JP2004050460A - 無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材を提供することである。
【解決手段】染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関し、更に詳しくは、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用材料が開発され、提案されている。
それらの中で、近年、酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材として、プラスチック基材の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸化物の蒸着薄膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。
而して、上記の透明ガスバリア性フィルムは、その片面、あるいは、両面に、他のプラスチックフィルム、紙基材、その他等を任意に積層して、種々の層構成からなる積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製袋ないし製函して種々の形態からなる包装用容器を製造し、しかる後、該包装用容器内に、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造し、そられを市場に供給している。
上記の包装製品は、酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止するハイバリア性を有し、内容物の保存、貯蔵安定性、品質保証性等に優れ、また、使用後においては、従来のアルミニウム箔あるいはポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム等のバリア性素材を使用した包装用容器等と比較して、包装用容器等の廃棄処理適性に優れ、環境対応に適し、今後、その発展、需要等が期待されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような透明ガスバリア性フィルムにおいて、それを構成するプラスチック基材としては、通常、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、2軸延伸ナイロン6フィルム、あるいは、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等の透明な樹脂フィルムが使用されている。
而して、上記の透明な樹脂フィルムは、単に、無機酸化物の蒸着薄膜を設ける支持基材として作用するものであり、上記の透明ガスバリア性フィルムにおける酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止するバリア性能等は、無機酸化物の蒸着薄膜に負うものである。
従って、上記の透明ガスバリア性フィルムについて、上記のバリア性能以外の性能、例えば、耐候性、遮光性、防曇性、その他等の性能を向上させるためには、樹脂フィルムに、別途、耐候性層、遮光性層、防曇性層等を設けなければならないものである。
而して、これらの層は、例えば、上記の樹脂フィルムの片面に、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤を含有する樹脂組成物を使用し、これを、印刷法ないしコ−ティング法等を用いて、印刷ないしコ−ティングして印刷膜あるいはコ−ティング膜等を形成することにより、あるいは、まず、上記の樹脂フィルムを構成する樹脂中に、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤を練り込み加工して、次いで、製膜化して、上記の紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤を含有する樹脂フィルムを製造し、これを透明ガスバリア性フィルムを構成する樹脂フィルムとして使用すること等によって、耐候性層、遮光性層、防曇性層等を設けることができる。
【0004】
しかしながら、上記のような印刷法ないしコ−ティング法、あるいは、練り込み加工法等による場合、例えば、上記の印刷法ないしコ−ティング法により、その表面を均一にし、かつ、平滑にするということは極めて困難であること等から、また、練り込み加工法による樹脂フィルムは、その表面に紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤等が滲出し易いこと等から、樹脂フィルム表面の平滑性に欠けるという問題点があり、また、樹脂フィルム自身が、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤等を含有していることから、上記の物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜を形成する際に、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤等が樹脂フィルムから滲出し、これが蒸着釜中に浮遊し、製品としての透明ガスバリア性フィルムの性能に影響を与え、不良品を製造するという問題点がある。
そこで本発明は、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく種々研究の結果、染料を含む染色溶液に被染物を一定時間浸漬して、染料が被染物の表面から内部に浸透拡散し、被染物を染料との結合によって着色する浸透染着法に着目し、まず、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を含むある温度条件の染色溶液を生成し、次いで、該染色溶液に樹脂フィルムを一定時間浸漬し、染料等が樹脂フィルムの表面から内部に浸透拡散して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムを製造し、次いで、該樹脂フィルムを使用し、これを蒸着用基材フィルムとして使用し、その染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜を設けて無機蒸着樹脂フィルムを製造し、而して、該無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製函ないし製袋して包装用容器を製造し、しかる後、その包装用容器内に、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造したところ、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材をを製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材等の構成についてその一二例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図2には、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図3は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム使用した積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムとしては、図1に示すように、まず、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等1を含むある温度条件の染色溶液を生成し、次いで、該染色溶液に樹脂フィルム2を一定時間浸漬し、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等1が樹脂フィルム2の表面から内部に浸透拡散して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムAを製造するものである。
上記の例示は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムについてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0009】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例を例示すると、図2に示すように、上記の図1に示す染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムAを使用し、その片面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜3を設けた構成からなる本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムBを例示することができる。
なお、図2において、図中、1、2は、上記の図1に示す1、2と同じ意味を表す。
なお、本発明においては、図示しないが、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設ける場合、その一方の片面のみならず、その表裏両面にも設ける事ができるものである。
上記の例示は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0010】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム使用した積層材についてその一例を例示すると、図3に示すように、上記の図2に示す本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムBを使用し、その無機蒸着樹脂フィルムBの無機酸化物の蒸着薄膜3の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層4を積層した構成からなる本発明にかかる積層材Cを例示することができる。
なお、図3において、図中、1、2、Aは、上記の図1、図2に示す1、2、Aと同じ意味を表す。
上記の例示は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを使用した積層材についてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0011】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材等を構成する材料、製造法等について説明すると、まず、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する染料としては、公知のもの、例えば、アゾ系、アントラキノン系、ジフェニルメタン系、トリアリ−ルメタン系、アクリジン系、キノリン系、メチン系、チアゾ−ル系、インドフェノ−ル系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、インジゴイド系、その他等の分散染料、直接染料、塩基性染料、酸性染料、建染染料、その他等を使用することができる。
また、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する紫外線吸収剤としては、公知のもの、例えば、ベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン型2量体化合物系紫外線吸収剤、ドリアジン系紫外線吸収剤、その他等を使用することができる。
更に、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する防曇剤としては、公知のもの、例えば、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、その他等を使用することができる。
【0012】
次に、本発明において、上記のような染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を含む染色溶液について説明すると、例えば、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を水媒体に分散剤等を用いて溶解ないし分散させ、更に、必要ならば、均染剤、促染剤、苛性アルカリ剤、浸透剤、その他等の添加剤を任意に添加して十分に攪拌し、好ましくは、80℃ないし130℃位、より好ましくは、95℃ないし99℃位に温めて、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の染色溶液を調製することができる。
而して、上記のような染色溶液中に樹脂フィルムを10〜120分間、より好ましくは、10〜30分間浸漬し、次いで、樹脂フィルムを、例えば、60℃位の温水中に浸漬して樹脂フィルムの表面に付着した余分の染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を洗浄し、しかる後、樹脂フィルムを適当な温度で熱風乾燥して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤が浸透染着した樹脂フィルムを製造することができる。
【0013】
なお、本発明においては、例えば、樹脂フィルムに、まず、染料を浸透染着した後、紫外線吸収剤を浸透染着する形態、あるいは、紫外線吸収剤を浸透染着した後、染料を浸透染着する形態等のように、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を任意に組み合わせて、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着することができるものである。
また、本発明においては、例えば、上記と同様にして、染料と紫外線吸収剤とを使用し、その両者を水媒体に分散剤等を用いて溶解ないし分散させて、染料と紫外線吸収剤とを含有する染色溶液を調製し、次いで、これを使用して、染料と紫外線吸収剤とを同時に浸透染着した樹脂フィルムを製造することができる。
【0014】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する樹脂フィルムについて説明すると、かかる樹脂フィルムとしては、上記のように染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着すると共にこれに無機酸化物の蒸着薄膜を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、本発明において、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0015】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
