載液体タンク3の天井面)に向けて球面波状の超音波7Pを発振する発振用振動子(発振素子)9と、発振用振動子9から発振された超音波7Pの車載液体タンク3の液面5での反射波7Rを受信する受信用振動子(受信素子)11と、超音波7Pの発振時点と反射波7Rの受信時点との時間差から車載液体タンク3の液面5の高さを計測する計測装置(計測手段)13とを備える。
【0012】
発振用振動子9及び受信用振動子11は、車載液体タンク3の例えば底部の中央にて互いに近接して配設される。この配設状態で、発振用振動子9の上面(超音波発振面)及び受信用振動子11の上面(超音波受信面)はそれぞれ、車載液体タンク3内に露出される様に即ち車載液体タンク3内の液体に浸される様にして車載液体タンク3の上方に向けて配置される。
【0013】
発振用振動子9は、図2に示す様に、平板状(図では円板状)の単一の圧電素子91と、圧電素子91の上面にそれぞれ2次元的に分布する様に形成された複数(図では2つ)の上面電極93,94と、圧電素子91の下面全面に形成された単一の下面電極95とを備えて構成される。図中の97a,97b,97cはそれぞれ、計測装置13から各電極93,94,95への駆動電圧の印加用の配線である。ここでは、複数の上面電極93,94の上面93u,94uが複数の超音波発振領域を成している(以後、超音波発振領域93u,94uと称す)。
【0014】
ここでは、複数の上面電極93,94は、中央に配置された例えば円形の電極93と、円形電極93の外周側にて円形電極93と同心円状に順に外側に配置された1つ以上(図では1つ)の例えば円環状の電極94とから構成される。ここでは、円還状電極94はC字状に一部開裂されて形成されており、その開裂部分の間隙を通じて、円形電極93に於ける配線97aの接続用の引出電極93sが外周側に引き出されて形成される。
【0015】
この発振用振動子9は、各上面電極93,94に個別に駆動電圧が印加されることで、各上面電極93,94の形成領域毎に部分的に圧電素子91を発振させることができ、これにより各超音波発振領域93u,94u毎に個別に超音波を発振することができる。ここでは、各超音波発振領域93u,94uは、計測装置13の制御により中央に位置する領域93uから外周側に位置する領域94uに向けて時間差(位相差)を付けて順に発振させられる。これにより、各超音波発振領域93u,94uから発振される各超音波は、ホイヘンスの原理により合成されて球面波状の超音波7Pとなって伝搬される。
【0016】
受信用振動子11は、詳細な図示は省略されるが、平板状の単一の圧電素子と、その圧電素子の上面全面に形成された単一の上面電極と、その圧電素子の下面全面に形成された単一の下面電極とを備えて構成される。ここでは、受信用振動子11の上面電極の上面が超音波受信領域を成している。この受信用振動子11は、その超音波受信領域で受信する反射波7Rを電気信号に変換して計測装置13に出力する。
【0017】
計測装置13は、発振用アンプ131、受信用アンプ132、発振回路133、受信回路134と、処理部135を備える。
【0018】
発振回路133は、処理部135の制御により所定の周波数の駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を発振用アンプ131を介して上記の如く発振用振動子9の各電極93,94に時間差を付けて印加することで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pを例えばパルス状に発振させる。
【0019】
受信回路134は、受信用アンプ132を介して受信用振動子11で受信された反射波7Rを検出する。
【0020】
処理部135は、図3に示す様に、発振用振動子9から発振される超音波7Pの発振時点として例えば発振用振動子9の複数の超音波発振領域93u,94uのうちの一番最初に発振される中央の超音波発振領域93uから超音波が発振された時点t1から、反射波7Rの受信時点として例えば受信回路134により反射波7Rの一波(順次受信する反射波の第1の番目の反射波)が検出された時点t2までの時間差(t2−t1)から車載液体タンク3の液面5の高さを計測する。
【0021】
例えば車載液体タンク3の液中での音速cが1500m/sの場合に於いて例えばt2−t1=138μsの場合は、車載液体タンク3の液面5の高さhは、例えばh=c×(t2−t1)÷2=1500m/s×138μs÷2=10.35cmとなる。尚、この計算法は一例でありこの計算法に限定するものではない。
【0022】
この超音波液面計1では、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pを発振させることで、その超音波7Pの車載液体タンク3の液面5での反射波7Rが球面波状の超音波となる様にしている。これにより、図4に示す様に、車載液体タンク3の液面5が傾斜した場合でも、その超音波7Pの車載液体タンク3の液面5での反射波7Rは、必ず車載液体タンク3の底面側に伝搬する成分を含み、必ず受信用振動子11に受信される。即ち、車載液体タンク3の液面5が傾斜した場合でも必ず液面5の高さが計測装置13により計測される。
【0023】
以上のように構成された超音波液面計1によれば、発振用振動子9から車載液体タンク3の液面5に向けて球面波状の超音波7Pを発振させることで、その超音波7Pの液面5での反射波7Rが球面波となる様にしているため、車載液体タンク3の液面5が多少傾斜する場合でも確実に反射波7Rを受信用振動子11に受信させることができ、確実に車載液体タンク3の液面5の高さを計測できる。
【0024】
又、発振用振動子9が2次元的に分布された複数の超音波発振領域93u,94uを有して構成され、それら各超音波発振領域93u,94uが中央に位置する領域93uから外周側に位置する領域94uに向けて時間差を付けて順に発振されることで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pが発振されるため、簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波7Pを発振させることができる。
【0025】
又、発振用振動子9及び受信用振動子11が車載液体タンク3の底部の中央にて互いに近接して配設されるため、車載液体タンク3の液面5が傾斜しても、その傾斜による液面5の上下動の影響を避けて正確に液面5の高さを計測できる。
【0026】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9から発振される超音波7Pが球面波(従って反射波7Rも球面波)であるため、そのエネルギは伝搬距離の2乗に反比例して減衰するが、その減衰については、発振用振動子9から発振されて液面5で反射されて受信用振動子11で受信される間の伝搬距離は精々数10cm程度なので、発振時の発振電圧を適当に上げることで十分補償可能である。
【0027】
尚、発振用振動子9から発振される球面状波の超音波は、ここでは、球面波や楕円波等の曲面波を含む意味で使用される。
