JP2004051571A - トリブロモ酢酸の製造法 - Google Patents
トリブロモ酢酸の製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004051571A JP2004051571A JP2002212609A JP2002212609A JP2004051571A JP 2004051571 A JP2004051571 A JP 2004051571A JP 2002212609 A JP2002212609 A JP 2002212609A JP 2002212609 A JP2002212609 A JP 2002212609A JP 2004051571 A JP2004051571 A JP 2004051571A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- tribromoacetic
- producing
- malonic acid
- bromine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
【課題】トリブロモ酢酸を高収率且つ高純度で得る方法を提供する。
【解決手段】本発明のトリブロモ酢酸の製造法は、マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させることを特徴とする。この製造法において、マロン酸水溶液中のマロン酸濃度は、例えば10〜60重量%程度である。温度20〜59℃のマロン酸水溶液に臭素を作用させるのが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のトリブロモ酢酸の製造法は、マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させることを特徴とする。この製造法において、マロン酸水溶液中のマロン酸濃度は、例えば10〜60重量%程度である。温度20〜59℃のマロン酸水溶液に臭素を作用させるのが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬中間体、写真薬、感光剤などの精密化学品の合成中間体などとして有用なトリブロモ酢酸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリブロモ酢酸は医薬中間体、写真薬などの原料として広く用いられている。例えば、特開平11−322593号公報には、抗癌剤にトリブロモ酢酸アミド誘導体を有効成分として利用する例が報告されている。しかしながら、トリブロモ酢酸を高収率且つ高純度で得る方法は知られていない。例えば、米国特許第2057964号の明細書には、臭化カルシウムの存在下、トリクロロ酢酸と臭素とを反応させてトリブロモ酢酸を得る方法が報告されている。しかし、この方法では塩素と臭素のハロゲン交換反応が充分に進行しない結果、トリブロモ酢酸の中にクロロジブロモ酢酸などが混入する問題点がある。また、ケミカル・ベリヒテ、第4巻、第370頁(1871年)に、ブロマールを硝酸酸化してトリブロモ酢酸を製造する方法が報告されている。しかし、この方法では硝酸を用いるためにその処理コストが負担になる。ケミカル・ベリヒテ、第8巻、第370頁(1875年)には、マロン酸水溶液に臭素を作用させてトリブロモ酢酸を製造する方法が開示されている。しかし、この方法を用いると、反応中間体であるジブロモ酢酸が最終生成物に混入するため、品質や収率を低下させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、トリブロモ酢酸を高収率で得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高純度のトリブロモ酢酸を得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、マロン酸と臭素とを特定の条件で反応させるとトリブロモ酢酸が高い収率で生成すること、及び生成したトリブロモ酢酸を特定の精製手段に付すと高純度のトリブロモ酢酸が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させることを特徴とするトリブロモ酢酸の製造法を提供する。この製造法において、マロン酸水溶液中のマロン酸濃度は、例えば10〜60重量%程度である。また、20〜59℃のマロン酸水溶液に臭素を作用させるのが好ましい。
【0006】
上記製造法は、(1)反応混合液を濃縮乾固又は晶析操作に付して得られるトリブロモ酢酸の結晶を再結晶する工程、又は(2)反応混合液に、水と分液可能な有機溶媒を加えて抽出し、有機層からトリブロモ酢酸を回収する工程を含んでいてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造法では、マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させる。
【0008】
