JP2004049037A - デンプンの品質改良剤およびこれを用いた食品 - Google Patents

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船見 孝博
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Abstract

【課題】デンプン含有食品において、デンプンの弾性率を安定化する時間を短くし、デンプンを含有する食品におけるバラツキを防止し品質を安定させ、また、デンプンの老化による食感の劣化を抑制し、風味に与える影響の少ない、デンプン用の品質改良剤、及び、デンプン品質改良剤を用いたデンプン含有食品を提供することを目的とする。
【解決手段】メチルセルロース、ローカストビーンガム及びアラビアガムを含むことを特徴とするデンプン用品質改良剤及びこのデンプン用品質改良剤を含むデンプン含有食品。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デンプンの品質改良剤に関する。詳細には、デンプン含有食品において弾性率が安定するまでの時間を短縮することにより、デンプンを含有する食品におけるバラツキを防止し、また、デンプンの老化による食感の劣化を抑制するデンプン用の品質改良剤、及び、デンプン品質改良剤を用いた食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デンプン含有食品として、従来より、食パン・菓子パン等のパン類、うどん・そば・中華麺等の麺類、ホワイトソース・グラタン等の調理ソース類、スポンジケーキ・バターケーキ・フルーツケーキ等のケーキ類、ドーナツ類、餃子・焼売・春巻き・ワンタン等の皮類、蒸しパン・中華饅頭・蒸し饅頭等の饅頭類、コロッケ、お好み焼き、たこ焼き、鯛焼き、今川焼き、大福、団子、ういろう等の多種多様な食品が上市されている。
【0003】
この様なデンプン含有食品においては、その製造過程においてデンプンの弾性率が経時的に変化し、安定化するのに時間がかかるため、デンプン含有食品にバラツキが生じ品質が一定しにくいという問題があった。また、デンプンの老化による、食感の劣化(ソフト感、しっとり感の消失)が問題となっていた。
【0004】
こういった問題を解決するために、デンプンあるいはデンプン含有食品に多糖類等のハイドロコロイドや乳化剤を添加するといった方法が従来より提案されている。例えば、セルロースとポリペプチド及び/または食用多糖類とを含む構造体とグリセリンコハク酸脂肪酸エステルを含有する品質改良剤をデンプンに添加する方法(特開平10−304828)、ポテトデンプンに天然ガム質を添加する方法(特公平3−44743)、小麦粉に乳清タンパク質濃縮物を添加する方法(特開平3−219832)、デンプンに結晶セルロースを添加する方法(特開昭59−98656)といった方法が提案されている。
【0005】
しかし、上記の方法においては、最終食品の風味等の官能特性にあたえる影響が大きかったり、品質を安定させるものでは無かった。また、乳化剤やハイドロコロイドの添加量によっては、均一に分散することができないために、系全体の保水性が低下したり、デンプンの膨潤・吸水を過度に抑制することにより、加熱調理前の作業性が極端に低下する場合もあった。更に、結晶セルロース等をデンプンに用いた場合には、デンプン糊中で結晶核として作用することにより、老化の程度を増加させていることもあった。
【0006】
そのため、デンプン含有食品において、デンプンの弾性率を安定化する時間を短くし、デンプンを含有する食品におけるバラツキを防止し品質を安定させ、また、デンプンの老化による食感の劣化を抑制し、風味に与える影響の少ない、デンプン用の品質改良剤、及び、デンプン品質改良剤を用いたデンプン含有食品が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、デンプンを含有する食品におけるバラツキを防止し品質を安定させ、また、デンプンの老化による食感の劣化を抑制し、風味に与える影響の少ないデンプン用の品質改良剤、及び、デンプン品質改良剤を用いた食品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、メチルセルロース、ローカストビーンガム及びアラビアガムを含むことを特徴とするデンプン用品質改良剤をデンプンに用いたところ、デンプンにおける弾性率が短期間で安定し、バラツキのない品質の安定したデンプン含有食品を提供できることを見いだし、老化による経時的な食感の劣化(ソフト感、しっとり感の消失)抑制することを見出し、本発明を考案するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、下記項1及び2に掲げるデンプン品質改良剤である:
