JP6238785B2 - 射出成形装置および繊維強化樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

射出成形装置および繊維強化樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形装置および繊維強化樹脂成形体の製造方法に関する。
繊維強化樹脂成形体は、ガラス繊維等の繊維強化材を内部に含む熱可塑性樹脂ペレット(以下、繊維強化樹脂ペレットと言う)を射出成形することにより製造されるのが一般的である。特許文献1は、繊維強化樹脂ペレットを材料乾燥装置で事前に加熱し、加熱された繊維強化樹脂ペレットを射出成形装置の射出シリンダ内に供給して射出することにより繊維強化樹脂成形体を製造する射出成形方法を開示する。特許文献1に記載の射出成形方法によれば、繊維強化樹脂ペレットの事前加熱により樹脂成分の可塑化が促進されるため、射出シリンダ内での射出スクリューの回転により射出シリンダ内の溶融樹脂に作用するせん断力が低下する。溶融樹脂に作用するせん断力が低下することにより、溶融樹脂中に分散した繊維強化材の折損が防止される。
特開2003−181877号公報
(発明が解決しようとする課題)
繊維強化樹脂ペレットを製造するためには、繊維強化材を予め樹脂成分に含浸させる工程が必要である。このような含浸工程を経由して製造される繊維強化樹脂ペレットのコストは非常に高く、それに伴い繊維強化樹脂ペレットを使って成形した繊維強化樹脂成形体の製造コストも高い。よって、繊維強化樹脂ペレットを用いることなく繊維強化樹脂成形体を製造することができるように構成された射出成形装置、及びその製造方法が望まれる。
本発明は、繊維強化樹脂ペレットを用いることなく、安価に繊維強化樹脂成形体を製造することができるように構成された射出成形装置及び繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂ペレット(R)及び、所定の長さの複数の繊維強化材が束ねられて形成された繊維束(S)が内部に供給される射出シリンダ(2)と、射出シリンダ内に回転可能に配設された射出スクリュー(3)と、樹脂ペレットを加熱する加熱装置(42)と、加熱装置によって加熱された樹脂ペレットを射出シリンダ内に供給する樹脂供給装置(41)と、繊維束を射出シリンダ内に供給する繊維供給装置(5)と、を備える射出成形装置であって、樹脂供給装置は、射出シリンダに取付けられ、射出シリンダ内に連通する樹脂供給空間を有し、樹脂供給空間内に樹脂ペレットが供給されるように構成され、加熱装置は、樹脂供給空間内に供給された樹脂ペレットを軟化させるように構成され、繊維供給装置は、非加熱状態の繊維束を射出シリンダ内に供給するように構成され、樹脂供給装置から樹脂供給空間内で軟化した状態の樹脂ペレットが、繊維供給装置から非加熱状態の繊維束が、射出シリンダ内に供給される、射出成形装置を提供する。
また、本発明は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂ペレット(R)を加熱し、加熱された樹脂ペレットを射出シリンダ(2)内に供給する樹脂供給工程と、所定の長さの複数の繊維強化材が束ねられて形成された繊維束(S)を単位時間当たりに一定の割合で射出シリンダ内に供給する繊維供給工程と、射出シリンダ内の樹脂ペレットを溶融させるとともに、射出シリンダ内に配設された射出スクリュー(3)を回転駆動させることによって溶融樹脂と射出シリンダ内の繊維束とを混合して、溶融樹脂中に繊維強化材が分散されてなる溶融樹脂複合体を形成する溶融樹脂複合体形成工程と、射出スクリューを前進駆動させることによって溶融樹脂複合体を射出する射出工程と、を含む繊維強化樹脂成形体の製造方法であって、樹脂供給工程では、射出シリンダに取り付けられた樹脂供給装置内に形成される樹脂供給空間内で加熱により樹脂ペレットを軟化させ、軟化した状態の樹脂ペレットを射出シリンダ内に供給し、繊維供給工程では、非加熱状態の繊維束を射出シリンダ内に供給する、繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供する。
この場合、溶融樹脂複合体形成工程は、溶融樹脂を射出シリンダ内の繊維束に含浸させる工程と、溶融樹脂が含浸した繊維束を解束する工程と、繊維束の解束により解れた繊維強化材を溶融樹脂中に分散させることにより溶融樹脂複合体を形成する工程とを含むのがよい。ここで、「解束」とは、繊維束がバラバラの繊維強化材に解れることを意味する。また、「樹脂ペレット」には繊維強化材が含まれていない。
本発明によれば、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂ペレットと繊維束がそれぞれ射出シリンダ内に供給される。射出シリンダ内に供給された樹脂ペレットは射出シリンダ内で混練されるとともに溶融して溶融樹脂を形成する。また、射出スクリューの回転駆動により射出シリンダ内に供給された繊維束と溶融樹脂が混合されるとともに射出スクリューの回転によるせん断力で繊維束が解束される。斯かる解束により繊維強化材が溶融樹脂中に分散されて溶融樹脂複合体が形成される。そして、溶融樹脂複合体が射出スクリューの前進駆動により射出されることによって繊維強化樹脂成形体が製造される。このようにして、繊維強化樹脂ペレットを用いることなく安価に繊維強化樹脂成形体を製造することができる。