【0016】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0017】
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面には、後述する無機酸化物の蒸着薄膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を任意に形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと後述する無機酸化物の蒸着薄膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0018】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する無機酸化物の蒸着薄膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
【0019】
本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、樹脂フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0020】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図4は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図4に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から前述の染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着した樹脂フィルムPを繰り出し、更に、該基材フィルムPを、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置26、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された基材フィルムPの上に、グロ−放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成した基材フィルムPは、補助ロ−ル33を介して巻き取りロ−ル34に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができるものである。
なお、図中、35は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、無機酸化物の蒸着薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできる。
【0021】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10−1〜1×10−8Torr位、好ましくは、真空度1×10−3〜1×10−7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、樹脂フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の樹脂フィルムの上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10−1〜1×10−4Torr位、好ましくは、真空度1×10−1〜1×10−2Torr位に調製することが望ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0022】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより樹脂フィルムの表面が、清浄化され、樹脂フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜と樹脂フィルムとの密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜の形成時の真空度は、1×10−1〜1×10−4Torr位、好ましくは、1×10−1〜1×10−2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する時の真空度、1×10−4〜1×10−5Torr位に比較して低真空度であることから、樹脂フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0023】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着薄膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、樹脂フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。而して、上記の酸化珪素の蒸着薄膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0024】
また、上記の酸化珪素の蒸着薄膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着薄膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着薄膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着薄膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着薄膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着薄膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着薄膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着薄膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、樹脂フィルムと酸化珪素の蒸着薄膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0025】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着薄膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、80〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、80Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着薄膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0026】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0027】
次に、本発明において、上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを樹脂フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0028】
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図5は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図5に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着した樹脂フィルムPは、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された樹脂フィルムPの上に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成した樹脂フィルムPを、ガイドロ−ル51、52を介して送り出し、巻き取りロ−ル53に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着薄膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着薄膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
【0029】
上記において、無機酸化物の蒸着薄膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着薄膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着薄膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着薄膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできる。
【0030】
ところで、本発明において、本発明にかかる無機酸化物の蒸着薄膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできるものである。而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、樹脂フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を構成することが望ましいものである。
勿論、本発明においては、上記とは逆くに、樹脂フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできるものである。
【0031】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムして形成する積層材について説明すると、まず、本発明にかかる積層材を構成するヒ−トシ−ル性樹脂層としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
而して、本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、例えば、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する無機酸化物の蒸着薄膜の面に、アンカ−コ−ト剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、その樹脂のフィルムないしシ−トを、上記の無機酸化物の蒸着薄膜の面に、ラミネ−ト用接着剤層等を介してドライラミネ−ト積層することにより、あるいは、上記の溶融押出樹脂層を介して、押出ラミネ−ト積層することにより、ヒ−トシ−ル性樹脂層を形成することができる。
なお、本発明において、ヒ−トシ−ル性樹脂層の厚さとしては、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が望ましいものである。
【0032】
ところで、本発明において、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層としては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層から構成することが好ましいものである。
而して、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層を構成するシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、メタロセン触媒を用いて、エチレンとα・オレフィンとを共重合してなるエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。
上記のメタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである(以下、メタロセン触媒と、シングルサイト触媒とは、同等の意味である。)。
具体的には、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体としては、三菱化学株式会社製の商品名「カ−ネル」、三井石油化学工業株式会社製の商品名「エボリュ−」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティ−(AFFINITY)、商品名「エンゲ−ジ(ENGAGE)」等のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。
【0033】
上記のメタロセン触媒(シングルサイト触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体について更に詳述すると、具体的には、例えば、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物との組み合わせによるシングルサイト触媒、すなわち、メタロセン触媒(いわゆるカミンスキ−触媒を含む)を使用し、エチレンとα・オレフィンとを共重合させてなるエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。
なお、上記のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)は、無機物に担持されて使用されることもある。
上記において、メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、IVB族から選ばれる遷移金属、具体的には、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)に、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオニル基またと置換フルオニル基が1ないし2個結合しているか、あるいは、これらのうちの二つの基が共有結合で架橋したものが結合しており、他に水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アセチルアセトナ−ト基、カルボニル基、窒素分子、酸素分子、ルイス塩基、ケイ素原子を含む置換基、不飽和炭化水素等の配位子を有するものを使用することができる。