項1:メチルセルロース、ローカストビーンガム及び、アラビアガムを含有することを特徴とするデンプン品質改良剤。
項2:デンプンに対して、メチルセルロースの含量が0.0025〜10%、ローカストビーンガムの含量が0.0005〜10%、アラビアガムの含量が0.0025〜10%であることを特徴とする項1記載のデンプン品質改良剤。
【0010】
また、本発明は下記項3及び項4に掲げるデンプン品質改良剤を含む食品である:
項3:項1及び項2に記載のデンプン品質改良剤およびデンプンを含有することを特徴とする食品。
項4:食品が、咀嚼・嚥下困難者用食品である項3記載の食品。
【0011】
また、本発明は、項5に掲げる。デンプン品質改良剤を添加するデンプンの品質改良方法である:
項5:項1及び項2に記載のデンプン品質改良剤を、予め水和した後にデンプンに添加する、デンプンの品質改良方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のデンプン品質改良剤とは、メチルセルロース、ローカストビーンガム及びアラビアガムを含有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明のデンプン品質改良剤の対象となるデンプン類としては、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ、サゴヤシ等由来のデンプン、ならびに、これらに物理的又は、化学的処理を施した加工澱粉(酸分解デンプン、酸化デンプン、α化デンプン、グラフト化デンプン、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化デンプン、2カ所以上のデンプンの水酸基間に多官機能基を結合させた架橋デンプン、湿熱処理デンプン等)を挙げることができる。
【0014】
本発明のメチルセルロースとは、セルロースの骨格中の水酸基を、ペクチンなどにみられるメトキシル基で置換したものである。セルロースを水酸化ナトリウムでアルカリセルロースにし、塩化メチルと反応させることにより得られる。市販されているメチルセルロースの置換度(DS)は1.4−2.0であり、10℃程度の冷水に溶解する。メチルセルロース水溶液は約50−90℃の温度域で三次元のネットワーク構造を構築してゲル化するという特異な挙動を示すため、損失水分の低減、吸油抑制等の目的でドーナツや揚げ物の衣等に使用されている。また、分子内に疎水基と親水基を併せ持つため、一種の乳化剤としての効果を有し、マヨネーズ、ドレッシング、アイスクリーム等の安定剤として使用されている。本発明のデンプン品質改良剤における、メチルセルロースの含有量としては、デンプンに対して0.0025〜10%、好ましくは0.025〜5%が望ましい。含有量が0.0025%より少ないとデンプンに使用した際に老化防止効果が充分に発揮されず、10%より多いと分離を促進し、保水性が低下し、しっとり感が失われるためである。本特許において、メチルセルロースは一般的に入手可能なものを使用することができ、市販品として、例えばSM−25およびSM−4000(いずれも信越化学株式会社)等を挙げることができる。
【0015】
本発明のローカストビーンガムとは、別名、カロブビーンガムとも呼ばれ、Ceratonia siliquaとして知られている豆科植物の種子を原料として作られる。ローカストビーンガムは、β−1,4結合したD−マンノース主鎖骨格に、D−ガラクトースがα−1,6結合したガラクトマンナンであり、その比率は約4:1といわれている。側鎖の多いグアガムとは異なり、加熱しなければ水に完全に溶解しないが、キサンタンガム、κカラギーナン、および寒天と相乗的に反応して非常に弾力性に富んだゲルを形成するという特長を有している。