また、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂ペレットは射出シリンダに供給される前に加熱装置により加熱されているので、射出シリンダに供給される前の樹脂ペレットは既に柔らかい。そのため射出シリンダ内に供給された樹脂ペレットは、射出シリンダ内での射出スクリューの回転によるせん断及び射出シリンダから与えられる熱によって速やかに溶融して低粘度の溶融樹脂を形成する。そして、低粘度の溶融樹脂が射出シリンダ内の繊維束に速やかに且つ容易に含浸する。繊維束に含浸した低粘度の溶融樹脂が繊維束を構成する複数の繊維強化材の隙間に入り込むことにより、繊維強化材間の接着力が弱められ、繊維束が解れ易くされる。したがって、射出スクリューの回転による僅かなせん断力の作用によって繊維束は容易に解束する。つまり、本発明によれば、射出シリンダ内の溶融樹脂の粘度を低下させることを目的として樹脂ペレットを事前に加熱装置によって加熱する。そして、粘度が低下した溶融樹脂を射出シリンダ内で繊維束に含浸させることによって、繊維束の解束を促進させる。その結果、成形品に繊維束が残存することを防止できるとともに、繊維束の解束により生じた個々の繊維強化材を樹脂中に均一分散させることができる。
なお、樹脂ペレットと繊維束が同じ供給装置(例えばホッパ)から射出シリンダ内に供給され、且つ、加熱装置が供給装置内で樹脂ペレットを加熱するように射出成形装置が構成されている場合、樹脂ペレットとともに繊維束も加熱装置により加熱されてしまう。繊維束は通常は接着剤により複数の繊維強化材が束ねられて形成されているため、繊維束が供給装置内で加熱された場合、繊維強化材を束ねている接着剤が溶ける。このため例えば供給装置の出口付近に溶融した接着剤が付着し、付着した接着剤に繊維強化材、繊維束、樹脂ペレットが付着する。そして、これらがブリッジを形成して射出シリンダ内への材料の供給を阻害する。このような不具合の発生を防止するためには、樹脂ペレットを射出シリンダに供給するための樹脂供給装置と、繊維束を射出シリンダに供給するための繊維供給装置とを別々に射出シリンダに取付けるとよい。
本発明においては、加熱装置の加熱方式は問わない。熱風乾燥、除湿乾燥、真空乾燥等のいずれの加熱方式により樹脂供給空間内の樹脂ペレットを加熱してもよい。また、樹脂供給装置としてホッパドライヤを用いても良い。
また、加熱装置により樹脂ペレットが加熱されるタイミングは、樹脂ペレットが射出シリンダ内に供給される前であればどのようなタイミングであってもよい。例えば、樹脂供給装置に供給される前の樹脂ペレットが加熱装置により加熱されていてもよいし、樹脂供給装置内で樹脂ペレットが加熱されていてもよい。また、樹脂供給装置が樹脂ペレットの搬送機構(例えばフィードスクリュー等)を備える場合、その搬送機構により搬送されている樹脂ペレットを加熱装置により加熱するように加熱装置を構成してもよい。この場合において、樹脂供給装置は、射出シリンダに取付けられ、射出シリンダ内に連通する樹脂供給空間(41c)を有し、樹脂供給空間内に樹脂ペレットが供給されるように構成されており、加熱装置は樹脂供給空間内に供給された樹脂ペレットを加熱するように構成されるとよい。
また、本発明においては、射出スクリューの圧縮比が、1.0以上であり且つ2.0以下であるのがよい。射出シリンダ内の射出スクリューの圧縮比を1.0〜2.0程度の低圧縮比に設定することにより、射出シリンダ内での射出スクリューの回転により射出シリンダ内の繊維強化材に作用するせん断力が小さくされる。よって、強いせん断力による繊維強化材の折損を抑制することができる。なお、上述したように繊維束が溶融樹脂の含浸で解れやすくなっているため、射出スクリューの回転により繊維束に作用するせん断力が小さくても、十分に繊維束は解束される。
また、加熱装置は、樹脂ペレットが樹脂供給装置内で溶融しないように樹脂ペレットを加熱するのがよい。この場合、加熱装置による樹脂ペレットの加熱温度の上限温度Tu[℃]が、樹脂ペレットの主成分を構成する熱可塑性樹脂の融点をTm[℃]としたとき、Tm−20[℃]で表わされるとよい。つまり、加熱装置による樹脂ペレットの加熱温度は、加熱する樹脂ペレットの主成分樹脂の融点よりも20℃以上低い温度であるのがよい。また、非晶性樹脂が樹脂ペレットの主成分樹脂である場合、樹脂ペレットの加熱温度の上限温度Tuは、その非晶性樹脂の熱変形温度Td+30℃であるとよい。
樹脂ペレットの加熱温度が樹脂ペレットの主成分樹脂の融点付近の温度である場合、或いは、樹脂ペレットの主成分樹脂が非晶性樹脂である場合において樹脂ペレットの加熱温度がその非晶性樹脂の熱変形温度Td+30℃を越えている場合、樹脂ペレットが溶融し、樹脂供給装置の内壁面に溶融樹脂が付着する。このため付着した溶融樹脂が樹脂供給装置から射出シリンダへの樹脂ペレットの供給を阻害する。これに対し、樹脂ペレットの加熱温度が主成分樹脂の融点よりも20℃以上低ければ、或いは、樹脂ペレットの主成分樹脂が非晶性樹脂である場合において樹脂ペレットの加熱温度がその非晶性樹脂の熱変形温度Td+30℃以下であれば、このような不具合の発生を防止できる。
