JP2003181877A - 長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方法 - Google Patents

長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方法

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JP2003181877A
JP2003181877A JP2001380982A JP2001380982A JP2003181877A JP 2003181877 A JP2003181877 A JP 2003181877A JP 2001380982 A JP2001380982 A JP 2001380982A JP 2001380982 A JP2001380982 A JP 2001380982A JP 2003181877 A JP2003181877 A JP 2003181877A
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Masamichi Koide
正道 小出
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Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可塑化中に長繊維強化材及び樹脂を含む複合
成形材料が折損することを防止する長繊維強化材及び樹
脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方法を提供す
る。 【解決手段】 長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材
料が軟化してブリッジング状態とならない程度まで予備
加熱して溶融されやすくし、可塑化時の圧縮及びせん断
作用の影響を小さくして繊維の折損を抑える状態として
から可塑化を行うようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長繊維強化材及び
樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方法に関し、
特に、ペレット長と同じ長さで概ね平行に分布したガラ
ス繊維(GF)、カーボン繊維(CF)、天然繊維(例
えば、ケナフ)等を含む長繊維強化材及び樹脂を含む複
合材料を、可塑化前に、軟化してブリッジング状態とな
らない程度まで予備加熱して溶融されやすくし、可塑化
時の圧縮及びせん断作用の影響を小さくして繊維の折損
を抑える状態としてから可塑化する複合成形材料の射出
成形可塑化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の長繊維強化材及び樹脂を含む複合
成形材料の射出成形可塑化方法は、可塑化前に、長繊維
強化ペレットに含まれる水分を除去するために、予備乾
燥を行う。これは、可塑化中の溶融樹脂又は成形後の成
形品の内部に水分が含まれると、加水分解により物性が
低下するため、これを防止するためである。予備乾燥
は、熱風乾燥機又は除湿乾燥機等の材料乾燥装置等を使
用し、内部の水分除去が可能な低温で加熱を行うように
していた。
【0003】乾燥後、射出成形機に装備されている射出
装置の材料供給用ホッパに投入し、射出装置のスクリュ
回転により可塑化混練を行う。これにより、可塑化中の
溶融樹脂又成形後の成形品の内部に残存する水分により
加水分解による物性低下を防止することができる。例え
ば、ガラス長繊維及びポリプロピレン樹脂の複合成形材
料(PP)では、約80℃に予熱することで、20%程
度の可塑化能力が向上することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の長繊維強化
材及び樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方法で
は、以下の問題がある。長繊維強化材及び樹脂を含む複
合成形材料は、長繊維強化ペレットであり、通常の2〜
3mm程度のペレットに比較して、約5〜50mm程度
と非常に長く、且つ細くて硬い状態で射出装置に投入さ
れるため、可塑化中に、スクリュの回転による圧縮力及
びせん断作用を受けると、非常に折れ易くなっている。
このため、長繊維強化ペレットに含まれる長い繊維が切
れてしまい、繊維長が長く対衝撃強度等の物性が向上す
るという長繊維の特性が十分に生かされないという問題
があった。
【0005】本発明は、上記のような従来の方法の課題
を解決するためのものであり、可塑化中に長繊維強化ペ
レットのような複合成形材料が折損することを防止する
ことができる長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料
の射出成形可塑化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明では、長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材
料が軟化してブリッジング状態とならない程度まで予備
加熱して溶融されやすくし、可塑化時の圧縮及びせん断
作用の影響を小さくして繊維の折損を抑える状態として
から可塑化を行うようにしたことを特徴とする。
【0007】ここで、ブリッジング状態とは、材料が加
熱されて軟化状態となった時に、材料粒子毎の円滑な落
下が阻害されて材料供給口に橋をかけたような状態とな
ることをいう。
【0008】本発明のうち請求項2記載の発明では、請
求項1記載の長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料
の射出成形可塑化方法において、前記予備加熱する温度
は、80℃〜200℃であることを特徴とする。
【0009】本発明のうち請求項3記載の発明では、請