キサンタンガム、κカラギーナン、および寒天のダブルへリックス領域とローカストビーンガムのsmooth領域(側鎖基の少ない滑らかな領域)が会合することにより、強固な網目構造が構築されるものと考えられている。本発明のデンプン品質改良剤における、ローカストビーンガムの含有量としては、デンプンに対して0.0005〜10%、好ましくは0.005〜5%が望ましい。0.0005%より少ないとデンプンの弾性率を安定化させるために時間がかかり、10%より多いとデンプン含有食品において粘着感のある食感になり良好な食感が得られないためである。本発明において、ローカストビーンガムは一般的に入手可能なものを使用することができ、また精製型および未精製型のいずれも適応可能である。市販品として、例えばビストップD−171およびローカストビーンガムF(いずれも三栄源エフエフアイ株式会社)等を挙げることができる。
【0016】
本発明におけるアラビアガムは、一般にアラビアガムとして使用されているものであればよい。アラビアガムは、マメ科アカシア属植物の樹液に含まれる水溶性、低粘性のヘテロ多糖である。アラビアガムの分子構造は明らかにされてはいないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、およびグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。この他、少量(<2%)のタンパク質が含まれる。アラビアガムは、菓子類のコーティング剤、飲料乳化剤、ベーカリー食品の光沢剤として、食品業界で広く使用されている。本発明のアラビアガムは、例えばAcasia Senegal 及び Acasia seyal を起原とするものを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。本発明のデンプン品質改良剤における、アラビアガムの含有量としては、デンプンに対して0.0025〜10%、好ましくは0.025〜5%が望ましい。0.0025%より少ないとデンプンに使用した際に保存中の老化防止効果が充分に発揮されず、また、加熱調理直後のデンプンの食感が非常に糊っぽく、喉ごしの悪いものになってしまう。一方、含有量が10%より多くなると分離を促進し、しっとりした食感が低下するためである。本発明において、アラビアガムは一般的に入手可能なものを使用することができ、また、精製型および未精製型のいずれも適応可能である。市販品として、例えばビストップD−2041(三栄源エフエフアイ株式会社)等を挙げることができる。
【0017】
本発明のデンプン品質改良剤には、その効果を妨げない範囲において、L−アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸、5’−イノシン酸二ナトリウム等の核酸、クエン酸一カリウム等の有機酸、および塩化カリウム等の無機塩類に代表される調味料、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、およびコウジ酸等の日持向上剤、シラコたん白抽出物、ポリリシン、およびソルビン酸等の保存料、α、βアミラーゼ、α、βグルコシダ−ゼ、パパイン等の酵素、クエン酸、フマル酸、コハク酸等のpH調整剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤、香料、色素、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、ネイティブシェランガム、アルギン酸ナトリウム、寒天、コンニャク、ペクチン、グアガム、タラガム、カラヤガム、トラガントガム、ガッティガム、ラムザンガム、ウェランガム、カードラン、プルラン、サイリームシードガム等の増粘多糖類、膨張剤、乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質、ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトール等の糖類、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等の甘味料、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類、鉄、カルシウム等のミネラル類等を添加することができる。
【0018】
