JP2004050015A - エアゾール容器への液体注入装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアゾールスプレー缶を簡単に小ロット生産するための装置を提供すること。
【解決手段】液体注入装置は、液溜めシリンダ7に溜められた塗料を押し出すための注入棒2を備える。注入棒2を押し下げると注入口13が下方に一定間隔dだけ押し下がるように、液溜めシリンダ7は、シリンダ幅調整筒6および突出部7bによってシリンダ支持台9に取り付けられている。シリンダ戻りバネ8は、塗料の注入中、注入口13を上方に動かそうとする力を加え続ける。注入口13が下方に押し下がると、噴射ノズル16が押し下がり、エアゾール容器17の内部バブルが開く。これにより、注入棒2によって押し出される塗料がエアゾール容器17に注入される。注入が終了すると、シリンダ戻りバネ8の力によって、注入口13が上がり、内部バルブが閉じる。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアゾール容器への内容物充填装置に関し、より特定的には、圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器へ液体を注入するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮ガスによって塗料を霧状にし、非塗装物に吹き付けて塗装することをスプレー塗装という。スプレー塗装する場合、塗装業者は、エアゾールスプレー缶やスプレーガンを用いる。エアゾールスプレー缶には、8気圧程度に圧縮された噴射剤(ジメチルエーテルやLPガス等)と塗料とが混合して充填されている。エアゾールスプレー缶の噴射ヘッドが押下されるとエアゾールスプレー缶の内部バルブが開き、内部の塗料が、ガスの圧力によって霧状に噴射される。エアゾールスプレー缶は、専門の工場で大量生産される。エアゾールスプレー缶によるスプレー塗装は、非常に手軽で便利である。
【0003】
スプレーガンは、ピストル状の器具である。スプレーガンには、塗料を溜めるためのタンクとコンプレッサとが取り付けられる。その引き金が引かれると、スプレーガンは、コンプレッサからの圧縮空気を噴射し、タンク内の塗料を霧状にして噴出する。
【0004】
また、スプレーガンには、塗料用タンクと圧縮ガスのみが充填されたエアゾールスプレー缶とが取り付けられるタイプのものも存在する。このタイプのスプレーガンでは、引き金が引かれると、スプレー缶からの圧縮ガスを噴射し、タンク内の塗料を霧状にして噴出する。上記のようなスプレーガンを用いたスプレー塗装では、タンク内に独自の配色の塗料を溜めておけばよいので、ユーザ仕様の色目に応じた塗装が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のエアゾールスプレー缶は、大量生産されているので、色目に限りがあった。したがって、大量生産されるエアゾールスプレー缶を用いて、ユーザ仕様に応じたスプレー塗装を行うことは、困難であった。
【0006】
一方、エアガンによるスプレー塗装は、ユーザ仕様の塗料をタンクに溜めてスプレー塗装すればよいので、ユーザ仕様に応じたスプレー塗装を行うのに適している。しかし、塗装面積が狭い場合など、コンプレッサを動作させるのが、大げさで面倒なときがある。このような場合、塗装業者は、圧縮ガスのみが充填されたエアゾールスプレー缶が取り付けられるタイプのスプレーガンを利用することがある。ところが、このタイプのスプレーガンを用いても、塗装業者は、塗料をタンクに溜める必要があり面倒である。また、塗装面が狭かった場合など、タンク内に塗料が残ることもあり、非経済的である。
【0007】
また、塗装業者以外の一般ユーザがスプレーガンを所持していることは少なく、スプレーガンを用いたスプレー塗装は、一般ユーザ向けでない。また、スプレーガンを用いてスプレー塗装するに際しても、大量の塗料が入っている塗料缶を購入する必要があり、非経済的である。したがって、単なる補修のためにスプレー塗装を行うにも、一般ユーザにとっては、大変であった。
【0008】
また、エアゾールスプレー缶が取り付けられるタイプのスプレーガンでは、スプレーガンの外部で塗料と圧縮ガスとを混合して吹き付けるので、圧縮ガスの圧力が少し下がることとなる。したがって、このタイプのスプレーガンでは、エアゾールスプレー缶から直接吹き付けるのに比べて、塗料を吹き付ける力が弱いという問題もある。