求項1又は2記載の長繊維強化材及び樹脂を含む複合成
形材料の射出成形可塑化方法において、前記予備加熱す
る温度は、ガラス長繊維及びポリプロピレン樹脂の複合
成形材料の場合には、110℃より高く130℃より低
い範囲、好ましくは120℃であることを特徴とする。
【0010】本発明のうち請求項4記載の発明では、請
求項1〜3のいずれか記載の長繊維強化材及び樹脂を含
む複合成形材料の射出成形可塑化方法において、前記長
繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料は、ペレット長
が5〜50mmで、長繊維がペレット長と同じ長さで概
ね平行に分布し樹脂を含浸させた形状の長繊維強化ペレ
ットであることを特徴とする。
【0011】請求項5記載の発明では、請求項1〜3の
いずれか記載の長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材
料の射出成形可塑化方法において、前記長繊維強化材
は、ガラス繊維(GF)、カーボン繊維(CF)、天然
繊維(例えば、ケナフ)等であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。本発明の長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形
材料の射出成形可塑化方法では、ペレット長が5〜50
mmのガラス繊維等の長繊維強化ペレットを使用する。
そして、長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料が軟
化してブリッジング状態とならない程度まで予備加熱し
て溶融されやすくし、可塑化時の圧縮及びせん断作用の
影響を小さくして繊維の折損を抑える状態としてから可
塑化を行うものである。
【0013】予備加熱する温度は、材料によって異なる
が、好適には、80℃〜200℃である。80℃より低
温では、乾燥及び除湿は可能であるが、ペレットが十分
に軟化しないため、せん断及び圧縮力を受けて折損しや
すい。他方、200℃より高温では、軟化しすぎてブリ
ッジング状態となるため、可塑化スクリュ装置への投入
がスムーズに行うことが困難となる。
【0014】予備加熱は、例えば、ホッパドライヤのよ
うな熱風乾燥機又は除湿乾燥機等の材料乾燥装置を使用
し、長繊維強化材料が軟化してブリッジング状態となら
ない所定の許容温度になるまで予備加熱を行う。予備加
熱する温度は、例えば、ガラス長繊維及びポリプロピレ
ン樹脂の複合成形材料の場合には、後述の実施例で示す
ように、110℃より高く130℃より低い範囲、好ま
しくは120℃が適切である。
【0015】次に、図により説明する。図1に示すよう
に、予め材料乾燥装置1で長繊維強化ペレット5を所定
の温度となるまで、予備加熱した後、射出シリンダ装置
2の材料供給口3に投入する。1aはホッパドライヤ、
1bは材料乾燥機である。射出シリンダ装置2には、射
出スクリュ4が回転可能で、且つ軸方向に前進後退の移
動可能に設けられている。材料供給口3は、図のよう
に、上部がテーパ状に開放された穴部となっている。
【0016】次に、この実施の形態の作用について説明
する。まず、長繊維強化ペレットを材料乾燥装置1に投
入する。材料乾燥装置1において、約80〜120℃に
予備加熱される。このとき、長繊維強化ペレット5は、
除湿乾燥され、且つブリッジング状態とならない程度ま
で軟化される。そして、軟化した長繊維強化ペレット5
が材料供給口3から射出シリンダ装置2内に投入され
る。このとき、射出スクリュ4が回転されており、長繊
維強化ペレット5はスクリュ溝に食い込まれることとな
る。この際、長繊維強化ペレット5は、絡み合ったよう
な容積の大きい状態であるが、射出スクリュ4により軸
方向に移動される際に、せん断力及び圧縮力が射出スク
リュ4及びシリンダ内壁面によって作用されるが、長繊
維強化ペレット5は軟化した状態であるので、スクリュ
溝に食い込まれる際にも折損することなく、食い込まれ
ながら容積を減少して可塑化されていく。そして、溶融
混練されて、可塑化シリンダから図示しない射出シリン
ダ内の材料貯留室内に押し出され、所定量の溶融材料が
貯留された後、図示しない射出機構を強制的に前進動作
させることにより、溶融材料の射出が行われる。
【0017】
【実施例】本発明の実施例として、以下の実験を行っ
た。 材料 ポリプロピレン−ガラス繊維(PP−GF)の長
繊維強化ペレット(ペレット長12mm、ガラス繊維含
有率GF40Wt%) 予備加熱温度 120℃ シリンダ設定温度 270℃ スクリュ回転数 55rpm スクリュ径 φ100の可塑化装置を装備した射出成形
【0018】(実験結果)可塑化能力は3.2kg/H
rpmが4.8Kg/Hrpmへと約50%向上した。
この結果、成形サイクルも、成形品重量3.7Kgの成
形において、成形サイクル180秒が120秒へと40
%短縮された。また、残存繊維長は、平均3〜4mmで
あったものが、平均7mmへと長く保持された。
【0019】次に、予備加熱温度を130℃として、他
は120℃のときと全く同様の条件にて実験を行った。
この場合には、ホッパ部において、おこし状、すなわち
ブリッジング状態となり、軟化しすぎるために、材料供
給口に材料がスムーズに投入できず、可塑化がスムーズ
に行われなかった。
【0020】また、予備加熱温度を110℃として、他
は120℃のときと全く同様の条件にて実験を行った。
この場合には、可塑化能力は3.2kg/Hrpmが
3.8Kg/Hrpmへと約20%程度向上した。この
結果、成形サイクルも、成形品重量3.7Kgの成形に
おいて、成形サイクル180秒が140秒へと30%短
縮された。また、残存繊維長は、平均3〜4mmであっ
たものが、平均6mmへと長く保持された。このため、
PP樹脂の場合は、110℃より高く130℃より低い
範囲、好ましくは120℃が適切な予備加熱温度である
