JP2004051082A - スライド式自動車用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アッパーレール2aをロアレール2bに係合施錠する左右対のロックプレート4aと、アッパーレール2aをロアレール2bから施錠解除する操作レバー4bとを備え、操作レバー4bの後端寄りをロックプレート4aの前寄り側部に支軸10で軸承連結すると共に、操作レバー4bの後端寄りを上側から受け止める張出し片11をロックプレート4aに設け、支軸11を介して持上げスプリング12を操作レバー4aの下部側とロックプレート4aの下部側との間に掛け渡し、スライドロック4の操作レバー4bとしてロックプレート4aよりバネ変位自在に備え付ける。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート全体を車内の前後方向にスライドレールで位置移動可能に設置するスライド式自動車用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用シートとしては、図8で示すようなシートクッションフレーム1を備えるものがある。そのシートクッションフレーム1は、パン状の前部フレーム1aと、前部フレーム1aの両側にあてがい固定される左右の側部フレーム1b,1cと、側部フレーム1b,1cの後側間に掛渡し固定される後部フレーム1dとから組み立てられている。
【0003】
そのシートクッションフレーム1は、図9で示す(片側のみ図示)ように側部フレーム1bの下部側に取り付けられるアッパーレール2aと、アッパーレール2aをスライド可能に支持するロアレール2bとを備え、ロアレール2bをスタンド脚部3a,3bで車体のフロア面に取り付けることにより、シート全体を車内の前後方向に位置移動可能に設置されている。
【0004】
アッパーレール2aは、図10で示すように側部フレーム1bの下部側に相背合わせに固定された略J字状のスライド基部20a,20bで形成されている。ロアレール2bは、上向きコの字状を呈するレール基枠21と、レール基枠21の両上端辺より相対間隔を保って内側に折れ曲がる略逆L字状の内曲げフランジ22a,22bとから形成されている。
【0005】
そのアッパーレール2aは、側部フレーム1bを内曲げフランジ22a,22bの相対間隔より上方に立付け配置すると共に、スライド基部20a,20bの下湾曲部を内曲げフランジ22a,22bの内側に組み付け、複数のコロ23をレール基枠21の内側で転動するようスライド基部20a,20bの下部側に備えることによりロアレール2bでスライド可能に支持されている。
【0006】
そのスライドレール2には、図9並びに図10で示すようにスライドロック4が備え付けられている。このスライドロック4は、各アッパーレール2aの側部に配置するロックプレート4aと、左右のロックプレート4aに掛け渡される操作レバー4b(図8参照)とを備えて組み立てられている。
【0007】
ロックプレート4aは、各アッパーレール2aの前後方向に沿って位置し、長手方向の略中腹辺をスライド基部20a,20bの板面に挿通固定された支軸40で軸承枢着することにより上下方向に揺動可能に取り付けられている。また、支軸40を中心とする半円弧状の長穴41を後端寄り板面に設け、アッパーレール2aの板面より突出するガイドピン42を長穴41に挿通させて揺動ガイド可能に取り付けられている。
【0008】
そのロックプレート4aは、支軸40を支点に、後端寄りをコイルスプリング43で常時上方にバネ付勢するよう取り付けられている。コイルスプリング43は、片バネ端を側部フレーム1bの板面より切り曲げた突片43aに掛け止めると共に、他バネ端をロックプレート4aの上端縁から折り曲げた突片43bの掛け止めることにより側部フレーム1bとの間に備え付けられている。
【0009】
そのロックプレート4aは、下端縁より側方に張り出す掛止め片44を有し、複数の受け穴45を掛止め片44の板面に設け、掛止め片44をスライド基部20a,20bの長手方向に形成したスリット46から内曲げフランジ22aの下側に張り出させて取り付けられている。このロックプレート4aに対し、掛止め片44の受け穴45と噛み合う複数の突歯47が内曲げフランジ22aの下端辺を長手方向に向かって凹凸状に切り欠くことによりロアレール2bに設けられている。
【0010】
操作レバー4bは、平面略コ字状の軸曲げ部材で形成されている。この操作レバー4bは、各軸後端をロックプレート4aの前端側に溶接固定することから、シートクッション(図示せず)の下部前側に張出し位置させて左右対のロックプレート4aの間に一体に掛渡し固定されている。
【0011】