【0034】
また、上記において、有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム、または鎖状あるいは環状アルミノキサン等を使用することができる。
ここで、アルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロリド等を使用することができる。
また、鎖状あるいは環状アルミノキサンとしては、例えば、アルキルアルミニウムと水を接触させて生成することができる。
例えば、重合時に、アルキルアルミニウムを加えておき、後に水を添加するか、あるいは、錯塩の結晶水または有機・無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応させることで生成することができる。
次にまた、上記において、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を担持させる無機物としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、珪素土等を使用することができる。
【0035】
次に、上記において、重合方法としては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等の各種の重合方法で行なうことができる。
また、上記の重合は、バッチ式あるいは連続式等のいずれの方法でもよい。
上記において、重合条件としては、重合温度、−100〜250℃、重合時間、5分〜10時間、反応圧力、常圧〜300Kg/cm2 位である。
更に、本発明において、エチレンと共重合されるコモノマ−であるα・オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、または、1−デセン等を使用することができる。
上記のα・オレフフィンは、単独で使用してもよく、また、2以上を組み合わせて使用することもできる。
また、上記のα・オレフフィンの混合比率は、例えば、1〜50重量%、望ましくは、10〜30重量%とすることが好ましい。
而して、本発明において、上記のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の物性は、例えば、分子量、5×103 〜5×106 、密度、0.890〜0.930g/cm3 、メルトフロ−レ−ト〔MFR〕、0.1〜50g/10分位である。
なお、本発明においては、上記のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体には、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、染料、顔料等を任意に添加して使用することができる。
【0036】
而して、本発明において、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層からなる最内層としては、例えば、バリア性層の面に、アンカ−コ−ト剤層等を介して積層する溶融押出積層法、あるいは、ラミネ−ト用接着剤層等を介して積層するドライラミネ−ト法等の通常の積層法を用いて形成することができる。
本発明において、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層の膜厚としては、10μmないし300μm位、好ましくは、20μmないし100μm位が望ましい。
【0037】
また、本発明においては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層からなるヒ−トシ−ル性樹脂層としては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン系共重合体と、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂との共押し出し樹脂層からなり、更に、該共押し出し樹脂層を構成するシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン系樹脂層をヒ−トシ−ル性樹脂層とすることができるものである。
上記において、共押し出し樹脂層を形成する方法としては、Tダイ共押し出し方式、あるいは、共押し出しインフレ−ション方式等によって製造することができ、また、その層構成は、2層あるいはそれ以上の層からなる共押し出し樹脂層からなり、更にまた、その各樹脂層の厚さとしては、2〜20μm位の範囲内で任意に調整することが望ましい。
【0038】
なお、本発明において、ヒ−トシ−ル性樹脂層を構成する樹脂としては、通常、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂、具体的には、低密度ポリエチレン、あるいは、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を使用して構成するものであるが、その場合には、低密度ポリエチレン、あるいは、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂層によるシ−ル温度が、320℃〜350℃位であり、極めて高いシ−ル温度であることからピンホ−ルを発生し、シ−ル不良、液漏れ等を起こす原因となるものである。
そのため、本発明においては、低温シ−ル性を有するシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体に着目し、それによるヒ−トシ−ル性樹脂層を形成し、250℃〜300℃位の低温シ−ルを可能とし、ピンホ−ルの発生を防止し、シ−ル不良、液漏れ等を回避することが好ましいものである。
更に、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体は、粘着性を有することから破断の伝搬が少なく耐衝撃性を向上させるという利点があるものであり、また、ヒ−トシ−ル性樹脂層は常時内容物に接触していることから、耐環境ストレスクラッキング性の劣化を防止するためにも有効なものである。
また、本発明においては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体に他の樹脂をブレンドすることもでき、例えば、エチレン−ブテン共重合体等をブレンドすることにより、若干、耐熱性に劣り高温環境下ではシ−ル安定性が劣化する傾向があるものの、引き裂き性が向上し、易開封性に寄与するという利点がある。
【0039】
なお、本発明において、本発明にかかる積層材を形成する材料として、その他、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、MXDポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフタレ−ト系樹脂等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0040】
また、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
【0041】
次に、本発明においては、本発明にかかる積層材を形成するいずれかの層間に所望の印刷模様層を形成することができるものである。
上記の印刷模様層としては、例えば、上記のバリア性塗布膜の上に、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。
上記インキ組成物について、インキ組成物を構成するビヒクルとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロースなどの繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼインなどの天然樹脂、アマニ油、大豆油などの油脂類、その他の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、染料・顔料などの着色剤の1種ないし2種以上を加え、さらに必要ならば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤などで充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物を使用することができる。
【0042】
なお、本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押出ラミネ−ション法、Tダイ押出成形法、共押出ラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押出インフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ト剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、ラミネ−ト用接着剤等を任意に使用することができる。
【0043】
本発明において、本発明にかかる積層材を製造する方法について、具体的に述べると、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接着剤層を介して積層するドライラミネーション法、あるいは、溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層を介して積層する押出ラミネーション法などで行うことができる。
上記において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用することができる。
上記ラミネート用接着剤のコーティング法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
そのコーティング量としては、好ましくは0.1〜10g/m2(乾燥状態)位、より好ましくは1〜5g/m2(乾燥状態)位である。
なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加することができる。
【0044】
また、上記において、溶融押出接着性樹脂としては、前述のヒートシール性樹脂層を形成するヒートシール性樹脂を同様に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、特に、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレンまたはポリプロピレン等を使用することが好ましい。
上記の溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層の膜厚は、好ましくは5〜100μm位、さらに好ましくは、10〜50μm位である。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤などの接着改良剤などをコートすることもできる。
上記アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水性または油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。
本発明においては、上記アンカーコート剤を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、アンカーコート剤層を形成することができる。
上記アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)位が好ましい。
【0045】
また、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを積層する際には、該無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着膜の面に、プライマ−剤層等の接着助剤層を設けて積層することができるものである。
上記のプライマ−剤層としては、まず、樹脂をビヒクルの主成分とし、該樹脂1〜30重量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10重量%位、好ましくは、0.1重量%〜5重量%位、充填剤0.1〜20重量%位、好ましくは、1〜10重量%位の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合して樹脂組成物を調製する。
而して、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法等により、前述の樹脂フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上にコ−ティングし、しかる後、コ−ティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去し、更に、要すれば、エ−ジング処理等を行って、本発明にかかるプライマ−剤層を形成することができる。
なお、本発明において、プライマ−剤層の膜厚としては、例えば、0.1g/m2 〜2.0g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
【0046】
而して、本発明においては、上記のようなプライマ−剤層により、無機酸化物の蒸着薄膜とヒ−トシ−ル性樹脂層等との密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製函加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着薄膜のクラック等の発生を防止するものである。
上記において、上記のプライマ−剤層を構成する樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ボリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用してプライマ−剤層を形成することができる。
【0047】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層材を使用して製造する包装用袋について説明すると、かかる包装用袋としては、上記のような本発明にかかる積層材を使用し、そのヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して、本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