マロン酸水溶液中のマロン酸濃度は通常10〜60重量%であり、好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%程度である。濃度20重量%以上のマロン酸水溶液を用いると、反応で生じたトリブロモ酢酸が結晶として反応液中に析出するので回収が容易である。
【0009】
臭素の使用量は、マロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの範囲である。臭素の使用量が3.0モル未満の場合には、マロン酸が完全に臭素化されず、ジブロモ酢酸が系内に多く残留するため、収率が低下すると共に、ジブロモ酢酸がトリブロモ酢酸の製品中に混入しやすくなる。臭素の使用量が3.5モルを超える場合には、酸化反応が過度に進行し、ブロモホルムなどの副生物が増大し、トリブロモ酢酸の収率が低下する。
【0010】
反応温度は20〜59℃の範囲が好ましい。反応温度が20℃未満では反応速度が遅く、生産効率が低下しやすい。反応温度が59℃を超えると臭素が揮発するため、収率が低下する。特に好ましい反応温度は30〜50℃程度である。
【0011】
反応方式は特に限定されず、回分式、半回分式、連続式等の何れの方式も採用できる。好ましい1つの態様では、マロン酸水溶液中に臭素を添加する。臭素として臭素水溶液を用いてもよい。反応は攪拌下に行うのが好ましい。
【0012】
反応器及び配管等の付属設備は臭素やトリブロモ酢酸に侵食されない素材を用いる。例えばガラスライニングした設備はこれに適している。また、この反応では、炭酸ガスが発生するとともに、臭化水素などの臭素を含む成分がガスとして発生するので、反応器には排ガスを安全に処理するための設備を設ける。
【0013】
反応によりトリブロモ酢酸が生成し、条件によってジブロモ酢酸が副生する。これらの化合物は高速液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
【0014】
反応生成物は、濃縮、抽出、晶析、再結晶等により分離、精製できる。好ましい分離、精製法として、(i)反応混合液を濃縮乾固して得られた結晶を再結晶する方法、(ii)反応混合液を、例えば冷却する等の晶析操作に付して得られるトリブロモ酢酸の結晶を再結晶する方法、(iii)反応混合液に、水と分液可能な有機溶媒を加えて抽出し、有機層から冷却による晶析又は濃縮乾固等によってトリブロモ酢酸を回収し、必要に応じて回収したトリブロモ酢酸を再結晶する方法などが挙げられる。これらの方法により、ジブロモ酢酸等の不純物含量の少ない高純度のトリブロモ酢酸を取得することができる。
【0015】
上記(iii)の方法における「水と分液可能な有機溶媒」としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素などが挙げられる。水と分液可能な有機溶媒の使用量は、有機溶媒の種類によっても異なるが、通常、抽出処理に付す被処理液中の水100重量部に対して、1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部程度である。
【0016】
上記(i)〜(iii)の方法で用いる再結晶溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、アセトニトリルなどのニトリル、酢酸などのカルボン酸、水、これらの混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、トルエンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素等の有機溶媒が好ましい。再結晶溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、例えばトルエンなどの場合、トリブロモ酢酸100重量部に対して10〜200重量部、好ましくは80〜120重量部程度である。
【0017】
再結晶は、通常、室温以上で且つ溶媒の沸点以下の温度の均一溶液(好ましくは飽和溶液)を調製し、これを冷却する(溶媒の融点以上の温度まで)ことにより行われる。例えば、再結晶溶媒としてトルエンを用いる場合には、70〜100℃程度の温度で均一溶液を調製し、−10℃〜20℃、より好ましくは−10℃〜10℃まで冷却する。析出したトリブロモ酢酸の結晶は、例えば、濾過、遠心分離などの方法により回収できる。
【0018】
こうして得られたトリブロモ酢酸は、医薬中間体、写真薬、感光剤などの精密化学品の合成中間体などとして使用できる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、トリブロモ酢酸を高い収率で得ることができる。また、高純度のトリブロモ酢酸を取得できる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、反応生成物の分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。分析条件は以下の通りである。
カラム:商品名「イナートシルODS−2」(GLサイエンス社製)
溶離液:0.06重量%過塩素酸水溶液 1.5ml/min.