また、上記溶融樹脂複合体形成工程は、溶融樹脂を射出シリンダ内の繊維束に含浸させる際に樹脂ペレットの粘度がMFR20[g/10min]以上の粘度となるように樹脂ペレットを溶融する工程をさらに含むとよい。これによれば、射出シリンダ内に供給された樹脂ペレットが溶融して形成された溶融樹脂の粘度がMFR20[g/10min.]以上の低粘度であれば、射出シリンダ内で速やかに繊維束内に溶融樹脂を含浸させることができる。なお、本実施形態におけるMFR(メルトマスフローレート)の値は、メルトフローインデクサーを用い、JIS(日本工業規格) K7210の規定に準拠して測定した数値である。
また、樹脂ペレットの主成分がポリプロピレンである場合、加熱装置は、樹脂ペレットを100℃以上であり且つ140℃以下の温度に加熱するのがよい。これによれば、加熱装置による樹脂ペレットの加熱温度を上記範囲に設定することにより、樹脂供給装置内での樹脂ペレットの溶融を防止できるとともに、射出シリンダ内に供給されたときには樹脂ペレットが速やかに溶融して繊維束に含浸する。このため繊維束の解束が促進されて、繊維強化材が溶融樹脂中に均一に分散する。
なお、樹脂ペレットの主成分がポリプロピレンである場合、ポリプロピレンのホモポリマー(ホモPP)にブロックコポリマー(ブロックPP)が適量ブレンドされているのがよい。ホモPPにブロックPPを含ませることにより成形体の耐衝撃性が向上する。
本発明の実施形態に係る射出成形装置を示す概略図である。 成形体に含まれるガラス繊維束の平均個数を示すグラフである。 成形体に含まれるガラス繊維の平均長さを示すグラフである。 成形体の引張強さを示すグラフである。 成形体の曲げ弾性率を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る射出成形装置を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る射出成形装置1は、射出シリンダ2と、射出スクリュー3と、ホッパドライヤ4と、ガラス繊維供給ホッパ5と、駆動ユニット6と、ヒータ7とを備える。なお、図1において、型締装置、射出シリンダ2の動作制御装置等の付帯設備の構成は公知であるので省略されている。
射出シリンダ2は筒状部材でありその内部には円柱状の内部空間が形成される。射出シリンダ2内には、後述する樹脂ペレットR及びガラス繊維束Sが供給される。また、射出シリンダ2内に射出スクリュー3が射出シリンダ2と同軸的に収容される。射出シリンダ2の先端(図1において左端)にはノズル2aが取付けられ、このノズル2aから射出シリンダ2内の溶融樹脂が金型MOに向けて射出される。射出された溶融樹脂は金型MO内のキャビティに充填される。溶融樹脂がキャビティ内で冷却されることにより、樹脂成形体が製造される。
射出シリンダ2の外周にヒータ7が取付けられる。ヒータ7を作動させることにより射出シリンダ2が加熱される。射出シリンダ2が加熱されることにより、射出シリンダ2内の樹脂やガラス繊維が加熱される。なお、射出シリンダ2の適所に温度センサが設置されており、この温度センサにより検出された温度情報が図示しないヒータ制御装置に入力される。ヒータ制御装置は、検出温度が設定温度に一致するようにヒータ7の動作を制御する。
射出シリンダ2内に配設された射出スクリュー3の基端に駆動ユニット6が連結される。駆動ユニット6が駆動することにより射出スクリュー3が射出シリンダ2内で回転する。つまり、射出スクリュー3は射出シリンダ2内に回転可能に配設される。また、射出スクリュー3は、不図示の油圧機構等によって、射出シリンダ2内を前進駆動及び後退駆動することができるように構成されている。
射出スクリュー3は、本実施形態ではフルフライトスクリューである。ただし、通常のフルフライトスクリューの圧縮比は2.5程度であるのに対し、本実施形態で用いる射出スクリュー3の圧縮比は、1.0以上であり2.0以下である。つまり、本実施形態で用いる射出スクリュー3は、通常の射出スクリューよりも圧縮比の低い低圧縮スクリューである。
図1に示すように、ホッパドライヤ4及びガラス繊維供給ホッパ5が射出シリンダ2の上部に取り付けられる。ホッパドライヤ4は、樹脂供給装置である樹脂供給ホッパ41と、加熱装置42とを備える。樹脂供給ホッパ41は樹脂ペレットRを受け入れることができるような容器形状をなし、内部に樹脂供給空間41cが形成される。樹脂供給空間41cは、樹脂出口通路41bを経由して射出シリンダ2内に連通する。また、樹脂供給ホッパ41の上部に樹脂供給口41aが形成される。樹脂供給口41aから樹脂ペレットRが樹脂供給ホッパ41の樹脂供給空間41c内に供給される。
樹脂供給ホッパ41に供給される樹脂ペレットRは球状でも良いし円柱状でも良い。また、樹脂ペレットRを構成する主要な樹脂成分は、一般的に射出成形に利用される熱可塑性樹脂(汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックを含む)であればどのようなものでもよい。本実施形態では、主成分が汎用樹脂であるポリプロピレン樹脂の樹脂ペレットを用いた。この場合、ポリプロピレンのホモポリマー(ホモPP)にブロックコポリマー(ブロックPP)を所定量ブレンドしたポリプロピレン樹脂ペレットを用いることができる。ホモPPにブロックPPを適量ブレンドすることにより、ブロックPP中のEPR(エチレン・プロピレンゴム)の作用によって成形品の耐衝撃性が向上する。なお、樹脂ペレットRには、主成分樹脂以外の成分、例えば樹脂改質剤、着色剤、光安定剤等の添加剤が含まれていても良い。ただしガラス繊維等の繊維強化材は含まれない。したがって、樹脂ペレットRは安価である。