而して、その製袋法としては、上記のような本発明にかかる積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
また、本発明において、本発明にかかる積層材を使用し、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプ等の液体用紙容器等を製造することもできる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0048】
次に、本発明においては、上記で製造した本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋の開口部から、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品、その他等の種々の内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、本発明にかかる積層材を使用して製袋した包装用袋を使用した包装製品を製造することができるものである。
【0049】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
(1).分散染料(独国、ヘキスト社製黄色系分散染料、2重量部/1L、独国、BASF社製オレンジ系分散染料、1重量部/1L、および、英国、ICI社製赤色系分散染料、1.5重量部/1Lからなる混合染料)に均染剤(独国、BASF社製のユニペロ−ルW、1重量部/1L)および促染剤(日華化学株式会社製のCL−511、5重量部/1L)を加え、得られた水溶液を75〜80℃に加熱し、均一濃度の染料含有染色浴を調製した。
次に、上記の染料含有染色浴中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の染料、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出して、下記に示す条件で、上記のポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:slm)
真空チヤンバー内の真空度;5.2×10−6mbar
蒸着チヤンバー内の真空度;5.1×10−2mbar
冷却・電極ドラム供給電力;60w・分/m2
フィルムの搬送速度;100m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10−2mbarで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記の(1)で形成した酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(1.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマー剤組成物を使用し、これをグラビアロールコート法により、膜厚0.4g/m2(乾燥状態)になるようにコーティングしてプライマー剤層を形成した。
次に、上記で形成したプライマー剤層を含む全面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ5μmの溶融押出樹脂層を形成しながら、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせて、溶融押出ラミネートし本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0050】
実施例2
(1).まず、2−(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル粉末150重量部、分散剤(日華化学株式会社製、アニオン活性剤、リポト−ルB−12)100重量部、および、水250重量部を十分に攪拌、混合して、紫外線吸収剤分散液を調製した。
更に、上記の紫外線吸収剤分散液10重量部を水1L中に加え、十分に攪拌混合し、得られた水溶液を75〜80℃に加熱し、均一濃度の紫外線吸収剤含有染色浴を調製した。
次に、上記の実施例1で調製した染料含有染色浴を使用し、まず、その染料含有染色浴中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の染料、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
更に、上記の染料が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、上記の紫外線吸収剤含有染色浴中に、30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の紫外線吸収剤、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料と紫外線吸収剤が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で製造した染料と紫外線吸収剤が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムをを使用し、まず、上記のポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルにに装着し、次いで、これを繰り出し、そのポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10−4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10−2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:420m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、上記の実施例1と全く同様にして、プラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記で形成した酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理の面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.4g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングして、プライマ−層を形成した。
次に、上記の(1)で形成したプライマ−層の面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
更に、上記で積層した二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ100μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部からドレッシングを充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、その包装用袋が、強度等を有し、かつ、耐侯性、耐熱性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れると共に光遮断性に優れ、包装用容器としての機能、例えば、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れており、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れていた。
【0051】
実施例3
(1).上記の実施例1および実施例2で調製した染料含有染色浴と紫外線吸収剤含有染色浴を使用し、まず、その両染色浴を混合して、次いで、75〜80℃に加熱して、染料と紫外線吸収剤とが含有する染色浴を調製した。
次に、上記の染色浴中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の染料、紫外線吸収剤、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料と紫外線吸収剤とが浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【0052】
実施例4
(1).2重量部/1Lの非イオン界面活性剤を含む60℃の温水中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを1分間浸漬し、次いで、該フィルムを温水中から取り出し、更に、温度60℃の温水で洗浄し、上記のフィルムの表面に付着した過剰の非イオン界面活性剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、非イオン界面活性剤が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【0053】
実験例
上記の実施例1〜4において製造した積層材について、下記に示す評価項目を測定した。
(1).酸素透過度の測定
これは、上記の実施例1〜4において製造した積層材について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、上記の実施例1〜4において製造した積層材について、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0054】
上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day 23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕である。
【0055】
上記の表1に示す測定結果から明らかなように、実施例1〜4にかかるものは、酸素透過度および水蒸気透過度において十分に実用性を有するものであることが確認された。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、染料を含む染色溶液に被染物を一定時間浸漬して、染料が被染物の表面から内部に浸透拡散し、被染物を染料との結合によって着色する浸透染着法に着目し、まず、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を含むある温度条件の染色溶液を生成し、次いで、該染色溶液に樹脂フィルムを一定時間浸漬し、染料等が樹脂フィルムの表面から内部に浸透拡散して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムを製造し、次いで、該樹脂フィルムを使用し、これを蒸着用基材フィルムとして使用し、その染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜を設けて無機蒸着樹脂フィルムを製造し、而して、該無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製函ないし製袋して包装用容器を製造し、しかる後、その包装用容器内に、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造して、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材をを製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤が浸透染着した樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図4】プラズマ化学気相成長装置についてその一例を示す概略的構成図である。
【図5】巻き取り式真空蒸着装置についてその一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
1 染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤
2 樹脂フィルム
3 無機酸化物の蒸着薄膜
4 ヒ−トシ−ル性樹脂層
A 染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤が浸透染着した樹脂フィル
ム
B 無機蒸着樹脂フィルム
C 積層材
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関し、更に詳しくは、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用材料が開発され、提案されている。
それらの中で、近年、酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材として、プラスチック基材の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸化物の蒸着薄膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。
而して、上記の透明ガスバリア性フィルムは、その片面、あるいは、両面に、他のプラスチックフィルム、紙基材、その他等を任意に積層して、種々の層構成からなる積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製袋ないし製函して種々の形態からなる包装用容器を製造し、しかる後、該包装用容器内に、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造し、そられを市場に供給している。
上記の包装製品は、酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止するハイバリア性を有し、内容物の保存、貯蔵安定性、品質保証性等に優れ、また、使用後においては、従来のアルミニウム箔あるいはポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム等のバリア性素材を使用した包装用容器等と比較して、包装用容器等の廃棄処理適性に優れ、環境対応に適し、今後、その発展、需要等が期待されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような透明ガスバリア性フィルムにおいて、それを構成するプラスチック基材としては、通常、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、2軸延伸ナイロン6フィルム、あるいは、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等の透明な樹脂フィルムが使用されている。