検出器:UV(210nm)
【0021】
実施例1
ガラス製反応器にマロン酸20.2g(0.19モル)及び水80gを加えて45℃で攪拌した。マロン酸が完全に溶解した後、臭素101.4g(0.63モル)を滴下した。液温を45℃に維持しながら24時間攪拌し、反応液をHPLCで分析したところ、トリブロモ酢酸が52.5g(収率92%)、ジブロモ酢酸が0.1g生成していた。反応液を濃縮乾固し、得られた結晶にトルエン50gを加え、80℃に加温したところ均一な溶液となった。これを0℃で12時間静置することにより、無色針状結晶のトリブロモ酢酸42.5gを得た。HPLCで分析した結果、この結晶に含まれるジブロモ酢酸は0.009重量%であった。
【0022】
実施例2
ガラス製反応器にマロン酸20.0g(0.19モル)及び水180gを加えて55℃で攪拌した。マロン酸が完全に溶解した後、臭素107.4g(0.67モル)を滴下した。液温を55℃に維持しながら24時間攪拌し、反応液をHPLCで分析したところ、トリブロモ酢酸が54.1g(収率95%)、ジブロモ酢酸が0.1g生成していた。反応液に亜硫酸ナトリウム12.1gを加えた後、反応液にジクロロメタン180gを加えて室温で2時間攪拌した。分液後、ジクロロメタン層を濃縮したところ、無色針状結晶のトリブロモ酢酸37.0gを得た。HPLCで分析した結果、この結晶に含まれるジブロモ酢酸は0.007重量%であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬中間体、写真薬、感光剤などの精密化学品の合成中間体などとして有用なトリブロモ酢酸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリブロモ酢酸は医薬中間体、写真薬などの原料として広く用いられている。例えば、特開平11−322593号公報には、抗癌剤にトリブロモ酢酸アミド誘導体を有効成分として利用する例が報告されている。しかしながら、トリブロモ酢酸を高収率且つ高純度で得る方法は知られていない。例えば、米国特許第2057964号の明細書には、臭化カルシウムの存在下、トリクロロ酢酸と臭素とを反応させてトリブロモ酢酸を得る方法が報告されている。しかし、この方法では塩素と臭素のハロゲン交換反応が充分に進行しない結果、トリブロモ酢酸の中にクロロジブロモ酢酸などが混入する問題点がある。また、ケミカル・ベリヒテ、第4巻、第370頁(1871年)に、ブロマールを硝酸酸化してトリブロモ酢酸を製造する方法が報告されている。しかし、この方法では硝酸を用いるためにその処理コストが負担になる。ケミカル・ベリヒテ、第8巻、第370頁(1875年)には、マロン酸水溶液に臭素を作用させてトリブロモ酢酸を製造する方法が開示されている。しかし、この方法を用いると、反応中間体であるジブロモ酢酸が最終生成物に混入するため、品質や収率を低下させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、トリブロモ酢酸を高収率で得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高純度のトリブロモ酢酸を得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、マロン酸と臭素とを特定の条件で反応させるとトリブロモ酢酸が高い収率で生成すること、及び生成したトリブロモ酢酸を特定の精製手段に付すと高純度のトリブロモ酢酸が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させることを特徴とするトリブロモ酢酸の製造法を提供する。この製造法において、マロン酸水溶液中のマロン酸濃度は、例えば10〜60重量%程度である。また、20〜59℃のマロン酸水溶液に臭素を作用させるのが好ましい。
【0006】
上記製造法は、(1)反応混合液を濃縮乾固又は晶析操作に付して得られるトリブロモ酢酸の結晶を再結晶する工程、又は(2)反応混合液に、水と分液可能な有機溶媒を加えて抽出し、有機層からトリブロモ酢酸を回収する工程を含んでいてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造法では、マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させる。
【0008】
マロン酸水溶液中のマロン酸濃度は通常10〜60重量%であり、好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%程度である。濃度20重量%以上のマロン酸水溶液を用いると、反応で生じたトリブロモ酢酸が結晶として反応液中に析出するので回収が容易である。
【0009】