加熱装置42は、ブロワと、電気ヒータと、温度制御装置とを備える。加熱装置42は、ブロワにより取り込まれた外気を電気ヒータに通過させることによって熱風を生成するように構成される。加熱装置42で生成された熱風は、加熱装置42と樹脂供給ホッパ41とを連結する通路43を通って樹脂供給ホッパ41内の樹脂供給空間41c内に送り込まれる。樹脂供給空間41c内に熱風が送り込まれることによって、樹脂供給空間41c内に供給された樹脂ペレットRが加熱される。なお、樹脂供給空間41c内に温度センサが設けられており、温度センサにより樹脂供給空間41c内の温度が検出される。検出された温度情報が温度制御装置に入力される。温度制御装置は、樹脂供給空間41c内の温度が設定温度に一致するように、電気ヒータへの通電量を制御する。
上述したように、本実施形態では、主成分がポリプロピレン樹脂である樹脂ペレットRを樹脂供給空間41c内に供給している。この場合、加熱装置42によって、樹脂供給空間41cの温度が100℃から140℃の範囲内の温度となるように、すなわち樹脂ペレットRが100℃〜140℃に加熱されるように、加熱空間の加熱温度が調節される。樹脂ペレットRの加熱温度の上限は、樹脂ペレットRの主成分を構成するポリプロピレン樹脂の融点に依存する。具体的には、樹脂ペレットRの加熱温度の上限温度Tu[℃]は、樹脂ペレットRの主成分を構成するポリプロピレン樹脂の融点をTm(=160)[℃]としたとき、Tm−20(=140)[℃]で表わされる。つまり、加熱装置42による樹脂ペレットRの加熱温度は、加熱する樹脂ペレットRの主成分樹脂の融点よりも20℃以上低い温度である。樹脂ペレットRの加熱温度が140℃以下であれば、加熱された樹脂ペレットRが樹脂供給ホッパ41内で溶融することはない。また、加熱温度が低すぎても加熱による効果が得られない。よって、樹脂ペレットRの加熱温度は100℃以上であり且つ140℃以下であるのがよい。
樹脂供給ホッパ41の下部に樹脂出口通路41bが形成される。樹脂出口通路41bを経由して、加熱された樹脂供給空間41c内の樹脂ペレットRが射出シリンダ2に供給される。なお、樹脂供給ホッパ41には定量供給装置(図示省略)が組み込まれていて、この定量供給装置が作動することによって、単位時間当たりに一定量の樹脂ペレットRが樹脂供給空間41cから射出シリンダ2内に供給される。
ガラス繊維供給ホッパ5はホッパドライヤ4に併設される。ガラス繊維供給ホッパ5には電気ヒータ等の加熱手段が設けられていない。ガラス繊維供給ホッパ5は、ガラス繊維束(ガラス繊維チョップドストランド)Sを受け入れることができるような容器形状をなし、内部にガラス繊維供給空間5cが形成される。ガラス繊維供給空間5cは、ガラス繊維出口通路5bを経由して射出シリンダ2内に連通する。また、ガラス繊維供給ホッパ5の上部にガラス繊維供給口5aが形成される。ガラス繊維供給口5aからガラス繊維束Sがガラス繊維供給ホッパ5のガラス繊維供給空間5c内に供給される。
本実施形態において、ガラス繊維供給空間5c内に供給されるガラス繊維束Sは、所定の長さ(例えば繊維長10mm)の複数のガラス繊維(繊維強化材)が接着剤により束状に結合されてなるガラス繊維の集合体である。1つのガラス繊維束Sが約3000本のガラス繊維及びこれらを接着するための接着剤により構成される。
ガラス繊維供給ホッパ5の下部にガラス繊維出口通路5bが形成される。ガラス繊維出口通路5bを経由して、ガラス繊維供給空間5c内のガラス繊維束Sが射出シリンダ2内に供給される。なお、ガラス繊維供給ホッパ5には定量供給装置(図示省略)が組み込まれていて、この定量供給装置が作動することによって、単位時間当たりに一定量のガラス繊維束Sがガラス繊維供給空間5cから射出シリンダ2内に供給される。
また、本実施形態においては、図1に示すように、樹脂出口通路41bとガラス繊維出口通路5bは合流する。したがって、樹脂出口通路41b内の樹脂とガラス繊維出口通路5b内のガラス繊維束Sは合流する。その後、合流後の樹脂ペレットRとガラス繊維束Sはともに共通通路8を経由して射出シリンダ2内に供給される。
上記構成の射出成形装置1を用いてガラス繊維強化樹脂成形体を射出成形するためには、まず、射出シリンダ2の外周に取付けられているヒータ7を作動させて、射出シリンダ2内の温度を、内部の樹脂が溶融するような所望の温度に加熱する。また、駆動ユニット6を駆動させて射出シリンダ2内で射出スクリュー3を回転させる。
また、ホッパドライヤ4の樹脂供給ホッパ41の樹脂供給空間41c内に樹脂ペレットRを供給する。そして、加熱装置42により樹脂供給空間41c内の樹脂ペレットRを加熱する。この場合において、樹脂供給空間41cの加熱温度が100℃〜140℃、例えば120℃となるように制御される。
加熱装置42によって樹脂供給空間41c内で所定の温度(例えば120℃)まで加熱された樹脂ペレットRは、樹脂出口通路41b及び共通通路8を経由して射出シリンダ2内に供給される(樹脂供給工程)。このとき定量供給装置によって、単位時間当たりにおける射出シリンダ2内への樹脂ペレットRの供給量が一定になるように、樹脂ペレットRが樹脂供給ホッパ41から排出される。