このように構成するスライドロック4では、コイルスプリング43がロックプレート4aの後端側を常時上方にバネ付勢し、掛止め片44が受け穴45で複数の突歯47と噛み合うことから、図11で示すようにアッパーレール2aがロアレール2bでスライド不能に施錠されている。一方、図12で示すように操作レバー4bをシートクッションの下部側(矢印方向)に引上げ操作すると、ロックプレート4aの後端側がコイルスプリング43に抗して支軸40を支点に下方に揺動することから開錠する。
【0012】
その自動車用シートでは、アッパーレール2aがロアレール2bでスライド不能に常時施錠されていると共に、操作レバー4bが左右対のロックプレート4aとリジッドに掛渡し固定されているため、荷物を車体フロアに置く際、荷物をうっかり操作レバーに当てると、操作レバーが動かないところから、荷物側が傷付いてしまったり、変形してしまったりする虞れがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、荷物が操作レバーに当っても、荷物が傷付いたり或いは変形したりするのを確実に防げるよう改良したスライドロック付きのスライド式自動車用シートを提供することを目的とする。
【0014】
その他、ガタ付きや異音等の発生を簡単な機構で防げ、安定性のよいスライドロック付きのスライド式自動車用シートを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るスライド式自動車用シートにおいては、シートクッションの下部側に取り付けられる左右対のアッパーレールと、車体のフロア面に取り付けられる左右対のロアレールとを備え、アッパーレールをロアレールでスライド可能に支持させてシート全体を車内の前後方向に位置移動可能に設置し、
長手方向の略中腹辺を支軸でアッパーレールの側部に軸承枢着し、後端側を引張りスプリングで上方に変位させてアッパーレールをロアレールに係合施錠する左右対のロックプレートを備えると共に、各ロックプレートの前端間に掛け渡す平面略コ字状の軸曲げ部材で、ロックプレートの前端側を引張りスプリングに抗してシートクッションの下部寄りに引き寄せてアッパーレールをロアレールから施錠解除する操作レバーをシートクッションの下部前側に備えるもので、
上記操作レバーの後端寄りをロックプレートの前寄り側部に支軸で軸承連結すると共に、該操作レバーの後端寄りを上側から受け止める張出し片をロックプレートに設け、該支軸を介して持上げスプリングを操作レバーの下部側とロックプレートの下部側との間に掛け渡し、スライドロックの操作レバーとしてロックプレートよりバネ変位自在に備え付けることにより構成されている。
【0016】
本発明の請求項2に係るスライド式自動車用シートにおいては、軸先端を先細のテーパー状に面取りした支軸を支軸としてロックプレートに設けると共に、軸受け穴を操作レバーの後端寄り側面に設け、その操作レバーの軸受け穴と支軸の軸先端とを同径相互で嵌め合せ、操作レバーの後端寄りをロックプレートの前寄り側部に第2の支軸で軸承連結することにより構成されている。
【0017】
本発明の請求項3に係るスライド式自動車用シートにおいては、中央のコイル部を支軸に嵌装し、中央のコイル部より前後方向に伸びるバネアーム部を操作レバーの下部側とロックプレートの下部側とに掛け渡す捩りコイルバネを持上げスプリングとして備え付けることにより構成されている。
【0018】
本発明の請求項4に係るスライド式自動車用シートにおいては、操作レバーの後端寄りとの間に介在する緩衝パッドをロッププレートの張出し片に備え付けることにより構成されている。
【0019】
本発明の請求項5に係るスライド式自動車用シートにおいては、ロックプレートより下方に伸びる操作レバーの下止め用ストッパを設けることにより構成されている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7を参照して説明すると、図示実施の形態は、図8で示すと同様なシートクッションフレームをベースとし、図9並びに図10で示すと同様なスライドレール並びにスライドロックを備えて構成されている。この構成中、図8〜図10のものと共通の構成部分は同じ符号で示し、異なる構成部分は別の符号で示す。
【0021】
この実施の形態においては、図1で示す(片側のみ図示)ようにシートクッションフレーム1を左サイドから見て、ロックプレート4aを左右のアッパーレール2aに夫々備えると共に、操作レバー4bを前部フレーム1aの直下で水平方向前方に張り出し備えて構成するスライドロック4が組み付けられている。
【0022】
操作レバー4bとしては、パイプ部材を平面略コ字状に軸曲げすると共に、両後端寄りを扁平に押潰し成形した軸曲げ部材が備えられている。この操作レバー4bは、図2で示す(片側のみ図示)ように後端寄りをロックプレート4aの前寄り側部に支軸10で連結することにより、各ロックプレート4aの前端寄り間に掛け渡されている。また、図3でも示すように操作レバー4bの支軸10で軸受けした軸部分より前側の軸部分を上側から受け止める張出し片11がロックプレート4aに設けられている。