【0028】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9と受信用振動子11とを別々に備える場合で説明したが、受信用振動子11を省略して発振用振動子9を発振用と受信用とに共通使用する様にしても構わない。即ち、図1を参照して、超音波発振時は、発振用振動子9を発振用アンプ131に接続し、発振用アンプ131を介して発振回路133から印加される駆動電圧によって発振用振動子9から超音波7Pを発振させ、超音波受信時は(即ち発振直後に)、発振用振動子9を発振用アンプ131から切り離して受信用アンプ132に接続し直し、発振用振動子9で受信される反射波7Rを受信用アンプ132を介して受信回路134に出力する様に構成しても構わない。
【0029】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9が、単一の圧電素子91の上面に複数の上面電極93,94を形成し圧電素子91の下面に単一の下面電極95を形成して構成される場合で説明したが、圧電素子91を複数の上面電極93,94毎に個別に設ける様にしても構わず、更に下面電極95も複数の上面電極93,94毎に個別に形成する様にしても構わない。即ち、発振用振動子9を、それぞれが超音波発振領域93u,94uに対応する複数の発振用振動子の集合体として構成しても構わない。それらの場合も本実施の形態の場合と同様の効果を得る。
【0030】
尚、この実施の形態では、発振用振動子9が2次元的に分布された複数の超音波発振領域93u,94uを有して構成され、それら各超音波発振領域93u,94uが時間差を付けて発振されることで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pが発振される場合で説明したが、発振用振動子9の超音波発振領域を単一の半球面状に形成することで、発振用振動子9から球面波状の超音波7Pを発振させる様にしても構わない。図5はその場合の発振用振動子9Bの側面視の断面図である。
【0031】
この場合の発振用振動子9Bは、図5に示す様に、例えば平板状の圧電素子92の上面に例えば半球体状の上面電極97が形成され、その圧電素子91の下面に下面電極98が形成されて構成される。図中の99a、99bはそれぞれ、計測装置13から各電極97,98への駆動電圧の印加用の配線である。ここでは、半球体状の上面電極97の上面97uが超音波発振領域を成している。この発振用振動子9Bでは、上面電極97及び下面電極98に駆動電圧が印加されることで、半球面状の超音波発振領域97uから球面波状の超音波7Pが発振される。この場合の発振用振動子9Bによっても簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波7Pを発振させることができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、発振素子から車載液体タンクの液面に向けて球面波状の超音波を発振させることで、その超音波の液面での反射波が球面波となる様にしているため、車載液体タンクの液面が多少傾斜する場合でも確実に反射波が受信素子に受信される様にでき、確実に車載液体タンクの液面の高さを計測できる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、発振素子が2次元的に分布された複数の超音波発振領域を有して構成され、それら各超音波発振領域が中央に位置する領域から外周側に位置する領域に向けて時間差を付けて順に発振されることで、発振素子から球面波状の超音波が発振されるため、簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波を発振させることができる。
【0034】
請求項3に記載の発明によれば、発振素子は、半球面状に形成された超音波発振領域を有して構成されるため、簡易な構成で十分大きなエネルギを有する球面波状の超音波を発振させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る超音波液面計の構成概略図である。
【図2】図1の発振用圧電素子の拡大斜視図である。
【図3】図1の超音波液面計に於ける発振超音波及び受信反射波の時間経過に基づく振幅の一例図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る超音波液面計の液面傾斜時の反射波の様子を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る超音波液面計の発振用振動子の変形例の側面視の断面図である。
【図6】従来の超音波液面計の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 超音波液面計
3 車載液体タンク
5 液面
7P 超音波
7R 反射波
9 発振用振動子
11 受信用振動子
13 計測装置
91,92 圧電素子
93,94,97 上面電極
93u,94u 超音波発振領域(上面電極の上面)
95,98 下面電極
Claims (3)
- 車載液体タンクの液面の高さを計測する超音波液面計であって、前記液面に向けて球面波状の超音波を発振する発振素子と、前記超音波の前記液面での反射波を受信する受信素子と、前記超音波の発振時点から前記反射波の受信時点までの時間差から前記液面の高さを計測する計測手段とを備えることを特徴とする超音波液面計。
- 前記発振素子は、2次元的に分布された複数の超音波発振領域を有し、それら各超音波発振領域を中央に位置する領域から外周側に位置する領域に向けて時間差を付けて順に発振させることで、球面波状の超音波を発振させることを特徴とする請求項1に記載の超音波液面計。
- 前記発振素子は、半球面状に形成された超音波発振領域を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波液面計。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010042208A (ja) * | 2008-08-18 | 2010-02-25 | Mitsubishi Electric Corp | 蒸気回収装置および加熱調理器 |
JP2015172508A (ja) * | 2014-03-11 | 2015-10-01 | 日本精機株式会社 | 液面位置検出装置 |
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2002
- 2002-07-23 JP JP2002213574A patent/JP2004053504A/ja active Pending
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JP4570674B2 (ja) * | 2008-08-18 | 2010-10-27 | 三菱電機株式会社 | 加熱調理器 |
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