而して、上記の透明な樹脂フィルムは、単に、無機酸化物の蒸着薄膜を設ける支持基材として作用するものであり、上記の透明ガスバリア性フィルムにおける酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止するバリア性能等は、無機酸化物の蒸着薄膜に負うものである。
従って、上記の透明ガスバリア性フィルムについて、上記のバリア性能以外の性能、例えば、耐候性、遮光性、防曇性、その他等の性能を向上させるためには、樹脂フィルムに、別途、耐候性層、遮光性層、防曇性層等を設けなければならないものである。
而して、これらの層は、例えば、上記の樹脂フィルムの片面に、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤を含有する樹脂組成物を使用し、これを、印刷法ないしコ−ティング法等を用いて、印刷ないしコ−ティングして印刷膜あるいはコ−ティング膜等を形成することにより、あるいは、まず、上記の樹脂フィルムを構成する樹脂中に、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤を練り込み加工して、次いで、製膜化して、上記の紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤を含有する樹脂フィルムを製造し、これを透明ガスバリア性フィルムを構成する樹脂フィルムとして使用すること等によって、耐候性層、遮光性層、防曇性層等を設けることができる。
【0004】
しかしながら、上記のような印刷法ないしコ−ティング法、あるいは、練り込み加工法等による場合、例えば、上記の印刷法ないしコ−ティング法により、その表面を均一にし、かつ、平滑にするということは極めて困難であること等から、また、練り込み加工法による樹脂フィルムは、その表面に紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤等が滲出し易いこと等から、樹脂フィルム表面の平滑性に欠けるという問題点があり、また、樹脂フィルム自身が、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤等を含有していることから、上記の物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜を形成する際に、紫外線吸収剤、黒色あるいは白色の着色剤、または、防曇剤等が樹脂フィルムから滲出し、これが蒸着釜中に浮遊し、製品としての透明ガスバリア性フィルムの性能に影響を与え、不良品を製造するという問題点がある。
そこで本発明は、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく種々研究の結果、染料を含む染色溶液に被染物を一定時間浸漬して、染料が被染物の表面から内部に浸透拡散し、被染物を染料との結合によって着色する浸透染着法に着目し、まず、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を含むある温度条件の染色溶液を生成し、次いで、該染色溶液に樹脂フィルムを一定時間浸漬し、染料等が樹脂フィルムの表面から内部に浸透拡散して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムを製造し、次いで、該樹脂フィルムを使用し、これを蒸着用基材フィルムとして使用し、その染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜を設けて無機蒸着樹脂フィルムを製造し、而して、該無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製函ないし製袋して包装用容器を製造し、しかる後、その包装用容器内に、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造したところ、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材をを製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材等の構成についてその一二例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図2には、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図3は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム使用した積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【0008】
まず、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムとしては、図1に示すように、まず、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等1を含むある温度条件の染色溶液を生成し、次いで、該染色溶液に樹脂フィルム2を一定時間浸漬し、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等1が樹脂フィルム2の表面から内部に浸透拡散して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムAを製造するものである。
上記の例示は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムについてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0009】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例を例示すると、図2に示すように、上記の図1に示す染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムAを使用し、その片面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜3を設けた構成からなる本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムBを例示することができる。
なお、図2において、図中、1、2は、上記の図1に示す1、2と同じ意味を表す。
なお、本発明においては、図示しないが、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設ける場合、その一方の片面のみならず、その表裏両面にも設ける事ができるものである。
上記の例示は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0010】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム使用した積層材についてその一例を例示すると、図3に示すように、上記の図2に示す本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムBを使用し、その無機蒸着樹脂フィルムBの無機酸化物の蒸着薄膜3の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層4を積層した構成からなる本発明にかかる積層材Cを例示することができる。
なお、図3において、図中、1、2、Aは、上記の図1、図2に示す1、2、Aと同じ意味を表す。
上記の例示は、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを使用した積層材についてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0011】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材等を構成する材料、製造法等について説明すると、まず、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する染料としては、公知のもの、例えば、アゾ系、アントラキノン系、ジフェニルメタン系、トリアリ−ルメタン系、アクリジン系、キノリン系、メチン系、チアゾ−ル系、インドフェノ−ル系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、インジゴイド系、その他等の分散染料、直接染料、塩基性染料、酸性染料、建染染料、その他等を使用することができる。
また、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する紫外線吸収剤としては、公知のもの、例えば、ベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン型2量体化合物系紫外線吸収剤、ドリアジン系紫外線吸収剤、その他等を使用することができる。
更に、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する防曇剤としては、公知のもの、例えば、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、その他等を使用することができる。
【0012】
次に、本発明において、上記のような染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を含む染色溶液について説明すると、例えば、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を水媒体に分散剤等を用いて溶解ないし分散させ、更に、必要ならば、均染剤、促染剤、苛性アルカリ剤、浸透剤、その他等の添加剤を任意に添加して十分に攪拌し、好ましくは、80℃ないし130℃位、より好ましくは、95℃ないし99℃位に温めて、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の染色溶液を調製することができる。
而して、上記のような染色溶液中に樹脂フィルムを10〜120分間、より好ましくは、10〜30分間浸漬し、次いで、樹脂フィルムを、例えば、60℃位の温水中に浸漬して樹脂フィルムの表面に付着した余分の染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を洗浄し、しかる後、樹脂フィルムを適当な温度で熱風乾燥して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤が浸透染着した樹脂フィルムを製造することができる。
【0013】
なお、本発明においては、例えば、樹脂フィルムに、まず、染料を浸透染着した後、紫外線吸収剤を浸透染着する形態、あるいは、紫外線吸収剤を浸透染着した後、染料を浸透染着する形態等のように、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を任意に組み合わせて、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着することができるものである。
また、本発明においては、例えば、上記と同様にして、染料と紫外線吸収剤とを使用し、その両者を水媒体に分散剤等を用いて溶解ないし分散させて、染料と紫外線吸収剤とを含有する染色溶液を調製し、次いで、これを使用して、染料と紫外線吸収剤とを同時に浸透染着した樹脂フィルムを製造することができる。
【0014】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する樹脂フィルムについて説明すると、かかる樹脂フィルムとしては、上記のように染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着すると共にこれに無機酸化物の蒸着薄膜を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、本発明において、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0015】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
【0016】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0017】
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面には、後述する無機酸化物の蒸着薄膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を任意に形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと後述する無機酸化物の蒸着薄膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0018】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルム、積層材等を構成する無機酸化物の蒸着薄膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
【0019】
本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、樹脂フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0020】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図4は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図4に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から前述の染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着した樹脂フィルムPを繰り出し、更に、該基材フィルムPを、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置26、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された基材フィルムPの上に、グロ−放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成した基材フィルムPは、補助ロ−ル33を介して巻き取りロ−ル34に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができるものである。