といえる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1記載の発明では、長繊維強化材及び樹脂を含む複合
成形材料が軟化してブリッジング状態とならない程度ま
で予備加熱して溶融されやすくし、可塑化時の圧縮及び
せん断作用の影響を小さくして繊維の折損を抑える状態
としてから可塑化を行うようにしたので、長繊維強化材
が軟化して曲がり易くなっているため、材料供給口より
投入された長繊維強化材がスクリュ回転により可塑化さ
れる工程において、圧縮とせん断作用が働いても、従来
のように硬い状態の長繊維強化材のように折損してしま
うことがなくなり、可塑化能力が向上するという効果が
ある。これは、長繊維強化材が軟化してブリッジング状
態とならない許容加熱範囲に予備加熱されたことによ
り、長繊維強化材が軟化し、スクリュの谷部への食い込
み抵抗が低く抑えられ、圧縮力及びせん断作用の抑制の
相乗作用により、長繊維強化材の折損防止効果があると
考えられる。また、食い込み抵抗が低く抑えられるとと
もに、せん断作用も低く抑えられることにより、シリン
ダ内面及びスクリュの摩耗の影響が低減するという効果
もある。
【0022】また、既存のホッパドライヤ等の材料乾燥
装置により予備加熱を行うことができるため、新規な設
備投資の必要もなく、可塑化能力が向上し、且つ長繊維
強化材の特徴を最大限に生かすことができるという効果
がある。
【0023】本発明のうち請求項2記載の発明では、前
記予備加熱する温度は、80℃〜200℃とすることに
より、長繊維強化材が軟化してブリッジング状態となら
ない許容加熱範囲を適切な温度範囲とすることができ
る。
【0024】本発明のうち請求項3記載の発明では、前
記予備加熱する温度は、ガラス長繊維及びポリプロピレ
ン樹脂の複合成形材料の場合には、110℃より高く1
30℃より低い範囲、好ましくは120℃とすることに
より、ガラス長繊維及びポリプロピレン樹脂の複合成形
材料の長繊維強化材が軟化してブリッジング状態となら
ない許容加熱範囲を最適な温度範囲とすることができ
る。
【0025】本発明のうち請求項4記載の発明では、長
繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料は、ペレット長
が5〜50mmで、長繊維がペレット長と同じ長さで概
ね平行に分布し樹脂を含浸させた形状の長繊維強化ペレ
ットとすることにより、長繊維強化ペレットに含まれる
長い繊維の保持が可能となるので、対衝撃強度等の物性
が向上するという長繊維材料の特性を生かすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す可塑化射出装置の部
分断面図である。
【符号の説明】
1 材料乾燥装置 1a ホッパドライヤ 1b 材料乾燥機 2 射出シリンダ装置 3 材料供給口 4 射出スクリュ 5 長繊維強化ペレット(長繊維強化材及び樹脂を含む
複合成形材料)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材
    料が軟化してブリッジング状態とならない程度まで予備
    加熱して溶融されやすくし、可塑化時の圧縮及びせん断
    作用の影響を小さくして繊維の折損を抑える状態として
    から可塑化を行うようにしたことを特徴とする長繊維強
    化材及び樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方
    法。
  2. 【請求項2】 前記予備加熱する温度は、80℃〜20
    0℃であることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化
    材及び樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化方法。
  3. 【請求項3】 前記予備加熱する温度は、ガラス長繊維
    及びポリプロピレン樹脂の複合成形材料の場合には、1
    10℃より高く130℃より低い範囲、好ましくは12
    0℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の長繊
    維強化材及び樹脂を含む複合成形材料の射出成形可塑化
    方法。
  4. 【請求項4】 前記長繊維強化材及び樹脂を含む複合成
    形材料は、ペレット長が5〜50mmで、長繊維がペレ
    ット長と同じ長さで概ね平行に分布し樹脂を含浸させた
    形状の長繊維強化ペレットであることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか記載の長繊維強化材及び樹脂を含む
    複合成形材料の射出成形可塑化方法。
  5. 【請求項5】 前記長繊維強化材は、ガラス繊維(G
    F)、カーボン繊維(CF)、天然繊維(例えば、ケナ
    フ)等であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    記載の長繊維強化材及び樹脂を含む複合成形材料の射出
    成形可塑化方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013237241A (ja) * 2012-05-17 2013-11-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 繊維強化樹脂成形品の製造装置および製造方法
JP5893214B2 (ja) * 2013-04-15 2016-03-23 三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社 射出成形装置、及び、射出成形方法

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