【0009】
上記のような状況下、塗装業者の間には、ユーザ仕様の色目に対応したエアゾールスプレー缶を小ロットで入手したいというニーズがある。また、一般ユーザの間にも、独自の色目に対応した特別色のエアゾールスプレー缶を補修用に入手したいというニーズがある。
【0010】
それゆえ、本発明の目的は、エアゾールスプレー缶を簡単に小ロット生産するための装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器へ液体を注入するための装置であって、
注入すべき液体を溜める中空の筒状部を有する液体溜め部と、
液体溜め部の下端側に取り付けられており、エアゾール容器の噴射ノズルと当接することによって液体溜め部から流出する液体をエアゾール容器に注入するための注入口部と、
液体溜め部と注入口部との間に取り付けられており、液体溜め部から注入口部への液体の流出を調整するための流出調整部と、
液体溜め部を支える支持部と、
液体溜め部が上下方向に一定間隔だけ動くように、液体溜め部を支持部に一定の余裕を持たせて取り付ける取り付け手段と、
液体の注入開始時から終了時かけて、注入口部を上方に動かそうとする力を常に液体溜め部に加え続ける上方力加え手段と、
液体溜め部に挿入されるピストン棒を有し、ピストン棒を下方に押し進めることによって、液体溜め部に溜められた液体を押し出すと共に、注入口部を一定間隔だけ下方に動かしてエアゾール容器の内部バルブを押し開け、押し出された液体を注入口部および噴射ノズルを介してエアゾール容器へ注入するための液体押し出し手段とを備える。
【0012】
上記第1の発明によれば、液体溜め部に溜められた液体を押し出しながら、圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器の内部バルブを押し開けて、液体を注入することができる。したがって、この装置を用いれば、ユーザ仕様に応じたエアゾールスプレー缶を一個から簡単に生産することが可能となる。また、液体の注入開始時から終了時にかけて、注入口部には、上方に動こうとする力が常に加わることとなる。したがって、液体の注入が終了したら直ちに、注入口部を上方に動かして、内部バルブを閉じることが可能となり、内容物の吹き出しを防止することができる。また、誤操作した場合にも、直ちに内部バルブが閉じることとなるので、内容物の吹き出しが防止される。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、液体溜め部は、円筒状のシリンダであり、
支持部は、シリンダを挿入する穴を有する板台を含み、
取り付け手段は、
シリンダの外周面から突出している突出部と、
シリンダの上部を穴の下方から挿入した場合、シリンダが抜け落ちずかつ板台に対して一定間隔だけ上下するように、シリンダの上部を挿入するようにしてシリンダの上端部に取り付けられる円筒状のシリンダ幅調整筒とから成り、
上方力加え手段は、円筒状管とシリンダとの隙間に配置されたコイルバネであり、
液体の注入開始時から終了時にかけて、コイルバネが縮まって、注入口部を上方に動かそうとする力を加える。
【0014】
上記第2の発明によれば、液体の注入開始時から終了時にかけて、コイルバネが縮まることによる復元力によって、シリンダを上方に動かそうとする力が注入口部に常に働くこととなり、液体注入終了後に直ちに内部バルブを閉じることが可能となる。このような簡易な構成で、エアゾール容器への液体注入装置を提供することが可能となる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、コイルバネは、予め縮まった状態で配置されていることを特徴とする。
【0016】
上記第3の発明によれば、コイルバネは、縮まる幅に比例して、より大きな復元力を生じることとなるので、コイルバネを予め縮まった状態で配置しておくことによって、液体注入時のコイルバネの復元力をより大きくすることができる。したがって、確実に内部バルブを閉じることができる液体注入装置を提供することが可能となる。
【0017】
第4の発明は、第1の発明において、ピストン棒の先端は、フッ素樹脂から成ることを特徴とする。