なお、図中、35は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、無機酸化物の蒸着薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできる。
【0021】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10−1〜1×10−8Torr位、好ましくは、真空度1×10−3〜1×10−7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、樹脂フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の樹脂フィルムの上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10−1〜1×10−4Torr位、好ましくは、真空度1×10−1〜1×10−2Torr位に調製することが望ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0022】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより樹脂フィルムの表面が、清浄化され、樹脂フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜と樹脂フィルムとの密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜の形成時の真空度は、1×10−1〜1×10−4Torr位、好ましくは、1×10−1〜1×10−2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する時の真空度、1×10−4〜1×10−5Torr位に比較して低真空度であることから、樹脂フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0023】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着薄膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、樹脂フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。而して、上記の酸化珪素の蒸着薄膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0024】
また、上記の酸化珪素の蒸着薄膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着薄膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着薄膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着薄膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着薄膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着薄膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着薄膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着薄膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、樹脂フィルムと酸化珪素の蒸着薄膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0025】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着薄膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、80〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、80Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着薄膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0026】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0027】
次に、本発明において、上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを樹脂フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0028】
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図5は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図5に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤を浸透染着した樹脂フィルムPは、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された樹脂フィルムPの上に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成した樹脂フィルムPを、ガイドロ−ル51、52を介して送り出し、巻き取りロ−ル53に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着薄膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着薄膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
【0029】
上記において、無機酸化物の蒸着薄膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着薄膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着薄膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着薄膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできる。
【0030】
ところで、本発明において、本発明にかかる無機酸化物の蒸着薄膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできるものである。而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、樹脂フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を構成することが望ましいものである。
勿論、本発明においては、上記とは逆くに、樹脂フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできるものである。
【0031】
次に、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムして形成する積層材について説明すると、まず、本発明にかかる積層材を構成するヒ−トシ−ル性樹脂層としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
而して、本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、例えば、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを構成する無機酸化物の蒸着薄膜の面に、アンカ−コ−ト剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、その樹脂のフィルムないしシ−トを、上記の無機酸化物の蒸着薄膜の面に、ラミネ−ト用接着剤層等を介してドライラミネ−ト積層することにより、あるいは、上記の溶融押出樹脂層を介して、押出ラミネ−ト積層することにより、ヒ−トシ−ル性樹脂層を形成することができる。
なお、本発明において、ヒ−トシ−ル性樹脂層の厚さとしては、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が望ましいものである。
【0032】
ところで、本発明において、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層としては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層から構成することが好ましいものである。
而して、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層を構成するシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体としては、例えば、二塩化ジルコノセンとメチルアルモキサンの組み合わせによる触媒等のメタロセン錯体とアルモキサンとの組み合わせによる触媒、すなわち、メタロセン触媒を用いて、エチレンとα・オレフィンとを共重合してなるエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。
上記のメタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである(以下、メタロセン触媒と、シングルサイト触媒とは、同等の意味である。)。
具体的には、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体としては、三菱化学株式会社製の商品名「カ−ネル」、三井石油化学工業株式会社製の商品名「エボリュ−」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティ−(AFFINITY)、商品名「エンゲ−ジ(ENGAGE)」等のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。
【0033】
上記のメタロセン触媒(シングルサイト触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体について更に詳述すると、具体的には、例えば、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物との組み合わせによるシングルサイト触媒、すなわち、メタロセン触媒(いわゆるカミンスキ−触媒を含む)を使用し、エチレンとα・オレフィンとを共重合させてなるエチレン−α・オレフィン共重合体を使用することができる。
なお、上記のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)は、無機物に担持されて使用されることもある。
上記において、メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、IVB族から選ばれる遷移金属、具体的には、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)に、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオニル基またと置換フルオニル基が1ないし2個結合しているか、あるいは、これらのうちの二つの基が共有結合で架橋したものが結合しており、他に水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アセチルアセトナ−ト基、カルボニル基、窒素分子、酸素分子、ルイス塩基、ケイ素原子を含む置換基、不飽和炭化水素等の配位子を有するものを使用することができる。
【0034】
また、上記において、有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム、または鎖状あるいは環状アルミノキサン等を使用することができる。
ここで、アルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロリド等を使用することができる。
また、鎖状あるいは環状アルミノキサンとしては、例えば、アルキルアルミニウムと水を接触させて生成することができる。
例えば、重合時に、アルキルアルミニウムを加えておき、後に水を添加するか、あるいは、錯塩の結晶水または有機・無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応させることで生成することができる。
次にまた、上記において、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を担持させる無機物としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、珪素土等を使用することができる。
【0035】
次に、上記において、重合方法としては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等の各種の重合方法で行なうことができる。
また、上記の重合は、バッチ式あるいは連続式等のいずれの方法でもよい。
上記において、重合条件としては、重合温度、−100〜250℃、重合時間、5分〜10時間、反応圧力、常圧〜300Kg/cm2 位である。