また、ガラス繊維供給ホッパ5のガラス繊維供給空間5c内にガラス繊維束Sを供給する。供給されたガラス繊維束Sは、ガラス繊維出口通路5b及び共通通路8を経由して、射出シリンダ2内に供給される(繊維供給工程)。このとき定量供給装置によって、単位時間当たりにおける射出シリンダ2内へのガラス繊維束Sの供給量が一定になるように、ガラス繊維束Sがガラス繊維供給ホッパ5から排出される。なお、上記したようにガラス繊維供給ホッパ5には電気ヒータ等の加熱手段が設けられていない。従って、ガラス繊維供給ホッパ5から非加熱状態のガラス繊維束Sが排出される。
ホッパドライヤ4の樹脂供給ホッパ41から排出された樹脂ペレットRとガラス繊維供給ホッパ5から排出されたガラス繊維束Sは共通通路8で合流し、共通通路8から射出シリンダ2内に供給される。射出シリンダ2内に供給された樹脂ペレットR及びガラス繊維束Sは、射出シリンダ2内の射出スクリュー3の基端部分に落下する。なお、公知のように、射出スクリュー3には、その基端側から先端側にかけて、フィードゾーン、コンプレッションゾーン、メータリングゾーンが形成されている。各ホッパからの樹脂ペレットR及びガラス繊維束Sは、射出スクリュー3のフィードゾーンに落下する。
射出シリンダ2内にて射出スクリュー3の基端部分(フィードゾーン)に落下した樹脂ペレットR及びガラス繊維束Sは、射出スクリュー3の回転により射出スクリュー3の基端側から先端側に向かって移送される。移送の過程で樹脂ペレットRが射出シリンダ2から熱を受けて溶融するとともに、射出スクリュー3の回転駆動により溶融樹脂とガラス繊維束Sが混合される。そして、溶融樹脂が射出シリンダ2内でガラス繊維束Sに含浸する。溶融樹脂が含浸したガラス繊維束Sが射出スクリュー3の回転駆動によるせん断力を受けることにより、ガラス繊維束Sが解束される。ガラス繊維束Sの解束によりばらばらにされた個々のガラス繊維は溶融樹脂中に分散する。これにより、溶融樹脂及びガラス繊維を備え、溶融樹脂中にガラス繊維が分散されてなる溶融樹脂複合体が射出シリンダ2内に形成される(溶融樹脂複合体形成工程)。
射出シリンダ2内の溶融樹脂複合体は、射出スクリュー3の回転により射出スクリュー3の先端側に送り出される。そして、ノズル2aと射出スクリュー3の先端との間に送られた溶融樹脂複合体が、射出スクリュー3の前進駆動によって、金型MOのキャビティ内に射出される(射出工程)。このようにしてガラス繊維強化樹脂成形体が製造される。
本実施形態では、上記のように、ガラス繊維強化樹脂ペレットを用いずに、樹脂ペレットRとガラス繊維束Sを用いて安価にガラス繊維強化樹脂成形体を製造することができる。また、樹脂ペレットRもガラス繊維束Sも市販されている。よって、市販の樹脂ペレット及びガラス繊維束を用いることにより、より安価にガラス繊維強化樹脂成形体を製造することができる。
ガラス繊維は、通常は、可搬性及び取り扱い性を考慮して、ガラス繊維束(ガラス繊維チョップドストランド)という態様で市販される。本実施形態で用いるガラス繊維束Sは上述したように約3000本のガラス繊維が接着剤で接着されることにより構成される。このような構成のガラス繊維束を射出シリンダ内に供給した場合、射出シリンダ内のガラス繊維束は射出スクリューの回転によるせん断力の作用により解束されるが、ガラス繊維間の接着力が強い場合には簡単には解束せず、そのため成形品内にガラス繊維束が残存する場合がある。成形品内にガラス繊維束が残存する場合、成形品の強度低下及び外観不良を引き起こす。このため、成形品内にはガラス繊維束が残存しないのがよい。
この場合、射出スクリューの圧縮比を大きくすれば、射出スクリューの回転によるせん断力が増大するためにガラス繊維束の解束が促進される。しかしながら、射出スクリューの圧縮比を大きくすることによりガラス繊維束の解束は促進されるものの、ガラス繊維自体に大きなせん断力が作用してガラス繊維が折損される。このためガラス繊維の繊維長に依存する成形体の物性(剛性、強度、耐衝撃性等)が著しく低下する。よって、射出スクリューの圧縮比を大きくすることはできない。
本実施形態では、ガラス繊維束Sの解束を促進するために、射出シリンダ2に供給される前の樹脂ペレットRが加熱装置42で事前に加熱される。このため、射出シリンダ2に供給される前に樹脂ペレットRの軟化(低粘度化)が進行する。そして、射出シリンダ2内で射出スクリュー3の回転により樹脂ペレットがさらに混練され、樹脂の粘度がより低下して樹脂が溶融する。この場合、溶融樹脂が射出シリンダ2内にて繊維束に含浸する際、具体的には射出シリンダ2内の樹脂が射出スクリュー3のコンプレッションゾーンに移送される前に、MFR20[g/min.]で表わされる粘度よりも低い粘度となるように、樹脂ペレットRが溶融される。
射出シリンダ2内で低粘度化された溶融樹脂は、射出シリンダ2内のガラス繊維束Sに含浸する。この場合、含浸する溶融樹脂の粘度が低いため、溶融樹脂がガラス繊維束Sを構成するガラス繊維とガラス繊維との間の隙間に容易に浸透する。このようなガラス繊維間への溶融樹脂の浸透作用によりガラス繊維同士の接着力が弱められる。つまり、ガラス繊維が解れ易くされる。したがって、僅かなせん断力の付与によりガラス繊維束Sが解束される。こうしてガラス繊維束Sの解束が促進される。
