JP2004050459A - 射出成形機のノズルと射出成形方法 - Google Patents

射出成形機のノズルと射出成形方法 Download PDF

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Hironori Koyama
小山 洋典
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Abstract

【課題】溶融樹脂中の気体は原料樹脂を除湿乾燥したり、金型キャビティを真空引きしても解消出来ないことが多く、この気体は光学部品において微細な気泡の集合体であるもやとなり成形不良を引き起こす。
【解決手段】中心に樹脂通路3を有する通気部材4を内部に嵌挿し、加熱筒8から金型14まで樹脂通路3を連通させ、かつ前記通気部材4の外周から大気への連通路を有するノズル17を用いて、前記樹脂通路3の溶融樹脂15を加圧し、前記通気部材4と前記連通路を通じて脱気させ、溶融樹脂15を金型14に射出する。
【選択図】        図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
気体を含有した溶融樹脂から気体を除去するためのノズルとそれによる射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融樹脂に含有する気体が成形品に残留すると、透明な成形品では微細な気泡の集合体である「もや」となって透明度を低下させ、特に光学部品では問題となる。例えばPMMA(アクリル樹脂)材の成形品を電子顕微鏡で見ると水分による気泡が多く見られる。このようなもやの原因である微細な気泡は原料樹脂を除湿乾燥したり、金型キャビティを真空引きしても解消出来ないことが多く、原料樹脂が加熱筒内で溶融するときに発生するものと考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した溶融樹脂中の気体に基づくもや等の成形不良を解消するため、気体を含有する溶融樹脂を金型へ射出中または射出する前に除去することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そのための手段として、本発明は射出成形機の加熱筒で可塑化した溶融樹脂を金型に射出するノズルの中心に樹脂通路を有する通気部材を嵌挿し、加熱筒から金型まで樹脂通路を連通させ、かつ前記通気部材の外周から大気への連通路を形成させたのである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は射出成形機の加熱筒先端に設け金型に当接する本発明のノズルの断面図である。
【0006】
ノズル17は、射出成形機の加熱筒8の先端面にボルト13で固着したシリンダヘッド7に螺着したノズル本体2と、ノズル本体2の内孔16に嵌挿した通気部材4と、通気部材4を介してノズル本体2の先端部に螺着したノズルチップ1と、ノズル本体2の外周に捲着したバンドヒータ10とからなる。
【0007】
通気部材4は、その外径がノズル本体2の内孔16の内径よりわずか小さく、中心軸に樹脂通路3を有する円筒形状物である。通気部材4の材質は、20〜30μmの微細な連通孔が分散した多孔性金属であり、新東工業株式会社製のポーセラックスIIが好適に使用できる。ポーセラックスIIは金型のキャビティ構成部材として多用されており、強度に不安はない。また、ポーセラックスIIを金型で使用する場合に必要となる連通孔に付着したモノマーの洗浄は、本発明での実施においては溶融樹脂を流通させて自己洗浄するので必要としない。さらに、通気部材4はカートリッジ状で容易に交換可能に構成しているので、原料樹脂に応じて複数の通気部材4を用意すれば、原料替えが短時間で実行できる。
【0008】
通気部材4が嵌挿されたノズル本体2の内孔16の壁面には、軸方向に通気部材4の長さより短い複数の溝5が刻設され、溝5の加熱筒8側端部は環状溝で相互に連通され、該環状溝には放射状に複数穿設され大気と連通する貫通穴6が接続されている。溝5、環状溝および貫通穴6により連通路が構成される。
【0009】
シリンダヘッド7と加熱筒8は、スクリュ9を回転往復動自在に嵌挿し、バンドヒータ11,12により加熱されている。スクリュ9の後方から供給された原料樹脂は、スクリュ9の回転とバンドヒータ11,12からの熱量により可塑化溶融かつ混練されて溶融樹脂15となる。ノズルチップ1はノズル17や加熱筒8を含む射出装置を駆動することにより金型14に押圧され、金型14内の通路は前成形サイクルで射出充填された溶融樹脂が固化して閉塞され、したがって樹脂通路3は閉塞されるので、溶融樹脂15はスクリュ9を後退させることによりスクリュ9の前方および樹脂通路3に蓄積される。このとき溶融樹脂15にはスクリュ9が後退するときの抵抗力によってスクリュ背圧が発生する。
【0010】
溶融樹脂15は、金型14内の固化した溶融樹脂である成形品が取出された後、射出装置の図示しないアクチュエータで前進駆動されるスクリュ9により樹脂通路3から金型14へ射出される。このとき溶融樹脂15には射出圧力が発生する。
【0011】
溶融樹脂15に前記スクリュ背圧や前記射出圧力が発生したとき、樹脂通路3の一部を形成する通気部材4に接触する溶融樹脂15から、溶融樹脂15に含まれた気体が通気部材4の連通孔、溝5および貫通穴6を経由して大気に放出される。このとき、わずかな溶融樹脂15も流出する。流出した溶融樹脂15は貫通穴6の外部に別途用意した樋や受皿で回収するようにしてもよい。
【0012】
上記したように溶融樹脂15から気体を除去するのは可塑化行程と射出行程において行うが、射出行程の前かつ成形品を取出す前にスクリュ9を前進駆動して蓄積された溶融樹脂15を強制的に加圧して脱気させてもよい。また、可塑化行程と射出行程とでは溶融樹脂圧力にかなりの相違があるので、脱気効果を改善させるため、溶融樹脂圧力の低いときは溶融樹脂圧力の高いときよりバンドヒータ10の発熱量が多くなるように制御してより脱気し易くすることも行われる。
【0013】
【発明の効果】
光学部品で問題となるもやの原因である微細な気泡は原料樹脂を除湿乾燥したり、金型キャビティを真空引きしても解消出来ないことが多いが、本発明によれば、気体を含有する溶融樹脂を金型へ射出中または射出する前に脱気させることができるので、成形不良の低減効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形機の加熱筒先端に設け金型に当接する本発明のノズルの断面図である。
【符号の説明】
1 ……… ノズルチップ
2 ……… ノズル本体
3 ……… 樹脂通路
4 ……… 通気部材
5 ……… 溝
6 ……… 貫通穴
7 ……… シリンダヘッド
8 ……… 加熱筒
9 ……… スクリュ
10,11,12 …… バンドヒータ
13 …… ボルト
14 …… 金型
15 …… 溶融樹脂
16 …… 内孔
17 …… ノズル

Claims (3)

  1. 射出成形機の加熱筒で可塑化した溶融樹脂を金型に射出するためのノズルであって、
    中心に樹脂通路を有する通気部材を内部に嵌挿し、加熱筒から金型まで樹脂通路を連通させ、かつ前記通気部材の外周から大気への連通路を有することを特徴とする射出成形機のノズル。
  2. 中心に樹脂通路を有する通気部材を内部に嵌挿し、加熱筒から金型まで樹脂通路を連通させ、かつ前記通気部材の外周から大気への連通路を有するノズルを用いる射出成形方法であって、
    前記樹脂通路の溶融樹脂を加圧し、前記通気部材と前記連通路を通じて脱気させつつ、もしくは前記通気部材と前記連通路を通じて脱気させた後、溶融樹脂を金型に射出することを特徴とする射出成形方法。
  3. 前記脱気中に溶融樹脂を前記連通路から放出することを特徴とする請求項2に記載の射出成形方法。
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