臭素の使用量は、マロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの範囲である。臭素の使用量が3.0モル未満の場合には、マロン酸が完全に臭素化されず、ジブロモ酢酸が系内に多く残留するため、収率が低下すると共に、ジブロモ酢酸がトリブロモ酢酸の製品中に混入しやすくなる。臭素の使用量が3.5モルを超える場合には、酸化反応が過度に進行し、ブロモホルムなどの副生物が増大し、トリブロモ酢酸の収率が低下する。
【0010】
反応温度は20〜59℃の範囲が好ましい。反応温度が20℃未満では反応速度が遅く、生産効率が低下しやすい。反応温度が59℃を超えると臭素が揮発するため、収率が低下する。特に好ましい反応温度は30〜50℃程度である。
【0011】
反応方式は特に限定されず、回分式、半回分式、連続式等の何れの方式も採用できる。好ましい1つの態様では、マロン酸水溶液中に臭素を添加する。臭素として臭素水溶液を用いてもよい。反応は攪拌下に行うのが好ましい。
【0012】
反応器及び配管等の付属設備は臭素やトリブロモ酢酸に侵食されない素材を用いる。例えばガラスライニングした設備はこれに適している。また、この反応では、炭酸ガスが発生するとともに、臭化水素などの臭素を含む成分がガスとして発生するので、反応器には排ガスを安全に処理するための設備を設ける。
【0013】
反応によりトリブロモ酢酸が生成し、条件によってジブロモ酢酸が副生する。これらの化合物は高速液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
【0014】
反応生成物は、濃縮、抽出、晶析、再結晶等により分離、精製できる。好ましい分離、精製法として、(i)反応混合液を濃縮乾固して得られた結晶を再結晶する方法、(ii)反応混合液を、例えば冷却する等の晶析操作に付して得られるトリブロモ酢酸の結晶を再結晶する方法、(iii)反応混合液に、水と分液可能な有機溶媒を加えて抽出し、有機層から冷却による晶析又は濃縮乾固等によってトリブロモ酢酸を回収し、必要に応じて回収したトリブロモ酢酸を再結晶する方法などが挙げられる。これらの方法により、ジブロモ酢酸等の不純物含量の少ない高純度のトリブロモ酢酸を取得することができる。
【0015】
上記(iii)の方法における「水と分液可能な有機溶媒」としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素などが挙げられる。水と分液可能な有機溶媒の使用量は、有機溶媒の種類によっても異なるが、通常、抽出処理に付す被処理液中の水100重量部に対して、1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部程度である。
【0016】
上記(i)〜(iii)の方法で用いる再結晶溶媒としては、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、アセトニトリルなどのニトリル、酢酸などのカルボン酸、水、これらの混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、トルエンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素等の有機溶媒が好ましい。再結晶溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、例えばトルエンなどの場合、トリブロモ酢酸100重量部に対して10〜200重量部、好ましくは80〜120重量部程度である。
【0017】
再結晶は、通常、室温以上で且つ溶媒の沸点以下の温度の均一溶液(好ましくは飽和溶液)を調製し、これを冷却する(溶媒の融点以上の温度まで)ことにより行われる。例えば、再結晶溶媒としてトルエンを用いる場合には、70〜100℃程度の温度で均一溶液を調製し、−10℃〜20℃、より好ましくは−10℃〜10℃まで冷却する。析出したトリブロモ酢酸の結晶は、例えば、濾過、遠心分離などの方法により回収できる。
【0018】
こうして得られたトリブロモ酢酸は、医薬中間体、写真薬、感光剤などの精密化学品の合成中間体などとして使用できる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、トリブロモ酢酸を高い収率で得ることができる。また、高純度のトリブロモ酢酸を取得できる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、反応生成物の分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。分析条件は以下の通りである。
カラム:商品名「イナートシルODS−2」(GLサイエンス社製)
溶離液:0.06重量%過塩素酸水溶液 1.5ml/min.