【0023】
操作レバー4bとロックプレート4aとの間には、操作レバー4bを張出し片11に押付け付勢する持上げスプリング12が掛け渡されている。このスプリング12としては、中央のコイル部12aと、中央のコイル部12aより前後方向に伸びるバネアーム部12b,12cを有する捩りコイルバネが備え付けられている。
【0024】
その捩りコイルバネ12は、図4で示すように中央のコイル部12aをロックプレート4aの板面より突出する支軸10の基部寄り軸線上に嵌装させて取り付けられている。片バネアーム部12bは、操作レバー4bの軸線と直交する軸線部分から上方に折り曲げて操作レバー4bの軸線を下方より抱込み係止するよう掛け止められている。他バネアーム部12cは、図2で示すようにロックプレート4aの上端縁より張り出す掛止め片13に掛け止められている。
【0025】
このように構成するスライドロックを備える自動車用シートでは、通常時はロックプレート4aの後端側がコイルスプリング43で常時上方にバネ付勢されているため、掛止め片44が受け穴45で複数の突歯47と噛み合うことにより、アッパーレール2aがロアレール2bに係合施錠されている(図2参照)。
【0026】
操作レバー4bを引上げ操作すると、図5で示すようにロックプレート4aが張出し片11と共に支軸10を支点に、後端側が時計回りの下方に傾動することにより施錠解除される。このスライドロックを開錠すると、シート全体をアッパーレール2aでロアレール2bに沿って車内の前後方向いずれにも位置移動できる。また、操作レバー4bから手を離せば、ロックプレート4aの後端側をコイルスプリング43で上方に復帰動させてアッパーレール2aをロアレール2bに施錠復帰する。
【0027】
このスライドロックでは、荷物が操作レバー4bに当ることがあっても、図6で示すように操作レバー4bが支軸10を支点に捩りコイルバネ12でバネ変位することから、荷物が傷付いたり或いは変形したりするのを確実に防げる。
【0028】
上述した操作レバー4bとしては、図7で示すように軸先端を先細のテーパー状に面取りした支軸10をロックプレート(図示せず)に備え、軸受け穴14を扁平に押し潰された後端寄り側面に設けて支軸10の軸先端と同径相互で嵌め合せることから、両側の後端寄りをロックプレートの前寄り側部に支軸10で軸受けするとよい。この支軸10により、操作レバー4bが軸受け部でガタ付くのを防げ、また、後端寄りが捩りコイルバネ12のバネアーム部12bで下方より抱込み係止されていることから抜け外れることもない。
【0029】
その他に、緩衝パッド15(図2参照)を操作レバー4bの後端寄りとの間に介在させてロックプレート4aの張出し片11に取付け固定するとよい。この緩衝パッド15により、操作レバー4bの後端寄りとロックプレート4aの張出し片11とが接触することによる異音の発生を防げる。
【0030】
また、ロックプレート4aより下方に伸びる操作レバー4bの下止め用ストッパ16を設けるようにもできる。このストッパ16により、荷物が当ることによる操作レバー4bがシートクッションの下部側に退却するバネ変位の下限を規制設定できると共に、座者が操作レバー4bを誤って極端に押し下げることを規制できる。
【0031】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の請求項1に係るスライド式自動車用シートに依れば、操作レバーの各後端寄りをロックプレートの前寄り側部に支軸で軸承連結すると共に、該操作レバーの後端寄りを上側から受け止める張出し片をロックプレートに設け、支軸を介して持上げスプリングを操作レバーの下部側とロックプレートの下部側との間に掛け渡し、スライドロックの操作レバーとしてロックプレートよりバネ変位自在に備え付けるため、操作レバーによるスライドロックの開錠動作に支障を来たすことなく、荷物が操作レバーに当ることによる荷物の傷付きや変形を確実に防げる。
【0032】
本発明の請求項2に係るスライド式自動車用シートに依れば、軸先端を先細のテーパー状に面取りした支軸をロックプレートに備えると共に、軸受け穴を操作レバーの後端寄り側面に設け、その操作レバーの軸受け穴と支軸の軸先端とを同径相互で嵌め合せ、操作レバーの後端寄りをロックプレートの前寄り側部に支軸で軸承連結することにより、操作レバーのガタ付きが生じないスライドロックとして簡単に構成できる。
【0033】
本発明の請求項3に係るスライド式自動車用シートに依れば、中央のコイル部を支軸に嵌装し、中央のコイル部より前後方向に伸びるバネアーム部を操作レバーの下部側とロックプレートの下部側とに掛け渡す捩りコイルバネを持上げスプリングとして備え付けることにより、操作レバーをロックプレートよりバネ変位自在に安定よく備え付けられる。