本発明のデンプン品質改良剤の調製は、従来公知の方法により調整されるが、例えば、メチルセルロース、ローカストビーンガム及びアラビアガムを粉体混合して調製することができる。
【0019】
本発明のデンプン品質改良剤のデンプンへの添加方法としては、デンプン品質改良剤を予め水和し溶液状にしてデンプンへ添加する方法や、デンプン品質改良剤を粉末のままデンプンに含有する方法等を挙げることができるが、特に、デンプン品質改良剤を加熱により予め水和し溶液状にしてデンプンへ添加する方法が望ましい。デンプン含有食品における、バラツキが抑制されるためである。
【0020】
本発明のデンプン品質改良剤を含んだデンプンは、咀嚼・嚥下困難者用食品、パン類、麺類、ケーキ類、コロッケ・春巻き等の惣菜の皮類、饅頭の皮、お好み焼き、たこ焼き、鯛焼き、今川焼き、大福、団子、ういろう等の菓子類等に例示されるような多種多様な加工食品に加工することができる。特に、咀嚼・嚥下困難者用食品においては、好ましい、物性を得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。特に記載のない限り、「部」は「重量部」、「%」は、「重量%」とする。
【0022】
実施例1
(デンプン品質改良剤の調製)
メチルセルロース(SM−25 旭化成株式会社)、ローカストビーンガム(ビストップD−171 三栄源エフエフアイ株式会社)、およびアラビアガム(ビストップD−2041 三栄源エフエフアイ株式会社)を下記表1に示した配合割合で粉体混合し、実施例1〜3のデンプン品質改良剤を調製した。また、比較例として、メチルセルロース、ローカストビーンガム、アラビアガム及びこれらを何も入れない比較例1〜4のデンプン品質改良剤を同様に調製した。
【0023】
【表1】デンプン品質改良剤
Figure 2004049037
【0024】
(貯蔵弾性率の時間依存性測定)
実施例1のデンプン品質改良剤を水に溶解し、実施例1の0.5%水溶液を得た。得られた実施例1の0.5%水溶液を25mLを小麦デンプン(水分含量9.0%、平均粒子径20μm)1.25gに加え、Rapid Visco Analyzer(Newport Scientific, INC)を用いて20℃から95℃まで昇温速度5℃/minで加熱、95℃で30分間保持後、20℃まで5℃/minで冷却してデンプン糊を調製した。デンプン糊の貯蔵弾性率の時間依存性を、周波数6.28rad/s、歪0.5%、測定温度4℃で30,000秒間測定した。また、同様に比較例1のデンプン品質改良剤に関しても同様の操作を行い測定した。その結果を表2に記す。
【0025】
【表2】貯蔵弾性率の時間依存性
Figure 2004049037
【0026】
この貯蔵弾性率の時間依存性の結果より、比較例1では貯蔵弾性率が時間に依存して緩やかに増加したのに対し、実施例1のデンプン品質安定剤を含有させた小麦デンプン溶液では、保存初期の勾配が急になり、短時間で安定化されることが示された。また、その安定化された貯蔵弾性率の値は比較例1に比べて約1/3と低いものであり、デンプンの老化が抑制されていることも示された。
【0027】
(動的粘弾性の周波数依存性測定)
実施例1〜3、比較例1〜4を水に溶解し実施例1〜3、比較例1〜4の0.5%水溶液を得た。得られた実施例1〜3、比較例1〜4の0.5%水溶液を25mLを小麦デンプン(水分含量9.0%、平均粒子径20μm)1.25gに加え実施例1〜3、比較例1〜4を含むデンプン糊を調製した。調製したデンプン糊において、調製直後と5日間 4℃冷蔵保存後に、動的粘弾性の周波数依存性測定(周波数:0.1−100rad/s、歪0.5%、温度20℃)を実施した。その結果を表2に記す。尚、動的粘弾性については、複素粘性率(h*)の周波数(w)依存性をh*=Kwの回帰式にあてはめ、定数Kと指数nの経時変化を求めた。また、周波数5rad/sおよび50rad/sにおけるh*値についても併せて算出した。その結果を表3に記す。
【0028】
【表3】デンプン糊の物性変化
Figure 2004049037
【0029】