【0018】
上記第4の発明によれば、ピストン棒の先端がフッ素樹脂からなるので、液体溜め部での滑り具合、液体溜め部とピストン棒先端との密閉度、およびピストン棒先端の耐久性を向上させることが可能となる。
【0019】
第5の発明は、第1の発明において、さらに、液体溜め部におけるピストン棒の挿入口を覆い隠すカバー部を備える。
【0020】
上記第5の発明によれば、誤操作によって吹きこぼれた液体が飛び散るのをカバー部で防止することとなる。
【0021】
第6の発明は、圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器に対して液体を注入するときに使用するカバーであって、
エアゾール容器の噴射ノズルを介して液体を注入する装置の注入口と噴射ノズルとを覆い隠す注入口ノズル覆い部を備える。
【0022】
上記第6の発明によれば、注入口と噴射ノズルとが覆い隠されることとなるので、圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器に液体を注入する装置の誤操作によって、エアゾール容器あるいは注入口からの液体が飛び散るのを防止することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る液体注入装置の正面図である。図2は、液体注入装置の側面図である。図3は、液体注入装置にエアゾール容器を適切な位置に配置した状態で、図2における断面XYをA方向から見たときの拡大断面図である。図1〜3において、同一の部分には、同じ参照番号を付す。液体注入装置は、噴射剤としての圧縮ガス(ジメチルエーテルやLPガス等)が充填済みのエアゾールスプレー缶に塗料を注入するための装置である。この圧縮ガスが充填済みのエアゾールスプレー缶は、専門の工場で大量生産されたものを用いる。
【0024】
以下、図1〜3を参照しながら、液体注入装置の構成について説明する。液体注入装置は、液漏れ防止注入栓1と、注入棒2と、歯車ホルダ3と、手動レバー4と、注入時支え棒5と、シリンダ幅調整筒6と、液溜めシリンダ7と、シリンダ戻りバネ8と、シリンダ支持台9と、シリンダ支持台固定ねじ10と、コック11と、注入口13と、シリンダ支持台固定棒14と、装置支持台15とを備える。
【0025】
シリンダ支持台9は、液溜めシリンダ7を支えるための金属製の板台である。シリンダ支持台9には、円筒状の穴が開いており、その穴の中に液溜めシリンダ7が挿入される。液溜めシリンダ7は、スプレー缶に注入すべき塗料を溜めておくために中空の筒上部を有する金属製の円筒状シリンダである。液溜めシリンダ7の下部には、突出部7bが設けられている。突出部7bの外径は、シリンダ支持台9に開けられている穴の内径よりも大きい。突出部7bは、液溜めシリンダ7がシリンダ支持台9の上方に通り抜けるのを防止する。
【0026】
シリンダ幅調整筒6は、液溜めシリンダ7がシリンダ支持台9に対して上下方向に一定間隔dだけ動くように、液溜めシリンダ7をシリンダ支持台9に取り付けるための断面逆U字型状の円筒である。シリンダ幅調整筒6の上端内側面には、雌ねじ6aが削られている。液溜めシリンダ7の上端外側面には、雄ねじ7aが削られている。雌ねじ6aと雄ねじ7aとを締め付けることによって、シリンダ幅調整筒6の下端とシリンダ支持台9の上面との間に一定間隔dができる。シリンダ幅調整筒6および突出部7bは、液溜めシリンダ7が上下方向に一定間隔dだけ動くように、液溜めシリンダ7をシリンダ支持台9に取り付けているといえる。
【0027】
シリンダ戻りバネ8は、金属製のコイルバネである。シリンダ戻りバネ8は、液溜めシリンダ7とシリンダ幅調整筒6との隙間に配置されている。シリンダ幅調整筒6の雌ねじ6aと液溜めシリンダ7の雄ねじ7aとを締め付けることによって、シリンダ戻りバネ8は縮む。だたし、シリンダ戻りバネ8には、さらにd以上縮む余地が残されているものとする。雌ねじ6aと雄ねじ7aとが完全に締め付けられた場合、突出部7bの上面部は、シリンダ戻りバネ8の復元力によってシリンダ支持台9の下面部に当接する。これにより、シリンダ支持台9の上面とシリンダ幅調整筒6の下端とは、一定間隔dを有することとなる。この一定間隔dは、後述のエアゾール容器17の内部バルブを開けるのに必要な幅である。シリンダ戻りバネ8の復元力によって、液溜めシリンダ7を上方に動かそうとする力が常に加えられていることとなる。