更に、本発明において、エチレンと共重合されるコモノマ−であるα・オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、または、1−デセン等を使用することができる。
上記のα・オレフフィンは、単独で使用してもよく、また、2以上を組み合わせて使用することもできる。
また、上記のα・オレフフィンの混合比率は、例えば、1〜50重量%、望ましくは、10〜30重量%とすることが好ましい。
而して、本発明において、上記のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の物性は、例えば、分子量、5×103 〜5×106 、密度、0.890〜0.930g/cm3 、メルトフロ−レ−ト〔MFR〕、0.1〜50g/10分位である。
なお、本発明においては、上記のシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体には、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、染料、顔料等を任意に添加して使用することができる。
【0036】
而して、本発明において、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層からなる最内層としては、例えば、バリア性層の面に、アンカ−コ−ト剤層等を介して積層する溶融押出積層法、あるいは、ラミネ−ト用接着剤層等を介して積層するドライラミネ−ト法等の通常の積層法を用いて形成することができる。
本発明において、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層の膜厚としては、10μmないし300μm位、好ましくは、20μmないし100μm位が望ましい。
【0037】
また、本発明においては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体層からなるヒ−トシ−ル性樹脂層としては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン系共重合体と、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂との共押し出し樹脂層からなり、更に、該共押し出し樹脂層を構成するシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン系樹脂層をヒ−トシ−ル性樹脂層とすることができるものである。
上記において、共押し出し樹脂層を形成する方法としては、Tダイ共押し出し方式、あるいは、共押し出しインフレ−ション方式等によって製造することができ、また、その層構成は、2層あるいはそれ以上の層からなる共押し出し樹脂層からなり、更にまた、その各樹脂層の厚さとしては、2〜20μm位の範囲内で任意に調整することが望ましい。
【0038】
なお、本発明において、ヒ−トシ−ル性樹脂層を構成する樹脂としては、通常、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂、具体的には、低密度ポリエチレン、あるいは、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を使用して構成するものであるが、その場合には、低密度ポリエチレン、あるいは、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂層によるシ−ル温度が、320℃〜350℃位であり、極めて高いシ−ル温度であることからピンホ−ルを発生し、シ−ル不良、液漏れ等を起こす原因となるものである。
そのため、本発明においては、低温シ−ル性を有するシングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体に着目し、それによるヒ−トシ−ル性樹脂層を形成し、250℃〜300℃位の低温シ−ルを可能とし、ピンホ−ルの発生を防止し、シ−ル不良、液漏れ等を回避することが好ましいものである。
更に、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体は、粘着性を有することから破断の伝搬が少なく耐衝撃性を向上させるという利点があるものであり、また、ヒ−トシ−ル性樹脂層は常時内容物に接触していることから、耐環境ストレスクラッキング性の劣化を防止するためにも有効なものである。
また、本発明においては、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体に他の樹脂をブレンドすることもでき、例えば、エチレン−ブテン共重合体等をブレンドすることにより、若干、耐熱性に劣り高温環境下ではシ−ル安定性が劣化する傾向があるものの、引き裂き性が向上し、易開封性に寄与するという利点がある。
【0039】
なお、本発明において、本発明にかかる積層材を形成する材料として、その他、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、MXDポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフタレ−ト系樹脂等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0040】
また、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
【0041】
次に、本発明においては、本発明にかかる積層材を形成するいずれかの層間に所望の印刷模様層を形成することができるものである。
上記の印刷模様層としては、例えば、上記のバリア性塗布膜の上に、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。
上記インキ組成物について、インキ組成物を構成するビヒクルとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロースなどの繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼインなどの天然樹脂、アマニ油、大豆油などの油脂類、その他の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、染料・顔料などの着色剤の1種ないし2種以上を加え、さらに必要ならば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤などで充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物を使用することができる。
【0042】
なお、本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押出ラミネ−ション法、Tダイ押出成形法、共押出ラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押出インフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ト剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、ラミネ−ト用接着剤等を任意に使用することができる。
【0043】
本発明において、本発明にかかる積層材を製造する方法について、具体的に述べると、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接着剤層を介して積層するドライラミネーション法、あるいは、溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層を介して積層する押出ラミネーション法などで行うことができる。
上記において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用することができる。
上記ラミネート用接着剤のコーティング法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
そのコーティング量としては、好ましくは0.1〜10g/m2(乾燥状態)位、より好ましくは1〜5g/m2(乾燥状態)位である。
なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加することができる。
【0044】
また、上記において、溶融押出接着性樹脂としては、前述のヒートシール性樹脂層を形成するヒートシール性樹脂を同様に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、特に、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレンまたはポリプロピレン等を使用することが好ましい。
上記の溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層の膜厚は、好ましくは5〜100μm位、さらに好ましくは、10〜50μm位である。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤などの接着改良剤などをコートすることもできる。
上記アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水性または油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。
本発明においては、上記アンカーコート剤を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、アンカーコート剤層を形成することができる。
上記アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)位が好ましい。
【0045】
また、本発明において、本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムを積層する際には、該無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着膜の面に、プライマ−剤層等の接着助剤層を設けて積層することができるものである。
上記のプライマ−剤層としては、まず、樹脂をビヒクルの主成分とし、該樹脂1〜30重量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10重量%位、好ましくは、0.1重量%〜5重量%位、充填剤0.1〜20重量%位、好ましくは、1〜10重量%位の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合して樹脂組成物を調製する。
而して、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法等により、前述の樹脂フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上にコ−ティングし、しかる後、コ−ティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去し、更に、要すれば、エ−ジング処理等を行って、本発明にかかるプライマ−剤層を形成することができる。
なお、本発明において、プライマ−剤層の膜厚としては、例えば、0.1g/m2 〜2.0g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
【0046】
而して、本発明においては、上記のようなプライマ−剤層により、無機酸化物の蒸着薄膜とヒ−トシ−ル性樹脂層等との密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製函加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着薄膜のクラック等の発生を防止するものである。
上記において、上記のプライマ−剤層を構成する樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ボリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用してプライマ−剤層を形成することができる。
【0047】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層材を使用して製造する包装用袋について説明すると、かかる包装用袋としては、上記のような本発明にかかる積層材を使用し、そのヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して、本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
而して、その製袋法としては、上記のような本発明にかかる積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
また、本発明において、本発明にかかる積層材を使用し、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプ等の液体用紙容器等を製造することもできる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0048】
次に、本発明においては、上記で製造した本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋の開口部から、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品、その他等の種々の内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、本発明にかかる積層材を使用して製袋した包装用袋を使用した包装製品を製造することができるものである。
【0049】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
(1).分散染料(独国、ヘキスト社製黄色系分散染料、2重量部/1L、独国、BASF社製オレンジ系分散染料、1重量部/1L、および、英国、ICI社製赤色系分散染料、1.5重量部/1Lからなる混合染料)に均染剤(独国、BASF社製のユニペロ−ルW、1重量部/1L)および促染剤(日華化学株式会社製のCL−511、5重量部/1L)を加え、得られた水溶液を75〜80℃に加熱し、均一濃度の染料含有染色浴を調製した。