ガラス繊維束Sの解束が促進されることにより、ガラス繊維を成形品中に均一に分散させることができるとともに、成形品中にガラス繊維束Sが残存することが防止される。このため製品性能を維持することができるとともに、外観不良を低減することができる。また、僅かなせん断力をガラス繊維束Sに与えることによってガラス繊維束Sを解束させることができるので、射出スクリュー3の圧縮比を低めに設定することができる。本実施形態では、射出スクリュー3の圧縮比が1.0以上であり且つ2.0以下の範囲で設定される。このため射出スクリュー3の回転せん断力がガラス繊維に作用することによるガラス繊維の折損を抑えることができる。この場合、上述したようにガラス繊維束Sが低粘度の溶融樹脂の含浸で解れ易くなっているため、射出スクリュー3の回転によるせん断力が小さくても十分にガラス繊維束Sは解束される。
また、本実施形態によれば、射出シリンダ2に供給される前に樹脂ペレットRを事前加熱することによって、樹脂ペレットRは射出シリンダ2内に供給された直後に溶融するとともに射出シリンダ2内のガラス繊維束Sに速やかに含浸する。また、上述したように射出スクリュー3の圧縮比は低いので、射出スクリュー3の回転によるせん断力も低い。つまり、弱いせん断力がガラス繊維束Sに作用する。このため十分にガラス繊維束Sが解束されるとともに、解束により生じる個々のガラス繊維の折損を十分に抑制することができる。
樹脂ペレットの事前加熱が成形品に及ぼす影響(効果)を検証するため、図1に示すような射出成形装置1を用い、以下のようにして本実施形態に係る成形体(成形体1)及び比較のための成形体(成形体2)を作製した。そして、両者に含まれるガラス繊維束の個数、ガラス繊維長、及び、両者の物性(引張強さ、曲げ弾性率)を測定した。
<成形体1(実施例)の作製>
まず、ポリプロピレン樹脂を主成分とする樹脂ペレットRをホッパドライヤ4の樹脂供給ホッパ41に供給し、加熱装置42を作動させて樹脂ペレットRを樹脂供給ホッパ41内で事前に加熱した。樹脂供給空間41cの加熱温度は120℃、加熱時間は2時間である。なお、ポリプロピレン樹脂とガラス繊維とのバインダーとしての改質剤(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)が予め樹脂ペレットR中に乾式混合(ドライブレンド)されている。また、ガラス繊維供給ホッパ5にガラス繊維束Sを供給した。ガラス繊維束Sは事前加熱されない。
ホッパドライヤ4で事前に加熱された樹脂ペレットRを一定の供給速度で射出シリンダ2に供給するとともに、ガラス繊維供給ホッパ5内の非加熱状態のガラス繊維束Sを一定の供給速度で射出シリンダ2に供給した。射出シリンダ2内に供給された樹脂ペレットRは、射出スクリュー3の回転により混練され、速やかに溶融される。この場合において、射出スクリュー3のコンプレッションゾーンに移送される前の溶融樹脂の粘度は約60[g/10min.]であった。また、射出スクリュー3の回転により溶融樹脂とガラス繊維束Sとを混合させるとともにガラス繊維束Sを解束させ、解束により解れたガラス繊維を溶融樹脂中に分散させて溶融樹脂複合体を形成した。そして、射出シリンダ2内の溶融樹脂複合体を金型MOのキャビティに射出することにより成形体1を作製した。
<成形体2(比較例)の作製>
成形体1の作製に用いられた樹脂ペレットRを事前に加熱することなく一定の供給速度で射出シリンダ2に供給するとともに、非加熱状態のガラス繊維束Sを一定の供給速度で射出シリンダ2内に供給した。射出シリンダ2内に供給された樹脂ペレットRは、射出スクリュー3の回転により混練されて、溶融される。また、射出シリンダ2内での射出スクリュー3の回転により溶融樹脂とガラス繊維束Sとを混合させるとともにガラス繊維束Sを解束させ、解束により解れたガラス繊維を溶融樹脂中に分散させて溶融樹脂複合体を形成した。そして、射出シリンダ2内の溶融樹脂複合体を金型MOのキャビティに射出することにより成形体2を作製した。
なお、成形体1の作製時及び成形体2の作製時におけるその他の成形条件(射出シリンダの温度条件、射出スクリューの形状、射出スクリューの回転数等、成形体の形状)は同一である。
<成形体の外観評価>
作製した成形体1及び成形体2の外観品質を評価した。外観評価にあたり、作製した成形体1及び成形体2の外観に現れているガラス繊維束の個数をカウントした。カウントした個数が少ないほど外観品質が良いと評価し、多いほど外観品質が悪いと評価した。
図2は、成形体に含まれるガラス繊維束の平均個数を示すグラフである。図2に示すように、成形体2(比較例)に含まれるガラス繊維束の平均個数は10個であるのに対し、成形体1(実施例)に含まれるガラス繊維束の平均個数は4個である。このことから、成形体1(実施例)の外観品質が向上することがわかる。
<成形体に含まれるガラス繊維長の評価>
また、作製した成形体1及び成形体2の樹脂部分を燃焼により除去してガラス繊維を抽出し、抽出したガラス繊維の繊維長を測定した。そして、成形体1内のガラス繊維の平均繊維長と成形体2内のガラス繊維の平均繊維長とを比較した。
図3は、成形体に含まれるガラス繊維の平均長さを示すグラフである。図3に示すように、成形体2(比較例)に含まれるガラス繊維の平均長さは1.06mmであるのに対し、成形体1(実施例)に含まれるガラス繊維の平均長さは1.23mmである。このことから、成形体1(実施例)においては、成形過程におけるガラス繊維の折損が抑制されることがわかる。