【0028】
コック11は、液溜めシリンダ7の下端に取り付けられており、液溜めシリンダ7に溜められている塗料の流出を調整するための栓である。コック11は、コックレバー12を含む。ユーザは、コックレバー12を回すことによって、コック11を開閉することができる。コック11が開くと、液溜めシリンダ7内の塗料が、注入口13に移動する。注入口13は、コック11からの塗料をスプレー缶に注ぐための金属製のノズルである。注入口13の下端は、エアゾール容器17の噴射ノズル16上端と当接するように逆すり鉢状になっている。
【0029】
液漏れ防止注入栓1は、フッ素樹脂製のキャップである。液漏れ防止注入栓1の外径と液溜めシリンダ7の内径とは、一致する。注入棒2は、鉛直方向に縦の歯車が構成されている円柱状の金属棒である。注入棒2の先端には、液漏れ防止注入栓1が取り付けられている。歯車ホルダ3は、注入棒2の縦歯車とかみ合う円形歯車(図示せず)を内部に含む。手動レバー4は、歯車ホルダ3内の円形歯車を回転させるためのレバーである。手動レバー4が手前に引かれると、歯車ホルダ3内の円形歯車が回転し、それとかみ合っている注入棒2の縦歯車に作用して、注入棒2が下方に動く。これにより、液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7内部に挿入されることとなる。注入時支え棒5は、手動レバー4を手前に引く際に、装置全体を抑えておくための棒である。液漏れ防止注入栓1、注入棒2、歯車ホルダ3、手動レバー4および注入時支え棒5が、液溜めシリンダ7内の塗料を押し出すための手段となる。
【0030】
装置支持台15は、装置全体を支持するための金属板台である。シリンダ支持台固定棒14は、シリンダ支持台9および歯車ホルダ3を固定するための金属棒であり、装置支持台15から垂直に立てられている。シリンダ支持台固定ねじ10は、シリンダ支持台9の位置を調整して、シリンダ支持台9を固定するためのねじである。シリンダ支持台9、シリンダ支持台固定ねじ10、シリンダ支持台固定棒14および装置支持台15が、液溜めシリンダ7を支持するための支持部となる。
【0031】
エアゾール容器17は、内部バルブ(図示せず)と噴射ヘッド16とを含む。エアゾール容器17において、噴射ノズル16が押下されると、内部バルブが開く。この構造は、従来のエアゾール容器で一般的に採用されている構造であるので詳しい説明は省略する。エアゾール容器17には、8気圧程度に圧縮されたガスが噴射剤として充填されている。噴射ノズル16は、圧縮ガスと混合されて噴射される霧状の塗料を噴出するためのノズルである。
【0032】
次に、塗料を注入するときのこの装置の使い方について説明する。ユーザは、注入口13が噴射ノズル16の上端に配置されるように、シリンダ支持台固定ねじ10を緩めて、シリンダ支持台9の位置を調整する。この際、エアゾール容器17内の内部バルブが開かないようにするために、注入口13から噴射ノズル16に対して力が働かないよう、シリンダ支持台9の高さを決める。このようにして、ユーザは、図3に示すように、適切な位置にシリンダ支持台9を固定し、塗料を注入すべきエアゾール容器17を配置する。
【0033】
次に、ユーザは、コック11が閉じられた状態で、50ml程度の充填したい塗料を液溜めシリンダ7に注ぎ込む。次に、ユーザは、手動レバー4を手前に引いて、注入棒2を押し下げ、液漏れ防止注入栓1を液溜めシリンダ7の上端部まで移動させる。図4は、液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7の上端部まで移動したときの拡大断面図である。図4に示した段階では、コック11は閉じている。
【0034】
次に、ユーザは、コックレバー12を回して、コック11を開ける。それと共に、ユーザは、手動レバー4をさらに手前に引いて、注入棒2を押し下げ、液漏れ防止注入栓1を液溜めシリンダ7内部に挿入させていく。注入棒2を押し下げる力、および液漏れ防止注入栓1と液溜めシリンダ7の内壁との摩擦力によって、液溜めシリンダ7全体が下方に移動する。この場合、シリンダ幅調整筒6とシリンダ支持台9との間隔がdであるので、液溜めシリンダ7は、dだけ下方に移動することとなる。液溜めシリンダ7がdだけ下方に移動すると、注入口13の先端がdだけ下方に移動することとなる。これにより、エアゾール容器17の噴射ヘッド16がdだけ押下され、内部バルブ(図示せず)が開くこととなる。