【0034】
本発明の請求項4に係るスライド式自動車用シートに依れば、操作レバーの後端寄りとの間に介在する緩衝パッドをロッププレートの張出し片に備え付けることにより、操作レバーとロックプレートの接触による異音を生じないスライドロック機構として簡単に構成できる。
【0035】
本発明の請求項5に係るスライド式自動車用シートにおいては、ロックプレートより下方に伸びる操作レバーの下止め用ストッパを設けることにより、荷物が当ることによる操作レバーがシートクッションの下部側に退却するバネ変位の下限を設定できると共に、座者が操作レバーを誤って極端に押し下げることを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスライド式自動車用シートを構成するシートクッションフレームを片側面から示す説明図である。
【図2】図1のシートクッションフレームに備えられるスライドロックをスライドレールの片側側面から示す説明図である。
【図3】図1のシートクッションフレームに備えられるスライドロックをスライドレールの片側正面から示す説明図である。
【図4】図1のシートクッションフレームに備えられるスライドロックをスライドレールの片側底面から示す説明図である。
【図5】図2のスライドロックを操作レバーによる開錠状態で示す説明図である。
【図6】図2のスライドロックを操作レバーのバネ変位状態で示す説明図である。
【図7】図2のスライドロックを構成する操作レバーの支軸部をレバー基部の部分断面で示す説明図である。
【図8】一般例に係るシートクッションフレームを示す斜視図である。
【図9】従来例に係るシートクッションフレームをスライドレールの片側側面から示す説明図である。
【図10】図9のスライドレールを片側正面から示す説明図である。
【図11】図9のスライドレールを図10のA−A線視野で示す説明図である。
【図12】図9のスライドロックを操作レバーによる開錠状態で示す説明図である。
【符号の説明】
2a アッパーレール
2b ロアレール
4 スライドロック
4a ロックプレート
40 ロックプレートの支軸
43 ロックプレートの引張りスプリング
4b 操作レバー
10 操作レバーの支軸
11 操作レバー受止め用の張出し片
12 操作レバーの持上げスプリング
13 スプリングアーム部の掛止め片
14 操作レバーの軸受け穴
15 緩衝パッド
16 操作レバーの下止め用ストッパ
Claims (5)
- シートクッションの下部側に取り付けられる左右対のアッパーレールと、車体のフロア面に取り付けられる左右対のロアレールとを備え、アッパーレールをロアレールでスライド可能に支持させてシート全体を車内の前後方向に位置移動可能に設置し、
長手方向の略中腹辺を支軸でアッパーレールの側部に軸承枢着し、後端側を引張りスプリングで上方に変位させてアッパーレールをロアレールに係合施錠する左右対のロックプレートを備えると共に、各ロックプレートの前端間に掛け渡す平面略コ字状の軸曲げ部材で、ロックプレートの前端側を引張りスプリングに抗してシートクッションの下部寄りに引き寄せてアッパーレールをロアレールから施錠解除する操作レバーをシートクッションの下部前側に備えるスライドロック付きのスライド式自動車用シートにおいて、
上記操作レバーの後端寄りをロックプレートの前寄り側部に支軸で軸承連結すると共に、該操作レバーの後端寄りを上側から受け止める張出し片をロックプレートに設け、該支軸を介して持上げスプリングを操作レバーの下部側とロックプレートの下部側との間に掛け渡し、スライドロックの操作レバーとしてロックプレートよりバネ変位自在に備え付けたことを特徴とするスライド式自動車用シート。 - 軸先端を先細のテーパー状に面取りした支軸を第2の支軸としてロックプレートに設けると共に、軸受け穴を操作レバーの後端寄り側面に設け、その操作レバーの軸受け穴と支軸の軸先端とを同径相互で嵌め合せ、操作レバーの後端寄りをロックプレートの前寄り側部に支軸で軸承連結したことを特徴とする請求項1に記載のスライド式自動車用シート。
- 中央のコイル部を支軸に嵌装し、中央のコイル部より前後方向に伸びるバネアーム部を操作レバーの下部側とロックプレートの下部側とに掛け渡す捩りコイルバネを持上げスプリングとして備え付けたことを特徴とする請求項1に記載のスライド式自動車用シート。
- 操作レバーの後端寄りとの間に介在する緩衝パッドをロッププレートの張出し片に備え付けたことを特徴とする請求項1に記載のスライド式自動車用シート。
- ロックプレートより下方に伸びる操作レバーの下止め用ストッパを設けたことを特徴とする請求項1に記載のスライド式自動車用シート。
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