<成形体の物性評価>
また、JIS K7162 1Aに準拠したダンベル片を成形体1及び成形体2として作製し、作製したダンベル片を用いて引張強さ及び曲げ弾性率を測定した。
図4、図5は、成形体の引張強さ及び曲げ弾性率を示すグラフである。図4及び図5に示すように、引張強さ、曲げ弾性率共に、成形体2(比較例)よりも成形体1(実施例)の方が優れる。このことから、成形体1(実施例)においては、繊維長さに依存する物性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、樹脂ペレットRとガラス繊維束Sがそれぞれ射出シリンダ2に供給され、射出シリンダ2内で樹脂ペレットRが溶融されるとともに溶融樹脂中にガラス繊維が分散されて溶融樹脂複合体が形成される。そして、射出シリンダ2内の溶融樹脂複合体が射出されることによって繊維強化樹脂成形体が成形される。このようにして、繊維強化樹脂ペレットを用いることなく安価に繊維強化樹脂成形体を製造することができる。
また、樹脂ペレットRが射出シリンダ2に供給される前に樹脂供給ホッパ41内で加熱装置42により加熱されるため、射出シリンダ2内に供給された樹脂ペレットRは速やかに溶融して低粘度の溶融樹脂を形成する。そして、低粘度の溶融樹脂が射出シリンダ2内のガラス繊維束Sに含浸してガラス繊維を解すことによりガラス繊維間の接着力が弱められる。よって、射出スクリュー3の回転による僅かなせん断力の作用により容易にガラス繊維束Sが解束される。その結果、ガラス繊維束Sの解束により生じた個々のガラス繊維が溶融樹脂中に均一分散される。よって、成形品の物性の低下及び外観不良等の不具合の発生を防止することができる。
また、射出スクリューの圧縮比が、1.0以上であり且つ2.0以下であるので、射出シリンダ2内での射出スクリュー3の回転により溶融樹脂及びガラス繊維束Sに作用するせん断力を小さくすることができる。よって、射出シリンダ2内でのガラス繊維の過剰な折損を抑制することができる。
また、加熱装置42によって、樹脂供給ホッパ41の樹脂供給空間41c内に供給された樹脂ペレットRが、その主成分を構成するポリプロピレン樹脂の融点(160℃〜165℃)よりも20℃以上低い温度、具体的には120℃に加熱される。このため、加熱した樹脂ペレットRが樹脂供給ホッパ41内で溶融することはない。よって、樹脂供給ホッパ41の内壁面に溶融樹脂が付着するような事態の発生を防止することができ、斯かる事態の発生に起因する不具合の発生、例えば樹脂供給ホッパ41から射出シリンダ2への樹脂ペレットRの供給を阻害するといった不具合の発生を防止できる。
また、加熱装置42により樹脂ペレットRを100℃〜140℃、好ましくは110℃〜140℃、より好ましくは、120℃〜140℃に加熱することにより、樹脂供給ホッパ41内での樹脂ペレットRの溶融を防止できるとともに、樹脂ペレットRが射出シリンダ2内に供給された後に樹脂ペレットRが速やかに溶融する。このため、射出シリンダ2内にて速やかに溶融樹脂をガラス繊維束Sに含浸させることができる。その結果、ガラス繊維束の解束が促進され、ガラス繊維を溶融樹脂中に均一に分散させることができる。
また、上記実施形態によれば、樹脂出口通路41bとガラス繊維出口通路5bが合流して1本の共通通路8にされ、供給通路8から樹脂ペレットRとガラス繊維束Sが混ざり合って射出シリンダ2内に供給される。このようにして樹脂ペレットRとガラス繊維束Sが混ざり合って射出シリンダ2内に供給されるため、射出シリンダ2内でより速やかに溶融樹脂をガラス繊維束Sに含浸させることができる。
また、上記実施形態によれば、射出シリンダ2内で溶融樹脂を射出シリンダ2内の繊維束に含浸させる際、具体的には射出シリンダ2内の射出スクリュー3のコンプレッションゾーンに移送される前の段階で、樹脂ペレットの粘度がMFR20[g/10min]以上の粘度となるように前記樹脂ペレットが溶融される。従って、射出シリンダ2内で速やかに繊維束内に溶融樹脂を含浸させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、樹脂ペレットRの主成分としてポリプロピレン樹脂を用いた例を示したが、射出成形に利用できる熱可塑性樹脂であれば、その種類を問わない。また、上記実施形態では、繊維強化材としてガラス繊維を用いる例を示したが、それ以外の繊維強化材、例えば炭素繊維等を用いても良い。また、溶融樹脂複合体をプレス装置の下型に供給し、プレス装置の上形を閉鎖して成形(例えばスタンピング成形)を行う場合についても、本発明の射出成形装置を溶融樹脂複合体の供給に用いることができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…射出成形装置、2…射出シリンダ、2a…ノズル、3…射出スクリュー、4…ホッパドライヤ、41…樹脂供給ホッパ(樹脂供給装置)、41a…樹脂供給口、41b…樹脂出口通路、41c…樹脂供給空間、42…加熱装置、43…通路、5…ガラス繊維供給ホッパ(繊維供給装置)、5a…ガラス繊維供給口、5b…ガラス繊維出口通路、5c…ガラス繊維供給空間、6…駆動ユニット、7…ヒータ、8…共通通路、R…樹脂ペレット、S…ガラス繊維束