【0035】
エアゾール容器17の内部バルブが開いた状態で、液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7内部をさらに下方に押し進むこととなるので、液溜めシリンダ7内の塗料が、バルブの開いたエアゾール容器17に注入されることとなる。図5は、液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7内を移動する様子を示した拡大断面図である。内部バルブが開いた状態では、エアゾール容器17からの圧縮ガスが噴出することとなる。しかし、この装置では、液漏れ防止注入栓1が液漏れシリンダ7の内壁に密着しながら、塗料に圧力を加えつつ、塗料が噴射ヘッド16を伝って注入されていくので、圧縮ガスは噴出することなく塗料が注入されることとなる。
【0036】
液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7の内部壁最下端まで到達した場合、ユーザは、コックレバー12を回してコック11を閉じ、手動レバー4を手前に引くのをやめる。図6は、手動レバー4を手前に引くのをやめたときの拡大断面図である。図6に示すように、手動レバー4を手前に引くのを止めると、シリンダ戻りバネ8の復元力によって、液溜めシリンダ7全体が上方にdだけ移動する。これにより、エアゾール容器17の内部バルブが閉じられる。図6に示すように、注入口13および液溜めシリンダ7には、塗料が若干残留することとなるが、この残留塗料は、ぼろ切れなどでふき取ればよい。
【0037】
途中で塗料の注入を止めるのはあまり適切ではないが、誤操作等何らかの事情で注入を止めたい場合、ユーザは、コック11を閉じて、手動レバー4を手前に引くのを止めればよい。この場合、シリンダ戻りバネ8の復元力によって、液溜めシリンダ7全体が上方にdだけ移動することによって、エアゾール容器17の内部バルブが閉じられることとなる。
【0038】
図7は、塗料の注入時にエアゾール容器17に取り付ける液体注入用カバーの外観斜視図である。図7において、液体注入用カバー60の下部開口筒部61は、エアゾール容器17の外径と同じ内径であり、エアゾール容器17の上部が入る。液体注入用カバー60の上部開口部62は、注入口13が入る大きさである。塗料が注入される場合、注入口13は、上部開口部62上方から挿入され、液体注入用カバー60内で噴射ノズル16を押し下げる。すなわち、塗料注入時、注入口13と噴射ノズル16とは、液体注入用カバー60で覆い隠される。したがって、誤操作でエアゾール容器17の内容物が噴出したとしても、塗料がユーザへ吹きかかるのが防止される。
【0039】
図8は、液溜めシリンダ7の上部から吹き出す塗料の吹きかかりを防止するためのカバー70を取り付けたときの液体注入装置の側面図である。カバー70は、アクリル樹脂でできている。カバー70は、歯車ホルダー3の下面に取り付けられる。カバー70は、注入棒2に取り付けられた液漏れ防止注入栓1の挿入口である液溜めシリンダ7の上部を覆い隠す。これにより、誤操作によって、エアゾール容器17の圧縮ガスが噴出して、液溜めシリンダ7から塗料が吹き出した場合、塗料がユーザに吹きかかるのを防止することができる。なお、カバー70の形状は、図8に示した形状に限るものではない。図8では、液溜めシリンダ7の上部を見るために、カバー70の側面が開いている形状とした。しかし、その他、液体注入時に液溜めシリンダの上部を覆い隠すような円筒や四角柱状の筒であってもよい。
【0040】
このように、本発明の一実施形態では、注入棒2で液溜めシリンダ7に溜められた塗料を押し出しながら、圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器17の内部バルブを押し開けて、塗料を注入することができる。したがって、この装置を用いれば、ユーザ仕様に応じたエアゾールスプレー缶を一個から簡単に生産することが可能となる。
【0041】