次に、上記の染料含有染色浴中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の染料、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出して、下記に示す条件で、上記のポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:slm)
真空チヤンバー内の真空度;5.2×10−6mbar
蒸着チヤンバー内の真空度;5.1×10−2mbar
冷却・電極ドラム供給電力;60w・分/m2
フィルムの搬送速度;100m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10−2mbarで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記の(1)で形成した酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(1.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマー剤組成物を使用し、これをグラビアロールコート法により、膜厚0.4g/m2(乾燥状態)になるようにコーティングしてプライマー剤層を形成した。
次に、上記で形成したプライマー剤層を含む全面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ5μmの溶融押出樹脂層を形成しながら、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせて、溶融押出ラミネートし本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0050】
実施例2
(1).まず、2−(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル粉末150重量部、分散剤(日華化学株式会社製、アニオン活性剤、リポト−ルB−12)100重量部、および、水250重量部を十分に攪拌、混合して、紫外線吸収剤分散液を調製した。
更に、上記の紫外線吸収剤分散液10重量部を水1L中に加え、十分に攪拌混合し、得られた水溶液を75〜80℃に加熱し、均一濃度の紫外線吸収剤含有染色浴を調製した。
次に、上記の実施例1で調製した染料含有染色浴を使用し、まず、その染料含有染色浴中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の染料、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
更に、上記の染料が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、上記の紫外線吸収剤含有染色浴中に、30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の紫外線吸収剤、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料と紫外線吸収剤が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で製造した染料と紫外線吸収剤が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムをを使用し、まず、上記のポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルにに装着し、次いで、これを繰り出し、そのポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10−4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10−2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:420m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、上記の実施例1と全く同様にして、プラズマ処理面を形成した。
(3).次に、上記で形成した酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理の面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.4g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングして、プライマ−層を形成した。
次に、上記の(1)で形成したプライマ−層の面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式で所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
更に、上記で積層した二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ100μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部からドレッシングを充填包装し、しかる後、その開口部の端部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、その包装用袋が、強度等を有し、かつ、耐侯性、耐熱性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れると共に光遮断性に優れ、包装用容器としての機能、例えば、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れており、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れていた。
【0051】
実施例3
(1).上記の実施例1および実施例2で調製した染料含有染色浴と紫外線吸収剤含有染色浴を使用し、まず、その両染色浴を混合して、次いで、75〜80℃に加熱して、染料と紫外線吸収剤とが含有する染色浴を調製した。
次に、上記の染色浴中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを30分間浸漬し、次いで、該フィルムを染色浴から取り出し、温度60℃の温水中に1分間浸漬して、上記のフィルムの表面に付着した過剰の染料、紫外線吸収剤、均染剤、促染剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、染料と紫外線吸収剤とが浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【0052】
実施例4
(1).2重量部/1Lの非イオン界面活性剤を含む60℃の温水中に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを1分間浸漬し、次いで、該フィルムを温水中から取り出し、更に、温度60℃の温水で洗浄し、上記のフィルムの表面に付着した過剰の非イオン界面活性剤等を洗い流し、しかる後、上記のフィルムを熱風乾燥して、非イオン界面活性剤が浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(2).次に、上記で浸透染着したポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様な結果を得た。
【0053】
実験例
上記の実施例1〜4において製造した積層材について、下記に示す評価項目を測定した。
(1).酸素透過度の測定
これは、上記の実施例1〜4において製造した積層材について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、上記の実施例1〜4において製造した積層材について、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0054】
上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day 23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕である。
【0055】
上記の表1に示す測定結果から明らかなように、実施例1〜4にかかるものは、酸素透過度および水蒸気透過度において十分に実用性を有するものであることが確認された。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、染料を含む染色溶液に被染物を一定時間浸漬して、染料が被染物の表面から内部に浸透拡散し、被染物を染料との結合によって着色する浸透染着法に着目し、まず、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤等を含むある温度条件の染色溶液を生成し、次いで、該染色溶液に樹脂フィルムを一定時間浸漬し、染料等が樹脂フィルムの表面から内部に浸透拡散して、染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムを製造し、次いで、該樹脂フィルムを使用し、これを蒸着用基材フィルムとして使用し、その染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着薄膜を設けて無機蒸着樹脂フィルムを製造し、而して、該無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用し、これを製函ないし製袋して包装用容器を製造し、しかる後、その包装用容器内に、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装して包装製品を製造して、強度等を有し、かつ、耐候性、遮光性、防曇性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、また、良好な接着性を有してラミネ−ト適性に優れ、更に、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加工、その他等の後処理加工に対し優れた適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品を充填包装し、その内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、また、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に極めて優れた無機蒸着樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材をを製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤が浸透染着した樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる無機蒸着樹脂フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図4】プラズマ化学気相成長装置についてその一例を示す概略的構成図である。
【図5】巻き取り式真空蒸着装置についてその一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
1 染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤
2 樹脂フィルム
3 無機酸化物の蒸着薄膜
4 ヒ−トシ−ル性樹脂層
A 染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤が浸透染着した樹脂フィル
ム
B 無機蒸着樹脂フィルム
C 積層材
Claims (10)
- 染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする無機蒸着樹脂フィルム。
- 染料が、分散染料、直接染料、酸性染料、または、塩基性染料の1種ないし2種以上からなることを特徴とする上記の請求項1に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、または、トリアジン系紫外線吸収剤の1種ないし2種以上からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 防曇剤が、界面活性剤の1種ないし2種以上からなることを特徴とする上記の請求項1に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 樹脂フィルムが、2軸延伸加工した樹脂フィルムからなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 無機酸化物の蒸着薄膜が、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜5のいずれか1項に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 無機酸化物の蒸着薄膜が、化学気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜6のいずれか1項に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 無機酸化物の蒸着薄膜が、物理気相成長法による酸化アルミニウムの蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜6のいずれか1項に記載する無機蒸着樹脂フィルム。
- 染料、紫外線吸収剤、または、防曇剤の1種ないし2種以上を浸透染着した樹脂フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着薄膜を設けた構成からなる無機蒸着樹脂フィルムの無機酸化物の蒸着薄膜の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層することを特徴とする積層材。
- ヒ−トシ−ル性樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項9に記載する積層材。
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