表3の結果は、比較的長時間におけるデンプンの老化挙動を示す。回帰式におけるK値は試料のコンシステンシーを、n値は試料構造の特性を表すパラメータである。即ち、Kが大きいほど粘度が高く、nの絶対値が1に近いほどゲル的な性質であることを示す。また、周波数50rad/sおよび5rad/sにおける複素粘性率はヒトの咀嚼特性や飲み込み特性と相関することが分かっており、これらの値から試料の官能特性を推定することができる。即ち、周波数50rad/sにおける複素粘性率が0.2−2.5Pa・s、周波数5rad/sにおける粘性率が2−15Pa・sの範囲にあるとき、口腔内で適度にまとまりがあり、べとつかず、飲み込みやすい食感となる。K値は何も加えていない比較例1では約7倍、アラビアガム添加区の比較例4では約5倍に増加したのに対し、本発明の実施例1〜3では約3倍程度の増加であった。 ローカストビーンガム添加区の比較例3では、K値の増加は約3倍で、製剤添加区の実施例1〜3とほぼ同程度であったが、n値の増加率は大きくなった。50rad/sにおける複素粘性率は、ローカストビーンガム添加区である比較例3を除き、調製直後および5日間保存後のいずれにおいても上記の物性条件を満足した。一方、5rad/sにおける複素粘性率は、調整直後においては全ての実施例および比較例で上記の物性条件を満足したが、5日間保存後では実施例1〜3および比較例2のみが上記の物性条件を満足した。これより、実施例1〜3のデンプン品質改良剤を用いたデンプン含有食品は、比較例1〜4に比べて老化の進行が抑制されており、更に冷蔵保存しても咀嚼・嚥下用食品として良好な物性を維持できることが示された。
【0030】
(離水率の測定)
先に調製した実施例1〜3、比較例1〜4を含むデンプン糊について、5日間4℃で保存したものを遠沈管に充填し、2000G, 5分間遠心分離後、上澄みの水分を除去することにより離水量を算出した。その結果を表3に記す。
【0031】
【表4】デンプン糊の保水性
Figure 2004049037
【0032】
表4の結果に示されるように、冷蔵中のデンプン老化による保水性の低下を、メチルセルロースを除くハイドロコロイドの添加により抑制することができた。メチルセルロース添加区である比較例2 では相分離が生じ、系全体の保水性が低下するものと推定できた。離水防止ではローカストビーンガム添加区である比較例3が、他の比較例と比べて最も効果が高かったが、製剤として他の二成分と併用することにより、より少ない添加量で効果が発揮されることがわかった。
【0033】
(官能評価)
また、先に調製した実施例1〜3及び比較例1〜4のデンプン品質改良剤を含むデンプン糊についてデンプンの食感を官能的に評価した結果を表5に記す。
【0034】
【表5】官能評価
Figure 2004049037
【0035】
表5に示されるように、実施例1〜3を含むものにおいては、官能評価においても良好なものであった。調製直後では、比較例1およびローカストビーンガム添加区である比較例3で糊的な付着性が強く、飲み込みにくい食感であった。また、メチルセルロース添加区である比較例2およびアラビアガム添加区である比較例4では、糊的な付着性は弱く飲み込みやすいものの、やや流動的で保形性に欠けた。これに対し製剤添加区、特に実施例1および2では、糊的な付着性が弱く、適度な保形性があって非常に飲み込みやすい食感であった。4℃で冷蔵保存した場合、比較例1、およびアラビアガム添加区である比較例4では、ゲル的な食感が強く飲み込みにくかった。ローカストビーンガム添加区である比較例3では、依然として糊的な付着性が強く、またメチルセルロース添加区である比較例2では離水が生じ、均一性に欠け、いずれも飲み込みにくかった。しかし、製剤添加区である実施例1〜3はゲル的な食感は多少強くなるものの保存による食感の変化が少なく、良好な飲み込み特性を示した。

Claims (5)

  1. メチルセルロース、ローカストビーンガム及びアラビアガムを含有することを特徴とするデンプン品質改良剤。
  2. デンプンに対して、メチルセルロースの含量が0.0025〜10%、ローカストビーンガムの含量が0.0005〜10%、アラビアガムの含量が0.0025〜10%であることを特徴とする請求項1記載のデンプン品質改良剤。
  3. 請求項1及び2に記載のデンプン品質改良剤およびデンプンを含有することを特徴とする食品。
  4. 食品が、咀嚼・嚥下困難者用食品である請求項3記載の食品。
  5. 請求項1及び2に記載のデンプン品質改良剤を、予め水和した後にデンプンに添加する、デンプンの品質改良方法。
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