また、塗料の注入開始時から終了時にかけて、シリンダ戻りバネ8が縮むことによって、液溜めシリンダ7および注入口13には、上方に動こうとする力が常に加わることとなる。したがって、液体の注入が終了したら直ちに、内部バルブを閉じることが可能となり、内容物の吹き出しを防止することができる。また、誤操作した場合にも、直ちに内部バルブが閉じることとなるので、内容物の吹き出しが防止される。
【0042】
また、上記実施形態では、シリンダ戻りバネ8が予め縮まった状態で配置されているので、塗料注入時におけるシリンダ戻りバネ8の復元力を大きなものにすることができ、確実に内部バルブを閉じることが可能となる。これは、縮まる幅に比例してコイルバネによる復元力が大きくなるといった物理的性質を利用したものである。したがって、シリンダ戻りバネ8が縮まっていない状態で配置しても、塗料注入中にシリンダ戻りバネ8が縮まることによって生じる復元力によって、注入口13を上方に移動させる力を働かせることができ、このような構成にしても装置の機能は有効に働く。
【0043】
また、液漏れ防止注入栓1としてフッ素樹脂製のキャップを使っているので、液溜めシリンダ7の内壁との滑り具合、液溜めシリンダ7との密閉度、および液漏れ防止注入栓1の耐久性を向上させることが可能となる。
【0044】
なお、密封度向上を図るのであれば、液漏れ防止注入栓1の素材は、ゴムやポリプロピレン等でもよい。また、滑り易さの向上を図るのであれば、液漏れ防止注入栓1の素材は、ポリプロピレン等でもよい。
【0045】
なお、上記実施形態では、注入する液体を塗料としたが、これに限られるものではない。たとえば、注入する液体が、香水であってもよい。これにより、ユーザ仕様に応じた香りの香水スプレーを小ロット生産することが可能となる。
【0046】
なお、上記実施形態では、塗料注入完了後に液溜めシリンダ7の下部および注入口13に若干の塗料が残留することとなる。この問題点を改善するためには、液溜めシリンダ7の下部穴、および注入口13の内部穴をなるべく細くすれば、残留塗料を減らすことができる。また、液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7の最下部まで押し下げることができるように、液漏れ防止注入栓1の外径および液溜めシリンダ7の内径を決めれば、残留塗料を減らすことができる。
【0047】
なお、コック11の代わりに、液漏れ防止注入栓1から液体に加えられる圧力に応じて開閉する弁を注入口13と液溜めシリンダ7との間に配置するようにしてもよい。これにより、コック11を手動で開閉するのに比べ、簡単かつ自動的に液溜めシリンダ7からの塗料流出を調整することが可能となる。
【0048】
なお、上記実施形態では、シリンダ幅調整筒6および突出部7bによって、液溜めシリンダ7が上下方向に一定間隔dだけ動くように、液溜めシリンダ7をシリンダ支持台9に取り付けることとしたが、この構成に限られるものではない。たとえば、液溜めシリンダ7がシリンダ支持台9の上方に抜けていかないように、突出部7bの代わりにピン状の突起を設けるようにしてもよい。また、突出部7bをナット状の別部材とし、内壁を雌ねじにしておき、液溜めシリンダ7の下部を一部雄ねじにしておくようにして、この別部材を突出部7bの代わりに用いてもよい。このような構成にすると、液溜めシリンダ7として、汎用的なシリンダを用いることができ、装置全体を安価に提供することが期待できる。
【0049】
なお、上記実施形態では、歯車ホルダ3を用いて注入棒2を動かすこととしたが、液溜めシリンダ7内の液体を押し出すのであれば、歯車ホルダ3を用いる構造に限られるものでない。たとえば、液漏れ防止注入栓1が先端についた棒を注射器のようにして液溜めシリンダ7に手で挿入するようにしてもよい。
【0050】
なお、上記実施形態では、シリンダ戻りバネ8を用いて、液溜めシリンダ7を上方に上げようとする力を常に加えることとしたが、そのような力を加える構成であれば、シリンダ戻りバネ8以外の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体注入装置の正面図である。
【図2】液体注入装置の側面図である。
【図3】液体注入装置にエアゾール容器を適切な位置に配置した状態で、図2における断面XYをA方向から見たときの拡大断面図である。
【図4】液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7の上端部まで移動したときの拡大断面図である。