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂ペレット及び、所定の長さの複数の繊維強化材が束ねられて形成された繊維束が内部に供給される射出シリンダと、
    前記射出シリンダ内に回転可能に配設された射出スクリューと、
    前記樹脂ペレットを加熱する加熱装置と、
    前記加熱装置によって加熱された前記樹脂ペレットを前記射出シリンダ内に供給する樹脂供給装置と、
    前記繊維束を前記射出シリンダ内に供給する繊維供給装置と、
    を備える射出成形装置であって、
    前記樹脂供給装置は、前記射出シリンダに取付けられ、前記射出シリンダ内に連通する樹脂供給空間を有し、前記樹脂供給空間内に前記樹脂ペレットが供給されるように構成され、
    前記加熱装置は、前記樹脂供給空間内に供給された前記樹脂ペレットを軟化させるように構成され、
    前記繊維供給装置は、非加熱状態の前記繊維束を前記射出シリンダ内に供給するように構成され、
    前記樹脂供給装置から前記樹脂供給空間内で軟化した状態の前記樹脂ペレットが、前記繊維供給装置から非加熱状態の前記繊維束が、前記射出シリンダ内に供給される、射出成形装置
  2. 請求項1に記載の射出成形装置において、
    前記樹脂供給装置と前記繊維供給装置は、前記射出シリンダに別々に取り付けられる、射出成形装置。
  3. 請求項1又は2に記載の射出成形装置において、
    前記繊維供給装置には、単位時間当たりに一定量の繊維束を前記射出シリンダ内に供給する定量供給装置が組み込まれている、射出成形装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の射出成形装置において、
    前記射出スクリューの圧縮比が、1.0以上であり且つ2.0以下である、射出成形装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の射出成形装置において、
    前記加熱装置は、樹脂ペレットが前記樹脂供給装置内で溶融しないように樹脂ペレットを加熱する、射出成形装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の射出成形装置において、
    前記加熱装置による前記樹脂ペレットの加熱温度の上限温度Tu[℃]が、樹脂ペレットの主成分を構成する熱可塑性樹脂の融点をTm[℃]としたとき、Tm−20[℃]で表わされる、射出成形装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の射出成形装置において、
    前記樹脂ペレットの主成分がポリプロピレンであり、
    前記加熱装置は、前記樹脂ペレットを100℃以上であり且つ140℃以下の温度に加熱する、射出成形装置。
  8. 熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂ペレットを加熱し、加熱された前記樹脂ペレットを射出シリンダ内に供給する樹脂供給工程と、
    所定の長さの複数の繊維強化材が束ねられて形成された繊維束を単位時間当たりに一定の割合で前記射出シリンダ内に供給する繊維供給工程と、
    前記射出シリンダ内の前記樹脂ペレットを溶融させるとともに、前記射出シリンダ内に配設された射出スクリューを回転駆動させることによって前記溶融樹脂と前記射出シリンダ内の前記繊維束とを混合して、前記溶融樹脂中に前記繊維強化材が分散されてなる溶融樹脂複合体を形成する溶融樹脂複合体形成工程と、
    前記射出スクリューを前進駆動させることによって前記溶融樹脂複合体を射出する射出工程と、
    を含む、繊維強化樹脂成形体の製造方法であって、
    前記樹脂供給工程では、前記射出シリンダに取り付けられた樹脂供給装置内に形成される樹脂供給空間内で加熱により前記樹脂ペレットを軟化させ、軟化した状態の前記樹脂ペレットを前記射出シリンダ内に供給し、
    前記繊維供給工程では、非加熱状態の前記繊維束を前記射出シリンダ内に供給する、
    繊維強化樹脂成形体の製造方法
  9. 請求項に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法において、
    前記溶融樹脂複合体形成工程は、
    前記溶融樹脂を前記射出シリンダ内の前記繊維束に含浸させる工程と、前記溶融樹脂が含浸した前記繊維束を解束する工程と、前記繊維束の解束により解れた繊維強化材を前記溶融樹脂中に分散させることにより前記溶融樹脂複合体を形成する工程とを含む、繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  10. 請求項に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法において、
    前記溶融樹脂複合体形成工程は、前記溶融樹脂を前記射出シリンダ内の前記繊維束に含浸させる際に前記樹脂ペレットの粘度がMFR20[g/10min]以上の粘度となるように前記樹脂ペレットを溶融する工程をさらに含む、繊維強化樹脂成形体の製造方法。
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