検出器:UV(210nm)
【0021】
実施例1
ガラス製反応器にマロン酸20.2g(0.19モル)及び水80gを加えて45℃で攪拌した。マロン酸が完全に溶解した後、臭素101.4g(0.63モル)を滴下した。液温を45℃に維持しながら24時間攪拌し、反応液をHPLCで分析したところ、トリブロモ酢酸が52.5g(収率92%)、ジブロモ酢酸が0.1g生成していた。反応液を濃縮乾固し、得られた結晶にトルエン50gを加え、80℃に加温したところ均一な溶液となった。これを0℃で12時間静置することにより、無色針状結晶のトリブロモ酢酸42.5gを得た。HPLCで分析した結果、この結晶に含まれるジブロモ酢酸は0.009重量%であった。
【0022】
実施例2
ガラス製反応器にマロン酸20.0g(0.19モル)及び水180gを加えて55℃で攪拌した。マロン酸が完全に溶解した後、臭素107.4g(0.67モル)を滴下した。液温を55℃に維持しながら24時間攪拌し、反応液をHPLCで分析したところ、トリブロモ酢酸が54.1g(収率95%)、ジブロモ酢酸が0.1g生成していた。反応液に亜硫酸ナトリウム12.1gを加えた後、反応液にジクロロメタン180gを加えて室温で2時間攪拌した。分液後、ジクロロメタン層を濃縮したところ、無色針状結晶のトリブロモ酢酸37.0gを得た。HPLCで分析した結果、この結晶に含まれるジブロモ酢酸は0.007重量%であった。
Claims (5)
- マロン酸水溶液にマロン酸1モルに対して3.0〜3.5モルの臭素を作用させてトリブロモ酢酸を生成させることを特徴とするトリブロモ酢酸の製造法。
- マロン酸水溶液中のマロン酸濃度が10〜60重量%である請求項1記載のトリブロモ酸の製造法。
- 20〜59℃のマロン酸水溶液に臭素を作用させる請求項1又は2記載のトリブロモ酢酸の製造法。
- 反応混合液を濃縮乾固又は晶析操作に付して得られるトリブロモ酢酸の結晶を再結晶する工程を含む請求項1〜3の何れかの項に記載のトリブロモ酢酸の製造法。
- 反応混合液に、水と分液可能な有機溶媒を加えて抽出し、有機層からトリブロモ酢酸を回収する工程を含む請求項1〜3の何れかの項に記載のトリブロモ酢酸の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002212609A JP2004051571A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | トリブロモ酢酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002212609A JP2004051571A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | トリブロモ酢酸の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004051571A true JP2004051571A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=31935495
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002212609A Withdrawn JP2004051571A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | トリブロモ酢酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004051571A (ja) |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212609A patent/JP2004051571A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH07110827B2 (ja) | テトラブロムビスフエノ−ルaの製造方法 | |
JP2004051571A (ja) | トリブロモ酢酸の製造法 | |
JPH07118226A (ja) | アスタキサンチンの精製法 | |
JP2021155451A (ja) | C8F17Brを含む組成物及びC8F17Brの製造方法 | |
CN112724033A (zh) | 一种避蚊胺的合成方法及其应用 | |
JP3042122B2 (ja) | N−シアノアセトアミジン誘導体の製造方法 | |
JP3282372B2 (ja) | ピペロナールの製法 | |
JP6794319B2 (ja) | C8F17Brを含む組成物及びC8F17Brの製造方法 | |
JPH11171850A (ja) | 酪酸エステル誘導体の製造方法 | |
JP6275596B2 (ja) | テルミサルタンのアンモニウム塩の製造方法 | |
JPH09176115A (ja) | 光学活性なn−ベンジル−3−アミノピロリジンの製造方法 | |
KR102662895B1 (ko) | 고순도 트로픽아미드의 제조방법 | |
JP2005060302A (ja) | N−メタクリロイル−4−シアノ−3−トリフルオロメチルアニリンの製造方法および安定化方法 | |
JP6277470B2 (ja) | trans−1,2−ジアミノシクロヘキサンの製造方法 | |
EA011763B1 (ru) | Способы получения венлафаксина и формы i венлафаксина гидрохлорида | |
JPH037272A (ja) | 光学活性なテトラヒドロ―2―フロイックアシドの製造法 | |
JPS62138443A (ja) | ビスクレゾ−ルの製造方法 | |
JP3001626B2 (ja) | 2―クロロプロピオンアルデヒド三量体およびその製造方法 | |
JPH03200751A (ja) | 2―アミノ―1―(4―ヒドロキシフェニル)―エタノン鉱酸塩の製造法 | |
EP1583748A4 (en) | PROCESS FOR PREPARING 1,2-DICHLORETHANE FREE CRYSTALS OF ZONISAMIDE AND HIGH-LINE ZONISAMIDE CRYSTALS | |
JP2022140107A (ja) | 1,4-ベンゾジアゼピン化合物の製造方法 | |
JP4774192B2 (ja) | 1,2−ジクロロエタンを含まないゾニサミドの結晶の製造方法およびゾニサミドの高純度結晶 | |
WO2015092809A2 (en) | Fingolimod hydrochloride process | |
JP3036661B2 (ja) | 2−クロロシクロドデカジエノンオキシムの製造法 | |
JPH0665182A (ja) | 3−シアノ−3、5、5−トリメチル−1−シクロヘキサノンの分離精製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050525 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070808 |