【図5】液漏れ防止注入栓1が液溜めシリンダ7内を移動する様子を示した拡大断面図である。
【図6】手動レバー4を手前に引くのをやめたときの拡大断面図である。
【図7】塗料の注入時にエアゾール容器17に取り付ける液体注入用カバーの外観斜視図である。
【図8】液溜めシリンダ7の上部から吹き出す塗料の吹きかかりを防止するためのカバー70を取り付けたときの液体注入装置の側面図である。
【符号の説明】
1 液漏れ防止注入栓
2 注入棒
3 歯車ホルダ
4 手動レバー
5 注入時支え棒
6 シリンダ幅調整筒
6a 雌ねじ部
7 液溜めシリンダ
7a 雄ねじ部
7b 突出部
8 シリンダ戻りバネ
9 シリンダ支持台
10 シリンダ支持台固定ねじ
11 コック
12 コックレバー
13 注入口
14 シリンダ支持固定棒
15 装置支持台
16 噴射ノズル
17 エアゾール容器
60 液体注入用カバー
61 下部開口筒部
62 上部開口部
70 カバー

Claims (6)

  1. 圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器へ液体を注入するための装置であって、
    注入すべき液体を溜める中空の筒状部を有する液体溜め部と、
    前記液体溜め部の下端側に取り付けられており、前記エアゾール容器の噴射ノズルと当接することによって前記液体溜め部から流出する液体を前記エアゾール容器に注入するための注入口部と、
    前記液体溜め部と前記注入口部との間に取り付けられており、前記液体溜め部から前記注入口部への前記液体の流出を調整するための流出調整部と、
    前記液体溜め部を支える支持部と、
    前記液体溜め部が上下方向に一定間隔だけ動くように、前記液体溜め部を前記支持部に一定の余裕を持たせて取り付ける取り付け手段と、
    前記液体の注入開始時から終了時かけて、前記注入口部を上方に動かそうとする力を常に前記液体溜め部に加え続ける上方力加え手段と、
    前記液体溜め部に挿入されるピストン棒を有し、前記ピストン棒を下方に押し進めることによって、前記液体溜め部に溜められた液体を押し出すと共に、前記注入口部を前記一定間隔だけ下方に動かして前記エアゾール容器の内部バルブを押し開け、押し出された前記液体を前記注入口部および前記噴射ノズルを介して前記エアゾール容器へ注入するための液体押し出し手段とを備える、エアゾール容器への液体注入装置。
  2. 前記液体溜め部は、円筒状のシリンダであり、
    前記支持部は、前記シリンダを挿入する穴を有する板台を含み、
    前記取り付け手段は、
    前記シリンダの外周面から突出している突出部と、
    前記シリンダの上部を前記穴の下方から挿入した場合、前記シリンダが抜け落ちずかつ前記板台に対して前記一定間隔だけ上下するように、前記シリンダの上部を挿入するようにして前記シリンダの上端部に取り付けられる円筒状のシリンダ幅調整筒とから成り、
    前記上方力加え手段は、前記円筒状管と前記シリンダとの隙間に配置されたコイルバネであり、
    前記液体の注入開始時から終了時にかけて、前記コイルバネが縮まって、前記注入口部を上方に動かそうとする力を加える、請求項1に記載のエアゾール容器への液体注入装置。
  3. 前記コイルバネは、予め縮まった状態で配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のエアゾール容器への液体注入装置。
  4. 前記ピストン棒の先端は、フッ素樹脂から成ることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール容器への液体注入装置。
  5. さらに、前記液体溜め部における前記ピストン棒の挿入口を覆い隠すカバー部を備える、請求項1に記載のエアゾール容器への液体注入装置。
  6. 圧縮ガスが充填済みのエアゾール容器に対して液体を注入するときに使用するカバーであって、
    前記エアゾール容器の噴射ノズルを介して液体を注入する装置の注入口と前記噴射ノズルとを覆い隠す注入口ノズル覆い部を備える、エアゾール容器への液体注入用カバー。
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